JPH0672709A - 複合金属水酸化物およびその製造方法 - Google Patents
複合金属水酸化物およびその製造方法Info
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Abstract
大結晶を形成する等の問題を解決すると共に、従来利用
できなかった分野、例えばプラスチックス、ゴム中の
酸、ハロゲンの中和、不活性化剤、プラスチックス、ゴ
ムの難燃剤等への利用を可能にする新規な水酸化カルシ
ウム固溶体、およびその製造方法を提供する。 【構成】 下記式(1) Ca1-xM2+ x(OH)2 (1) (式中、M2+は、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
およびZnからなる群から選ばれた二価金属イオンの少
なくとも一種を示し、xは0.005<x<0.4の範囲
の数を示す)の複合金属水酸化物およびその製造方法。
Description
ム系固溶体およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、貯蔵安定性、分散性、酸およびハロゲン中和または
捕捉性等に優れたハロゲン含有ゴムの受酸剤、塩化ビニ
ル樹脂の熱安定剤、プラスチックス残留酸性物質、触媒
等の中和、捕捉剤、FRPの増粘剤、難燃剤等に有用な
新規な水酸化カルシウム系固溶体およびその製造方法に
関する。
性、無毒性、白色度が高い等の特徴があり、酸性土壌改
良剤、排煙脱硫剤、酸の中和剤等に利用されている。さ
らにはサラシ粉の原料、モルタルの原料、塩化アンモニ
ウムからのアンモニアの再生等に利用されている。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムに次ぐ強いアルカリ
性を示し、しかも安価である特徴を有するが、大気と接
触すると炭酸ガスと反応して徐徐に炭酸カルシウムに変
わって行く欠点があり、安定性に問題がある。また炭酸
カルシウムは、水に対する溶解度が比較的高いため、粗
大な結晶となり、樹脂とかゴム中の酸性物質の中和、捕
捉の目的で使用すると、分散性、活性、成形品外観、耐
水性、耐酸性等に問題がある。さらに無毒な非ハロゲン
難燃剤として使用しようとしても、難燃剤として好適な
水酸化マグネシウムに比して著しく難燃性が劣るため、
使用できないという問題点を有する。
来利用できなかった分野、例えばプラスチックス、ゴム
中の酸、ハロゲンの中和、不活性化剤、プラスチック
ス、ゴムの難燃剤等への利用を可能にする新規な水酸化
カルシウム固溶体、およびその製造方法を提供する。
およびZnからなる群から選ばれた二価金属イオンの少
なくとも一種を示し、xは0.005<x<0.4、好ま
しくは0.01≦x≦0.3の範囲の数を示す)の複合金
属水酸化物およびその製造方法を提供する。
題を克服できる方法について鋭意研究を進めてきた。そ
の結果水酸化カルシウムに式(1)の二価金属イオン
(M2+)が固溶することを発見した。生成した固溶体
は、水酸化カルシウムに比して耐酸性が改善され、この
ため、炭酸ガスとの反応性が抑制され、安定性が改良さ
れた。さらにこの固溶体は、水酸化カルシウムよりも一
般に微粒子となることが見いだされた。このため懸案で
あったプラスチックス、ゴム中での分散性が改善され、
これにより、プラスチックス、ゴム中の酸、ハロゲンと
の反応性が向上することも期待される。さらには、本発
明の固溶体の脱水温度が水酸化カルシウムよりも低くな
り、難燃剤に好適な水酸化マグネシウムの脱水温度(D
TA測定値で約430℃)に近付くことも見いだされ
た。このことは、今までプラスチックス、ゴムの発火温
度に比して脱水温度が高すぎるため難燃剤として不向き
であった水酸化カルシウムが、本発明の固溶体に変換さ
れることにより、難燃剤としての利用が期待されること
を意味する。
て、水酸化カルシウムに相当するパターンのみを示し、
式(1)で示された二価金属の水酸化物等他のいかなる
化合物の回折パターンをも生じない。唯一生じる水酸化
カルシウムの回折パターンは、厳密には式(1)の二価
金属のイオン半径と固溶量により影響を受ける。即ち、
