JP2005515322A - 荷重リングを有するパイプ把持構造 - Google Patents

Abstract

ドリルストリングを挿入する開口を形成するよう接続された複数のスリップセグメントを有していて且つドリルストリングを支持する、ロータリースリップにおいて、各スリップセグメントは頭部領域と、爪先領域と、頭部及び爪先領域の間に軸方向に延びる内部半径方向表面とを備え、各スリップセグメントの内部半径方向表面は円周溝を備えている。複数の軸方向に位置合わせされたドリルストリングを把持するインサートが頭部領域と円周溝との間で各スリップセグメントに取り付けられており、各インサートはドリルストリングに接触する把持面を備えている。荷重リングが各スリップ要素の円周溝内に配置されており、この荷重リングは、荷重リングを円周溝内に固定するため複数の軸方向に位置合わせされたインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備えている。

Description

本発明は、改良型パイプ把持構造とパイプ把持構造を製造する方法とに関し、特に、改良された荷重持ち上げ特性を有するパイプ把持構造を提供するため荷重（ロード）リングをスリップアセンブリ（組立体）内に設置する方法に関する。

油田では、石油またはガスを掘削する際、プラットフォームを使用して円形ロータリーテーブルを支持する。モータ等を通じて回転エネルギーをロータリーテーブルに供給し、ロータリーテーブルを円運動させる。ロータリーテーブルは、ドリルストリングを通す中央開口またはボアを提供する中央ケリーブッシングを備えている。ケリーブッシングは通常、ケリーブッシングと相互係合して内部に保持したケリーを駆動する、マスターブッシング上のピンを収容する４つの「ピン穴」を具備する。ロータリーテーブル、ケリー、マスターブッシング及びケリーブッシングは、必要な回転力を実際にドリルストリングに付与し掘削を行う掘削装置（ドリリングリグ）の様々な部分に関する用語である。こうした削井設備は当該技術分野で周知である。

ドリルストリングのパイプの継手を追加または取り外しする場合、「スリップ」と呼ばれるくさびをロータリーテーブルの中央開口内のスリップボウルと呼ばれるボウルに挿入する。スリップはドリルパイプを保持し、ドリルパイプが坑井ボアの中に落下するのを防止する。スリップは手作業で設置してもよいが、その場合スリップは、「荒くれ者（ラフネック）」と呼ばれることも多い坑井作業員が把持して持ち上げるためのハンドルを備えている。別の場合、動力機械または油圧システムを使用してスリップを定位置に移動させてもよい。一度パイプをスリップで確実に保持すれば、パイプの追加部分をドリルストリングに追加するか、またはそれから取り外しできる。

場合によっては、スリップは中央の弓形スリップセグメントの両側に蝶番（ヒンジ）式に取り付けられた２つの弓形スリップセグメントを備えており、ドリルストリングの通るオリフィスを形成している。各スリップセグメントは、一連の垂直に積み重ねられた把持要素またはインサートを収容するための複数の軸方向に刻まれた溝を備える内部表面を有する。インサートは、スリップがパイプと係合する時ドリルストリングの方向に延びてそれを把持する粗面を有する。

大部分のスリップでは、軸方向の溝は蟻継ぎ（ｄｏｖｅｔａｉｌ）断面であり、スリップの上部から下部爪先部分まで蟻切りカッターによって加工されている。蟻切りカッターは円形の形状であり、鋳造物の底部まで下向きに切削を進めると、カッターは蟻継ぎ溝の底部に丸い部分を残す。パイプの軸方向荷重すなわち「フック」荷重がインサートを介して蟻継ぎ溝の末端に伝えられるので、この丸い部分には高い応力集中が作用する。この高い応力集中の結果、スリップセグメントの底部爪先部分が変形または破損することがある。

蟻継ぎ溝の底部の丸い部分によって発生する高い応力に対する１つの解決法は、カッターの円周方向にスリップセグメントの底部肩を通る逃げ溝を形成し、丸い部分を無くすことである。そして、半月形のインサートまたは荷重支持リングを逃げ溝に挿入し、底部肩に沿ってインサートを設置するための正方形の末端と平坦な支持表面を蟻継ぎ溝に形成する。しかし、インサートまたは荷重（ロード）リングを介して底部肩に伝えられる軸方向荷重が大きいため、こうしたインサートまたは荷重リングの大部分は、押し出されてしまうか、または底部鋳造物のより永続的な部分となるように定位置で硬化または溶接しなければならないことが多い。

