JP3380576B2 - 車輌用振動制御装置 - Google Patents

車輌用振動制御装置

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JP3380576B2
JP3380576B2 JP28387192A JP28387192A JP3380576B2 JP 3380576 B2 JP3380576 B2 JP 3380576B2 JP 28387192 A JP28387192 A JP 28387192A JP 28387192 A JP28387192 A JP 28387192A JP 3380576 B2 JP3380576 B2 JP 3380576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車輌用振動制御装置、よ
り詳しくは車輌の走行等により発生する振動を能動的に
制御し、これら振動の低減化を図ることができる車輌用
振動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、適応デジタルフィルタ(Adaptive
Digital Filter:以下、「ADF」という)を使用して
振動源から発生する振動を減衰させ、該振動の低減化を
図る能動的振動制御装置の開発が各方面で盛んに行なわ
れている。
【0003】これら各種の能動的振動制御装置のうち、
自動車等の車輌用に開発された能動的振動制御装置とし
て、パワープラントの駆動に関連性を有する所定のパル
ス信号(トリガ信号)を適応制御回路に入力し、ADF
からなる第1のフィルタ手段によって周期的又は擬似周
期的な振動に対し適応制御を施した振動制御装置を本願
出願人は既に提案している(特願平4−168628
号)。上記先願技術によれば、前記パルス信号が適応制
御回路に直接入力されるため、複雑な積和演算が減少
し、振動を低減するための収束速度を向上させることが
できる。
【0004】また、能動的振動制御装置を車輌に適用す
る場合は、振動伝達経路に起因する系の伝達特性位相変
化を補正する必要があるが、上記先願技術においては、
適応制御回路に第2のフィルタ手段を設け、第1のフィ
ルタ手段から出力される制御信号に低レベルで重畳する
ランダム信号と、振動源に起因する振幅の大きな周期信
号が誤差信号から除去された残差信号と、現在の第2の
フィルタ手段のフィルタ係数とに基づいて第2のフィル
タ手段のフィルタ係数を更新することにより、振動制御
を行いつつ系の伝達特性を同定している。すなわち、上
記先願技術によれば、上述の如く系の伝達特性を同定す
ることにより、複雑な演算機能を要することなく、伝達
特性の経時変化や環境変化等にも対処することが可能で
あり、かつ車輌の仕様・装備、さらには運転者の使用状
況等による伝達特性の変動にも対処することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
願技術においては、第2のフィルタ手段として有限長イ
ンパルス応答(Finite Impulse Response:以下、「F
IR」という)形のADFが使用されているため、例え
ば低周波領域での同定精度が悪いという問題点があっ
た。
【0006】また、系の伝達特性を同定するためのアル
ゴリズムとして最小二乗平均法(Least Mean Square Me
thod:以下、「LMS法」という)が使用されている
が、高精度で同定するためには長いタップ長が必要とさ
れるため、伝達特性を同定するための演算時間が長いと
いう問題点があった。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であって、短時間で広い周波数帯域に亘って振動伝達経
路の伝達特性を高精度に同定することができる車輌用振
動制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、少なくとも車輌駆動用パワープラントを含
む振動源に起因して車体又は車室内の少なくとも1つ以
上の所定領域において発生する周期的または擬似周期的
な振動に対し、該振動の周期に同期するパルス信号に基
づき前記所定領域における振動制御により制御信号を出
