JPH08320470A - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JPH08320470A
JPH08320470A JP12644395A JP12644395A JPH08320470A JP H08320470 A JPH08320470 A JP H08320470A JP 12644395 A JP12644395 A JP 12644395A JP 12644395 A JP12644395 A JP 12644395A JP H08320470 A JPH08320470 A JP H08320470A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 押圧等で表示の乱れなどを起こさない高い機
械的強度を有するとともに、容易なプロセスで製造が可
能な複屈折型の液晶光学素子と、その製造方法を提供す
る。 【構成】 複屈折型の液晶光学素子において、液晶層
が、連続した液晶材料と、基板間隔を一定に保つための
スペーサーと、該基板に平均直径Lが2〜50μmで面
接触する柱状の非液晶性高分子物質の硬化物の島からな
り、1mm2当たりの島の個数をNとしたときに2.5
×104≦NL 2≦2.5×105である液晶光学素子。
液晶材料、非液晶性高分子物質及びスペーサーを共通溶
媒に溶解及び分散させた塗工液を電極付き基板に塗布
し、溶媒蒸発後、対向基板を積層し、積層体を加熱して
液晶材料と相分離した非液晶性高分子物質の島を2枚の
基板それぞれに柱状に成長させ、その後非液晶性高分子
物質を硬化させる液晶光学素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子、液晶記
憶素子、液晶音響素子、調光ガラス等としてオプトエレ
クトロニクスの分野において好適に使用される液晶光学
素子、並びにそのような液晶光学素子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶光学素子は薄型でありかつ軽量であ
ることから、オプトエレクトロニクスの分野でのその利
用及び改良が盛んに研究されている。液晶光学素子の現
在の主流は、液晶セル形成のための基板としてガラス基
板を用いたものであるが、その製造方法は先にセルを組
み立てたあとに液晶を真空注入するなど、複雑な方法が
とられている。また、できあがった液晶パネルは衝撃に
弱く、ガラス基板が割れてしまったり、割れなくとも例
えば指で押圧すると容易に液晶が流動して表示が乱れる
などの強度的問題がある。
【0003】一方、最近、基板として割れにくくかつ製
造加工が容易なプラスチック基板を用いた液晶光学素子
が開発されつつあるが、この場合にも押圧等による表示
の乱れは解決されていない。このような強度的問題を解
決する方法として、様々な提案がされてきている。例え
ば、特開平5−27246号公報には、対向する基板の
間を均一に分布した紫外線硬化樹脂の柱で接続して液晶
パネルの機械的強度を向上させる方法が記載されてい
る。この方法では、液晶に紫外線硬化性樹脂モノマーを
溶解させてセル内に注入した後、紫外線照射によって紫
外線硬化性樹脂モノマーを硬化させて柱を形成させてい
るが、この方法では柱をセル厚程度以上に成長させるの
が困難で、十分な機械的強度を得ることができない。
【0004】特開平1−250930号公報には、非液
晶性ポリマーと液晶を溶媒中に溶解した溶液を一方の基
板に塗布し、室温で乾燥した後60℃でさらに乾燥さ
せ、次いで対向基板を積層して散乱型の液晶表示装置を
作製する方法が記載されている。この方法では、非液晶
性ポリマーと液晶とを、非液晶性ポリマー:液晶の重量
比で100:100〜100:300の比で用いてい
る。このように非液晶性ポリマーの量が多いと、複屈折
型の液晶光学素子においては非液晶性ポリマーが直接目
視で見えたり、不要な光散乱の発生により光透過率が低
下し、適用不可能である。
【0005】特開平5−61051号公報には、液晶層
中にスペーサーと上下基板間に接する柱状の熱硬化性ポ
リマーとを配置した液晶表示素子が記載されている。し
かしながら柱状熱硬化性ポリマーの分布状態の記載がな
く、はたして機械的強度を十分に向上させ、かつ、良好
な表示特性を維持しうるか否かは不明である。また、こ
の熱硬化性ポリマーの柱は、液晶とスペーサーとスペー
サーより径の大きい熱硬化性ポリマーの球状物からなる
混合物を一方の基板に塗布した後、対向基板を配置して
加圧、加熱することにより形成している。従って、予め
熱硬化性ポリマーを球状物化する工程を必要とするし、
球状物化が可能な材料を選定する必要があるという問題
がある。
【0006】特開平6−59246号公報には、0.6
〜2.0μmの液晶滴とそれを保持する0.1〜0.5
μmの隔壁厚みを有する高分子材料で液晶層が構成さ
れ、光を散乱、透過させる光変調機能を有するした光変
調素子が記載されている。この素子の場合、液晶が独立
層であるので配向制御ができず、散乱、非散乱の表示し
かできず、素子の外側に偏光板を配置しても実用的な表
示はできない。なお、比較例1では、液晶と高分子材料
組成物が等方相、即ちこれらが互いに相溶した状態で、
紫外線硬化して比較的透明な素子を得ているが、相分離
が高分子材料の硬化によってはじめて進行するので、高
分子材料が十分な大きさに成長できず、機械的強度が十
分に向上しない。またこの方法では液晶と相溶する高分
子材料を選択する必要がある。
【0007】特開昭60−153025号公報には、基
板としてプラスチックフィルム基板を用い、球状のギャ
ップ材を配向制御膜に固着させて機械的強度を改善した
液晶表示素子が記載されている。しかしながら、配向制
御膜の配向性を損なわずにギャップ材を固着させること
は難しく、また、球状のギャップ材を固着させるのみな
ので、その接着面積が小さく、強い押圧に対しては強度
が不十分である。
【0008】特開平7−56145号公報には、0.1
〜10重量%の高分子材料を液晶層に添加することで、
急峻な表示電圧の閾値特性を持たせた非散乱型の液晶表
示素子が記載されている。しかし、得られる液晶表示素
子の機械的強度の向上については言及されておらず、ま
た、その高分子材料の分布のしかたについても記載がな
い。また、同公報の詳細な説明の欄にあるように紫外線
硬化性樹脂を単純に添加し、基板間に注入後紫外線を照
射しただけでは、樹脂は十分な大きさにならず、機械的
強度は向上しない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決し、例えば液晶表示素子として用いた
場合にコントラスト等の表示特性に優れるとともに、押
圧等で表示が乱れることがない機械的強度に優れた複屈
折型の液晶表示素子を提供することを目的とする。本発
明は、また、このような液晶表示素子の製造に適した方
法であって、このような液晶光学素子を容易なプロセス
で製造することを可能にする液晶光学素子の製造方法を
提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために検討した結果、連続した液晶の相と、そ
の液晶の相と相分離して分布するスペーサー及び上下基
板に特定の面積で面接触する柱状の非液晶性高分子とで
液晶層を形成し、かつ、非液晶性高分子物質の柱の分布
状態及び量を特定の範囲とすることにより、表示特性及
び機械的強度共に優れた液晶光学素子が得られることを
見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0011】即ち、本発明は、一対の電極付き基板と、
液晶材料、セル厚を保持するためのスぺーサー並びに熱
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び光硬化性樹脂から選ばれ
る非液晶性高分子物質の硬化物が互いに相分離した状態
で該基板間に挟持されて形成する液晶層と、該一対の基
板の外側に配置した一対の偏光板からなる複屈折型の液
晶光学素子において、該スペーサーの量が該液晶材料に
対して0.05〜1重量%であり、相分離した該非液晶
性高分子物質の硬化物が、それぞれ該上下基板に面接触
している複数の柱の状態で該液晶層中に島状に均一分布
しており、該液晶層中の該非液晶性高分子物質の硬化物
の島及び該スペーサー以外の領域には該液晶材料が該液
晶光学素子の面内及び厚み方向を連続的に満たしてお
り、該非液晶性高分子物質の硬化物の島の平均直径Lμ
mが2≦L≦50の範囲であり、該液晶光学素子内の面
積1mm2当たりの島の個数をNとしたときに2.5×
104≦NL2≦2.5×105であることを特徴とする
液晶光学素子を提供するものである。
【0012】さらに、本発明は、上記本発明の液晶光学
素子の製造に適した方法であって、一対の電極付き基板
の少なくとも一方の基板の電極面の上に、液晶材料と該
液晶材料と実質的に相溶しない非液晶性高分子物質とを
共通溶媒に溶解した溶液並びにスペーサーからなる塗工
液を塗布し次いで該溶媒を蒸発させて液晶層材料層を形
成する工程、該2枚の基板を電極面が該液晶層材料層を
介して相対するように積層する工程、得られた積層体を
加熱することにより、液晶層材料層中で該液晶材料と相
分離した該非液晶性高分子物質の島を該2枚の基板それ
ぞれに平均直径2〜50μmの面積で面接触して均一に
分布する柱状に成長させる工程、次いで該非液晶性高分
子物質を硬化させる工程を含む液晶光学素子の製造方法
を提供するものである。
【0013】以下に本発明の液晶光学素子及び液晶光学
素子の製造方法を詳細に説明する。 [液晶光学素子]図1に、本発明の液晶光学素子の一態
様の部分断面図を示す。図1の態様の液晶光学素子は、
一対の電極2付き基板1と、これらの基板1間に挟持さ
れた液晶層3と、両基板1の外側に配置された一対の偏
光板7からなる。液晶層3は、連続する液晶材料4と、
液晶材料4と相分離したスペーサー5及び柱状の非液晶
性高分子物質の硬化物の島6からなる。スペーサー5
と、上下基板1に面接触により固着して均一に分布して
いる柱状の非液晶性高分子物質の硬化物の島6によって