こうした永続的な荷重支持装置はスリップの性能を改善することもあるが、荷重支持装置の損傷のためスリップセグメント全体を交換しなければならない可能性もある。こうした荷重支持装置の損傷はさまざまな理由によって発生しうる。例えば、スリップを使用してスリップの定格限度に近い軸方向荷重を発生するのに十分大きなサイズのドリルストリングを保持する場合、掘削装置の運動によって何らかの付加的な力が発生すると、インサートが押し込まれ、荷重リングが過荷重状態となる。こうした場合、荷重リングの交換が必要になる。荷重リングを底部ケーシングに永続的に溶接している場合、スリップ全体の交換が必要になるだろう。すなわち、荷重リングは磨耗するものであり過荷重状態になることもあるので、荷重リングが取り外し可能であることは重要である。

上記の問題に対して、９２８６８、カリフォルニア州オレンジ（Ｏｒａｎｇｅ，Ｃａｌｉｆｏｒｎｉａ ９２８６８）のバルコ・インターナショナル社（Ｖａｒｃｏ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ，Ｉｎｃ．）によって製造販売されるもののような取り外し可能荷重（ロード）リングが開発されている。詳しく言うと、この荷重リングはバルコ社の１，０００トン型 エレベータースパイダー（部品番号７０１００）用のスリップセグメント（部品番号７０１０２−１）と共に使用されている。この荷重リングは一般に半円形で、軸方向蟻継ぎ溝とスリップの底部肩に沿って中央に配置された逃げ溝に設置される。この荷重リングは通常ボルトによって定位置に固定される。

他の取り外し可能荷重リングには、米国特許第６，２６４，３９５号（’３９５号特許）で説明された種類のものが含まれる。既存のスリップアセンブリ（組立体）を改善すべく、’３９５号特許は逆の角度で円周溝を切ったスリップセグメントを有するスリップアセンブリを開示する。円周溝は荷重リングの相補的な形状の表面を収容し、荷重作用中に荷重リングが上方向に滑るのを防止するのに適している。荷重リングは、荷重リングに沿って間隔を開けて配置されたボルトによって溝の中に固定される。

既存の取り外し可能荷重リングは永続的に結合されたインサートに関連する問題に取り組む上で有用ではあったが、ねじ付きボルトまたは割りピン等の、この種の荷重リングを固定するために使用される留め具が新たな問題をもたらすことがある。例えば、上記の留め具は極端に大きな軸方向荷重を受けると緩んだり故障したりして、坑井ボア内に落ちることがある。

従って、取り外し可能で設置が容易な荷重リングに対する必要が存在している。この荷重リングは、緩んだり場合によっては坑井ボア内に落ちたりすることのある留め具または他の手段によって固定しないことが望ましい。

発明の概要
本発明の例示実施形態は、ドリルストリングを支持するロータリースリップを含んでおり、該ロータリースリップは、ドリルストリングを挿入するための開口を画定するよう接続された複数のスリップセグメントを備えており、各スリップセグメントが頭部領域と、爪先領域と、頭部及び爪先領域の間に軸方向に延びる内部半径方向（内径）表面とを備え、各スリップセグメントの内部半径方向表面が円周溝を備える。軸方向に位置合わせされたドリルストリングの把持のための複数のインサートが、頭部領域と円周溝との間で各スリップセグメントに取り付けられており、各インサートはドリルストリングに接触する把持面を備えている。荷重（ロード）リングが、各スリップセグメントの円周溝内に配置されており、この荷重リングは、荷重リングを円周溝内に固定するために、軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備えている。

本発明の別の実施形態では、上記で説明したロータリースリップの各スリップセグメントの内部半径方向表面は、各軸方向溝が円周溝内に延びるように頭部領域から円周溝に延びる、少なくとも１つの軸方向溝を備えている。

本発明の別の実施形態では、円周溝は上部、下部及び内部の表面を備え、荷重リングは内部、外部、上部及び下部の表面を備えているので、荷重リングの下部、外部及び上部の表面はそれぞれ円周溝の下部、内部及び上部の表面に嵌合する。さらに、少なくとも１つのタブが荷重リングの上部表面から突出しており、各タブが前部表面と後部表面とを備えているので、各タブの前部表面は荷重リングを円周溝内に固定するために、軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する。