力する第1のフィルタ手段と、前記制御信号を駆動信号
に変換する駆動信号生成手段と、前記駆動信号生成手段
の出力により振動を制御する少なくとも1個以上の電気
機械変換手段と、該電気機械変換手段からの出力により
減じられる振動誤差信号を前記所定領域において検出す
る誤差信号検出手段と、前記振動周期に同期するパルス
信号および前記振動誤差信号に基づき、前記駆動信号生
成手段と前記誤差信号検出手段との間に形成される振動
伝達経路の伝達特性を表現する第2のフィルタ手段と、
前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
のフィルタ係数に基づいて前記振動誤差信号が最小値
となるように前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を
更新する制御信号更新手段とを備えた車輌用振動制御装
置において、前記第1のフィルタ手段から出力される制
御信号に低騒音レベルで重畳するランダム信号を生成す
るランダム信号生成手段を有すると共に、前記第2のフ
ィルタ手段が、少なくとも無限長インパルス応答形フィ
ルタからなる伝達特性同定用フィルタと、少なくとも振
動相殺信号及び前記振動誤差信号に応じて算出される残
差信号の頑健性を補償した修正残差信号を生成するフィ
ルタ手段と、前記ランダム信号生成手段から出力される
ランダム信号と前記フィルタ手段により生成された修正
残差信号と前記伝達特性同定用フィルタからの出力信号
と前記伝達特性同定用フィルタのフィルタ係数とに基づ
いて前記伝達特性同定用フィルタのフィルタ係数の更新
を行い、前記振動伝達経路の伝達特性を同定するフィル
タ係数更新手段とを有していることを特徴としている。
【0009】
【0010】
【0011】また、前記ランダム信号生成手段に代え
て、前記第1のフィルタ手段から出力される制御信号に
重畳していないランダム信号を生成するランダム信号生
成手段を有することを特徴とするのも好ましい
【0012】
【作用】上記構成によれば、ランダム信号と修正残差
号と無限長インパルス応答形の伝達特性同定用フィルタ
のフィルタ係数と該伝達特性同定用フィルタの出力信号
とに基づいて、振動伝達経路の伝達特性が同定される。
【0013】
【0014】また、ランダム信号を制御信号に低レベル
で重畳することなく生成することにより、所定の振動制
御を実行するに先立って振動伝達経路の伝達特性を同定
することも可能である。
【0015】
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説す
る。
【0017】図1は、本発明に係る車輌用振動制御装置
を構成する自己伸縮型エンジンマウントの車体への取付
状態及び誤差信号検出手段としての加算器の車室内の配
設位置を示した図である。
【0018】すなわち、図中1は、例えば直列4気筒を
有する車輌駆動用パワープラントの4サイクルエンジン
(以下、単に「エンジン」という)であって、該エンジ
ン1は、エンジンマウント2と、前輪(駆動輪)4の懸
架装置5と、排気管6の支持体7とで車体8に支持され
ている。
【0019】また、エンジンマウント2は、振動伝達特
性を変化させ得る適数個の自己伸縮型エンジンマウント
2aと、前記振動伝達特性を変化させ得ない適数個の通
常のエンジンマウント2bとから構成されている。
【0020】前記自己伸縮型エンジンマウント2aには
ボイスコイルモータ(VCM)や圧電素子或いは磁歪素
子等のアクチュエータが内有され、エンジンの振動に応
じて電子マウントコントロールユニット(EMCU)
(図示せず)からの信号によりエンジンの振動を制御す
る。すなわち、自己伸縮型エンジンマウント2aは、液
体が充填された液室を有し、振動源(エンジン1)側に
固定された弾性ゴムを介して振動源の振動が前記アクチ
ュエータにより車体8に伝達されるのを制御する。
【0021】また、前記懸架装置5及び前記支持体7
は、夫々適数個の自己伸縮型懸架装置5a及び適数個の
自己伸縮型支持体7aと、適数個の通常の懸架装置5b
及び適数個の通常の支持体7bとから構成されており、
前記自己伸縮型懸架装置5a及び前記自己伸縮型支持体
