JPH0673508A - 希土類−遷移金属系磁石合金 - Google Patents

希土類−遷移金属系磁石合金

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JPH0673508A
JPH0673508A JP4117562A JP11756292A JPH0673508A JP H0673508 A JPH0673508 A JP H0673508A JP 4117562 A JP4117562 A JP 4117562A JP 11756292 A JP11756292 A JP 11756292A JP H0673508 A JPH0673508 A JP H0673508A
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magnetic
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泰隆 福田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 RE:10at%以上、25at%以下(ここでREは、
Y及びランタノイドのうちから選んだ少なくとも一
種)、B:2at%以上、20at%以下を含み、かつGa:8
at%以下を含有し、残部は実質的にFe, CoおよびNiの遷
移金属元素からなり、これらFe,Co,Niの配合量がそれ
ぞれ次の範囲、Fe:10at%以上、73at%未満、Co:7at
%以上、50at%以下、Ni:5at%以上、30at%以下でか
つ(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満を満足する
組成とする。 【効果】 磁気特性はいうまでもなく、耐蝕性及び温度
特性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、保磁力や角型性に優
れるだけでなく、耐蝕性および温度特性にも優れた希土
類−遷移金属系磁石合金に関するものである。ここに希
土類元素とは、Yおよびランタノイドのことである。
【0002】
【従来の技術】現在、製造されている代表的な永久磁石
材料としては、アルニコ磁石、フェライト磁石および希
土類磁石などが挙げられる。アルニコ磁石は歴史的に古
く、過去長い期間にわたって磁石材料市場の大部分を占
めてきたが、成分として多量に含有されるコバルトが一
時供給不安により、高騰したこともあって、安価なフェ
ライト磁石あるいはさらにより高い磁気特性を持つ希土
類磁石の開発により、需要は低下しつつある。一方フェ
ライト磁石は、酸化物を主原料としていることから化学
的に安定で、かつ低コトスであるため、現在でも磁石材
料の主流を占めているが、最大エネルギー積が小さいと
いう欠点があった。その後、希土類イオンの持つ磁気異
方性と遷移金属元素の持つ磁気モーメントとを組合わせ
たSm−Co系磁石が出現し、従来の最大エネルギー積を大
幅に更新した。しかしながら、Sm−Co系磁石は資源的に
乏しいSmとCoを主成分としているために高価な磁石とな
らざるを得なかった。
【0003】そこで高価なSmやCoを含まない、安価でか
つ高磁気特性を有する磁石合金の開発が行われ、その結
果佐川らは、焼結法により三元系で安定な合金(特公昭
61−34242 号公報および特開昭59−132104号公報) を、
また J.J.Croatらは液体急冷法により保磁力の高い合金
(特開昭59-64739号公報) を開発した。これらはNd,Fe
及びB からなる合金で焼結法で作成した磁石における最
大エネルギー積はSm−Co系磁石のそれを超えるものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらNd−Fe−
B系磁石は、成分として非常に活性の高いNdなどの軽希
土類元素および錆び易いFeを多量に含んでいることか
ら、耐蝕性に劣り、その結果磁気特性が劣化して工業材
料としての信頼性に欠けるという欠点があった。従って
耐蝕性の改善のために、たとえば焼結磁石については表
面めっき、コーティング処理等を施し、また樹脂結合型
磁石では磁粉と樹脂を混練する前に予め表面処理を施す
などの対策が講じられているが、いずれも長期間にわた
って有効な防錆処理とはいえず、また処理のためコスト
高となり、さらには保護膜による磁束のロスなどの問題
もあって、磁気材料として広く普及するまでには至って
いない。
【0005】Nd−Fe−B系磁石のいまひとつの問題点
