JPH0677736U - 輸液容器における樹脂栓体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 調剤用にも利用でき且つ内容液を点滴用と洗
滌用のいずれにも使用可能であり、而も細菌汚染の危険
性がない輸液容器用栓体を提供する。 【構成】 輸液容器口部フランジ１４に、開栓可能なプ
ルオフ栓体１０の接合フランジ１６を溶着する。プルオ
フ栓体１０の天面中央部分にゴム状弾性体３０をモール
ド成形する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、輸液容器としての本来の目的の他、病院等の医療機関における内用 薬または外用薬の調剤用としても使用可能な輸液容器の栓体に関し、より具体的 にはこの輸液容器の栓体部分の改良構造に係わる。

【０００２】

【従来の技術】

従来、病院等の医療機関では、薬液を処方するにあたり、弾性体で口部を封止 した硝子製または合成樹脂製の輸液容器が用いられ、処方される薬液を容器口部 に嵌装した弾性体を通して注入し、所定の内用薬または外用薬とする方法がとら れて来た。この場合、容器に施される栓体構造は、点滴用と洗浄用とでは異なる ものが使用されている。

【０００３】 一般に、病院等の医療機関における内用薬または外用薬の調剤には、これらの 医療機関で採取した注射用水または滅菌精製水が再使用可能な硝子製容器に注入 され処方された薬剤として調製される。また弾性体で封止されている硝子製容器 あるいは合成樹脂製の輸液容器に市販の注射用水または滅菌精製水を容れて用い 、処方された薬剤として調製されることもある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

然しながら、上記の調製方法によれば、前者は材料や調製のコストが高くつき 、また後者の場合は弾性体を除去する際に、意図しない手指の接触による細菌汚 染の危険に曝される。

【０００５】 本考案は、点滴用の場合にもまた調剤用、洗滌用の場合にも共通して輸液容器 が使用でき、しかも細菌汚染の危険性がない栓体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案に係る樹脂栓体では、容器口部に開栓可能 なプルオフ栓体を溶着し、かつプルオフ栓体の天面中央部分にゴム状弾性体をモ ールド成形した。好ましくは栓体と同質の樹脂皮膜が一部に残された状態でゴム 状弾性体をモールド成形する。

【０００７】

【作用】

このように構成された栓体を容器口部に溶着した輸液容器は、開栓型の輸液容 器をなし、点滴用輸液容器その他生理食塩液、滅菌精製水、洗滌用滅菌水等を容 れる容器として広汎な使用に供することができる。

【０００８】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明する。

【０００９】 図１は本考案に係わる第１実施例、図２は同第２実施例、図３は同第３実施例 、図４は同第４実施例、図５は同第５実施例そして図６は同第６実施例を示す。 各図において共通する部分は同一の符号を付して示した。

【００１０】 図１において、１０は本考案に係わる樹脂栓体で、合成樹脂製容器１２の口部 フランジ１４に対し接合フランジ１６で溶着されている。１８は別体の容器キャ ップ（図示せず）と螺合するねじ体である。２０はプルオフ蓋体で、周囲に切込 まれたＶ溝２２の底部２４に残された僅かな厚みで栓体１０に接続されている。 ２６はプルオフリングで、連結片２８によりプルオフ蓋体２０に接続されている 。３０は表面に栓体１０と同質の樹脂被膜を重設した状態のゴム状弾性体で、モ ールド成形によりプルオフ蓋体２０に埋設されている。

【００１１】 図１の第１実施例では円盤形のゴム状弾性体３０をプルオフ蓋体２０内に埋設 し、両面を栓体１０と同質の薄膜３２で挟着してあって外気からも内容液からも 隔離させてある。

【００１２】 図２は第２実施例で、ゴム状弾性体３０の容器側にのみ栓体１０と同質の薄膜 ３２が存在し、ゴム状弾性体３０と内容液との接触を防止している。

【００１３】 図３に示される第３実施例では、上記薄膜３２はゴム状弾性体３０の外面側を 被覆して、ゴム状弾性体３０は外気との接触が絶たれているが、内容液とは接触 するものを示している。