本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付の図面と共に検討される以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解される。

図１は、坑井ボアのすぐ上にパイプまたはドリルストリング１４を吊り下げ、垂直軸１６の周りでドリルストリングを回転させる従来のロータリーテーブル１２を例示する。テーブル１２には、本発明による手動スリップシステム（装置）１０が含まれる。このシステム（装置）は、マスターブッシング１０１の中央開口１９内に設置されたスリップボウル１８と、スリップボウル１８内に回転可能に配置されたロータリースリップアセンブリ（組立体）２０とを含む。スリップボウル１８は、上部の「頭部」領域２４と下部の「爪先」領域２６との間で軸方向に延びる円筒形外壁２２と、爪先領域で直径が小さくなる先細内壁２８とによって画定される。

スリップアセンブリ２０は一般に、ボウル１８の先細内壁２８と係合してスリップアセンブリ２０がボウル１８内で回転運動しても横方向に移動しないように保持するのに適した先細外壁を有する複数のスリップセグメントを備えている。各スリップセグメントは、その内部表面に沿って、ドリルストリング１４を把持してドリルストリング１４が坑井ボアの中に落下するのを防止する一連のインサート６０と、少なくとも１つの円周溝７０とを保持している。１つの実施形態では、円周溝７０は各スリップセグメントの爪先領域２６内に配置されている。本発明では、図７に示すように、荷重（ロード）リング９０は円周溝７０によって収容され作動中インサート６０にかかる軸方向または「フック」荷重を吸収する。上記で参照した図面ではスリップの１つの実施形態を示しているが、理解されるように、スリップアセンブリ、スリップセグメント、及びインサートの数は変化してもよい。

図２を参照すると、図示実施形態では、スリップアセンブリ２０は、中央スリップセグメント３２と左側スリップセグメント３４と右側スリップセグメント３６とによって形成された、一般に環状の本体３０を備えている。スリップセグメントは垂直軸１６の周りで対称的に配置され、図１に示すように、ドリルストリング１４を受けるオリフィス３８を形成する。図２に示す実施形態は３つのスリップセグメントを備えるスリップアセンブリを示しているが、理解されるように各スリップアセンブリ中のスリップセグメントの数は変化してもよい。

左側及び右側スリップセグメント３４及び３６は、１対の蝶番（ヒンジ）ピン４０によって中央スリップセグメント３２の両側に蝶番式に取り付けられる。また、各スリップハンドルは、操作員がスリップボウル１８に係合した状態からスリップアセンブリ２０を持ち上げて外すか、または吊り上げて外すことができるようにセグメントの頭部に結合した手動ハンドル４２を含む。

各スリップセグメントは、内面５０と下向き先細外壁５２とによって画定される弓形本体形状を有する。１つの実施形態では、スリップセグメントはＣＭＳ０２グレード１５０−１３５鋼、またはＣＭＳ０１鋼により鋳造される。例示実施形態では、一連の軸方向溝５４がスリップセグメントの内面５０に沿って長手方向に刻まれている。（図４に詳細に示すように）軸方向溝５４はスリップセグメントの頭部領域２４から延び、円周溝７０の上部においてスリップセグメントの爪先領域２６を終点とする。

図３に示すように、軸方向溝５４は内部表面５７と、間隔の開いた側壁５５とを備えており、これらは組み合わされて一連のインサート６０を収容しそれと相互固定するように係合するのに適した断面を形成する。例えば、Ｔ形断面３１（図３Ｂに示す）、部分台形断面３３（図３Ｃに示す）または蟻継ぎ断面といった、インサート６０と相互固定するように係合して溝５４内にインサート６０を保持するのに適した任意の断面を利用してもよい。１つの実施形態では、軸方向溝５４の側壁５５は部分台形断面３３を形成するよう角度を付けられているかまたは先細になっており、インサート６０は台形の形状であるので、インサート６０を軸方向溝５４内に配置すると、インサート６０の角度を付けられた側面は軸方向溝５４の角度を付けられた側壁５５と相互固定するように係合する。

