JPH0675059U - 循環式硬貨入出金機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬貨が対応する分岐ゲート95a 〜95h で分岐
されなかった場合でも、その硬貨を対応処理し、機械の
異常停止を避ける。 【構成】 入金貨幣値を算出する入金貨幣値算出部153
を備える。分岐ゲート95a 〜95h に対応し、分岐すべき
硬貨の到来を検知する分岐予定硬貨到来検知手段151 を
設ける。分岐ゲート95a 〜95h を作動させる分岐ゲート
駆動手段98a 〜98h 、分岐ゲート駆動手段98a 〜98h を
制御する分岐ゲート駆動制御部154 を備える。分岐ゲー
ト95a 〜95h の直後に、分岐の有無を検知する分岐有無
検知手段152 を設ける。分岐ゲート95a 〜95f で分岐さ
れなかった硬貨はオーバーフロー硬貨として分岐するよ
うに、修正指令を与える駆動修正指令部155 を備える。
オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐されなかっ
たとき、その硬貨の貨幣値分を減算するように、修正指
令を与える貨幣値修正指令部156 を備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば銀行などの金融機関において硬貨の入金処理および出金処理 を行なう循環式硬貨入出金機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の循環式硬貨入出金機においては、例えば実公平３ー３７２３５号公報に 記載されているように、入金時、機械操作者により投入された入金硬貨を、貯留 繰出部に受け入れ、この貯留繰出部から硬貨識別分類通路に１枚ずつ繰り出して 搬送する。この硬貨識別分類通路を搬送する入金硬貨を識別部により識別し、こ の識別信号に基づき作動する種類別分岐ゲートにより出金に使用すべき真貨は種 類別に分岐して一時保留し、出金に使用しない真貨はオーバーフロー硬貨用分岐 ゲートにより分岐して一時保留し、偽貨は硬貨識別分類通路を通過させて機械操 作者側へ返却する。そして、入金承認時に、一時保留硬貨を種類別硬貨収納投出 部およびオーバーフロー硬貨収納部へ収納する。

【０００３】 また、出金時には、種類別硬貨収納投出部から硬貨を投出し、この出金硬貨を 機械操作者側へ出金する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の循環式硬貨入出金機では、硬貨識別分類通路を搬送される入金硬貨が対 応する分岐ゲートに到来した際、分岐タイミングの遅れからこの分岐ゲートで分 岐されなかった場合、異常として機械を即停止させている。

【０００５】 このように、機械が停止して、入金処理が中断されると、入金処理をする機械 操作者（ＡＴＭの場合は顧客、テラー用の機械の場合は銀行などの係員）は、機 械の中断要因が解消されるまで待たなければならない。すなわち、ＡＴＭのよう に顧客が直接操作する場合は、入金処理の中断があると、入金処理は確定せず、 投入した入金硬貨の返却もされず、銀行などの係員による機械の点検を待たなけ ればならない。また、テラー用の機械の場合も、銀行などの係員が顧客から受け 取った入金硬貨の処理を行なうので、係員による機械の点検を待たなければなら ない。このように、入金処理の中断は顧客に迷惑をかけることになる。

【０００６】 本考案は、このような点に鑑みてなされたもので、硬貨識別分類通路を搬送さ れる入金硬貨が対応する分岐ゲートに到来した際、分岐タイミングの遅れからこ の分岐ゲートで分岐されなかった場合でも、異常として機械を停止させることな く、異常停止する機会の少ない循環式硬貨入出金機を提供することを目的とする ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、貯留繰出部11に受け入れた入金硬貨をこの貯留繰出部11から硬貨識 別分類通路21に１枚ずつ繰り出すとともに硬貨識別分類通路21を搬送手段41によ り搬送し、この硬貨識別分類通路21を搬送する入金硬貨を識別部91により識別す るとともにこの識別信号に基づき作動する種類別分岐ゲート95a 〜95f により出 金硬貨に使用すべき真貨は種類別に分岐して一時保留し、出金に使用しない真貨 はオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h により分岐して一時保留し、偽貨は硬貨 識別分類通路21を通過させて機械操作者側へ返却し、入金承認時に一時保留硬貨 を種類別硬貨収納投出部113 およびオーバーフロー硬貨収納部125 へ収納し、か つ、出金時には種類別硬貨収納投出部113 から硬貨を投出して機械操作者側へ出 金する循環式硬貨入出金機において、前記識別部91での識別結果に基づき入金硬 貨中の真貨の貨幣値を算出する入金貨幣値算出部153 と、前記種類別分岐ゲート 95a 〜95f およびオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h に対応させて各々設けら れ、分岐すべき硬貨の到来を検知する分岐予定硬貨到来検知手段151 と、前記種 類別分岐ゲート95a 〜95f およびオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h を各々作 動させる分岐ゲート駆動手段98a 〜98f ，98h と、前記識別部91および各分岐予 定硬貨到来検知手段151 の信号に基づき前記各分岐ゲート駆動手段98a 〜98f ， 98h を作動させる分岐ゲート駆動制御部154 と、前記種類別分岐ゲート95a 〜95 f およびオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h の直後に各々設けられ、各分岐ゲ ート95a 〜95f ，95h で分岐されるべき硬貨の分岐の有無を検知する分岐有無検 知手段152 と、前記種類別分岐ゲート95a 〜95f で分岐されるべき硬貨が対応す る前記分岐有無検知手段152 で分岐無検知されたとき、その硬貨を前記オーバー フロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐させるよう前記分岐ゲート駆動制御部154 に 修正指令を与える駆動修正指令部155 と、前記オーバーフロー硬貨用分岐ゲート 95h で分岐されるべき硬貨が対応する前記分岐有無検知手段152 で分岐無検知さ れたとき、その硬貨の貨幣値分を減算するよう前記入金貨幣値算出部153 に貨幣 値修正指令を与える貨幣値修正指令部156 とを備えるものである。

【０００８】

【作用】

本考案では、入金時において、貯留繰出部11に受け入れた入金硬貨を、貯留繰 出部11から硬貨識別分類通路21に１枚ずつ繰り出し、硬貨識別分類通路21を１枚 ずつ搬送し、識別部91により識別する。出金に使用すべき真貨は種類別分岐ゲー ト95a 〜95f により種類別に分岐して一時保留し、出金に使用しない真貨はオー バーフロー硬貨用分岐ゲート95h により分岐して一時保留し、偽貨は硬貨識別分 類通路21を通過させて機械操作者側へ返却し、入金承認時に一時保留硬貨を種類 別硬貨収納投出部113 およびオーバーフロー硬貨収納部125 へ収納する。

【０００９】 そして、硬貨が対応する種類別分岐ゲート95a 〜95f に到来して分岐されるは ずであるにもかかわらず、分岐タイミングの遅れから対応する種類別分岐ゲート 95a 〜95f を通過し、分岐有無検知手段152 で分岐無検知されたとき、その硬貨 をオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐するよう駆動修正指令部155 で指 令される。そのため、硬貨は、オーバーフロー硬貨としてオーバーフロー硬貨用 分岐ゲート95h により分岐される。

