JPH0674450B2 - 鋼帯の酸化防止剤 - Google Patents

鋼帯の酸化防止剤

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JPH0674450B2
JPH0674450B2 JP18453290A JP18453290A JPH0674450B2 JP H0674450 B2 JPH0674450 B2 JP H0674450B2 JP 18453290 A JP18453290 A JP 18453290A JP 18453290 A JP18453290 A JP 18453290A JP H0674450 B2 JPH0674450 B2 JP H0674450B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋼帯の酸化防止剤に関し、特に、鋼帯の連続焼
鈍酸洗に先立って鋼帯表面に塗布し、高温酸化雰囲気で
の酸化スケールの生成を防止すると共に、完全かつ容易
に剥離することができるものである。
〔従来の技術〕
一般に、冷間圧延後の鋼帯に対して、所定の機械的性質
を得るために焼鈍処理が施される。例えば、炭素鋼の場
合には、3〜15%H2+85〜97%N2の弱還元性雰囲気中で
焼鈍される(CA法)。一方、ステンレス鋼の場合には、
75%H2+25%N2の強還元雰囲気中で焼鈍される(BA法)
か、又は2〜3%O2の酸化性雰囲気中で焼鈍される(AP
法)。
以下、AP法を例に説明する。
冷間圧延後のステンレス鋼帯は、連続焼鈍酸洗ラインで
焼きなましと酸洗とが施される。第4図に、一般に行わ
れている上記連続焼鈍酸洗ライン(以下、APLと称す
る)の概略を示す。図において、1はペイオフリール、
2は入側シヤー、3はウェルダ、4は脱脂装置、5は入
側ルーパである。6は焼鈍炉であって、加熱部7と冷却
部8とからなり、加熱部7は余熱帯,加熱帯,均熱帯な
どから構成されている。9,10,11は、ソルトバス,中性
塩電解槽,硝酸槽,硝フッ酸槽などを適宜組み合わせた
複数の酸洗槽である。12は洗浄装置、13はドライア、14
は出側ルーパ、15は分割シヤー、16はテンションリール
である。
このAPLにおいて、先ずペイオフリール1により巻戻さ
れた冷間圧延後のステンレス鋼帯Sは、入側シヤー2で
先端部または後端部を切断され、ウェルダ3により先行
コイル又は後行コイルと接続される。次にステンレス鋼
帯Sは、表面に付着した冷間圧延油が脱脂装置4で除去
され、その後、入側ルーパ5を経て焼鈍炉6に送られ
て、所定の熱処理を施される。このとき、加熱部7内に
おいて、ステンレス鋼帯Sはアスベストロール71でカテ
ナリー状に支持されて、直火バーナーで熱処理される。
その後、冷却部8においてエアジェットによる冷却が行
われる。このように直火バーナを用いるので(すなわ
ち、燃焼ガス雰囲気下で焼鈍されるので)、ステンレス
鋼帯Sの表面には厚さ200〜4000Å程度の緻密なスケー
ル層が形成される。そこで、次に、ステンレス鋼帯Sは
複数の酸洗槽9〜11において脱スケールされると共に、
不働態化処理が施される。次いで、ブラッシング,スプ
レーなどを行う洗浄装置12により表面が清浄にされ、ド
ライア13で乾燥されてから、出側ルーパ14を経て分割シ
ヤー15により所定長さに切断された後、テンションリー
ル16に巻き取られる。
ところで、冷間圧延後のステンレス鋼帯Sの表面は、鏡
面に近いため熱吸収率が低い。したがって、APLの焼鈍
炉6の加熱部7において焼鈍温度まで昇温するには、長
大な炉を必要とするか、もしくは炉内の通板速度を低下
しなければならないという問題がある。
従来、この問題を解決する方法として、例えば特公昭56
−8092号公報に開示された発明がある。このものは、鋼
帯の表面に、炭素,黒色染料,黒色顔料の単独又はこれ
らの混合物を塗布して連続焼鈍するものであり、これに
より冷間圧延後のステンレス鋼帯Sの熱吸収を増加せし
