JPH0674293A - 車輌用振動騒音制御装置 - Google Patents

車輌用振動騒音制御装置

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JPH0674293A
JPH0674293A JP4088075A JP8807592A JPH0674293A JP H0674293 A JPH0674293 A JP H0674293A JP 4088075 A JP4088075 A JP 4088075A JP 8807592 A JP8807592 A JP 8807592A JP H0674293 A JPH0674293 A JP H0674293A
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vibration
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Yasuharu Nozawa
安治 野澤
Hidetaka Ozawa
英隆 小沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動騒音伝達経路中に配設された電気機械変
換手段を有する車輌の振動騒音を能動的に制御する場合
において、振動騒音源から発生する周期的又は擬似周期
的な騒音に対し、収束速度をより向上させ、より適確か
つ高精度な適応制御を行うことができる車輌用振動騒音
制御装置を提供することを目的とする。 【構成】 エンジン等振動騒音源の各構成部位に特有の
振動騒音に応じた複数種のパルス信号を生成し、該パル
ス信号を直接夫々複数の適応制御回路に入力することに
より、演算処理の負担軽減を図る構成とした。また、サ
ンプリング周期もエンジンの回転変動に応じて可変と
し、サンプリング周期をエンジンの回転変動に追随する
構成とした。また、電気機械変換手段による伝達特性の
位相変化もサンプリング周波数の変動に追随して補正で
きる構成とした。さらに、前記パルス信号はエンジンの
回転に同期して発生する信号、又はエンジンの回転信号
等に基づいて作成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車輌用振動騒音制御装
置、より詳しくは車輌の走行等により発生する振動騒音
を能動的に制御し、これら振動騒音の低減化を図る車輌
用振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、適応デジタルフィルタ(Adaptive
Digital Filter:以下、「ADF」という)を使用して
振動騒音源から発生する振動騒音を減衰させ、該振動騒
音の低減化を図る能動的振動騒音制御装置の開発が各方
面で盛んに行なわれている。
【0003】図18は、この種の振動騒音制御装置を自
動車等の車輌に適用した場合のブロック構成図である。
【0004】該振動騒音制御装置においては、振動騒音
センサ101により検出された振動騒音はA/Dコンバ
ータ102によってサンプリングされ、デジタルデータ
の入力信号xとして適応制御回路103に入力される。
次いで、該適応制御回路103から出力されたデジタル
信号はD/Aコンバータ104でアナログ信号に変換さ
れ、振動伝達経路中に配設されたエンジンマウント10
5及び車体106を経て車体の床などに設けられた加速
度センサ等の加算器107に相殺信号yとして入力され
る。
【0005】一方、前記加算器107には、エンジン等
の振動騒音源108から振動騒音信号dが入力されてお
り、前記該加算器107からは振動騒音信号dと相殺信
号yとの誤差信号εが出力され、適応制御回路103に
フィードバックされる。すなわち、誤差信号εは、振動
騒音信号dと相殺信号yとの相殺誤差を示すものであ
り、上記能動振動制御装置においては前記誤差信号εが
最小値となるように相殺信号の逆位相の伝達特性を変更
することにより騒音の低減が図られている。
【0006】また、適応制御回路103は、一般的には
図19に示すフィルタードX−LMSアルゴリズムと呼
称されるアルゴリズム構成が採用される。すなわち、該
適応制御回路103は、有限長インパルス応答(Finite
Impulse Response:以下「FIR」という)形のADF
としてのウィーナーフィルタ(以下、「Wフィルタ」と
いう)と、アルゴリズム(計算法)としての最小2乗平
均法(Least Mean Square Method:以下「LMS法」とい
う)を利用して最適相殺信号(伝達特性)を生成する適
応アルゴリズム(LMS)処理部110と、振動騒音伝
達経路中におけるWフィルタ109からの振動騒音伝達
特性の位相変化を補正する補正デジタルフィルタ(以
下、「Cフィルタ」という)111とを備えている。
【0007】上記適応制御回路103を備えた振動騒音
制御装置においては、Cフィルタ111により振動騒音
伝達経路中に配設されたエンジンマウント105等によ
る伝達特性の位相変化の影響を回避することができ、所
望の相殺信号yを加算器107に入力することができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の振
動騒音制御装置においては、入力信号xが時系列的波形
でもってWフィルタ109及びCフィルタ111に入力
されるため、Wフィルタ109及びCフィルタ111に
おいて、夫々のタップ毎に入力信号xとの間で積和演算
を実行しなければならず、演算処理に時間を要するとい
う問題点があった。すなわち、自動車等の車輌における
振動騒音のように複雑な系の振動騒音を制御するために
はフィルタのタップ長を長くする必要がある一方、フィ
ルタのタップ長が長くなると、それだけ積和演算に時間
を要することとなり、振動騒音を低減するための収束速
度が低下するという問題点があった。
【0009】また、車輌の振動騒音は、エンジンの回転
及び燃焼状態等エンジンの各運転状態が複雑に絡み合っ
て生じ、しかもこれらのエンジンの運転状態に応じて夫
々固有の振動波形、固有の周波数等を有するため、これ
ら全ての運転状態を一括して単一の信号により処理して
も誤差信号εを所望値にまで低減することが困難であ
り、高精度の振動騒音制御を行うことができないという
問題点があった。
【0010】さらに、上記従来の振動騒音制御装置にお
いては、振動騒音がA/Dコンバータ102により一定
のサンプリング周期でサンプリングされているため、自
動車などの車輌のようにエンジンの回転変動等により振
動騒音伝達特性が大きく変化する系に対しては、適切な
振動騒音制御を行うことができないという問題点があっ
た。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであって、車輌における振動騒音源から発生する
周期的又は擬似周期的な振動騒音に対し、収束速度を向
上させてより適切かつ高精度な適応制御を行うことがで
きる車輌用振動騒音制御装置を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の第1の態様は、少なくとも車輌駆動用パワー
プラントを含む振動騒音源に起因して車体又は車室内の
少なくとも1つ以上の所定領域において発生する周期的
または擬似周期的な振動騒音に対し、所定の入力信号を
フィルタリングすることにより前記振動騒音源から前記
所定領域の間の伝達特性を変化させる制御信号を出力す
る第1のフィルタ手段と、前記振動騒音源と前記所定領
域との間に形成された複数の振動騒音伝達経路のうちの
少なくとも1つ以上の振動騒音伝達経路中に配設され、
前記第1のフィルタ手段の出力により前記伝達特性を機
械的に変化させる電気機械変換手段と、該電気機械変換
手段により変化した振動騒音と前記電気機械変換手段を
有さない前記振動騒音伝達経路からの振動騒音との三次
元的な総和により減じられる振動騒音誤差信号を前記所
定領域において検出する誤差信号検出手段と、前記電気
機械変換手段と前記誤差信号検出手段との間に形成され
る振動騒音伝達経路の伝達特性が記憶された第2のフィ
ルタ手段と、前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第
2のフィルタ手段から出力される参照信号と前記第1の
フィルタ手段のフィルタ係数に基づいて前記振動騒音誤
差信号が最小値となるように前記フィルタ係数を更新す
る更新手段とを備えた車輌用振動騒音制御装置におい
て、前記振動騒音源の駆動周期に同期して発生する第1
のパルス信号を検出するパルス信号検出手段と、前記振
動騒音源の各構成部位に特有の振動騒音の周期に同期す
る第2のパルス信号を前記パルス信号検出手段により検
出された第1のパルス信号を分周して複数種生成するパ
ルス信号生成手段と、該パルス信号生成手段により生成
された第2のパルス信号の発生間隔に応じて第1のフィ
ルタ手段のタップ長を変化させる変化手段と、該変化手
段により変化した前記タップ長に応じて前記第2のフィ
ルタ手段のフィルタ係数の擬似周期列を作成する擬似周
期列作成手段と、該擬似周期列作成手段より作成された
擬似周期列を記憶する記憶手段とを有し、かつ、前記第
1のフィルタ手段が複数の適応型デジタルフィルタを具
備すると共に、前記第2のフィルタ手段が前記複数の適
応型デジタルフィルタに応じて複数の補正デジタルフィ
ルタを有し、前記パルス信号生成手段により生成された
複数種の第2のパルス信号が前記所定の入力信号として
前記振動騒音特性に応じて夫々前記複数の適応型デジタ
ルフィルタ及び前記複数の補正デジタルフィルタに入力
されることを特徴としている。
【0013】また、本発明の第2の態様は、少なくとも
車輌駆動用パワープラントを含む振動騒音源に起因して
車体又は車室内の少なくとも1つ以上の所定領域におい
て発生する周期的または擬似周期的な振動騒音に対し、
所定の入力信号をフィルタリングすることにより前記振
動騒音源から前記所定領域の間の伝達特性を変化させる
制御信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記振動騒
音源と前記所定領域との間に形成された複数の振動騒音
伝達経路のうちの少なくとも1つ以上の振動騒音伝達経