【００１０】 また、オーバーフロー硬貨として分岐される硬貨がオーバーフロー硬貨用分岐 ゲート95h に到来して分岐されるはずであるにもかかわらず、オーバーフロー硬 貨用分岐ゲート95h の切換タイミング遅れからオーバーフロー硬貨用分岐ゲート 95h を通過し、分岐有無検知手段152 で分岐無検知されたとき、その硬貨の貨幣 値分を減算するよう貨幣値修正指令部156 を通じて入金貨幣値算出部153 に貨幣 値修正指令が与えられる。

【００１１】 したがって、硬貨識別分類通路21を搬送される入金硬貨が対応する分岐ゲート 95a 〜95f ，95h に到来した際、分岐タイミングの遅れからこの分岐ゲート95a 〜95f ，95h で分岐されなかった場合でも、異常として機械を停止させる必要が なく、異常停止する機会が少ない。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の循環式硬貨入出金機の一実施例を図面を参照して説明する。

【００１３】 図２において、１は機体で、この機体１の操作者側の前側上部には入金口と出 金口を兼ねる硬貨受収口２が開口され、この硬貨受収口２の内側には上面を開口 した略樋状の硬貨受部３が配設され、この硬貨受部３の底部にはシャッタ４にて 開閉される放出口５が開口されるとともに側部に受入口６が開口されている。

【００１４】 硬貨受部３の下方には、放出口５から放出された硬貨を貯留して１枚ずつ繰り 出す貯留繰出部11が配設されている。この貯留繰出部11は、傾斜状に軸支された 回転円盤12と、この回転円盤12の表面側を覆うようにして回転円盤12との間に硬 貨を貯留するホッパ13とから形成されている。

【００１５】 回転円盤12は、図３ないし図５に示すように、水平方向に対してやや傾斜する 状態に回転軸14に取り付けられ、後述する駆動機構51によって硬貨繰出時に正回 転（図中実線矢印方向）、硬貨詰まり解消時に逆回転（図中破線矢印方向）され る。回転円盤12の表面周縁部には、段差部15を介して処理する最大径硬貨の直径 より広い幅の凹部16が形成されている。この凹部16には、回転方向に長い複数の 長孔17が同心円上に沿って貫通形成されており、この長孔17の間隔は処理する最 大径硬貨の直径より広い寸法とされている。

【００１６】 回転円盤12の裏面側には、各長孔17の正回転方向側の縁部に板ばね18が取り付 けられ、この板ばね18に長孔17を通じて回転円盤12の表面から突出するピン19が 取り付けられている。そして、ピン19は、回転円盤12の回転時に、硬貨が詰まり かけたとき、ピン19が回転円盤12の表面から裏面側へ退避し、硬貨詰まりを解消 できる。また、ピン19の先端には、逆回転方向側に面取部20が形成されており、 これは、硬貨詰まり解除のために回転円盤12が逆回転されたときに、後述する投 出片32とこの投出片32を通過した位置にあるピン19との間に硬貨を噛み込まない でホッパ13内に落下させるためである。なお、ピン19の回転円盤12の表面からの 突出量（ピン19の非退避時）は、最も薄い硬貨の厚みより小さく設定されており 、硬貨が重なった状態で掻き上げないようにしている。

【００１７】 回転円盤12の上部には、回転円盤12から繰り出される硬貨を受入れて搬送する 硬貨識別分類通路21が連設されている。この硬貨識別分類通路21は、回転円盤12 の上部に接続された上昇傾斜する導入通路部22と、この導入通路部22に接続され た水平方向の分類通路部23と、この分類通路部23の末端から円弧状に上方に折返 す折返し通路部24と、この折返し通路部24の末端に接続され分類通路部23の上部 域から硬貨受部３に向けて搬送する送出通路部25とから構成されている。

【００１８】 そして、硬貨識別分類通路21の各通路部22〜25は、回転円盤12と同じ傾斜状態 に配設されたガイド部材26にて形成されている。このガイド部材26には、硬貨の 表面が接触状態で搬送される通路面部27と、この通路面部27の下縁に硬貨の下縁 部を案内する案内縁部28とが形成されている。また、ガイド部材26の回転円盤12 に臨む端部には、通路面部27の傾斜面部29を介して裏面側に突出する導入面部30 が回転円盤12の表面と同一面に設けられ、導入面部30と後述する硬貨搬送ベルト 42との間に他の通路面部27とベルトとの間隔より広く硬貨の導入を容易とする導 入部31が形成されている。さらに、ガイド部材26の案内縁部28には回転円盤12で 掻き上げられた硬貨を硬貨識別分類通路21に取り込む投出片32が連設されており 、この投出片32は、回転円盤12の凹部16の表面に硬貨が通過できない間隔で対向 され、ピン19が通過する通過溝33が形成されている。

【００１９】 また、硬貨識別分類通路21の各通路部22〜25に沿って硬貨を搬送する搬送手段 41が設けられている。この搬送手段41は、無端状の硬貨搬送ベルト42にて形成さ れている。硬貨搬送ベルト42は、ガイド部材26に対向する側に沿って処理する最 大径硬貨の直径より広い間隔を開けて複数の突起43が設けられており、回転円盤 12に臨んで配設された後述する第２駆動伝達部材62のプーリ部44とその他の複数 の案内プーリ45とに張設されている。そして、硬貨搬送ベルト42は、後述する駆 動機構51によって正回転（図中実線矢印方向）して硬貨識別分類通路21内の硬貨 を搬送し、この硬貨搬送速度ＫＶ（Ｋ＞１）は回転円盤12で繰り出される硬貨の 繰出速度Ｖより多少速くなっている。

【００２０】 なお、導入部31において、回転円盤12と硬貨搬送ベルト42との間隔ｄ1 は処理 する最も厚い硬貨の厚みよりやや大きく設定されているとともに、回転円盤12と 硬貨搬送ベルト42の突起43との間隔ｄ2 は最も薄い硬貨の厚みより小さく設定さ れているので、回転円盤12のピン19によって掻き上げられた硬貨は（正常な硬貨 であれば）、硬貨搬送ベルト42の突起43によって搬送されながら、硬貨識別分類 通路21内に取り込まれる。また、導入部31以外におけるガイド部材26と硬貨搬送 ベルト42との間隔ｄ3 は最も薄い硬貨の厚みよりやや小さく設定されているので 、硬貨識別分類通路21に取り込まれた硬貨は導入部31を通過して導入通路部22に 達すると、軽くガイド部材26に押し付けられながら搬送され、後述する識別部91 における識別が確実なものとなっている。

【００２１】 次に、図６および図７は、回転円盤12および硬貨搬送ベルト42の駆動機構51を 示す。回転円盤12の下方に正逆転駆動可能なパルスモータ52が配置され、このパ ルスモータ52の駆動軸53に取り付けられたプーリ54と、回転円盤12の上方に回転 自在に支持された回転軸55に取り付けられたプーリ56との間に、駆動伝達ベルト 57が張設されている。

