JPH0677999B2 - 微小変位拡大機構及び該機構を用いた印字ヘッド - Google Patents

微小変位拡大機構及び該機構を用いた印字ヘッド

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JPH0677999B2
JPH0677999B2 JP27898588A JP27898588A JPH0677999B2 JP H0677999 B2 JPH0677999 B2 JP H0677999B2 JP 27898588 A JP27898588 A JP 27898588A JP 27898588 A JP27898588 A JP 27898588A JP H0677999 B2 JPH0677999 B2 JP H0677999B2
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/22Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by selective application of impact or pressure on a printing material or impression-transfer material
    • B41J2/23Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by selective application of impact or pressure on a printing material or impression-transfer material using print wires
    • B41J2/235Print head assemblies
    • B41J2/24Print head assemblies serial printer type

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は圧電縦効果を有する圧電素子を用いた微小変位
拡大機構及び該機構を用いた印字ヘッドに関する。
[従来の技術] 一般に、ドット式プリンタの印字ヘッドにあっては、圧
電素子の圧電縦効果により生ずる寸法歪を拡大して駆動
部に伝達し、印字ワイヤの駆動力を得るために微小変位
拡大機構が用いられている。
従来、この種の微小変位拡大機構は例えば第38図に示す
ように構成されている。図中、1は圧電縦効果による寸
法歪を発生する圧電素子である。この圧電素子1はその
下端側が固定部、また上端側が駆動部となっており、固
定部は金属製の固定フレーム2に設けた取付部3に固着
され、また駆動部は取付部4に固着されている。取付部
4には2つの可動連結部a,bが設けられ、これら可動連
結部a,bを介して可動部材5,6の各基端部が連結されてい
る。可動部材5,6の各基端部は、さらにそれぞれ可動連
結部c,dを介して固定フレーム2の両端部に連結されて
おり、圧電素子1に寸法歪が生ずると、可動部材5,6は
それぞれ可動連結部c,dを支点として回動し、互いに逆
方向に変位するようになっている。可動部材5の先端部
には棒状のばね部材7の一端部が固定され、また可動部
材6の先端部には略への字状のばね部材8の一端部が固
定され、このばね部材8の他端部がばね部材7の他端部
と互いに結合されている。結合部gには外方に延在する
印字ワイヤ9の基端部が取付けられている。
上記構成の微小変位拡大機構においては、圧電素子1の
電極に電圧が印加されると、矢印A方向に微小な寸法歪
を生じ、この寸法歪より可動部材5,6がそれぞれ可動連
結部c,dを支点として、また連結部a,bを力点として矢印
B,C方向に回動し、圧電素子1の寸法歪が拡大して伝達
される。可動部材5,6がそれぞれ変位すると、これらの
変位を受けてばね部材7、8が矢印D,Eに示すように互
いに反対方向に変位する。これにより結合部gには矢印
Fで示す方向に偶力が働き、したがって結合部gに固定
された印字ワイヤ9が矢印Gで示す方向に駆動される。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように従来の微小変位拡大機構においては、圧電
素子1の寸法歪を2組の可動部材5、6及びばね部材
7、8により拡大することにより、印字ワイヤ9に必要
な拡大比(数10倍)を得ている。
しかしながら、このような従来の構成にあっては、図か
らも明らかなように駆動部、拡大部及びワイヤ部がほぼ
直列的に配列されていると共に、印字ワイヤ9が外力に
向って駆動されるため、機構全体が大きくなり、この機
構を用いて多数のワイヤ(例えば24ワイヤ)の印字ヘッ
ドを構成する場合を考えると、形状及び重量共相当大き
くなる。このことは機器の小型化又は低価格化の目的か
ら考えると大きな支障となるものである。また、このよ
うな印字ヘッドは、重量が重くなるために、その駆動制
御にも問題が生じていた。
さらに、印字ヘッドの各ワイヤは、所定の間隔で配列さ
せるために、その先端をまとめてワイヤ整列部材に向か
って集束させ、整列部材に設けられた24個の孔によって
正確な位置関係を保つように案内しなければならない。
このため従来の印字ヘッドは、例えば特開昭59−229349
号公報に示すように、微小変位拡大機構と印字ワイヤか
ら成るユニットを12枚扇状に積み重ねて、この12枚重ね
のグループを左右向き合わせて全体で24枚になるように
構成している。そして、このような構成であるために、
微小変位拡大機構とスペーサとを交互に積み重ね、全体
を湾曲したねじ等で締め付けて固定しなければならなか
った。このため、従来の印字ヘッドを組立てるには多数
の部品を必要とし、またそのために組立てのための工数
が多くなると共に高精度のものを得ることができないと
いう問題があった。
また、一般に、この種の微小変位拡大機構においては、
圧電素子を取付ける際、この圧電素子の歪発生方向の寸
法及び圧電素子を取付けるための取付部間の寸法精度が
問題となる。数μmからせいぜい数10μm程度の変位し
かない圧電素子の変位を伝達するために、両者の寸法精
度を極めて高くして取付けた状態では、両者の間に隙間
があってはならない。むしろ、圧電素子をある程度圧縮
する程度の状態でないと、圧電素子の変位を拡大機構に
伝達するうえで効率が悪くなる。
しかしながら、両者の寸法精度を管理して、このような
圧電素子の取付け状態にすることは、事実上無理があ
り、できるとしても製品の価格が著しく高くなる。ま
た、このような寸法関係にある両者を組立てることは大
変困難である。そこで、従来は、一旦、圧電素子を微小
変位拡大機構の取付部間に隙間をもたせた状態で挿入
し、その後に取付状態を調整して圧電素子を圧縮固定さ
る方法が採用されている。
従来、このような圧電素子の取付状態を調整する技術と
しては、圧電素子の一端をくさび状の隙間部材を介して
固定部材に固定させるもの(実開昭59-137041号公
報)、固定部に機械的痕跡を設けることにより圧電素子
を固定させるもの(実開昭62-28537号公報)、ベース部
との間に設けた接続部材にポンチ等により窪みを設け、
この窪みにより圧電素子を固定させるもの(実開昭62-8
7839号公報)、ベース部に穴を設け、この穴に断面が楕
円状のピンを押込んでベース部を押上げることにより圧
電素子を固定させるもの(実開昭62-87840号公報)、及
びベース部に穴を設け、この穴にテーパピンを圧入して
ベース部を押上げることにより圧電素子を固定させるも
の(実開昭62-90141号公報)等種々提案されている。
しかしながら、上述の従来の技術にあっては、拡大機構
の取付部間に圧電素子を挿入し、その後にくさび状の隙
間部材、機械的な痕跡、窪み、楕円状のピン、及びテー
パピン等を用いて調整を行うもので、取付け時にこれら
の特別な調整作業を行う必要があり、組立作業が容易で
はなかった。
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであ
って、機構全体の小型化を図ることができ、プリンタ等
の機器の小型化及び低価格化を実現することが可能であ
る微小変位拡大機構を提供することを目的とする。
本発明は、また、従来のような圧電素子を圧縮固定する
ための特別な調整作業を必要とせず、圧電素子を取付け
ると同時に調整作業を行うことができ、組立てが容易と
なる微小変位拡大機構に圧電素子を取付ける方法を提供
することを目的とする。
本発明は、さらに、小型化及び軽量化が図れると共に印
字ワイヤの駆動制御が容易であり、かつ組立のための補
助部品が不要であり、組立工数が低減されると共に組立
精度が向上した印字ヘッドを提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 上記従来の課題を解決するために本発明に係る微小変位
拡大機構は、印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
子と、該圧電素子を間にし、かつその作動方向に対して
実質的に並列に配置された第1のフレーム及び第2のフ
レームと、前記圧電素子の両端部をそれぞれ固定する一
対の取付部及び該取付部間を前記圧電素子の両側に沿っ
て各々可動連結部により互いに連結する複数のリンクを
有し、かつ前記第1のフレーム側のいずれか一辺のリン
クを第1のフレームと一体化すると共に、前記圧電素子
を挟んで前記辺と対向し第2のフレーム側にある一辺の
リンクを第2のフレームと一体化してなる可動部材と、
該可動部材を介して前記第1のフレーム及び第2のフレ
ームの少なくとも一方に拡大伝達された前記圧電素子の
寸法歪を前記第1のフレームと第2のフレームとの相対
変位により更に拡大して出力する出力部とを備え、前記
出力部に駆動部材を取付けることを特徴とする。
また、本発明に係る微小変位拡大機構は、印加電圧に応
じて寸法歪を発生する圧電素子と、該圧電素子の一端部
を固定する固定フレームと、それぞれ前記固定フレーム
に前記圧電素子の固定された一端部を挟んで固定連結さ
れた第1のフレーム及び可動連結された第2のフレーム
と、中途部において可動連結された少なくとも2辺のリ
ンク及び前記圧電素子の他端部を固定する取付部を有
し、かつ一端部が第1の可動連結部を介して前記第2の
フレームに可動連結されると共に他端部が第2の可動連
結部を介して前記第1のフレームに可動連結された可動
部材と、該可動部材を介して前記第2のフレームに拡大
伝達された前記圧電素子の寸法歪を前記第1のフレーム
と第2のフレームとの相対変位により更に拡大して出力
する出力部とを備え、前記出力部に駆動部材を取付ける
ことを特徴とする。
また本発明に係る微小変位拡大機構は、印加電圧に応じ
て寸法歪を発生する圧電素子と、該圧電素子の一端部を
固定する固定フレームと、それぞれ前記固定フレームに
前記圧電素子の固定された一端部を挟んで可動連結され
た第1のフレーム及び第2のフレームと、中途部におい
て可動連結された少なくとも2辺からなるリンク及び前
記圧電素子の他端部を固定する取付部を有し、前記リン
クの両端部がそれぞれ可動連結部を介して前記第1のフ
レーム及び第2のフレームの前記取付部より固定フレー
ム側に連結された可動部材と、該可動部材を介して前記
第1のフレーム及び第2のフレームのそれぞれに拡大伝
達された前記圧電素子の寸法歪を前記第1のフレームと