7aは、前記自己伸縮型エンジンマウント2aと同様、
アクチュエータが内有され、エンジンの振動に応じて前
記EMCUからの信号によりエンジンの振動を制御す
る。尚、上記自己伸縮型エンジンマウント2a,懸架装
置5a及び支持体7aとで電気機械変換手段を構成して
いる。
【0022】エンジン1の図示しないクランク軸に固着
されたフライホイール近傍には、パルスエンコーダ等の
回転検出センサが配設されている。
【0023】車室9内の床面には床振動エラーセンサ1
1が配設され、また、ステアリングホイール12にはス
テアリング振動エラーセンサ13が配設されている。
【0024】そして、これら床振動エラーセンサ11及
びステアリング振動エラーセンサ13は夫々第1の加算
器14を構成している。
【0025】図2は、本発明に係る車輌用振動制御装置
の一実施例を示したシステム構成図である。
【0026】すなわち、回転検出センサ15によりフラ
イホイールのリングギアが計数されて基礎パルス信号X
が発生し、該基礎パルス信号が高速演算可能なDSP
(Digital Signal Processor)16に入力される。
【0027】一方、フライホイールの変動、すなわちエ
ンジン回転数の変動に応じたサンプリング周波数Fsが
前記基礎パルス信号Xから直接作成されてDSP16に
入力され、前記サンプリング周波数FsによりDSP1
6で実行される一連の動作が支配される。また、DSP
16から出力された出力信号VはD/Aコンバータ1
7、増幅器18、さらには自己伸縮型エンジンマウント
等の電気機械変換手段40、車体8等の振動伝達経路を
経て第1の加算器14に駆動信号Zとして入力される一
方、振動源であるエンジン1からの振動信号Dが第1の
加算器14に入力される。そして、第1の加算器14か
らは誤差信号εが出力され、A/Dコンバータ19を経
てDSP16にフィードバックされ、該DSP16内で
所定の適応制御が実行されて車輌の振動低減化が図られ
る。
【0028】しかして、DSP16は、基礎パルス信号
Xを計数してエンジン1の各構成部位に特有の振動周期
に同期するタイミングパルス信号X′を出力するタイミ
ングパルス作成部20と、低騒音レベル(例えば、20
dB以下)のランダム信号を生成するランダム信号生
成手段21と、該ランダム信号生成手段21からのラン
ダム信号Lに対し所定周波数帯域のランダム信号を除去
して基準信号L′を出力するバンドパスフィルタ22
と、前記タイミングパルス信号X′及び前記基準信号
L′が入力されて所定の適応制御を行う適応制御部23
とを有している。
【0029】前記タイミングパルス作成部20は、具体
的には、回転検出センサ15により検出された回転信号
である基礎パルス信号Xをカウンタにより計数し、振動
源である動弁系やクランク軸周囲或いは燃焼室等エンジ
ンの各構成部位に特有の振動特性に応じて複数種のタイ
ミングパルス信号X′を生成し、適応制御部23に出力
する。すなわち、本実施例では、エンジンの回転に同期
して規則的な振動特性が生じるピストン系等の振動次数
(振動成分)と、燃焼状態に応じて不規則な振動特性が
生じる爆発圧(加振力)による振動次数(振動成分)と
に区分されたタイミングパルス信号X′が生成される。
具体的には、規則的なピストン系等の振動次数を示すも
のとして1次のタイミングパルス信号X′が生成され、
爆発圧による振動次数を示すものとして2次のタイミン
グパルス信号X′が生成される。ここで、振動次数が
「1次」とは、クランク軸が1回転する毎にタイミング
パルス信号X′が1回発生する場合をいい、また、振動
次数が「2次」の場合とはクランク軸の0.5回転に1
パルス発生する場合をいう。すなわち、図3に示すよう
に、クランク信号パルス(以下、「CRK信号パルス」
という)が例えばクランク角30°毎に発生する場合
は、クランク軸が1回転する間に12パルス発生するこ
ととなり、1次パルスはクランク軸が12パルス(1回
転)発生する毎に1回発生し、2次パルスはクランク軸
が6パルス(0.5回転)する毎に1回発生する。そし
て、本実施例においては、フライホイールのリングギア
を計数することにより基礎パルス信号Xが検出され、タ
イミングパルス作成部17は所定クランク角度に相当す