二価金属のイオン半径が小さい程、そして固溶量が多い
程、僅かではあるが、水酸化カルシウムより短い格子定
数を本発明の固溶体は示す。従って本発明の固溶体の回
折パターンは、水酸化カルシウムのそれよりも僅かに高
角度側(ブラッグ角)にシフトする。
固溶体の脱水温度は、水酸化カルシウムの脱水温度より
も低くなる。低くなる程度は、式(1)で示される二価
金属の水酸化物の脱水温度が低い程、そして二価金属の
固溶量が増加する程大きくなる。
ことができる。例えばカルシウムイオンを含有する水溶
液と二価金属イオンを含有する水溶液とを、式(1)の
xの範囲となるようにカルシウムイオンの水溶液と二価
金属イオンの水溶液とを混合した後、アルカリ性物質を
pH約11以上で撹拌下に混合して反応せしめる方法で
製造できる。またカルシウムイオン含有水溶液および二
価金属イオン含有水溶液とを予め混合することなく、反
応容器にカルシウムイオン含有水溶液、二価金属イオン
含有水溶液およびアルカリ性物質をそれぞれ単独で、カ
ルシウムイオンおよび二価金属イオンを式(1)のxの
範囲およびpH約11以上を保つようにして供給して製
造してもよい。また他の方法として、水酸化カルシウム
または酸化カルシウムをカルシウムイオンおよびアルカ
リ性物質の供給源として用い、これと二価金属イオン水
溶液とをpH約11以上で反応させて製造してもよい。
上記の各反応は、温度条件としては格別の制約はない
が、約0〜100℃で実施するのが経済的である。
は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウ
ム、ヨウ化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、酸化カルシウム、カルシウムメトキシド、カルシ
ウムエトキシド、カルシウムプロポキシド、カルシウム
イソプロポキシド等のアルコキシド等を例示できる。二
価金属イオンを与える化合物としては、Mg、Mn、F
e、Co、Ni、CuおよびZnの塩化物、臭化物、ヨ
ウ化物、硝酸塩、酢酸塩、メトキシド、エトキシド、プ
ロポキシド、イソプロポキシド等のアルコキシド等を例
示できる。アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウ
ム等を例示できる。
明する。 実施例1 試薬1級の塩化カルシウムと試薬1級の塩化第2銅の混
合水溶液(Ca2+=1.7モル/リットル、Cu2+=0.
3モル/リットル)1リットルと、試薬1.7の水酸化
ナトリウム1リットル(4モル/リットル)とを、予め
1リットルの脱イオン水を入れた容量5リットルの円筒
型反応槽に計量ポンプを用いて、それぞれ同じ40ミリ
リットル/分の流速で連続的に供給して撹拌下に反応さ
せ、それぞれのほぼ全量を供給し終わるまで反応させ
た。このときの反応pHは12.0〜12.2、温度は2
1℃であった。反応終了後、得られた沈澱を減圧濾過、
水洗、乾燥した。
後、化学組成、粉末X線回折、平均2次粒子径、示差熱
分析(脱水ピーク温度)、貯蔵安定性を測定した。評価
結果を表1に示す。以下の各例を含めて、上記各特性値
の測定法は次の通りである。 化学組成:キレート滴定法により測定、 平均2次粒子径:超音波で3分間分散処理した後、マイ
クロトラック粒度分析計により測定、 貯蔵安定性:試料を室温で大気中に暴露し、粉末X線回
折で炭酸カルシウムが検出されるまでの日数を測ること
により測定。
トルを入れ、撹拌機により撹拌した。この系に水酸化カ
ルシウム250ミリリットル(2モル/リットル)と硝
酸亜鉛50ミリリットル(1モル/リットル)とを同時
に約1分間で全量添加し、さらに撹拌を15分間継続し
て反応させた。反応終了後のpHは12.0、温度は3
0℃であった。この反応物を濾過、水洗、乾燥した後、
100メッシュの篩で篩過した。この物の評価結果を表
1に示す。
溶液(Ca2+=2.85モル/リットル、Mg2+=0.1
5モル/リットル)1リットルと試薬1級の水酸化ナト
リウム1リットル(6モル/リットル)とを、それぞれ
40℃に加温後、計量ポンプを用いて、それぞれ同じ4