補強されており、押圧によってセルギャップが変化する
ことがない。
【0014】本発明では、スペーサーのほかに、液晶と
相分離した非液晶性高分子物質の硬化物の形状を柱状と
して上下基板に面接触させることで、素子の機械的強度
を著しく改善している。これと比較して、通常の素子で
はスペーサーが存在するだけであるので、例えば球状ス
ペーサーの場合は点接触、ファイバー状スペーサーの場
合でも線接触であり、基板に対する接触面積は著しく小
さい。
【0015】更に本発明ではこの柱状の島の平均直径を
2〜50μm以下に特定することで、両側に偏光板を配
した複屈折型で良好な表示を得ている。この島の面接触
の直径が2μmよりも小さいと、可視光の波長に近付く
ため光を強く散乱し、複屈折型としての表示が著しく暗
くなってしまう。逆に50μmを超えると、その島状構
造が目視で認識されてしまい、表示品位を落とすことが
ある。
【0016】この非液晶性高分子液晶の硬化物の島が大
きい場合には、各島の上下基板の固定力が大きいので素
子面内での分布密度を下げることができる。また、逆に
島の大きさが比較的小さいときは、分布密度を上げて十
分な強度を確保する必要がある。そこで、液晶光学素子
の表示品位を高品位に維持しつつ十分な機械的強度を確
保するための条件として、島の平均直径がLμmであ
り、液晶光学素子内の面積1mm2当たりの島の個数を
Nとしたときに、2.5×104≦NL2≦2.5×10
5である必要がある。NL2が2.5×104よりも小さ
いと機械的強度が不足することがあり、逆に2.5×1
5を超えると液晶光学素子の表示が暗くなることがあ
る。
【0017】本発明の液晶光学素子は、複屈折型の液晶
光学素子であり、液晶層の液晶材料の選択、液晶材料の
配向方法の選択により、様々な方式の液晶光学素子とし
て使用することができる。本発明の液晶光学素子に好適
な方式としては、例えば、液晶材料として強誘電性液晶
を用いて構成される非メモリ方式、メモリ方式、ネマチ
ック液晶を用いて構成されるねじれネマチック方式、ラ
ンダムドメインねじれネマチック方式、ランダムドメイ
ン方式、一軸配向方式が挙げられる。
【0018】これらの方式に適した素子構成の態様を以
下に説明する。 A.液晶材料:強誘電性液晶の場合 (1)素子構成A−1(非メモリ方式) この非メモリ方式においては、液晶層の厚みを強誘電性
液晶のらせんピッチより広く構成し、スメクチック層を
基板面にほぼ垂直に立たせる配向処理を行う。配向処理
としては、少なくとも一方の基板の電極面上に平行配向
制御層を設ける方法、液晶に電場を印加しながら剪断を
かける方法など、公知の方法を用いることができる。
【0019】配向制御層としては、良く知られたラビン
グ膜や無機物の斜方蒸着膜などがある。ラビング膜とし
ては、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリイミドな
どの高分子物質をスピンコート法、ディップ法、ロール
コート法、スプレー法等の方法で薄く製膜し、その表面
を布などで一方向に擦る(ラビング処理)ことで配向能
を与たものが用いられる。基板がプラスチック基板であ
るときは、基板自体をラビング処理してもよい。また、
斜方蒸着法では、SiOx、TiO2などの無機酸化物を
基板に対して斜め方向から蒸着することで斜めの柱状組
織を形成して配向能を与える。
【0020】液晶に電場を印加しながら剪断をかける方
法においては、上記配向制御層は不要である。このよう
な素子構成においては、電極間に電圧を印加しない時
は、層の法線に角度θで一様に傾斜配列した液晶分子か
らなる各スメクチック層が基板面に対し垂直に配列し、
らせん軸は基板面に平行に、かつこの層に垂直にその方
位を揃えた配列となっている。電極間への電圧の印加に
より、らせん構造が消滅し、液晶分子は層の法線に角度
+θ又は−θでセル全体で一様に平行配向し、「明」又
は「暗」表示を行う。即ち、液晶のらせん構造が消滅す
る臨界電場がEcの場合、直交偏光板間に液晶光学素子
を挟み、印加電場E<−Ecの分子配列における分子長
軸方向を一方の偏光軸に一致させると、入射光はセル通
過時に複屈折を受けないので、「暗」の表示となる。印
加電場の極性を反転させると、分子長軸の傾斜方位角が
2θ変化するので入射光は複屈折し、光干渉現象で
「明」の表示となる。電圧を切ると、いずれの場合も、
初期のらせん構造を有する配列状態に戻る。
【0021】(2)素子構成A−2(メモリ方式) メモリ方式における素子構成は、液晶層の厚みを強誘電
性液晶のらせんピッチより狭く構成する点を除いては、
上記素子構成A−1と同様である。ただし、この場合
は、基板の影響で、電圧を印加しなくてもすでにラセン
構造が消滅したスメクチックC構造に相当する分子配列
状態が形成されている。電圧印加時の分子配列の変化と
「明」「暗」の表示は素子構成A−1と同様であるが、
電圧を切っても電圧印加による分子配列状態が維持され
る。
【0022】B.液晶材料:ネマチック液晶の場合 (1)素子構成B−1(ねじれネマチック方式) ねじれネマチック方式は、液晶表示装置において現在主
流であるTN(twisted nematic)セル及びSTN(sup
er twisted nematic)セルに適用される。この方式で
は、液晶材料として正の誘電異方性を有するネマチック
液晶が用いられ、電極間に電圧を印加しないとき、液晶
材料は、上下基板に平行な面の各面内では同一方向に配
向しており、上下基板間ではねじれ配向している。即
ち、電圧を印加しないときには、液晶分子は基板面に対
してほぼ平行に一様に配列しており、液晶層の厚み方向
ではその配向方向が連続してねじれた構造となってい
る。例えば上下基板間でねじれ角が90°の場合(TN
セル)、両基板の外側に偏光軸が直交する2枚の偏光板
を配置すると、電圧を印加しないときは「明」表示とな
り、電圧を印加したときは液晶分子は垂直配向となるの
で「暗」表示となる。
【0023】このような一様なねじれ配向をさせる方法
としては、 上下基板の電極面上に液晶層と接する配向制御層を設
け、それらの配向方向を目的のねじれ角分だけ異ならせ
る方法、又は 少なくとも一方の基板の電極面状に配向制御層を設
け、液晶材料自体に光学活性物質(カイラルドーパン
ト)を混合する方法がある。
【0024】の方法は、90°以下のねじれ角の場合
には有効で容易な方法である。配向制御層としては、先
に説明したラビング膜や無機物の斜方蒸着膜などがあ
る。このような方法の場合、液晶分子が基板に対してや
や傾いて(プレチルトを持つ)配向するが、必要に応じ
て、蒸着方向と基板との角度を大きくしてプレチルト角
を大きくすることにより、視野角を増大させることもで
きる。このための配向制御層材料としても、市販品など
の公知のものを用いることができる。
【0025】の方法は、少なくとも一方の基板にと
同様の配向制御層を設ける。そして、ネマチック液晶に
光学活性物質を混合することで、液晶材料自体にねじれ
力を与えることができる。こうすることで液晶材料は固
有のらせんピッチを持つようになるので、セル厚に応じ
て上下基板でのねじれ角を調整できる。従って、一方の
基板にしか配向制御層が無くても、そこを起点にして液
晶の配向方向が液晶光学素子の厚み方向で一様にねじれ
る。また、らせんピッチ自体は添加する光学活性物質の
種類、添加量によって調整することもできる。光学活性
物質の配合量は、通常、ネマチック液晶に対して0.5
〜10重量%、好ましくは1〜5重量%とする。0.5
重量%未満だと効果が不十分なことがあり、逆に10重
量%を超えるとらせんピッチが短くなりすぎ、所定のね
じれ角とするためのセル厚制御が難しくなることがあ
る。以上から分かるように、の方法はSTNなど90
°以上のねじれ角を作るのに適している。また、プレチ
ルトの付与はと同様に必要に応じて与える。
【0026】(2)素子構成B−2(ランダムドメイン
ねじれネマチック方式) この方式の基本的な動作自体は前記素子構成B−1と同
様であるが、液晶光学素子全体で一様な配向とせずに、
液晶光学素子の面内では場所によって配向方向が異なる
マルチドメインを形成する。即ち、この方式の配向は、
電極間に電圧を印加しない場合、各ドメイン毎の上下基
板に平行な面の各面内での配向方向が一様で基板間での
配向方向がねじれている基板間を貫通する複数の配向ド
メイン(マルチドメイン)からなり、上下基板に平行な
面の各面内では、隣接するドメインの配向方向が互いに
異なり、基板間では全てのドメインで配向方向が同一角
度ねじれているランダムドメインねじれ配向である。
【0027】このような配向状態とすることで、いずれ
のドメインにおいても表示の動作自体は同じだが、ドメ
イン毎に配向方向が違うため、斜め方向から見た時のコ
ントラストの低下が少なくなる。ランダムドメインを作
るには液晶を一方向に揃える必要がないので、この方式
における素子構成としては、上下基板の電極面状に何も
設けないか、或は、液晶を一方向に配向させる効果がな
い誘電体膜を少なくとも一方の基板の電極面上に設け
る。この誘電体膜は、上下電極間の導通欠陥を防止する
ために絶縁膜として設けられるものであり、高分子膜な
どの有機膜、無機膜など、特に制限なく選択することが
できる。具体的にはポリアミド、ナイロン、ポリビニル
アルコール等の高分子膜を溶液として塗工などの方法で
製膜するか、SiOx、Ta23、TiO2などの金属酸
化物膜を、比較的低温で蒸着するなどの方法で形成する
ことができる。勿論、ラビングなどの処理は必要ない。
【0028】ランダムドメインの大きさとしては、通
常、その平均直径が2〜50μm、好ましくは4〜20
μmとなるようにする。2μmよりも小さいと、可視光
線の波長に近づくためにドメイン境界付近で光を散乱
し、本発明のような複屈折型の液晶光学素子では、光透
過率が著しく低下することがある。逆に50μmを超え
ると、目視でそのドメインが見えてしまい、表示品位を
低下させることがある。通常は液晶層の厚みとしては、
表示色や駆動特性の点から2〜10μm程度とすること
が多く、この場合は前記のように液晶材料を基板に挟む