る所定計数毎に振動次数1次及び2次のタイミングパル
ス信号X′を出力する。
【0030】しかして、上述の如く振動次数成分を複数
種に区分して適応制御を行うことにより、より効果的な
振動の低減化を図ることができる。
【0031】すなわち、1次の振動次数はクランク軸の
回転等規則的に発生する振動成分に関するものであり、
かかる1次の振動成分のみを個別に適応制御を行うこと
により、エンジンの回転等慣性力に起因して発生する振
動を効率よく低減することができる。
【0032】一方、クランク軸が2回転する間に1気筒
当たり1回爆発行程が実行されるので、4気筒エンジン
の場合はクランク軸が2回転する間に4回の爆発行程が
あり、したがって振動次数が2次とは爆発圧に関する振
動成分を示していることとなる。
【0033】そして、このように不規則な振動特性を有
する爆発圧に関する2次の振動次数成分を規則的な振動
特性を有する1次の振動次数成分と区分して適応制御を
行うことにより、振動をより効果的に低減することがで
きる。
【0034】また、上記タイミングパルス作成部20に
おいては、基礎パルス信号Xを計数し、所定タイミング
毎に所望のタイミングパルス信号X′を検出しているの
で、複雑な分周・逓倍回路を要することもなく、複数種
の振動次数成分を容易に作成することができる。また、
振動次数成分は、例えば、1次パルスと2次パルスとで
はクランク軸1回転につき互いに同期して発生させる必
要があるが、タイミングパルス信号X′は上記タイミン
グパルス作成部20においてカウンタで計数されて検出
されているため、複雑な同期監視機構も必要性がなくな
り、ロバスト性(頑健性)が向上すると共に装置の簡略
化が可能となる。
【0035】また、適応制御部23は、具体的には、上
記した2種類のタイミングパルス信号X′に対して別個
に適応制御処理がなされるように2個の適応制御回路2
1,242を有し、さらに、適応制御回路241,242
は、タイミングパルス信号X′の発生間隔に対応してそ
のタップ長が変化する有限長インパルス応答(Finite I
mpulse Response:以下「FIR」という)形のADF
としてのウィーナーフィルタ(以下、「Wフィルタ」と
いう)251,252(第1のフィルタ手段)と、最小2
乗平均法(Least Mean Square Method:以下、「LMS
法」という)を使用してWフィルタ251,252のフィ
ルタ係数を更新するための演算処理を行うSFX−LM
S(Synchronized Filtered-X-LMS)処理部261,262
と、振動伝達経路中に配設された電気機械変換手段40
に起因して生じるWフィルタ251,252からの伝達特
性の位相変化を補正する補正フィルタ部271,272
を備えている。
【0036】前記補正フィルタ部27は、図4に示すよ
うに、タイミングパルス信号X′とA/Dコンバータ1
9からの誤差信号εとに基づき振幅の大きな周期信号が
除去されて第1の残差信号ηを出力する周期信号除去手
段28と、振動伝達経路の伝達特性を同定する伝達特性
同定手段29と、該伝達特性同定手段により同定された
伝達特性を記憶するレジスタ部30とを備えている。
【0037】さらに、前記周期信号除去手段28は、具
体的には、タイミングパルス信号X′が入力されて該タ
イミングパルス信号X′の発生間隔により規制される振
動波形に対して逆位相の相殺信号ρを出力するADFか
らなるエコーキャンセラ用フィルタ(以下、「Eフィル
タ」という)31と、前記相殺信号ρとA/Dコンバー
19からの誤差信号εとが入力されて第1の残差信号
ηを出力する第2の加算器32と、前記Eフィルタ31
のフィルタ係数更新のための演算を行うS−LMS(Sy
nchronized-LMS)処理部33とから構成されている。そ
して、Eフィルタ31のフィルタ係数は、タイミングパ
ルス信号X′と第1の残差信号ηとEフィルタ31の現
在のフィルタ係数とに基づいて更新され、Eフィルタ3
1から出力される相殺信号ρが同定される。
【0038】また、伝達特性同定手段29は、バンドパ
スフィルタ22からの基準信号L′が入力される遅延回
路(MD)50と、該遅延回路50により遅延された基
