JPH07239690A - 車両用能動型騒音制御装置及び車両用能動型振動制御装置 - Google Patents

車両用能動型騒音制御装置及び車両用能動型振動制御装置

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Publication number
JPH07239690A
JPH07239690A JP6030441A JP3044194A JPH07239690A JP H07239690 A JPH07239690 A JP H07239690A JP 6030441 A JP6030441 A JP 6030441A JP 3044194 A JP3044194 A JP 3044194A JP H07239690 A JPH07239690 A JP H07239690A
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JP
Japan
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noise
signal
vibration
control
reference signal
Prior art date
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Application number
JP6030441A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Aoki
弘文 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Vibration Prevention Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】適応アルゴリズムを用いた騒音低減制御,振動
低減制御における発散を検出できるようにする。 【構成】周期的な騒音に同期したインパルス列でなる基
準信号xを適応ディジタルフィルタWm でフィルタ処理
して駆動信号ym を生成する駆動信号生成部13と、基
準信号xをフィルタ処理部14でフィルタ処理した結果
と騒音の低減状態を表す残留騒音信号el とに基づきL
MSアルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタWm
のフィルタ係数を逐次更新するフィルタ係数更新部17
と、を設ける。そして、基準信号xの一周期内における
残留騒音信号el の極大値el.MAX及び極小値el.MIN
を検索し、それら極大値el.MAX 及び極小値el.MIN
出現間隔Δtl 及び差ΔEl に基づいて制御の発散を判
定することとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジン等の騒音源
から車室内に伝達される周期的な騒音又は車体を伝搬す
る周期的な振動に、制御音又は制御振動を干渉させるこ
とにより騒音又は振動の低減を図る車両用能動型騒音制
御装置及び車両用能動型振動制御装置に関し、特に、騒
音又は振動の発生状態を表す基準信号を適応ディジタル
フィルタでフィルタ処理して制御音源又は制御振動源を
駆動する駆動信号を生成する一方で、適応アルゴリズム
に従って適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を逐次
更新するようにした装置において、制御の発散状態を確
実に検出して安定した騒音低減制御及び振動低減制御が
実行されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型騒音制御装置として、英国
特許第2149614号や特表平1−501344号に
記載のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室
やこれに類する閉空間に適用される騒音低減装置であっ
て、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音源
は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む騒
音を発生するという条件の下において作動するものであ
る。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0
n 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANCELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新している。
【0006】さらに、その他の従来の能動型騒音制御装
置として、“日本音響学会講演論文集 平成4年3月”
の515〜516頁に記載されたものがあり、この従来
の技術は、同期式Filtered−X LMSアルゴ
リズムと呼ばれていて、騒音の発生状態を表す基準信号
として、騒音の基本周波数に同期したインパルス列を適
用した点に特徴がある。即ち、かかる従来の装置にあっ
ては、基準信号がインパルス列であるため、乗算が不要
となり、加算のみで畳み込み演算が行える、場合によっ
ては加算も不要となるから、演算量の大幅な低減が図ら
れ、処理が高速で行えるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】確かに上述した同期式
Filtered−X LMSアルゴリズムを適用した
能動型騒音制御装置によれば処理が高速で行えるという
優れた利点を有しているが、基準信号として用いる騒音
の基本周波数に同期したインパルス列自体が多くの周波
数成分を有しているのに、駆動信号を生成する過程にお
いて特定の周波数に制御対象を絞るという演算処理を実
行するものではなかったため、いわゆる高次発散を招き
易いという問題点を有していた。
【0008】即ち、偶発的な外乱や制御対象系の非線形
性による高調波が制御系に入り込んでしまうと、基準信
号としてのインパルス列が多くの周波数成分を持ってい
るため、その高調波成分が適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数の更新に影響を与えてしまい、適応ディジタ
ルフィルタにおける基準信号の高調波成分のレベルが増
大し、その高調波成分が駆動信号に表れてしまう。する
と、実際には発生していない或いは低レベルの高調波騒
音を低減するために、高調波の制御音も発生してしまう
のである。この結果、基本周波数における騒音低減効果
は得られるものの、その制御音内の高調波成分がほとん
どそのまま残留騒音信号に含まれた状態で適応処理手段
に取り込まれ、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
がその高次の残留騒音を低減する方向に成長し、駆動信
号内の高次の周波数成分がさらに増大する、という悪循
環によって高調波成分で増音状態となるいわゆる高次発
散を招き、全体としては制御効果が低下してしまう場合
があったのである。
【0009】そして、従来の能動型騒音制御装置,能動
型振動制御装置にあっては、上記のような高次発散を検
出する手段を有していなかったため、制御の発散を初期
の段階で検出して適切な処置を行うことができず、発散
状態がある程度持続してから例えば騒音低減制御を停止
する等の処置を行っていたので、例えば車両であれば乗
員等に不快感を与えてしまうという未解決の課題を有し
ていた。
【0010】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、制御の
発散を確実に検出することができる車両用能動型騒音制
御装置,車両用能動型振動制御装置を提供することを目
的としている。また、本発明は、簡易な演算処理で発散
を検出することができる車両用能動型騒音制御装置,車
両用能動型振動制御装置を提供することも目的としてい
る。
【0011】さらに、本発明は、制御の発散に対して適
切な処置を行える車両用能動型騒音制御装置,車両用能
動型振動制御装置を提供することも目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明である車両用能動型騒音制御装
置は、騒音源から発せられて車室内に伝達される周期的
な騒音と干渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記