だけで、セル厚程度のマルチドメインサイズが得られ
る。更にこの大きさを制御したい場合には、液晶光学素
子自体をネマチック液晶が一旦等方相を示す温度に加熱
し、冷却速度を調整することで行うことができる。一般
的には、冷却速度が早いほどドメインサイズは小さくな
る。
【0029】(3)素子構成B−3(ランダムドメイン
方式) この方式おける配向は、各ドメイン内の配向方向が一様
である上下基板間を貫通する複数の配向ドメインからな
り、隣接するドメインの配向方向が互いに異なるランダ
ムドメイン配向である。この方式による配向は、各々配
向の異なるマルチドメインからなる点では上記ランダム
ドメインねじれネマチック方式による配向とほぼ同様で
はあるが、素子の厚み方向ではねじれ構造をとらず、各
ドメイン内では配向方向が一方向に揃っている点が異な
る。
【0030】動作としては、例えば直交偏光板間に液晶
光学素子を配置した場合、電圧を印加しないときにはそ
れぞれの偏光軸に対して配向方向が傾いているドメイン
でのみ複屈折効果で光が透過して「明」、電圧を印加す
ると全てのドメインで液晶分子は垂直方向に配向するの
で光は透過せず「暗」になる。図2に、ランダムドメイ
ン状態の模式図を示す。図2においては、紙面が基板面
となる。8は各々独自の一定の配向方向を有するドメイ
ンを示し、各ドメイン内の矢印は配向方向を示し、6は
非液晶性高分子物質の硬化物の島を示す。偏光軸と配向
方向との角度が45°であるドメインが最も明るく光を
透過する。図2から明らかなように、いずれかの偏光板
の偏光軸と平行な配向のドメインでは光が透過しないの
で、「明」の明るさは前記素子構成B−1、B−2に比
べてやや暗くなるが、素子の構成としては簡単になる。
【0031】この方式の素子構成は、ネマチック液晶に
光学活性物質を混合しない点を除いて、素子構成B−2
と同じである。即ち、いずれの基板の電極面上にも配向
制御膜を設けないか、あるいは、電極間の導通防止の目
的で少なくとも一方の基板の電極面上に、液晶を一方向
に配向させる効果がない誘電体膜を設ける。その外、ド
メインの大きさ、ドメインサイズの調整法等は、素子構
成B−2と同じである。
【0032】(4)素子構成B−4(一軸配向方式) 一軸配向方式では、液晶材料は上下基板に平行な全ての
面内で及び該上下基板間の厚み方向で一様に一方向に配
向している。配向方向としては、水平配向でも垂直配向
でもよい。一例として、液晶光学素子を直交偏光板間に
配置した場合の動作を説明する。水平配向の場合は、誘
電異方性が正の液晶材料を用いる。電圧が印加されてい
ない場合には、配向方向と偏光軸との角度を45°の関
係にしておくことで、最も明るく光が透過して「明」の
表示となる。次に電圧を印加すると液晶は誘電異方性が
正なので垂直配向となり、直交偏光板間で光は透過せず
「暗」表示となる。一方、垂直配向の場合にはこの動作
を逆にするために、誘電異方性が負の液晶を使用し、電
圧印加時に「明」となるようにする。
【0033】配向方法としては、少なくとも一方の基板
の電極面上に配向制御層を設けることで容易に達成でき
る。水平配向の場合、配向制御層の種類としては素子構
成1で述べたものと同じでよく、またねじれ配向させな
いので液晶に光学活性物質を添加する必要もない。垂直
配向の場合は、例えばシランカップリング剤などを製膜
するか、無機酸化物を垂直方向から蒸着したものでもよ
い。
【0034】次に、本発明の液晶光学素子の構成に用い
られる各材料について説明する。基板の材質としては、
少なくとも一方の基板が透明であれば特に制限はなく、
良く知られているものとしてはガラス板やプラスチック
板、プラスチックフィルムなどがある。好ましくはプラ
スチック板又はフィルムとすることで、素子の重量を低
減したり、後述のような生産性に優れた製造法を適用す
ることができる。基板の厚みとしては、50μm〜1m
mが好ましい。50μmよりも薄いと基板自体が外力で
不要な変形をしたり、製造工程中で破れるなどの問題が
生じることがある。逆に1mmを超えると後述の連続製
造が難しくなったり、偏光板と液晶層との距離が大きく
なるために視野角特性が低下することがある。
【0035】プラスチック板又はフィルムの材質として
は、一般に光学的等方性板又はフィルムと呼ばれている
PC(ポリカーボネート)、PAr(ポリアリレー
ト)、PS(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルス
ルホン)、APET(アモルファスポリエチレンテレフ
タレート)、APO(非晶性ポリオレフィン)等が好適
に用いられ、これらは市販されており、入手は容易であ
る。なお、これらのプラスチック板又はフィルムは単独
で用いてもよく、或は、耐液晶性、耐熱性、耐湿性、耐
光性などの目的で異種のフィルムを多層化して用いても
よい。
【0036】電極としては、光学的に透明又は半透明な
電極を用いる。このような電極の具体例としては、例え
ば、NESA膜といわれる酸化スズ膜、酸化インジウム
膜、酸化インジウムと酸化スズとの混合物からなるIT
O膜、金やチタンなどの蒸着膜、或は他の薄膜状のアル
ミニウム等の金属又は合金などを挙げることができる。
これら電極の形状としては特に制限はなく、目的とする
液晶光学素子の駆動方法や、表示内容等に応じて、適宜
選択する。
【0037】本発明の液晶光学素子に用いられる液晶材
料としては、複屈折型表示が可能な液晶であれば特に制
限はないが、通常、強誘電性液晶、ネマチック液晶が好
適に用いられる。なおこれら液晶としては、低分子液晶
でも高分子液晶でもよいが、通常、安価で応答性に優れ
る低分子液晶が好適に用いられる。強誘電性液晶として
は、強誘電性を示す限り特に制限はない。例えば、強誘
電性を示す低分子又は高分子液晶1種のみを用いてもよ
く、強誘電性を示す高分子液晶及び/又は低分子液晶2
種以上からなる液晶組成物であってもよい。また、液晶
光学素子の応答速度などの向上のために、強誘電性を示
さない低分子液晶が配合されていてもよい。
【0038】強誘電性高分子液晶としては特に制限はな
く、例えば、ポリアクリレート主鎖、ポリメタクリレー
ト主鎖、ポリクロロアクリレート主鎖、ポリオキシラン
主鎖、ポリシロキサン主鎖、ポリエステル主鎖、ポリシ
ロキサン−オレフィン主鎖等の主鎖と液晶性側鎖からな
る側鎖型強誘電性高分子液晶が好適に用いられる。強誘
電性高分子液晶としては、通常、重量平均分子量が10
00〜100万、好ましくは1000〜10万のものが
好適に用いられる。
【0039】本発明に好適に用いられる側鎖型強誘電性
高分子液晶の具体例を以下に示す。ポリアクリレート主
鎖系強誘電性高分子液晶としては、例えば、下記の繰り
返し単位を有するものなどが挙げられる。
【0040】
【化1】
【0041】ポリメタクリレート主鎖系強誘電性高分子
液晶としては、例えば、下記の繰り返し単位を有するも
のなどが挙げられる。
【0042】
【化2】
【0043】ポリクロロアクリレート主鎖系強誘電性高
分子液晶としては、例えば、下記の繰り返し単位を有す
るものなどが挙げられる。
【0044】
【化3】
【0045】ポリオキシラン主鎖系強誘電性高分子液晶
としては、例えば、下記の繰り返し単位を有するものな
どが挙げられる。
【0046】
【化4】
【0047】ポリシロキサン主鎖系強誘電性高分子液晶
としては、例えば、下記の繰り返し単位を有するものな
どが挙げられる。
【0048】
【化5】
【0049】ポリエステル主鎖系強誘電性高分子液晶と
しては、例えば、下記の繰り返し単位を有するものなど
が挙げられる。
【0050】
【化6】
【0051】ポリシロキサン−オレフィン主鎖系強誘電
性高分子液晶としては、例えば、下記の繰り返し単位を
有するものなどが挙げられる。
【0052】
【化7】
【0053】ここで、x:y=19:1〜7:3(モル
比)である。なお、上記の強誘電性高分子液晶の繰り返
し単位は、側鎖の骨格がビフェニル骨格、フェニルベン
ゾエート骨格、ビフェニルベンゾエート骨格、フェニル
−4−フェニルベンゾエート骨格で置き換えられてもよ
く、これらの骨格中のベンゼン環がピリミジン環、ピリ
ジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン環、シ
クロヘキサン環、ジオキサン環、ジオキサボリナン環で
置き換えられてもよく、フッ素、塩素などのハロゲン基
又はシアノ基で置換されてもよく、1−メチルアルキル
基、2−フルオロアルキル基、2−クロロアルキル基、
2−クロロ−3−メチルアルキル基、2−トリフルオロ
メチルアルキル基、1−アルコキシカルボニルエチル
基、2−アルコキシ−1−メチルエチル基、2−アルコ
キシプロピル基、2−クロロ−1−メチルアルキル基、
2−アルコキシカルボニル−1−トリフルオロメチルプ
ロピル基等の光学活性基で置き換えられてもよい。ま
た、スペーサーの長さは、メチレン鎖長が2〜30の範
囲で変化してもよい。
【0054】これらの強誘電性高分子液晶は、1種単独
で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。強誘電
性低分子液晶化合物としては、例えば、下記式で示すシ
ッフ塩基系強誘電性低分子液晶化合物、アゾ及びアゾキ
シ系強誘電性低分子液晶化合物、ビフェニル及びアロマ
ティックスエステル系強誘電性低分子液晶化合物、ハロ
ゲン、シアノ基等の環置換基を導入した強誘電性低分子
液晶化合物、複素環を有する強誘電性低分子液晶化合物
等を挙げることができる。
【0055】シッフ塩基系強誘電性低分子液晶化合物と
しては、例えば、次に示す化合物(1〜4)が挙げられ
る。
【0056】
【化8】
【0057】アゾ及びアゾキシ系強誘電性低分子液晶化
合物としては、例えば次に示す(5)、(6)が挙げら
れる。
【0058】
【化9】
【0059】ビフェニル及びアロマティックスエステル
系強誘電性低分子液晶化合物としては、例えば、次に示
す化合物(7)、(8)が挙げられる。
【0060】
【化10】
【0061】ハロゲン、シアノ基等の環置換基を導入し
た強誘電性低分子液晶化合物としては、例えば、次に示