路中に配設され、前記第1のフィルタ手段の出力により
前記伝達特性を機械的に変化させる電気機械変換手段
と、該電気機械変換手段により変化した振動騒音と前記
電気機械変換手段を有さない前記振動騒音伝達経路から
の振動騒音との三次元的な総和により減じられる振動騒
音誤差信号を前記所定領域において検出する誤差信号検
出手段と、前記電気機械変換手段と前記誤差信号検出手
段との間に形成される振動騒音伝達経路の伝達特性が記
憶された第2のフィルタ手段と、前記誤差信号検出手段
の検出結果と前記第2のフィルタ手段から出力される参
照信号と前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数に基づ
いて前記振動騒音誤差信号が最小値となるように前記フ
ィルタ係数を更新する更新手段とを備えた車輌用振動騒
音制御装置において、前記振動騒音源からの駆動周期を
所定微小角度毎に第1のパルス信号として検出する駆動
周期信号検出手段と、前記振動騒音源の各構成部位に特
有の振動騒音の周期に同期する第2のパルス信号を前記
パルス信号検出手段により検出された第1のパルス信号
を分周して複数種生成するパルス信号生成手段と、前記
駆動周期信号検出手段により検出される第1のパルス信
号の検出タイミングに応じてサンプリング周期を決定す
るサンプリング周期決定手段と、該サンプリング周期に
応じて第2のフィルタ手段の伝達特性を補正する伝達特
性補正手段と、該伝達特性補正手段により補正された伝
達特性を記憶する記憶手段とを有し、前記サンプリング
周期決定手段により決定されたサンプリング周期で前記
第1のフィルタ手段のフィルタ係数の出力及び更新を行
う一連の動作を支配すると共に、前記第1のフィルタ手
段のタップ長が前記第1のパルス信号に対する第2のパ
ルス信号の分周比とされ、かつ、前記第1のフィルタ手
段が複数の適応型デジタルフィルタを具備すると共に、
前記第2のフィルタ手段が前記複数の適応型デジタルフ
ィルタに応じて複数の補正デジタルフィルタを有し、前
記パルス信号生成手段により生成された複数種の第2の
パルス信号が前記所定の入力信号として前記振動騒音特
性に応じて夫々複数の適応型デジタルフィルタ及び前記
複数の補正デジタルフィルタに入力されることを特徴と
している。
【0014】具体的には、前記パルス信号検出手段によ
り検出される第1のパルス信号が、前記パワープラント
のクランク軸の回転に同期して所定回転角度毎に発生す
る第1の基礎パルス信号と、前記パワープラントのカム
軸の回転に同期して所定回転角度毎に発生する第2の基
礎パルス信号と、前記パワープラントに燃焼を生じさせ
る点火信号である第3の基礎パルス信号と、前記パワー
プラントを制御するパワープラント制御手段が有する第
4の基礎パルス信号のうち少なくとも1個以上の基礎パ
ルス信号を含み、前記第1のパルス信号がこれら第1乃
至第4の基礎パルス信号の個別信号又は複数の組合せ信
号から構成されるのが好ましく、或いは前記パワープラ
ントのクランク軸に固着されたフライホイールの回転信
号を検出する第1の回転信号検出手段と、前記クランク
軸の回転信号を検出する第2の回転信号検出手段と、前
記パワープラントのカム軸の回転信号を検出する第3の
回転信号検出手段のうち少なくとも1つ以上を有し、前
記パルス信号検出手段により検出される第1のパルス信
号が、前記第1乃至第3の回転信号検出手段の検出結果
に基づいて生成されるのも好ましい。
【0015】また、上記第1の態様において、前記パル
ス信号生成手段により生成された第2のパルス信号の発
生間隔とサンプリング周期とに応じてポイント数を算出
するポイント数算出手段と、前記ポイント数算出手段に
より算出されたポイント数と前記第1のフィルタ手段の
タップ長とを一致させる一致手段とを備え、かつ、前記
擬似周期列作成手段は、前記ポイント数が前記第2のフ
ィルタ手段のタップ長よりも小さい場合は、数式(1)
に基づいて、擬似周期列を作成する第1の周期列作成手
段と、前記ポイント数が前記第2のフィルタ手段のタッ
プ長よりも大きい場合は、数式(2)に基づいて擬似周
期列を作成する第2の周期列作成手段とを有しているこ
とを特徴としている。
【0016】
【数3】 (n=0,1,2,…,n−1) (a=0,1,2,…JdivN) (但し、(C〜)は擬似周期列、(C∧)は第2のフィ
ルタ手段のフィルタ係数、Jは第2のフィルタ手段のタ
ップ長、Nはポイント数、(JdivN)は(J/N)の
切り捨て整数) 次式
【0017】
【数4】 (但し、(0,…,0)の個数は(N−J)個) そして、さらに前記擬似周期列作成手段により作成され
た擬似周期列に応じて参照信号を生成する参照信号生成
手段を具備していることを特徴とし、又は前記記憶手段
が前記擬似周期列を2周期の長さに亘って記憶すると共
に、前記参照信号生成手段に代えて、前記擬似周期列の
前記2周期の範囲中から1周期分の読出範囲をシフトさ
せながら参照信号を生成する参照信号生成手段を有して
いることを特徴としている。
【0018】また、上記第2の態様において、周波数帯
域が前記パワープラントの回転数に応じて所定周波数毎
に複数に区分されると共に、複数の伝達特性が前記伝達
特性補正手段に記憶され、かつ該伝達特性補正手段が、
前記所定周波数と前記サンプリング周期決定手段により
決定されたサンプリング周期とに応じて前記複数の伝達
特性から最適伝達特性を選択する選択手段を有している
ことを特徴とし、又は前記パワープラントの上限回転数
に対応する周波数に対し適数倍の高周波相当のサンプリ
ング周期で同定された高次伝達特性が前記伝達特性補正
手段に記憶され、該伝達特性補正手段が、前記高次伝達
特性を分周して最適伝達特性を算出する伝達特性算出手
段を有していることを特徴としている。
【0019】さらに、前記車両駆動用パワープラントが
4サイクルエンジンの場合は、クランク軸2回転毎に基
準信号を検出する基準信号検出手段と、該基準信号検出
手段により検出された基準信号と前記パルス信号生成手
段により生成された複数種の第2のパルス信号とを同期
させると共にその同期を検出する同期検出手段とを備
え、該同期検出手段により前記第2のパルス信号と前記
基準信号との同期が検出されなかったときは、次回に検
出される基準信号と前記第2のパルス信号とを同期させ
る同期手段を有していることを特徴とするのが好まし
い。
【0020】また、上記第1及び第2の態様において、
前記振動騒音源の各構成部位に特有の振動騒音特性が、
前記パワープラントを構成するエンジン気筒に特有の振
動騒音特性とその他の構成部位に特有の振動騒音特性と
に分離され、前記エンジン気筒に特有の振動騒音特性に
対応する第2のパルス信号が前記所定の入力信号として
各気筒毎に異なる適応型デジタルフィルタ及び補正デジ
タルフィルタに入力され、前記更新手段が各気筒毎に夫
々最適伝達特性を生成することを特徴とするのも好まし
い。
【0021】
【作用】上記第1の態様によれば、第1の信号パルス
(第1乃至第4の基礎パルス信号の個別信号又は複数の
組合せ信号、或いは第1乃至第3の回転信号検出手段か
らの信号)を分周することにより、振動騒音源の各構成
部位に特有の振動騒音の周期に対応した複数種の第2の
パルス信号が作成される。
【0022】そして、これら複数種の第2のパルス信号
が複数のデジタルフィルタに入力され、これら前記複数
の第2のパルス信号の発生間隔に応じ所定の伝達特性が
前記複数のデジタルフィルタの夫々から出力される。
【0023】また、前記第2のパルス信号の発生間隔に
応じて第1のフィルタ手段のタップ長が変化し、さらに
タップ長の長さの変化に応じ、ポイント数Nと第2のフ
ィルタ手段のタップ長Jに基づき第2のフィルタ手段の
フィルタ係数(C∧)から擬似周期列(C〜)が作成さ
れる。
【0024】図16は、周期性を有する振動騒音とポイ
ント数Nの関係を示した説明図である。
【0025】すなわち、図16(a)は、周期性を有す
る振動騒音波形を示し、図16(b)は該振動騒音の周
期に同期して第1のフィルタ手段に入力される第2のパ
ルス信号を示している。
【0026】図16(a),(b)から明らかなよう
に、第2のパルス信号の発生間隔を計測して周期Tが検
出されるため、該周期Tをサンプリング周期τで除算す
ることによりポイント数N(=T/τ)が算出される。
【0027】図17は、擬似周期列の作成手法を示した
説明図であって、ポイント数Nを第1のフィルタ手段の
タップ長Iと一致させると共に、図17(a)に示すよ
うに、第2のフィルタ手段のフィルタ係数(C∧)のタ
ップ長Jとポイント数Nとを比較し、前記フィルタ係数
(C∧)のタップ長Jがポイント数Nよりも大きいとき
は、前記数式(1)による演算を行って、図17(b)
に示すように前記フィルタ係数(C∧)をポイント数N
の周期で順次加算してゆき、前記フィルタ係数(C∧)
の擬似周期列(C〜)を作成する。
【0028】また、前記フィルタ係数(C∧)のタップ
長Jがポイント数Nよりも小さいときは前記数式(2)
による演算を行い、図17(c)に示すように(N−
J)個分だけ「0」を付加し前記フィルタ係数(C∧)
の擬似周期列(C〜)を作成する。
【0029】そして、擬似周期列(C〜)が記憶手段に
記憶され、次いで擬似周期列(C〜)に応じて参照信号
が生成される。
【0030】また、2周期分の擬似周期列(C〜)を記
憶手段に記憶させ、所定のサンプリング周期毎に1周期
分(ポイント数N)の読み出し範囲をシフトすることに
よっても参照信号を作成することができる。
【0031】さらに、第2の態様によれば、第1のパル
ス信号の検出タイミングに応じてサンプリング周期が決
定され、該サンプリング周期に応じて複数種の第2のパ
ルス信号が複数のデジタルフィルタに入力され、これら
前記複数の第2のパルス信号の発生間隔に応じ所定の伝
達特性が前記複数のデジタルフィルタの夫々から出力さ
れる。
【0032】また、該第2の態様によれば、パワープラ
ントの回転数に対応する周波数に応じて複数の伝達特性
から最適伝達特性を選択するか、又は高周波相当のサン
プリング周期で同定された高次伝達特性を分周して最適
伝達特性を算出することにより、サンプリング周期が変
動しても伝達特性補正手段の伝達補正特性を所望の特性
とすることができる。