騒音源の騒音発生状態を検出し前記周期的な騒音と同じ
周期のインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号
生成手段と、前記干渉後の騒音を検出して残留騒音信号
として出力する残留騒音検出手段と、フィルタ係数可変
の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を前記適応
ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制御音源を
駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記
基準信号及び前記残留騒音信号に基づき前記車室内の騒
音が低減するように適応アルゴリズムに従って前記適応
ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理
手段と、前記残留騒音信号又は前記駆動信号から前記基
準信号の周波数を基本周波数とした場合の高調波成分を
抽出する高調波成分抽出手段と、前記高調波成分の大き
さに基づいて制御が発散しているか否かを判定する発散
判定手段と、を備えた。
【0013】一方、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明である車両用能動型騒音制御装置は、騒音
源から発せられて車室内に伝達される周期的な騒音と干
渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒
音発生状態を検出し前記周期的な騒音と同じ周期のイン
パルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段
と、前記干渉後の騒音を検出して残留騒音信号として出
力する残留騒音検出手段と、フィルタ係数可変の適応デ
ィジタルフィルタと、前記基準信号を前記適応ディジタ
ルフィルタでフィルタ処理して前記制御音源を駆動する
駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号
及び前記残留騒音信号に基づき前記車室内の騒音が低減
するように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
前記基準信号の一周期内における前記残留騒音信号又は
前記駆動信号の極大値及び極小値を検出する極値検出手
段と、前記極大値及び前記極小値の出現間隔を求める出
現間隔検出手段と、前記極大値及び前記極小値の差を演
算する極値差演算手段と、前記出現間隔及び前記差に基
づいて制御が発散しているか否かを判定する発散判定手
段と、を備えた。
【0014】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
2に係る発明において、前記発散判定手段は、前記出現
間隔が所定間隔よりも狭く且つ前記差が所定値よりも大
きいときに制御が発散していると判定することとした。
そして、請求項4に係る発明は、上記請求項2又は請求
項3に係る発明において、前記駆動信号生成手段を、前
記基準信号の最新のインパルスが生成された時点から所
定のサンプリング・クロックの間隔で前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を順番に前記駆動信号として
出力する手段で構成し、前記出現間隔検出手段は、前記
極大値及び前記極小値のそれぞれに対応する前記適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数の順位に基づいて前記
出現間隔を求めるものとした。
【0015】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項1乃至請求項4に係る発明において、前記発散判定手
段によって制御が発散していると判定された場合に制御
の発散を抑制又は解消する処理を実行する発散抑制解消
手段を設けた。上記目的を達成するために、請求項6に
係る発明である車両用能動型振動制御装置は、振動源か
ら発せられて車体を伝搬する周期的な振動と干渉する制
御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
生状態を検出し前記周期的な振動と同じ周期のインパル
ス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前
記干渉後の振動を検出して残留振動信号として出力する
残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタ
ルフィルタと、前記基準信号を前記適応ディジタルフィ
ルタでフィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動
信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び
前記残留振動信号に基づき前記干渉後の振動が低減する
ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、前記
残留振動信号又は前記駆動信号から前記基準信号の周波
数を基本周波数とした場合の高調波成分を抽出する高調
波成分抽出手段と、前記高調波成分の大きさに基づいて
制御が発散しているか否かを判定する発散判定手段と、
を備えた。
【0016】一方、上記目的を達成するために、請求項
7に係る発明である車両用能動型振動制御装置は、振動
源から発せられて車体を伝搬する周期的な振動と干渉す
る制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振
動発生状態を検出し前記周期的な振動と同じ周期のイン
パルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段
と、前記干渉後の振動を検出して残留振動信号として出
力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応デ
ィジタルフィルタと、前記基準信号を前記適応ディジタ
ルフィルタでフィルタ処理して前記制御振動源を駆動す
る駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信
号及び前記残留振動信号に基づき前記干渉後の振動が低
減するように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段
と、前記基準信号の一周期内における前記残留振動信号
又は前記駆動信号の極大値及び極小値を検出する極値検
出手段と、前記極大値及び前記極小値の出現間隔を求め
る出現間隔検出手段と、前記極大値及び前記極小値の差
を演算する極値差演算手段と、前記出現間隔及び前記差
に基づいて制御が発散しているか否かを判定する発散判
定手段と、を備えた。
【0017】また、請求項8に係る発明は、上記請求項
7に係る発明において、前記発散判定手段は、前記出現
間隔が所定間隔よりも狭く且つ前記差が所定値よりも大
きいときに制御が発散していると判定することとした。
そして、請求項9に係る発明は、上記請求項7又は請求
項8に係る発明において、前記駆動信号生成手段を、前
記基準信号の最新のインパルスが生成された時点から所
定のサンプリング・クロックの間隔で前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を順番に前記駆動信号として
出力する手段で構成し、前記出現間隔検出手段は、前記
極大値及び前記極小値のそれぞれに対応する前記適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数の順位に基づいて前記
出現間隔を求めるものとした。
【0018】さらに、請求項10に係る発明は、上記請
求項6乃至請求項9に係る発明において、前記発散判定
手段によって制御が発散していると判定された場合に制
御の発散を抑制又は解消する処理を実行する発散抑制解
消手段を設けた。
【0019】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、基準信号生成
手段によって周期的な振動と同じ周期のインパルス列で
なる基準信号が生成され、駆動信号生成手段によってそ