めている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特公昭56−8092号公報の発明によれば、鋼帯の熱吸
収率は大きくなり焼鈍効果を大きく高めることができ
る。
しかしながら、同公報第2欄32行目に『塗布膜は炉内で
分解する』と記載されているように、焼鈍中に塗布膜は
消失するから、鋼帯表面は燃焼ガス雰囲気と直接に接触
することになる。したがって、この従来発明によって
は、炉内における酸化スケールの発生を抑制することは
できない。
かくして、冷間圧延後の炭素鋼およびステンレス鋼の鋼
帯の焼鈍中に形成される酸化スケール層に起因して、従
来、以下のような種々の問題点が生じていた。
(1)焼鈍中に鋼帯に生成される酸化スケール層が、炉
内のハースロールに付着し、これが成長する結果、鋼帯
にピックアップ疵を発生させる。したがって、ハースロ
ールの頻繁な交換を余儀無くされ、生産性低下,メイン
テナンスの手間の増大などを来す。
(2)ステンレス鋼帯の場合は、炭素鋼に比べて生成す
る酸化スケールがより緻密であり、これを除去するには
長大な酸洗設備が必要となる。また使用すべき薬液の種
類も多いから、廃酸処理も非常に厄介になる。
(3)また、炭素鋼におけるCA法、或いはステンレス鋼
におけるBA法は、還元雰囲気中で熱処理を行うので、酸
化スケールの生成は殆どないが、反面、間接加熱が必要
となるから熱効率が悪い。更に、炉内ガスのコストも高
くつく。そのため、ランニングコストが高くなるという
欠点がある。
因みに、直火炉であっても酸化防止が可能となれば、CA
法やBA法といった不経済な焼鈍法を不要とすることもで
きる可能性がある。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、鋼帯の表面に
塗布する酸化防止剤を提供することにより、焼鈍工程に
おける酸化スケールの生成を効果的に防止して上記従来
の問題点を解決することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の鋼帯の酸化防止剤
は、1300℃以下で結晶化するコロイド状無機物質と、13
00℃以下の融点を有するケイ酸塩物質,ホウ酸塩物質,
リン酸塩物質の少なくとも一種と、分散剤とを有効成分
として含有するものである。
本発明の鋼帯の酸化防止剤は、上記各成分に加えて、更
に、有効成分として、耐火材料の少なくとも一種を含有
させることもできる。
前記コロイド状無機物質は、アルミナ,シリカ,リン酸
アルミニウム,ケイ酸ジルコニウム及びホウ酸ジルコニ
ウムの少なくとも1種以上を用いて構成することができ
る。
また、前記ケイ酸塩物質,オウ酸塩物質,リン酸塩物質
は、それぞれアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩
とすることができる。
また、前記分散剤は、有機系高分子であるコーンスター
チ,タピオカデンプン,アルギン酸ソーダ,グアーガ
ム,ザンサンガム,カゼイン,ゼラチン,αデンプン、
デキストリン,メチルセルロース,エチルセルロース,
ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロ
ース,ヒドロキシメチルプロピルセルロース,ポリビニ
ルアルコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレ
ンオキサイド,ポリビニールブチラール及びプルランか
らなる群から選ぶことができる。
更に、前記耐火材料は、アルミナ,シリカ,マグネシ
ア,ジルコニア及びチタニアの酸化物、ムライト,アン
ダルサイト,シャモット,マグネサイト,スピネル,ド
ロマイト,モンモリロナイト,カオリナイト及びセピオ
ライトの複合酸化物、並びに炭化ケイ素,炭化チタン,
炭化タングステン,炭化ホウ素,炭化モリブデンの炭化
物、からなる群から選ぶことができる。
〔作用〕
非常に小さい粒子からなるコロイド状無機物質を、鋼帯
表面に塗布すると、熱吸収率の低い鏡面状の表面を有す
る鋼帯の熱吸収率が向上し、かつ鋼帯の見掛け上の受熱