準信号L′が入力される伝達特性同定用フィルタ(以
下、「Cフィルタ」という)34と、負値に変換された
Cフィルタ34からの出力信号τと第2の加算器32か
ら出力される第1の残差信号ηとが入力されて第2の残
差信号φを出力する第3の加算器35と、第2の残差
号φの頑健性(ロバスト性)を補償するES(Error Sm
oothig)フィルタ(フィルタ手段)36と、前記Cフィ
ルタ34のフィルタ係数更新のための演算を行うSHA
RF(Simple Hyperstable Adaptive Recursive Filte
r)処理部(フィルタ係数更新手段)37とから構成さ
れている。
【0039】前記Cフィルタ34は、具体的には、2個
のFIR形フィルタ(第1のFIR形フィルタ38及び
第2のFIR形フィルタ39)からなる無限長インパル
ス応答(Infinte Impulse Response:以下、「IIR」
という)形のADFで形成されている。すなわち、Cフ
ィルタ34は、第1のFIR形フィルタ38の出力信号
κと第2のFIR形フィルタ39の出力信号λとが第4
の加算器40で加算され、この加算された出力信号τが
再び第2のFIR形フィルタ39を経て第4の加算器4
0にフィードバックされることによりIIR形ADFを
形成している。
【0040】また、ESフィルタ36においては、数式
(1)に基づいて修正残差信号χが生成される。
【0041】
【数1】 ここで、SはESフィルタ36のフィルタ係数であっ
て、後述する第2のFIR形フィルタ39のフィルタ係
数で近似される。
【0042】また、SHARF処理部37では、基準信
号L′と修正残差信号χとCフィルタ34の現在のフィ
ルタ係数とに基づいて数式(2)により第1のFIR
形フィルタ38のフィルタ係数が更新され、さらに、修
正残差信号χとCフィルタ34の出力信号τとCフィル
タ34の現在のフィルタ係数とに基づいて数式(3)
により第2のFIR形フィルタ39のフィルタ係数が更
新される。
【0043】 a(k+1)=a(k)+αL′(k−i)χ(k) …(2) b(k+1)=b(k)+βτ(k−i)χ(k) …(3) ここで、a,bは夫々第1及び第2のFIR形フィルタ
38,39のフィルタ係数、α,βは夫々第1のFIR
形フィルタ38及び第2のFIR形フィルタ39のステ
ップサイズパラメータ(毎回の更新量の大きさを規制す
るパラメータ)である。すなわち、基準信号L′と修正
残差信号χとCフィルタ34の出力信号τとCフィルタ
34の現在のフィルタ係数a,bとに基づいてIIR形
ADFであるCフィルタ34のフィルタ係数更新が行わ
れ、系の伝達特性が同定されることとなる。ここで、従
来のようにアルゴリズムとしてLMS法を使用せずにS
HARF法を使用したのはCフィルタ34が2個のFI
R形フィルタで形成されているためLMS法で上記2個
のFIR形フィルタのフィルタ係数更新を個々に行った
のではIIR形フィルタとしてのCフィルタ34のフィ
ルタ係数が所望値に収束し難いためである。
【0044】尚、同一の同定精度を有する伝達特性を得
る場合、従来のFIR形フィルタをLMS法で同定する
ときはタップ長が「64」必要であったのに対し、本実
施例のようにIIR形フィルタをSHARF法で同定し
たときは第1のFIR形ADF38のタップ長が
「8」、第2のFIR形ADF39のタップ長が「1
6」でよいことが確認され、収束速度の向上を図ること
ができる。
【0045】しかして、このように構成された車輌用振
動制御装置においては、回転検出センサ15により検出
された基礎パルス信号Xは、所定サンプリング周波数F
s毎にタイミングパルス作成部17に入力され、該タイ
ミングパルス作成部17から1次及び2次振動成分のタ
イミングパルスX′がWフィルタ25及び補正フィルタ
部27のEフィルタ31、S−LMS処理部33更には
レジスタ部30に入力され、Wフィルタ25からは制御
信号Yが出力される。
【0046】一方、ランダム信号生成手段21から出力
される低騒音レベルのランダム信号Lは、バンドパスフ
ィルタ22により所定周波数帯域外のランダム信号が除
去された基準信号L′として遅延回路(MD)50を