の基準信号を適応ディジタルフィルタでフィルタ処理す
ることにより駆動信号が生成され、その駆動信号によっ
て制御音源が駆動されるから、車室内には、騒音の発生
状態に応じた制御音が発することになる。
【0020】しかし、制御開始直後は、適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数が最適値に収束しているとは限
らないので、騒音源から発せられ車室内に伝達された騒
音が制御音によって打ち消されるとは必ずしも言えない
が、適応処理手段によって、適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数が、騒音の発生状態を表す基準信号及び騒
音の低減状態を表す残留騒音信号に基づいて適応アルゴ
リズムに従って逐次更新されるため、制御が進み適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数がある程度収束した後
には、制御音源から発せられる制御音によって騒音が打
ち消され、車室内の騒音レベルが低減する。
【0021】そして、高調波成分抽出手段によって、残
留騒音信号又は駆動信号から基準信号の周波数を基本周
波数とした場合の高調波成分が抽出されるが、上述した
ような高次発散が生じている場合には、残留騒音信号や
駆動信号の上記高調波成分のレベルが過大になっている
はずであるから、逆に、その高調波成分を監視すれば制
御の発散が検出されることになる。そこで、発散判定手
段において、高調波成分抽出手段によって抽出された高
調波成分の大きさに基づくことにより、制御が発散して
いるか否かが判定される。
【0022】次に、請求項2に係る発明にあっては、基
本的な作用は上記請求項1に係る発明と同様であり、制
御が進み適応ディジタルフィルタのフィルタ係数がある
程度収束した後には、制御音源から発せられる制御音に
よって騒音が打ち消され、車室内の騒音レベルが低減す
る。そして、この請求項2に係る発明にあっては、極値
検出手段によって、基準信号の一周期内における(つま
り、インパルス列のうちの二つのインパルス間におけ
る)残留騒音信号又は駆動信号の極大値及び極小値が検
出されると、それら極大値及び極小値の出現間隔が、出
現間隔検出手段によって検出され、それら極大値及び極
小値の差が、極値差演算手段によって演算される。
【0023】ここで、極大値及び極小値は、残留騒音信
号波形又は駆動信号波形の山又は谷に対応するから、上
述したような高次発散が生じていなければ、極大値及び
極小値の出現間隔は、発生している騒音の周期(=基準
信号の周期(インパルスの間隔))の1/2に一致する
はずであるが、高次発散が生じている状況では、極大値
及び極小値の出現間隔は、発生している騒音の周期の1
/4,1/8,…,となるはずである。また、高次発散
が悪化すればするほど、それら極大値及び極小値の差は
大きくなるはずである。つまり、これら極大値及び極小
値は、基準信号の周波数を基本周波数とした場合におけ
る、残留騒音信号又は駆動信号の高調波成分を表すこと
になる。
【0024】よって、発散判定手段において、上記出現
間隔及び差に基づくことにより、制御が発散しているか
否かが判定される。特に、請求項3に係る発明にあって
は、発散判定手段において、上記出現間隔が所定間隔よ
りも狭く且つ上記差が所定値よりも大きいときに制御が
発散していると判定されるから、それら所定間隔及び所
定値を予め設定しておけば、或いは実際の基準信号の周
期に基づいて所定間隔を設定し、制御開始前の車室内の
騒音レベルに基づいて所定値を設定すれば、制御の発散
が容易に検出される。
【0025】そして、これら請求項2又は請求項3に係
る発明であれば、基準信号の周波数を基本周波数とした
場合における残留騒音信号又は駆動信号の高調波成分を
例えばフィルタ処理等により直接求めるのではなく、基
準信号の一周期内の極大値及び極小値を求めて高調波成
分のうち必要な情報のみを抽出するようにしているた
め、フィルタ処理のような比較的面倒な演算処理が不要
となり、演算処理が非常に簡易となる。
【0026】ここで、駆動信号生成手段は、基準信号を
適応ディジタルフィルタでフィルタ処理することにより
駆動信号を生成するのであり、ディジタル領域ではフィ
ルタ処理は畳み込み演算となるため、駆動信号は、基準
信号と適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数とを畳
み込むことにより求められる。しかし、基準信号が振動
波形の所定点(例えば、周期の始点)においてのみ値
“1”を有するインパルス列であるから、畳み込み演算
の際の乗算は不要であるし、適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数は可変であって適応アルゴリズムに従って
逐次更新されるから、畳み込み演算の際の加算を省略し
てもそれを補うようにフィルタ係数が更新される。従っ
て、その適応ディジタルフィルタのフィルタ係数をその
まま駆動信号として出力しても、実質的には、基準信号
と適応ディジタルフィルタのフィルタ係数とを畳み込ん
で生成された駆動信号を出力することと同じ結果にな
る。
【0027】つまり、請求項4に係る発明のように、駆
動信号生成手段が、基準信号の最新のインパルスが生成
された時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆動信
号として出力しても、上記請求項2,請求項3に係る発
明と同様の作用が得られる。そして、極値検出手段が、
残留騒音信号の極大値及び極小値を求めるようになって
いれば、その残留騒音信号に基づいて適応処理手段が適
応ディジタルフィルタの各フィルタ係数を更新すること
から、ディジタル領域にあっては、適応ディジタルフィ
ルタの一のフィルタ係数に対応して一の残留騒音信号が
存在する。また、極値検出手段が、駆動信号の極大値及
び極小値を求めるようになっていれば、駆動信号は適応
ディジタルフィルタのフィルタ係数であることから、デ
ィジタル領域では、適応ディジタルフィルタの一のフィ
ルタ係数と一の駆動信号とが対応する。
【0028】いずれにしても、極大値としての残留騒音
信号又は駆動信号と、適応ディジタルフィルタの各フィ
ルタ係数の内の一つが対応し、極小値としての残留騒音
信号又は駆動信号と、適応ディジタルフィルタの各フィ
ルタ係数の内の他の一つが対応することになり、しか
も、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数は順番に
駆動信号として出力されるから、例えば、極大値,極小
値に対応する二つのフィルタ係数の順位の差にサンプリ
ング・クロックの間隔を乗じれば、実時間における極大
値及び極小値の出現間隔が求められるし、サンプリング
・クロックの間隔を単位時間と考えれば、その二つのフ
ィルタ係数の順位の差がそのまま極大値及び極小値の出
現間隔となる。
【0029】以上から、この請求項4に係る発明のよう
に、出現間隔検出手段において、そのような二つのフィ
ルタ係数の順位に基づくことにより、極大値及び極小値
の出現間隔が求められる。しかも、フィルタ係数の順位
はフィルタ係数に付されている番号そのものであるか
ら、極大値及び極小値の出現間隔は、非常に簡易に求め
られる。
【0030】さらに、請求項5に係る発明にあっては、
発散抑制解消手段が、発散判定手段が制御が発散してい
ると判定した場合に制御の発散を抑制又は解消する処理
を実行するから、制御が発散傾向になったとしても、そ
れが悪化する前に抑制又は解消される。かかる発散抑制
解消手段における具体的な処理の内容としては、種々の
ものが考えられるが、制御内容の複雑化を回避しつつ確
実な効果を得るためには、適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数を初期値(例えば、全て“0”)にリセット
することが最も得策である。
【0031】ここで、上記請求項1乃至請求項5に係る
発明はいずれも騒音を対象としているのに対し請求項6
乃至請求項10に係る発明は振動を対象としている。従
って、それら請求項6乃至請求項10に係る発明の作用
は、音と振動との違いはあるが、実質的に上記請求項1
乃至請求項5に係る発明と同様であり、上記作用の説明
において音(騒音)という表現を振動に置き換えて考え
ればよい。