面積が増す。そのため、焼鈍炉内での昇温が促進され
る。温度約300〜600℃でコロイド粒子が脱水され、600
℃以上では粒子間が縮合して強固で緻密な無定形被膜と
なり、鋼帯面に融着する。その被膜が酸化性雰囲気を遮
断し、酸化スケールの生成を防止する。
さらに温度が上昇すると、上記無定形被膜は結晶化して
定形被膜となる。この定形被膜は、鋼帯に比べて線膨張
係数が小さい。よって、次の冷却過程で、鋼帯との収縮
量の差による熱応力が膜内に生じて、多数の亀裂が発生
する。そのため、水洗とブラシング程度で、簡単に鋼帯
表面から剥離する。
ケイ酸塩物質,ホウ酸塩物質,リン酸塩物質の少なくと
も一種からなる1300℃以下の融点を有する低融点化合物
は、コロイド状無機物質に配合すると、コトイド状無機
物質の「無定形被膜形成温度」と「結晶化温度」とを変
化せしめる。そこで、その配合量を調整することによ
り、コロイド状無機物質の熱的性質を鋼種に応じて調整
することができる。
有機系高分子からなる分散剤は、コロイド状無機物質の
粒子分散を促進して、鋼帯表面における、均一で平滑な
コロイド状無機物質の乾燥塗膜の形成を促し、膜と鋼帯
との密着性を強化する。
耐火材料は、特に高温で長時間の焼鈍が行われる場合
に、酸化スケールの生成防止を、更に有効に改善する。
以下、更に詳細に説明する。
一般に、連続焼鈍における鋼帯の焼鈍温度は、1300℃以
下である。(例えば、SUS304は1120〜1200℃、SUS430は
800〜900℃、電磁鋼,炭素鋼は700〜800℃である)。よ
って、本発明者らは、1300℃以下で、しかも下記諸条件
を全て満足する酸化防止剤を目標として鋭意研究を重ね
た結果、本発明をなすに至った。
鋼帯への塗布時に、初期の接着性が強く且つ乾燥塗膜
に割れや剥離が生じないこと。
酸化スケールの生成要因である酸素の侵入を遮断する
ため、鋼帯表面に溶融融着し、強固で密着性が強く、緻
密な焼成被膜を形成すること。
冷却過程において、焼成被膜を完全に剥離させるた
め、鋼帯との熱収縮率の差が大きく、急激に密着性が低
下すること。
本発明の鋼帯の酸化防止剤には、コロイド状無機物質が
含まれる。そのコロイド成分としては、アルミナ,シリ
カ,リン酸アルミニウム,ケイ酸ジルコニウム及びホウ
酸ジルコニウムの少なくとも一種以上であることが好ま
しい。熱的に安定し、かつ1300℃以下で結晶化するから
である。
本発明におけるコロイド状無機物質の機能は、次の通り
である。
(イ)一般にコロイド状無機物質は、粒子径(分子集合
体としての粒子径)が5μm〜100μmと非常に小さ
い。そのため、鋼帯表面に塗布すると、鋼帯の表面を緻
密に覆うと共に、微細な凹凸を形成することができる。
これにより、表面が鏡面に近くて熱吸収率が低かった冷
間圧延後の鋼帯の熱吸収率が向上し、かつ鋼帯の見掛け
上の受熱面積が拡大される。したがって、焼鈍温度まで
容易に昇温可能となり、従来のように長大な炉を必要と
せず、また炉内の通板速度を下げることもないから、生
産性低下の問題も解決できる。
(ロ)次に、焼鈍炉内の昇温過程において、コロイド状
無機物質の粒子は、温度約300〜600℃の間で粒子中の水
分が脱水される。そして600℃以上で粒子間が縮合し
て、強固な無定形被膜が形成されるという特性を有す
る。この無定形被膜が鋼帯表面を覆うため、焼鈍雰囲気
中の酸化性成分(O2,CO2,H2O)と鋼帯とが遮断され
る。これにより、炉内での酸化スケールの生成を防止で
きる。
(ハ)更に昇温を続けると、この無定形被膜は規則正し
い定形被膜に変化する(結晶化)。この定形皮膜は、鋼
帯に比べて非常に線膨張係数が小さい。そのため、次の
冷却過程において、鋼帯との収縮量の差に起因する熱応
力が被膜内に生じて、定形被膜には亀裂が発生する。
かくして、冷却後のコロイド状無機物質の定形被膜には
亀裂が生じているから、水洗及びナイロンブラシング程
度で、苦もなく鋼帯表面から除去することができる。
上記のように、本発明のコロイド状無機物質は、焼鈍過