【0033】また、車両駆動用パワープラントが4サイ
クルエンジンの場合、4サイクルエンジンの振動騒音の
発生原因となる振動(加振力)は次の3種類に分類され
る。すなわち (1) クランク軸の回転等ピストン系往復質量による加振
力 これに属する加振力としては慣性力、慣性偶力、慣性ト
ルク等がある。
【0034】(2) カム軸等動弁系(吸気弁、排気弁)往
復質量による加振力 これに属する加振力としては慣性力やモーメント等があ
る。
【0035】(3) 気筒内の爆発圧による加振力 これに属する加振力としては燃焼状態の変動に起因する
トルク変動等がある。
【0036】ところで、前記ピストン系は、クランク軸
が1回転する毎に往復運動するため、その振動(加振
力)はクランク軸が1回転する毎に発生すると考えられ
る。
【0037】また、4サイクルエンジンにあっては、各
気筒当たりカム軸1回転、すなわちクランク軸が2回転
する間に吸気行程及び排気行程が各1回宛実行されるた
め、かかる動弁系往復質量による加振力はカム軸1回転
当たり1回、すなわち、クランク軸が2回転する毎に1
回生じることとなる。
【0038】同様に、爆発行程についてもカム軸1回転
当たりに1回、すなわちクランク軸2回転当たりに1回
実行されるので、気筒内の爆発圧による加振力もクラン
ク軸2回転当たりに1回生じることとなる。すなわち、
4サイクルエンジンにあっては、クランク軸2回転当た
りに振動(加振力)が1回生じることとしてその振動騒
音特性を全て表現することができる。
【0039】一方、第2のパルス信号はパルス信号生成
手段により生成されてフィルタ手段に入力されるが、該
第2のパルス信号のサンプリングに失敗したときは、入
力される第2のパルス信号の入力間隔に時間的誤差が生
じ、さらに該誤差は将来に亘って蓄積されるため大きな
位相誤差を生じることとなり、フィルタ手段のフィルタ
係数更新に悪影響を及ぼすこととなる。
【0040】そこで、本発明はクランク軸2回転に1回
の割合で基準信号を発生させると共に、第2のパルス信
号を前記基準信号に同期させ、かつ、同期に失敗したと
きは次回に発生する基準信号に基づいて再び該基準信号
と第2のパルス信号を同期させることとしたので、同期
失敗による位相誤差の発生を極力回避することができ
る。
【0041】さらに、第2のパルス信号のうち、エンジ
ン気筒に特有の振動騒音特性を有する第2のパルス信号
は各気筒毎に異なるデジタルフィルタ及び補正フィルタ
に入力され、かつ更新手段が、各気筒毎に夫々最適伝達
特性を生成するので、シリンダ内での燃焼によって壁面
が加振されて振動が生じる場合においても気筒の物理的
配置に応じた適応制御が行なわれる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説す
る。
【0043】図1は本発明に係る車輌用振動騒音制御装
置の一実施例を示した全体構成図である。
【0044】図中、1は例えば6気筒を有する車輌駆動
用パワープラントの4サイクルエンジン(以下、単に
「エンジン」という)であって、該エンジン1の吸気管
2の途中にはスロットルボディ3が設けられ、その内部
にはスロットル弁3′が配されている。また、スロット
ル弁3′にはスロットル弁開度(θTH)センサ4が連
結されており、スロットル弁3′の開度に応じた電気信
号を出力して電子コントロールユニット(以下「EC
U」という)5に供給する。
【0045】燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁
3′との間且つ吸気管2の図示しない燃料ポンプに接続
されるとともにECU5に電気的に接続され、当該EC
U5からの信号により燃料噴射の開弁時間が制御され
る。
【0046】また、吸気管2のスロットル弁3′の下流
側には分岐管7が設けられ、該分岐管7の先端には絶対
圧(PBA)センサ8が取付けられている。該PBAセ
ンサ8はECU5に電気的に接続されており、吸気管2
内の絶対圧PBAは前記PBAセンサ8により電気信号
に変換されてECU5に供給される。
【0047】また、エンジン1のクランク軸周囲の所定
位置にはTDCセンサ9が取付けられている。
【0048】TDCセンサ9は、エンジン1のクランク
軸の180°回転毎に所定のクランク角度位置で信号パ
ルス(以下、「TDC信号パルス」という)を出力し、
該TDC信号パルスをECU5に供給する。
【0049】すなわち、TDC信号パルスは、各気筒の
基準クランク角度位置を表わすものであって、具体的に
は、各気筒(#1〜#6CYL)の圧縮行程終了時のT
DC(上死点)前の所定クランク角度位置(例えば、1
0°BTDC)で発生する。そして、ECU5はTDC
信号パルスの発生間隔を計測してエンジン回転数NEの
逆数であるME値を算出する。
【0050】また、エンジン1のシリンダヘッド上部に
は、各シリンダ毎に1対の排気弁と吸気弁とを備えた動
弁系10が設けられ、該動弁系10のカム軸周囲にはカ
ム軸センサ11及び基準信号検出センサ12が取り付け
られている。
【0051】カム軸センサ11は、クランク軸が2回転
する間に等間隔で例えば24個(例えば、クランク角3
0°同期)の基礎パルス信号を出力し、該基礎パルス信
号をECU5に供給する。
【0052】また、基準信号検出センサ12は、クラン
ク軸2回転毎に特定の気筒の所定のクランク角度位置で
基準信号を出力し、該基準信号をECU5に供給する。
すなわち、該基準信号は、所定クランク角度位置で前記
基礎パルス信号と同期して発生する。
【0053】エンジン1の各気筒の点火プラグ13は、
ECU5に電気的に接続され、ECU5により点火時期
が制御される。
【0054】また、エンジン1の前部及び後部には電気
機械変換手段としての1対の自己伸縮型エンジンマウン
ト14a,14bが配設されている。具体的には、前記
自己伸縮型エンジンマウント14a,14bは、その上
端が弾性ゴム15a,15bを介して、エンジン1に接
続されると共に、下端は車体クレーム16に支持されて
いる。
【0055】そして、前記自己伸縮型エンジンマウント
14a,14bにはボイスコイルモータ(VCM)17
a,17bが内有され、エンジンの振動に応じてECU
5からの信号によりエンジンの振動を制御する。すなわ
ち、自己伸縮型エンジンマウント14a,14bは、液
体が充填された液室(図示せず)を内有し、振動源(エ
ンジン1)側に固定された弾性ゴム15a,15bを介
して振動源の振動が車体に伝達されるのを防止する。
【0056】また、ECU5には、振動騒音制御系18
が電気的に接続され、該振動騒音制御系18は、ECU
5からの信号により振動騒音を制御する。さらに、クラ
ンク軸に一体的に嵌合されたフライホイール近傍には、
エンコーダ19が配設され、該エンコーダ19により検
出されたフライホイールの回転信号は前記振動騒音制御
系18に供給される。
【0057】しかして、ECU5は、上述の各種センサ
からの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベル
に修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する
等の機能を有する入力回路5aと、中央演算処理回路
(以下「CPU」という)5bと、該CPU5bで実行
される各種演算プログラムや演算結果等を記憶するRO
M及びRAMからなる記憶手段5cと、前記燃料噴射弁
6、点火プラグ13及び振動騒音制御系18に出力信号
を供給する出力回路5dとを備えている。
【0058】また、ECU5(CPU5b)は、エンジ
ン運転状態に応じ、数式(3)に基づき、前記TDC信
号パルスに同期して燃料噴射弁6の燃料噴射時間TOU
Tを演算する。
【0059】 TOUT=TiM×K1+K2 …(3) ここで、TiMはエンジン回転数NEと吸気管内絶対圧
PBAとに応じて設定される基本燃料噴射時間であっ
て、記憶手段5c(ROM)にはこのTiM値を決定す
るためのTiMマップが予め記憶されている。
【0060】また、K1及びK2は夫々各種エンジンパ
ラメータ信号に応じて演算される補正係数及び補正変数
であって、各気筒毎にエンジンの運転状態に応じた燃費
特性や加速特性等の諸特性の最適化が図られるような所
定値に設定される。
【0061】動弁系10は、具体的には図2に示すよう
に、エンジン1のシリンダヘッド20の上方に固設され
たシリンダヘッドカバー21内に配設され、吸気弁(又
は排気弁)22と、バルブスプリング23と、支軸24
を中心にシーソー運動を行うロッカーアーム25と、該
ロッカーアーム25に当接されるカム26と、該カム2
6が外嵌されたカム軸27とを主要部として構成されて
いる。
【0062】また、吸気弁(又は排気弁)22は、その
棒状ステム28がバルブガイド29に挿通摺接されると
共に、その後部に設けられたばね受け30と、該ばね受
け30に当接するバルブスプリング23とで閉弁方向に
弾性支持され、さらに、その先端はシリンダヘッド20
の燃焼室31と吸気孔(又は排気孔)32とが連通・遮
断可能となるようにその開口部33に当接可能とされて
いる。
【0063】上記動弁系10においては、カム軸27と
一体的に回転するカム26と当接しているロッカーアー
ム25がバルブスプリング23の弾発付勢力に抗して周
期的なシーソー運動を繰り返し、吸気弁(又は排気弁)
22を上下運動させている。
【0064】また、カム軸27の一端には、図3に示す
ように、カム軸用プーリ34が該カム軸27と一体的に
嵌合され、タイミングベルト35を介してクランク軸3
6の一端に該クランク軸36と一体的に嵌合されたクラ
ンク軸用プーリ37と連動可能とされ、かつ前記クラン
ク軸用プーリ37の他端には多数のリングギアが外周に
形成されたフライホイール38が固着されている。
【0065】図4は、本発明における振動騒音制御系1
8の一実施例を模式的に示したシステム構成図であって
(第1の実施例)、本実施例ではカム軸センサ11によ
り検出される検出信号を基礎パルス信号として使用した
場合を示している。
【0066】該振動騒音制御系18は、ECU5から供
給される基礎パルス信号(カム軸センサ11により検出
される)を分周して複数種のタイミングパルス信号X