【0032】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の一実施例の全体構成を示す図
であり、この実施例は、騒音源としてのエンジン4から
車室6内に伝達される周期的な騒音としてのこもり音の
低減を図る車両用能動型騒音制御装置1に本発明を適用
したものである。
【0033】先ず、構成を説明すると、車体3は、前輪
2a,2b,後輪2c,2d及び各車輪2a〜2dと車
体3との間に介在するサスペンションによって支持され
ている。なお、図1に示す車両は、前輪2a及び2bが
車体3前部に配置されたエンジン4によって回転駆動さ
れるいわゆる前置きエンジン前輪駆動車である。エンジ
ン4には、クランク角センサ5が取り付けられていて、
このクランク角センサ5は、エンジン4のクランク角の
回転に同期したクランク角信号Xをコントローラ10に
供給するようになっている。
【0034】また、車体3の車室6内には、制御音源と
してのラウドスピーカ7a,7b,7c及び7dが、前
部座席S1 ,S2 及び後部座席S3 ,S4 のそれぞれに
対向するドア部に配置されている。さらに、各座席S1
〜S4 のヘッドレスト位置には、残留騒音検出手段とし
てのマイクロフォン8a〜8hが、それぞれ二つずつ配
設されていて、これらマイクロフォン8a〜8hが音圧
として測定した残留騒音信号e1 〜e8 が、コントロー
ラ10に供給されるようになっている。
【0035】そして、コントローラ10は、実際にはマ
イクロコンピュータや必要なインタフェース回路等を含
んで構成されていて、クランク角センサ5から供給され
るクランク角信号Xと、マイクロフォン8a〜8hから
供給される残留騒音信号el(e1 〜e8 )とに基づい
て、後述する演算処理を実行し、車室6内に伝達される
こもり音を打ち消すような制御音がラウドスピーカ7a
〜7dから発せられるように、それらラウドスピーカ7
a〜7dに駆動信号ym (y1 〜y4 )を出力するよう
になってる。
【0036】具体的には、コントローラ10において
は、上述した同期式Filtered−X LMSアル
ゴリズムが実行されるようになっていて、実際にはプロ
グラムとして実現されるコントローラ10の各機能構成
を示すブロック図である図2に示すように、このコント
ローラ10は、クランク角信号Xに基づき、こもり音の
原因となるエンジン4で発生する振動と同じ周期のイン
パルス列(例えば、レシプロ4気筒の場合は、1/2回
転する度に一つの、6気筒の場合には2/3回転する度
に一つのインパルス)でなる基準信号xを生成し出力す
る基準信号生成部11と、フィルタ係数可変であって、
ラウドスピーカ7a〜7dに対応した個数(M個:本実
施例では、M=4)の適応ディジタルフィルタWm (m
=1〜M)と、基準信号xと適応ディジタルフィルタW
m の各フィルタ係数Wmi(i=0,1,2,…,I:I
は適応ディジタルフィルタWm を構成するフィルタ係数
の個数(タップ数))とを畳み込んで駆動信号ym を生
成し出力する駆動信号生成部13と、基準信号xと後述
する補正伝達関数フィルタΣC^lmの各フィルタ係数Σ
C^lmj とを畳み込んで基準処理信号rlmを生成し出力
する基準処理信号生成部14と、基準処理信号rlm及び
残留騒音信号e1 〜e8 に基づいて車室6内のこもり音
が低減するように駆動信号生成部13内の適応ディジタ
ルフィルタWmの各フィルタ係数Wmiを更新するフィル
タ係数更新部17と、を有している。
【0037】なお、駆動信号生成部13において生成さ
れる駆動信号ym の演算式は、理論的には、 となるが、基準信号x(n)は「n=1」においてのみ
値“1”を有するから、畳み込み演算の際の乗算は不要
であり、適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数
miは可変であってLMSアルゴリズムに従って逐次更
新されるようになっているから、加算を省略してもそれ
を補うように適応ディジタルフィルタWmのフィルタ係
数Wmiは更新される。そこで、本実施例では、駆動信号
生成部13は、適応ディジタルフィルタWm の各フィル
タ係数Wmiを、基準信号xの最新のインパルスが生成さ
れた時点から、後述するクロックパルスCP に同期して
順番に駆動信号ym として出力することとし、上記
(1)式で表される畳み込み演算を省略することとして
いる。なお、基準信号x等において(n)が付されてい
る項は、サンプリング時刻nにおける値であることを表
している。
【0038】また、基準処理信号生成部14において演
算される基準処理信号rlmも、理論的には、基準信号x
と伝達関数フィルタC^lmの各フィルタ係数C^lmj
を畳み込むことにより求められるが、本実施例では、同
期式Filtered−XLMSアルゴリズムを適用し
た結果、基準信号xがインパルス列であるため、伝達関
数フィルタC^lmのインパルス応答を基準信号xの入力
タイミングに同期して次々と生成した場合のそれらイン
パルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和に一致
する。
【0039】一方、フィルタ係数更新部17は、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適な
アルゴリズムの一つであるLMSアルゴリズムに従っ
て、適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数Wmi
を逐次更新するようになっている。また、コントローラ
10は、基準信号xの最新のインパルスが生成された時
点から一定時間間隔でクロックパルスCP を生成し出力
するクロックパルス生成部19を有しており、コントロ
ーラ10内の各処理は、基本的にはそのクロックパルス
P に同期して実行されることになる。このクロックパ
ルスCP が、本発明の所定のサンプリング・クロックに
対応する。
【0040】さらに、コントローラ10は、基準信号x
の一周期内(一つ前のインパルスが生成されてから、最
新のインパルスが生成されるまでの間)における残留騒
音信号el の極大値el.MAX 及び極小値el.MIN を検索
する極値検索部20と、極大値el.MAX 及び極小値e
l.MIN の出現間隔Δtl を求める出現間隔検出部21
と、極大値el.MAX 及び極小値el.MIN の差ΔEl (=
|el.MAX −el.MIN |)を演算する極値差演算部22
と、出現間隔Δtl 及び差ΔEl に基づいて制御が発散
しているか否かを判定する発散判定部23と、この発散
判定部23によって制御が発散していると判定された場
合に適応ディジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmi
初期値“0”にリセットするフィルタ係数リセット部2
4と、を備えている。
【0041】これらの内、極値検索部20は、時刻nに
おける残留騒音信号el (n)と、1サンプリング前の
残留騒音信号el (n−1)との差Δel (=e
l (n)−el (n−1))を演算するとともに、差Δ
l が正から負へ転じた場合の残留騒音信号el (n)
を極大値el.MAX とし、逆に負から正へ転じた場合の残
留騒音信号el (n)を極小値el.MIN とするようにな
っている。
【0042】また、出現間隔検出部21は、それら極大
値el.MAX 及び極小値el.MIN の出現した時間差を求め
るのであるから、単純に考えれば、極大値el.MAX とし
ての残留騒音信号el (n)が入力された時刻(若しく
は、極小値el.MIN としての残留騒音信号el (n)が
入力された時刻)から、極小値el.MIN としての残留騒
音信号el (n)が入力された時刻(若しくは、極大値
l.MAX としての残留騒音信号el (n)が入力された
時刻)までの経過時間を計測すればよい。
【0043】しかし、残留騒音信号el (n)は適応デ
ィジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの更新処理の
際に読み込まれるのであり、そのフィルタ係数Wmiはク
ロックパルスCP に同期して駆動信号ym として出力さ
れるのであるからその出力間隔は既知であるから、極大
値el.MAX としての残留騒音信号el (n)に対応する
フィルタ係数Wmiの順位iと、極小値el.MIN としての