経てCフィルタ34に及びSHARF処理部37に入
力されると共に、前記基準信号L′はWフィルタ25か
らの制御信号Yと重畳されて出力信号Vが生成され、D
/Aコンバータ17に入力され、さらに増幅器18、電
気機械変換手段40、車体8を経て駆動信号Zとして第
1の加算器14に入力される。なお、バンドパスフィル
タ22を備えず、ランダム信号Lが遅延回路(MD)5
0、SHARF処理部37およびD/Aコンバータ17
に直接入力されるようにしてもよい。
【0047】一方、第1の加算器14にはエンジン1か
らの振動信号Dが入力され、該第1の加算器14におい
て、アナログ出力信号Zと振動信号Dとが加算されて誤
差信号εが出力され、A/Dコンバータ19を経てSF
X−LMS処理部26及び補正フィルタ部27の第2の
加算器32に入力される。
【0048】また、第2の加算器32には、Eフィルタ
31からの相殺信号ρが入力され、該第2の加算器32
からは第1の残差信号ηが出力され、該第1の残差信号
ηは第3の加算器35に入力される。一方、第3の加算
器35にはCフィルタ34からの出力信号τが入力され
る。そして、該第3の加算器35からは第2の残差信号
φが出力され、ESフィルタ36から修正残差信号χが
出力される。そして、かかる修正残差信号χと基準信号
L′とCフィルタ34の現在のフィルタ係数τとに基づ
いてCフィルタ34のフィルタ係数を更新し、振動伝達
経路の伝達特性(C〜)を同定し、斯く同定された伝達
特性(C〜)がレジスタ部30に格納される。
【0049】そして、レジスタ部30からは伝達特性と
しての参照信号RがSFX−LMS処理部26に入力さ
れ、該参照信号Rとタイミングパルス信号X′と誤差信
号εとWフィルタ25の現在のフィルタ係数とに基づき
Wフィルタ25のフィルタ係数が更新され、かかる更新
された制御信号Yに基づきエンジン1の振動が制御され
る。
【0050】このように上記車輌用振動制御装置におい
ては、振動制御を行いつつIIR形ADFからなるCフ
ィルタ34とSHARF処理部36とで振動伝達経路の
伝達特性を同定しているので、演算負荷も小さく、短時
間で広い周波数帯域に亘って経時変化や環境変化、さら
には車輌の仕様等にも対処した伝達特性の同定を行うこ
とができる。
【0051】尚、本発明は、上記実施例に限定されるも
のではなく、また単純なシステムにおいてはESフィル
タ36を省略するのも可能である。また、振動伝達経路
の伝達特性に余り変化が生じないような系に対しては制
御信号に重畳していないランダム信号を生成することに
より予め振動伝達経路の伝達特性を同定しておき、かか
る伝達特性に基づいて振動制御を行うのも好ましい。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、少なくと
も車輌駆動用パワープラントを含む振動源に起因して車
体又は車室内の少なくとも1つ以上の所定領域において
発生する周期的または擬似周期的な振動に対し、該振動
の周期に同期するパルス信号に基づき前記所定領域にお
ける振動制御により制御信号を出力する第1のフィルタ
手段と、前記制御信号を駆動信号に変換する駆動信号生
成手段と、前記駆動信号生成手段の出力により振動を制
御する少なくとも1個以上の電気機械変換手段と、該電
気機械変換手段からの出力により減じられる振動誤差信
号を前記所定領域において検出する誤差信号検出手段
と、前記振動周期に同期するパルス信号および前記振動
誤差信号に基づき、前記駆動信号生成手段と前記誤差信
号検出手段との間に形成される振動伝達経路の伝達特性
を表現する第2のフィルタ手段と、前記誤差信号検出手
段の検出結果と前記第2のフィルタ手段から出力される
参照信号と前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数
基づいて前記振動誤差信号が最小値となるように前記第
1のフィルタ手段のフィルタ係数を更新する制御信号更
新手段とを備えた車輌用振動制御装置において、前記第
1のフィルタ手段から出力される制御信号に低騒音レベ
ルで重畳するランダム信号を生成するランダム信号生成
手段を有すると共に、前記第2のフィルタ手段が、少な
くとも無限長インパルス応答形フィルタからなる伝達特
