JPH0677696B2 - レイモンドミルのタイヤ脱着方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本願発明は石炭，鉱石などの粉砕に広く使用されている
レイモンドミルのタイヤ脱着方法に係る。

［従来の技術］ レイモンドミルは粉砕部から上を第２図に略図で示した
ように中心に立設した竪軸10が下方（図示しない）から
伝えられる駆動力によって回転しスパイダー11によって
均等に複数ケ（通常は３ヶ）吊支するオイルジャーナル
12の底端にローラ９を回動自在に取付けている。このロ
ーラの側面と対向するのが環状のタイヤ１であり、タイ
ヤの内周面とローラの外周面との間に石炭などの被砕物
を噛み込んでこれを圧潰粉砕するものである。

タイヤ１の外周面は環状のタイヤホルダー８の内周面に
圧接して支えられており、機種によってはこのタイヤと
タイヤホルダーが一諸に回動する型式もあり、又はタイ
ヤは静止したままローラのみ回転する型式もある。ロー
ラを吊支したスパイダーが回転することによってローラ
に遠心力が働きタイヤの内周面へ押圧しようとする付勢
力によって両者の間に噛み込んだ被砕物を粉砕するが、
その摩耗が進行するとタイヤの肉厚が限度を超して破断
の虞れが生じるのと、粉砕能力が低下するので一定限度
まで摩耗が進行するとミルの稼動を停止してタイヤを本
体から取り外し新品と取替えなければならない。

摩耗したタイヤを取替えるためには第２図の構成から理
解できるようにタイヤホルダ８と全面に密着しているタ
イヤ１を吊り上げてミル外へ取り去らなければならない
が、ミルの上部にはタイヤ外径の先まで飛行塔のように
張り出した複数のスパイダーがあり、これを躱してその
上方へ抜け出さなくてはならない。このために吊り上げ
たタイヤを斜めに傾けてスパイダーを１つづつ越えるよ
うな不安定な吊り姿勢を余儀なくされるのでワイヤを巻
き回すなど無理な姿勢に遭っても容易に吊り具が外れな
いように配慮することが事故防止の上から強く望まれる
ところである。

しかしながらタイヤとタイヤホルダーとは一体的に全面
で密着しているからワイヤなどの吊り具でタイヤを巻き
回すことはできない。通常は耐摩耗材料（たとえば27％
Cr鋳鉄など）を鋳造したタイヤ上面に鋳造時あらかじめ
鋼製の鋳包みを少くとも直径方向で対向する２ヶ所埋設
しておき、機械加工の段階でこの鋳包み部に竪孔を穿孔
して雌ねじを刻設しミルに装着する。タイヤの取替え時
にはこの少くとも２ヶ所の雌ねじへ螺合する雄ねじを軸
とする吊り環をねじ込み、この少くとも２ヶの吊り環の
環へワイヤを通して上方へ吊り上げるより方法がなかっ
た。

またその他、タイヤ上面に別の吊り金具を溶接仮付けし
てこの金具にワイヤを係合して吊り上げると言う現場的
な施工方法も見ることがある。

［発明が解決しようとする課題］ ところでレイモンドミルのタイヤは且っては12％高マン
ガン鋼など鋼系の耐摩耗材を適用してきたから、普通鋼
に比較すれば孔あけ，ねじ切り加工が容易でないとは言
え、必ずしもそれが障害となるほど困難でもなかった
し、溶接仮付けによる吊り金具の取付けもさほど困難で
もなかった。

しかし耐用年数をより延命するためにはタイヤの耐摩耗
のより一層の向上が求められるのが時勢の流れであり、
従来の高マンガン鋼の実績では物足らないユーザーのた
めに27％Cr鋳鉄を代表とする高合金の白銑鋳鉄製タイヤ
が提供されるようになり、過去の数倍に達する耐用日数
を記録するようになった。

しかし一面このような材料は硬質で孔あけ，ねじ切りが
殆ど不可能な上、脆性から免れることが困難であるた
め、前記のように鋳造時に異材質（鋼）を鋳包んでも、
その境界面に脆化層が生じたり、甚しきは割れが走った
りする懸念を打ち消すことができない。