やはり図３に示すように、一連のインサート６０は軸方向溝５４によって収容される。各インサート６０は、溝５４の断面に対応する断面を形成する接触面６２を含む。また、各インサート６０は把持面６４を含む。１つの実施形態では、接触面６２は軸方向溝５４内に保持され、把持面６４は軸方向溝５４から出てオリフィス３８の中に延びる。把持面６４は、ドリルストリング１４がスリップと係合する時ドリルストリング１４を有効に把持して支持する把持要素６６（図２に示すような）を備えている。１つの実施形態では、インサート６０は５つずつ組になって軸方向溝５４内に垂直に積み重ねられているが、軸方向溝５４内に積み重ねられるインサートの数は、支持されるドリルストリング１４の外径、壁厚、及び材料強度等に基づいて変化してもよい。１つの実施形態では、例えば、インサート６０は浸炭（ｃａｒｂｕｒｉｚｅｄ）８６２０低合金鋼から形成する。

図４及び図５Ａ〜図５Ｂを参照すると、円周溝７０は、フライス加工または他の方法で爪先領域２６のスリップセグメントの内面５０を切削することによって形成する。円周溝７０は、以下説明するように荷重（ロード）リング９０を収容する。円周溝７０は、軸方向溝５４の末端を形成する上部表面７２と、内部表面７４と、内面５０と共に肩７８を形成する下側表面７６とによって画定される。長円形の切り欠き８０が円周溝７０の上部表面７２に沿って分布し、荷重リング９０に結合する固定要素９６（図５Ｂに示す）を収容する。切り欠き８０は、上部表面７２に沿って軸方向溝５４に対応する場所に配置される。各切り欠き８０は、切り欠き８０の上部部分８２が対応する軸方向溝５４の中のくぼみとなり、切り欠き８４の下部部分が円周溝７０の内部表面７４の中のくぼみとなるように上部表面７２に沿って配置される。

図６Ａ〜図６Ｃに示すように、各荷重リング９０は、各荷重リング９０が円周溝７０内に確実に嵌合するような寸法を有するほぼ１２０°の弓形セグメントを備えている。荷重リング９０は、肩７８と係合する下部表面９１と、溝の内壁７４と係合する外部表面９２と、溝の上部表面７２と係合する上部表面９３と、スリップセグメントの内面５０と面一に設置される内部表面９４とによって画定される。１つの実施形態では、荷重リング９０は、４０シリーズ鋼、４１４１または４３４０等の鍛造された金属から機械加工し、熱処理工程によって約１１７２ＭＰａ（約１７０ｋｉｐｓ）〜約１２０７ＭＰａ（約１７５ｋｉｐｓ）の引張り強さにまで硬化する。

荷重リング９０に沿ってスリップセグメント内の切り欠き８０に対応する場所に配置された固定要素またはタブ９６は上部表面９３から上向きに延び、外部表面９２から下向きに延びる。タブ９６は切り欠き８０に対応する形状に形成されるので、荷重リング９０を円周溝７０内に設置するとタブ９６は切り欠き８０に完全に係合する。各タブ９６は、タブ９６の背面９８が切り欠き８０内に収容される時、タブ９６の前面９７が軸方向溝５４の内部表面５７と面一になるように概略形成されている。すなわち、インサート６０はタブ９６の前面９７の上で軸方向溝５４内を摺動して荷重リング９０の上部表面９３に係合できるので、インサート６０の１つが荷重リング９０に係合すると、タブ９６の前面９７と荷重リング９０の上部表面９３とに係合して荷重リング９０を円周溝７０内に保持する。１つの実施形態では、タブ９６と対応する切り欠き８０とは「厳密な公差」をもって形成されているので、タブ９６は切り欠き８０内に「適合」する。１つの実施形態では、タブ９６と切り欠き８０とは曲線の縁端を有する。

本発明は、従来技術のインサートまたはリングよりも有利な取り外し可能荷重リング９０を提供する。本発明の荷重リング９０は設置の際、定位置で硬化及び溶接する必要がない。荷重リングは磨耗するものであり作動中過荷重状態になることもあるので、荷重リングが取り外し可能であることは重要である。さらに、本発明の荷重リング９０は、荷重リング９０を円周溝７０内に固定するねじ付きボルトを必要としない。これは、動作中ボルトが「抜けたり」外れたりして坑井ボア内に落下する可能性を減少させるので有利である。

