JPH067828A - 厚板の転回方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚板とテーブルローラ間のスリップを軽減
し、円滑且つ迅速に転回できるようにする。 【構成】 厚板圧延機のターンテーブルに円弧状のプロ
フィールを持つテーブルローラを配置し、厚板とローラ
の接触を点接触とする。更に、各ローラの回転速度を、
転回する厚板の角速度に対応する速度に個別に制御し
て、厚板を転回する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、厚板の転回方法に係
り、特に、厚鋼板の製造に際して、厚板圧延機で厚鋼板
を転回する際に適用するのに好適な、厚板の転回方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】厚板圧延機においては、例えば板幅出し
圧延用の中間パスにおいて、厚板を９０°転回させる工
程を有する。

【０００３】この転回に際して、通常は、平坦なロール
プロフィール形状を持つテーブルローラを、千鳥状に配
列して、転回時には、１本おきにローラが逆転するよう
に駆動して、厚鋼板を転回している。

【０００４】この厚板の転回作業を自動化する方法とし
ては、特開昭６１−２７３２１４号で、転回テーブルの
減速、停止転回角により、転回テーブルの回転速度を制
御する方法が提案されている。

【０００５】又、実開昭６１−１５２３１１号では、昇
降可能なターンテーブル上に、互いに直交させてローラ
を配置し、該直交する一方の列のローラ群を昇降するよ
うにした転回装置が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、平坦なプロフィールを持つテーブルローラが用いら
れていたため、厚板とテーブルローラの接触が線接触と
なり、厚板の転回中は、テーブルローラの軸方向に相対
速度差が生じて、厚板とテーブルローラの間にスリップ
を生じていた。そのため、厚板がスリップしてなかなか
転回せず、転回を完了するまでに時間がかかったり、厚
板の裏面に擦傷やへげ疵が発生する等の問題点を有して
いた。

【０００７】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたもので、厚板とテーブルローラの間のスリッ
プを軽減して、円滑且つ迅速に厚板を転回できる厚板の
転回方法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明においては、厚板
の方向を転回するに際して、厚板とローラの接触が点接
触になる、円弧状のプロフィールを持つテーブルローラ
上に厚板を載置し、厚板転回時に、その角速度が略一定
になるように、各ローラの回転速度を制御して、厚板を
転回することにより、前記目的を達成したものである。

【０００９】

【作用】本発明においては、テーブルローラのロールプ
ロフィールを円弧状としたので、厚板とテーブルローラ
の接触が点接触となり、厚板とテーブルローラ間のスリ
ップが軽減される。

【００１０】更に、各ローラの回転速度を、厚板転回時
に、その角速度が略一定になるように、厚板転回中心か
らの距離に応じた速さに制御するようにしたので、厚板
とテーブルローラの間のスリップが一層軽減され、しか
も、円滑且つ迅速に厚板を転回することができる。

【００１１】特に、各ローラを、その軸方向にシフト可
能とし、厚板転回前に、厚板との接触点が略円周上に配
置されるように、各ローラの軸方向位置を制御しておく
ようにした場合には、各ローラの回転速度の制御が容易
であり、厚板を一層円滑に転回することができる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。

【００１３】本発明の実施に用いられる転回装置１０
は、図１に示す如く、厚板と接触する大径部１２Ａが軸
方向にオフセットされて設けられたテーブルローラ１２
を多数有し、前記大径部１２Ａが左右交互の千鳥状に配
置されている。

【００１４】各テーブルローラ１２の大径部１２Ａは、
図２及び図３に示す如く、円弧状となっている。従っ
て、前記転回装置１０で実際に厚板２０を搬送する際に
は、図４に示す如く、厚板２０とテーブルローラ１２の
大径部１２Ａが点接触することになる。

【００１５】又、各テーブルローラ１２は、第１実施例
では、その軸方向にシフト可能とされている。

【００１６】このような転回装置１０を用いて、厚板２
０を転回せず、図の上下方向に搬送する場合には、テー
ブルローラ１２の大径部１２Ａを、図１に示す如く千鳥
状に配置し、各テーブルローラ１２を、全て同一回転方
向に同じ回転速度で駆動する。すると、図５に示したよ
うな状態で、厚板２０が一方向に搬送され、転回は行わ
れない。

【００１７】一方、厚板２０を転回する際には、まず、
図５に示すような状態で、厚板２０を転回装置１０の上
に導入する。

【００１８】次いで、各テーブルローラ１２を軸方向に
シフトし、図６に示す如く、厚板２０と各テーブルロー
ラ１２との接触点が、略円弧状に配置されるようにす
る。更に、厚板転回時に、その角速度を略一定とするべ
く、各ローラの回転速度が厚板の転回中心からの距離に
応じた速さとなるよう、図７に示す如く、各ローラの回
転速度を個別に制御する。

【００１９】具体的には、図８に示す如く、厚板の転回
中心からテーブルローラの大径部の接触点までの半径を
Ｒ（略一定）、各テーブルローラの接触点が前記転回中
心のロール軸方向に対してなす角度をθi とすると、i
番目のローラのシフト位置Ｌi は、次式で決定すること
ができる。

