JPH067845B2 - 身体の看護用懸吊装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は身体の看護用懸吊装置に
係り、詳しくは、ベッド上に横たわる身体を横向き姿勢
で持ち上げて、寝返りや着替えなどを行うための装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】重度身体障害者や寝たきり老人などの患
者を、着替え、入浴、用足し等のためにベッド上で動か
すための種々の看護用ベッド装置が提案されている。し
かしながら従来のベッド装置は装置が大型複雑であり、
しかもハンモックなどの身体の支持手段をベッドに横た
わる身体の下側に出し入れしにくく、またベッド上での
患者の寝返りや衣服の着替え、殊に床ずれに対する背中
さすり作業などの簡単な作業を行いにくいなど、甚だ使
用勝手の悪いものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ベッ
ド上の患者の看護を行いやすい手段、殊に寝返り、背中
さすり、着替えなどを行いやすい手段を提供することを
目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、懸吊
具１３と、この懸吊具１３をベッド１上で昇降させる昇
降手段６〜１１と、この懸吊具１３に結合され且つベッ
ド１上の身体の下側に抜き差し自在に差し込まれる身体
の保持具２とから看護用懸吊装置を構成している。そし
てこの保持具２を直線部２ａと屈曲部２ｂを有する板状
体から形成し、この直線部２ａに上記懸吊具１３を結合
するようにしたものである。

【０００５】

【作用】上記構成によれば、保持具２をベッド１上の身
体の下側に抜き差しすることにより、保持具２を身体の
下側に簡単にセットできる。また昇降手段６〜１１によ
り保持具２を上昇させれば、身体をあお向きから横向き
に簡単に姿勢を変えられるので、寝返り、背中さすり、
着替えなどを容易に行うことができる。

【０００６】

【実施例】次に、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。図１は身体の看護用懸吊装置の正面図、図２
は側面図である。１はベッドであり、患者があお向きで
横たわっている。２は身体の保持具である。図３に示す
ように、この保持具２は細長の板状体から成り、直線部
２ａと、屈曲部２ｂとから略Ｌ字形に形成されており、
直線部２ａの先端部には係着部３が小孔状に開口されて
いる。本実施例では、直線部２ａと屈曲部２ｂの角度θ
は約９０°である。この保持具２は、ステンレス鋼板や
強化プラスチック板などの強度の大きい可撓材から成っ
ている。

【０００７】図１及び図２において、５はベッド１の上
方に設けられた支持フレームであり、モータ６と、この
モータ６に駆動されて回転するシャフト７と、スプロケ
ット１５及びチェン１６を介してこのシャフト７に連結
された２個のプーリ８が配設されている。９はプーリ８
の軸受けである。プーリ８にはワイヤ１０が巻装されて
おり、このワイヤ１０の下端部には水平なバー１１が取
着されている。またこのバー１１には、フック形の懸吊
具１３が複数個（本実施例では４個）着脱自在に係着さ
れている。この懸吊具１３は、上記保持具２の係着部３
に係脱自在に係着して結合される。モータ６が逆回転す
ると、ワイヤ１０は巻戻されてバー１１は下降し、正回
転するとワイヤ１０は巻上げられてバー１１は上昇す
る。すなわち上記構成部品６〜１１は、懸吊具１３の昇
降手段を構成している。

【０００８】本装置は上記のような構成より成り、次に
取り扱い動作を説明する。身体を持ち上げるにあたって
は、図１において、保持具２の直線部２ａを身体の下側
に差し込み、屈曲部２ｂを身体の側面に当接させる（矢
印Ｎ１参照）。この場合、図２に示すように、保持具２
はわきの下、腰部、太もも部、すね部の４ヵ所に差し込
む。次にモータ６を逆回転させてバー１１を下降させ、
懸吊具１３を各々の保持具２の係着部３に係着する（図
１鎖線参照）。次にモータ６を正回転させてバー１１を
上昇させれば、身体は反時計方向Ｎ２に回転し、身体は
あお向きから横向きに姿勢を変える（図２鎖線及び図４
参照）。

【０００９】図４に示すように、懸吊状態で身体は屈曲
部２ｂにより下方から支えられており、この状態で看護
人は身体の背中をさすったり、着替え、ベッド１の敷布
の交換などを容易に行える。勿論、患者は図１実線に示
すあお向きから、図１鎖線に示す横向きに寝返りをうっ
て姿勢を変えたことになるので、このままの寝返り状態
でそのままテレビを見たり、食事をするなどしてもよ
い。また本装置を特開平３−５７４５０号公報や特開平
３−２０２０５９号公報に示されるような移動装置に組
み込んで水平方向へ移動できるようにすれば、身体を保
持具２で保持したまま、浴槽や便器などに移動させるこ
ともできる。

【００１０】元に戻すときは、モータ６を逆回転させれ
ば、バー１１は下降し、図１において、患者は再びあお
向けでベッド１上に横臥できる。そこで懸吊具１３を係
着部３から取りはずし、保持具２を身体の下側から引き
出す。次にモータ６を正回転させて、バー１１を図２実
線位置まで上昇復帰させる。なお懸吊具１３がバー１１
に係着されたままであると、ベッド１上の患者の目障り
になるので、不使用時には懸吊具１３はバー１１から取
りはずしておくことが望ましい。

【００１１】本発明は上記実施例に限定されないのであ
って、例えば懸吊具１３の昇降手段としては、モータ６
を使用せずに手動ハンドルを設け、ハンドル操作により
昇降させてもよい。また直線部２ａと屈曲部２ｂの角度
θは任意に設定できるのであって、例えば９０°よりも
小さくしてもよく、あるいは図５に示すようにＵ字形に
してもよい。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。 （１）患者をベッド１上に横たえたままで、保持具２の
身体の下側への抜き差しを難なく行える。 （２）保持具２を引き上げることにより、患者をあお向
けから横向きに姿勢を簡単に寝返りさせることができ
る。しかもそのまま横向きの状態を保持できるので、テ
レビの鑑賞や食事、ベッド１の敷布の交換などを行いや
すい。 （３）患者を横向きにできるので、身体の背中側に手を
差し入れて、着替えや背中のさすりなどを簡単に行うこ
とができる。 （４）特開平３−５７４５０号公報や特開平３−２０２
０５９号公報に示されるような移動装置と組み合わせる
ことにより、浴槽、便器などへの移動手段としても使用
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る看護用身体の懸吊装置の正面図

【図２】本発明に係る看護用身体の懸吊装置の側面図

【図３】本発明に係る保持具の斜視図

【図４】本発明に係る懸吊状態の正面図

【図５】本発明の他の実施例に係る懸吊状態の正面図

【符号の説明】 １ ベッド ２ 保持具 ２ａ 直線部 ２ｂ 屈曲部 ６〜１１ 昇降手段 １３ 懸吊具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 懸吊具１３と、この懸吊具１３をベッド
   １上で昇降させる昇降手段６〜１１と、この懸吊具１３
   に結合され且つベッド１上の身体の下側に抜き差し自在
   に差し込まれる身体の保持具２とを備え、この保持具２
   が直線部２ａと屈曲部２ｂを有する板状体から成り、こ
   の直線部２ａを、上記懸吊具１３に結合するようにした
   ことを特徴とする身体の看護用懸吊装置。