荷重リング９０は、荷重リングのタブ９６がスリップセグメントの切り欠き８０に完全に係合するように、まず円周溝７０内にそれを設置することによって各スリップセグメント内に設置する。次に、インサート６０をスリップセグメントの軸方向溝５４内で垂直に積み重ねる。垂直に積み重ねられたインサート６０の最初のものは荷重リング９０と係合し荷重リング９０を円周溝７０内に固定する。インサート６０を軸方向溝５４内に積み重ねたら、スリップセグメントの頭部の位置で肩内に置かれたリテーナーリング１００（図２）を使用して積み重ねられたインサートを定位置に保持する。リテーナーリングは、ねじ付きボルトによってスリップセグメントの頭部領域に固定する。

作動中、ドリルストリング１４からインサート６０にかかる軸方向またはフック荷重は、荷重リング９０に対してインサートをさらに確実に係合するよう作用する。荷重リング９０は軸方向及びフック荷重を吸収し、それを円周溝７０の肩７８に沿って均一に分布させるよう機能する。すなわち、軸方向及びフック荷重は円周溝７０の肩７８に沿って均一に分布し溝５４の末端に集中しない。荷重がこのように均一に分布しているため、過度の軸方向またはフック荷重によるスリップセグメントの爪先領域に沿った変形または破損の可能性が減少する。

上記の実施形態ではスリップセグメント当たり１つのみの荷重リング９０が説明されているが、任意の数の荷重リングを使用してインサート６０が保持する荷重の分布を変更してもよい。例えば、図７Ａ及び図７Ｂに示すように、各スリップセグメントの中央領域で第２の荷重リング９０’を使用してもよい。この構成によってスリップの長さに沿った軸方向またはフック荷重の分布が変更され、圧縮荷重の約６０％が爪先領域で荷重リング９０によって保持され圧縮荷重の約４０％が中央領域で第２の荷重リング９０’によって保持されるようになる。１つの実施形態では、定格約３５０トン〜約５００トンのスリップは１つの荷重リング９０を利用してもよく、定格約７５０トン以上のスリップは少なくとも荷重リング９０と第２の荷重リング９０’とを利用してもよい。

代替実施形態では、図６Ａ〜図６Ｃに示すように、割りピンまたはねじ付きボルト等の追加留め具を使用して荷重リング９０を円周溝７０内に固定してもよい。例えば、各スリップセグメントは割りピンまたはねじ付きボルトを収容する１つかそれ以上の開口１０２を備えてもよい。

本発明の荷重リングは、図７Ａ及び図７Ｂに示すような手動スリップアセンブリ１０で使用するだけでなく、図８に示すようにパワースリップアセンブリ１０’のインサートキャリア内で使用してもよい。

本出願で説明され例示された実施形態は例示的なものに過ぎず本発明の範囲に対する制限とみなすべきでないことを理解されたい。本発明の精神と範囲の中で変形及び修正を行ってもよい。従って、本発明は開示された好適実施形態の個々の特長によってではなく、以下の請求項の範囲によって制限されることが意図される。

図１は、ロータリーテーブル上に設置された本発明による手動スリップシステムの部分概略断面図である。 図２は、図１のスリップシステムの分解立体図である。 図３Ａは、略図の形で示したドリルパイプと組み合わされた、図１の線３−３で切った部分水平断面図である。 図３Ｂは、内部に配置されたインサートを有する本発明のスリップセグメントの部分断面図である。 図３Ｃは、内部に配置されたインサートを有する本発明のスリップセグメントの部分断面図である。 図４は、本発明によるスリップセグメントの爪先部分の部分立体図である。 図５Ａは、図４の線５Ａ−５Ａで切った部分垂直断面図である。 図５Ｂは、スリップセグメントに隣接した荷重リングとインサートとを有する図５Ａの部分垂直断面図である。 図６Ａは、本発明による１組の荷重リングの上面図である。 図６Ｂは、本発明による荷重リングの背面図である。 図６Ｃは、図６の線６Ｃ−６Ｃで切った断面図である。 図７Ａは、スリップが半開位置にある、本発明による手動ロータリースリップの上面図である。 図７Ｂは、図７Ａの手動ロータリースリップの断面図である。 図８は、本発明の１つの実施形態による荷重リングがパワースリップシステムのインサートキャリア内に設置された、パワースリップセグメントの正面図である。