第2のフレームとの相対変位により更に拡大して出力す
る出力部とを備え、前記出力部に駆動部材を取付けるこ
とを特徴とする。
更に、本発明に係る微小変位拡大機構は、印加電圧に応
じて寸法歪を発生する圧電素子と、固定フレームと、そ
れぞれ前記固定フレームに固定連結された第1のフレー
ム及び可動連結された第2のフレームと、前記圧電素子
の両端部をそれぞれ固定する一対の取付部と該取付部に
可動連結されると共に該取付部間にあって該圧電素子の
両側に沿ってそれぞれ配置され可動連結部を介して互い
に可動連結された複数のリンクとを有する可動部材とを
備え、該圧電素子の両側にそれぞれ配置された前記リン
クを前記可動連結部を介して対応する第1及び第2フレ
ームにそれぞれ可動連結し、該可動部材を介して前記第
2のフレームに拡大伝達された前記圧電素子の寸法歪
を、前記第1のフレームと第2のフレームとの相対変位
により更に拡大して両フレームに連結された出力部より
出力すると共に、前記出力部に取付けた駆動部材を駆動
することを特徴とする。
更に、本発明に係る微小変位拡大機構は、印加電圧に応
じて寸法歪を発生する圧電素子と、固定フレームと、そ
れぞれ前記固定フレームに可動連結された第1のフレー
ム及び第2のフレームと、前記圧電素子の両端部をそれ
ぞれ固定する一対の取付部と該取付部に可動連結される
と共に該取付部間にあって該圧電素子の両側に沿ってそ
れぞれ配置され可動連結部を介して互いに可動連結され
た複数のリンクとを有する可動部材とを備え、該圧電素
子の両側にそれぞれ配置された前記リンクを前記可動連
結部を介して対応する第1及び第2のフレームにそれぞ
れ可動連結し、該可動部材を介して前記第1のフレーム
及び第2のフレームのそれぞれに拡大伝達された前記圧
電素子の寸法歪を、前記第1のフレームと第2のフレー
ムとの相対変位により更に拡大して両フレームに連結さ
れ出力部より出力すると共に、前記出力部に取付けた駆
動部材を駆動することを特徴とする。
また、本発明に係る微小変位拡大機構に圧電素子を取付
ける方法は、上述した各微小変位拡大機構において、第
1のフレーム及び第2のフレームに外力を加えることに
より前記可動部材を変形させて前記取付部間の間隔を前
記圧電素子の両端部間の長さより長く広げ、前記圧電素
子を前記取付部間に挿入させた後、前記外力を取り除く
ことによる前記可動部材の復元力により前記取付部間で
圧電素子を圧縮固定させることを特徴とする。
また、本発明に係る微小変位拡大機構は、印加電圧に応
じて寸法歪を発生する圧電素子と、該圧電素子の両端部
をそれぞれ固定する一対の取付部と、前記圧電素子を挟
んで両側に並設された一対の出力部を備えると共に、前
記取付部と出力部との間を各々可動連結部及びリンクに
より互いにリンク結合したことを特徴とするものであ
り、更にその具体的構成としては、印加電圧に応じて寸
法歪を発生する圧電素子と、前記圧電素子の両端部をそ
れぞれ固定する一対の取付部と該取付部に可動連結され
ると共に該取付部間にあって前記圧電素子の両側に沿っ
てそれぞれ配置され各々可動連結部を介して互いに可動
連結された複数のリンク及び前記圧電素子の両側の前記
リンクの一部と一体に設けられた一対の出力部とを有し
て閉ループ状にリンク結合された拡大部材とを備え、該
拡大部材を介して拡大伝達された圧電素子の寸法歪を前
記一対の出力部より出力してなるものが提案される。
そして、上記構成の微小変位拡大機構に圧電素子を取付
ける方法にあっては、前記出力部に外力を加えることに
より、前記複数のリンクを変形させて前記取付部間の間
隔ニ前記圧電素子の両端部間の長さより長く拡げ、前記
圧電素子を前記取付部間に挿入させた後、前記外力を取
り除くことによる前記複数のリンクの復元力により前記
取付部間で前記圧電素子を圧縮固定させることと特徴と
する。
また、本発明に係る印字ヘッドは、内周部に複数の取付
溝を放射状に有する有底筒状に形成されると共に底部に
ワイヤ整列部材を設けてなる印字ユニット取付部材と、
印印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素子の当該寸
法歪を拡大して伝達する変位伝達部と該変位伝達部が連
結される固定取付部と前記変位伝達部の出力部に前記固
定取付部に対して並列に取付けられた印字ワイヤとをそ
れぞれ有し、前記固定取付け部を固定取付溝に嵌合させ
てなる複数の印字ユニットとを備えたことを特徴とす
る。
更にまた、本発明に係る印字ヘッドは、底部表面に複数
の取付溝を放射状に設けると共に底部中央部にワイヤ整
列部材を設けてなる印字ユニット取付部材と、固定取付
部と該固定取付部に対して実質的に直交する方向に取付
けられた圧電素子と該圧電素子の寸法歪を拡大して伝達
する変位伝達部と該変位伝達部に対して実質的に並列に
取付けられた印字ワイヤとをそれぞれ有し、前記固定取
付部を前記取付溝に嵌合させてなる複数の印字ユニット
とを備えたことを特徴とする。
[作用] 上記構成により本発明による微小変位拡大機構において
は、印加電圧に応じて圧電素子に寸法歪が生ずると、こ
の寸法歪は可動部材又は拡大部材により圧電素子に対し
て横方向に方向を変えて拡大出力され、さらにこの拡大
出力により第1のフレーム及び第2のフレームが共働し
て、あるいは相対的に回動し、その結果これらのフレー
ムの出力端部の相対変位により上記拡大出力がさらに拡
大されて出力され、この拡大出力が出力部を介して印字
ワイヤ等の駆動部材に複数段階の拡大出力として伝達さ
れる。さらに、本発明の微小変位拡大機構にあっては、
駆動部材を印字ワイヤで構成し、該印字ワイヤを圧電素
子と並列に配置すれば、コンパクトな印字ヘッドが得ら
れる。
また、本発明による閉ループ状にリンク結合された拡大
部材を備えた微小変位拡大機構においては、一対の取付
部に伝達された圧電素子の寸法歪は、拡大部材に伝達さ
れて該部材の変形を生じさせ、これに直交設けられた一
対の出力部を介して、いわゆる一段階の拡大出力が外部
へ出力される。
また、本発明による微小変位拡大機構に圧電素子を取付
ける方法にあっては、可動部材ないしは、拡大部材が可
動連結部によりリンク結合された構成のため、それ自体
の弾性変形及び復元が容易であり、したがって外部から
出力部等に外力を加えることにより取付部間の間隔が拡
がり、容易に圧電素子を挿入できると共に、外力を取り
除くことにより取付部間で圧電素子に圧縮方向の弾性力
を作用させて、特別の取付調整具を要することなく、圧
電素子を容易に取付けることができる。
また、本発明による印字ヘッドにあっては、印字ユニッ
トは、印字ユニット取付部材に放射状に設けられた複数
の取付溝にそれぞれ固定取付部が挿入嵌合される共に、
突起が印字ユニット取付部材の上端面に設けた嵌合溝に
嵌合されて強固に固定される。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明す
る。
(第1の実施例) 第1図は本発明の第1の実施例に係る微小変位拡大機構
の構成を示すものである。図中、11は弾性係数の大きな
金属部材、例えばばね用鋼材により形成された第1のフ
レームとしての固定フレームであり、この固定フレーム
11は略L字状に形成され、水平固定部11a及び垂直固定
部11bを有している。12は多角形、例えばbf,fe,ed,dh,h
g,gbの各リンクの辺からなる略菱形状に可動連結部によ
りリンク結合されて形成された可動部材である。ここ
で、この可動部材12の辺fe,hgはそれぞれ一定の幅をも
つ圧電素子取付部12a,12bを構成するもので、直視すれ
ば、外形上6角形状となる。しかし、このリンクの辺f
e,hgの長さは圧電素子13の幅に応じて決定されるもの
で、動作原理上、辺fe,hgはそれぞれ1つのリンク結合
端a,cとして作用するので、以下の動作原理との関係か
ら、本実施例では可動部材12をa,b,c,dを頂点とする菱
形機構として説明する。(なお、これは以下の第3,4,5,
6の実施例においても同様である)。すなわち、この可
動部材12には一方の対角位置における頂部a,cに互いに
平行な面を有する圧電素子取付部12a,12bが設けられて
おり、これら圧電素子取付部12a,12b間に、圧電縦効果
により寸法歪を生ずる圧電素子13を後述のように、特別
の取付調整具を要することなく取付けるようになってい
る。ここで、圧電素子取付部12a,12bの各両端部e,f,g,h
はそれぞれ可動連結部(ヒンジ)の役目を果す程度に切
欠き形成されている。
可動部材12の水平固定部11a側でかつ垂直固定部11b側の
辺hdは垂直固定部11bの下部に一体化されており、可動
部材12は圧電素子13に生じた寸法歪に応じて辺hdを支点
として変形しながら固定フレーム11方向に回動する第1
の拡大変位を生じるようになっている。ここで、リンク
辺hdと垂直固定部11bとの連結部の長さ(d−d′)は
可動連結部d,hにおけるヒンジ機能を妨げない程度であ
り、例えばその上部の略3分の2部分となっている。ま
た、可動部材12の上記辺hdに圧電素子13を間に挟んで対
向するリンク辺bgには第2のフレームとしての略くの字
状に形成された可動フレーム14の基端部が一体化されて
いる。この可動フレーム14は、出力端をなす先端部側が
可動部材12の上部側まで延在しており、上記可動部材12
における頂部bの水平方向の変位、すなわち辺bgの角変
位に伴い基端部gを支点として固定フレーム11の垂直固
定部11b側に、換言すれば、可動フレーム14の出力端が
第1図に矢印Cで示すごとく固定フレーム11の出力端に
近接する方向に回動可能であり、その先端部に第2の拡
大変位を生ずるようになっている。可動フレーム14の出
力端には連結部jを介して板状のばね部材15の一端部が
ロー付けにより結合されている。一方、固定フレーム11
の出力端には連結部iを介してばね部材16の一端部が同
じくロー付けにより結合されている。両ばね部材15,16
は出力部を構成し、その各他端部は結合部kにおいて互
いに結合されている。さらに、この結合部kには駆動部
材をなす印字ワイヤ17の基端が固定され、先端側が該機
構の内側に向って、つまり、水平固定部11a側に向って
上記圧電素子13と平行に延出するように配設されてい
る。なお、上記固定フレーム11はその水平固定部11aが
可動フレーム14の下端部に対応する位置にまで延在する
と共に、垂直固定部11bの上端が可動フレーム14の上端
部に対応する位置より上方に延在しており、この固定フ
レーム11により可動部材12及び可動フレーム14の構成部
分を側面及び底面部から囲んで保護する構造となってい
る。また、固定フレーム11の垂直固定部11bには後述す
る印字ユニット取付部材20の嵌合溝22に対応させて突起
18が設けられている。なお、可動部材12及び可動フレー
ム14は固定フレーム11と共に金属板により一体に成形さ
れているが、出力部をなすばね部材15,16も可動部材12
及び可動フレーム14と共に一体に成形するようにしても
よい。
次に、上記構成の微小変位拡大機構の動作について第2
図乃至第4図を参照して説明する。第2図は可動部材12
を概略的に示す図である。ここで、菱形の各頂点a,b,c,
dはそれぞれ切欠きにより形成され可動連結部がヒンジ
の役割を果たすものである。ab,bc,cd,daの各辺長さは
常に一定であり、かつ長手方向の対角線acに沿って圧電