【００１４】 図４は、ゴム状弾性体３０の両面を露出させた第４実施例を図示したものであ る。

【００１５】 図５は、円錐台接合形のゴム状弾性体３４を第２実施例と同様に容器側に薄膜 ３６が配設されるようにモールド成形した第５実施例を図示している。

【００１６】 図６は、第３実施例と同様にゴム状弾性体３４の外側を栓体１０と同質の薄膜 ３６で隔離するようにモールド成形した第６の実施例を示したものである。

【００１７】 内容液を点滴用に供する場合は、ゴム状弾性体３０、または３４に注射針を刺 し通す。ゴム状弾性体３０，３４の注射針の刺し通しに対する抵抗は小さいが、 樹脂薄膜３２，３６の抵抗は大きい。また、注射針の刺し通しにより、薄膜３２ の切り屑が容器内に落ちて内容液を汚染しないように、栓体１０の材質は適宜選 択する必要がある。さらに、上記ゴム状弾性体の材質によっては、直接内容液に 接触してこれが汚染源となる可能性もあるので、薬剤の種類または使用する注射 針の形状により、前述した各実施例の何れかの栓体を使い分けることが必要であ る。

【００１８】 内容液を洗滌用に使用する場合は、プルオフリング２６に指を掛けて引き起こ し、連結片２８を介してプルオフ蓋体２０を引張る。この作用力によりプルオフ 蓋体２０の周囲に設けたＶ溝２２の底部２４は切り裂かれ、プルオフ蓋体２０は 、ゴム状弾性体３０ごと栓体１０から分離される。これにより栓体１０は、その 開口部周辺を手指による汚染を危惧することなく取去られ、そこに大きな開口を 得ることができる。

【００１９】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案に係る樹脂栓体は、開栓型栓体を形成する際にゴ ム状弾性体をモールド成形して、容器口部に溶着するようにしたので、栓体とゴ ム状弾性体との密着性が向上するとともに病医院における院内調製用にはゴム状 弾性体を通して処方した薬液を注入し、これを内用薬または外用薬として使用す ることができ、また予め充填された滅菌洗滌水を開封して使用する際には、無菌 的にプルオフ蓋体を取除いて用いることが可能である。また、プルオフ蓋体を開 栓しなければ、内容液を通常の点滴用輸液と同じように使用することができる。 このように、従前は、点滴用とか調剤用とか洗滌用に区別されていた栓体が単一 の共通構造体をもって一本化できるので、輸液容器としての製作費を低減し貯蔵 空間を削減することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係わる樹脂栓体の第１実施例の縦断面
図である。

【図２】本考案に係わる樹脂栓体の第２実施例の縦断面
図である。

【図３】本考案に係わる樹脂栓体の第３実施例の縦断面
図である。

【図４】本考案に係わる樹脂栓体の第４実施例の縦断面
図である。

【図５】本考案に係わる樹脂栓体の第５実施例の縦断面
図である。

【図６】本考案に係わる樹脂栓体の第６実施例の縦断面
図である。

【符号の説明】

１０ 樹脂栓体 １２ 合成樹脂製容器 １４ 口部フランジ １６ 接合フランジ ２０ プルオフ蓋体 ２２ Ｖ溝 ２６ プルオフリング ３０，３４ ゴム状弾性体 ３２，３６ 栓体と同質の薄膜

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製容器口部に溶着される開栓可
   能なプルオフ栓体において、この栓体の天面中央部分に
   ゴム状弾性体をモールド成形した輸液容器における樹脂
   栓体。
2. 【請求項２】 前記ゴム状弾性体の両表面が栓体と同質
   の樹脂被膜により被覆されている請求項１記載の輸液容
   器における樹脂栓体。
3. 【請求項３】 前記ゴム状弾性体の一方の表面が栓体と
   同質の樹脂皮膜により被覆されている請求項１記載の輸
   液容器における樹脂栓体。
4. 【請求項４】 前記ゴム状弾性体の両表面の少なくとも
   一部が栓体に覆われずに露出している請求項１記載の輸
   液容器における樹脂栓体。