JPH0675207A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法

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JPH0675207A
JPH0675207A JP16303492A JP16303492A JPH0675207A JP H0675207 A JPH0675207 A JP H0675207A JP 16303492 A JP16303492 A JP 16303492A JP 16303492 A JP16303492 A JP 16303492A JP H0675207 A JPH0675207 A JP H0675207A
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crystal material
composite film
polymer
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JP16303492A
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Kensaku Takada
憲作 高田
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Koji Hara
浩二 原
Junichi Ono
純一 小野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 相分離法によって複合膜を形成する際の材料
選択の制約を解消し、電気光学特性にすぐれた理想的な
複合膜を有する液晶表示素子を製造する方法を提供す
る。 【構成】 マトリクス用高分子と液晶材料Aとを含む塗
布液から、相分離により、高分子マトリクス10の連続
した孔内に液晶材料Aが充填された構造の複合膜1を形
成し、次いで、この複合膜1中の液晶材料Aの一部また
は全部を、液晶材料Bで置換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TV画面や一般OA機
器用、あるいは自動車等の表示パネル用の表示装置等に
使用される液晶表示素子の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子は、数μmの間隔に
固定した一対の基材間に液晶材料を注入することによっ
て形成されていた。しかしながら上記構成では、大面積
のデイスプレイの作成が困難であり、また液晶を封入し
た一対のガラス基板には、それぞれ、偏光軸が互いに直
交した偏光板を取付ける必要があるため、画面の明る
さ、視野角等が不充分であった。
【0003】そこで近時、高分子と液晶材料とを溶媒中
に溶解した溶液を基材上に流延塗布し、溶媒を蒸発させ
て両者を相分離させることで、スポンジ状構造の高分子
マトリクスの連続した孔内に、液晶材料が充填された構
造の複合膜を形成した後、この複合膜上に基材を重ね合
わせた液晶表示素子が、九州大学の梶山千里教授らのグ
ループにより開発された[たとえば、Polymer Preprint
s,Japan Vol.37,No.8,P2450 (1988)、CHEMISTRY LETT
ERS,P813-816,1989 、CHEMISTRY LETTERS,P679-682,197
9 、Journal of Applied Polymer Science,Vol.29,3955
-3964(1984) 等参照]。
【0004】上記液晶表示素子においては、無電圧時に
は、孔内の液晶分子がランダムな状態にあるため、入射
光が散乱されて、複合膜は不透明な状態になっている。
そして、複合膜を挾んだ一対の基材間に電圧が印加され
ると、Δε>0[但し、Δεは誘電率異方性であって、
式:
【0005】
【数1】
【0006】で表される(なお、
【0007】
【外1】
【0008】は分子軸方向の誘電率、
【0009】
【外2】
【0010】は分子軸に対して直交方向の誘電率を示
す)]のとき、液晶分子が電場方向に配向して、入射光
が散乱されずに複合膜を通過できるようになり、複合膜
が透明な状態に転換する電気光学効果を示す。上記構成
からなる液晶表示素子においては、高分子と液晶材料と
を含有する溶液を塗布、乾燥させるだけで、上述した電
気光学効果を有する複合膜を形成できるため、液晶表示
素子の大面積化が容易である。しかも、高分子化合物の
選択により複合膜に可撓性を付与できる上、表面に導電
膜を形成する等して導電性を付与した可撓性のフィルム
等を基材として使用できるため、液晶表示素子への可撓
性の付与が可能になるという利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】複合膜の電気光学特性
は、主として液晶材料の物性(たとえば誘電率異方
性、弾性定数、屈折率異方性、粘性、相転移温度等)、