程で結晶化させる必要がある。よって、その結晶化温度
は、連続焼鈍における鋼帯の焼鈍温度の上限である1300
℃以下であることが必要であり、好ましくは700〜1300
℃の範囲である。
なお、1300℃以下で結晶化しないコロイド状無機物質被
膜は、鋼帯表面に溶融密着した状態の被膜が残存するた
め、その後の冷却過程における剥離が困難になる。
本発明の鋼帯の酸化防止剤にあっては、上記のコロイド
状無機物質に、更に、1300℃以下の融点を有するケイ酸
塩物質,ホウ酸塩物質,リン酸塩物質の少なくとも一種
を配合する。これらの低融点化合物を添加して、配合比
を変えることにより、コロイド状無機物質の熱的性質を
鋼帯製品の種類に応じて調整するためである。
すなわち、一般に、連続焼鈍は多種の鋼帯製品ロットを
対象として行われており、焼鈍温度も鋼帯製品に応じて
700〜1300℃と非常に広範囲である。したがって、コロ
イド状無機物質の熱的性質である「縮合し無定形皮膜を
形成する温度」と、「定形被膜に変化する結晶化温度」
とは、それぞれの鋼帯製品の焼鈍温度に応じて変化させ
ることが必要である。
本発明者らは、その点に関して鋭意実験を重ねた結果、
次の事実を解明した。すなわち、コロイド状無機物質
に、ケイ酸塩物質,ホウ酸塩物質,リン酸塩物質(いず
れも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩)といった
1300℃以下の低融点化合物を添加し、配合比を変える
と、上記コロイド状無機物質の熱的性質である二つの温
度を、容易に変化させることができる。
第1図は、一例として、コロイド状無機物質にコロイド
シリカを選定し、そのコロイドシリカに低融点化合物を
添加し、配合比を変化させたときの熱的特性の変化を示
したものである。図から、低融点化合物の含有量が増加
するに従い、「縮合し無定形被膜を形成する温度」と
「定形被膜に変化する結晶化温度」とが、いずれも次第
に低下することが明らかである。
また、上記の1300℃以下の融点をもつ低融点化合物は、
コロイド状無機物質に添加することにより、加熱中の鋼
帯に対する密着強度を向上させると共に、無定形被膜を
緻密にして、酸化スケールの生成防止機能を一層高める
という機能をも有している。
本発明の鋼帯の酸化防止剤にあっては、更に、鋼帯表面
に塗布して、均一で且つマクロ的に平滑な(ミクロ的に
は、極めて微細な凹凸を有している)乾燥塗膜を得るべ
く、適量の分散剤が配合される。本発明者らの実験によ
れば、かかる分散剤としては、以下の如き有機系高分子
の群から選定したものが、良い結果が得られた。
コーンスターチ,タピオカデンプン,アルギン酸ソー
ダ,グアーガム,ザンサンガム,カゼイン,ゼラチン,
αデンプン,デキストリン,メチルセルロース,エチル
セルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシ
メチルセルロース,ヒドロキシメチルプロピルセルロー
ス,ポリビニルアルコール,ポリプロピレングリコー
ル,ポリエチレンオキサイド,ポリビニールブチラール
及びプルラン。
分散剤がない場合は、鋼帯表面に、均一で平滑なコロイ
ド状無機物質の乾燥塗膜が得られない。また、鋼帯表面
との密着性が弱く、無定形被膜が形成されるまでに容易
に剥離してしまう。
又、本発明の鋼帯の酸化防止剤にあっては、特に高温で
長時間の焼鈍が行われる場合には、有効成分として、耐
熱性に優れた耐火材料を添加することにより、酸化スケ
ールの生成防止を更に改善することが可能である。
かかる耐火材料は、高温度に耐え、化学的に安定な非金
属無機物質が好適であり、例えばアルミナ,シリカ,マ
グネシア,ジルコニア及びチタニアなどの酸化物からな
る群から選ばれる。或いは、ムライト,アンダルサイ
ト,シャモット,マグネサイト,スピネル,ドロマイ
ト,モンモリナイト,カオリナイト及びセピオライトな
どの複合酸化物からなる群から選ばれる。または、炭化
ケイ素,炭化チタン,炭化タングステン,炭化ホウ素,
炭化モリブデンなどの炭化物からなる群から選ぶことも