【００２２】 回転軸55にはギヤ58が取り付けられ、ギヤ58にギヤ群59が噛合されているとと もに、ギヤ群59に回転円盤12の回転軸14に取り付けられたギヤ60が噛合されてい る。したがって、回転円盤12は、パルスモータ52の正逆転駆動により正逆回転さ れる。

【００２３】 回転軸55には、第１駆動伝達部材61、第２駆動伝達部材62およびスプリング63 によって構成され、回転軸55の正回転のみを硬貨搬送ベルト42に伝達するワンウ ェイクラッチ機構64が取り付けられている。

【００２４】 第１駆動伝達部材61は、回転軸55に嵌合する嵌合孔65を有する円筒状に形成さ れ、第２駆動伝達部材62に対向する端面には正回転方向に螺旋状に突出して段部 66を有する係合部67が形成されている。第１駆動伝達部材61の周面には嵌合孔65 に貫通開口する貫通孔68が形成され、この貫通孔68に圧入されたピン69の先端が 回転軸55に軸方向に沿って形成された長溝70に嵌合される。そして、第１駆動伝 達部材61は、ピン69と長溝70との嵌合により回転軸55と一体に正逆回転するとと もに、ピン69が長溝70内を移動する範囲内で軸方向に移動可能とし、スプリング 63によって第２駆動伝達部材62の方向に付勢される。

【００２５】 第２駆動伝達部材62は、回転軸55に嵌合する嵌合孔71を有する円筒状に形成さ れ、第１駆動伝達部材61に対向する端面には正回転方向とは反対方向に螺旋状に 突出して段部72を有する係合部73が形成されているとともに、周面に硬貨搬送ベ ルト42が巻回される前記プーリ部44が形成されている。そして、第２駆動伝達部 材62は、回転軸55に対して軸方向の移動不可で回転自在に取り付けられる。

【００２６】 そして、パルスモータ52が正転された場合、回転軸55と一体に第１駆動伝達部 材61が正回転し、この第１駆動伝達部材61は第２駆動伝達部材62へ向けて付勢さ れ、第１駆動伝達部材61と第２駆動伝達部材62の係合部67，73同士が噛合いする ので、第１駆動伝達部材61の正回転が第２駆動伝達部材62に伝達され、さらに、 第２駆動伝達部材62の正回転が硬貨搬送ベルト42に伝達される。一方、パルスモ ータ52が逆回転された場合、回転軸55と一体に第１駆動伝達部材61が逆回転する が、第１駆動伝達部材61と第２駆動伝達部材62との係合部67，73は噛合いせず、 第１駆動伝達部材61のみがスプリング63を押し縮めて第２駆動伝達部材62から離 れるように軸方向に移動しながら逆回転し、そのため、第２駆動伝達部材62には 回転が伝達されず、硬貨搬送ベルト42は逆回転しない。

【００２７】 このように、パルスモータ52が正転された場合には回転円盤12と硬貨搬送ベル ト42が正回転して硬貨の繰出および搬送が行なわれるが、パルスモータ52が逆転 された場合には回転円盤12は逆転し、硬貨搬送ベルト42は正回転方向へ慣性回転 するかもしくは動かないことになる。すなわち、回転円盤12と硬貨搬送ベルト42 を単一のパルスモータ52で駆動させていながら、噛み込み解除動作時に硬貨識別 分類通路21内の硬貨が逆流させないようになっている。また、回転円盤12で繰り 出される硬貨の繰出速度Ｖよりも硬貨搬送ベルト42による搬送速度ＫＶ（Ｋ＞１ ）が多少速いため、硬貨識別分類通路21内に繰り出された硬貨を１枚ずつ間隔を あけて搬送するようになっている。

【００２８】 また、図２および図１０に示すように、貯留繰出部11のホッパ13の下端部には 開閉板81にて開閉される戻し口82が形成され、この戻し口82に連通した回収シュ ート83が設けられ、この回収シュート83の下端は昇降バケット装置84に連通され ている。この昇降バケット装置84は、硬貨などを収納する側縁が開口されたバケ ット85が図示しないベルトにて昇降自在に設けられており、バケット85に回収シ ュート83から受取口86a を通じて硬貨または異物を受り取り、バケット85が上昇 して放出口86b から返却硬貨搬送ベルト87上に硬貨または異物を放出するように なっている。返却硬貨搬送ベルト87は、受け取った硬貨または異物を硬貨受部３ の受入口６に搬送するようになっている。

【００２９】 また、硬貨識別分類通路21の導入通路部22には、搬入された硬貨の適性、不適 性、金種などの識別を行なう材質センサ、イメージセンサなどにて形成される識 別部91が配設されている。なお、硬貨を搬送する硬貨搬送ベルト42がパルスモー タ52で駆動されるため、搬送速度の硬貨搬送途中での変動が少なく、識別部91に よる硬貨識別精度が向上する。

【００３０】 また、硬貨識別分類通路21の分類通路部23には、下流側に順次間隔をおいて、 １円、５円、10円、50円、 100円、 500円硬貨を分類する選別孔92a 〜92f がそ れぞれ開口されているとともに、リジェクト硬貨および回収硬貨を分類する選別 孔92g 、オーバーフロー硬貨を分類する選別孔92h とがそれぞれ開口されている 。

【００３１】 各選別孔92a 〜92f にはそれぞれを開閉する種類別分岐ゲート95a 〜95f がそ れぞれ設けられ、選別孔92g にはそれを開閉するリジェクト硬貨用分岐ゲート95 g が設けられ、選別孔92h にはそれを開閉するオーバーフロー硬貨用分岐ゲート 95h が設けられている。この各分岐ゲート95a 〜95h は、図８および図９に示す ように、支軸96にて硬貨識別分類通路21の上流側が開口するようにガイド部材26 に軸支され、選別孔92a 〜92h を塞ぐ閉塞位置と選別孔92a 〜92h を開口する分 岐位置との間を回動可能としている。各分岐ゲート95a 〜95h には、分岐位置へ の回動時に硬貨搬送ベルト42との衝合を避ける切欠部97が形成されている。各分 岐ゲート95a 〜95h の支軸96には分岐ゲート駆動手段としてのロータリーソレノ イド98a 〜98h （図１に示す）が各々連結されている。

【００３２】 また、各選別孔92a 〜92h すなわち各分岐ゲート95a 〜95h に対応して、投受 光式の光センサからなる硬貨検知センサ99a 〜99j がそれぞれ配設されている。 各分岐ゲート95a 〜95h の上流側所定距離位置の各硬貨検知センサ99a 〜99h が 、分岐すべき硬貨の到来を検知する後述する分岐予定硬貨到来検知手段151 とし て構成されている。また、各分岐ゲート95a 〜95h の直後の各硬貨検知センサ99 c 〜99j が、各分岐ゲート95a 〜95h で分岐されるべき硬貨の分岐の有無を検知 する後述する分岐有無検知手段152 として構成されている。