す化合物(9)〜(11)が挙げられる。
【0062】
【化11】
【0063】複素環を有する強誘電性低分子液晶化合物
としては、例えば、次に示す化合物(12)、(13)
が挙げられる。
【0064】
【化12】
【0065】これらの強誘電性低分子液晶化合物は、1
種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において強誘電性高分子液晶や強誘電性低分子液
晶化合物と配合して用いることのできる強誘電性を持た
ない液晶化合物としては、例えば、下記のスメクチック
低分子液晶化合物挙げられる。
【0066】
【化13】
【0067】これらの液晶化合物は1種単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。ネマチック液晶と
しては、高分子のものでも低分子のものでもよいが、安
価な低分子のネマチック液晶が好ましい。ネマチック液
晶の誘電異方性としては正のものが殆どであるが、液晶
光学素子の動作モードに合わせて適宜選択すればよい。
現在では多数のネマチック液晶やネマチック液晶組成物
が市販されており、それらの誘電異方性を初め、諸特性
が開示されている。
【0068】また、前述のようにねじれ配向をさせる場
合で、基板の一方にしか配向処理をしない場合などに
は、ねじれ構造を容易にとらせる目的で光学活性物質を
添加することが好ましい。光学活性物質としても特に制
限はなく、通常ネマチック液晶組成物と一緒に購入する
ことができるものなど、公知のものを利用できる。本発
明の液晶光学素子において好適に用いられる低分子ネマ
チック液晶の例としては、大別してシッフ塩基系、ア
ゾ、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、
シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロ
ヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキ
シルシクロヘキサン系などが代表的なものである。その
ような低分子ネマチック液晶の具体例を以下に示す。
【0069】シッフ塩基系の低分子ネマチック液晶の具
体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0070】
【化14】
【0071】アゾ、アゾキシ系の低分子ネマチック液晶
の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0072】
【化15】
【0073】安息香酸エステル系の低分子ネマチック液
晶の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0074】
【化16】
【0075】ビフェニル系、ターフェニル系の低分子ネ
マチック液晶の具体例としては、例えば下記のものが挙
げられる。
【0076】
【化17】
【0077】シクロヘキシルカルボン酸エステル系の低
分子ネマチック液晶の具体例としては、例えば下記のも
のが挙げられる。
【0078】
【化18】
【0079】フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシ
クロヘキサン系の低分子ネマチック液晶の具体例として
は、例えば下記のものが挙げられる。
【0080】
【化19】
【0081】ピリミジン系、ジオキサン系の低分子ネマ
チック液晶の具体例としては、例えば下記のものが挙げ
られる。
【0082】
【化20】
【0083】シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系
の低分子ネマチック液晶の具体例としては、例えば下記
のものが挙げられる。
【0084】
【化21】
【0085】シクロヘキシルエタン系の低分子ネマチッ
ク液晶の具体例としては、例えば下記のものが挙げられ
る。
【0086】
【化22】
【0087】その他のシクロヘキサン系の低分子ネマチ
ック液晶の具体例としては、例えば下記のものが挙げら
れる。
【0088】
【化23】
【0089】トラン系の低分子ネマチック液晶の具体例
としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0090】
【化24】
【0091】アルケニル系の低分子ネマチック液晶の具
体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0092】
【化25】
【0093】2,3−ジフルオロフェニレン系の低分子
ネマチック液晶の具体例としては、例えば下記のものが
挙げられる。
【0094】
【化26】
【0095】本発明において、低分子ネマチック液晶は
1種単独で用いてもよいが、複数種類を混合して用いて
もよい。駆動可能な温度範囲その他の特性を実用的に調
整した混合液晶が多数市販されており、そのようなもの
を使用してもよい。本発明において上記低分子ネマチッ
ク液晶と併用しうる光学活性物質としては、分子中に光
学活性基を有する低分子化合物などが挙げられ、液晶で
ない物質でもよいし、液晶でもよい。光学活性基として
は例えば下記のような構造を有する基が挙げられる。
【0096】
【化27】
【0097】液晶性を有する光学活性物質(光学活性
体)としては、例えばコレステリック液晶(カイラルネ
マチック液晶)がある。コレステリック環を有するコレ
ステリック液晶としては、例えば下記のものが挙げられ
る。
【0098】
【化28】
【0099】コレステリック環を持たないコレステリッ
ク液晶としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0100】
【化29】
【0101】本発明においては、液晶層中に非液晶性高
分子物質の硬化物の島を形成するために用いられる非液
晶性高分子物質として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又
は光硬化性樹脂が用いられる。本発明では後述のように
相分離した島を成長させたり、島の分布状態を調整する
ので、非液晶性高分子物質の種類にあまりよらずに高強
度の液晶光学素子を作製することができる。ただし、相
分離した島の大きさの成長をより容易なものにするため
に、非液晶性高分子物質は硬化前であっても液晶材料と
相分離するもの、即ち相溶性の小さなものを用いる。
【0102】熱可塑性樹脂としては、通常、数平均分子
量が1500以上、好ましくは1500〜10万のもの
が好適に用いられる。熱可塑性樹脂の数平均分子量が1
500より小さいと、そのガラス転移温度又は融点が低
過ぎ、液晶光学素子の機械的安定性を低下させることが
ある。即ち、熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が
−50℃〜+100℃のものが好ましい。100℃より
も高いと、島の成長が難しかったり、成長に非常に長い
時間を必要とすることがある。
【0103】本発明に好適に用いられる熱可塑性樹脂の
具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポ
リフッ化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン
共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化
ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸
エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重
合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共
重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重
合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロクロルエチレン、ポリフッ化ビ
ニリデン等のハロゲン化ビニル重合体又は共重合体;ポ
リビニルアルコール、ポリアリルアルコール、ポリビニ
ルエーテル、ポリアリルエーテル等の不飽和アルコール
若しくはエーテルの重合体又は共重合体;アクリル酸若
しくはメタアクリル酸等の不飽和カルボン酸の重合体又
は共重合体;ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル、
ポリフタル酸等のポリアリルエステル等のアルコール残
基中に不飽和結合をもつものの重合体又は共重合体;ポ
リアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、マ
レイン酸エステル若しくはフマル酸エステルの重合体等
の酸残基又は酸残基とアルコール残基中に不飽和結合を
もつものの重合体あるいは共重合体;アクリロニトリル
若しくはメタアクリロニトリルの重合体又は共重合体、
ポリシアン化ビニリデン、マロノニトリル若しくはフマ
ロニトリルの重合体又は共重合体等の不飽和ニトリル重
合体あるいは共重合体;ポリスチレン、ポリα−メチル
スチレン、ポリp−メチルスチレン、スチレン−α−メ
チルスチレン共重合体、スチレン−p−メチルスチレン
共重合体、ポリビニルベンゼン、ポリハロゲン化スチレ
ン等の芳香族ビニル化合物の重合体又は共重合体;ポリ
ビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリジン、ポリ−
N−ビニルピロリドン等の複素環式化合物の重合体又は
共重合体;ポリカーボネート等のポリエステル縮合物、
ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド縮合物;無
水マレイン酸、無水フマール酸及びそのイミド化物を含
む重合体又は共重合体;ポリアミドイミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリアリレート等の耐熱性有機高分子等が
挙げられる。