残留騒音信号el (n)に対応するフィルタ係数Wmi
順位iとの差をそのまま出現間隔Δtとすることができ
るから、本実施例では、それら順位iに基づいて出現間
隔Δtl を求めることとしている。
【0044】なお、基準信号xの一周期内に極値が4つ
以上存在することがあり、その場合には、出現間隔演算
部21は、隣合った極大値el.MAX 及び極小値el.MIN
の出現間隔Δtl を演算するようになっている。そし
て、発散判定部23は、出現間隔検出部21で求められ
た出現間隔Δtlが所定間隔Δt0 以下であるか否かを
判定し、所定間隔Δt0 以下である場合には残留騒音信
号el に高次発散の兆候が表れたと判断するようになっ
ている。
【0045】ここで、所定間隔Δt0 は、残留騒音信号
l に、基準信号xの周波数を基本周波数と考えた場合
の高調波成分が表れているか否かを判断できる値とする
必要がある。つまり、基準信号xの周波数の2倍,3
倍,4倍,…,の周波数の成分が高調波成分であり、例
えばレシプロ4気筒エンジンの場合にはこもり音の周期
はクランク軸の1/2回転に同期することから、所定間
隔Δt0 は、クランク軸が1/4回転するために必要な
時間となる。従って、基準信号xの周期の1/2が所定
間隔Δt0 となるから、本実施例では、基準信号xの入
力間隔に基づいて所定間隔Δt0 を演算して発散判定部
23に供給する所定間隔演算部25を設けている。
【0046】さらに、発散判定部23は、出現間隔Δt
l 及び所定間隔Δt0 を比較することにより高次発散の
兆候が表れたと判断した場合には、差ΔEl が所定値Δ
0よりも大きいか否かを判定するようになっていて、
大きいと判定された場合に発散が発生していると判断す
るようになっている。なお、ここでは、乗員に不快感を
与える発散を検出できればよいのであるから、所定値Δ
0 は、例えば車室6内において不快感が生じない程度
の許容値を基準に定めればよい。
【0047】図3は、コントローラ10内で実行される
処理の概要を示したフローチャートであり、以下、本実
施例の動作を説明する。即ち、図3は、基準信号x及び
クロックパルスCP に同期して実行される騒音低減制御
の概要を示していて、インパルス列でなる基準信号xに
同期して1サイクルの処理が実行されるとともに、その
基準信号xが生成された時点を起点として発信が開始さ
れる一定時間間隔のクロックパルスCP に同期して1サ
ンプリングの処理が実行されるようになっている。
【0048】先ず、そのステップ101において制御に
必要な各パラメータの初期値の設定をするとともに、ス
テップ102において所定の記憶領域に格納されている
伝達関数フィルタC^lmの各フィルタ係数C^lmj を読
み込む。次いで、ステップ103に移行して、フィルタ
のタップカウンタ変数iを零クリアする。このステップ
103以降の処理が1サイクルの処理である。
【0049】そして、ステップ104に移行し、各マイ
クロフォン8a〜8hから供給される残留騒音信号el
を読み込む。次いで、ステップ105に移行し、現時点
まで応答波形が届いている伝達関数フィルタC^lmのイ
ンパルス応答を足し合わせて基準処理信号rlmを演算す
る。ここで、基準信号x,駆動信号ym ,伝達関数フィ
ルタC^lm及び基準処理信号rlmの各波形の関係を図4
に示しているが、説明を判り易くするために、伝達関数
フィルタC^lmの過去のインパルス応答は、一周期前の
応答だけが現時点まで継続しているとしている。
【0050】即ち、このステップ105においては、伝
達関数フィルタC^lmの各フィルタ係数C^lmj を適宜
足し合わせて基準処理信号rlmを演算することになる
が、これは、基準信号xがインパルス列であり個々のイ
ンパルスによる伝達関数フィルタC^lmの応答はその伝
達関数フィルタC^lmの各フィルタ係数C^lmj に等し
い(つまり、畳み込み演算の際の乗算が不要であるこ
と)から、基準信号xを乗じることなくフィルタ係数を
加算してもなんら不都合はないからである。
【0051】そして、ステップ106に移行し、駆動信
号ym を生成する。本来ならば、基準信号xと適応ディ
ジタルフィルタWm の各フィルタ係数Wmiとを畳み込む
ことにより駆動信号ym を演算するのであるが、上述し
たように、本実施例では、適応ディジタルフィルタWm
のフィルタ係数Wmiをそのまま駆動信号ym として用い
ることとしているため、タップカウンタ変数iに対応す
るフィルタ係数Wmiがそのまま駆動信号ym となり、ス
テップ107において、その駆動信号ym が対応する各
ラウドスピーカ7a〜7dに出力される。
【0052】次いで、ステップ108に移行し、タップ
カウンタ変数jを零クリアしたのちに、ステップ109
に移行し、LMSアルゴリズムに基づいた下記の(2)
式で表される更新式に従って、適応ディジタルフィルタ
m の各フィルタ係数Wmjを更新する。なお、αは収束
係数である。 タップカウンタ変数jに対応するフィルタ係数Wmjの更
新を終えたら、取り合えずステップ110に移行し、基
準信号xの新たなインパルスが生成されているか否かを
判定し、ここで未だ生成されていないと判定された場合
には、ステップ111に移行する。ステップ111で
は、タップカウンタ変数jが適応ディジタルフィルタW
m のタップ数I(正確には、タップカウンタ変数jが0
からカウントされるため、タップ数Iから1を引いた
数)に達したか否かを判定し、達していない場合にはス
テップ112に移行してタップカウンタ変数jをインク
リメントした後に、ステップ109に戻って上述した処
理を繰り返し実行する。
【0053】一方、ステップ111の判定が「YES」
となった場合には、ステップ113に移行して、現時刻
nの残留騒音信号el (n)から、1サンプリング前の
残留騒音信号el (n−1)を差し引いて差Δel を演
算する。そして、前回の処理で求めた差Δel と今回の
処理で求めた差Δel との極性を比較し、極性が同じで
あればそのまま次の処理に移行するが、極性が正から負
に変化している場合には、その時の残留騒音信号e
l (n)を極大値el.MAX として記憶し、且つ、その時
のタップカウンタ変数iを極大値出現順位iMAX として
記憶する一方、極性が負から正に変化している場合に
は、その時の残留騒音信号el (n)を極小値el.MIN
として記憶し、且つ、その時のタップカウンタ変数iを
極小値出現順位iMIN として記憶する。
【0054】次いで、ステップ114に移行し、次のク
ロックパルスCP が入力されるまで待機した後に、ステ
ップ115に移行し、タップカウンタ変数iをインクリ
メントしてからステップ104に戻り、上述した処理を
繰り返し実行する。そして、基準信号xの新たなインパ
ルスが生成されると、1サイクルの処理が終了すると同
時に、新たなサイクルの処理が開始される。
【0055】具体的には、ステップ110の判定が「Y
ES」となるから、ステップ116に移行し、タップカ
ウンタ変数iの値(正確には、タップカウンタ変数iが
0からカウントされるため、それに1を加えた数)を、
適応ディジタルフィルタWmのタップ数Iとして記憶す
る。次いで、ステップ117に移行して、極大値出現順
位iMAX と極小値出現時刻iMIN との差である出現間隔
Δtl を演算し、次いでステップ118に移行して、ス
テップ113の処理で求められた極大値el.MAX 及び極
小値el.MIN の差ΔEl を演算する。
【0056】次いで、ステップ119に移行し、基準信
号xの一つ前のインパルスが生成されてから最新のイン
パルスが生成されるまでの間隔に基づいて、所定間隔Δ
0を演算する。そして、その時点の適応ディジタルフ
ィルタWm のタップ数Iが最新の基準信号xの周期を表
しているから、タップ数Iに基づいて所定間隔Δt0
設定すれば、時間計測等も不要になるから非常に簡易な
演算で最適な所定間隔Δt0 を設定することができる。
具体的には、基準信号xの周期の最も低次の高調波成分
の周期を基準とすれば高次発散の発生は検出できること
から、所定間隔Δt0 は、タップ数Iの1/4となる。
【0057】そして、所定間隔Δt0 が演算されたら、
ステップ120に移行し、出現間隔Δtl が所定間隔Δ
0 以下であるか否かを判定し、この判定が「YES」
の場合には、ステップ121に移行して、差ΔEl が所
定値ΔE0 よりも大きいか否かを判定し、そして、その