【００３３】 そして、識別部91にて識別された識別信号に基づいて、対応する硬貨が対応す る分岐予定硬貨到来検知手段151 の各硬貨検知センサ99a 〜99h を遮光した際に 、先行する硬貨の位置条件に基づき対応する分岐ゲート95a 〜95h が分岐位置へ 回動され、その分岐ゲート95a 〜95h を通じて開口された選別孔92a 〜92h に硬 貨を強制的に落下させる。また、分岐有無検知手段152 の各硬貨検知センサ99c 〜99j が分岐無検知したとき、先行する硬貨の位置条件に基づきその硬貨をオー バーフロー硬貨または返却硬貨として処理する。これらの硬貨の分岐処理につい ての詳細は、後述の作用の欄で説明する。

【００３４】 また、図１１に示すように、各選別孔92a 〜92f の裏面側には、後述する一時 保留部111 に連通するシュート101 がそれぞれ配設されている。図１２に示すよ うに、選別孔92g の裏面側には、後述するリジェクト硬貨収納箱123 に連通する シュート102 が配設されている。図１３に示すように、選別孔92h の裏面側には 、後述する硬貨搬送コンベヤ121 の上方に連通するシュート103 が配設されてい る。

【００３５】 各シュート101 の下端には硬貨を重積状態で一時保留する一時保留部111 がそ れぞれ配設されている。この各一時保留部111 は、硬貨を重積保留する筒状の一 時保留枠112 にて形成され、この一時保留枠112 は図示しない駆動手段によって 硬貨識別分類通路21の硬貨搬送方向と直交方向（図１１右側方向）に進退移動さ れるようになっている。

【００３６】 一時保留枠112 の下方には、種類別硬貨収納投出部113 がカセット方式で着脱 可能に機体１に装着されており、この種類別硬貨収納投出部113 は、各選別孔92 a 〜92f に対応して各種の硬貨を金種別にそれぞれ重積収納する金種別の収納筒 部114 を備えている。この各収納筒部114 の上部は投出部として構成されており 、この投出部には各一時保留枠112 と各収納筒部114 との間に投出板115 が設け られ、この投出板115 は図示しない駆動手段によって硬貨識別分類通路21の硬貨 搬送方向と直交方向（図１１左側方向）に進退移動されるようになっている。そ して、投出板115 が図１１左方に移動し、一時保留枠112 が図１１右方へ移動し て収納筒部114 の最上位硬貨が一時保留枠112 の下面で受けとめられた状態下に おいて、投出板115 の駆動で収納筒部114 の最上位の硬貨を図１１右方へ放出す るようになっている。

【００３７】 種類別硬貨収納投出部113 の各収納筒部114 内には重積硬貨を支承する支承部 材116 がそれぞれ上下動可能に設けられ、この各支承部材116 に硬貨が重積支持 される。この各支承部材116 は、収納筒部114 の図示しない上下方向の案内溝か ら駆動機構117 に着脱可能に連結されてそれぞれ昇降されるようになっており、 出金時においては収納筒部114 内の硬貨を上昇させて最上位硬貨を一時保留枠11 2 の下面に当接させるとともに、入金時においては一時保留枠112 に保留されて いた硬貨を入金承認時に受け取って収納筒部114 内に下降収納させる。

【００３８】 また、図２、図１１および図１３に示すように、種類別硬貨収納投出部113 の 上部一側には硬貨搬送コンベヤ121 が配設されており、この硬貨搬送コンベヤ12 1 は、種類別硬貨収納投出部113 から投出板115 にて投出された出金硬貨、一時 保留部111 から放出された硬貨および選別孔92h からシュート103 を介して放出 されるオーバーフロー硬貨を受け取り、貯留繰出部11または後述するオーバーフ ロー硬貨収納箱125 に搬送する。

【００３９】 また、図２および図１２に示すように、シュート102 の下端には、選別孔92g およびシュート102 を通じてリジェクト硬貨または取り忘れ回収硬貨を受入れ収 納するリジェクト硬貨収納箱123 が配置されている。

【００４０】 また、種類別硬貨収納投出部113 およびリジェクト硬貨収納箱123 の一側にオ ーバーフロー硬貨収納部としてのオーバーフロー硬貨収納箱125 が配置されてお り、このオーバーフロー硬貨収納箱125 は、機体１内に着脱可能とし、硬貨搬送 コンベヤ121 から放出される硬貨を受入れ収納する。このオーバーフロー硬貨収 納箱125 内には、収納されている硬貨を貯留繰出部11に搬送する送出コンベヤ12 6 が設けられている。

【００４１】 次に、図２および図１４において、131 は硬貨補充カセットで、この硬貨補充 カセット131 は機体１内の上部に位置して挿脱自在に装着され、この硬貨補充カ セット131 には上下面に開口した複数の筒状の補充硬貨収納部132 が形成され、 この各補充硬貨収納部132 の下面開口からそれぞれ一括して放出された硬貨は図 示しないシュートに案内されて硬貨搬送コンベヤ121 に供給されるようになって いる。

【００４２】 硬貨補充カセット131 の１円、５円、10円、50円、 100円および 500円硬貨を それぞれ所定枚数、例えば50枚の硬貨をそれぞれ区分け収納する各補充硬貨収納 部132 のうち、出金量の多い金種の硬貨を収納する補充硬貨収納部132 は複数設 けられ、例えば、１円硬貨、10円硬貨および 100円硬貨の補充硬貨収納部132 は ２つずつ、その他の金種の補充硬貨収納部132 は１つずつ設けられている。

【００４３】 また、硬貨補充カセット131 の各補充硬貨収納部132 の下面開口部には、それ ぞれ放出手段、例えばシャッタ133 が溝状の案内溝（図示せず）に沿って開閉自 在に設けられ、この各シャッタ133 の一端部はこの硬貨補充カセット131 の装着 方向に沿う一側面に突出され、この各シャッタ133 の突出端には上方に折り曲げ た係合部134 がそれぞれ形成され、この各シャッタ133 はスプリング135 にてそ れぞれ補充硬貨収納部132 の下面開口部を閉塞する方向に付勢されている。

【００４４】 また、硬貨補充カセット131 の装着位置に沿って各シャッタ133 の駆動手段、 例えば、ソレノイド136 が機体１内に設けられ、硬貨補充カセット131 の装着に より各ソレノイド136 のプランジャ137 に設けた係合片138 が各シャッタ133 の 係合部134 に係合され、ソレノイド136 の励磁動作でシャッタ133 は開放される ようになっている。この各ソレノイド136 は、各収納筒部114 のそれぞれの硬貨 減少を検知する図示しない各硬貨減少検知センサからの硬貨減少信号に基づいて 駆動される。

【００４５】 そして、硬貨補充カセット131 の一端には取手139 が設けられ、各補充硬貨収 納部132 の上面開口部を閉塞する蓋体140 が設けられ、機体１の扉にて開放され る後部から装着されるようになっている。