できる。
これらの耐火材料の平均粒子径は、10μm以下のものが
好ましい。コロイド状無機物質被膜中に、均一に分散さ
せるためである。10μmを越えるものは、耐火材粒子自
体が焼鈍炉内のハースロールに付着して鋼帯表面に疵を
付けるど、鋼帯の品質劣化を招くこともあり得る。しか
し、上記平均粒径は、特に限定されるものではない。
以上のように構成した酸化防止剤を鋼帯の表面に塗布し
て焼鈍することにより、焼鈍炉内での酸化スケールの生
成が抑制されるから、従来の技術の問題点であった長大
な酸洗設備は不要になる。かつまた、ハースロールによ
るピックアップ疵の問題も解決される。
更には、直火炉でも酸化防止が可能となるから、間接加
熱によるCA法やBA法等の熱効率の悪い不経済な焼鈍法を
強いて採用する必要もなくなる。
なお、本発明の鋼帯の酸化防止剤の成分は、酸化物が主
体であるから、又は熱的に安定な物質が用いられるか
ら、ロール母材と反応して成長することはない。したが
って、本発明の酸化防止剤の一部が炉内ロールに付着し
て成長し、鋼帯表面を疵つけるに至る可能性に関する懸
念は、杞憂であり、そのおそれは全くない。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を、図と表を参照して説明する。
連続焼鈍炉において、ステンレス鋼帯(SUS304、板厚1.
0mm)に、本発明の酸化防止剤及び比較例の酸化防止剤
を塗布して、焼鈍テストを実施した。いずれの酸化防止
剤も、水の中に分散させたものを、焼鈍炉入口にてロー
ルコータ方式でステンレス鋼帯表面に塗布した。塗布厚
さは、乾燥厚みで1〜2μmである。焼鈍後の酸化防止
剤の焼鈍被膜は、ナイロンブラシで鋼帯表面より除去し
た。
本テストに用いた酸化防止剤の組成(重量%),水分,
粘度を第1表に、テスト結果を第2表に示す。
第2表から、比較例に比べて、本発明の酸化防止剤は、
特に炉内における酸化防止効果及び焼鈍後の焼成剤の鋼
帯からの剥離特性が優れていることが認められる。
また、焼鈍後の鋼帯表面に生成した酸化スケールの厚み
を、GDS(Glow Discharge atomic emission Spectrosco
py)で測定した結果を、第2図(a),(b)に示す。
同図(a)は酸化防止剤を塗布しない場合、同図(b)
は本発明の酸化防止剤を塗布した場合である。
第2図から、酸化スケール層の厚みは、無塗布材で約40
00Åであるのに対して、塗布材では約20Åに過ぎない。
すなわち、本発明の酸化防止剤を用いることで、酸化ス
ケールの厚さが約1/200まで低減できることが明らかで
ある。
第3図には、炉温度1130℃での焼鈍炉内で、板温を1120
℃まで加熱するのに要する時間を、熱電対により測定し
た結果を示す。同図において、黒丸印は酸化防止剤無塗
布の鋼帯の昇温カーブを示し、白丸印は本発明の酸化防
止剤を塗布したものを示している。
同図から明らかなように、無塗布材に比べて、塗布材の
場合は、加熱温度1120℃までの昇温時間が約45%短縮さ
れる。すなわち、換言すれば、炉長を45%も短くでき
る。もしくは、炉内での通板速度を約1.8倍に上げるこ
とができる。
以上、ステンレス鋼帯(SUS304)について説明したが、
他のステンレス鋼帯(430系,420系)及び普通鋼,高炭
素鋼,ケイ素鋼にも本発明を適用することができる。
〔発明の効果〕 本発明の鋼帯の酸化防止剤は、以上説明したように構成
したため、これを焼鈍炉の入口で鋼帯に塗布することに
より、熱吸収率を高め、また炉内での鋼帯の表面を酸化
雰囲気から遮断することができると共に、炉の出側で容
易に除去できて、以下のような種々の効果が得られる。
1)焼鈍時間の短縮、もしくは炉長の短縮を図ることが
できる。
2)炉内での酸化を抑制できる。
3)ハースロールによるピックアップ疵の発生を防止で
きる。
4)脱スケールのための酸洗が軽度で済み、したがって
酸洗速度の上昇、酸洗槽長さの短縮、酸原単位の低減、
廃酸処理設備のランニングコストの低減などが達成でき