Claims (26)

1. ドリルストリングを支持するロータリースリップにおいて、このロータリースリップは、
   前記ドリルストリングを挿入するための開口を画定するよう接続された複数のスリップセグメントであって、各スリップセグメントが頭部領域と、爪先領域と、前記頭部及び爪先領域の間に軸方向に延びる内部半径方向表面とを備え、各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が円周溝を備える、複数のスリップセグメントと、
   前記頭部領域と前記円周溝との間で各スリップセグメントに取り付けられていて且つ軸方向に位置合わせされた、ドリルストリングの把持のための複数のインサートであって、各インサートが前記ドリルストリングに接触する把持面を備える、複数のインサートと、
   各スリップセグメントの前記円周溝内に配置された荷重リングであって、前記荷重リングは、前記荷重リングを前記円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備える、荷重リングと、
   を具備するロータリースリップ。
2. 各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が、各軸方向溝が前記円周溝内に延びるように前記頭部領域から前記円周溝に延びる少なくとも１つの軸方向溝を備える、請求項１に記載のロータリースリップ。
3. 前記軸方向に位置合わせされたドリルストリングの把持のための複数のインサートが各々、前記少なくとも１つの軸方向溝の対応するものの中に少なくとも部分的に配置されてそれと相互固定するように係合する、請求項２に記載のロータリースリップ。
4. 各軸方向溝が内部表面を有し、各スリップセグメントの前記軸方向溝の少なくとも１つの前記内部表面がくぼんだ切り欠きを備える、請求項２に記載のロータリースリップ。
5. 各荷重リングの前記少なくとも１つの固定要素の１つが前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応するものと嵌合する、請求項４に記載のロータリースリップ。
6. 各固定要素が前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応するものと嵌合する時、前記固定要素が前記軸方向溝の前記内部表面と実質的に面一である、請求項５に記載のロータリースリップ。
7. 前記荷重リングを前記円周溝内に固定するために、前記少なくとも１つの固定要素と係合する、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つがさらに前記固定要素を前記くぼんだ切り欠き内に固定する、請求項５に記載のロータリースリップ。
8. 前記荷重リングを前記円周溝内に固定するよう設計された少なくとも１つの補助留め具を更に備える、請求項１に記載のロータリースリップ。
9. 前記補助留め具が、割りピン及びねじ付きボルトからなるグループから選択される、請求項８に記載のロータリースリップ。
10. 第２の荷重リングを更に備え、更に
    各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が第２の円周溝を備え、前記第２の荷重リングが各スリップセグメントの前記第２の円周溝内に配置され、前記第２の荷重リングが、前記第２の荷重リングを前記第２の円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備える、請求項１に記載のロータリースリップ。
11. ドリルストリングを支持するロータリースリップにおいて、このロータリースリップは、
    前記ドリルストリングを挿入するための開口を画定するよう接続された複数のスリップセグメントであって、各スリップセグメントが頭部領域と、爪先領域と、前記頭部及び爪先領域の間に軸方向に延びる内部半径方向表面とを備え、各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が円周溝と、各軸方向溝が前記円周溝内に延びるように前記頭部領域から前記円周溝に延びる少なくとも１つの軸方向溝とを備える、複数のスリップセグメントと、
    前記軸方向溝の対応するものに取り外し可能に結合されていて且つ軸方向に位置合わせされた、ドリルストリングの把持のための複数のインサートであって、各インサートが前記ドリルストリングに接触する把持面を備える、複数のインサートと、
    各スリップセグメントの前記円周溝内に配置された荷重リングであって、前記荷重リングが、前記荷重リングを前記円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備える荷重リングと、
    を具備するロータリースリップ。
12. 前記軸方向に位置合わせされたドリルストリングの把持のための複数のインサートが各々、前記少なくとも１つの軸方向溝の対応するものの中に少なくとも部分的に配置されてそれと相互固定するように係合する、請求項１１に記載のロータリースリップ。
13. 各軸方向溝が内部表面を有し、各スリップセグメントの前記軸方向溝の少なくとも１つの前記内部表面がくぼんだ切り欠きを備える、請求項１１に記載のロータリースリップ。