【0104】なかでも、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ナイロン
などが好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、エポ
キシ系接着剤、アクリル系接着剤など、市販されている
ものを含む各種のものを用いることができる。光硬化性
樹脂としては、可視光やUV光、電子線などで硬化する
接着剤など、市販されているものを含む各種のものを用
いることができる。これらの非液晶性高分子物質は、液
晶光学素子の製造法や、必要とする耐久性の点から、適
宜選択すればよい。
【0105】本発明に好適に用いられる熱又は光硬化性
樹脂の具体例としては、例えばエポキシ系接着剤、アク
リル系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤、ポリウレ
タン系接着剤、ホットメルト型接着剤、エラストマー型
接着剤を挙げることができる。エポキシ系接着剤の例と
しては、主剤としてビスフェノールA型のものが好まし
い。ビスフェノールAの部分を次に示すようなビスフェ
ノール化合物とした主剤も用いることができる。
【0106】
【化30】
【0107】即ち、上記エポキシ化合物において、R1
とR2がメチル基(ビスフェノールA型)、R1がメチル
基でR2がエチル基、R1がメチル基でR2がイソプロピ
ル基、R1がメチル基でR2がイソブチル基、R1がメチ
ル基でR2がヘプチル基、R1がメチル基でR2がノニル
基、R1とR2がプロピル基、R1とR2がそれぞれブチリ
デン基、ペンチリデン基、2−メチルペンチリデン基、
3−メチルペンチリデン基、R1とR2がメチル基でXと
Yがメチル基のものが挙げられる。
【0108】エポキシ化合物の硬化剤としては、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、キシリレン
ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリアミド樹
脂、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、
トリエタノールアミンホウ酸エステル、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、ポリサル
ファイド、レゾール等が使用できる。エポキシ系接着剤
は一液型でも二液型でもどちらでもよい。
【0109】アクリル系接着剤の例としては、アクリル
酸エステルに重合開始剤を混合したもの(これは加熱や
光照射により硬化する。)や、変性アクリル酸エステル
とプライマーとを組み合わせたもの(これらは互いに接
触することにより硬化する。)が挙げられる。不飽和ポ
リエステル系接着剤の例としては、マレイン酸ユニット
を含むポリエステルにビニルベンゼン、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等のモノマー
及び重合開始剤を混合したもの(これらは加熱や光照射
により硬化する。)が挙げられる。
【0110】ポリウレタン系接着剤の例としては、イソ
シアネート成分としてメチレンビス(p−フェニレンジ
イソシアネート)、トリレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、1−クロロフェニルジイソ
シアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、チ
オジプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン−α−
2−ジ−イソシアネート、4,4,4−トリフェニルメ
タントリイソシアネート等が挙げられ、それらと反応す
る成分として、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、グリセロール、ヘキサントリオール、キシリレン
ジオール、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸
モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
エステル、ポリアミド等が挙げられる。
【0111】これらの熱又は光硬化性樹脂の場合は、相
分離した島の大きさの成長は樹脂が硬化する前の粘度が
低いときに行うことができるため、たいていの樹脂を市
販品などから選定することができる。本発明の液晶光学
素子を製造する方法においては、非液晶性高分子物質の
島を成長させる工程が含まれる。この島の成長は、通
常、液晶パネルを加熱することで行うので、この際に液
晶層の厚みが必要以上に変化してしまうことを防ぐため
にスペーサーを混合する。スペーサーは必ずしも基板に
固定する必要はなく、単に液晶材料に混合しておけばよ
い。
【0112】スペーサーとしては、液晶光学素子に通常
用いられるものであれば特に制限はなく、ガラス、シリ
カ又は耐溶剤性を有するプラスチック製のスペーサー等
を使用することができる。特に、ガラス、プラスチック
製のものが入手が容易である。スペーサーの形状として
は、球状又は円柱状(ファイバー)が主流であるが、球
状ビーズが連続工程による液晶光学素子の製造に適して
おり、好適である。球状スペーサーの材質として好適な
ものの具体例としては、例えば、シリカ等の無機系材
料、ジビニルベンゼンやポリスチレン系のポリマービー
ズ等が挙げられる。球状スペーサーの粒径は作製する液
晶光学素子の液晶セル厚に合わせればよいが、通常、2
〜20μm程度、好ましくは4〜10μm程度のものを
用いる。スペーサーの混合量は、通常、液晶材料に対し
て0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量
%の範囲で混合する。
【0113】なお、液晶材料には、2色性色素を添加し
てもよい。2色性色素としては、アントラキノン系、ア
ゾ系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、テ
トラジン系等の色素が挙げられる。次に、本発明の液晶
光学素子の製造方法について説明する。 [液晶光学素子の製造方法]本発明の液晶光学素子の製
造方法は、上記本発明の液晶光学素子の製造に適した方
法であり、この方法を適用することにより、機械的強度
及び素子性能に優れた複屈折型の液晶光学素子を容易に
製造することができる。
【0114】1.製膜工程 本発明の方法においては、まず、2枚の電極付き基板の
少なくとも一方の基板の電極面の上に、液晶材料と液晶
材料と実質的に相溶しない非液晶性高分子物質とを共通
溶媒に溶解した溶液並びにこの溶液中に分散したスペー
サーからなる塗工液を塗布し次いで該溶媒を蒸発させて
液晶層材料層を形成する。
【0115】基板、電極及びスペーサーとしては、本発
明の液晶光学素子の説明において記載したものが好適に
用いられる。液晶材料としては、各種の低分子液晶、高
分子液晶など特に制限なく用いることができる。本発明
の液晶光学素子を製造する場合は、特に強誘電性低分子
液晶、低分子ネマチック液晶が好適に用いられる。
【0116】溶媒としては、液晶材料自体はたいていの
溶媒に溶解するので、主として使用する非液晶性高分子
物質を溶解するものから適宜選択する。塗工液中の液晶
材料、非液晶性高分子物質及びスペーサーの量は、特に
制限はないが、非液晶性高分子物質の使用量は、通常、
液晶材料、非液晶性高分子物質及びスペーサーの合計量
に対し、2〜20重量%、好ましくは、2〜10重量%
とする。非液晶性高分子物質の量が2重量%未満では、
液晶材料として低分子液晶を用いた場合に液晶層の製膜
性が低下したり、また、非液晶性高分子物質の島の平均
直径が2〜50μmの範囲であっても液晶光学素子の機
械的強度が不足することがある。一方、20重量%を超
えると、非液晶性高分子物質の硬化物の島の大きさが大
きくなりすぎて、直接目視で見えたり、不要な光散乱を
生じることがあり、液晶光学素子の光透過率が低くなる
ことがある。スペーサーの量は、液晶材料に対し、通常
0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%
とする。
【0117】溶媒としては、基板や、必要に応じて設け
られる配向制御層や絶縁膜を溶解せず、液晶材料及び非
液晶性高分子物質を溶解するものであれば、特に制限は
ない。通常、アセトン、メチルエチルケトン、トルエ
ン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラ
ヒドロフラン、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒等が
好適に用いられる。
【0118】溶媒の量は、液晶材料及び非液晶性高分子
物質を溶解することができ、塗工液が塗工に適した粘度
になる量であれば特に制限は無いが、通常、液晶材料、
非液晶性高分子物質及びスペーサーの合計物が5〜90
重量%、好ましくは10〜60重量%の溶液となるよう
にする。製膜方法としては、スピンコート、ディップ
法、ロールコート、スプレー法、刷毛塗り法、キスコー
ト法、バーコート法、電着法等あらゆる方法を利用でき
るが、基板として前記のプラスチック板又はフィルムを
用いると連続塗工が可能となり、生産性が著しく向上す
る。連続塗工に好適な方法としては、ロールコート法、
キスコート法、バーコート法などであり、塗工装置とし
ては、市販されている各種塗工装置を使用することがで
きる。
【0119】塗膜から溶媒を蒸発させることにより、基
板の電極面上に液晶層材料層が形成される。なお、必要
とする液晶材料の配向状態に応じ、液晶層材料層の製膜
前に、適宜、少なくとも一方の基板の電極面上に先に記
載した配向制御層を設けてもよい。基板としてプラスチ
ック板又はフィルムを用いた場合には、配向制御層を設
けずに、基板自体をラビングして配向制御膜としてもよ
い。また、ネマチック液晶のねじれ配向を形成する場合
には、塗工液中に更に光学活性物質を混合、溶解しても