性同定用フィルタと、少なくとも振動相殺信号及び前記
振動誤差信号に応じて算出される残差信号の頑健性を補
償した修正残差信号を生成するフィルタ手段と、前記ラ
ンダム信号生成手段から出力されるランダム信号と前記
フィルタ手段により生成された修正残差信号と前記伝達
特性同定用フィルタからの出力信号と前記伝達特性同定
用フィルタのフィルタ係数とに基づいて前記伝達特性同
定用フィルタのフィルタ係数の更新を行い、前記振動伝
達経路の伝達特性を同定するフィルタ係数更新手段とを
有しているので、演算負荷も比較的小さくて済み、低周
波領域においても短時間で振動伝達経路の伝達特性同定
を高精度に行なうことができ、より一層の振動低減化を
図ることができる。
【0053】なお、上記車輌用振動制御装置において、
少なくとも振動相殺信号及び前記振動誤差信号に応じて
算出される残差信号の頑健性を補償した修正残差信号を
生成するフィルタ手段が設けられているので、より頑健
性(ロバスト性)の優れた残差信号により、より一層の
高精度に伝達特性を同定することができる。
【0054】
【0055】
【0056】また、前記ランダム信号生成手段に代え
て、前記第1のフィルタ手段から出力される制御信号に
重畳していないランダム信号を生成するランダム信号生
成手段を有ることにより、振動伝達経路の伝達特性に
余り変化が生じないような系に対しては予め振動伝達経
路の伝達特性を同定しておくことが可能となり、かかる
場合は予め同定された伝達特性に基づいて所望の振動制
御を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの車体への取付状態と誤差信号検出手
段の配設位置を示した図である。
【図2】本発明に係る車輌用振動制御装置の一実施例を
示す全体構成図である。
【図3】振動次数を説明するためのタイムチャートであ
る。
【図4】本発明の要部詳細図である。
【符号の説明】
1 内燃エンジン(振動源) 2a 自己伸縮型エンジンマウント(電気機械変換手
段) 5a 自己伸縮型懸架装置(電気機械変換手段) 7a 自己伸縮型支持体(電気機械変換手段) 14 第1の加算器(誤差信号検出手段) 15 回転検出セン 17 D/Aコンバータ(駆動信号生成手段) 18 増幅器(駆動信号生成手段) 21 ランダム信号生成手段 25 Wフィルタ(第1のフィルタ手段) 26 SFX−LMS処理部(制御信号更新手段) 27 補正フィルタ部(第2のフィルタ手段) 29 伝達特性同定手段 30 レジスタ 34 Cフィルタ(伝達特性同定用フィルタ) 36 ESフィルタ(フィルタ手段)37 SHARF処理部(フィルタ係数更新手段) 40 電気機械変換手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−193310(JP,A) 特開 平3−204354(JP,A) 特開 平4−254894(JP,A) 特開 昭63−148709(JP,A) 特開 平4−267298(JP,A) 特開 平5−265468(JP,A) 特開 平5−333880(JP,A) 特開 平5−333883(JP,A) 実開 平4−109340(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 19/02 F16F 15/02 G10K 11/178

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車輌駆動用パワープラントを
    含む振動源に起因して車体又は車室内の少なくとも1つ
    以上の所定領域において発生する周期的または擬似周期
    的な振動に対し、該振動の周期に同期するパルス信号に
    基づき前記所定領域における振動制御により制御信号を
    出力する第1のフィルタ手段と、 前記制御信号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段
    と、 前記駆動信号生成手段の出力により振動を制御する少な
    くとも1個以上の電気機械変換手段と、 該電気機械変換手段からの出力により減じられる振動誤
    差信号を前記所定領域において検出する誤差信号検出手