素子13が取付けられているので、対角線acの長さの変化
が対角線bdの長さの変化として現われる。また、対角線
acを境にしてΔabc及びΔadcは対称であるから、対角線
acの長さの変化に対するboの変化は対角線bdの長さの変
化の1/2であり、またΔaboを考えたときの辺aoの変化は
対角線acの変化の1/2である。
以上のことを前提として、菱形を構成している4つの三
角形のうちの1つのΔaboを用いて可動部材12の拡大機
能の説明をする。第3図(a)の実線は菱形の長手方向
の対角線acが変化していないとき、すなわち圧電素子13
に電圧が印加されていない状態である。一方、同図
(b)は圧電素子13に電圧が印加され第1図の矢印A方
向に寸法歪が生ずることにより、対角線acがわずかにΔ
A,ΔA′だけ伸びた状態を示す(圧電力素子13全体の変
位量はΔA+ΔA′となる)。また、左右の辺abとadが
等しいことは前述の通りである。実用的な形として、∠
bao=10〜20度程度が考えられるので、20度と10度の場
合のそれぞれの拡大比率を算出してみた。便宜的に辺ab
の長さを10mmとし、辺aoの伸びΔAを0.01mm、すなわち
圧電力素子13全体の変位量を0.02mmとして計算すると、
θ=20度の場合は対角線bdの伸びは0.054mmとなり2.7倍
の拡大率となった。また、θ=10度の場合は5.7倍程度
となった。
さて、第1図に戻ると、可動部材12の拡大作用は以上の
ようになるが、前述のようにこの菱形機構は、辺hdにお
いて固定フレーム11の垂直固定部11bと一体となってい
る。したがって、菱形機構で拡大された圧電素子13の矢
印A方向の寸法歪は可動部材12の辺fb,bg,deの位置に固
定フレーム11側に回動するような方向、すなわち矢印B
方向に方向を変えて集中して発生する。ここで、可動部
材12は、第3図(b)に実線で示したように変形する
が、辺cd部で垂直固定部11bと一体化されているため
に、同図(a)に破線で示すように点cをヒンジ支点と
して垂直固定部11b側に回動して角度変位を生じ、その
結果可動部材12の辺bgと一体化された可動フレーム14の
出力端の連結部jに拡大変位が生ずる。この場合の拡大
比率は▲▼/▲▼となる。可動フレーム14の出
力端に生じた拡大変位は、さらにばね部材15により拡大
された後、印字ワイヤ17に伝達される。この拡大機能を
第4図により説明する。すなわち、可動フレーム14の出
力端において矢印C方向に拡大変位が生ずると、この可
動フレーム14に連結されているばね部材15も矢印D方向
に移動する。ここで、ばね部材15の他端部は結合部kに
おいて他方のばね部材16の一端部と連結しており、かつ
ばね部材16の他端部は固定フレーム11における垂直固定
部11bの出力端iに連結されている。したがって、ばね
部材15,16の結合部k及び連結部j,iは互いに一つの三角
形を形成しており、連結部iを支点のヒンジとし、ばね
部材15に対して力が矢印D方向に働くと、その分力が連
結部kに対して矢印E方向に動くことになる。このとき
の変位の拡大比率は▲▼/▲▼となる。このよ
うにして結合部kに発生した変位は、変位の発生源であ
る圧電力素子13の寸法歪の数10倍にも達し、この変位は
そのまま結合部kに取付けられた印字ワイヤ17に伝達さ
れる。
上述のような拡大機能を有する本実施例の微小変位拡大
機構は、固定フレーム11、可動部材12及び可動フレーム
14が一枚の金属板により一体に形成されると共に、圧電
素子13と固定フレーム11、可動部材12、可動フレーム14
及び印字ワイヤ17が並列的に配置され、かつ印字ワイヤ
17が圧電素子13と実質的に平行で、かつ水平固定部11a
に向って内側に駆動されると共に、可動フレーム14の出
力端が固定フレーム11の出力端に近接する方向に駆動さ
れる構成であるため、駆動部、拡大部及び印字ワイヤ部
が殆ど同じ領域内に収まる。したがって、圧電素子13の
大きさ(本実施例において長手方向の大きさ)及び全体
の拡大比を同じにして従来の機構とその大きさを比較す
ると、本実施例の微小変位拡大機構では著しく小型化さ
れる。このことはワイヤ本数(例えば24ワイヤ)の多い
印字ヘッドを構成した場合、ヘッド全体として大幅な小
型化及び軽量化、さらには低価格化が可能になるばかり
ではなく、小型かつ軽量なるがゆえに印字ヘッドの新し
い利用の展開を可能にさせるものである。
本実施例の微小変位拡大機構では、さらにもう一つの効
果として拡大機構の圧電素子13の取付けの容易性の向上
が挙げられる。一般に圧電素子13の縦方向の寸法は1/10
0mm単位の精度で製造されており、比較的寸法精度は高
く管理されているが、当然ばらつきはある。また、拡大
機構の方においてこの圧電素子13を取付ける部分の寸法
も高い精度で管理しなければならないが、やはりばらつ
きは避けられない。また、一般に積層型の圧電素子13は
圧縮力には強いが、引張力には弱いので、拡大機構に組
付けた場合、電圧が印加されていない定常状態において
は、ある程度の圧縮力が圧電素子13に加わるように配慮
しなければならない。勿論、拡大機構が圧電素子13の変
位を受けて拡大変位する範囲は機構全体の弾性限界内に
入るようにされているので、変位拡大された機構が元へ
戻る場合は機構のもつ戻りの弾性力を圧電素子13自身の
収縮力とが一体となっているが、前述のようにしておく
と、圧電素子13に大きな引張力がかからないので、圧電
素子13の保護の面で非常に有効である。この点につき、
本機構では、可動部材12が変形しない自然状態におい
て、該可動部材12の圧電素子取付部12a,12b間の寸法を
圧電素子13の両端部の長さよりやや小さめにしておい
て、圧電素子13を取付ける場合は短い方の対角線bdに沿
う頂部dと頂部bとの間に互いに内側に働くような外力
を加え、これにより可動部材12を弾性変形させて圧電素
子取付部12a,12b間を圧電素子13の長さより拡げて該圧
電素子13をその間に取付けるものである。したがって、
圧電素子13が容易に取付けられ、しかも取付け後も可動
部材12自体のもつ弾性力によって圧電素子13に圧縮方向
の弾性力を与えて保持することができる。このように、
本機構においては、特別の取付調理具を要しないので、
従来機構に比べて圧電素子13の取付けが容易になる。
また、上記微小変位拡大機構においては、可動部材12が
圧電素子13の軸方向に対して左右対象な菱形構造になっ
ているため、圧電素子13の縦方向の変位は左右に均等に
伝達され、したがて圧電素子13に曲げ応力が作用するこ
とはない。さらに、可動連結部をなすヒンジの数が比較
的少なく、無駄なエネルギの消費を少なくすることがで
きる。また、固定フレーム11が、可動部である可動部材
12及び可動フレーム14の底部及び側面部を囲むように配
置されているため、可動部を保護することができると共
に、後述の印字ユニット取付部材20への取付けが容易に
なる。また、上記実施例において、可動部材12からなる
菱形機構は必ずしも幾何学上の厳格な菱形に限定される
ものではなく、多少の変形を含むものであり、厳密にい
えば、該可動部材12が弾性変形するインクの回動支点と
なる可動連結部を互いに結んだ形状が、菱形状をなせば
よいのであって、可動部材12の輪郭形状自体は問わな
い。さらに、例えば6角形等その他の多角形のものにつ
いても適用は可能であり、要は圧電素子13の寸法歪を当
該圧電素子13に対して横方向に方向を変えて発生できる
リンク連結構成のものであればよい。
上記実施例の微小変位拡大機構は、ドット式印字ヘッド
や、リレー、位置決め機構、スピーカ等に種々適用でき
るものである。
第5図は上記微小変位拡大機構を用いた印字ヘッドの平
面構造、第6図は第5図のVI-−VI線に沿う縦断面構
造、第7図は印字ユニット取付部材の平面構造、第8図
は第7図のVIII-VIII線に沿う縦段構造をそれぞれ示す
ものである。図中、20は有底円筒状の印字ユニット取付
部材であり、この印字ユニット取付部材20の内部には複
数、例えば24個の上記微小変位拡大機構19が放射状に配
設されている。すなわち、印字ユニット取付部材20に
は、内周部及び底部に上記微小変位拡大機構19の水平固
定部11a及び垂直固定部11bの取付位置に対応させて24個
の取付溝21が放射状に設けられており、これら取付溝21
にそれぞれ各微小変位拡大機構19の水平固定部11a及び
垂直固定部11bが挿入され嵌合される。また、印字ユニ
ット取付部材20の内部中央部には円筒状の案内部22が突
出形成されている。この案内部22には、微小変位拡大機
構19に取付けた印字ワイヤ17の略中央部を案内するため
の補助案内部材23と、各印字ワイヤ17の先端部を2列に
整列させるためのワイヤ整列部材24とが取付けられる。
さらに、上記印字ユニット取付部材20の上端面には嵌合
溝25が設けられており、この嵌合溝25に前述の微小変位
拡大機構19に設けた突起18が嵌合するようになってい
る。
すなわち、上記印字ヘッドにおいては、微小変位拡大機
構19は印字ユニット取付部材20に放射状に設けられた複
数の取付溝21にそれぞれ固定フレーム11の水平固定部11
a及び垂直固定部11bが挿入され、さらに突起18が印字ユ
ニット取付部材20の上端面に設けた嵌合溝25に嵌合さ
れ、かつ各印字ワイヤ17は案内部22に設けた補助案内部
材23により案内されると共に、ワイヤ整列部材24の所定
の孔に挿入され整列される。
この印字ヘッドによれば、従来構造に比較してスペーサ
等が不要であり、部品数が大幅に減少しているばかりで
なく、印字ユニット取付部材20の取付溝21に微小変位拡
大機構19の固定フレーム11を挿入し、また突起18を嵌合
溝25に嵌合させるだけでよいので、ねじ締め等の煩雑な
作業が不要であり、組立に必要な工数が大幅に削減され
組立精度が向上する。さらに、取付溝21が固定フレーム
11と一体となり、該フレーム11の強度を補強することに
もなる。また、第6図のように印字ユニット取付部材20
の上部にキャップ部材26を、固定ねじ27等によりキャッ
プ部材26の内面が微小変位拡大機構19の垂直固定部11b
の上端面と当接するように取付ければ、全ての微小変位
拡大機構19を上部から一度に印字ユニット取付部材20に
押圧固定することができる。なお、第5図において、27
aは固定ねじ27に対応させて設けられたねじ孔を示す。
さらに、上記印字ヘッドでは、微小変位拡大機構19の形
状及びこれらを組付ける印字ユニット取付部材20の形状
等から、ヘッド形状を略々円筒形にすることができ、外
形がシンプルで、しかも大きさ、重量共に従来のものに
比較して大幅に小さくすることができるために、駆動制
御が容易になり、さらに従来のものでは考えられなかっ
た用途展開が可能となる。
尚、微小変位拡大機構19の印字ユニット取付部材20への
取付構造は、第6図では取付溝21を、微小変位拡大機構
19の水平固定部11a及び垂直固定部11bに対応させて印字
ユニット取付部材20の底面部及び内周壁面部にそれぞれ
設けるようにしたが、これは内周壁面部のみに設けて微
小変位拡大機構19の垂直固定部11bのみを挿入させる構
造としてもよい。また、第9図に示すように垂直固定部
11bの下端部に固定用突片28を設けると共に、印字ユニ
ット取付部材20の底部に嵌合孔29を穿設し、固定用突片
28を嵌合孔29に挿入固定させるようにしてもよい。さら
に、案内部22の周部にも取付溝を設け、この取付溝に微