(入力信号)を生成する分周回路39と、前記基礎パル
ス信号を逓倍して所望のサンプリング周波数Fs(サン
プリング周期τ(=1/Fs))を作成する逓倍回路4
0と、基礎パルス信号と夫々のタイミングパルス信号X
との同期を監視する同期監視回路411〜414と、前記
逓倍回路40で作成されたサンプリング周波数Fsに基
づき前記分周回路39により作成された夫々のタイミン
グパルス信号Xが入力されて適応制御を行う高速演算可
能なDSP(Digital Signal Processor)42と、該DS
P42から出力される制御信号(デジタル信号)をアナ
ログ信号に変換するD/Aコンバータ43と、該D/A
コンバータ43により出力されたアナログ信号を増幅す
る増幅器44と、車体45の床などに配置された加速度
センサ等の加算器46とを主要部として構成されてい
る。
【0067】しかして、前記逓倍回路40としては、例
えば以下に示す周知のものが使用される。すなわち、 (1) 周知の論理逓倍回路を利用して、前記基礎パルス信
号をK逓倍する方法 (2) 前記基礎パルス信号の発生間隔の間に発生するEC
U5のクロック(例えば、10MHz)のクロックパル
ス数PECUを計測し、(PECU/4K)の周期で
「0」出力と「1」出力を交互に出力することによりK
逓倍する方法 (3) 前記基礎パルス信号を(1/2)分周した後、積分
し、次いで正弦波化し、この正弦波をK逓倍し、方形化
するアナログ的手法 がある。
【0068】また、前記分周回路39は、振動騒音源で
あるエンジンの各構成部位(動弁系10、クランク軸3
6周囲、燃焼室31等)に特有の振動騒音特性に応じて
基礎パルス信号を分周し、複数種のタイミングパルス信
号Xを生成する。すなわち、6気筒を有する本実施例の
場合においては、4種類のタイミングパルス信号Xが生
成される。つまり、エンジンの回転に同期して規則的な
振動騒音特性が生じるピストン系等の振動次数(振動成
分)と燃焼状態に応じて不規則な振動騒音特性が生じる
爆発圧(加振力)による振動次数(振動成分)とに区分
すべく4種類のタイミングパルス信号Xが生成される。
具体的には、規則的なピストン系等の振動次数を示すも
のとして3種類(1次、1.5次、2次)のタイミング
パルス信号Xが生成され、爆発圧による振動次数を示す
ものとして1種類(3次)のタイミングパルス信号Xが
生成される。ここで、振動次数が「1次」とは、図5に
示すように、クランク軸が1回転(12パルス)する毎
にタイミングパルス信号Xが1回発生する場合をいう。
また、振動次数が1.5次の場合とは、クランク軸が2
/3回転(8パルス)する間に1パルス発生する場合を
いい、振動次数が2次の場合とはクランク軸の0.5回
転(6パルス)毎に1パルス発生する場合をいい、さら
に振動次数が3次の場合とは、クランク軸が1.5回転
(18パルス)する毎に1パルス発生する場合をいう。
【0069】このように、4種類のタイミングパルス信
号Xを生成することにより振動騒音特性に応じた適応制
御が可能となる。すなわち、低次数(1次、1.5次、
2次)の振動次数はクランク軸の回転等規則的に発生す
る振動成分に関するものであり、かかる低次数の振動成
分を個別に後述する適応制御を行うことにより、エンジ
ンの回転等慣性力に起因して発生する振動騒音を効率よ
く低減することができる。
【0070】一方、クランク軸が2回転する間に1気筒
当たり1回爆発行程が実行されるため、6気筒エンジン
の場合、クランク軸が2回転する間に6回の爆発行程が
あり、したがって振動次数が3次とは爆発圧に関する振
動成分を示していることとなる。したがって、不規則な
振動騒音特性を有する爆発圧に関する振動次数(3次)
を規則的な振動騒音特性を有する振動次数と区分して適
応制御を行うことにより、振動騒音をより効果的に低減
することができる。
【0071】また、同期回路411〜414は、前記基準
パルス信号と前記タイミングパルス信号Xとを同期させ
ると共にその同期を検出する同期検出手段と、該同期検
出手段により前記タイミングパルス信号Xと前記基準信
号との同期が検出されなかったときは、次回に検出され
る基準信号と前記タイミングパルス信号Xとを同期させ
る同期手段とを備えている。
【0072】すなわち、[作用]の項で述べた理由から
タイミングパルス信号Xはいずれの振動次数の場合にお
いても少なくともクランク軸2回転当たり1回の割合で
発生する。しかるに、基礎パルス信号が図6に示すよう
に、何らかの外部要因により検出に失敗してタイミング
パルス信号Xの作成に失敗するとDSP42からは所望
の伝達特性を有する制御信号が出力されず、しかもこれ
らの位相誤差は将来に亘って蓄積されるため、所望の振
動騒音制御を行うことができないこととなる。そこで、
本実施例では上述したように、前記同期検出手段と前記
同期手段とを有する同期回路411〜414を備えること
により、上記位相誤差の発生を回避せんとしている。
【0073】具体的には、同期回路411〜414は、前
記基準信号(基準信号検出センサ12により検出され
る)をモニタすると共に、AND回路(論理積回路)が
内蔵され、基準信号とタイミングパルス信号Xとが同期
して入力されているときは共に「1」信号が入力されて
該AND回路からは「1」信号が出力される。一方、基
準信号とタイミングパルス信号Xとが同期していないと
きは、タイミングパルス信号Xの入力信号が「0」信号
となり、両者の同期に失敗したと判断し、分周回路39
はタイミングパルス信号Xの発生を一旦中止し、次回基
準信号の発生と同期して再びタイミングパルス信号Xの
発生が開始される。
【0074】しかして、DSP42(図4)は、夫々の
各振動次数(1次、1.5次、2次、3次)が別個に入
力可能となるように4種類の適応制御回路471〜474
が内蔵され、さらに該適応制御回路471〜474は、タ
イミングパルス信号Xの発生間隔に対応してそのタップ
長が変化するADFとしてのWフィルタ481〜48
4(第1のフィルタ手段)と、Wフィルタ481〜484
のフィルタ係数を更新するための演算処理を行う適応ア
ルゴリズムとしてのLMS処理部491〜494(更新手
段)と、振動騒音伝達経路中に配設された自己伸縮型エ
ンジンマウント14a(14b)に起因して生じるWフ
ィルタ481〜484からの伝達特性の位相変化を補正す
るCフィルタ501〜504(第2のフィルタ手段)とを
備えている。
【0075】このように構成された車輌用振動騒音制御
装置においては、分周回路39により作成されたタイミ
ングパルス信号Xは、逓倍回路40で作成されたサンプ
リング周波数Fsによりサンプリングされて夫々の適応
制御回路471〜474に入力される。次いで、該適応制
御回路471〜474から出力された制御信号X′(デジ
タル信号)はD/Aコンバータ43でアナログ信号に変
換され、増幅器44で増幅され、振動伝達経路中に配設
された自己伸縮型エンジンマウント14a(14b)及
び車体45を経て相殺信号Yとして加算器46に入力さ
れる。
【0076】一方、前記加算器46にはエンジン1から
の振動騒音信号Dが入力されており、前記加算器46か
らは振動騒音信号Dと相殺信号Yとの誤差信号εが出力
され、前記適応制御回路471〜474にフィードバック
される。
【0077】しかして、図7は適応制御回路47の内部
構成を示すブロック回路図である。
【0078】すなわち、ECU5から所定の振動次数に
分周されて出力されたパルス信号Xは逓倍回路40によ
って作成されたサンプリング周波数Fs(サンプリング
周期τ(=1/Fs))毎にWフィルタ48に入力され
る。そして、該Wフィルタ48からはタイミングパルス
信号Xの発生間隔に応じた振動騒音信号と逆位相を有す
る所定の伝達特性を有する制御信号X′が出力される。
【0079】一方、前記第1の加算器46から出力され
た誤差信号εは第1の乗算器51に入力される一方、該
第1の乗算器57には毎回の更新補正量の大きさを制御
するステップサイズパラメータμがパラメータ制御手段
52から入力される。尚、前記ステップサイズパラメー
タμは、系に応じて収束速度及び収束してからの効果量
が最適となるような値に設定される。
【0080】次に、第1の乗算器51で誤差信号εとス
テップサイズパラメータμとが積和演算されて生成され
た出力信号Uは第2の乗算器53に入力される一方、該
第2の乗算器53にはCフィルタ50からの参照信号R
がフィルタ用レジスタ50′(記憶手段)を介して入力
される。該Cフィルタ50は、振動伝達遅れを補正する
ためのフィルタであって、前述したように自己伸縮型エ
ンジンマウント40等振動伝達経路中に配設された電気
機械系(電気機械変換手段)に起因して生じるWフィル
タ48からの伝達特性の位相変化を補正する。
【0081】すなわち、Cフィルタ50は、所定サンプ
リング周波数Fs(逓倍回路40で作成される)毎にタ
イミングパルス信号Xが入力され、Wフィルタ48の場
合と同様、積和演算を要することなく所定の伝達特性を
有する参照信号Rが出力され、第2の乗算器53に入力
される。
【0082】次に、第2の乗算器53で参照信号Rと前
記出力信号Uとが乗算されて負値に変換された出力信号
Vが第2の加算器54に入力される。
【0083】次いで、第2の加算器54からの出力信号
がZ変換55されてWフィルタ48にフィードバックさ
れる。
【0084】しかして、本発明の振動騒音制御系18
は、タイミングパルス信号Xの発生間隔に応じて変化す
るWフィルタ48のタップ長の変化に応じ、Cフィルタ
50のフィルタ係数(C∧)の擬似周期列(C〜)を作
成する擬似周期列作成手段を有しており、参照信号Rは
前記擬似周期列(C〜)に基づいて作成され出力され
る。
【0085】図8は、擬似周期列作成ルーチンを示すフ
ローチャートであって、本プログラムはタイミングパル
スXのCフィルタ50への入力に同期して実行される。
【0086】まず、ステップS1ではポイント数Nを算
出する。すなわち、振動騒音の周期Tをサンプリング周
期τで除算してポイント数N(=T/τ)を算出する。
【0087】次に、前記ポイント数NをWフィルタ48
のタップ長Iに一致させ、次いで、ポイント数NがCフ
ィルタ50のタップ長Jより小さいか否かを判別する
(ステップS2)。