【００４６】 次に、図１は入金硬貨中の真貨の貨幣値の算出と各分岐ゲート95a 〜95h の作 動を制御する構成図を示す。

【００４７】 検知手段として、識別部91と、分岐予定硬貨到来検知手段151 と、分岐有無検 知手段152 とを備える。分岐予定硬貨到来検知手段151 は、各分岐ゲート95a 〜 95h の上流側位置に各々対応してある各硬貨検知センサ99a 〜99h からなり、各 分岐ゲート95a 〜95h への分岐すべき硬貨の到来を検知する。分岐有無検知手段 152 は、各分岐ゲート95a 〜95h の直後位置に各々対応してある各硬貨検知セン サ99c 〜99j からなり、各分岐ゲート95a 〜95h で分岐されるべき硬貨が分岐さ れたか否かの有無を検知する。

【００４８】 そして、識別部91での識別結果に基づき、入金硬貨中の真貨の貨幣値を算出す る入金貨幣値算出部153 を備えている。なお、貨幣値とは、入金金額、金額と枚 数、金種別の金額、これらの組み合わせのいずれでもよい。

【００４９】 また、分岐ゲート駆動手段としての各ロータリーソレノイド98a 〜98h を作動 させる分岐ゲート駆動制御部154 を備えている。この分岐ゲート駆動制御部154 は、識別部91および分岐予定硬貨到来検知手段151 の信号に基づき、各ロータリ ーソレノイド98a 〜98h を作動させ、硬貨を対応する分岐ゲート95a 〜95h で分 岐させる。

【００５０】 また、種類別分岐ゲート95a 〜95f で分岐されるべき硬貨が対応する分岐有無 検知手段152 （硬貨検知センサ99c 〜99h ）で分岐無検知されたとき、その硬貨 をオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐させるよう分岐ゲート駆動制御部 154 に修正指令を与える駆動修正指令部155 を備えている。

【００５１】 さらに、オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐されるべき硬貨が対応す る分岐有無検知手段すなわち硬貨検知センサ99j で分岐無検知されたとき、その 硬貨の貨幣値分を減算するよう入金貨幣値算出部153 に貨幣値修正指令を与える 貨幣値修正指令部156 を備えている。

【００５２】 次に、本実施例の作用を説明する。

【００５３】 まず、硬貨識別分類通路21での硬貨の分岐動作について説明する。

【００５４】 図１５(a) 〜(d) は、硬貨Ｃを種類別分岐ゲート95b で分岐する場合の制御態 様をそれぞれ示す。図１５(a) に示すように、硬貨Ｃが硬貨検知センサ99b を遮 光したとき、種類別分岐ゲート95b を作動させる。図１５(b) に示すように、硬 貨Ｃが硬貨検知センサ99b を遮光したとき、先行の硬貨Ｃ1 が種類別分岐ゲート 95b の後流側の硬貨検知センサ99d を通過していれば、種類別分岐ゲート95b を 作動させる。図１５(c) に示すように、硬貨Ｃが硬貨検知センサ99b を遮光した とき、先行の硬貨Ｃ1 が種類別分岐ゲート95b の後流側の硬貨検知センサ99d を 遮光していれば、種類別分岐ゲート95b を作動させる。図１５(d) に示すように 、硬貨Ｃが硬貨検知センサ99b を遮光したとき、先行の硬貨Ｃ1 が種類別分岐ゲ ート95b の後流側の硬貨検知センサ99d に到達していなければ、種類別分岐ゲー ト95b による分岐作動が不可能として、先行の硬貨Ｃ1 および今回の硬貨Ｃは後 述する種類別硬貨収納投出部113 に収納させることなく、入金時にはリジェクト 硬貨として硬貨受部３へ送り、補充時にはオーバーフロー硬貨として扱って後述 するリジェクト硬貨収納箱123 に収納する。

【００５５】 また、硬貨Ｃが種類別分岐ゲート95b に到来して分岐されるはずであるにもか かわらず、分岐タイミングの遅れから種類別分岐ゲート95b を通過し、硬貨検知 センサ99d で検知されたとき、その硬貨Ｃをオーバーフロー硬貨用分岐ゲート95 h で分岐するよう駆動修正指令部155 を通じてセットされる。そして、その硬貨 Ｃが硬貨検知センサ99h に到来したとき、先行する硬貨Ｃ1 が硬貨検知センサ99 j を通過しているか硬貨検知センサ99j を遮光していれば、硬貨Ｃはオーバーフ ロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐され、また、先行する硬貨Ｃ1 が硬貨検知セン サ99j まで到来していないときは分岐させずに硬貨受部３へ送る。

【００５６】 さらに、オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h の切換タイミング遅れにより、 オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐すべき硬貨Ｃが分岐されずに硬貨検 知センサ99j で検知された場合は、その硬貨はリジェクト硬貨として硬貨受部３ へ送る。

【００５７】 なお、リジェクト硬貨として硬貨受部３に送られた硬貨の貨幣値分は入金貨幣 値から減算される。

【００５８】 次に、入金処理について、図１６のフローチャートを参照して説明する。

【００５９】 機械操作者の入金指令操作に基づいて、硬貨受収口２のシャッタが自動的に開 き、操作者は硬貨受収口２から入金硬貨を硬貨受部３に投入する。この硬貨の投 入を検知してそのシャッタが自動的に閉じられ、その直後に、硬貨受部３の底部 のシャッタ４が自動的に開き、放出口５から硬貨が貯留繰出部11のホッパ13に放 出される。その放出後、シャッタ４は閉じるとともに硬貨受収口２のシャッタは 開かれる。

【００６０】 また、貯留繰出部11に貯留された硬貨は回転円盤12の回転で、この回転円盤12 の周縁部に所定間隔ごとに突設されたピン19にて１枚ずつ間隔をあけて硬貨識別 分類通路21に繰り出される。硬貨識別分類通路21に繰り出された硬貨は、硬貨搬 送ベルト42の各突起43，43間に１枚ずつ送り込まれ、硬貨搬送ベルト42によりガ イド部材26の通路面部27に軽く押し付けられながら案内縁部28に沿って導入通路 部22および分類通路部23に搬送される。

【００６１】 導入通路部22および分類通路部23に搬送される硬貨は識別部91で識別される（ ステップ１）。真貨と識別されれば、その硬貨の貨幣値分が入金貨幣値算出部15 3 で算出される入金貨幣値に加算され、対応する金種の収納筒部114 の満杯検知 状況からその収納筒部114 への収納が可能か否かすなわち種類別分岐が可能か否 かが判断される（ステップ２）。

【００６２】 種類別分岐が可能と判断されれば、硬貨が対応する種類別分岐ゲート95a 〜95 f に到来する際に、その対応する種類別分岐ゲート95a 〜95f が分岐位置へ回動 され、硬貨が対応する選別孔92a 〜92f に落下分岐される。