よい。基板に配向制御層を設けない場合は、必要に応じ
て、電極間の導通を防止するための絶縁層、即ち、液晶
を一方向に揃える効果を持たない誘電体層を設けてもよ
い。配向制御層、光学活性物質、誘電体層の材質等は、
先に説明した通りである。
【0120】2.積層工程 液晶層材料層の形成後、2枚の基板を電極面が液晶層材
料層を介して相対するように積層する。この積層は、液
晶層への異物の混入を避けるために、溶媒蒸発後、直ち
に行うことが好ましい。積層方法としては、気泡等が入
らないように対向基板を静かにのせる方法、真空中で単
純に積層する方法、ロールを用いてラミネートする方法
などがある。
【0121】基板として可撓性のあるプラスチック板や
プラスチックフィルムなどを使用する場合は、ロールを
用いてラミネートする方法が好ましい。ラミネート用の
ロールは金属製又はゴム製とし、図3及び図4に示すよ
うに1本又は2本のロールを用いることができる。図3
に示す方法では、電極面に液晶層材料層9を形成した基
板1を定盤12上に載せ、その液晶層材料層9上に液晶
層材料層を形成していない対向基板1を1本のロール1
1を用いてラミネートしている。ロール11を移動させ
るか、又はロール11の位置を固定したまま上下基板を
同方向に移動させて積層を進める。
【0122】図4の方法では、2本のロール11からな
るロール対を固定し、電極面に液晶層材料層9を形成し
た基板1と、液晶層材料層を形成していない対向基板1
とをロール対で加圧しながらロール対の間を通して同方
向に移動させて積層している。通常、このようなロール
を用いる積層装置を、上記の塗工装置と組み合わせ、塗
工、溶媒の蒸発及び積層とを連続的に行うことが、異物
混入防止の点から好ましい。
【0123】3.非液晶性高分子物質の島の成長工程及
び硬化工程 上記積層工程で得られた積層体を加熱することにより、
液晶層材料層中で液晶材料と相分離した非液晶性高分子
物質の島を該2枚の基板それぞれに平均直径2〜50μ
mの面積で面接触して均一に分布する柱状に成長させ
る。通常、液晶材料と非液晶性高分子物質との相溶性が
無ければ、上記の製膜工程だけでも、非液晶性高分子物
質は、セル厚程度に液晶材料と相分離し、均一に分散し
た島を形成する。しかしその場合の島の大きさと形は一
般に不定形で、溶媒の乾燥条件によって大きく異なる。
また、不定形であるために島の上下基板との接触面積は
必ずしも十分でなく、得られる液晶光学素子の機械的強
度が十分向上しないことがある。従って、本発明では、
島の平均直径が表示特性から好ましい範囲である2〜5
0μmの範囲になるように、非液晶性高分子物質の島の
大きさを成長させる。
【0124】島の成長は、具体的には下記のようにして
行われる。非液晶性高分子物質が熱可塑性樹脂の場合に
は、積層工程で得られた積層体を一旦樹脂が軟化する温
度まで加熱する。こうすることで、溶媒蒸発だけで相分
離した不定形の非液晶性高分子物質の島が次第に円柱型
になりながら付近の島と合体して前記した大きさに成長
する。さらに、非液晶性高分子物質が一度軟化するの
で、上下基板と密着し、得られる液晶光学素子の強度は
著しく向上する。加熱する温度は樹脂によって異なる
が、通常50〜150℃程度である。また、加熱時間は
樹脂が一旦軟化すれば、かなり短くてもよく、通常は1
〜60分程度である。昇温又は降温速度は相分離状態と
はあまり関係なく、通常の加熱装置、例えばオーブンな
どの能力である0.1〜20℃/分程度で何の問題もな
い。
【0125】非液晶性高分子物質が熱硬化性樹脂の場合
には、通常硬化前は十分に樹脂の粘度が低いので、硬化
処理温度に昇温するまでに島の成長は十分に行われる。
確実に島を成長させるための昇温速度としては0.1〜
10℃/分、好ましくは1〜5℃/分程度である。樹脂
の硬化後は急冷してもよく、液晶光学素子の機械的強度
は十分に大きくなっている。
【0126】非液晶性高分子物質が光硬化性樹脂の場合
も、光を照射して硬化させる前は十分に粘度が低いの
で、昇温速度0.1〜20℃/分で昇温し、室温よりも
やや高め、即ち40〜60℃程度に短時間、例えば、1
〜10分、加熱すればよい。この処理の後、可視光や紫
外線等の光を照射して樹脂を硬化させることで、機械的
強度の大きな液晶光学素子が得られる。これと比較し
て、公知のように光照射によってはじめて樹脂を相分離
させる方法では、硬化前は液晶と樹脂が相溶しているの
で光照射しても完全に樹脂を硬化させることが困難で、
液晶の相転移温度その他の特性を変化させてしまった
り、強度を得るために十分な大きさの島にまで成長させ
るには光照射強度や照射時間などを精密に制御しなけれ
ばならなく、一般に生産性が低下してしまう。
【0127】これらの樹脂の島が十分に成長しているか
どうかを確認するために、その検査工程を設けてもよ
い。具体的には光学顕微鏡で観察するだけで十分であ
る。このようにして作製した液晶光学素子は機械的強度
が著しく高く、周囲を密閉封止しなくとも押圧等で液晶
が流出することがないほどである。勿論、化学的安定性
を確保するために何らかの封止処理をしてもよい。
【0128】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例によっ
て本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。 実施例1 液晶材料としてメルク社から市販されている低分子の強
誘電性液晶組成物ZLI−4655−100(商品名)
を使用した。この液晶組成物の相転移温度は以下の通り
である。
【0129】
【化31】
【0130】(Iso:等方相、Ch:コレステリック
相、SA*:カイラルスメクチックA相、SC*:カイラ
ルスメクチックC相、K:結晶相) この液晶にスリーボンド社製のUV硬化性樹脂3026
B(商品名)を液晶に対して8重量%、更に宇部日東化
成(株)製の球状シリカスペーサー(直径2.1μm)
を0.2重量%添加し、この混合物をメチルエチルケト
ン(MEK)に溶解、分散して液晶層用の33重量%溶
液(塗工液)とした。
【0131】基板としては、住友ベークライト(株)か
ら市販されているITO電極付きPES(ポリエーテル
スルホン)フィルム(商品名:スミライト、厚み:10
0μm、幅:300mm、長さ:50m)をロールで2
本用意した。まず、一方の基板の電極面上に、絶縁膜と
して帝国化学製のナイロン(F30K)の5重量%メタ
ノール溶液をマイクログラビアコーターで塗工し、溶媒
蒸発後、一旦巻き取った。この絶縁膜の厚みを触針法で
測定したところ、0.3μm程であった。次にまだ何も
塗工していない方の基板の電極面上にやはりマイクログ
ラビアコーターを用いて前記液晶層用塗工液を塗工し、
溶媒が乾燥し終る部分に設置してあるラミネートロール
対(一方は直径80mmで鉄製、もう一方は直径80m
mのシリコンゴム製で、エアシリンダーによって互いに
加圧してある。)を用いて、絶縁膜を塗工してある側の
基板と連続的にラミネートして巻き取った。なお、本実
施例において上記基板及び絶縁膜にはラビング処理は行
わず、絶縁膜は上下電極の導通欠陥防止のために設け
た。
【0132】得られた積層体から液晶パネルを長さ90
0mm分を切り出し、光干渉法で膜厚を測定したとこ
ろ、スペーサー径と同じ2.1μmであった。また、顕
微鏡で組織を観察すると、液晶とUV硬化性樹脂は相分
離しているが、その形状は互いに入り組んだ複雑なもの
であった。この状態ではまだ液晶は配向していないの
で、直交偏光板間に配置して液晶パネルの方向を種々変
えたが、明暗は生じなかった。
【0133】次にこのパネルを恒温槽を用いて70℃に
加熱し、10分間放置後、直ちに室温雰囲気に取り出し
て再び顕微鏡で組織を観察したところ、樹脂は円形の島
状に分布しており、その直径は約4μmであった。島の
個数を数えたところ約6600個/mm2であったの
で、NL2=26400である。更に、この樹脂がまだ
硬化していない状態で、上下電極間に±30V、100
Hzの矩形波電圧を印加しながら液晶パネル全体に一方
向のたわみ変形による剪断をわずかに与えて配向処理を
行った。この処理の後、UV(紫外線)照射装置として
ウシオ電機(株)製のスポット光照射装置(UIS−1
0101)を用い、照射個所を手動で移動させながら液
晶パネル全面に紫外線を照射し、樹脂の硬化処理を行っ
た。この処理によって明らかに液晶パネルが固くなって
いた。再度顕微鏡観察すると樹脂はわずかに剪断方向に
伸びて楕円形に近くなっていたが、その平均直径と数に
変化はなかった。
【0134】このパネルを直交偏光板(サンリッツ社
製、92−18)間に配置し、直流電圧5Vを印加して
その極性を切り替え、透過光強度をフォトダイオードで
測定しところ、明暗の透過光強度の比、即ちコントラス
トは液晶パネル全面において40以上であり、均一に一
軸水平配向していることが明らかであった。次に、得ら
れた液晶光学素子の機械的強度の評価として、二つの評
価を行った。第一は垂直の荷重試験であり、図5に示す
ように、定盤12上に液晶パネル13を起き、円柱型シ
リコンゴム14(直径10mm、高さ10mm)の上か
ら10kgfの加重を与えた。この結果、液晶パネルは
封止をしていないのにもかかわらず、24時間経過後も
全く液晶の流動が認められなかった。
【0135】第二の試験として、図6に示すように、鉄
製の丸棒15に液晶パネルを90°巻つける曲げ試験を
行った。この結果、丸棒の直径が5mmまでは外観、表
示(コントラスト)ともに全く変化が認められなかっ
た。このように、従来考えられなかった強度を有する液
晶パネルが得られた。 実施例2 液晶材料としてロディック社のネマチック液晶組成物R
DN−00775(商品名)にやはり同社から市販され
ている光学活性物質(カイラルドーパント)S−110
1(商品名)を液晶に対して3重量%添加して、ねじれ
ピッチが約16μmのカイラルネマチック液晶になるよ
う調製した。この液晶に対して、非液晶性高分子物質と
してスリーボンド社製のアクリル系UV硬化性樹脂30
26B(商品名)を液晶に対して15重量%、更にスペ
ーサーとして宇部日東化成(株)製の球状シリカスペー