ステップ121の判定が「YES」の場合には、乗員に
不快感を与えるおそれのある発散状態に陥っていると判
断して、ステップ122に移行して、適応ディジタルフ
ィルタWm の各フィルタ係数Wmiを値“0”にリセット
してから、ステップ123に移行する。なお、ステップ
120又はステップ121の判定が「NO」の場合に
は、ステップ122に移行することなく、ステップ12
3に移行する。
【0058】ステップ123では、クロックパルスCP
をリセットして再び最初からクロックパルスCP の発信
を行い、その後にステップ103に戻って上述した処理
を繰り返し実行する。即ち、図3に示す処理を繰り返し
実行すると、1サンプリング処理毎にステップ107で
駆動信号ym が対応する各ラウドスピーカ7a〜7dに
出力されるため、それらラウドスピーカ7a〜7dから
駆動信号ym に応じた制御音が車室6内に発せられる
が、制御開始直後は、適応ディジタルフィルタWm の各
フィルタ係数Wmiが最適値に収束しているとは限らない
ので、必ずしも車室6内に伝達されるこもり音が低減さ
れるとはいえない。
【0059】しかし、駆動信号ym の出力と並行して、
ステップ108〜112の処理によって適応ディジタル
フィルタWm の各フィルタ係数Wmjが上記(2)式に従
って適宜更新されるため、ある程度の回数、制御が繰り
返し実行されれば、適応ディジタルフィルタWm の各フ
ィルタ係数Wmiは最適値に収束することになる。この結
果、ラウドスピーカ7a〜7dから発せられる制御音と
車室6内に伝達されるこもり音とが干渉するようにな
り、車室6内の騒音が低減される。
【0060】今、特に制御が不安定な状態でなく、高次
発散の兆候が見られない場合であるとする。かかる場合
にも、適応ディジタルフィルタWの全てのフィルタ係数
miの更新が完了しステップ111の判定が「YES」
となると、ステップ113の処理を経てからステップ1
14に以降の処理が実行されるため、極大値el.MAX
び極小値el.MIN が検索されることになる。
【0061】そして、基準信号xの新たなインパルスが
入力されると、ステップ110の判定が「YES」とな
り、ステップ116に次いでステップ117,118,
119の処理が実行され、出現間隔Δtl ,差ΔEl
び所定間隔Δt0 が演算される。しかし、今は高次発散
の兆候が見られない状況であるから、残留騒音信号el
の主成分はこもり音であり、その周期は基準信号xの周
期に一致する。つまり、極大値el.MAX 及び極小値e
l.MIN の出現間隔Δtl は、基準信号xの周期(タップ
数I)の1/2に一致又は略一致する。
【0062】すると、所定間隔Δt0 はステップ119
においてタップ数Iの1/4に設定されているから、ス
テップ120の判定は「NO」となり、適応ディジタル
フィルタWm のフィルタ係数Wmiをリセットする処理を
実行することなく、直接ステップ123に移行し、その
後にステップ103に移行して次のサイクルの処理が開
始する。
【0063】次に、やや不安定な状態にある時に何らか
の外乱が加わったとき(例えば、マイクロフォン8a〜
8hがこもり音以外の騒音を高いレベルで測定した場
合)等に、基準信号xがインパルス列であることから多
くの周波数成分を含んでいるため、適応ディジタルフィ
ルタWm のフィルタ係数Wmiが基準信号xの高調波成分
を重畳した形に成長し、駆動信号yにその高調波が表
れ、その高調波成分のほとんどが残留騒音信号el に取
り込まれて適応ディジタルフィルタWm のフィルタ係数
miの更新処理に用いられ、さらに適応ディジタルフィ
ルタWm のフィルタ係数Wmiが基準信号xの高調波成分
を重畳した形に成長する、という悪循環を経て発散に至
る過程にある場合を考える。ここで、発散状態に陥った
場合の基準信号x,駆動信号ym 及び残留騒音信号el
の各波形の一例を図5に示す。
【0064】このように発散に至る過程にあっては、極
大値el.MAX 及び極小値el.MIN の出現間隔Δtl が安
定状態にある場合に比べて狭くなる。より具体的には、
クランク軸の4次回転成分以上の高次成分が残留騒音信
号el に表れるため、出現間隔Δtl は、タップ数Iの
1/4以下になる。すると、ステップ120の判定が
「YES」となるため、ステップ121に移行するが、
発散の初期段階では、残留騒音信号el に含まれる高調
波成分のレベルは乗員に不快感を与えない程度に低いの
でステップ121の判定は「NO」となり、やはりステ
ップ122の処理は実行せずにステップ123に移行す
る。
【0065】そして、この時点で発散現象が進まなけれ
ばステップ121の判定は「NO」のままであるし、発
散現象が弱まればステップ120の判定も再び「NO」
となるから、上記安定状態の場合と同様に処理が流れる
ようになる。しかし、発散現象がさらに強まると、残留
騒音信号el の高調波成分がさらに成長していくため、
ある時点でステップ121の判定が「YES」となり、
ステップ122に移行し、ここで適応ディジタルフィル
タWm の各フィルタ係数Wmiを値“0”にリセットして
から、ステップ123を経て次のサイクルの処理が開始
される。
【0066】即ち、ステップ122の処理が実行される
と、その直後は適応ディジタルフィルタWm の各フィル
タ係数Wmiが値“0”であるため、駆動信号ym の大き
さも“0”となり、その駆動信号ym がラウドスピーカ
7a〜7dに供給されても制御音は発生しない。する
と、各マイクロフォン8a〜8hは制御音によって打ち
消されていない純粋なこもり音を測定することになるか
ら、残留騒音信号el はこもり音の成分を主成分とした
周期的な信号となり、この時点で、高次発散を招いてい
た悪循環が断ち切られることになる。その後は、コント
ローラ10に電源が投入された直後と同様に適応ディジ
タルフィルタWm の各フィルタ係数Wmiが徐々に成長し
ていくから、ある程度収束するまではこもり音の低減効
果は得られないが、ある程度収束した後は制御音によっ
てこもり音が打ち消され、車室6内の騒音レベルが低減
する。
【0067】このように、本実施例であれば、乗員に不
快感を与える程度に制御が発散していることを検出する
ことができるから、制御が本格的な発散に至る前に的確
なタイミングで適応ディジタルフィルタWm のフィルタ
係数Wmiをリセットして発散現象を解消することがで
き、それ以上発散現象の悪化を抑制することができるの
である。
【0068】そして、本実施例にあっては、残留騒音信
号el の高調波成分をフィルタ処理等によって直接抽出
するのではなく、発散を判定するために必要な情報とし
て極大値el.MAX 及び極小値el.MIN の出現間隔Δtl
及び差ΔEl を求め、それら出現間隔Δtl 及び差ΔE
l に基づいて発散を判定する構成であるため、演算処理
の内容が非常に簡易で済み、大幅な演算負荷の増大等を
招くことがないという利点がある。
【0069】また、それら出現間隔Δtl 及び差ΔEl
に基づいた発散の判定も、所定間隔Δt0 ,ΔE0 との
単なる比較で済むから、非常に簡易な演算処理で済むと
いう利点がある。さらに、出現間隔Δtl を適応ディジ
タルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの順位iに基づい
て求めているため、出現間隔Δtl を求めるために例え
ばタイマ等を設けたり或いは計測処理を行ったりする必
要がないから、この点からも演算処理が簡易で済む。
【0070】そして、本実施例では、出現間隔Δtl
高次成分の出現間隔であるか否かを判断するための所定
間隔Δt0 を、適応ディジタルフィルタWm のタップ数
Iに基づいて設定し、その設定された所定間隔Δt0
ステップ120の判定に用いることとしているため、残
留騒音信号el の極大値el.MAX 及び極小値e
l.MINが、基準信号xの周波数を基本周波数とした場合
の高調波成分の大きさを判断するのに間違いのない情報
であるか否かを正確に峻別することができるという利点
がある。
【0071】またさらに、本実施例では、適応ディジタ
ルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの発散を抑制又は解
消する処理として、そのフィルタ係数Wmiを初期値にリ
セットする処理を採用しているため、特に面倒な演算等
を行うことなくフィルタ係数Wmiの発散を確実に抑制又
は解消することができるという利点がある。ここで、本