【0088】そして、その答が肯定(YES)、すなわ
ちJ>Nが成立するときは数式(1)に基づき(ステッ
プS3)、またその答が否定(NO)、すなわちJ<N
が成立するときは数式(2)に基づき、夫々Cフィルタ
50のフィルタ係数(C∧)から擬似周期列(C〜)を
算出する。
【0089】
【数5】 (n=0,1,2,…,n−1) (a=0,1,2,…,JdivN) (但し、(C〜)は擬似周期列、(C∧)は第2のフィ
ルタ手段のフィルタ係数、Jは第2ののフィルタ手段の
タップ長、Nはポイント数、(JdivN)は(J/N)
の切り捨て整数)
【0090】
【数6】 (但し、(0,…,0)の個数は(N−J)個) 次に、上述の如く作成された擬似周期列(C〜)の2周
期分を記憶手段50′に記憶させた後(ステップS
5)、タイミングパルスXの入力時からそのクロック数
をカウントしているカウンタ(図示せず)のカウント値
kを「0」にリセットして本プログラムを終了する。
【0091】このように記憶手段50′に記憶させた擬
似周期列(C〜)に基づき、図9に示すように、その2
周期の範囲の中から1周期分の読出範囲をシフトさせて
参照信号Rを出力する。すなわち、タイミングパルスX
の入力時(k=0)を基準にしてサンプリングクロック
が計数される毎に逐次参照信号Rをシフトさせ、k番目
のサンプリングクロックの入力により記憶手段50′か
ら参照信号Rを出力し、該参照信号Rが第2の乗算器5
3に入力される。
【0092】尚、図示は省略するが、前記作成された擬
似周期列(C〜)に応じてサンプリング周期毎にシフト
させて記憶手段50′から参照信号Rを出力するように
構成してもよい。
【0093】しかして、上記振動騒音制御系18におい
ては、サンプリング周波数Fsをタイミングパルス信号
Xの発生間隔に応じて追従するように変化させているの
で、Cフィルタ50から出力される伝達補正特性を従来
のように系によって予め同定してしまうとサンプリング
周波数Fsの変化に応じた参照信号Rを得ることができ
ず、所望の相殺信号Yを得ることができないという課題
が生じる。
【0094】そこで、本実施例ではCフィルタ50に予
め複数の伝達特性C(Fs)(n=1,2,…,m)を
記憶しておき、エンジンの回転数NEに応じて周波数帯
域を複数の周波数領域Fn(n=1,2,…,m)に区
分しておく。そして、これら各周波数領域Fnに応じて
所望の伝達特性C(Fn)を選択することにより、サン
プリング周波数Fsが変化しても所望の参照信号Rが得
られるように構成されている。
【0095】図10は、Cフィルタの伝達特性の選択手
順を示すフローチャートであって、本プログラムは例え
ばタイミングパルス信号Xの発生と同期してDSP42
内で実行される。
【0096】まず、エンジン1の始動直後においては、
系の伝達特性は全く未知であるため、n=1に設定して
(ステップS11)未知のサンプリング周波数Fsを入
力する(ステップS12)。次いで、駆動周波数Fc
(例えば、10MHz)で駆動するECU5のクロック
パルスのパルス間隔Eをカウンタで計測する(ステップ
S13)。
【0097】次に、ステップS14では数式(4)に基
づきサンプリング周波数Fsを算出する。
【0098】
【数7】 次いで、ステップS15では、サンプリング周波数Fs
が所定周波数Fn(この場合はn=1)より小さいか否
かを判別する。しかるに所定周波数F1はエンジン回転
数が極めて低いときに適合する周波数であるため、通常
はステップS15の答は否定(NO)となり、nを
「1」だけインクリメントして(ステップS16)、次
にサンプリング周波数Fsが所定周波数F2より小さい
か否かを判別する。以下、サンプリング周波数Fsが所
定周波数Fnより小さくなるまでステップS5の判別を
繰り返し、ステップS15の答が肯定(YES)となる
とステップS7に進んで、そのときの周波数Fnがサン
プリング周波数Fsに最も近いと判断して該周波数Fn
に対応する伝達特性C(Fn)を伝達補正特性に選択し
て本プログラムを終了する。
【0099】このようにエンジン始動直後においては、
低周波数とサンプリング周波数とを比較することにより
最適伝達特性を得ることができる。
【0100】また、エンジン回転数NEが或る程度の回
転数に到達した後は、図11に示すフローチャートにし
たがって伝達特性C(Fn)が選択される。
【0101】すなわち、n=p、つまりFnをF1から
Fmまでの中間周波数に設定した後(ステップS2
1)、図10と同様サンプリング周波数Fsを入力し
(ステップS22)、次いでクロックパルス(駆動周波
数Fc)のパルス間隔Eをカウンタで計測して(ステッ
プS23)前記数式(4)に基づきサンプリング周波数
Fsを算出し(ステップS24)、該サンプリング周波
数Fsが周波数Fn(この場合はFp)より小さいか否
かを判別する(ステップS25)。そして、その答が肯
定(YES)のときは、n=pであるからステップS2
6の答は肯定(YES)となり、サンプリング周波数F
sがFpより1区分低い所定周波数Fn−1より大きい
か否かを判別する(ステップS27)。すなわち、ステ
ップS25及びステップS26の答が共に肯定(YE
S)のときは、エンジン減速時にある場合であり、サン
プリング周波数Fsが1区分低い所定周波数Fn−1
り大きいか否かを判別する。そして、ステップS27の
答が肯定(YES)のときはそのときの周波数Fsに対
応する伝達特性C(Fn)を伝達特性に選択して本プロ
グラムを終了する。
【0102】また、ステップS27の答が否定(NO)
のときは、nを「1」だけデクリメントして(ステップ
S29)さらに低い所定周波数Fn−1とサンプリング
周波数Fsとの比較を行い、ステップS27の答が肯定
(YES)となったときはそのときの周波数Fnに対応
する伝達特性C(Fn)を選択して(ステップS28)
本プログラムを終了する。
【0103】また、ステップS25の答が否定(NO)
のときは、ステップS25の答が肯定(YES)となる
までnを「1」ずつインクリメントしてサンプリング周
波数Fsと周波数Fnとを比較し、ステップS25の答
が肯定(YES)となったときはステップS26の答が
否定(NO)となるためそのままステップS28に進
み、そのときの周波数Fnに対応する伝達補正特性C
(Fn)を選択して本プログラムを終了する。
【0104】また、上記実施例ではCフィルタ50に予
め記憶された複数の伝達特性からエンジン回転数NEに
応じた最適伝達特性を選択することにより最終的にCフ
ィルタ50を同定しているが、本発明は上記実施例に限
定されるものではなく、例えば、図12に示すように、
エンジン回転数の上限回転数(例えば、6000rp
m)に相当する周波数よりも適数倍、例えば数十倍を有
する高周波数Frを分周してCフィルタ50の伝達補正
特性を同定するように構成してもよい。
【0105】すなわち、高周波のサンプリング周波数F
r(例えば、数10Hz)で同定された高次伝達特性を
有する高周波フィルタCrを予めCフィルタ50に記憶
しておく。ここで、高周波フィルタCrはM個のタップ
を有し、かつ該高周波フィルタCrのサンプリング周期
(1/Fr)には駆動周波数Fc(例えば、10MH
z)で駆動するECU5の駆動パルス数がL個発生する
(この「L」はカウンタによりカウントされる)。
【0106】また、所定のサンプリング周波数Fs(例
えば、数百Hz)で同定されるフィルタCsにおいて
は、上記ECU5の駆動パルス数がそのサンプリング周
期(1/Fs)にS個(S>L)発生している場合(こ
の場合伝達特性Csは所定サンプリング周波数で同定さ
れているため、Sは既知数である)、そのタップ数Kは
数式(5)に基づいて算出される。
【0107】
【数8】 ここで、intは小数点以下を切り捨てた切り捨て整数を
示し、例えば、M×(L/S)=4.63のときはM×
(L/S)int=4となる。
【0108】そして、本実施例では図中矢印に示すよう
に、フィルタCsの各フィルタ係数Cs(j)は、これ
らのフィルタ係数Cs(j)に最も近い高周波フィルタ
Cr中の右隣りに位置するフィルタ係数Cr(m)を選
択してCフィルタ50の伝達特性を同定している。
【0109】図13は上記フィルタCsの各フィルタ係
数Cs(j)の算出手順を示すフローチャートである。
【0110】まず、ステップS31ではフィルタCsの
発生パルスQ及び、高周波フィルタCrの発生パルスL
を夫々「0」に設定し、次いでフィルタCsの最初のフ
ィルタ係数Ts(0)と高周波フィルタCrの最初のフ
ィルタ係数Cr(0)とを等置して(ステップS32)
フィルタCsの最初のフィルタ係数Cs(0)を決定す
る。
【0111】次いで、フィルタCsの発生パルス数Qを
「1」だけインクリメントすると共に、高周波フィルタ
Crの発生パルス数LをLに設定し(ステップS3
3)、次いでフィルタCsのサンプリング周期(1/F
s)中における駆動周波数Fcの個数Sが高周波フィル
タCrのサンプリング周期(1/Fr)中に発生するE
CU5のクロックパルス数FcがL以下であるか否かを
判別する(ステップS34)。そして、その答が否定
(NO)のときはステップS33に戻る一方、その答が
肯定(YES)のときはCs(1)=Cr(1)に設定
し(ステップS35)、次いで前記数式(5)が成立す
るか否かを判別する(ステップS36)。そして、その
答が肯定(YES)のときはそのまま本プログラムを終
了する一方、その答が否定(NO)のときはステップS
37に進み、フィルタCsのタップ位置を「1」だけイ
ンクリメントすると共に、高周波フィルタCrの発生パ
ルス数を2Lに設定し、次いでサンプリング周期(1/
2Fs)間に発生したパルス数2SがECU5の駆動周
波数Fcによるパルス2Lより小さいか否かを判別する
(ステップS38)。
【0112】そして、その答が否定(NO)のときは、
ステップS37に戻る一方、その答が肯定(YES)の
ときはCs(2)=Cr(2)に設定して(ステップS
39)、第2のタップ係数Cs(2)を決定し、次いで
再び数式(5)が成立しているか否かを判別し、その答
が肯定(YES)のときはそのままプログラムを終了す
る一方、その答が否定(NO)のときは次のステップ
(図示省略)に進む。そして、以後数式(5)が成立す