は、キュリー温度が 300℃程度と低く、そのため温度特
性が悪いことである。たとえばNd−Fe−B磁石の残留磁
束密度の可逆温度係数は−0.12〜−0.19(%/℃) であ
り、これは 700℃以上のキュリー温度を持ち温度係数−
0.03〜−0.04(%/℃) であるSm−Co系と比べると著し
く劣っている。従って、Nd−Fe−B系磁石では、その優
れた磁気特性を活かすためには限られた温度以下で、か
つまた酸化腐食を受けることのない環境のもとで使用せ
ざるを得ず、その用途が限定されていたのである。この
発明は、上記の問題を有利に解決するもので、磁気特性
はいうまでもなく、温度特性および耐蝕性にも優れた希
土類元素遷移金属系磁石合金を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】まずこの発明の解明経緯
について説明する。一般に耐蝕性の改善策としては、成
形体表面にめっきやコーティング等の表面処理を施し、
腐食酸化雰囲気に曝さない方法と、耐蝕性を高める金属
元素を添加する方法とが考えられる。しかしながら表面
処理による方法では、製造プロセスにおいて工程が増
え、コスト高となる。また、いったん表面に欠けなどを
生じるとそこから腐食が進んで対策の取りようが無いと
いう欠点もある。一方、添加による方法では、合金自体
既に耐蝕性を有しているので、上に述べた問題は解決さ
れる。ここに添加によりその合金の耐蝕性を高める金属
元素としては、CrやNi等が考えられる。このうちCrで
は、その添加によって磁気特性とくに残留磁束密度の低
下が免れ得ないが、この点強磁性金属であるNiは残留磁
束密度を大きく損うことなく、耐蝕性を高めると期待さ
れる。
【0007】そこで発明者らは、Nd−Fe−B系磁石中の
Feの一部をNiで置換してみたところ、20%以上の置換で
耐蝕性の向上が見られた。しかしながら同時に保磁力の
大幅な低下を生じた。上記のようにたとえ耐蝕性が改善
されたとしても、磁石において最も重要な特性である磁
気特性が低下しては実使用には供し得ない。そこで発明
者らはさらに、基本特性である磁気特性を低下させるこ
となしに耐蝕性や温度特性の改善を図るべく鋭意研究を
重ねた結果、Niに併せてCoを複合添加すること、換言す
ればNd−Fe−B系磁石中のFeの一部を所定量のNiとCoで
置換してやることが、所期した目的の達成に極めて有効
であることの知見を得た。また発明者らは、上記の研究
の過程で、Gaの添加が磁気特性の向上にとりわけ有効で
あることも併せて見出した。この発明は、上記の知見に
立脚するものである。
【0008】
【表3】
【0009】
【表4】
【0010】以下この発明を具体的に説明する。まずこ
の発明において、成分組成を上記の範囲に限定した理由
について説明する。 RE(Yおよびランタノイド):10〜25at%(以下単に%
で示す) REすなわち希土類元素は、主相(Nd2Fe14B型の正方晶)
の形成と大きな結晶磁気異方性の発現に必須の元素であ
るが、含有量が10%未満ではその添加効果に乏しく、一
方25%を超えると残留磁束密度が低下するので、各希土
類元素は単独使用または併用いずれの場合においても10
〜25%の範囲で添加するものとした。
【0011】B:2〜20% Bは、主相の形成に必要な元素であるが、2%未満では
主相の形成効果に乏しく、一方20%を超えると残留磁束
密度が低下するので、2〜20%の範囲で含有させるもの
とした。
【0012】Fe:10%以上、73%未満 Feは、主相を構成して高飽和磁束密度を得るために必要
不可欠であり10%に満たないとその効果に乏しく、一方
73%以上では相対的に他成分の含有量が減り保磁力が低
下するので、10%以上、73%未満の範囲に限定した。
【0013】 Ni:5%以上、30%以下,Co:7%以上、50%以下 NiおよびCoはそれぞれ、Feの置換元素であって主相を構
成する元素として働く。Niは、耐蝕性の向上に有効に寄
与するが、含有量が5%未満ではその添加効果に乏し
く、一方30%を超えると保磁力や残留磁束密度が急激に
低下するので、5〜30%好ましくは10〜18%の範囲で添
加する必要がある。Coは、Ni添加による耐蝕性の向上効
果を損なうことなしに磁気特性とくに保磁力を効果的に
向上させるだけでなく、キュリー温度の向上従って温度
特性の改善にも有効に寄与する。しかしながら含有量が
7%に満たないとその添加効果に乏しく、一方50%を超
える多量添加はかえって保磁力や残留磁束密度の低下を