14. 各荷重リングの前記少なくとも１つの固定要素の１つが前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応するものと嵌合する、請求項１３に記載のロータリースリップ。
15. 各固定要素が前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応するものと嵌合する時、前記固定要素が前記軸方向溝の前記内部表面と実質的に面一である、請求項１４に記載のロータリースリップ。
16. 前記荷重リングを前記円周溝内に固定するために、前記少なくとも１つの固定要素と係合する、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つがさらに前記固定要素を前記くぼんだ切り欠き内に固定する、請求項１４に記載のロータリースリップ。
17. 前記荷重リングを前記円周溝内に固定するよう設計された少なくとも１つの補助留め具を更に備える、請求項１１に記載のロータリースリップ。
18. 前記補助留め具が、割りピン及びねじ付きボルトからなるグループから選択される、請求項１７に記載のロータリースリップ。
19. 第２の荷重リングを更に備え、更に
    各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が第２の円周溝を備え、前記第２の荷重リングが各スリップセグメントの前記第２の円周溝内に配置され、前記第２の荷重リングが、前記第２の荷重リングを前記第２の円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備える、請求項１１に記載のロータリースリップ。
20. ドリルストリングを支持するロータリースリップにおいて、このロータリースリップは、
    前記ドリルストリングを挿入するための開口を画定するよう接続された複数のスリップセグメントであって、各スリップセグメントが頭部領域と、爪先領域と、前記頭部及び爪先領域の間に軸方向に延びる内部半径方向表面とを備え、各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が円周溝と、各軸方向溝が前記円周溝内に延びるように前記頭部領域から前記円周溝に延びる少なくとも１つの軸方向溝とを備え、前記円周溝が上部、下部及び内部の表面を備える、複数のスリップセグメントと、
    前記軸方向溝の対応するものに取り外し可能に結合していて且つ軸方向に位置合わせされた、ドリルストリングの把持のための複数のインサートであって、各インサートが前記ドリルストリングに接触する把持面を備える、複数のインサートと、
    内部、外部、上部及び下部の表面を有する荷重リングであって、前記荷重リングの下部、外部及び上部の表面がそれぞれ前記円周溝の下部、内部及び上部の表面に嵌合するように、前記荷重リングが各スリップ要素の前記円周溝内に配置される、荷重リングと、
    前記荷重リングの上部表面から突出する少なくとも１つのタブであって、各タブの前部表面が前記荷重リングを前記円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合するように、各タブが前部表面と後部表面とを備える、少なくとも１つのタブと、
    を具備するロータリースリップ。
21. 前記軸方向に位置合わせされたドリルストリングの把持のための複数のインサートが各々前記少なくとも１つの軸方向溝の対応するものの中に少なくとも部分的に配置されてそれと相互固定するように係合する、請求項２０に記載のロータリースリップ。
22. 各スリップセグメントの前記軸方向溝の少なくとも１つの内部表面がくぼんだ切り欠きを備える、請求項２０に記載のロータリースリップ。
23. 前記少なくとも１つの荷重リングのタブが、前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応するものと嵌合する時各荷重リングのタブの前部表面が前記軸方向溝の内部表面と実質的に面一になるように、前記少なくとも１つの荷重リングのタブの１つが前記軸方向溝のくぼんだ切り欠きの対応する１つと嵌合しており、更に
    前記荷重リングを前記円周溝内に固定するため前記タブの前部表面と係合する、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つが、前記タブを前記くぼんだ切り欠き内に更に固定する、
    請求項２２に記載のロータリースリップ。
24. 前記荷重リングを前記円周溝内に固定するよう設計された少なくとも１つの補助留め具を更に備える、請求項２０に記載のロータリースリップ。
25. 前記補助留め具が、割りピン及びねじ付きボルトからなるグループから選択される、請求項２４に記載のロータリースリップ。
26. 第２の荷重リングを更に備え、更に
    各スリップセグメントの前記内部半径方向表面が第２の円周溝を備え、前記第２の荷重リングが各スリップセグメントの前記第２の円周溝内に配置され、前記第２の荷重リングが、前記第２の荷重リングを前記第２の円周溝内に固定するために、前記軸方向に位置合わせされた複数のインサートの１つと係合する少なくとも１つの固定要素を備える、請求項２０に記載のロータリースリップ。

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