るまでCs(3),Cs(4),…を順次算出してゆ
き、数式(5)の成立により、全てのフィルタ係数Cs
(m)を決定し、数式(5)が不成立になったところで
本プログラムを終了する。
【0113】このように、高周波サンプリング周波数F
rで同定されたフィルタFrを「間引き」することによ
り最適伝達特性を有するCフィルタの同定を行うことが
できる。
【0114】これにより、サンプリング周波数が変化し
てもその変化に追随して所望の相殺信号Yを得ることが
でき、振動騒音の低減化を図ることができる。
【0115】また、上記実施例では、爆発圧に係る振動
次数成分を一括して適応制御しているが、図14に示す
ように、各気筒毎に異なる適応制御回路4741〜4746
を設け、該適応制御回路471〜4746に夫々所定のタ
イミングパルス信号Xが入力され、夫々の気筒に適応し
た制御が行なわれる。
【0116】すなわち、ECU5からの基礎パルス信号
を分周して作成されたタイミングパルス信号Xは、第1
のスイッチング回路56aに入力される。該第1のスイ
ッチング回路56aはタイミングパルス信号Xが入力さ
れる毎に「1」ずつインクリメントされるカウンタから
なり、該カウンタがカウントアップされる毎にタイミン
グパルスが順次Wフィルタ4841,Wフィルタ4842
…,Wフィルタ4846に入力され、Wフィルタ4841
4846からの出力が、上述した所定の振動騒音伝達経路
を経て第1の加算器46に入力される。次いで振動騒音
信号Dとの誤差信号εが前記第1の加算器46から出力
され、第1のスイッチング回路56aと同期してカウン
トアップする第2のスイッチング回路56bに入力され
る。次いで、夫々の適応制御回路4741〜4746にフィ
ードバックされ、LMS処理部4941〜4946で気筒の
物理的配置に応じた最適相殺信号が生成され、所望の適
応制御が行なわれる。つまり、各振動次数成分の振動に
対し、その振動が慣性力に支配される場合は、同一成分
の合力として表わされるため、各気筒配置による差異は
微小であるが、シリンダ内での燃焼によって壁面が加振
されて生じる振動は、気筒の物理的な配置により、その
振動は異なる。
【0117】そこで本発明では各気筒毎に異なるWフィ
ルタ4841〜4846を設け、第1及び第2のスイッチン
グ回路56a,56bを介して、順次フィルタ係数の更
新を行うことにより、各気筒間の寄与の差による偏差が
補正され、収束の精度が向上する。
【0118】尚、上記実施例では、カム軸27の回転に
同期して発生するパルス信号を基礎パルス信号として使
用したが、エンジンの回転に同期して発生するパルス信
号であればよく、例えばクランク軸周囲にクランク角セ
ンサ(CRKセンサ)を設け、該CRKセンサの出力信
号を基礎パルス信号として使用してもよく、また、トル
ク変動(燃焼状態の変動)を示すファクタとして、例え
ば点火パルスを選択し、該点火パルスを基礎パルス信号
として使用してもよい。さらに、ECU5を駆動させる
ためのクロックパルスを基礎パルス信号として使用して
もよいのはいうまでもない。
【0119】また、図15は本発明の他の実施例を示す
振動騒音制御系18のシステム構成図(第2の実施例)
であって、該振動騒音制御系18は、クランク軸36に
固着されたフライホイール38(図3参照)の近傍に回
転検出手段19としてのパルスエンコーダを配設し、該
パルスエンコーダによりフライホイール38のリングギ
アがカウントされ、パルス信号が発生するように構成さ
れている。すなわち、該振動騒音制御系18において
は、フライホイール19のリングギアを計数することに
より検出される回転信号から直接サンプリング周波数F
sを作成する一方、該パルス信号を基礎パルス信号とし
て使用し、分周回路39にて該基礎パルス信号を所定の
振動次数成分に分周してタイミングパルス信号Xを作成
し(例えば、1次、1.5次、2次、3次)、そして該
タイミングパルス信号Xは、上記第1の態様と同様、D
SP42内の互いに異なる適応制御回路471〜474
夫々入力されて、所望の適応制御が行なわれる。
【0120】上記第1の実施例では、例えばカム軸セン
サ11に基づいてECU5から基礎パルス信号を出力す
る場合、カム軸の回転はカム軸用プーリ34とクランク
軸用プーリ37とを連動させているタイミングベルト3
5の伸び等により微小ながら回転変動が生じる(図3参
照)。またCRKセンサに基づいてECU5から基礎パ
ルス信号を出力する場合においてもクランク軸36の捩
り振動等により回転変動を生じる。つまり、逓倍回路4
0における逓倍比が大きい程かかる回転変動に起因して
所望のサンプリング周波数Fsに対して大きな設定誤差
が生じる虞があるのに対し、クランク軸36に固着され
ているフライホイール38は慣性モーメントが大きく、
回転変動が少ないため、高精度で所望のサンプリング周
波数Fsを作成することができる。
【0121】また、本実施例においても第1の実施例と
同様、燃焼に関与する振動次数成分を他の振動次数成分
と分離して適応制御を行うことができるのはいうまでも
ない。
【0122】尚、本発明は上記実施例に限定されること
がないのはいうまでもない。例えば、上記第2の実施例
においてはフライホイール38の回転信号をパルスエン
コーダで検出しているが、カム軸27又はクランク軸3
6の近傍に回転信号検出手段19としてのロータリエン
コーダを配設し、該ロータリエンコーダにより検出され
た回転信号を分周してサンプリング周波数Fsやタイミ
ングパルス信号Xを生成してもよく、また本発明は6気
筒以外の多気筒エンジン、例えば4気筒、8気筒エンジ
ンにも適用できるのはいうまでもない。
【0123】また、複数の振動騒音伝達経路のうちの1
個の振動騒音伝達経路のみに電気機械変換手段(自己伸
縮型エンジンマウント等)を配設し、該電気機械変換手
段を有さない振動騒音伝達経路からの振動騒音との三次
元的な総和に基づき第1の加算器46で誤差信号εを検
出するように構成してもよい。
【0124】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、少なくと
も車輌駆動用パワープラントを含む振動騒音源に起因し
て車体又は車室内の少なくとも1つ以上の所定領域にお
いて発生する周期的または擬似周期的な振動騒音に対
し、所定の入力信号をフィルタリングすることにより前
記振動騒音源から前記所定領域の間の伝達特性を変化さ
せる制御信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記振
動騒音源と前記所定領域との間に形成された複数の振動
騒音伝達経路のうちの少なくとも1つ以上の振動騒音伝
達経路中に配設され、前記第1のフィルタ手段の出力に
より前記伝達特性を機械的に変化させる電気機械変換手
段と、該電気機械変換手段により変化した振動騒音と前
記電気機械変換手段を有さない前記振動騒音伝達経路か
らの振動騒音との三次元的な総和により減じられる振動
騒音誤差信号を前記所定領域において検出する誤差信号
検出手段と、前記電気機械変換手段と前記誤差信号検出
手段との間に形成される振動騒音伝達経路の伝達特性が
記憶された第2のフィルタ手段と、前記誤差信号検出手
段の検出結果と前記第2のフィルタ手段から出力される
参照信号と前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数に基
づいて前記振動騒音誤差信号が最小値となるように前記
フィルタ係数を更新する更新手段とを備えた車輌用振動
騒音制御装置において、その第1の態様は、前記振動騒
音源の駆動周期に同期して発生する第1のパルス信号を
検出するパルス信号検出手段と、前記振動騒音源の各構
成部位に特有の振動騒音の周期に同期する第2のパルス
信号を前記パルス信号検出手段により検出された第1の
パルス信号を分周して複数種生成するパルス信号生成手
段と、該パルス信号生成手段により生成された第2のパ
ルス信号の発生間隔に応じて第1のフィルタ手段のタッ
プ長を変化させる変化手段と、該変化手段により変化し
た前記タップ長に応じて前記第2のフィルタ手段のフィ
ルタ係数の擬似周期列を作成する擬似周期列作成手段
と、該擬似周期列作成手段より作成された擬似周期列を
記憶する記憶手段とを有し、かつ、前記第1のフィルタ
手段が複数の適応型デジタルフィルタを具備すると共
に、前記第2のフィルタ手段が前記複数の適応型デジタ
ルフィルタに応じて複数の補正デジタルフィルタを有
し、前記パルス信号生成手段により生成された複数種の
第2のパルス信号が前記所定の入力信号として前記振動
騒音特性に応じて夫々前記複数の適応型デジタルフィル
タ及び前記複数の補正デジタルフィルタに入力されるの
で、複雑な積和演算を有するとこなく第1のフィルタ手
段からは制御信号が、また第2のフィルタ手段からは参
照信号が出力され、演算量が大幅に軽減されることとな
り、演算速度が飛躍的に向上し、適応の精度・速度共に
向上する。しかも、振動騒音特性に応じた適応制御がな
されるので、振動騒音の低減効果量や振動騒音源から発
生する振動騒音信号に対する追随性が良好となる。
【0125】また、本発明の第2の態様は、前記振動騒
音源からの駆動周期を所定微小角度毎に第1のパルス信
号として検出する駆動周期信号検出手段と、前記振動騒
音源の各構成部位に特有の振動騒音の周期に同期する第
2のパルス信号を前記パルス信号検出手段により検出さ
れた第1のパルス信号を分周して複数種生成するパルス
信号生成手段と、前記駆動周期信号検出手段により検出
される第1のパルス信号の検出タイミングに応じてサン
プリング周期を決定するサンプリング周期決定手段と、
該サンプリング周期に応じて第2のフィルタ手段の伝達
特性を補正する伝達特性補正手段と、該伝達特性補正手
段により補正された伝達特性を記憶する記憶手段とを有
し、前記サンプリング周期決定手段により決定されたサ
ンプリング周期で前記第1のフィルタ手段のフィルタ係
数の出力及び更新を行う一連の動作を支配すると共に、
前記第1のフィルタ手段のタップ長が前記第1のパルス
信号に対する第2のパルス信号の分周比とされ、かつ、
前記第1のフィルタ手段が複数の適応型デジタルフィル
タを具備すると共に、前記第2のフィルタ手段が前記複