小変位拡大機構19の水平固定部11aの先端部を挿入させ
るような構造としてもよい。また、微小変位拡大機構19
は上記実施例のものに限らず、それぞれ拡大機能の異な
る例えば後述の第10図及び第17図に示すような構造の微
小変位拡大機構でもよく、要は少なくとも垂直部分に固
定取付部を有するものであればよい。なお、本印字ヘッ
ドにおいて、印字ユニット取付部材の形状は必ずしも円
筒形状に限定されるものではなく、楕円状等多少の変
形、さらに角筒等の形状を含むものである。
(第2の実施例) 第10図は本発明の第2の実施例に係る微小変位拡大機構
の構成を示すものである。図中、31は例えばばね用鋼材
等の弾性係数の大きな金属板により形成された固定フレ
ームである。この固定フレーム31の上側には圧電素子33
の一端部が固定されている。さらに、固定フレーム31に
は圧電素子33の両側にそれぞれ圧電素子33に対して並列
に第2のフレームとしての可動フレーム32及び第1のフ
レームとしての固定フレーム31aが連結されている。可
動フレーム32は略くの字状に形成されており、可動連結
部cを介して固定フレーム31に連結されている。一方、
固定フレーム31aは固定フレーム31に対してL字状をな
すように一体形成されている。圧電素子33の上端側は駆
動部33aとなっており、この駆動部33aは圧電素子取付部
36を介して可動部材35に連結されている。可動部材35は
中央部が可動連結部aであり、該可動連結部aにおいて
任意の角度、例えば120度をなす2辺のリンクから構成
され、その一辺は固定フレーム31と略平行に配置される
と共に可動連結部34を介して固定フレーム31aの略中央
部に結合されている。これにより第1の可動部材35は圧
電素子33の寸法歪に応じて可動連結部34を支点として微
小回動が可能となり、可動連結部aに拡大変位を生じる
ようになっている。一方、可動部材35の他辺の端部は可
動連結部bを介して圧電素子取付部36より下方の位置に
固定フレーム31へ向って延出するとともに可動フレーム
32の中間部に可動連結されており、可動連結部aに生じ
た拡大変位をさらに拡大して可動連結部bに伝達するよ
うになっている。なお、上記可動フレーム32及び可動部
材35は固定フレーム31と共に金属板により一体に形成さ
れている。
なお、可動部材35は、実施例で示した2辺のリンク構成
以外に、それ以上の辺をリンク結合した構成も可能であ
る。
可動フレーム32の先端部には連結部dを介して出力部を
なす一方のばね部材37の一端部がロー付けにより結合さ
れている。一方、固定フレーム31aの上端部は逆L字状
に折曲げ形成され、該水平部31cには連結部eを介して
他方の出力部をなすばね部材38の一端部が同じくロー付
けにより結合されている。ばね部材37、38の各他端部は
結合部fにおいてロー付けにより結合されている。さら
にこの結合部fには駆動部材をなす印字ワイヤ39の基端
部が固定され、圧電素子33に対して平行に配設されてい
る。なお、これらばね部材37、38も上記可動フレーム32
及び固定フレーム31と共に一体に形成してもよい。
次に、上記構成の微小変位拡大機構の動作について第10
図及び第11図を用いて説明する。本機構は4段階の拡大
機能を有しており、先ず第1段階の拡大機能について説
明する。すなわち、電圧が印加され、圧電素子33が縦方
向に変位すると可動部材35における水平片の中間部を押
し上げ、これにより可動部材35は一端側の可動連結部34
を支点として回動する。そのため、可動部材35の中央部
の可動連結部aには約2倍に拡大されたモーメントが生
じて矢印Aで示す縦方向に拡大変位が生ずる。この拡大
比率は圧電素子33と可動部材35との連結位置により異な
ることは勿論である。次に、第2段階では可動連結部a
に生じた変位が可動部材35の他端側の可動連結部bに矢
印Bで示す水平方向に向きを変えて拡大された変位とし
て伝達される。ここで、可動部材35の可動連結部aと可
動連結部b及び可動フレーム32の可動連結部cとの間は
トグルジョイントの形を形成しており、可動連結部a,可
動連結部b及び可動連結部cはそれぞれヒンジの役目を
果たす。
第12図はこのトグルジョイント部の変位拡大原理を示す
ものである。すなわち、abとbcの和は常に一定であり、
aが矢印A方向にa′点まで移動すると、辺abは長さが
一定であり、またb点でbc間を接続しており、かつc点
は移動しないためb点は辺bcを半径とした円弧b−b′
−b″を描いて矢印B方向に移動する。今、a点がa′
点までの距離ΔAだけ動くと、b点はb′に移動し、そ
の移動距離はΔBとなる。この場合、ΔAとΔBの比率
は可動フレーム32の可動連結部b,c間の傾斜角αの大小
によって決定され、第13図に示すようにαが小さくなる
程比率は大となる。a点の移動距離ΔAは、ab=bcの場
合、b点が動くことによって生ずる矢印A方向の変位Δ
Cの倍となり、ΔCはb点の描く円弧がb″点に近づく
とb″cに対して殆ど垂直になる。したがって、b点の
移動によって生ずるΔCは零に近くなり非常に小さくな
る。また、同時にΔCに対するΔBの比は増々大きくな
る。このことは、2ΔC=ΔAであることから、αが零
に近い付近ではΔB/ΔAは非常に大きくなることを意味
する。αを実用的な角度(10〜20度)とした場合、ΔB/
ΔAは5〜6倍から2〜3倍となる。
さて、第11図の説明に戻るが、上述のように可動部材35
が圧電素子33の寸法歪により押し上げられると、可動部
材35の可動連結部aの変位量の数倍の変位量が連結部b
において方向を変えて発生する。
次に、第3段階においては、可動フレーム32の各連結部
c,b,dはさらに別のてこを形成しており、可動連結部c
を支点とし、可動連結部bが力点、連結部dが作用点と
なる。したがって、可動連結部bの変位が連結部dに拡
大されて発生することになり、その拡大比率は約▲
▼/▲▼となる。
次に、第10図及び第14図により第4段階の拡大機能につ
いて説明する。ばね部材38は一端部が前述のように連結
部eにおいて固定フレーム31の水平部31cに固定されて
おり、また、ばね部材37は一端部が可動フレーム32の連
結部dに固定されている。さらに、ばね部材37,38は結
合部fにおいて互いに結合され、同時に印字ワイヤ39も
取付けられている。したがって、可動フレーム32の回動
により連結部dが矢印D方向に変位すると、これに伴い
ばね部材37が矢印Eの方向に移動し、その結果、ばね部
材38が曲がり、結合部fは矢印Fの方向に変位する。こ
のときの連結部dの変位量に対する結合部fの変位量の
拡大比率は、ばね部材38が連結部e及び結合部fの近傍
で、またばね部材37は連結部d及び結合部fの近傍でそ
れぞれヒンジのように曲るため、約▲▼/▲▼
となる。
このような4段階の拡大機能により、上記微小変位拡大
機構にあっては、圧電素子33の変位は順次拡大されて結
合部fに矢印Fに示す方向に、本実施例においては数10
倍になって伝達され、その結果結合部fに取付けられた
印字ワイヤ39が駆動される。
以上のような拡大機能を有する本実施例の微小変位拡大
機構は、固定フレーム31,31a、可動フレーム32及び可動
部材35が一枚の金属板により一体に形成されると共に、
圧電素子33と固定フレーム31a、可動フレーム32及び印
字ワイヤ39が並列的に配置され、かつ印字ワイヤ39が内
側、つまり固定フレーム31の方向に駆動されるように延
出されると共に可動フレーム32が圧電素子33に向う方向
に駆動される構成であるため、駆動部、拡大部及び被駆
動部が殆ど同じ領域内にコンパクトに収まる。したがっ
て、第1の実施例と同様に圧電素子33の大きさ(本実施
例においては長さの大小)及び全体の拡大比を従来機構
と同じにして双方の大きさを比較すると、大幅に小型化
を図ることができる。
第15図は上記微小変位拡大機構を組み込んだ印字ヘッド
を示す縦断面構造、第16図は同じく平面構造を示すもの
で、第15図は第16図のXV-XV線に沿う断面図である。す
なわち、本実施例の微小変位拡大機構40は、印字ヘッド
取付台41上の印字ユニット取付基台42に設けられた複数
の取付溝43にそれぞれ組込まれる。また、各印字ワイヤ
39は、その中央部が案内部材46により案内されると共
に、その先端部がワイヤ整列部材44により2列に整列さ
れている。さらに、微小変位拡大機構40全体が印字ヘッ
ドカバー45により覆われている。
このような構成から明らかなように本実施例の微小変位
拡大機構40は第1の実施例と同様に、印字ヘッド部にコ
ンパクトに収納設置できるものである。
(第3の実施例) 第17図は本発明の第3の実施例に係る微小変位拡大機構
の構成を示すものである。図中、51は前記実施例と同様
の金属板により形成された固定フレームである。この固
定フレーム51の上方には可動部材54が配設されている。
可動部材54は多角形状、例えば略菱形状に複数のリンク
を可動連結して形成され、長手方向の対角位置における
頂部a,cに互いに平行な面を有する一対の圧電素子取付
部54a,54bが設けられており、これら圧電素子取付部54
a,54b間において圧電素子53を第1の実施例と同様に圧
縮固定するようになっている。固定フレーム51には可動
部材54の両側にそれぞれ圧電素子53に対して並列に第1
のフレームとしての固定フレーム51a及び第2のフレー
ムとしての可動フレーム52が連結されている。可動フレ
ーム52は略くの字状に形成されており、可動連結部eを
介して固定フレーム51に連結されている。一方、固定フ
レーム51aは固定フレーム51とL字状をなすように一体
形成されている。
可動部材54の他方の対角位置における一方の頂部は可動
連結部dを介して固定フレーム51aに連結されている。
一方、他方の頂部は可動連結部bを介して可動フレーム
52の上記固定連結部dと水平かつ対称になる位置に連結
されている。すなわち、可動部材54は圧電素子53を間に
して両側に2つづつのリンクを配して左右対称となって
おり、したがって圧電素子53に寸法歪が生ずると、可動
部材54には応力歪が左右ほぼ均等に発生する。このこと
は、換言すれば圧電素子53には偏った応力がかかること
がないということであり、これにより圧電素子53への曲
げ応力の発生が防止される。したがって、圧電素子53の
破壊を防止できると共に圧電素子53の発生エネルギを効
果的に消費することができる。
可動フレーム52は上記可動部材54の応力歪による水平方
向への変形に伴い、可動連結部eを支点として回動可能
となっている。可動フレーム52の先端には連結部gを介
して板状のばね部材55の一端部がロー付けにより結合さ
れている。一方、固定フレーム51aの上竪部には水平部5
1cが折曲げ形成され、該水平部51cには連結部fを介し
てばね部材56の一端部が同じくロー付けにより結合され
ている。ばね部材55,56は出力部を構成し、これらの各
他端部は結合部hにおいて結合されており、さらにこの
結合部hには下方向に延在する駆動部材をなす印字ワイ
ヤ57の基端部が固定されている。なお、可動フレーム52
及び可動部材54は固定フレーム51と共に金属板により一
体に形成されているが、さらに、ばね部材55,56も固定
フレーム51、可動フレーム52と一体に形成してもよい。
次に、上記構成の微小変位拡大機構の動作について第17
図乃至第20図を参照して説明する。第18図は可動部材54