マトリクス用高分子の物性、ならびに、複合膜の構
造、とくに高分子マトリクスの微細孔の構造(形状や大
きさ)、の3つの要素により決まる。つまりこれら3要
素の適切な選択により、複合膜に、用途に応じた好まし
い電気光学特性を付与することが可能となる。
【0012】ところがの複合膜の構造は、前記複合膜
の製造方法からわかるように、液晶材料とマトリクス用
高分子との相溶性等、両者の相互作用に依存して変化す
るため、電気光学特性にすぐれた理想的な構造の複合膜
を形成できる液晶材料とマトリクス用高分子の組み合わ
せは、自ずと限定されてしまう。そして、そのような液
晶材料とマトリクス用高分子は、必ずしも物性的にすぐ
れたものとは限らないので、上記〜の要素を全て満
足する複合膜を形成するのは困難である。
【0013】またの液晶材料は、相分離により複合膜
を形成する際に、一部の成分が分解したり、成膜時の乾
燥過程で低沸点成分が揮発したり、あるいはマトリクス
用高分子中へ一部の成分が溶入したりして組成が変化し
てしまい、所期の物性が得られなくなるおそれがある
他、硬化性のマトリクス用高分子を使用した場合に、液
晶材料中の成分がその硬化反応を阻害するおそれもあ
る。さらに、液晶材料が2色性色素を含む場合には、成
膜過程で色素がマトリクス用高分子中に溶入して、コン
トラストが悪化するおそれもる。
【0014】したがって従来は、上記のような種々の問
題の発生を防止するため、使用可能な液晶材料およびマ
トリクス用高分子が制限され、自由な材料選択ができな
いという問題があった。本発明は、以上の事情に鑑みて
なされたものであって、材料選択の制約を解消し、電気
光学特性にすぐれた理想的な複合膜を有する液晶表示素
子を製造する方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、本発明の液晶表示素子の製造方法は、マ
トリクス用高分子と液晶材料とを溶媒に溶解または分散
させた塗布液から、相分離により、スポンジ状構造を有
する高分子マトリクスの連続した孔内に液晶材料が充填
された構造の複合膜を形成し、次いで、形成された複合
膜中の液晶材料の一部または全部を、当該液晶材料と同
じ液晶材料、または組成の異なる液晶材料で置換するこ
とを特徴とする。
【0016】上記構成からなる本発明の製造方法によれ
ば、たとえば、相分離により理想的な構造の複合膜を形
成できる液晶材料とマトリクス用高分子とを組み合わせ
て複合膜を形成した後、膜中の液晶材料の一部または全
部を他の液晶材料と置換することにより、相分離によっ
て複合膜を形成すると前記のような種々の問題を生じる
液晶材料とマトリクス用高分子の組み合わせからなり、
しかも、理想的な構造の複合膜を形成することができ
る。また相分離によって組成が変化する液晶材料の場
合、複合膜の形成後、組成が変化した膜中の液晶材料の
一部または全部を、組成が変化していない同じ液晶材料
と置換することにより、液晶材料の組成の変化のない複
合膜を形成することができる。したがって本発明によれ
ば、材料選択の制約を解消し、電気光学特性にすぐれた
理想的な複合膜を有する液晶表示素子を製造することが
可能となる。
【0017】以下に本発明を説明する。本発明の製造方
法は、図6に示すように、複合膜1が、一対の基材2,
3で挟着された構造の液晶表示素子Lを製造するための
もので、まず図1(a) に示すように、一枚の基材2の表
面に複合膜1を形成する。複合膜1の形成方法は従来と
同様であって、マトリクス用高分子と液晶材料Aとを適
当な溶媒中に溶解または分散させた塗布液を、基材2の
表面に塗布する。そして溶媒を蒸発させると、熱可塑性
のマトリクス用高分子の場合は乾燥固化に伴って、また
硬化性のマトリクス用高分子の場合は硬化反応に伴っ
て、マトリクス用高分子と液晶材料とが相分離し、スポ
ンジ状構造を有する高分子マトリクス10の連続した孔
内に液晶材料Aが充填された構造の複合膜1が形成され
る。
【0018】なお複合膜1の微細孔は、液晶材料の置換
のために、複合膜1の表面まで繋がった連続孔である必
要があるが、マトリクス用高分子と液晶材料の配合割合
によっては連続孔が形成されない場合もあるので、塗布
液中における両者の配合割合には注意が必要である。つ
ぎにこの複合膜1の上に、図1(b) に示すように、液晶
材料Aと同じかまたは組成の異なる液晶材料Bを流延塗
布する。そして、この状態でしばらく放置すると、液晶
材料Bが複合膜1中に拡散する。複合膜1の上に液晶材
料Bを流延塗布するには、たとえば図2に示すバーコー
ターCを用いたバーコート法など、従来公知の種々の塗
布方法がいずれも採用可能である。
【0019】つぎに図1(c) に示すように、液晶材料B
の上にもう1枚の基材3を重ね合わせ、図中白矢印で示
すように全体を加圧すると、液晶材料Bの拡散がさらに
進行するとともに、図中黒矢印で示すように、余分の液
晶材料が複合膜1の外へ排出される。このあと、常法に
より基材3を固定すれば、図6に示す層構成で、かつ、