サー(直径4μm)を0.1重量%添加し、この混合物
をMEKに溶解して液晶層用の40重量%溶液(塗工
液)とした。
【0136】実施例1で用いたと同様の基板を用い、絶
縁膜の形成までは実施例1と同様に行った。基板も絶縁
膜もラビング処理は行っておらず、絶縁膜は上下電極間
の導通欠陥防止の為に設けた。やはり実施例1と同様
に、マイクログラビアコーターで一方の基板に前記液晶
層用塗工液を塗工し、溶媒蒸発後に対向基板を連続的に
ラミネートした。
【0137】得られた積層体から液晶パネル長さ800
mm分を切り出して、光干渉法で液晶層の膜厚を測定し
たところ、4.2μmであった。この状態での液晶パネ
ルは全体が白濁しており、偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、液晶と樹脂は相分離していたが、樹脂の島の形は不
揃いで直径1〜2μm程度の細かなものが多かった。液
晶部分はドメイン境界が不明瞭であったが、厚み方向で
は約90°ねじれたTN配向になっていた。
【0138】この状態で上下電極間に矩形波(5V、2
0Hz)を印加したところ、液晶は垂直配向し、偏光顕
微鏡の偏光子を直交にすると「暗」になった。電圧を印
加しないときとしたときの透過光強度をフォトダイオー
ドで測定し、その比、即ちコントラストを測定したとこ
ろ、この状態では7であった。次いで、相分離した樹脂
の島の大きさを成長させるため、高温槽で液晶パネルを
50℃に加熱処理した。昇温速度は10℃/分とし、5
0℃で1分放置後、すぐに室内に取り出した。この処理
で液晶パネルの外観は透明なものになった。この状態で
はまだ樹脂を硬化させていないので、慎重に液晶パネル
を扱い、偏光顕微鏡で観察したところ、樹脂は円形の島
状になっており、その直径は約5μmで揃ったものであ
った。島の個数を数えたところ、約7500個/mm2
であったので、NL2=187500であった。また、
液晶は平均の直径が3μm程度のマルチドメイン(ラン
ダムドメインねじれ配向)になっていた。
【0139】次いで、実施例1で用いたと同じスポット
UV照射装置で実施例1と同様に液晶パネル全面にUV
光を照射し、樹脂を硬化させた。この処理で外観には全
く変化はなかったが、手で持ちあげた感触は液晶パネル
自体が硬くなっていた。この液晶パネルをやはり偏光顕
微鏡で観察すると、相分離状態は全く変化していなかっ
た。
【0140】偏光顕微鏡の偏光子を直交させ、矩形波
(5V、20Hz)を印加すると「暗」になり、やはり
電圧を印加しないとき(「明」状態)との光透過強度の
比を求めたところ、そのコントラストは18に向上して
いた。この液晶パネルはランダムドメインのねじれネマ
チック方式であるので、その視野角特性の優位性を評価
するため、直交する2枚の偏光板間に挟んで白色蛍光灯
の照明ボックスの上に置き、矩形波電圧(5V、20H
z)のオンオフを行ってコントラストを測定した。先ず
は直交する偏光板に対してパネルを回してみたが、正面
から測定したコントラストは常に17から20の間であ
り、どの角度でも実用上十分なものであったこれはラン
ダムドメインであることの優位性である。
【0141】次に透過光強度を測定するフォトダイオー
ドの位置を液晶パネルの垂直方向から徐々に傾けていっ
て、視野角特性を評価したところ、コントラストがほぼ
半減する角度は約60°であり、視野角特性が通常30
°程度と言われているTN素子よりも良いことがわかっ
た。更にこの状態で液晶パネルをパネル面内で回してみ
たが、コントラストは常に8〜12の間に入っており、
全方向に対して良好な視野角特性を有することを確認し
た。
【0142】さらに、実施例1と同様に荷重試験及び曲
げ試験を行ったが、荷重試験では24時間後も全く変化
がなく、曲げ試験では丸棒の直径が6mmまでは外観、
表示(コントラスト)ともに全く変化が認められず、3
mm以下では上下基板が剥離した。比較のために前述の
積層工程を終えた積層体から、300mm×800mm
のパネルを1枚切り出し、UV硬化を行わずに、熱処理
までだけ同じ方法で作製したパネルの強度を評価したと
ころ、前記荷重試験では約5分で液晶が流動し、パネル
の色(複屈折干渉色)が押圧部とその周辺で異なったも
のになった。そこで直ちに荷重を取り除き、パネルを2
4時間放置したが復元しなかった。次にこの荷重試験で
損傷していない部分を用いて曲げ試験を行ったところ、
丸棒の直径が100mmでも上下基板が剥離してしまっ
た。
【0143】更に、比較として、相分離した樹脂の島の
大きさを成長させるための熱処理を行わないで同じ装置
でUV硬化させた。直交偏光子の偏光顕微鏡で矩形波
(5V、20Hz)を印加したが、コントラストは8で
あった。上記同様の荷重試験を行ったところ、24時間
後は円柱状ゴムの跡が目視でうっすらと認められたの
で、耐荷重性が不十分なものであった。次に曲げ試験を
行ったところ、丸棒の直径が20mm以下では上下基板
が剥離してしまった。
【0144】実施例3 実施例2とほぼ同様に液晶パネルを作製したが、一方の
基板に絶縁膜を塗工したときに、その乾燥面を連続的に
ラビング処理した。ラビングは直径100mmの鉄製ロ
ールの表面にラビング布を巻つけたものを搬送中の基板
の絶縁膜表面に回転させずに押し当て、基板の長手方向
に行った。
【0145】その後は実施例2と全く同様の方法で液晶
パネルを作製した。UV硬化後、偏光顕微鏡で観察する
と、樹脂の硬化物の島は直径7μm程度で、その大きさ
は比較的一定であった。島の密度はN=4000個/m
2であったので、NL2=190000であることがわ
かった。また、偏光顕微鏡の偏光子の回転から、液晶は
液晶パネル全面に渡って一様に約90°ねじれた配向
(通常のTN式)になっていることがわかった。
【0146】次に、直交する偏光板間に液晶パネルを挟
み、矩形波(5V、20Hz)電圧のオンオフを行った
ところ、液晶パネルの長手方向と偏光軸が約45°の時
が最もコントラストが高く、約40であった。液晶パネ
ルの強度評価として、実施例1と同様の試験を行ったと
ころ、荷重試験では24時間経過後も全く変化が認めら
れず、液晶の流動が十分抑制されていることがわかっ
た。また、曲げ試験では丸棒の直径6mmまでは全く外
観に変化はなかった。
【0147】実施例4 液晶材料にカイラルドーパントを全く混合しないことを
除いて、実施例2と全く同様の方法で液晶パネルを作製
した。UV硬化後、偏光顕微鏡で観察すると、樹脂の硬
化物の島は直径7μm程度で、その大きさは比較的一定
であった。島の密度はN=3900個/mm2であった
ので、NL2=191100であった。液晶の方は平均
直径が4μm程度のマルチドメインであったが、偏光子
の回転から、それぞれのドメインでは液晶は一様な配向
をしていることがわかった。
【0148】次に、実施例2と同様、直交偏光板間に液
晶パネルを配置し、視野角特性を評価したところ、正面
でのコントラスト16が半減する角度は55°であり、
ほぼ全方向に対して同程度であった。液晶パネルの強度
評価として、実施例1と同様の試験を行ったところ、荷
重試験では24時間経過後も全く変化が認められず、液
晶の流動が十分抑制されていることがわかった。また、
曲げ試験では丸棒直径5mmまでは全く外観に変化はな
かった。
【0149】実施例5 実施例4と同様、液晶材料にはカイラルドーパントを入
れず、また実施例3と同様に絶縁膜表面にラビング処理
を行った。その他は、実施例2と同様にして液晶パネル
を作製した。UV硬化後、偏光顕微鏡で観察すると、樹
脂の硬化物の島は直径7μm程度で、その大きさは比較
的一定であった。島の密度はN=4000個/mm2
あったので、NL2=196000であった。
【0150】また、偏光顕微鏡の偏光子の回転から、液
晶は液晶パネル全面に渡って一軸水平配向していること
がわかった。次に、直交する偏光板間に液晶パネルを挟
み、矩形波電圧(5V、20Hz)のオンオフを行った
ところ、パネルの長手方向と偏光軸が約45°の時が最
もコントラストが高く、約35であった。
【0151】液晶パネルの強度評価として、実施例1と
同様の試験を行ったところ、荷重試験では24時間経過
後も全く変化が認められず、液晶の流動が十分抑制され
ていることがわかった。また、曲げ試験では丸棒の直径
7mmまでは全く外観に変化はなかった。 実施例6 液晶材料としてメルク社製のカイラルネマチック液晶組
成物ZLI−2222−100(商品名)を使用した。
この液晶にはすでにカイラルドーパントが添加されてお
り、ねじれピッチは約20μmとなっている。この液晶
に対して非液晶製高分子物質として熱可塑性樹脂である
ポリスチレン(分子量4000)を6重量%とガラスフ
ァイバースペーサー(直径10μm、住田光学(株)
製)を0.2重量%添加し、この混合物をMEKに溶
解、分散して、液晶層用の45重量%溶液(塗工液)と
した。
【0152】基板は実施例1と同じものを使用した。い
ずれの基板にも電極面上にポリイミド(日産化学(株)
製、商品名:RN−776)2重量%のNMP(N−メ
チルピロリドン)溶液を、マイクログラビアコーターで
塗工し、実施例3と同じラビングロールを用いていずれ
も長手方向にラビングして配向制御層を形成し、巻き取
った。
【0153】次に実施例1と同様の方法で、片側の基板
の配向制御層上に前記液晶層用の塗工液を塗工し、連続
的に対向基板とラミネートした。得られた積層体から長
さ600mmの液晶パネルを切り出して、光干渉法で液
晶層膜厚を測定したところ、10.5μmであった。こ
の状態ではやはり液晶パネル全体が白濁しており、直交
偏光板間に挟んで上下電極間に矩形波(5V、10H
z)のオンオフを行ったが、コントラストは2以下、表
示は非常に暗いものであった。偏光顕微鏡で観察する
と、ポリスチレンの島は不定形で、液晶部分と複雑に入
り組んでいた。この状態で試験片(50mm×100m
m)に曲げ試験を行ったところ、直径30mmの曲げで
上下基板が剥離した。
【0154】次に樹脂(ポリスチレン)の島の大きさを
成長させるために、この樹脂が軟化する温度である90
℃に液晶パネルを加熱した。加熱は恒温槽を用いて、昇