を概略的に取出して示す図である。ここで、菱形の各頂
点a,b,c,dはそれぞれ切欠きによりヒンジの役割を果た
すものとする。ab,bc,cd,daの各リンクよりなる辺の長
さは常に一定であり、かつ長手方向の対角線acに沿って
圧電素子53が取付けられているので、対角線acの長さの
変化が対角線bdの長さの変化として現われる。また、対
角線acを境にしてΔabcおよびΔadcは対称であるから、
対角線acの長さの変化に対するboの変化は対角線bdの長
さの変化の1/2であり、またΔaboを考えたときの辺aoの
変化は対角線acの変化の変化の1/2である。
以上のことを前提として、菱形を構成している4つの三
角形のうちの1つのΔaboを用いて可動部材54の拡大機
能の説明をする。第19図(a)は菱形の長手方向の対角
線acが変化していないとき、すなわち圧電素子53に電圧
が印加されていない状態である。一方、同図(b)は圧
電素子53に電圧が印加され第17図の矢印A方向に寸法歪
が生ずることにより、対角線acが上方にわずかにΔAだ
け伸びた状態を示す(圧電力素子53全体の変位量はΔA
+ΔA′となる)。また、左右の辺abとadが等しいこと
は前述の通りである。実用的な形として、∠bao=10〜2
0度程度が考えられるので、20度と10度の場合のそれぞ
れの拡大比率を算出してみた。便宜的に辺abの長さを10
mmとし、辺aoの伸びΔAを0.01mm、すなわち圧電素子53
全体の変位量を0.02mmとして計算すると、θ=20度の場
合は対角線bdの伸びは0.054mmとなり2.7倍の拡大率とな
った。また、θ=10度の場合は5.7倍程度となった。
さて、可動部材54の拡大作用は以上のようになるが、前
述のようにこの菱形機構は可動連結部dを介して固定フ
レーム51aと一体となっており、さらに可動連結部dに
対向する可動連結部bにおいて可動フレーム52と一体と
なっている。また、可動フレーム52はその基端部が可動
連結部eを介して固定フレーム51に連結されている。し
たがって、菱形機構で拡大された圧電素子53の寸法歪は
可動連結部bの位置に矢印B方向に方向を換えて集中し
て発生する。これにより可動フレーム52は可動連結部e
を支点として回動し、その結果先端のばね部材55との連
結部gに拡大変位が生ずる。この場合の拡大比率は、▲
▼/▲▼となる。可動フレーム52の先端に生じ
た拡大変位は、さらにばね部材55,56部によりさらに拡
大された後、印字ワイヤ57に伝達される。
この拡大機能を第20図により説明する。すなわち、可動
フレーム52の先端部において矢印C方向に拡大変位が生
ずると、この可動フレーム52に連結されているばね部材
55も矢印D方向に移動する。ここで、ばね部材55の他端
部は結合部hにおいて他方のばね部材56の一端部と連結
しており、かつばね部材56の他端部は固定フレーム51a
の先端部51cに連結されている。したがって、ばね部材5
5,56の結合部h及び連結部f,gは互いに一つの三角形を
形成しており、ばね部材55に対して力が連結部fを支点
のヒンジとして、矢印D方向に働くと、その分力が結合
部hに対して矢印E方向に動くことになる。このときの
変位の拡大比率はfh/fgとなる。このようにして本実施
例の微小変位拡大機構においては、圧電素子53の寸法歪
が順次拡大されて印字ワイヤ57に伝達される。
以上のような拡大機能を有する本実施例の微小変位拡大
機構は、前記実施例と同様に、固定フレーム51、固定フ
レーム52及び可動部材54が一枚の金属版により一体に形
成されると共に圧電素子53と固定フレーム51a、可動フ
レーム52及び印字ワイヤ57が並列的に配置され、かつ印
字ワイヤ57が内側に駆動されると共に可動フレーム52が
圧電素子53に近接する方向に駆動される構成であるた
め、駆動部、拡大部及び被駆動部が殆ど同じ領域内に収
まる。したがって、圧電素子53の大きさ及び全体の拡大
比を同じにして、従来の機構とその大きさを比較する
と、大幅に小型化を図ることができる。
第21図は上記微小変位拡大機構を用いた印字ヘッドを示
すものである。すなわち、本実施例の微小変位拡大機構
58は、印字ヘッド取付台59上の印字ユニット取付基台60
に設けられた複数の取付溝にそれぞれ組込まれ、各印字
ワイヤ57は中央部から先端部分までが案内部材62により
案内されると共に先端部がワイヤ整列部材61により2列
に整列されており、従来構造に比べてコンパクトに収納
設置される。なお、63は印字ヘッドカバーである。
上記第3の実施例の微小変位拡大機構では、さらにもう
一つの効果として、第1の実施例と同様に圧電素子53の
取付けの容易性の向上が挙げられる。すなわち、第17図
において可動部材54の圧電素子取付部54a,54b間の寸法
を圧電素子53よりやや少なめにしておいて、圧電素子53
を取付ける場合は、短い方の対角線bdに沿う可動連結部
dと可動連結部bとの間に互いに内側に働くような外力
を加えて、圧電素子取付部54a,54b間を圧電素子53の長
さより拡げ、その状態で圧電素子53を装着して外力を除
けば、可動部材54が自己の弾性力で戻るので、圧電素子
53を容易に取付けることができ、しかも圧縮方向に作用
する弾性力によって圧電素子53を圧縮固定状態に保持す
ることができる。このように本機構においては、従来機
構に比べて圧電素子53の取付けが容易になる。
尚、本機構においても、可動部材54からなる略菱形部は
必ずしも幾何学上の厳格な菱形に限定されるのではない
こと等は第1の実施例と同様である。
(第4の実施例) 第22図は本発明の第4の実施例に係る微小変位拡大機構
の構成を示すものである。図中、71は前記実施例と同様
の金属板により形成された固定フレームである。この固
定フレーム71には可動連結部e,fをそれぞれ介して第1
のフレームとしての第1の可動フレーム72及び第2のフ
レームとしての略くの字形に形成された第2の可動フレ
ーム73が対向して連結されている。圧電素子74は、複数
のリンクを可動連結して多角形、例えば略菱形状に形成
された可動部材75に取付けられている。この可動部材75
には、長手方向の対角位置の頂部に互いに平行な面を有
する一対の圧電素子取付部75a,75bが設けられており、
これら圧電素子取付部75a,75b間で該可動部材75自体の
弾性力で圧電素子74を圧縮する方向に力を付与して固定
状態に取付けることができる。可動部材75の他方の対角
位置における一方の頂部は可動連結部dを介して第1の
可動フレーム72に連結されている。また、他方の頂部は
同じく可動連結部bを介して第2の可動フレーム73の上
記可動連結部dと水平かつ対称となる位置に連結されて
おり、圧電素子74に寸法歪が生ずると、可動部材75の可
動連結部b,dにはそれぞれ応力歪が左右均等に発生す
る。すなわち、圧電素子74には偏った応力がかかること
がなく、これにより圧電素子74への曲げ応力の発生が防
止される。したがって、圧電素子74の破壊を防止できる
と共に圧電素子74の発生エネルギを効果的に消費するこ
とができる。
第1の可動フレーム72及び第2の可動フレーム73はそれ
ぞれ上記可動部材75における可動連結部b,dの水平方向
の変位に伴に可動連結部f,eを支点として回動可能とな
っている。第2の可動フレーム73の先端には連結部hを
介して棒状のばね部材76の一端部がロー付けにより結合
されている。一方、第1の可動フレーム72の先端には連
結部gを介してばね部材77の一端部が同じくロー付けに
より結合されている。ばね部材76,77の出力部をなし、
これらの各他端部は結合部iにおいて互いに結合されて
おり、さらいこの結合部iには下方向に延在する駆動部
材をなす印字ワイ78の基端部が固定されている。なお、
第1の可動フレーム72、第2の可動フレーム73及び可動
部材75は固定フレーム71と共に金属板により一体に形成
されているが、ばね部材76,77も第1の可動フレーム72
及び第2の可動フレーム73と一体に形成してもよい。
次に、上記構成の微小変位拡大機構の動作について第22
図乃至第25図を参照して説明する。第23図は可動部材75
を概略的に取り出して示す図である。菱形の各頂部a,b,
c,dはそれぞれ切欠きによりヒンジの役割を果たすもの
である。ここで、ab,bc,cd,daの各リンクよりなる辺の
長さは常に一定であり、かつ長手方向の対角線acに沿っ
て圧電素子7cが取付けられているので、圧電素子74の寸
法歪による対角線acの長さの変化が対角線bdの長さの変
化として現われることになる。また、対角線acを境にし
て△abc及び△adcは対称であるから、対角線acの長さの
変化に対するboの変化は対角線bdの長さの変化の1/2で
あり、また、△aboを考えたときの辺aoの変化は対角線a
cの変化の変化の1/2である。
以上のことを前提として、菱形を構成している4つの三
角形の内の1つの△aboを用いて可動部材75の拡大機能
の説明をする。第24図(a)は菱形の長手方向の対角線
acが変化していないとき、すなわち圧電素子74に電圧が
印加されていない状態である。一方、同図(b)は圧電
素子74に電圧が印加され第22図の矢印A,A′方向に寸法
歪が生ずることにより対角線acが上方にわずか△Aだけ
伸びた状態を示す(圧電素子74全体の変位量は△A+△
A′となる)。また、左右の辺abとadとが等しいことは
前述の通りである。実用的な形として、∠bao=10〜20
度程度が考えられるので、20度と10度の場合のそれぞれ
の拡大比率を算出してみた。便宜的に辺abの長さを10mm
とし、辺aoの伸び△Aを0.01mm、すなわち圧電素子74全
体の変位量を0.02mmとして計算すると、θ=20度の場合
は対角線bdの伸びは0.054mmとなり、2.7倍の拡大率とな
った。また、θ=10度の場合は5.7倍程度となった。
さて、菱形状の可動部材75の拡大作用は以上のようにな
るが、前述のように、この菱形機構は、可動連結部b,d
において第1の可動フレーム72及び第2のフレーム73と
連結され、さらに、これら可動フレーム72,73はそれぞ
れその基端部が可動連結部e,fを介して固定フレーム71
に連結されている。したがって、菱形機構で拡大された
圧電素子74の矢印A方向の寸法歪は可動連結部b,dの位
置に矢印B方向に方向を換えて集中して発生し、これに
より第1の可動フレーム72及び第2の可動フレーム73は
それぞれ可動連結部e,fを支点として回動し、その結果
先端の連結部g,hにそれぞれ拡大変位が生ずる。この場
合の変位は矢印C,Dで示すように互いに反対方向である
が、変位量が等しいことが好ましい。そのため、双方の
拡大比▲▼/▲▼と▲▼/▲▼とが等
しくなるように可動連結部e,fの位置をずらしてある。
第1の可動フレーム72及び第2の可動フレーム73の各先
端に生じた拡大変位は、さらに出力部をなすばね部材7
6,77部によりさらに拡大されて出力され、印字ワイヤ78
に伝達される。この拡大機能を第25図により説明する。
ばね部材76,77の連結部h,gに与えられるモーメントは互
いに等しく反対方向であるため、このモーメントは連結
部g,hを継ぐ線を偶力の腕として作用し、結合部iに集
中して矢印Eで示す方向のモーメントとして出力され
る。この場合の拡大比は、連結部g,hでのモーメントが
等しく、また2点g,hを結ぶ線の中間点pを軸として考
えられるので、▲▼/▲▼又はpi/pg▲▼