複合膜1中の液晶材料Aの一部または全部が液晶材料B
に置換された液晶表示素子が得られる。
【0020】以上で説明した製造方法においては、複合
膜1上への液晶材料Bの塗布量により、複合膜1中の液
晶材料Aの、液晶材料Bへの置換率を調整することがで
きる。たとえば液晶材料Bの塗布量を、複合膜1中の液
晶材料Aの量の10倍以上にすると、複合膜1中の液晶
材料は、その90%以上が液晶材料Bに置換される。上
記本発明の製造方法に使用さる液晶材料A,Bとして
は、通常の液晶表示素子に用いられるネマティック液
晶、スメクティック液晶、コレステリック液晶等が何れ
も好適に使用できる。ネマティック液晶としては、特に
限定されないが、誘電率異方性Δεが大きいものを使用
するのが、良好な特性を得る上で好ましい。また、液晶
材料はカイラル成分を含んでいてもよい。
【0021】液晶材料Aとしては、上記各種の液晶材料
の中から、後述するマトリクス用高分子と組み合わせて
相分離法により複合膜を形成した際に、電気光学特性に
すぐれた理想的な構造の複合膜を形成できるものや、あ
るいは硬化性のマトリクス用高分子の場合、その硬化反
応を妨げないものが、選択的に使用される。この液晶材
料Aは、次工程でその一部または全部が液晶材料Bに置
換されるので、必ずしも物性的にすぐれたものでなくて
もよい。
【0022】一方、液晶材料Bとしては、上記各種液晶
材料の中から、複合膜の電気光学特性を担うに足る、物
性にすぐれた液晶材料や、複合膜を構成するマトリクス
用高分子と組み合わせて、相分離法により複合膜を形成
した場合に、理想的な構造の複合膜を形成できない液晶
材料、あるいは、相分離法により複合膜を形成すると、
マトリクス用高分子中に混入して、素子のコントラスト
を悪化させるおそれのある2色性色素を含んだ液晶材料
などが使用される。
【0023】また液晶材料Aが、相分離法により複合膜
を形成する際に組成が変化しやすいものである場合に
は、組成が変化していない同じ液晶材料を、液晶材料B
として使用することもできる。粘度の高い液晶材料を使
用する際には、置換をスムーズに行うために、加熱して
低粘度化させればよい。
【0024】上記液晶材料とともに複合膜を構成するマ
トリクス用高分子としては、熱可塑性、硬化性の種々の
高分子が使用され、とくに可視光に対する透明性の高い
ものが好適に使用される。熱可塑性のマトリクス用高分
子としては、たとえばPMMA(ポリメチルメタクリレ
ート)に代表される(メタ)アクリル系高分子が好適に
使用され、可撓性付与のためには、より可撓性の高いも
のを選択して使用するのが好ましい。
【0025】一方、硬化性のマトリクス用高分子として
は、たとえばポリエステル系、エポキシ系、シリコーン
系等の通常の硬化性樹脂が使用できる他、上記(メタ)
アクリル系高分子に、当該(メタ)アクリル系高分子中
の−OH基または−COOH基と反応する2ないし多官
能の架橋剤(イソシアネート化合物等)を添加したもの
が、光学的特性等の点で好適に使用される。
【0026】また、上記マトリクス用高分子には、複合
膜の基材への密着性を向上させて、両者の位置ずれや剥
離を防止し、液晶表示素子の大面積化、可撓性付与をさ
らに容易にするため、接着性または粘着性を有する高分
子を併用することもできる。接着性または粘着性を有す
る高分子としては、マトリクス用高分子の透明性を維持
するために、当該マトリクス用高分子との相溶性にすぐ
れたものが好ましく、たとえばマトリクス用高分子とし
て(メタ)アクリル系高分子を使用する場合には、同じ
(メタ)アクリル系に属する接着性または粘着性の高分
子が好適に使用される。
【0027】複合膜1の膜厚は、光散乱方式の液晶表示
素子とするために、可視光の波長以上である必要があ
る。ただし、あまりに厚さが大なるときは、素子の駆動
電圧が高くなりすぎるという問題があるため、実際上は
10〜30μm程度が適当である。基材2,3として
は、ガラス板、プラスチックフィルム[たとえばポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホ
ン(PES)]等の表面に、ITO(インジウム・チン
・オキサイド)やSnO2 等の導電膜を蒸着法、スパッタ
リング法あるいは塗布法等で形成したものがあげられる
他、通常の液晶パネルに用いられる透明導電ガラスや透
明導電フィルムも使用できる。また素子を反射型とする
場合には、一方の基材の裏面に、金属薄膜等からなる反
射膜を形成するか、または導電膜を金属薄膜で形成して
反射膜を兼ねさせればよい。
【0028】なお、複合膜1中の液晶材料Aを液晶材料
Bに置換するには、図3に示すように、表面に複合膜1
が形成された基材2を、液晶材料Bを満たした容器P中
に浸漬してもよい。この方法では、複合膜1の表面だけ
でなく周囲からも、液晶材料Bが複合膜1中に拡散する
ので、置換をより一層速やかに行うことができる。ま
た、液晶材料の置換は、複合膜1上にもう一方の基材3