【００６３】 一方、識別部91で不適性硬貨として識別された硬貨は、硬貨識別分類通路21の 送出通路部25の末端まで搬送され、案内縁部28に案内されて自重転動して硬貨受 部３に戻される（ステップ３）。

【００６４】 また、硬貨が対応する種類別分岐ゲート95a 〜95f に到来して分岐されるはず であるにもかかわらず、分岐タイミングの遅れから対応する種類別分岐ゲート95 a 〜95f を通過し、分岐有無検知手段152 （硬貨検知センサ99c 〜99h ）で分岐 無検知されたとき（ステップ４）、その硬貨をオーバーフロー硬貨用分岐ゲート 95h で分岐するよう駆動修正指令部155 を通じてセットされる（ステップ５）。 そして、その硬貨は種類別分岐ゲート95a 〜95f を通過してオーバーフロー硬貨 用分岐ゲート95h により選別孔92h に落下分岐される。

【００６５】 また、ステップ２において、満杯検知がなされていて種類別分岐が不可と判断 されれば、その硬貨は、オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐するようセ ットされ（ステップ６）、種類別分岐ゲート95a 〜95f を通過してオーバーフロ ー硬貨用分岐ゲート95h により選別孔92h に落下分岐される。

【００６６】 さらに、オーバーフロー硬貨として分岐セットされた硬貨がオーバーフロー硬 貨用分岐ゲート95h に到来して分岐されるはずであるにもかかわらず、オーバー フロー硬貨用分岐ゲート95h の切換タイミング遅れからオーバーフロー硬貨用分 岐ゲート95h を通過し、分岐有無検知手段152 （硬貨検知センサ99j ）で分岐無 検知されたとき（ステップ７，８）、その硬貨の貨幣値分を減算するよう貨幣値 修正指令部156 を通じて入金貨幣値算出部153 に貨幣値修正指令が与えられる（ ステップ９）。オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h を通過した硬貨はリジェク ト硬貨として硬貨受部３へ送られる。

【００６７】 そして、各選別孔92a 〜92f に落下分岐された硬貨は、シュート101 に案内さ れてそれぞれ金種ごとに一時保留部111 に重積状態で一時保留され、選別孔92h に落下分岐された硬貨はシュート103 を通じて硬貨搬送コンベヤ121 上に放出さ れて一時保留される。

【００６８】 また、貯留繰出部11に残留する回転円盤12で送出されない硬貨や異物などの残 留物の回収は、ホッパ13の下端部の開閉板81が開かれ、戻し口82から回収シュー ト83にて昇降バケット装置84のバケット85に放出され、バケット85が上昇して放 出口86b から返却硬貨搬送ベルト87上に放出され、返却硬貨搬送ベルト87にて硬 貨受部３に戻される。

【００６９】 また、硬貨受部３は、入金硬貨が貯留繰出部11に放出された直後にシャッタ４ が閉じるとともに硬貨受収口２のシャッタが再度開放されており、この硬貨受部 ３へ戻された不適性硬貨、貯留繰出部11から戻された残留物はいつでも取り出せ る。

【００７０】 そして、機械操作者により入金金額が確認されて入金承認操作がなされると、 各一時保留部111 に保留された硬貨は投出板115 の後退と支承部材116 の下降に より、種類別硬貨収納投出部113 の収納筒部114 内にそれぞれ重積収納され、ま た、硬貨搬送コンベヤ121 上のオーバーフロー硬貨はこの硬貨搬送コンベヤ121 の駆動でオーバーフロー硬貨収納箱125 に放出収納される。

【００７１】 また、機械操作者により入金不承認操作がなされると、一時保留枠112 の移動 により一時保留部111 に一時保留されていた硬貨は、硬貨搬送コンベヤ121 に放 出される。一時保留部111 から放出された硬貨および硬貨搬送コンベヤ121 上に 保留されていたオーバーフロー硬貨は、硬貨搬送コンベヤ121 で貯留繰出部11に 搬送される。貯留繰出部11に搬送された硬貨は、貯留繰出部11から繰り出されて 硬貨識別分類通路21を搬送され、送出通路部25の末端から硬貨受部３に戻される 。シャッタが開放された硬貨受収口２から返却硬貨を取り出せる。

【００７２】 また、入金処理毎に各収納筒部114 とオーバーフロー硬貨収納箱125 とへの硬 貨出入り量が演算されて記憶され、機体１内の硬貨量の在高管理が行なわれる。

【００７３】 出金処理について説明する。

【００７４】 機械操作者により出金貨幣値（金額または金種と枚数）の入力操作と出金指令 操作がなされると、種類別硬貨収納投出部113 の収納筒部114 に重積収納されて いる硬貨が投出板115 にて順次硬貨搬送コンベヤ121 上に放出される。出金貨幣 値の硬貨の投出が終了した状態で硬貨搬送コンベヤ121 が駆動され、硬貨搬送コ ンベヤ121 上に投出された硬貨が貯留繰出部11に搬送される。

【００７５】 そして、貯留繰出部11に搬送された硬貨は、貯留繰出部11から繰り出されて硬 貨識別分類通路21を搬送され、識別部91で識別されて、種類別硬貨収納投出部11 3 から投出された金種と硬貨枚数が指定された出金貨幣値を構成する金種と硬貨 枚数と合うか照合される。識別部91で出金適正と識別された硬貨は、送出通路部 25の末端から硬貨受部３に投出される。

【００７６】 また、識別部91で異常と識別された異常硬貨は、選別孔92g から落下され、シ ュート102 を通じてリジェクト硬貨収納箱123 の異常硬貨専用収納部に収納され る。そして、再度前記出金動作で異常硬貨として回収された金種の硬貨が出金さ れ、識別部91で金種と枚数を確認して硬貨受部３に投出される。

【００７７】 そして、出金硬貨の投出動作終了から所定時間後（出金硬貨すべてが硬貨受部 ３へ送られる所定時間後）に投出された金種と硬貨枚数が指定された出金貨幣値 を構成する金種と硬貨枚数に一致していることを条件として硬貨受収口２のシャ ッタが開かれ、出金硬貨の取り出しが可能となる。また、出金硬貨の取り出し後 、所定の時期に硬貨受収口２のシャッタが閉じられ、待機状態に復帰される。

【００７８】 なお、前記入金処理および出金処理において、硬貨受部３に戻された入金硬貨 、硬貨受部３に出金された出金硬貨などの取り忘れ硬貨は、貯留繰出部11から硬 貨識別分類通路21を経て選別孔92g からシュート102 を通じてリジェクト硬貨収 納箱123 に収納（正常硬貨は正常硬貨収納部、異常硬貨は異常硬貨専用収納部に 収納）される。