【００２０】 Ｌi ＝Ｒ・ cosθi ………（１）

【００２１】ここで、各テーブルローラ１２間のピッチ
をＰとすると、前記角度θi は次式で表わされる。

【００２２】 θi ＝arcsin（i ・Ｐ／Ｒ） ………（２）

【００２３】又、各ローラの回転速度Ｎi は、接触点上
における厚板の回転速度の接線に沿う成分をv （略一
定）とすると、次式で表わされる。

【００２４】 Ｎi ＝i ・v ／ cosθi ………（３）

【００２５】このようにして、予め計算機で計算した設
定値に基づき、各テーブルローラの回転方向、回転速
度、シフト量を制御して、各作用点で厚板の角速度が一
定になるようにすれば、厚板とテーブルローラ間のスリ
ップ量が大幅に低減され、確実に転回ができ、転回に要
する時間も短縮される。

【００２６】本実施例においては、テーブルローラ１２
の大径部１２Ａの接触点が、半径Ｒの略円周上になるよ
うに、各テーブルローラ１２をシフトしていたので、制
御が容易である。

【００２７】なお、テーブルローラ１２を軸方向にシフ
トすることなく、図１に示したような千鳥状の通常搬送
状態と同じ配置のままで、本発明の第２実施例により、
厚板を転回することもできる。

【００２８】この場合には、転回中心と各テーブルロー
ラの接触点間の距離（半径）Ｒi が、次式に示す如く各
テーブルローラ毎に変化する。

【００２９】 Ｒi ＝√｛（i ・Ｐ）² ＋Ｓ² ｝ ………（４）

【００３０】ここで、Ｓは、転回中心を厚板搬送方向に
通る線と、千鳥状に配置されたテーブルローラ１２の大
径部１２Ａの接触点を通る線の間隔である。

【００３１】又、各テーブルローラの接触点における厚
板の回転方向に沿う接線方向の速度v_i 及び角度θi
は、それぞれ次式（５）、（６）で表わされる。

【００３２】 v_i ＝Ｒi ／Ｓ ………（５）

【００３３】 θi ＝arctan（i ・Ｐ／Ｓ） ………（６）

【００３４】従って、各ローラの回転速度Ｎi を、次式
に従って制御すればよい。

【００３５】 Ｎi ＝（Ｒi ／Ｓ）（１／ cosθi ） ………（７）

【００３６】本実施例によれば、テーブルローラ１２の
ロールシフトを行うことなく、回転半径Ｒi に相当する
回転速度Ｎi を与えることで、第１実施例と同様に円滑
且つ迅速な転回を行うことができる。

【００３７】なお、前記実施例においては、本発明が厚
鋼板の転回に適用されていたが、本発明の適用範囲はこ
れに限定されず、一般の厚板の転回にも同様に適用でき
ることは明らかである。

【００３８】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、厚
板とテーブルローラ間のスリップを軽減し、静摩擦力に
より厚板を転回するようにしたので、厚板を確実に転回
することができ、転回時間を短縮することができる。
又、スリップが少ないので、厚板に発生する擦傷やへげ
疵を減らすことができる。更に、従来のようにスリップ
を考慮して余分にテーブルローラを駆動する必要がなく
なり、モータ負荷も小さく、使用電力量を削減すること
もできる。更に、静摩擦力によって転回するので、従来
のようにスリップまで考慮する必要がなく、比較的容易
に制御モデルを作成可能であり、テーブルローラの回転
速度やシフト量を自動的に演算することも容易である等
の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が実施される転回装置の構成を示す平面
図

【図２】前記実施例で用いられているテーブルローラの
形状を示す正面図

【図３】同じく側面図

【図４】前記実施例により厚板を搬送している状態を示
す正面図

【図５】同じく厚板を一方向に搬送している状態を示す
平面図

【図６】本発明の第１実施例を実施するべく、テーブル
ローラをシフトした状態を示す平面図

【図７】同じく、シフトされたテーブルローラにより厚
板を転回している状態を示す平面図

【図８】同じく、テーブルローラのシフト位置及び回転
速度の決定方法を説明するための略示平面図

【図９】本発明の第２実施例により、テーブルローラを
軸方向にシフトすることなく厚板を転回する際の、各テ
ーブルローラの回転速度を決定する方法を説明するため
の略示平面図

【符号の説明】

１０…転回装置 １２…テーブルローラ １２Ａ…大径部 ２０…厚板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】厚板の方向を転回するに際して、 厚板とローラの接触が点接触になる、円弧状のプロフィ
   ールを持つテーブルローラ上に厚板を載置し、 厚板転回時に、その角速度が略一定になるように、各ロ
   ーラの回転速度を制御して、 厚板を転回することを特徴とする厚板の転回方法。
2. 【請求項２】請求項１において、更に、各ローラを、そ
   の軸方向にシフト可能とし、厚板転回前に、厚板との接
   触点が略円周状に配置されるように、各ローラの軸方向
   位置を制御しておくことを特徴とする厚板の転回方法。