数の適応型デジタルフィルタに応じて複数の補正デジタ
ルフィルタを有し、前記パルス信号生成手段により生成
された複数種の第2のパルス信号が前記所定の入力信号
として前記振動騒音特性に応じて夫々複数の適応型デジ
タルフィルタ及び前記複数の補正デジタルフィルタに入
力されるので、エンジン回転の変動により第1のパルス
信号の周波数が変化しても、サンプリング周波数がそれ
につれて変化し、常に同じタップに相当する信号を出力
するため、適応の追従速度が早く、高精度な適応制御が
可能であり、所謂割り込みや打ち切り制御が少ない構成
であるため、構成が単純で、安定性が高い。
【0126】具体的には、前記パルス信号検出手段によ
り検出される第1のパルス信号が、前記パワープラント
のクランク軸の回転に同期して所定回転角度毎に発生す
る第1の基礎パルス信号と、前記パワープラントのカム
軸の回転に同期して所定回転角度毎に発生する第2の基
礎パルス信号と、前記パワープラントに燃焼を生じさせ
る点火信号である第3の基礎パルス信号と、前記パワー
プラントを制御するパワープラント制御手段が有する第
4の基礎パルス信号のうち少なくとも1個以上の基礎パ
ルス信号を含み、前記第1のパルス信号がこれら第1乃
至第4の基礎パルス信号の個別信号又は複数の組合せ信
号から構成され、或いは前記パワープラントのクランク
軸に固着されたフライホイールの回転信号を検出する第
1の回転信号検出手段と、前記クランク軸の回転信号を
検出する第2の回転信号検出手段と、前記パワープラン
トのカム軸の回転信号を検出する第3の回転信号検出手
段のうち少なくとも1つ以上を有し、前記パルス信号検
出手段により検出される第1のパルス信号が、前記第1
乃至第3の回転信号検出手段の検出結果に基づいて生成
されることにより、上述した効果を容易に実現すること
ができる。
【0127】さらに、上記第1の態様において、擬似周
期列をポイント数N及び第2のフィルタ手段のタップ長
Jに応じて所定の演算式に基づいて算出し、かかる擬似
周期列に基づいて第2のフィルタ手段の参照信号を生成
しているので、簡単なプログラム演算で容易に所望の参
照信号を得ることができる。
【0128】また、上記第2の態様において、周波数帯
域が前記パワープラントの回転数に応じて所定周波数毎
に複数に区分されると共に、複数の伝達特性が前記伝達
特性補正手段に記憶され、かつ該伝達特性補正手段が、
前記所定周波数と前記サンプリング周期決定手段により
決定されたサンプリング周期とに応じて前記複数の伝達
特性から最適伝達特性を選択する選択手段を有するか、
又は前記パワープラントの上限回転数に対応する周波数
に対し適数倍の高周波相当のサンプリング周期で同定さ
れた高次伝達特性が前記伝達特性補正手段に記憶され、
該伝達特性補正手段が、前記高次伝達特性を分周して最
適伝達特性を算出する伝達特性算出手段を有することに
より、伝達特性手段の伝達特性をサンプリング周期の変
動に応じて補正することができ、高精度な適応制御を行
うことができ、所望の振動騒音低減かを図るのに際し、
支障を来たすのを回避することが可能となる。
【0129】前記車輌駆動用パワープラントが4サイク
ルエンジンの場合は、クランク軸2回転毎に基準信号を
検出する基準信号検出手段と、該基準信号検出手段によ
り検出された基準信号と前記パルス信号生成手段により
生成された複数種の第2のパルス信号とを同期させると
共にその同期を検出する同期検出手段とを備え、該同期
検出手段により前記第2のパルス信号と前記基準信号と
の同期が検出されなかったときは、次回に検出される基
準信号と前記第2のパルス信号とを同期させる同期手段
を有することにより、第2のパルス信号の検出に失敗し
たときであってもその後の適応制御に悪影響を及ぼすの
を極力回避することができる。
【0130】前記振動騒音源の各構成部位に特有の振動
騒音特性が、前記パワープラントを構成するエンジン気
筒に特有の振動騒音特性とその他の構成部位に特有の振
動騒音特性とに分離され、前記エンジン気筒に特有の振
動騒音特性に対応する第2のパルス信号が前記所定の入
力信号として各気筒毎に異なる適応型デジタルフィルタ
及び補正デジタルフィルタに入力され、前記更新手段が
各気筒毎に夫々最適伝達特性を生成することにより、気
筒の物理的配置に影響されることなく所望の振動騒音定
権を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輌用振動騒音制御装置の一実施
例を示す全体構成図である。
【図2】動弁系の要部断面図である。
【図3】カム軸とクランク軸の関係を示す図である。
【図4】振動騒音制御系の一実施例(第1の実施例)を
示すシステム構成図である。
【図5】振動次数を説明するためのタイムチャートであ
る。
【図6】第1のパルス信号(基礎パルス信号)の検出が
欠落したときの状況を説明するタイムチャートである。
【図7】適応制御回路のブロック回路図である。
【図8】擬似周期列作成ルーチンのフローチャートであ
る。
【図9】参照信号の生成方法を説明するための説明図で
ある。
【図10】伝達補正特性選択ルーチンの一実施例を示す
フローチャートである。
【図11】伝達補正特性選択ルーチンの他の実施例を示
すフローチャートである。
【図12】伝達補正特性の算出方法を示すタイムチャー
トである。
【図13】伝達補正特性算出ルーチンの一実施例を示す
フローチャートである。
【図14】燃焼振動次数に係る振動騒音制御系の一実施
例を示すシステム構成図である。
【図15】振動騒音制御系の他の実施例(第2の実施
例)を示すシステム構成図である。
【図16】振動騒音波形とポイント数Nの関係を示す図
である。
【図17】擬似周期列作成手段の作成手法を説明する説
明図である。
【図18】従来の振動騒音制御系を示すシステム構成図
である。
【図19】従来の適応制御回路(フィルタードX−アル
ゴリズム)のブロック図である。
【符号の説明】
1 内燃エンジン 5 ECU(パルス信号検出手段) 11 カム軸センサ(パルス信号検出手段) 12 基準信号検出センサ(基準信号検出手段) 14a,14b 自己伸縮型エンジンマウント(電気機
械系) 19 エンコーダ(回転信号検出手段) 27 カム軸 33 クランク軸 35 フライホイール 36 分周回路(パルス信号生成手段) 37 逓倍回路(サンプリング周波数作成手段) 381〜384 同期回路(同期検出手段、同期手段) 451〜454 Wフィルタ(デジタルフィルタ) 4541〜4546 Wフィルタ(デジタルフィルタ) 461〜464 LMS処理部(相殺信号生成手段) 4641〜4646 LMS処理部(相殺信号生成手段) 471〜474 Cフィルタ(伝達特性補正手段) 4741〜4746 Cフィルタ(伝達特性補正手段) 54 分周回路(パルス信号生成手段)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【数1】 (n=0,1,2,…,n−1) (a=0,1,2,…JdivN) (但し、(C〜)は擬似周期列、(C∧)は第2のフィ
ルタ手段のフィルタ係数、Jは第2のフィルタ手段のタ
ップ長、Nはポイント数、(JdivN)は(J/N)の
切り捨て整数)に基づいて、擬似周期列を作成する第1
の周期列作成手段と、 前記ポイント数が前記第2のフィルタ手段のタップ長よ
りも大きい場合は、次式
【数2】 (但し、(0,…,0)の個数は(N−J)個)に基づ
いて擬似周期列を作成する第2の周期列作成手段とを有
し、 かつ、前記擬似周期列作成手段により作成された擬似周
期列に応じて参照信号を生成する参照信号生成手段を具
備していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のい
ずれかに記載の車輌用振動騒音制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野澤 安治 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 小沢 英隆 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車輌駆動用パワープラントを
    含む振動騒音源に起因して車体又は車室内の少なくとも
    1つ以上の所定領域において発生する周期的または擬似
    周期的な振動騒音に対し、所定の入力信号をフィルタリ
    ングすることにより前記振動騒音源から前記所定領域の
    間の伝達特性を変化させる制御信号を出力する第1のフ
    ィルタ手段と、 前記振動騒音源と前記所定領域との間に形成された複数
    の振動騒音伝達経路のうちの少なくとも1つ以上の振動
    騒音伝達経路中に配設され、前記第1のフィルタ手段の
    出力により前記伝達特性を機械的に変化させる電気機械
    変換手段と、 該電気機械変換手段により変化した振動騒音と前記電気
    機械変換手段を有さない前記振動騒音伝達経路からの振
    動騒音との三次元的な総和により減じられる振動騒音誤
    差信号を前記所定領域において検出する誤差信号検出手
    段と、 前記電気機械変換手段と前記誤差信号検出手段との間に
    形成される振動騒音伝達経路の伝達特性が記憶された第
    2のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記振動騒音誤差信号が最小
    値となるように前記フィルタ係数を更新する更新手段と
    を備えた車輌用振動騒音制御装置において、 前記振動騒音源の駆動周期に同期して発生する第1のパ
    ルス信号を検出するパルス信号検出手段と、前記振動騒
    音源の各構成部位に特有の振動騒音の周期に同期する第
    2のパルス信号を前記パルス信号検出手段により検出さ
    れた第1のパルス信号を分周して複数種生成するパルス
    信号生成手段と、該パルス信号生成手段により生成され
    た第2のパルス信号の発生間隔に応じて第1のフィルタ
    手段のタップ長を変化させる変化手段と、該変化手段に
    より変化した前記タップ長に応じて前記第2のフィルタ
    手段のフィルタ係数の擬似周期列を作成する擬似周期列
    作成手段と、該擬似周期列作成手段より作成された擬似