したがって鋳包み部から吊り上げても従来材料のような
信頼性が期待できず、いつ鋳包みがタイヤから抜け出し
てタイヤが転落するか分らないと言う不安定な状態から
脱け切れないので、少しだけ吊り上げてタイヤとタイヤ
ホルダーとの境界面に空隙を形成したところで木片など
のスペーサをタイヤの下に敷いて吊り具を外し、あらた
めてワイヤなどでタイヤ全体を空隙を利用して巻回して
本格的に吊り上げるなどきわめて煩瑣で不安全な作業を
強いられてきた。

またこの種の材質の溶接性が極端に悪いことも周知のこ
とであり、吊り金具を仮付けしてもこの溶接を頼りにタ
イヤの全重量をかけるような吊り上げ作業は危険この上
もなく、現場作業員の怨嗟の的となっていた。

本願発明は以上に述べた課題を解決するために安全で能
率的なタイヤの着脱方法の提供を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本願発明に係るレイモンドミルのタイヤ脱着方法は、タ
イヤの上面および下面の少くとも対応する２点に凹部を
設け、上下の凹部に共通して係合する少くとも２ヶのし
ゃこ万力をタイヤの内周面側から挾着し、該しゃこ万力
の上部を吊具で均等に吊上げ又は吊下してタイヤを垂直
に脱着することによって前記の課題を解決した。また、
ここでタイヤ上下面の凹部は上下の何れか又は双方が、
円孔又は環状凹溝、もしくは環状の段差の何れかである
ことも具体的に示した。

［作用・実施例］ 本願発明の作用を実施例の図面に基いて説明する。

第１図は本願発明の実施の一例であり、タイヤ１の上面
２には直径を結んだ対向点に２ヶの吊り孔3A,3Bを穿孔
し、下面４には環状の段差５を凹設する。２ヶ以上の凹
部と言う表現は、本例の下面のように全周面に亘って凹
部を形成したと言う意味でその範疇に含むものとする。
しゃこ万力６はコ形の本体61の上部に雌ねじ孔を貫通し
て、吊り杆62の外面に刻設した雄ねじと螺合し、下部に
は、この雌ねじと対向する係止部63を垂直に突設する公
知の構成である。

第１図のようにタイヤ１の相対向する２ヶ所の凹部（吊
り孔3A,3Bと段差５）に共通するしゃこ万力６を内周面
側から挾着し、前記吊り杆62の本体61の上部にロープ７
を均等に係合し垂直にロープを吊り上げると、タイヤ１
はタイヤホルダーの外側面から離れて静かに上昇する。

凹所の形成はこの例に限ることなく、第１表および第２
表のような組合せが考えられるので、そのいずれを採用
しても実施が可能である。

組合せは機械加工の難易などの条件を勘案して選択すれ
ばよい。

［発明の効果］ 本願発明は以上に述べたようにあらかじめタイヤを機械
加工を施す時点において僅かな作業を付加するだけで従
来の困難なタイヤの脱着をきわめて容易に能率良く済ま
せることができ、しかも安全上の懸念も払拭され現場の
災害追放に貢献する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願発明実施例の正面断面図、第２図はローラ
ミル全体のうち破砕部から上部を示す正面断面図。 １……タイヤ、２……上面、３……吊り孔 ４……下面、５……段差 ６……しゃこ万力、７……ロープ ８……タイヤホルダー、９……ローラ 61……しゃこ万力本体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】環状のタイヤホルダー内周面へ環状のタイ
   ヤ外周面を緊密に内嵌したレイモンドミルのタイヤ脱着
   方法において、タイヤの上面および下面の少くとも対応
   する２点に凹部を設け、上下の凹部に共通して係合する
   少くとも２ヶのしゃこ万力をタイヤの内周面側から挾着
   し、該しゃこ万力の上部を吊具で均等に吊上げ又は吊下
   してタイヤを垂直に脱着することを特徴とするレイモン
   ドミルのタイヤ脱着方法。
2. 【請求項２】請求項１においてタイヤ上下面の凹部は、
   上下の何れか又は双方が、円孔又は環状凹溝、もしくは
   環状の段差の何れかであることを特徴とするレイモンド
   ミルのタイヤ脱着方法。