を重ね合わせる工程と同時に行うこともできる。たとえ
ば図4に示すように、複合膜1の一端部に液晶材料Bを
載せてその上に基材3の一端を合わせ、この一端を中心
として、図中矢印で示す方向に基材3を回転させて徐徐
に複合膜1上に重ね合わせて行くと、液晶材料Bは、基
材3からの圧力を受けて複合膜1の全体に押し拡げられ
つつ、当該複合膜1中に浸透する。そして余分の液晶材
料が複合膜1外へ追い出されて、図6に示す層構成で、
かつ、複合膜1中の液晶材料Aの一部または全部が液晶
材料Bに置換された液晶表示素子が得られる。
【0029】また基材2,3として、前述した柔軟なプ
ラスチックフィルムを使用する場合には、図5に示すよ
うに、複合膜1と基材3の間に液晶材料Bを挟んだ状態
で、一対のラミネートローラR,Rによって基材3を複
合膜1上に重ね合わせると、上記と同様に、液晶材料B
が、複合膜1の全体に押し拡げられつつ、当該複合膜1
中に浸透し、また余分の液晶材料が複合膜1外へ追い出
されて、図6に示す層構成で、かつ、複合膜1中の液晶
材料Aの一部または全部が液晶材料Bに置換された液晶
表示素子が得られる。
【0030】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。実施例1 下記の各成分からなる複合膜用の塗布液を、透明導電ガ
ラスの導電面に、バーコート法によって塗布し、100
℃で1時間乾燥して、膜厚15μmの複合膜を形成し
た。
【0031】 成 分 重量部 アクリル/メタクリル樹脂(帝国化学産業社製) 5 ポリイソシアネート系架橋剤(武田薬品社製の品番A−10) 1 液晶材料(メルクジャパン社製の品番E31LV) 14 ジクロロメタン 80 つぎにこの複合膜の上に、液晶材料(メルクジャパン社
製の品番BL007)を100μmの厚みに塗布した
後、もう1枚の透明導電ガラスを、その導電面が液晶材
料に接するように重ね合わせ、0.5kgf/cm2 の圧力
で圧着して液晶表示素子を作製した。
【0032】比較例1 複合膜の上に液晶材料を塗布せず直接に、もう1枚の透
明導電ガラスを真空密着させたこと以外は、上記実施例
1と同様にして液晶表示素子を作製した。実施例2 実施例1で作製した塗布液を、厚み100μmの透明導
電フィルム(PES/ITOフィルム)の導電面に、バ
ーコート法によって塗布し、100℃で1時間乾燥し
て、膜厚15μmの複合膜を形成した。
【0033】つぎに、この複合膜ともう1枚の透明導電
フィルムとの間に液晶材料(メルクジャパン社製の品番
BL007)を挟んだ状態で、一対のラミネートローラ
によりラミネート処理して、液晶表示素子を作製した。
上記各実施例、比較例で作製した液晶表示素子に対し、
以下の各試験を行って、その特性を評価した。
【0034】電気光学応答性試験 実施例、比較例で作製した液晶表示素子を分光光度計
(島津製作所性の型番UV−160)にセットした状態
で、透明導電ガラスまたは透明導電フィルム間に60H
zの正弦波交流電圧を印加して、600nmの波長の光の
透過率と印加電圧との関係を測定した。そして、印加電
圧が0Vの時の透過率T0 (%)、印加電圧が10Vの
時の透過率T10(%)、印加電圧が30Vの時の透過率
30(%)、ならびに、コントラスト(上記T30とT0
の比T30/T0 )を求めた。
【0035】動作上限温度測定 素子の温度を室温から徐徐に上昇させつつ上記電気光学
応答性試験を行い、電気光学応答性が失われる温度、す
なわち素子が動作可能な上限の温度を求めた。この温度
は、素子中の液晶材料が、液晶相から等方相に転移する
温度を示している。実施例、比較例で使用したメルクジ
ャパン社製の液晶材料はそれぞれ、下記の温度で等方相
に転移することがわかっているので、素子の動作上限温
度を求めれば、複合膜中の液晶材料が何れの液晶材料に
近いものであるかを特定することができる。
【0036】 液晶材料 転移温度 E31LV 64℃ BL007 97℃ 以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】上記表1の、動作上限温度の測定結果よ
り、実施例1,2で作製した液晶表示素子はいずれも、
複合膜中の液晶材料の大部分が、膜形成に使用したE3
1LVから、その後に供給したBL007に置換されて
いることが確認された。また上記表1の電気光学応答性
試験の結果より、実施例1,2で作製した液晶表示素子
は、比較例1に比べてコントラストが向上しており、複
合膜中の液晶材料をBL007に置換することにより、
素子に、BL007のすぐれた特性を付与できることが
確認された。
【0039】実施例3 透明導電ガラスの導電面に、実施例1と同様にして複合
膜を形成した後、この複合膜の上に、100重量部の液
晶材料(メルクジャパン社製の品番E31LV)と5重
量部の2色性色素(三井東圧染料社製の品番S−38
7)との混合物を100μmの厚みに塗布し、次いで、
もう1枚の透明導電ガラスを、その導電面が液晶材料に