招くので、7〜50%の範囲に限定した。
【0014】ここにFeをNiとCoで置換したことによる効
果は、単にそれぞれの加法則に従って発現するのではな
く、上述の適正組成範囲内で磁気特性および耐蝕性に対
して、好ましい相乗効果をもって発現するのである。以
下その効果につき、具体的に示す。第1〜3図にそれぞ
れ、Nd、遷移金属およびBの原子比を15:77:8とし、
遷移金属としてFeをNi, Coで種々の割合で置換した組成
になる焼結法で作製した試料の、飽和磁化4πMs (kG)
、保磁力iHc (kOe) および腐食性環境(気温:70℃、
湿度:95%に48時間放置) での発錆率(表面発錆面積
率、%)について調べた結果をFe−Co−Niの三元系図に
整理して示す。なおこの発明におけるFe, Co, Niの適正
範囲は、全体組成が上記したNd15(Fe,Co, Ni)77B8 の場
合、図中に太実線で囲った領域である。
【0015】第1図から明らかなように、飽和磁化の値
はFeをNiやCoで置換してゆくと、その濃度に比例して単
調に薄められるわけではなく、4πMs≧8kGの磁石とし
て実用レベル以上の飽和磁化をもつ領域は、NiとCoの複
合添加により拡大していることがわかる。
【0016】第2図に示した保磁力についての調査結果
では、NiとCoの複合添加効果はさらに歴然としており、
従来から知られているFeのコーナー領域以外にCo:30〜
50%、Ni:0〜20%の置換領域において保磁力の大きな
領域が存在する。
【0017】次に第3図の発錆率についてみると、Niだ
けの単独置換ではFeの20%以上を置換してはじめて発錆
率を零にすることができるわけであるが、CoもNiほどで
はないにしても発錆率を抑制する効果があり、Coを複合
添加することによって発錆率を零とするNi濃度を低下さ
せることができる。なお実用的には発錆率が5%以下で
あれば問題はない。上記結果に基いてこの発明では、Ni
とCoの含有量を上記の範囲に限定したのである。
【0018】(Fe+Ni+Co):55%以上、88%未満 Fe,NiおよびCoの如き遷移金属元素の総量は、相対的に
希土類元素の量と係わり、遷移金属の量が多いと必然的
に希土類元素の量が少なくなって遷移金属とBとからな
る相が形成されて保磁力が著しく低下し、一方遷移金属
の量が少ないと逆に希土類元素の多い非磁性相の占める
割合が増加して残留磁束密度の低下を招くので、Fe,Ni
およびCoの合計量は、各元素がそれぞれ上記の適正範囲
を満足した上で、かつ55%以上、88%未満の範囲で含有
させるものとした。
【0019】Ga:8%以下 Gaは、RE−(Fe, Co, Ni)−B系磁石において、その保磁
力や角型性の向上に有効に寄与し、高エネルギー積(BH)
max を得る上で極めて有用な元素である。しかしながら
添加量が8%を超えると、保磁力、角型性の改善効果が
飽和に達するだけでなく、残留磁束密度の低下を招き、
結果として最大エネルギー積の低下につながるので、8
%以下の範囲で添加するものとした。
【0020】Mg, Al, Si, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Cu, Z
n, Ge, Zr, Nb, Mo, In, Sn, TaおよびWのうちから選
んだ少なくとも一種:8%以下 これらの元素はいずれも、Gaと同様、保磁力及び角型性
の改善により、高エネルギー積(BH)max の実現に寄与す
る有用元素である。しかしながら添加量が8%を超える
と、やはり保磁力、角型性の改善効果は飽和に達し、ま
た残留磁束密度も低下し、ひいては最大エネルギー積も
低下するので、単独使用または複数使用いずれの場合で
あっても8%以下の範囲で添加するものとした。
【0021】次にこの発明の製造方法について具体的に
説明する。希土類−遷移金属磁石の製法としては、焼結
法と液体急冷法が挙げられる。このうち焼結法は、磁石
合金のインゴットを数μm 程度の粒径に微粉砕し、磁粉
を磁場中で配向させながら加圧成形した後、焼結し熱処
理を施す方法である。この製法では、成形時に磁粉を配
向するため異方性磁石が得られる。また、焼結後の熱処
理により磁区の移動を阻止する組織や逆磁区の発生を抑
制する組織を作り出して保磁力を高めている。一方急冷
法は、磁石合金を高周波溶解後、溶湯を回転しているロ
ール上に噴出させ急冷凝固させることにより非常に微細
な結晶組織を有する薄帯を得る方法である。これを粉砕
して、樹脂と混練し、成形することにより、樹脂結合型
磁石(プラマグ)とすることもできる。ただしこの場合