/▲▼となる。このようにして結合部iに発生した
変位は、変位の発生源である圧電素子74の寸法歪の数10
倍にも達し、この変位はそのまま結合部iに取付けられ
た印字ワイヤ78に伝達される。
以上説明したように上記第4の実施例の拡大機構では、
圧電素子74の変位エネルギを菱形機構を介して均等に2
分しこれを互いに反対方向に作動する2つのてこ部材に
伝達するようにしたので、機構を構成する各作用点、作
用部材に働く歪や応力が従来方法の場合と比較するほぼ
1/2ずつに配分されている。このことは、当然のことな
がら機構全体の寿命を伸ばすことになり、破壊などの生
ずる役割もより減少させることになる。また、一方、機
構の出力端である連結部g,hには互いに反対方向でしか
も均等なモーメントが得られるので、これらに接続され
ているばね部材76,77を介して偶力を無理なく円滑に印
字ワイヤ78に拡大伝達できる。
(第5の実施例) 第26図は本発明の第5の実施例に係る微小変位拡大機構
を示すものである。上記第4の実施例においては、圧電
素子74の寸法歪を受けた場合に可動部材75が独立した動
きをするように構成したが、本実施例においては、可動
部材75の下半分の2つのリンクよりなる辺ed,bfをそれ
ぞれ第1の可動フレーム72、第2の可動フレーム73の一
部と共通にして、これらフレームと一体に作動するよう
に構成したものである。言い換えれば、可動部材75の上
半分の両端部を第1の可動フレーム72及び第2の可動フ
レーム73にそれぞれ可動連結部b,dを介して連結させた
ものである。
このような構成とすることにより、第4の実施例の機構
に比べて構造が簡単になる。したがって加工がより容易
になり、より安価な機構を実現できる。また、ヒンジと
なる切欠きの数が減少するので、その分だけ圧電素子74
の発生エネルギの浪費が少なく、機構全体の効果が向上
する。なお、第24図において、第20図と同一構成部分は
同一符合を付してその説明を省略する。
この第5の実施例の可動部材75に関する拡大機能は基本
的には上記第4の実施例のそれと同様であるが、第27図
に示すように下端の圧電素子取付部75bを固定端として
いるので、圧電素子74の全変位は矢印Aのように上端の
圧電素子取付部75a側に与えられる。このとき圧電素子7
4の変位量に対する可動連結部b,dの変位量は第4の実施
例の場合と殆ど同じであるが、第4の実施例の場合、可
動連結部b,dの変位はこれら可動連結部b,dを結ぶ直線上
で共に内側方向に発生するが、第5の実施例の場合は、
可動連結部e,fをそれぞれ支点として半径ed,fbが描く円
弧上で共に内側方向に発生する点が相違する。しかしな
がら、可動連結部b,dの各点の変位量は拡大されている
とはいえ、まだ微小量であるため、殆ど可動連結部b,d
を結ぶ直線上にあるとみても差しつかえない。
次に、この可動部材75で拡大された変位は、上記第4の
実施例では別に独立した形をもつ第1の可動フレーム72
及び第2の可動フレーム73のてこ部に伝達され、さらに
拡大されていた。これに対して、本実施例では可動部材
75の下側の2辺のed,bfがそのまま第1の可動フレーム7
2、第2の可動フレーム73の一部となっている。すなわ
ち、第27図で説明すると、第1の可動フレーム72及び第
2の可動フレーム73は可動部材75の拡大機構を受けてそ
れぞれ可動連結部e,fを支点としてそれぞれ連結部g,hに
拡大変位を発生する。この場合の拡大比率はそれぞれ、
▲▼/▲▼,▲′▼/▲′▼となる。
ここで、連結部g,hに発生モーメントが方向を逆にして
同じになるように、それぞれの支点の位置を変えて▲
▼/▲▼=▲▼/▲▼となるようにして
あるのは、上記実施例の場合と同様である。
以上のような拡大機能を有する第4及び第5の実施例に
係る微小変位拡大機構は、第1乃至第3の実施例と同様
に、固定フレーム71、第1の可動フレーム72及び第2の
可動フレーム73及び可動部材75が一枚の金属板により一
体に形成されると共に、圧電素子74と第1の可動フレー
ム72,第2の可動フレーム73及び印字ワイヤ78が並列的
に配置され、かつ印字ワイヤ78が内側に駆動されると共
に第1の可動フレーム72及び第2の可動フレーム73がそ
れぞれ圧電素子74に近接する方向に駆動される構成であ
るため、駆動部、拡大部及び被駆動部が殆ど同じ領域内
に収まり、したがつて大幅に小型化を図ることができ
る。
第28図は上記第5の実施例の微小変位拡大機構を用いた
印字ヘッドを示すものである。すなわち、本実施例の微
小変位拡大機構79は、印字ヘッド取付台80上の印字ユニ
ット取付基台81に設けられた複数の取付溝にそれぞれ組
込まれ、各印字ワイヤ78は中央部が案内部材83により案
内されると共に、先端部がワイヤ整列部材82により2列
に整列され、従来構造に比べてコンパクトに収納設置さ
れる。なお、84は印字ヘッドカバーである。
また、第4及び第5の実施例に係る微小変位拡大機構
も、第3の実施例と同様に圧電素子の取付けが容易にな
ることは同様である。
また、第4及び第5の実施例に係る微小変位拡大機構
も、第3の実施例と同様に圧電素子の取付けが容易にな
ることは同様である。
(第6の実施例) 第29図は本発明の第6の実施例に係る微小変位拡大機構
を示すものである。本実施例の微小変位拡大機構は、圧
電素子91の長手方向の寸法歪を弾性係数の大きな金属部
材、例えばばね用鋼材により形成された拡大部材93によ
り拡大してその出力部92a,92bにそれぞれ圧電素子91に
近接する方向に拡大出力を得るものである。拡大部材93
は4つの要素(リンク)fg,hi,jk,elを相互に閉ループ
状、例えば略菱形状にリンク結合した形状となってお
り、一対の取付部94a、94b、及び圧電素子91の両側の対
称位置に配置された一対の出力部92a,92bを備えてい
る。取付部94a,94bは、拡大部材93の長手方向の対角位
置の両頂部a,cにおいてそれぞれ互いに平行となるよう
に形成されており、これらの取付部94a,94b間で圧電素
子91が後述するように拡大部材93自体の弾性力により固
定状態に取付けられる。出力部92a,92bはそれぞれ他方
の体角位置の両頂部b,dに直接一体に設けられている。
出力部92a,92bと取付部94a,94bとの間の連結部e〜lに
は切欠き95a〜95hが設けられており、これらの切欠き95
a〜95hがヒンジの役割を果すようになっている。
すなわち、本実施例による微小変位拡大機構において
は、各出力部92a,92bにおける切欠き95f−95g,95e−95h
間の長さが、それぞれ取付部94a,94bにおける切欠き95b
−95c,95a−95d間の長さより短くして略菱形状に形成さ
れている。従って、取付部94a,94bに伝達された圧出力
素子91の矢印で示す方向の寸法歪は、出力部92a,92bに
おいて、圧電素子91の変位方向と直交し、かつ圧電素子
91に近接する矢印で示す方向に一段階に拡大して出力さ
れる。
第30図は上記拡大部材93の拡大原理と概略的に説明する
ための図である。ここで、各リンクの辺ab,bc,cd,daの
長さは等しく、また、常に一定であり、かつ長手方向の
対角線acに沿って圧電素子91が取付けられているので、
圧電素子91の変位は対角線acの長さの変化となる。これ
が頂部a,cにおける頂角∠α,∠α′の変化となり、し
たがって対角線bdの変化として現われる。ここで、両対
角線の交点をoとすると、対角線acを境にして△abc及
び△adcは対称であり、また、対角線bdを境にして△abd
及び△cbdは対称であるので、対角線acの長さの変化に
対するboの変化は対角線bdの長さの変化の1/2であり、
また、△aboを考えたときの辺aoの変化は対角線acの変
化の1/2である。
以上のことを前提として、菱形を構成している4つの三
角形の内の1つの△abcを用いて上記微小変位拡大機構
の拡大作用について説明する。
第31図(a)は菱形の長手方向の対角線ac間に取付けら
れた圧電素子91に寸法歪が発生していないときの状態で
ある。一方、第31図(b)は圧電素子91に電圧が印加さ
れることにより寸法歪が発生した状態を示すものであ
り、辺acが上方に△A,下方に△A′だけ延びた状態とな
っている(△A=△A′)。
ところで、前述のように辺ab及びbcは等しく、また、常
に一定であるため、対角線acの長さの変化は∠θの変化
になり、また、∠abcの角度変化になる。すなわちΔabc
の高さに相当する辺boの長さの変化となって現われる。
この場合、辺acの長さの変化に対する辺boの長さの変化
の割合は、∠θの設定によって大きく異なり、∠θが小
さくなるほど割合は大きくなる。∠θの実用的な形とし
て10°〜20°程度が考えられるが、例えば∠θ=20°で
は約2.7倍、また∠θ=10°では約5.7倍程度の拡大率が
得られる。
なお、上記拡大部材93は必ずしも幾何学上の厳格な菱形
に限定されるものではなく、多少の変形を含むものであ
り、要は圧電素子91の寸法歪を圧電素子91に対して横方
向に方向を変えて発生することができるものであればよ
い。
第32図には第29図に示した第6の実施例の変形例が示さ
れている。ここにおいて第6の実施例と対応する部分に
は同一の参照番号を付して説明すると、第6の実施例と
の相違点は、一対の出力部92a,92bが略菱形状にリンク
結合により構成された拡大部材93の、圧電素子91を挟ん
で対向する2辺にそれぞれ直接一体に設けられているこ
とである。この変形例では、出力部92a,92bが設けられ
た対向辺は一方の取付部94b側のリンクであるが、他方
の取付部94a側に設けてもよい。
この変形例では、拡大部材93の変形動作がリンクの角変
位に変換されて出力部92b,92bに出力される構成である
が、その他の構成は第6の実施例と同様である。
(第7の実施例) 第33図は本発明の第7の実施例に係る微小変位拡大機構
を示すものである。本実施例における拡大部材101は,
各出力部92a,92bにおける切欠き95f−95g,95e−95h間の
長さをそれぞれ取付部94a,94bにおける切欠95b−95c,95
a−95d間の長さよりも長く形成し、それぞれリンクによ
り連結したものである。このような構成により、圧電素
子91に生じた寸法歪は、出力部92a,92bの両端における
ヒンジ部e〜hにそれぞれ圧電素子91の変位方向に対し
て直交し、かつ圧電素子91から離間する方向に拡大して
出力され、これらのヒンジ部e〜hの変位に伴い圧電素
子91と平行な平行リンクよりなる一対の出力部92a,92b
が矢印方向に拡大変位する。なお、本実施例に係る拡大
部材101の拡大比率については第29図に示した拡大部材9
3と同様であるので、その説明は省略する。
上記微小変位拡大機構はその目的によってこのまま使用
することはもちろん可能であり、また、前述の実施例の
ようにさらに第2段、第3段の拡大機構と組合わせて使
用することも可能である。
第34図は第29図の微小変位拡大機構をそのまま応用した
例である。すなわち、圧電素子91にパルス電圧を加える
ことによって圧電素子91を振動せしめ、この振動を拡大
して一方の出力部92aに出力し、この出力部92aに取付け
たカッター等の工具102を振動させるものである。この
振動によって工具102の加工効率を向上させることがで
きる。
また、第35図は第2段目にてこ部材103を応用してリレ