温速度10℃/分、90℃で5分放置後、50℃まで−
10℃/分で降温して液晶パネルを室温に取り出した。
液晶パネルは目視では全体に透明なものになっており、
偏光顕微鏡で観察したところ、ポリスチレンの島はきれ
いな円形になっており、その直径は約15μmで揃った
ものであった。更に、島の数を数えたところN=380
個/mm2であったので、NL2=69500であること
がわかった。また、偏光子の回転から、液晶はパネルの
厚み方向で180°ねじれた、ねじれネマチック配向し
ていることがわかった。
【0155】この液晶パネルを前述の直交する偏光板間
に、ラビング方向が偏光軸に対して45°となるように
配置して上下電極間に矩形波電圧(5V、10Hz)の
印加を行い、そのオンオフでのコントラストを測定した
ところ、約30であった。この液晶パネルの強度を実施
例1と同様に評価したところ、荷重試験では24時間経
過後も外観に全く変化はなかった。曲げ試験では直径8
mmまでの曲げでは外観、表示ともに変化はなかった。
以上のように、熱可塑性樹脂でも機械的強度に優れた液
晶光学素子が作製できることが明らかとなった。
【0156】実施例7 比液晶高分子物質を熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂
[油化シェルエポキシ(株)製、主剤:エピコート82
8(商品名)、硬化剤:エポメートQX−11(商品
名)、混合重量比は(主剤):(硬化剤)=95:5]
とし、液晶に対して10重量%混合した以外はすべて実
施例6と同様の方法で積層及び液晶パネルの切り出しま
で行った。液晶層の厚みは11μmであった。
【0157】偏光顕微鏡で観察すると、エポキシ樹脂は
相分離しているが、その島の形は不定形なものであっ
た。直交する偏光板間に液晶パネルを配置して、上下電
極間に矩形波電圧(5V、10Hz)を印加してコント
ラストを測定したところ、4程度であった。次に恒温槽
を用いて液晶パネルを加熱し、樹脂の島の成長と硬化処
理を行った。昇温速度は10℃/分で、100℃で20
分保持した後、直ちに室内に取り出した。この状態で液
晶パネルを直交偏光板間に配置し、コントラストを測定
したところ、22に向上していた。偏光顕微鏡で観察す
ると、エポキシ樹脂の島の平均直径は22μmで揃った
ものであった。島の数はN=280個/mm2であり、
NL2=134520であった。また、偏光子の回転か
ら、液晶はパネルの厚み方向で180°ねじれた、ねじ
れネマチック配向していることがわかった。
【0158】実施例1と同様の強度試験を行ったとこ
ろ、荷重試験では24時間経過後も外観、表示とも変化
なく、まが曲げ試験でも直径4mmまで曲げても外観、
表示に変化は現れなかった。
【0159】
【発明の効果】本発明の液晶光学素子は、押圧等で表示
の乱れなどを起こさない高い機械的強度を有するととも
に、容易なプロセスで製造が可能である。また、本発明
の液晶光学素子の製造方法は、本発明の液晶光学素子の
製造に適した方法であり、この方法によれば機械的強度
及び表示特性等に優れた液晶光学素子を容易に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学素子の一態様を示す部分断面
図。
【図2】本発明の液晶光学素子中の液晶の配向状態の一
態様を示す模式図。
【図3】本発明の液晶光学素子の製造方法の一態様にお
ける積層工程を示す部分断面図。
【図4】本発明の液晶光学素子の製造方法の一態様にお
ける積層工程を示す部分断面図。
【図5】液晶パネルの機械的強度を測定する方法を示す
斜視図。
【図6】液晶パネルの機械的強度を測定する方法を示す
図。
【符号の説明】
1 基板 2 電極 3 液晶層 4 液晶材料 5 スペーサー 6 非液晶性高分子物質の硬化物の島 7 偏光板 8 ドメイン 9 液晶層材料層 11 ロール 12 定盤 13 液晶パネル 14 円柱状シリコンゴム 15 丸棒

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極付き基板と、液晶材料、セル
    厚を保持するためのスぺーサー並びに熱硬化性樹脂、熱
    可塑性樹脂及び光硬化性樹脂から選ばれる非液晶性高分
    子物質の硬化物が互いに相分離した状態で該基板間に挟
    持されて形成する液晶層と、該一対の基板の外側に配置
    した一対の偏光板からなる複屈折型の液晶光学素子にお
    いて、該スぺーサーの量が該液晶材料に対して0.05
    〜1重量%であり、相分離した該非液晶性高分子物質の
    硬化物が、それぞれ該一対の基板に面接触している複数
    の柱の状態で該液晶層中に島状に均一分布しており、該
    液晶層中の該非液晶性高分子物質の硬化物の島及び該ス
    ペーサー以外の領域には該液晶材料が該液晶光学素子の
    面内及び厚み方向を連続的に満たしており、該非液晶性
    高分子物質の硬化物の島の平均直径Lμmが2≦L≦5
    0の範囲であり、該液晶光学素子内の面積1mm2当た
    りの島の個数をNとしたときに2.5×104≦NL2
    2.5×105であることを特徴とする液晶光学素子。
  2. 【請求項2】 該液晶材料が強誘電性液晶である請求項
    1記載の液晶光学素子。
  3. 【請求項3】 該液晶材料がネマチック液晶であり、該
    電極間に電圧を印加しないときの該液晶材料が、配向方
    向が該一対の基板間でねじれたねじれ配向している請求
    項1記載の液晶光学素子。
  4. 【請求項4】 該一対の基板の電極面の上に互いに配向
    方向の異なる配向制御層を該液晶層に接するように設け
    ることにより、該電極間に電圧を印加しないときの該液
    晶材料を、該一対の基板に平行な面の各面内では同一方
    向に配向させ、該基板間ではねじれ配向させた請求項3
    記載の液晶光学素子。
  5. 【請求項5】 該一対の基板の少なくとも一方の電極面
    の上に配向制御層を該液晶層に接するように設け、該液
    晶材料に光学活性物質を混合することにより、該電極間
    に電圧を印加しないときの該液晶材料を、該一対の基板
    に平行な面の各面内では同一方向に配向させ、該基板間
    ではねじれ配向させた請求項3記載の液晶光学素子。
  6. 【請求項6】 該液晶材料に光学活性物質を混合するこ
    とにより、該電極間に電圧を印加しないときの該液晶材
    料を、各ドメイン毎の該一対の基板に平行な面の各面内
    での配向方向が一様で該基板間での配向方向がねじれて
    いる該基板間を貫通する複数の配向ドメインからなり、
    該一対の基板に平行な面の各面内では、隣接するドメイ
    ンの配向方向が互いに異なり、該基板間では全てのドメ
    インで配向方向が同一角度ねじれているランダムドメイ
    ンねじれ配向させている請求項3記載の液晶光学素子。
  7. 【請求項7】 該一対の基板の少なくとも一方の電極面
    の上に、該液晶材料を一方向に揃える効果を持たない誘
    電体層を該液晶層に接するように設け、該液晶材料に光
    学活性物質を混合することにより、該電極間に電圧を印
    加しないときの該液晶材料を、各ドメイン毎の該一対の
    基板に平行な面の各面内での配向方向が一様で該基板間
    での配向方向がねじれている該基板間を貫通する複数の
    配向ドメインからなり、該一対の基板に平行な面の各面
    内では、隣接するドメインの配向方向が互いに異なり、
    該基板間では全てのドメインで配向方向が同一角度ねじ
    れているランダムドメインねじれ配向させている請求項
    3記載の液晶光学素子。
  8. 【請求項8】 該液晶材料がネマチック液晶であり、該
    電極間に電圧を印加しないときの該液晶材料を、各ドメ
    イン内の配向方向が一様である該基板間を貫通する複数
    の配向ドメインからなり、隣接するドメインの配向方向
    が互いに異なるランダムドメイン配向させている請求項
    1記載の液晶光学素子。
  9. 【請求項9】 該液晶材料がネマチック液晶であり、該
    一対の基板の少なくとも一方の電極面の上に、該液晶材
    料を一方向に揃える効果を持たない誘電体層を該液晶層
    に接するように設け、該電極間に電圧を印加しないとき
    の該液晶材料を、各ドメイン内の配向方向が一様である
    該基板間を貫通する複数の配向ドメインからなり、隣接
    するドメインの配向方向が互いに異なるランダムドメイ
    ン配向させている請求項1記載の液晶光学素子。
  10. 【請求項10】 該一対の基板の少なくとも一方の電極
    面の上に配向制御層を該液晶層に接するように設け、該
    電極間に電圧を印加しないときの該液晶材料を、該一対
    の基板に平行な全ての面内で及び該基板間の厚み方向で
    一様に一方向に配向させている請求項1記載の液晶光学
    素子。
  11. 【請求項11】 該基板の各々が厚みが50μm〜1m
    mのプラスチックフィルムである請求項1〜10記載の
    液晶光学素子。
  12. 【請求項12】 2枚の電極付き基板の少なくとも一方
    の基板の電極面の上に、液晶材料と該液晶材料と実質的
    に相溶しない非液晶性高分子物質とを共通溶媒に溶解し
    た溶液並びにスペーサーからなる塗工液を塗布し次いで
    該溶媒を蒸発させて液晶層材料層を形成する工程、該2
    枚の基板を電極面が該液晶層材料層を介して相対するよ
    うに積層する工程、得られた積層体を加熱することによ
    り、液晶層材料層中で該液晶材料と相分離した該非液晶
    性高分子物質の島を該2枚の基板それぞれに平均直径2
    〜50μmの面積で面接触して均一に分布する柱状に成
    長させる工程、次いで該非液晶性高分子物質を硬化させ
    る工程を含む液晶光学素子の製造方法。
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