得られた磁石体は、磁粉が容易磁化方向のまちまちな微
細結晶から成りたっているため等方性磁石である。
【0022】この発明による組成範囲の磁石合金のう
ち、異方性焼結磁石体においては、最大エネルギー積が
フェライト磁石以上でSm−Co磁石に匹敵するものが得ら
れ、かつ耐蝕性もSm−Co磁石と同等である。また等方性
樹脂結合型磁石においても最大エネルギー積が4MGOe以
上のものが得られ、しかも腐食による磁気特性の劣化が
少ない。
【0023】
【作用】この発明に従い、RE−Fe−B系合金におけるFe
の一部を適量のNiおよびCoで置換すると優れた磁気特性
は勿論のこと優れた耐蝕性や温度特性が得られる理由
は、まだ十分に解明されたわけではないが、次のとおり
と考えられる。この発明に係わる強磁性の結晶相は、19
79年に発見され(N.F.Chaban et al.,Dopov. Akad. Nauk
SSSR, Set.A., Fiz- Mat. Tekh. Nauki No.10(1979) 8
73)、後に中性子回折によりその組成と結晶構造の詳細
が明らかになった(J.F.Herbstet al, Phys. Rev.B29
(1984) 4176) Nd2Fe14Bと同じ構造を持ち、Feの位置にN
iとCoが置換していると考えられる。
【0024】Nd2Fe14Bの単位胞内の原子配置を第4図に
示す。図に示した通り、Nd, Fe, Bの原子よりなる層と
Fe原子が密に詰まった層との積層構造となっている。こ
のような結晶構造においては磁気的にはNd副格子とFe副
格子に分けられる。Nd副格子ではNdイオンに局在する4f
電子による磁気モーメントがあり、一方Fe副格子におい
ては3d電子がある程度遍歴して磁気モーメントが生じて
いて、これらの磁気モーメントが互いに強磁性的に平行
に結合して大きな飽和磁気モーメントを生みだしている
と考えられる。ところで単体金属においてFeの持つ1原
子あたりのモーメントは室温で2.18ボーア磁子単位、ま
たCoでは1.70ボーア磁子単位、Niでは0.65ボーア磁子単
位である。このようにCo原子やNi原子の持つモーメント
の大きさはFe原子のそれよりも小さく、従ってこれらの
モーメントがその原子に局在しているのであれば、Feを
NiやCoで置換することにより、飽和磁束密度は加法則に
従って小さくなる一方であろう。しかしながら上述のFe
原子よりなる層では、そのような局在モデルは成立せず
遍歴電子モデルが有効で、NiとCoでFeを置換すると状態
密度とフェルミ準位が変化し、その結果特定の置換組成
範囲で磁気モーメントが加法則で予想される値よりも大
きくなると考えられる。このような電子的性質の変化に
より合金全体の酸化還元電位も変化して耐蝕性が向上す
るものと考えられる。なお添加したNiとCoの一部が結晶
粒界に偏析して耐蝕性を改善する効果もある。
【0025】保磁力に関係する結晶磁気異方性は、基本
的にはNdイオンからの寄与と鉄副格子からの寄与とに分
けられる。NiとCoの置換により変化が起こり得るのは鉄
副格子である。NiとCoが鉄の副格子の中に乱雑に入るの
でなく、鉄の非等価な各種サイトに選択的に入ることに
よって鉄の副格子の結晶磁気異方性が特定のNiとCoの組
成範囲で大きくなることが期待できる。次に温度特性に
関しては、Coは鉄と合金を形成してキュリー温度の上昇
をもたらすことが一般的に知られている。またNiの添加
によっても僅かの上昇は実現されていると考えられる。
【0026】一般に、磁石合金成分元素を置換する場
合、耐蝕性、温度特性を高めるのに十分な置換量では磁
石特性を大きく低減してしまい、また磁石特性を損わな
い程度の置換量では、耐蝕性、温度特性に改善が見られ
ず、結局、耐蝕性、温度特性、磁石特性の全ての要件を
満たす合金組成は見出し難いものである。しかしなが
ら、この発明では、FeをNi,Coで複合置換することによ
り、特定の添加量範囲で磁気特性をほとんど劣化させる
ことなく耐蝕性をも高めることが出来ているものと考え
られる。
【0027】なおRE−(Fe, Co, Ni)−B合金に、Gaや、
Mg, Al, Si, Ca, Ti, V, Cr, Mn,Cu, Zn, Ge, Zr, Nb,
In, Sn, Ta, W等を添加することによって保磁力や角
型性が向上する理由は次のとおりと考えられる。即ち、
これらの元素の添加により、異方性磁場が増加したり、
あるいは成分元素の分布や結晶組織の微視構造などが変
化して逆磁区の発生が抑制されたり、磁壁移動が阻害さ