ースイッチ104を設けた応用例である。すなわち、第29
図の拡大機構の一方の出力部92aを固定フレーム105に固
定し、他の出力部92bをてこ部材103に連結させたもので
ある。この構造においては、出力部92bに生じた拡大変
位は、てこ部材103の先端部103aからさらに拡大して出
力され、この拡大出力によってリレースイッチ104が作
動する。
その他、第29図、第32図及び第33図の微小変位拡大機構
は、さらにワイヤドットプリンタのワイヤ駆動用の拡大
機構等にも応用できることは勿論である。
以上のように上記実施例による微小変位拡大機構は、そ
の構造が全体的に一体構造となっているため、加工が容
易であり、しかも構造的に竪固である。また、圧電素子
91の歪発生方向に対して横方向に出力を取出すことがで
きるので、第35図に示したように複数段階に拡大機構を
組合わせた場合、圧電素子91に対して第2の拡大部を並
列に配置することができるようになり、このため全体が
コンパクトな構造になる。
さらに、この微小変位拡大機構は、拡大部材93,101が弾
性係数の大きな金属部材で形成されると共に、切欠き状
ヒンジにより閉ループ形状に形成されているため、極め
て弾性に富み、したがって変形及び復元が容易である。
このため、組立、すなわち、圧電素子91の取付け及び圧
縮固定の調整が極めて容易である。
次に、この圧電素子91の取付方法について説明する。第
29図の拡大機構においては、拡大部材93が自然の状態に
あるとき、その一対の取付部94a、94bとの間の間隔を圧
電素子91の長手方向の長さよりやや短めとなるように形
成する。そして、圧電素子91を取付けるときには、先
ず、第36図に示すように例えば万力106により出力部92
a,92bの両側から内側に外力を加えることにより、拡大
部材93を弾性変形させ、取付部94aと取付部94bとの間の
間隔を圧電素子91の両端部との間にそれぞれ隙間107が
形成される程度に拡げ、この状態で取付部94a,94b間に
圧電素子91を挿入する。その後、外力を取り除くと拡大
部材93が元の状態に向って復元し、その結果、拡大部材
93は圧電素子91に対し、圧縮方向に弾性力を付与した状
態で該圧電素子91と係合するので、第29図に示したよう
に取付部94a,94b間で該圧電素子91が固定状態に保持さ
れる。いわゆる、圧電素子91は圧縮固定される。従っ
て、容易に圧電素子91を特別の取付調整具を要せず取付
けることができる。
第37図は第33図の微小変位拡大機構に圧電素子91を取付
ける場合であり、この場合には拡大部材101が自然状態
にあるときにその一対の取付部94a,94bの距離が圧電素
子91の両端部の長さより若干小さくなるように形成して
あり、取付けに当って、まず、拡大部材101の出力部92
a,92bに対して外側に開くように外力を加えて、拡大部
材101を弾性変形させればよい。後の取付けは第36図の
場合と同様であり、特別の取付調整具を要せず取付ける
ことができる。
尚、第29図,第32図及び第33図の実施例においては、拡
大部材93,101を圧電素子91に対して対称形状のループ状
に構成したが、対称形状に限らず非対称形状に構成して
もよい。
以上に実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上
記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲で、種々変形可能であることは勿論であ
る。
[発明の効果] 以上説明したように本発明に係る微小変位拡大機構によ
れば、圧電素子からなる駆動部、変位拡大部及び駆動部
材を殆ど同じ領域に収めることができ、機構全体の小型
化を図れ、ひいてはプリンタ等の機器の小型化、軽量化
及び低価格化を実現できるとともにその応用範囲も拡大
する。
さらに、本発明の微小変位拡大機構にあっては、駆動部
材を印字ワイヤで構成し、該印字ワイヤを圧電素子と並
列に配置すれば、コンパクトな印字ヘッドが得られる。
また、本発明に係る微小変位拡大機構に圧電素子を取付
ける方法によれば、極めて簡単な構造で、変位拡大を行
うことができると共に、可動部材ないしは拡大部材が弾
性に富むため、変形及び復元が容易であり、このため圧
電素子を取付けるに際して、特別の取付調整具を要せ
ず、取付けると同時に圧縮固定の調整作業を行なうこと
ができ、極めて容易に組立作業を行うことができるとい
う効果を奏する。
さらに、本発明に係る印字ヘッドによれば、有底筒状の
印字ユニット取付部材に設けた複数の取付溝にそれぞれ
上記微小変位拡大機構の固定取付部を嵌合させる構成と
したので、従来構造に比較して部品数が大幅に減少する
とともに組立工数が大幅に削減され組立精度が向上す
る。また、前記印字ユニット取付部材を有底筒状にする
とともに、前記微小変位拡大機構を放射状に配設するよ
うにしたので、ヘッドの外形がシンプルでしかも大き
さ、重量とも従来のものに比較して大幅に小さくするこ
とができ、駆動制御も容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例に係る微小変位拡大機構
を示す側面図、第2図乃至第4図はそれぞれ第1図の機
構の拡大原理を説明するための図、第5図は第1図の機
構を用いた印字ヘッドの構成を示す平面図、第6図は第
5図のVI-VI線に沿う縦断面図、第7図は印字ユニット
取付部材の平面図、第8図は第7図のVIII-VIII線に沿
う縦断面図、第9図は上記印字ヘッドの変形例を示す部
分断面図、第10図は本発明の第2の実施例に係る微小変
位拡大機構を示す側面図、第11図乃至第14図はそれぞれ
第10図の機構の拡大原理を説明するための図、第15図は
第10図の機構を用いた印字ヘッドの構成を示す縦断面
図、第16図は同じく平面図、第17図は本発明の第3の実
施例に係る微小変位拡大機構を示す側面図、第18図乃至
第20図はそれぞれ第17図の機構の拡大原理を説明するた
めの図、第21図は第17図の機構を用いた印字ヘッドの構
成を示す縦断面図、第22図は本発明の第4の実施例に係
る微小変位拡大機構を示す側面図、第23図乃至第25図は
それぞれ第22図の機構の拡大原理を説明するための図、
第26図は本発明の第5の実施例に係る微小変位拡大機構
を示す側面図、第27図は第26図の機構の拡大原理を説明
するための図、第28図は第26図の機構を用いた印字ヘッ
ドの構成を示す縦断面図、第29図は本発明の第6の実施
例に係る微小変位拡大機構を示す側面図、第30図は第1
図の機構の拡大作用を説明するための概略図、第31図は
同じく拡大比率を説明するための原理図、第32図は上記
実施例の変形例を示す側面図、第33図は本発明の第7の
実施例に係る微小変位拡大機構を示す側面図、第34図及
び第35図はそれぞれ第29図の拡大機構の応用例を示す側
面図、第36図及び第37図はそれぞれ第29図及び第33図の
拡大機構に対して圧電素子を取付ける方法を説明するた
めの図、第38は従来の微小変位拡大機構を示す側面図で
ある。 11,31,51,71……固定フレーム 12,35,54,75……可動部材 13,33,53,74,91……圧電素子 14,32,52,72,73……可動フレーム 15,16……ばね部材(出力部) 17,39,57,78……印字ワイヤ(駆動部材) 18……突起 19……微小変位拡大機構 20……印字ユニット取付部材 21……取付溝 92a,92b……出力部 93,101……拡大部材 94a,94b……圧電素子取付部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願昭63−141361 (32)優先日 昭63(1988)6月8日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願昭63−214078 (32)優先日 昭63(1988)8月29日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願昭63−218107 (32)優先日 昭63(1988)8月31日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
    子と、該圧電素子を間にし、かつその作動方向に対して
    実質的に並列に配置された第1のフレーム及び第2のフ
    レームと、前記圧電素子の両端部をそれぞれ固定する一
    対の取付部及び該取付部間を前記圧電素子の両側に沿っ
    て各々可動連結部により互いに連結する複数のリンクを
    有し、かつ前記第1のフレーム側のいずれか一辺のリン
    クを第1のフレームと一体化すると共に、前記圧電素子
    を挟んで前記辺と対向し第2のフレーム側にある一辺の
    リンクを第2のフレームと一体化してなる可動部材と、
    該可動部材を介して前記第1のフレーム及び第2のフレ
    ームの少なくとも一方に拡大伝達された前記圧電素子の
    寸法歪を前記第1のフレームと第2のフレームとの相対
    変位により更に拡大して出力する出力部とを備え、前記
    出力部に駆動部材を取付けることを特徴とする微小変位
    拡大機構。
  2. 【請求項2】前記第1のフレームを固定フレームとし、
    前記可動部材は、前記第2のフレームに前記圧電素子の
    寸法歪を拡大伝達してなる請求項1記載の微小変位拡大
    機構。
  3. 【請求項3】前記圧電素子の一方の取付部の側に固定フ
    レームを更に設け、該固定フレームと該一方の取付部と
    を一体化し、前記第1のフレーム及び第2のフレームの
    それぞれに前記圧電素子の寸法歪を前記可動部材を介し
    て拡大伝達してなる請求項1記載の微小変位拡大機構。
  4. 【請求項4】前記第1のフレーム及び第2のフレームに
    それぞれ一体化されたリンクは、前記固定フレーム側に
    おいて前記圧電素子をはさんで対向してなる請求項3記
    載の微小変位拡大機構。
  5. 【請求項5】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
    子と、該圧電素子の一端部を固定する固定フレームと、
    それぞれ前記固定フレームに前記圧電素子の固定された
    一端部を挟んで固定連結された第1のフレーム及び可動
    連結された第2のフレームと、中途部において可動連結
    された少なくとも2辺のリンク及び前記圧電素子の他端
    部を固定する取付部を有し、かつ一端部が第1の可動連
    結部を介して前記第2のフレームに可動連結されると共
    に他端部が第2の可動連結部を介して前記第1のフレー
    ムに可動連結された可動部材と、該可動部材を介して前
    記第2のフレームに拡大伝達された前記圧電素子の寸法
    歪を前記第1のフレームと第2のフレームとの相対変位
    により更に拡大して出力する出力部とを備え、前記出力
    部に駆動部材を取付けることを特徴とする微小変位拡大
    機構。
  6. 【請求項6】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
    子と、該圧電素子の一端部を固定する固定フレームと、
    それぞれ前記固定フレームに前記圧電素子の固定された
    一端部を挟んで可動連結された第1のフレーム及び第2