0ミリリットル/分の速度で容量5リットルの円筒形反
応槽に供給し、20分間反応させた。反応終了後のpH
は11.8であった。ここで反応槽は、予め500ミリ
リットルの脱イオン水を入れ、40℃に加温し、撹拌機
により撹拌しておいた。反応後、反応物を濾過、水洗、
脱水、乾燥し、ついで100メッシュの篩で篩過した。
この物の評価結果を表1に示す。
トルを入れ、撹拌機により撹拌しながら、水酸化カルシ
ウム230ミリリットル(2モル/リットル)と塩化ニ
ッケル40ミリリットル(1モル/リットル)を同時に
約1分間で全量加えた。全量加えた後、さらに撹拌を約
10分間継続して反応させた。反応終了後のpHは1
1.9、温度は42℃であった。ついで反応物を濾過、
水洗、乾燥した後、100メッシュの篩で篩過した。こ
の物の評価結果を表1に示す。
溶解して、それぞれ1.6モル/リットル、0.4モル/
リットルの混合水溶液300ミリリットルを調製した。
同じく脱酸素処理した水に、水酸化カルシウムを溶解し
て4モル/リットルの水溶液300ミリリットルを調製
した。これら両液を、窒素雰囲気下、予め150ミリリ
ットルの脱イオン水を入れ、撹拌状態の容量1リットル
の4つ口フラスコに、約3分間で全量加えて反応させ
た。この時の最終pHは12.2、温度は32℃であっ
た。反応物を窒素雰囲気下で濾過、水洗、乾燥した後、
100メッシュの篩で篩過した。この物の評価結果を表
1に示す。
合水溶液の代わりに、1.8モル/リットルの塩化カル
シウムと0.2モル/リットルの塩化第1コバルトの混
合水溶液300ミリリットルを用いた以外は、実施例5
と同様に操作して反応させた。反応後のpHは11.
9、温度は23℃であった。反応物を実施例5と同様に
処理した。この物の評価結果を表1に示す。
合水溶液の代わりに、1.8モル/リットルの塩化カル
シウムと0.2モル/リットルの塩化第1鉄の混合水溶
液300ミリリットルを用いた以外は、実施例5と同様
に操作して反応させた。反応後のpHは12.0、温度
は25℃であった。この物の評価結果を表1に示す。
を濾過、乾燥した後、100メッシュの篩で篩過した物
の評価結果を表1に示す。
水溶液の組成をCa2+=1.2モル/リットル、Cu2+
=0.8モル/リットルとした以外は、実施例1と同様
に操作して反応させた。この物の評価結果を表1に示
す。
リリットルの代わりに、150ミリリットルを用いて反
応させた以外は、実施例2と同様に操作して反応させ
た。この物の評価結果を表1に示す。
にシフト、 B:Ca(OH)2のパターン、 C:Ca(OH)2とCu2(OH)3Clのパターン、 D:Ca(OH)2とCa[Zn(OH)3]2・2H2O
のパターン、 粒子径は平均2次粒子径を示す。
ム系固溶体およびその製造方法が提供される。さらに本
発明によれば、水酸化カルシウムの特性を保持したま
ま、貯蔵安定性、分散性、難燃剤適性等に優れた新規な
水酸化カルシウム系固溶体およびその製造方法が提供さ
れる。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記式(1) Ca1-xM2+ x(OH)2 (1) (式中、M2+は、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
およびZnからなる群から選ばれた二価金属イオンの少
なくとも一種を示し、xは0.005<x<0.4の範囲
の数を示す)の複合金属水酸化物。 - 【請求項2】 水溶性カルシウムイオンと水溶性M2+イ
オンとが0.005<M2+/(Ca2++M2+)<0.4と
の範囲にある混合水溶液に、カルシウムイオンとM2+イ
オンの合計当量とほぼ当量のアルカリ性物質を添加反応
させることを特徴とする請求項1記載の複合金属水酸化
物の製造方法。 - 【請求項3】 水酸化カルシウムまたは酸化カルシウム
と水溶性M2+とを水性媒体中で0.005<M2+/(C
a2++M2+)<0.4の条件下に反応させることを特徴
とする請求項1記載の複合金属水酸化物の製造方法。
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