実施例にあっては、クランク角センサ5及び基準信号生
成部11によって基準信号生成手段が構成され、駆動信
号生成部13及びステップ106,107の処理によっ
て駆動信号生成手段が構成され、基準処理信号生成部1
4,フィルタ係数更新部17及びステップ108〜11
2の処理によって適応処理手段が構成され、極値検索部
20及びステップ113の処理によって極値検出手段が
構成され、出現間隔検出部21及びステップ117の処
理によって出現間隔検出手段が構成され、極値差演算部
22及びステップ118の処理によって極値差演算手段
が構成され、発散判定部23及びステップ120,12
1の処理によって発散判定手段が構成され、フィルタ係
数リセット部24及びステップ122の処理によって発
散抑制解消手段が構成され、極値検索部20,出現間隔
検出部21,極値差演算部22及びステップ113,1
17,118の処理によって高調波成分抽出手段が構成
される。
【0072】なお、上記実施例では、本発明に係る車両
用能動型騒音制御装置を、エンジン4から車室6内に伝
達されるこもり音の低減を図る車両用能動型騒音制御装
置1に適用した場合について説明したが、本発明の適用
対象はこれに限定されるものではなく、周期的な騒音で
あればこもり音以外の騒音を低減する装置であってもよ
い。また、低減の対象は騒音に限定されるものではな
く、例えば、エンジン4及びメンバ間に能動的な制御力
を発生するエンジンマウント(制御振動源)を介在させ
るとともに、そのメンバ側に残留振動を検出する加速度
センサ(残留振動検出手段)を配設し、そして、かかる
エンジンマウントを上記実施例と同様の基準信号x及び
加速度センサの出力信号(残留振動信号)に基づいて制
御すれば、エンジン4からメンバ側に伝達される周期的
な振動を低減し得る車両用能動型振動制御装置となる。
【0073】そして、上記実施例では残留騒音信号el
の極大値el.MAX ,極小値el.MINを検索し、それら極
大値el.MAX 及び極小値el.MIN に基づいて制御の発散
を検出する構成としているが、高次発散時には図5にも
示したように駆動信号ym にも基準信号xの周波数を基
本周波数とした場合の高調波成分が表れることから、残
留騒音信号el に代えて駆動信号ym の極大値及び極小
値を検索し、それら極大値及び極小値に基づいて上記実
施例と同様の処理によって発散を判断するようにしても
よい。なお、駆動信号ym を用いた場合には、適応ディ
ジタルフィルタWm と駆動信号ym とが対応することか
ら、適応ディジタルフィルタWm 毎に個別に発散を判断
することができ、その場合には、ステップ122では、
発散と判定された適応ディジタルフィルタWm のみをリ
セットするようにしてもよく、そうすれば、各適応ディ
ジタルフィルタWm 毎に適切なタイミングで発散の抑制
又は解消処理が実行されるという利点がある。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項6に係る発明によれば、残留騒音信号(残留振動信
号)又は駆動信号から基準信号の周波数を基本周波数と
した場合の高調波成分を抽出し、その高調波成分の大き
さに基づいて制御が発散しているか否かを判定するよう
にしたため、制御が本格的な発散に至る前にそれを検出
できるという効果がある。
【0075】また、請求項2又は請求項7に係る発明に
よれば、残留騒音信号(残留振動信号)又は駆動信号
の、基準信号の一周期内における極大値及び極小値を検
出し、それら極大値と極小値との出現間隔及び差に基づ
いて制御が発散しているか否かを判定するようにしたた
め、上記請求項1又は請求項6に係る発明の効果を、大
幅な演算負荷の増大等を招くことなく得られるという効
果がある。
【0076】そして、請求項3又は請求項8に係る発明
によれば、極大値及び極小値の出現間隔が所定間隔より
狭く且つ極大値及び極小値の差が所定値よりも大きい場
合に制御が発散していると判定することとしたため、上
記請求項2又は請求項7に係る発明の効果をさらに簡易
な演算処理によって実現できるという効果がある。さら
に、請求項4又は請求項9に係る発明によれば、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数の順位に基づいて極大
値及び極小値の出現間隔を求めるようにしたため、出現
間隔を求めるために例えばタイマ等を設ける必要がない
から、演算負荷の大幅な増大を招かないという効果があ
る。
【0077】そして、請求項5又は請求項10に係る発
明によれば、的確なタイミングで制御の発散を抑制又は
解消する処理が実行されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を示す図である。
【図2】コントローラの機能構成を示すブロック図であ
る。
【図3】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図4】基準信号x,駆動信号ym ,伝達関数フィルタ
C^lm及び基準処理信号rlmの波形図である。
【図5】高次発散が発生した場合の基準信号x,駆動信
号ym 及び残留騒音信号el の波形図である。
【符号の説明】
1 車両用能動型騒音制御装置 4 エンジン(騒音源) 5 クランク角センサ 6 車室 7a〜7d ラウドスピーカ(制御音源) 8a〜8h マイクロフォン(残留騒音検出手段) 10 コントローラ 11 基準信号生成部 13 駆動信号生成部 14 基準処理信号生成部 17 フィルタ係数更新部 19 クロックパルス生成部 20 極値検索部 21 出現間隔検出部 22 極値差演算部 23 発散判定部 24 フィルタ係数リセット部 25 所定間隔演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G05B 13/02 S 7531−3H G05D 19/02 D

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源から発せられて車室内に伝達され
    る周期的な騒音と干渉する制御音を発生可能な制御音源
    と、前記騒音源の騒音発生状態を検出し前記周期的な騒
    音と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
    基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音を検出して残留
    騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を
    前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制
    御音源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段
    と、前記基準信号及び前記残留騒音信号に基づき前記車
    室内の騒音が低減するように適応アルゴリズムに従って
    前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する
    適応処理手段と、前記残留騒音信号又は前記駆動信号か
    ら前記基準信号の周波数を基本周波数とした場合の高調
    波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、前記高調波成
    分の大きさに基づいて制御が発散しているか否かを判定
    する発散判定手段と、を備えたことを特徴とする車両用
    能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 騒音源から発せられて車室内に伝達され
    る周期的な騒音と干渉する制御音を発生可能な制御音源
    と、前記騒音源の騒音発生状態を検出し前記周期的な騒
    音と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
    基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音を検出して残留
    騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を