れたりすることによって保磁力や角型性が向上するもの
と考えられる。
【0028】
【実施例】
実施例1 表5に示す組成になる各合金インゴットをアーク溶解に
て作製したのち、スタンプミルで粗粉砕し、ついでジェ
ットミルで2〜4μm 程度に微粉砕した。次に得られた
各微粉を、12.5 kOeの磁場中にて2 ton/cm2でプレス成
形したのち、2×10-5Torr程度の真空中にて1000〜1100
℃で1時間、ついで1気圧のAr雰囲気中で1時間焼結
し、その後Arガスを吹きつけて急冷した。しかるのちAr
ガス中において、 300〜700 ℃の温度で1〜5時間保持
の後急冷する時効処理を施した。このときのヒートパタ
ーンを第5図に示す。
【0029】かくして得られた各試料をパルス着磁した
後、磁化測定を行って、残留磁束密度Br、保磁力iHc お
よび最大エネルギー積(BH)max について調べた。また耐
蝕性(気温:70℃、湿度:95%、1000時間) についても
調べた。なお耐蝕性は酸化による重量増で示した。また
表中SRは、第6図に示すような磁化曲線の第2象限にお
ける角型性を示すもので、次のように定義される。
【数1】 これらの調査結果を表5に併記する。
【0030】
【表5】
【0031】表5より明らかなように、この発明に従う
磁石合金(適合例1〜11)はいずれも、磁気特性に優れ
るのはいうまでもなく、優れた温度特性と耐蝕性を呈し
ている。
【0032】実施例2 実施例1と同様にして得られたインゴットを、 0.6mmφ
の射出孔をもつ石英ノズル中に収納し、Ar:550 mmHgの
雰囲気のもとで、高周波溶解した。溶解後ただちに周
速:10.5〜19.6 m/sで回転する銅合金製ロール上に噴射
圧:0.2 kg/cm2で噴出して急冷し、微細結晶組織を有す
る薄帯を作製した。その後、薄帯をローラーで砕いた
後、ミルを用いて 100〜200 μm 直径程度に粉砕し、り
ん酸表面処理を施し、ついで12ナイロンと混練後、射出
成形により成形した。ここに混練時の温度は、約 210℃
で、射出成形時はノズル部において 240℃とし、また射
出圧力は1400 kg/cm2 とした。磁粉含有率はすべて92wt
%とした。かくして得られたプラマグの磁気特性および
キュリー点、残留磁束密度の温度係数について調べた結
果を表6に、また薄帯の粉砕品の耐蝕性および耐蝕性試
験後の磁気特性について調べた結果を表7にそれぞれ示
す。
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】表6,7より明らかなように、この発明に
従う磁石合金はいずれも、磁気特性、温度特性および耐
蝕性に優れている。
【0036】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、従来のNd−
Fe−B系磁石に比べ、磁気特性のみならず、耐蝕性およ
び温度特性を著しく向上させることができた。とくに耐
蝕性の改善が図れたことにより、従来耐酸化のために必
要とされた被覆・表面処理等のプロセスを省略でき低コ
スト化も実現できたばかりでなく、工業材料としての信
頼性が著しく向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nd:15%、遷移金属:77%、B:8%組成の焼
結磁石における遷移金属中のFe, Co, Niの成分比と飽和
磁化4πMsとの関係を示す三元系図である。
【図2】Nd:15%、遷移金属:77%、B:8%組成の焼
結磁石における遷移金属中のFe, Co, Niの成分比と保磁
力iHc との関係を示す三元系図である。
【図3】Nd:15%、遷移金属:77%、B:8%組成の焼
結磁石における遷移金属中のFe, Co, Niの成分比と腐食
環境(気温:70℃、湿度:95%に48時間放置) 下での表
面発錆面積率との関係を示す三元系図である。
【図4】Nd−Fe−B系合金の主相である Nd2Fe14Bの結
晶構造を示す原子モデル図である。
【図5】実施例1におけるヒートパターンである。
【図6】角型比SRの説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【表1】
  2. 【請求項2】 【表2】
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Citations (6)

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