JPH0676691U - 軸封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転停止時にケーシング内の水位が軸封水位
より高くなっても外部への漏れ出しを確実に防止できる
ようにする。 【構成】 回転軸２に固定した環状のシール体用のホル
ダ９に、ケーシング１側の固定シール面部７ａに径方向
外方から対向する接触片１２をもった複数の可動シール
体１０を径方向にスライド変位可能に保持させ、上記回
転軸２の回転停止時には、ばね力で接触片１２を固定シ
ール面部７ａに接触させ、かつ上記回転軸２の回転時に
は、遠心力で接触片１２が固定シール面部７ａから離反
するのを許容するばね部材１３を上記ホルダ９と可動シ
ール体１０との間に掛設し、回転軸２の停止時に上記接
触片１２と固定シール面部７ａとの間を封止するシール
部材１５を上記固定シール面部７ａ側に設けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主として、立軸ポンプなどのように、ケーシングを貫通する回転軸 をもった回転機械に用いられる軸封装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば立軸ポンプでは、図５に示すように、縦向き姿勢に配設されたケーシン グ１０２内の羽根車１０３をモータ１０１を介して駆動回転させる回転軸１０４ が上記ケーシング１０２内に縦姿勢に挿通されており、この回転軸１０４の基端 側が上記ケーシング１０２の上端壁部を貫通して上方へ突出している。そのため に、この回転軸１０４と上記ケーシング１０２の上端壁部との間（回転軸の貫通 部）に軸封装置１０５が設けられている。

【０００３】 この軸封装置１０５として、従来は、図６に示すように、非接触シールとして のラビリンスシール１０６をケーシング１０２における貫通孔１０７に嵌着保持 させることにより、回転軸１０４に対して非接触の状態で該回転軸１０４とケー シング１０２との間を液封する構成が採られていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようにラビリンスシール１０６を使用してなる従来の軸封装置によれば 、ポンプ停止時において、立軸ポンプの吸込水位が図５に示す通常のレベルＷＬ の場合はラビリンスシール１０６より水が漏れ出すことはないが、上記吸込水位 が軸封位置よりも高い水位ＨＷＬになった場合には、上記ラビリンスシール１０ ６と回転軸１０４の間隙より水が漏れ出し、ポンプフロア１０８が浸水状態とな る恐れがあった。

【０００５】 本考案は上記のような問題点を解消するためになされたもので、回転軸の回転 時には非接触にして摩耗を招かず、回転停止時には水の漏れ出しを確実に防止す ることができる軸封装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係る軸封装置は、ケーシングにおける回 転軸の貫通部に非接触シールを設けた軸封装置において、上記回転軸に外嵌固定 された環状のシール体用ホルダと、上記回転軸の軸廻りで上記ケーシング側に設 けられた環状のシール面部と、この環状のシール面部に径方向の外方から対向す る接触片をもち、上記回転軸の軸廻りにそれぞれの隣接端部同士が重なり合う状 態で上記ホルダに対してそれぞれ径方向にスライド変位可能に保持された複数の 可動シール体と、この可動シール体に常時、径方向の内方へのばね力を付与して 回転軸の回転停止時に接触片を上記固定シール面部に弾性的に接触させ、かつ、 回転軸の回転時には上記可動シール体の遠心力でばね力に抗して上記接触片が固 定シール面から離反するのを許容するばね部材と、上記固定シール面部側に設け られ、上記回転軸の回転停止時に上記固定シール面部と接触片との間を封止する 環状のシール部材とを備えたものである。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、回転軸の回転停止時には、シール体用ホルダに保持されてい る複数の可動シール体がそれぞればね部材のばね力により径方向の内方側へスラ イド変位して、該可動シール体側の接触片がケーシング側の固定シール面部にシ ール部材を介して弾性的に密着状態に接触するために、両者間が封止される。こ のため、例えばポンプ吸込水位が軸封水位より上昇しても、上記固定シール面部 と接触片との間の封止作用によって外部への漏水を防止することができる。また 、回転軸の回転時には、上記可動シール体がそれぞれ遠心力によりばね力に抗し て径方向の外方側にスライド変位し、これにともなって接触片が固定シール面部 から離反するので、回転軸に対して非接触シールの状態に保たれ、上記固定シー ル面部や接触片の摩耗による軸封装置の機能低下を抑制することができる。

【０００８】

【実施例】 以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。 図１および図２はそれぞれ本考案の一実施例による軸封装置を立軸ポンプに適 用した場合の縦断面図であり、図１は運転停止状態、図２は運転状態を示す。

【０００９】 図１および図２において、１は回転軸２を貫通支持しているケーシングで、ケ ーシング本体３とカバー４からなる。上記ケーシング本体３における回転軸貫通 孔５には、上記回転軸２に外嵌される非接触シールとしてのラビリンスシール６ が保持されており、上記回転軸貫通孔５の部位を封止している。