    前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制
    御音源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段
    と、前記基準信号及び前記残留騒音信号に基づき前記車
    室内の騒音が低減するように適応アルゴリズムに従って
    前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する
    適応処理手段と、前記基準信号の一周期内における前記
    残留騒音信号又は前記駆動信号の極大値及び極小値を検
    出する極値検出手段と、前記極大値及び前記極小値の出
    現間隔を求める出現間隔検出手段と、前記極大値及び前
    記極小値の差を演算する極値差演算手段と、前記出現間
    隔及び前記差に基づいて制御が発散しているか否かを判
    定する発散判定手段と、を備えたことを特徴とする車両
    用能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記発散判定手段は、前記出現間隔が所
    定間隔よりも狭く且つ前記差が所定値よりも大きいとき
    に制御が発散していると判定する請求項2記載の車両用
    能動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動信号生成手段を、前記基準信号
    の最新のインパルスが生成された時点から所定のサンプ
    リング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を順番に前記駆動信号として出力する手
    段で構成し、前記出現間隔検出手段は、前記極大値及び
    前記極小値のそれぞれに対応する前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数の順位に基づいて前記出現間隔を
    求める請求項2又は請求項3記載の車両用能動型騒音制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記発散判定手段によって制御が発散し
    ていると判定された場合に制御の発散を抑制又は解消す
    る処理を実行する発散抑制解消手段を設けた請求項1乃
    至請求項4のいずれかに記載の車両用能動型騒音制御装
    置。
  6. 【請求項6】 振動源から発せられて車体を伝搬する周
    期的な振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源
    と、前記振動源の振動発生状態を検出し前記周期的な振
    動と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
    基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出して残留
    振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を
    前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制
    御振動源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手
    段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記
    干渉後の振動が低減するように適応アルゴリズムに従っ
    て前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新す
    る適応処理手段と、前記残留振動信号又は前記駆動信号
    から前記基準信号の周波数を基本周波数とした場合の高
    調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、前記高調波
    成分の大きさに基づいて制御が発散しているか否かを判
    定する発散判定手段と、を備えたことを特徴とする車両
    用能動型振動制御装置。
  7. 【請求項7】 振動源から発せられて車体を伝搬する周
    期的な振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源
    と、前記振動源の振動発生状態を検出し前記周期的な振
    動と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
    基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出して残留
    振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を
    前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制
    御振動源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手
    段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記
    干渉後の振動が低減するように適応アルゴリズムに従っ
    て前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新す
    る適応処理手段と、前記基準信号の一周期内における前
    記残留振動信号又は前記駆動信号の極大値及び極小値を
    検出する極値検出手段と、前記極大値及び前記極小値の
    出現間隔を求める出現間隔検出手段と、前記極大値及び
    前記極小値の差を演算する極値差演算手段と、前記出現
    間隔及び前記差に基づいて制御が発散しているか否かを
    判定する発散判定手段と、を備えたことを特徴とする車
    両用能動型振動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記発散判定手段は、前記出現間隔が所
    定間隔よりも狭く且つ前記差が所定値よりも大きいとき
    に制御が発散していると判定する請求項7記載の車両用
    能動型振動制御装置。
  9. 【請求項9】 前記駆動信号生成手段を、前記基準信号
    の最新のインパルスが生成された時点から所定のサンプ
    リング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を順番に前記駆動信号として出力する手
    段で構成し、前記出現間隔検出手段は、前記極大値及び
    前記極小値のそれぞれに対応する前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数の順位に基づいて前記出現間隔を
    求める請求項7又は請求項8記載の車両用能動型振動制
    御装置。
  10. 【請求項10】 前記発散判定手段によって制御が発散
    していると判定された場合に制御の発散を抑制又は解消
    する処理を実行する発散抑制解消手段を設けた請求項6
    乃至請求項9のいずれかに記載の車両用能動型振動制御
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19632230A1 (de) * 1996-08-09 1998-02-12 Mueller Bbm Gmbh Adaptive Steuerung
US5910993A (en) * 1996-05-16 1999-06-08 Nissan Motor Co., Ltd. Apparatus and method for actively reducing vibration and/or noise
JP2008040410A (ja) * 2006-08-10 2008-02-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 能動型騒音低減装置
CN108922561A (zh) * 2018-06-04 2018-11-30 平安科技(深圳)有限公司 语音区分方法、装置、计算机设备及存储介质

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