接するように重ね合わせて0.5kgf/cm2 の圧力で圧
着して液晶表示素子を作製した。
【0040】比較例2 下記の各成分からなる複合膜用の塗布液を、透明導電ガ
ラスの導電面に、バーコート法によって塗布し、100
℃で1時間乾燥して、膜厚15μmの複合膜を形成し
た。 成 分 重量部 アクリル/メタクリル樹脂(帝国化学産業社製) 5 ポリイソシアネート系架橋剤(武田薬品社製の品番A−10) 1 液晶材料(メルクジャパン社製の品番E31LV) 14 2色性色素(三井東圧染料社製の品番S−387) 0.7 ジクロロメタン 80 そして、この複合膜の上にもう1枚の透明導電ガラスを
真空密着させて、液晶表示素子を作製した。
【0041】上記実施例、比較例で作製した液晶表示素
子に対し、前記電気光学応答性試験を行って、その特性
を評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】上記表2の結果より、比較例2で作製した
液晶表示素子は、2色性色素のマトリクス用高分子中へ
の溶入によると見られるコントラストの低下が観察され
た。これに対し実施例3で作製した液晶表示素子は、同
量の2色性色素を使用しているにも拘らず、比較例2の
ものに比べてコントラストが高く、このことから、本発
明製造方法によれば、2色性色素のマトリクス用高分子
中への溶入を防止して、素子のコントラストを向上でき
ることが確認された。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液晶表示
素子の製造方法によれば、複合膜を相分離法により形成
する際の種々の問題を解消すべくなされてきた材料選択
の制約を解消して、電気光学特性にすぐれた理想的な複
合膜を有する液晶表示素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) 〜(c) はそれぞれ、本発明の製造方法
の一例における各工程を示す断面図である。
【図2】図1の製造方法において、複合膜の上に液晶材
料を塗布する方法の一例を示す断面図である。
【図3】複合膜中の液晶材料の、他の液晶材料への置換
方法の別の例を示す断面図である。
【図4】複合膜上に基材を重ね合わせる工程と同時に液
晶材料を置換する、本発明の製造方法の別の例を示す断
面図である。
【図5】複合膜上に基材を重ね合わせる工程と同時に液
晶材料を置換する、本発明の製造方法のさらに別の例を
示す断面図である。
【図6】本発明の製造方法により製造される液晶表示素
子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
A 液晶材料 B 液晶材料 2 基材 3 基材 10 高分子マトリクス 1 複合膜 L 液晶表示素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 純一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリクス用高分子と液晶材料とを溶媒に
    溶解または分散させた塗布液を、一対の基材のうち一方
    の表面に塗布し、溶媒を蒸発させてマトリクス用高分子
    と液晶材料とを相分離させることで、スポンジ状構造を
    有する高分子マトリクスの連続した孔内に液晶材料が充
    填された構造の複合膜を形成し、次いで、この複合膜上
    にもう一方の基材を重ね合わせて液晶表示素子を製造す
    る方法において、上記複合膜の形成後、当該複合膜上に
    基材を重ね合わせる前、または複合膜上に基材を重ね合
    わせる工程と同時に、形成された複合膜中の液晶材料の
    一部または全部を、当該液晶材料と同じ液晶材料、また
    は組成の異なる液晶材料で置換することを特徴とする液
    晶表示素子の製造方法。
  2. 【請求項2】複合膜中の液晶材料と置換する液晶材料
    が、2色性色素を含有するものである請求項1記載の液
    晶表示素子の製造方法。
JP16303492A 1992-06-22 1992-06-22 液晶表示素子の製造方法 Pending JPH0675207A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010511193A (ja) * 2006-11-30 2010-04-08 ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ポリマー分散液晶の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010511193A (ja) * 2006-11-30 2010-04-08 ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ポリマー分散液晶の製造方法

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