【００７９】 また、硬貨受部３への出金時（出金キャンセル時ではない）は、金種分類はな くリジェクト硬貨の分岐だけであるので、リジェクト硬貨が硬貨受部３に送られ る可能性は低い。しかし、もし発生した場合は、硬貨受収口２のシャッタを閉じ たままにし、全ての出金硬貨が硬貨受収口２へ放出され終わった段階で回転円盤 12と硬貨搬送ベルト42を停止させ、シャッタ４の開放、貯留繰出部11の開閉板81 の開放により回収シュート83へ送り、途中の切換部材（図示せず）によりオーバ ーフロー硬貨収納箱125 に区画形成された収納部に回収される。そして、再度、 出金動作を開始する。

【００８０】 また、出金処理毎に各収納筒部114 とオーバーフロー硬貨収納箱125 とへの硬 貨出入り量が演算されて記憶され、機体１内の硬貨量の在高管理が行なわれる。

【００８１】 硬貨補充処理について説明する。

【００８２】 まず、始業時などの初期補充時について説明する。この場合、種類別硬貨収納 投出部113 は全て空であり、機体１に装着した硬貨補充カセット131 から硬貨補 充が行なわれる。

【００８３】 そして、機械操作者により初期補充操作がなされると、種類別硬貨収納投出部 113 の金種に対応する１個の補充硬貨収納部132 のシャッタ133 がソレノイド13 6 で駆動され、その補充硬貨収納部132 に収納されていた補充硬貨が一括放出さ れ、図示しないシュートに案内されて硬貨搬送コンベヤ121 上に供給され、硬貨 搬送コンベヤ121 で貯留繰出部11に搬送される。前述の金種の補充硬貨収納部13 2 のシャッタ133 の開放から所定時間（例えば７秒）毎に順次一金種ずつ対応す る補充硬貨収納部132 のシャッタ133 が開放されて前述と同様の動作が繰り返さ れる。

【００８４】 貯留繰出部11に搬送された補充硬貨は、貯留繰出部11から硬貨識別分類通路21 に繰り出され、識別部91で識別され、対応する金種の種類別分岐ゲート95a 〜95 f で分岐されて選別孔92a 〜92f からシュート101 を通じて収納筒部114 に補充 収納される。このとき、投出板115 は退避状態で硬貨は一時保留枠112 に一時保 留されることなく収納筒部114 に収納される。

【００８５】 また、識別部91で異常硬貨と識別された硬貨は、リジェクト硬貨用分岐ゲート 95g で分岐されて選別孔92g からシュート102 を通じてリジェクト硬貨収納箱12 3 の異常硬貨専用収納部に収納される。

【００８６】 続いて、途中補充時について説明する。種類別硬貨収納投出部113 の各収納筒 部114 のいずれかの収納筒部114 の硬貨が所定量より減少した場合、硬貨補充カ セット131 の減少した収納筒部114 に対応する金種の１つの補充硬貨収納部132 から補充硬貨が一括放出され、図示しないシュートに案内されて硬貨搬送コンベ ヤ121 上に供給され、硬貨搬送コンベヤ121 で貯留繰出部11に搬送される。

【００８７】 そして、貯留繰出部11に搬送された補充硬貨は、貯留繰出部11から硬貨識別分 類通路21に繰り出され、識別部91で識別され、対応する金種の種類別分岐ゲート 95a 〜95f で分岐されて収納筒部114 に補充収納され、また、識別部91で異常硬 貨と識別された硬貨は、リジェクト硬貨用分岐ゲート95g で分岐されてリジェク ト硬貨収納箱123 の異常硬貨専用収納部に収納される。

【００８８】 なお、硬貨補充カセット131 に同一金種の硬貨を収納する補充硬貨収納部132 が複数設けられている金種の硬貨を補充する場合は、予め設定されている順序で 放出される。

【００８９】 また、この硬貨補充カセット131 から補充された硬貨は入金処理の場合と同様 に収納筒部114 に収納された硬貨量が既に記憶している硬貨量に加算されて在高 管理される。

【００９０】 なお、硬貨補充カセット131 に収納された硬貨量は在高管理されず、単に各補 充硬貨収納部132 の硬貨が放出されているか、未放出であるかのデータ管理が行 なわれる。

【００９１】 また、硬貨補充処理時においても、前述の入金処理時と同じ要領で硬貨の分岐 が行なわれ、オーバーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐できず硬貨受部３へ送 られた補充硬貨については、補充硬貨の貨幣値からその硬貨の貨幣値分を減算す る。そして、補充硬貨が硬貨繰出部11からすべて送出された後、再度、硬貨受部 ３のシャッタ４が開放され、硬貨繰出部11から硬貨識別分類通路21へ送出され、 識別部91の識別結果により分岐され、その際の識別貨幣値が補充硬貨の貨幣値に 加算される。

【００９２】 また、リジェクト硬貨用分岐ゲート95g で分岐できずに硬貨受部３へ送られた リジェクト硬貨については、識別部91でリジェクト硬貨と判断しているもの故、 貨幣値が無と判断されており、補充硬貨の貨幣値から減算する必要はない。この リジェクト硬貨についても、シャッタ４の開放によって再度、硬貨繰出部11、硬 貨識別分類通路21を通じて識別部91の識別結果に基づき分岐され、リジェクト硬 貨収納箱123 の異常硬貨専用収納部に収納される。

【００９３】 このように、補充時も分岐された硬貨（リジェクト硬貨は除く）の貨幣値が正 確に算出されるので、在高管理が可能となる。

【００９４】 また、種類別硬貨収納投出部113 のある金種の収納筒部114 の硬貨が所定量よ り減少し、この減少した金種の補充硬貨が硬貨補充カセット131 からすでに放出 されている場合には、硬貨補充カセット131 に硬貨を補充した後前述の補充動作 を行なうが、オーバーフロー硬貨収納箱125 の現金在高管理を要求されない場合 はオーバーフロー硬貨収納箱125 の送出コンベヤ126 が駆動され、オーバーフロ ー硬貨収納箱125 に収納されている硬貨が貯留繰出部11に搬送され、この貯留繰 出部11から硬貨識別分類通路21に繰り出され、識別部91で識別されて、不足して いる金種の種類別分岐ゲート95a 〜95h で分岐されて収納筒部114 内に補充収納 される。このとき、収納筒部114 の満杯検知がなされている金種硬貨は、オーバ ーフロー硬貨用分岐ゲート95h で分岐されて硬貨搬送コンベア121 へ放出され、 この硬貨搬送コンベア121 からオーバーフロー硬貨収納箱125 に戻される。異常 硬貨は、リジェクト硬貨用分岐ゲート95g で分岐されてリジェクト硬貨収納箱12 3 の異常硬貨専用収納部に収納される。

【００９５】 硬貨回収処理について説明する。

【００９６】 硬貨回収指令により種類別硬貨収納投出部113 に収納されている硬貨が、投出 板115 で硬貨搬送コンベヤ121 に順次投出され、この硬貨搬送コンベヤ121 から オーバーフロー硬貨収納箱125 に放出収納される。そして、機体１から、回収収 納された硬貨の金種別枚数・金額及び合計金額が算出されて明らかになったオー バーフロー硬貨収納箱125 、リジェクト硬貨収納箱123 、硬貨補充カセット131 がそれぞれ取り出される。