    段と、前記振動周期に同期するパルス信号および前記振動誤差
    信号に基づき、 前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検
    出手段との間に形成される振動伝達経路の伝達特性を表
    現する第2のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記振動誤差信号が最小値
    となるように前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を
    更新する制御信号更新手段とを備えた車輌用振動制御装
    置において、 前記第1のフィルタ手段から出力される制御信号に低
    レベルで重畳するランダム信号を生成するランダム信
    号生成手段を有すると共に、 前記第2のフィルタ手段が、 少なくとも無限長インパルス応答形フィルタからなる伝
    達特性同定用フィルタと、少なくとも振動相殺信号及び前記振動誤差信号に応じて
    算出される残差信号の頑健性を補償した修正残差信号を
    生成するフィルタ手段と、 前記ランダム信号生成手段から出力されるランダム信号
    前記フィルタ手段により生成された修正残差信号と前
    記伝達特性同定用フィルタからの出力信号と前記伝達特
    性同定用フィルタのフィルタ係数とに基づいて前記伝達
    特性同定用フィルタのフィルタ係数の更新を行い、前記
    振動伝達経路の伝達特性を同定するフィルタ係数更新手
    とを有していることを特徴とする車輌用振動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 少なくとも車輌駆動用パワープラントを
    含む振動源に起因して車体又は車室内の少なくとも1つ
    以上の所定領域において発生する周期的または擬似周期
    的な振動に対し、該振動の周期に同期するパルス信号に
    基づき前記所定領域における振動制御により制御信号を
    出力する第1のフィルタ手段と、 前記制御信号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段
    と、 前記駆動信号生成手段の出力により振動を制御する少な
    くとも1個以上の電気機械変換手段と、 該電気機械変換手段からの出力により減じられる振動誤
    差信号を前記所定領域において検出する誤差信号検出手
    段と、前記振動周期に同期するパルス信号および前記振動誤差
    信号に基づき、 前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検
    出手段との間に形成される振動伝達経路の伝達特性を表
    現する第2のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記振動誤差信号が最小値
    となるように前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を
    更新する制御信号更新手段とを備えた車輌用振動制御装
    置において、 ランダム信号を生成するランダム信号生成手段を有する
    と共に、 前記第2のフィルタ手段が、 少なくとも無限長インパルス応答形フィルタからなる伝
    達特性同定用フィルタと、少なくとも振動相殺信号及び前記振動誤差信号に応じて
    算出される残差信号の頑健性を補償した修正残差信号を
    生成するフィルタ手段と、 前記ランダム信号生成手段から出力されるランダム信号
    前記フィルタ手段により生成された修正残差信号と前
    記伝達特性同定用フィルタからの出力信号と前記伝達特
    性同定用フィルタのフィルタ係数とに基づいて前記伝達
    特性同定用フィルタのフィルタ係数の更新を行い、前記
    振動伝達経路の伝達特性を同定するフィルタ係数更新手
    とを有していることを特徴とする車輌用振動制御装
    置。
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