【００１０】 上記カバー４には、上記回転軸２の軸廻りに環状のボス部７が一体に形成され ており、その外周面が環状の固定シール面部７ａに構成されている。また、上記 回転軸２には、その外周面側に環状凹溝８が形成された環状のシール体用ホルダ ９が外嵌固定されている。１０は上記ホルダ９の外周側に嵌合する嵌合部１１を 有する複数の可動シール体であり、上記回転軸２の軸廻り方向、換言すれば、ホ ルダ９の周方向に等間隔に配設されるとともに、該ホルダ９に対して径方向にス ライド変位可能に嵌合保持されている。また、上記可動シール体１０は、隣接端 部同士が図３および図４に示すように、シール部材１０ａを介して当接するよう に形成されている。１２は上記可動シール体１０に回転軸２の軸方向に沿って突 設された接触片であり、上記固定シール面部７ａに対して径方向の外方から対向 されている。

【００１１】 １３は上記ホルダ９と可動シール体１０との間に掛設されて上記可動シール体 １０に常時、径方向内方へのばね力を付与する引張ばね（ばね部材）であり、上 記回転軸２の回転停止時には、上記接触片１２を上記固定シール面部７ａに弾性 的に接触させ、回転軸２の回転時には、上記ばね力に抗した可動シール体１０の 遠心力で接触片１２が固定シール面部７ａから離反するのを許容するように設定 されている。上記固定シール面部７ａに形成された環状凹部１４には、上記回転 軸２の回転停止時に上記接触片１２に密着する環状のシール部材、たとえばＯリ ング１５が嵌着されている。

【００１２】 つぎに、上記構成の動作について説明する。 回転軸２の回転停止時においては、上記ホルダ９に保持されている可動シール 体１０が引張ばね１３のばね力を受けて図１に示すように、径方向内方側へスラ イド変位しているので、接触片１２はケーシング１側の固定シール面部７ａに弾 性的に接触し、さらにＯリング１５によって両者７ａ，１２間が液密に封止され る。このため、吸込水位が軸封水位よりも高くなり、ラビリンスシール６からの 水漏れが発生しても、上記固定シール面部７ａと接触片１２との間の液封作用で 上記漏れた水が外部に出ることを阻止することができる。尚、メンテナンス用に ドレンパイプ１６を設ける場合には、ドレンパイプ１６に開閉バルブ１７を設け 、常時は開閉バルブ１７を閉成しておく。

【００１３】 また、上記回転軸２が回転する状態、つまりポンプ運転状態においては、可動 シール体１０が遠心力で引張ばね１３のばね力に抗して図２に示すように、径方 向外方へスライド変位するので、接触片１２が固定シール面部７ａから離反した 状態に保たれる。すなわち、ポンプ運転時には、ケーシング１の回転軸貫通部は ラビリンスシール６による非接触によるシール機能で封止される一方、上記接触 片１２と固定シール面部７ａとの間の摩擦が生じないので、それら接触片１２お よび固定シール面部７ａの摩耗による液封機能の低下を抑制することができる。

【００１４】 尚、本実施例においては、軸封装置をラビリンスシール６の上方に設ける構成 を開示したが、ラビリンスシール６の下方位置に設けることも可能である。この 場合には、固定シール面部としてラビリンスシール６の外周面を利用する構成な どが考えられる。また上記の実施例では、立軸ポンプに適用して説明したが、本 考案の軸受装置は、立軸ポンプ以外の流体用回転機械に適用可能である。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ケーシング側の固定シール面部に径方向の外方 から対向する接触片をもった複数の可動シール体を径方向にスライド変位可能に 保持させ、上記ホルダと可動シール体との間のばね部材により上記回転軸の停止 時に接触片を固定シール面部にシール部材を介して密着させ、回転時に可動シー ル体の遠心力で接触片を固定シール面部から離反させるようにしたので、回転軸 停止時にケーシング内の水位が軸封水位より高くなっも、水が外部に漏れ出すこ とを確実に阻止することができ、所定の軸封機能を確保することができる。また 、回転軸の回転時には、接触片および固定シール面部の摩耗をなくして、軸封装 置の使用寿命の延長化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による軸封装置を立軸ポンプ
に適用して運転停止状態で示す縦断面図である。

【図２】同実施例における軸封装置を立軸ポンプの運転
状態で示す縦断面図である。

【図３】同軸封装置における可動シール体の重合状態を
示す平面図である。

【図４】図３のＸ−Ｘ線の矢視断面図である。

【図５】立軸ポンプの使用状態の概略構成図である。

【図６】従来の軸封装置を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ ラビリンスシール ７ａ 固定シール面部 ９ ホルダ １０ 可動シール体 １２ 接触片 １３ ばね部材 １５ シール部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングにおける回転軸の貫通部に非
   接触シールを設けた軸封装置において、上記回転軸に外
   嵌固定された環状のシール体用ホルダと、上記回転軸の
   軸廻りで上記ケーシング側に設けられた環状のシール面
   部と、この環状のシール面部に径方向の外方から対向す
   る接触片をもち、上記回転軸の軸廻りにそれぞれの隣接
   端部同士が重なり合う状態で上記ホルダに対してそれぞ
   れ径方向にスライド変位可能に保持された複数の可動シ
   ール体と、この可動シール体に常時、径方向の内方への
   ばね力を付与して回転軸の回転停止時に接触片を上記固
   定シール面部に弾性的に接触させ、かつ、回転軸の回転
   時には上記可動シール体の遠心力でばね力に抗して上記
   接触片が固定シール面から離反するのを許容するばね部
   材と、上記固定シール面部側に設けられ、上記回転軸の
   回転停止時に上記固定シール面部と接触片との間を封止
   する環状のシール部材とを備えたことを特徴とする軸封
   装置。