【００９７】 なお、前記実施例において、分岐予定硬貨到来検知手段151 と分岐有無検知手 段152 とで硬貨検知センサ99a 〜99j を共用したが、専用に設けてもよい。

【００９８】 また、前記実施例において、硬貨搬送コンベヤ121 に一時保留硬貨、出金硬貨 および補充硬貨を放出する場合、硬貨搬送コンベヤ121 を停止状態としてもよく 、また、硬貨が放出されるときに間欠的に駆動させて、硬貨が硬貨搬送コンベヤ 121 に均等に載置されるようにしてもよい。

【００９９】 また、硬貨補充カセット131 の補充硬貨収納部132 は種類別硬貨収納投出部11 3 の収納筒部114 に対応して設ける必要はなく、追加補充を必要とする金種の硬 貨のみの補充硬貨収納部132 とすることもできる。

【０１００】 また、硬貨補充カセット131 の補充硬貨収納部132 は適宜に金種の設定、変更 ができるようにすることもでき、さらに、硬貨補充カセット131 の補充硬貨収納 部132 は一金種とすることもできる。

【０１０１】 なお、前記実施例では、前記硬貨補充カセット131 の補充硬貨収納部132 は硬 貨を重積収納するようにしたが、必ずしも整然と重積収納する筒状とする必要は なく、単に箱形状の収納部とすることもできる。

【０１０２】 さらに、前記実施例では、硬貨補充カセット131 の放出手段のシャッタ133 を 駆動させる駆動手段のソレノイド136 は機体１に設けた構造としたが、硬貨補充 カセット131 に設け、硬貨補充カセット131 の機体１への装着により機体１側と コネクタなどにてソレノイド136 が電気的に接続されるようにすることもできる 。

【０１０３】 また、前記実施例では、硬貨受収口２は入金口と出金口とを共通の入出金口と したが、入金口と出金口とをそれぞれ別に形成することもできる。

【０１０４】 なお、前記実施例では、導入通路部22は上方へ向けて傾斜しているが、この構 成に限られるものではなく、分類通路部23のように略水平に延びるものでもよい 。

【０１０５】

【考案の効果】

本考案によれば、種類別分岐ゲートで分岐されなかった場合は、硬貨をオーバ ーフロー硬貨として分岐するようにし、また、オーバーフロー硬貨用分岐ゲート で分岐されなかった場合は、硬貨を機械操作側に返却するとともにその硬貨の貨 幣値分を入金貨幣値から減算することができる。したがって、硬貨識別分類通路 を搬送される入金硬貨が対応する分岐ゲートに到来した際、分岐タイミングの遅 れからこの分岐ゲートで分岐されなかった場合でも、異常として機械を停止させ ることなく、異常停止する機会の少ない循環式硬貨入出金機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の循環式硬貨入出金機の一実施例を示す
構成図である。

【図２】同上実施例の内部構造を説明する正面図であ
る。

【図３】同上実施例の硬貨識別分類通路の正面図であ
る。

【図４】同上実施例の貯留繰出部の正面図である。

【図５】同上実施例の図４のＡ−Ａ断面図である。

【図６】同上実施例の駆動機構の側面図である。

【図７】同上実施例の駆動機構の斜視図である。

【図８】同上実施例の硬貨識別分類通路の断面図であ
る。

【図９】同上実施例の硬貨識別分類通路の斜視図であ
る。

【図１０】同上実施例の図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図１１】同上実施例の図２のＣ−Ｃ断面図である。

【図１２】同上実施例の図２のＤ−Ｄ断面図である。

【図１３】同上実施例の図２のＥ−Ｅ断面図である。

【図１４】同上実施例の硬貨補充カセットの斜視図であ
る。

【図１５】同上実施例の硬貨識別分類通路の動作説明図
である。

【図１６】同上実施例の入金処理動作のフローチャート
図である。

【符号の説明】

11 貯留繰出部 21 硬貨識別分類通路 41 搬送手段 91 識別部 95a 〜95f 種類別分岐ゲート 95h オーバーフロー硬貨用分岐ゲート 98a 〜98f ，98h 分岐ゲート駆動手段としてのロー
タリーソレノイド 113 種類別硬貨収納投出部 125 オーバーフロー硬貨収納部としてのオーバーフロ
ー硬貨収納箱 151 分岐予定硬貨到来検知手段 152 分岐有無検知手段 153 入金貨幣値算出部 154 分岐ゲート駆動制御部 155 駆動修正指令部 156 貨幣値修正指令部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 貯留繰出部に受け入れた入金硬貨をこの
   貯留繰出部から硬貨識別分類通路に１枚ずつ繰り出すと
   ともに硬貨識別分類通路を搬送手段により搬送し、この
   硬貨識別分類通路を搬送する入金硬貨を識別部により識
   別するとともにこの識別信号に基づき作動する種類別分
   岐ゲートにより出金硬貨に使用すべき真貨は種類別に分
   岐して一時保留し、出金に使用しない真貨はオーバーフ
   ロー硬貨用分岐ゲートにより分岐して一時保留し、偽貨
   は硬貨識別分類通路を通過させて機械操作者側へ返却
   し、入金承認時に一時保留硬貨を種類別硬貨収納投出部
   およびオーバーフロー硬貨収納部へ収納し、かつ、出金
   時には種類別硬貨収納投出部から硬貨を投出して機械操
   作者側へ出金する循環式硬貨入出金機において、 前記識別部での識別結果に基づき入金硬貨中の真貨の貨
   幣値を算出する入金貨幣値算出部と、 前記種類別分岐ゲートおよびオーバーフロー硬貨用分岐
   ゲートに対応させて各々設けられ、分岐すべき硬貨の到
   来を検知する分岐予定硬貨到来検知手段と、 前記種類別分岐ゲートおよびオーバーフロー硬貨用分岐
   ゲートを各々作動させる分岐ゲート駆動手段と、 前記識別部および各分岐予定硬貨到来検知手段の信号に
   基づき前記各分岐ゲート駆動手段を作動させる分岐ゲー
   ト駆動制御部と、 前記種類別分岐ゲートおよびオーバーフロー硬貨用分岐
   ゲートの直後に各々設けられ、各分岐ゲートで分岐され
   るべき硬貨の分岐の有無を検知する分岐有無検知手段
   と、 前記種類別分岐ゲートで分岐されるべき硬貨が対応する
   前記分岐有無検知手段で分岐無検知されたとき、その硬
   貨を前記オーバーフロー硬貨用分岐ゲートで分岐させる
   よう前記分岐ゲート駆動制御部に修正指令を与える駆動
   修正指令部と、 前記オーバーフロー硬貨用分岐ゲートで分岐されるべき
   硬貨が対応する前記分岐有無検知手段で分岐無検知され
   たとき、その硬貨の貨幣値分を減算するよう前記入金貨
   幣値算出部に貨幣値修正指令を与える貨幣値修正指令部
   とを備えることを特徴とする循環式硬貨入出金機。