る。
5)軽酸洗で済むため、鋼帯地肌の荒れの抑制も期待で
きる。
6)直火炉であっても酸化防止が可能となるので、CA法
やBA法などの不経済な焼鈍法を不要とすることが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の酸化防止剤の熱特性を示すグラフ、第
2図は本発明の酸化防止剤の酸化スケール生成防止効果
を示すグラフで、同図(a)は酸化防止剤を塗布しない
場合、同図(b)は塗布した場合のスケール層の厚みを
示す。第3図は本発明の酸化防止剤の焼鈍時間短縮効果
を示すグラフ、第4図は従来の鋼帯焼鈍設備の概要図で
ある。 図中、6は焼鈍炉である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 香月 泰弘 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 垣内 博之 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 村木 久富 三重県四日市市別名6―6―9 伯東化学 株式会社中央研究所内 (72)発明者 山口 善治 三重県四日市市別名6―6―9 伯東化学 株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1300℃以下で結晶化するコロイド状無機物
    質と、1300℃以下の融点を有するケイ酸塩物質,ホウ酸
    塩物質,リン酸塩物質の少なくとも一種と、分散剤とを
    有効成分として含有することを特徴とする、鋼帯の酸化
    防止剤。
  2. 【請求項2】有効成分として、更に耐火材料の少なくと
    も一種を含有することを特徴とする鋼帯の請求項(1)
    記載の鋼帯の酸化防止剤。
  3. 【請求項3】コロイド状無機物質が、アルミナ,シリ
    カ,リン酸アルミニウム,ケイ酸ジルコニウム及びホウ
    酸ジルコニウムの少なくとも一種以上から構成されるこ
    とを特徴とする請求項(1)又は(2)に記載の鋼帯の
    酸化防止剤。
  4. 【請求項4】ケイ酸塩物質,ホウ酸塩物質,リン酸塩物
    質が、それぞれアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属
    塩である請求項(1)又は(2)に記載の鋼帯の酸化防
    止剤。
  5. 【請求項5】分散剤が、有機系高分子であるコーンスタ
    ーチ,タピオカデンプン,アルギン酸ソーダ,グアーガ
    ム,ザンサンガム,カゼイン,ゼラチン,αデンプン,
    デキストリン,メチルセルロース,エチルセルロース,
    ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロ
    ース,ヒドロキシメチルプロピルセルロース,ポリビニ
    ルアルコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレ
    ンオキサイド,ポリビニールブチラール及びプルランか
    らなる群から選ばれる請求項(1)又は(2)に記載の
    鋼帯の酸化防止剤。
  6. 【請求項6】耐火材料が、アルミナ,シリカ,マグネシ
    ア,ジルコニア及びチタニアの酸化物、ムライト,アン
    ダルサイト,シャモット,マグネサイト,スピネル,ド
    ロマイト,モンモリロナイト,カオリナイト及びセピオ
    ライトの複合酸化物、並びに炭化ケイ素,炭化チタン,
    炭化タングステン,炭化ホウ素,炭化モリブデンの炭化
    物、からなる群から選ばれる請求項(2)記載の鋼帯の
    酸化防止剤。
JP18453290A 1990-07-12 1990-07-12 鋼帯の酸化防止剤 Expired - Fee Related JPH0674450B2 (ja)

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