    のフレームと、中途部において可動連結された少なくと
    も2辺からなるリンク及び前記圧電素子の他端部を固定
    する取付部を有し、前記リンクの両端部がそれぞれ可動
    連結部を介して前記第1のフレーム及び第2のフレーム
    の前記取付部より固定フレーム側に連結された可動部材
    と、該可動部材を介して前記第1のフレーム及び第2の
    フレームのそれぞれに拡大伝達された前記圧電素子の寸
    法歪を前記第1のフレームと第2のフレームとの相対変
    位により更に拡大して出力する出力部とを備え、前記出
    力部に駆動部材を取付けることを特徴とする微小変位拡
    大機構。
  7. 【請求項7】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
    子と、固定フレームと、それぞれ前記固定フレームに固
    定連結された第1のフレーム及び可動連結された第2の
    フレームと、前記圧電素子の両端部をそれぞれ固定する
    一対の取付部と該取付部に可動連結されると共に該取付
    部間にあって該圧電素子の両側に沿ってそれぞれ配置さ
    れ可動連結部を介して互いに可動連結された複数のリン
    クとを有する可動部材とを備え、該圧電素子の両側にそ
    れぞれ配置された前記リンクを前記可動連結部を介して
    対応する第1及び第2フレームにそれぞれ可動連結し、
    該可動部材を介して前記第2のフレームに拡大伝達され
    た前記圧電素子の寸法歪を、前記第1のフレームと第2
    のフレームとの相対変位により更に拡大して両フレーム
    に連結された出力部より出力すると共に、前記出力部に
    取付けた駆動部材を駆動することを特徴とする微小変位
    拡大機構。
  8. 【請求項8】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電素
    子と、固定フレームと、それぞれ前記固定フレームに可
    動連結された第1のフレーム及び第2のフレームと、前
    記圧電素子の両端部をそれぞれ固定する一対の取付部と
    該取付部に可動連結されると共に該取付部間にあって該
    圧電素子の両側に沿ってそれぞれ配置され可動連結部を
    介して互いに可動連結された複数のリンクとを有する可
    動部材とを備え、該圧電素子の両側にそれぞれ配置され
    た前記リンクを前記可動連結部を介して対応する第1及
    び第2のフレームにそれぞれ可動連結し、該可動部材を
    介して前記第1のフレーム及び第2のフレームのそれぞ
    れに拡大伝達された前記圧電素子の寸法歪を、前記第1
    のフレームと第2のフレームとの相対変位により更に拡
    大して両フレームに連結され出力部より出力すると共
    に、前記出力部に取付けた駆動部材を駆動することを特
    徴とする微小変位拡大機構。
  9. 【請求項9】前記第1のフレームと固定フレームとは略
    L字状をなすように一体化されてなる請求項5又は7記
    載の微小変位拡大機構。
  10. 【請求項10】前記可動部材の前記複数のリンクは少な
    くとも略菱形状の結合関係を有して形成され、前記圧電
    素子にほぼ平行な対角線上の両頂部にそれぞれ前記取付
    部を有してなる請求項1,2,3,4,7,8のいずれか1つに記
    載の微小変位拡大機構。
  11. 【請求項11】前記可動連結部は、各部材間を切欠き形
    成したヒンジにより構成され、リンク、取付部、第1の
    フレーム、第2のフレームは一体に構成されてなる請求
    項1乃至10のいずれか1つに記載の微小変位拡大機構。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の微小変位拡大機構に圧
    電素子を取付ける方法であって、前記第1のフレーム及
    び第2のフレームに外力を加えることにより前記可動部
    材を変形させて前記取付部間の間隔を前記圧電素子の両
    端部間の長さより長く広げ、前記圧電素子を前記取付部
    間に挿入させた後、前記外力を取り除くことによる前記
    可動部材の復元力により前記取付部間で圧電素子を圧縮
    固定させることを特徴とする微小変位拡大機構に圧電素
    子を取り付ける方法。
  13. 【請求項13】前記駆動部材を、印字ワイヤで構成する
    と共に前記圧電素子と並列に配置してなる請求項1乃至
    11のいずれか1つに記載の微小変位拡大機構。
  14. 【請求項14】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電
    素子と、前記圧電素子の両端部をそれぞれ固定する一対
    の取付部と該取付部に可動連結されると共に該取付部間
    にあって前記圧電素子の両側に沿ってそれぞれ配置され
    各々可動連結部を介して互いに可動連結された複数のリ
    ンク及び前記圧電素子の両側の前記リンクの一部と一体
    に設けられた一対の出力部とを有して閉ループ状にリン
    ク結合された拡大部材とを備え、該拡大部材を介して拡
    大伝達された圧電素子の寸法歪を前記一対の出力部より
    出力してなることを特徴とする微小変位拡大機構。
  15. 【請求項15】前記拡大部材は、前記圧電素子に対して
    対称形状に形成されてなる請求項14記載の微小変位拡大
    機構。
  16. 【請求項16】前記拡大部材の前記複数のリンクは少な
    くとも略菱形状の結合関係を有して形成されてなる請求
    項15記載の微小変位拡大機構。
  17. 【請求項17】前記拡大部材は前記略菱形状における一
    方の対角位置の両頂部にそれぞれ前記取付部を有すると
    共に、他方の対角位置の両頂部に前記出力部を有する請
    求項16記載の微小変位拡大機構。
  18. 【請求項18】前記拡大部材は前記略菱形状における一
    方の対角位置の両頂部にそれぞれ前記取付部を有すると
    共に、前記圧電素子を挟んで対向し、かつ前記略菱形状
    の結合関係を有する2辺に前記出力部を有してなる請求
    項16記載の微小変位拡大機構。
  19. 【請求項19】前記拡大部材の両側に配置された前記複
    数のリンクは、それぞれ前記取付部から圧電素子の横方
    向に開いて形成される一対のリンク及び該一対のリンク
    を互いに連結すると共に圧電素子と実質的に平行をなす
    平行リンクとを有し、該平行リンクが出力部として構成
    されてなる請求項15記載の微小変位拡大機構。
  20. 【請求項20】印加電圧に応じて寸法歪を発生する圧電
    素子と、該圧電素子の両端部をそれぞれ固定する一対の
    取付部と、前記圧電素子を挟んで両側に並設された一対
    の出力部を備えると共に、前記取付部と出力部との間を
    各々可動連結部及びリンクにより互いにリンク結合した
    ことを特徴とする微小変位拡大機構。
  21. 【請求項21】前記各出力部における一対の可動連結部
    間の長さが、対応する取付部における可動連結部間の長
    さより短く形成されてなり、前記取付部に伝達された前
    記圧電素子の寸法歪を該圧電素子に近接する方向に拡大
    して出力する請求項20記載の微小変位拡大機構。
  22. 【請求項22】前記各出力部における一対の可動連結部
    間の長さが、対応する取付部における可動連結部間の長
    さより長く形成されてなり、前記取付部に伝達された前
    記圧電素子の寸法歪を該圧電素子から離間する方向に拡
    大して出力する請求項20記載の微小変位拡大機構。
  23. 【請求項23】前記可動連結部は、各部材間を切欠き形
    成したヒンジにより構成され、リンク、取付部及び出力
    部は一体に構成されてなる請求項14乃至22のいずれか1
    つに記載の微小変位拡大機構。
  24. 【請求項24】請求項23に記載の微小変位拡大機構に圧
    電素子を取付ける方法であって、前記出力部に外力を加
    えることにより、前記複数のリンクを変形させて前記取
    付部間の間隔を前記圧電素子の両端部間の長さより長く
    拡げ、前記圧電素子を前記取付部間に挿入させた後、前
    記外力を取り除くことによる前記複数のリンクの復元力
    により前記取付部間で前記圧電素子を圧縮固定させるこ
    とを特徴とする微小変位拡大機構に圧電素子を取付ける
    方法。
  25. 【請求項25】内周部に複数の取付溝を放射状に有する
    有底筒状に形成されると共に底部にワイヤ整列部材を設
    けてなる印字ユニット取付部材と、印加電圧に応じて寸
    法歪を発生する圧電素子の当該寸法歪を拡大して伝達す
    る変位伝達部と該変位伝達部が連結される固定取付部と
    前記変位伝達部の出力部に前記固定取付部に対して並列
    に取付けられた印字ワイヤとをそれぞれ有し、前記固定
    取付け部を固定取付溝に嵌合させてなる複数の印字ユニ
    ットとを備えたことを特徴とする印字ヘッド。
  26. 【請求項26】前記印字ユニット取付部材の底部中央部
    に、内部に向けて突出する円筒状の案内部を設けてなる
    請求項25記載の印字ヘッド。
  27. 【請求項27】前記印字ユニットの上端面と当接するキ
    ャップ部材を冠着することにより前記印字ユニットを固
    定してなる請求項25又は26記載の印字ヘッド。
  28. 【請求項28】前記印字ユニットの底部に沿って固定取
    付部が延在すると共に、該取付部に対応させて前記印字
    ユニット取付部材の底部に前記取付溝部が延長して設け
    られてなる請求項25乃至27のいずれか1つに記載の印字
    ヘッド。
  29. 【請求項29】前記印字ユニットの底部先端に対向させ
    て前記案内部の外周部に複数の取付溝を設けてなる請求
    項28に記載の印字ヘッド。
  30. 【請求項30】前記印字ユニットの固定取付部の下端部
    に固定用突片を設けると共に、該突片に対向させて前記
    印字ユニット取付部材の底部に嵌合孔を設けてなる請求
    項25乃至29のいずれか1つに記載の印字ユニット。
  31. 【請求項31】前記印字ユニット取付部材の上端面に沿
    って嵌合溝を設けると共に前記各印字ユニットの固定取
    付部の側面に前記嵌合溝に対応させて突起を設けてなる
    請求項25乃至30のいずれか1つに記載の印字ヘッド。
  32. 【請求項32】底部表面に複数の取付溝を放射状に設け
    ると共に底部中央部にワイヤ整列部材を設けてなる印字
    ユニット取付部材と、固定取付部と該固定取付部に対し
    て実質的に直交する方向に取付けられた圧電素子と該圧
    電素子の寸法歪を拡大して伝達する変位伝達部と該変位
    伝達部に対して実質的に並列に取付けられた印字ワイヤ
    とをそれぞれ有し、前記固定取付部を前記取付溝に嵌合
    させてなる複数の印字ユニットとを備えたことを特徴と
    する印字ヘッド。
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