    周期列を記憶する記憶手段とを有し、 かつ、前記第1のフィルタ手段が複数の適応型デジタル
    フィルタを具備すると共に、前記第2のフィルタ手段が
    前記複数の適応型デジタルフィルタに応じて複数の補正
    デジタルフィルタを有し、前記パルス信号生成手段によ
    り生成された複数種の第2のパルス信号が前記所定の入
    力信号として前記振動騒音特性に応じて夫々前記複数の
    適応型デジタルフィルタ及び前記複数の補正デジタルフ
    ィルタに入力されることを特徴とする車輌用振動騒音制
    御装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも車輌駆動用パワープラントを
    含む振動騒音源に起因して車体又は車室内の少なくとも
    1つ以上の所定領域において発生する周期的または擬似
    周期的な振動騒音に対し、所定の入力信号をフィルタリ
    ングすることにより前記振動騒音源から前記所定領域の
    間の伝達特性を変化させる制御信号を出力する第1のフ
    ィルタ手段と、 前記振動騒音源と前記所定領域との間に形成された複数
    の振動騒音伝達経路のうちの少なくとも1つ以上の振動
    騒音伝達経路中に配設され、前記第1のフィルタ手段の
    出力により前記伝達特性を機械的に変化させる電気機械
    変換手段と、 該電気機械変換手段により変化した振動騒音と前記電気
    機械変換手段を有さない前記振動騒音伝達経路からの振
    動騒音との三次元的な総和により減じられる振動騒音誤
    差信号を前記所定領域において検出する誤差信号検出手
    段と、 前記電気機械変換手段と前記誤差信号検出手段との間に
    形成される振動騒音伝達経路の伝達特性が記憶された第
    2のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記振動騒音誤差信号が最小
    値となるように前記フィルタ係数を更新する更新手段と
    を備えた車輌用振動騒音制御装置において、 前記振動騒音源からの駆動周期を所定微小角度毎に第1
    のパルス信号として検出する駆動周期信号検出手段と、
    前記振動騒音源の各構成部位に特有の振動騒音の周期に
    同期する第2のパルス信号を前記パルス信号検出手段に
    より検出された第1のパルス信号を分周して複数種生成
    するパルス信号生成手段と、前記駆動周期信号検出手段
    により検出される第1のパルス信号の検出タイミングに
    応じてサンプリング周期を決定するサンプリング周期決
    定手段と、該サンプリング周期に応じて第2のフィルタ
    手段の伝達特性を補正する伝達特性補正手段と、該伝達
    特性補正手段により補正された伝達特性を記憶する記憶
    手段とを有し、 前記サンプリング周期決定手段により決定されたサンプ
    リング周期で前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数の
    出力及び更新を行う一連の動作を支配すると共に、前記
    第1のフィルタ手段のタップ長が前記第1のパルス信号
    に対する第2のパルス信号の分周比とされ、 かつ、前記第1のフィルタ手段が複数の適応型デジタル
    フィルタを具備すると共に、前記第2のフィルタ手段が
    前記複数の適応型デジタルフィルタに応じて複数の補正
    デジタルフィルタを有し、前記パルス信号生成手段によ
    り生成された複数種の第2のパルス信号が前記所定の入
    力信号として前記振動騒音特性に応じて夫々複数の適応
    型デジタルフィルタ及び前記複数の補正デジタルフィル
    タに入力されることを特徴とする車輌用振騒音制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記パルス信号検出手段により検出され
    る第1のパルス信号が、前記パワープラントのクランク
    軸の回転に同期して所定回転角度毎に発生する第1の基
    礎パルス信号と、前記パワープラントのカム軸の回転に
    同期して所定回転角度毎に発生する第2の基礎パルス信
    号と、前記パワープラントに燃焼を生じさせる点火信号
    である第3の基礎パルス信号と、前記パワープラントを
    制御するパワープラント制御手段が有する第4の基礎パ
    ルス信号のうち少なくとも1個以上の基礎パルス信号を
    含み、前記第1のパルス信号がこれら第1乃至第4の基
    礎パルス信号の個別信号又は複数の組合せ信号から構成
    されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    の車輌用振動騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 前記パワープラントのクランク軸に固着
    されたフライホイールの回転信号を検出する第1の回転
    信号検出手段と、前記クランク軸の回転信号を検出する
    第2の回転信号検出手段と、前記パワープラントのカム
    軸の回転信号を検出する第3の回転信号検出手段のうち
    少なくとも1つ以上を有し、前記パルス信号検出手段に
    より検出される第1のパルス信号が、前記第1乃至第3
    の回転信号検出手段の検出結果に基づいて生成されるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車輌用振動
    騒音制御装置。
  5. 【請求項5】 前記パルス信号生成手段により生成され
    た第2のパルス信号の発生間隔とサンプリング周期とに
    応じてポイント数を算出するポイント数算出手段と、前
    記ポイント数算出手段により算出されたポイント数と前
    記第1のフィルタ手段のタップ長とを一致させる一致手
    段とを備え、 かつ、前記擬似周期列作成手段は、 前記ポイント数が前記第2のフィルタ手段のタップ長よ
    りも小さい場合は、次式 【数1】 (n=0,1,2,…,n−1) (a=0,1,2,…JdivN) (但し、(C〜)は擬似周期列、(C∧)は第2のフィ
    ルタ手段のフィルタ係数、Jは第2のフィルタ手段のタ
    ップ長、Nはポイント数、(JdivN)は(J/N)の
    切り捨て整数)に基づいて、擬似周期列を作成する第1
    の周期列作成手段と、 前記ポイント数が前記第2のフィルタ手段のタップ長よ
    りも大きい場合は、次式 【数2】 (但し、(0,…,0)の個数は(N−J)個)に基づ
    いて擬似周期列を作成する第2の周期列作成手段とを有
    し、 かつ、前記擬似周期列作成手段により作成された擬似周
    期列に応じて参照信号を生成する参照信号生成手段を具
    備していることを特徴とする請求項1、請求項3、又は
    請求項4記載の車輌用振動騒音制御装置。
  6. 【請求項6】 前記記憶手段は、前記擬似周期列を2周
    期の長さに亘って記憶すると共に、請求項5記載の参照
    信号生成手段に代えて、前記擬似周期列の前記2周期の
    範囲中から1周期分の読出範囲をシフトさせながら参照
    信号を生成する参照信号生成手段を有していることを特
    徴とする請求項1、請求項3、又は請求項4のいずれか
    に記載の車輌用振動騒音制御装置。
  7. 【請求項7】 周波数帯域が前記パワープラントの回転
    数に応じて所定周波数毎に複数に区分されると共に、複
    数の伝達特性が前記伝達特性補正手段に記憶され、かつ
    該伝達特性補正手段が、前記所定周波数と前記サンプリ
    ング周期決定手段により決定されたサンプリング周期と
    に応じて前記複数の伝達特性から最適伝達特性を選択す
    る選択手段を有していることを特徴とする請求項2乃至
    請求項4のいずれかに記載の車輌用振動騒音制御装置。
  8. 【請求項8】 前記パワープラントの上限回転数に対応
    する周波数に対し適数倍の高周波相当のサンプリング周
    期で同定された高次伝達特性が前記伝達特性補正手段に
    記憶され、該伝達特性補正手段が、前記高次伝達特性を
    分周して最適伝達特性を算出する伝達特性算出手段を有
    していることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいず
    れかに記載の車輌用振動騒音制御装置。
  9. 【請求項9】 前記車輌駆動用パワープラントは4サイ
    クルエンジンであって、クランク軸2回転毎に基準信号
    を検出する基準信号検出手段と、該基準信号検出手段に
    より検出された基準信号と前記パルス信号生成手段によ
    り生成された複数種の第2のパルス信号とを同期させる
    と共にその同期を検出する同期検出手段とを備え、該同
    期検出手段により前記第2のパルス信号と前記基準信号
    との同期が検出されなかったときは、次回に検出される
    基準信号と前記第2のパルス信号とを同期させる同期手
    段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項8
    のいずれかに記載の車輌用振動騒音制御装置。
  10. 【請求項10】 前記振動騒音源の各構成部位に特有の
    振動騒音特性が、前記パワープラントを構成するエンジ
    ン気筒に特有の振動騒音特性とその他の構成部位に特有
    の振動騒音特性とに分離され、前記エンジン気筒に特有
    の振動騒音特性に対応する第2のパルス信号が前記所定
    の入力信号として各気筒毎に異なる適応型デジタルフィ
    ルタ及び補正デジタルフィルタに入力され、前記更新手
    段が各気筒毎に夫々最適伝達特性を生成することを特徴
    とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の車輌用
    振動騒音制御装置。
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