JPH0672254B2 - 歯車の製造方法 - Google Patents

歯車の製造方法

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JPH0672254B2
JPH0672254B2 JP9764786A JP9764786A JPH0672254B2 JP H0672254 B2 JPH0672254 B2 JP H0672254B2 JP 9764786 A JP9764786 A JP 9764786A JP 9764786 A JP9764786 A JP 9764786A JP H0672254 B2 JPH0672254 B2 JP H0672254B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は歯車の製造方法に関し、特に車両の変速機等に
用いられる歯車の製造方法に関するものである。
〔従来技術〕
近年、歯車は、高い疲労強度を有することが要求されて
おり、特に、車両の変速機に用いられる歯車は、エンジ
ンの出力の向上に伴い、高い疲労強度を有することが求
められている。しかし、空力特性の向上を図るために
は、ボンネットを低くしなければならず、加えて、上記
エンジンの出力の向上に伴い、エンジンルーム内にター
ボチャージャー等を配置するため、エンジンルーム内の
空所が小さくなっている。このため、変速機に用いられ
る歯車は、大型化することなく高い疲労強度を有するこ
とが必要となる。
上記の事情から、従来は、特開昭60-218422号公報に開
示されているように、浸炭焼入れを行った鋼にショット
ピーニングを行うことが提案されており、ショット径が
0.3〜1.0mmのスチールショットで行うことが、ショット
ピーニングの効果を最大限に発揮することができるとさ
れている。
ところで、従来は、上記ショットピーニングの効果を表
す尺度として、薄い鋼板をショットピーニングした後の
鋼板の反り量(以下アークハイトと称す)を計測する方
法が用いられている。そして、このアークハイトが大き
くなるほど、疲労強度が向上することが一般に知られて
おり、このアークハイトを大きくするためには、ショッ
ト径を所定値以上に設定することが必要である。一方、
ショット径を過度に大きくすると、鋼の表面が荒くな
り、切欠感度を高めるため、却って疲労強度が低下す
る。このため、従来は、第5図に示すように、通常、0.
4〜0.8mmのショット径を有するスチールショットを用い
て、ショットピーニングが行われていた。
しかしながら、真空浸炭焼入れ鋼を上記の条件下でショ
ットピーニングを行った場合には、疲労強度を顕著に向
上させることができない。これは、ショットピーニング
の効果を表す尺度として、アークハイトを用いること
が、必ずしも適切ではないためと考えられる。
そこで、浸炭焼き入れ鋼を顕微鏡で観察したときの組
織、及び、浸炭焼き入れ鋼を種々の条件でショットピー
ニングした場合に形成される残留応力分布と各々の疲労
強度等とについて、詳細な実験と解析を行った結果、以
下に示すような事実が得られた。
(1)一般的な浸炭焼き入れ鋼では合金元素の内部酸化
に起因して軟質の表面異常組織が生成される。この異常
組織は結晶粒界に沿って形成され、その先端の深さは20
〜50μmである。
(2)ショットピーニングのショット径が大きいほど、
圧縮残留応力が最大となる深さが深くなり、従来用いら
れていたショット径0.4〜0.8mmのスチールショットでシ
ョットピーニングを行った場合には、圧縮残留応力が最
大となる深さは20〜50μmである。この値は表面異常組
織の先端深さとほぼ一致する。
(3)真空浸炭焼入れ鋼に、ショット径0.1mm及び0.6mm
のスチールショットでショットピーニングを施し、両者
の疲労強度を比較したところ、ショット径0.1mmのスチ
ールショットを用いた方が疲労強度が向上するという結
果が得られた。この結果は従来のショットピーニングの
設計法の考え方と矛盾するものである。
これらのことから、ショット径が0.4〜0.8mmのスチール
ショットを用いて、真空浸炭焼入れ鋼にショットピーニ
ングを施した場合に、疲労強度が顕著に向上しないの
は、以下の理由であると考えられる。
表面異常組織を有する一般的な浸炭焼き入れ鋼では、疲
労は最表面から開始されず、表面異常組織の先端より開
始される。また、従来のショットピーニングの条件では
圧縮残留応力が最大となる深さと表面異常組織の先端深
さとが一致する。したがって、一般的な浸炭焼き入れ鋼
では、従来のショットピーニングの条件で、疲労クラッ
クの生成を効果的に抑止することができる。
これに対し、真空浸炭焼入れ鋼では異常組織がないた
め、極表面が切り欠きとなり実質的な疲労開始点とな
る。このため、極表面の圧縮残留応力値が低くなる従来
のショットピーニングの条件では疲労クラックの生成を
十分に抑止することができない。
〔発明の目的〕
本発明は、上記従来の問題点を考慮して成されたもので
あって、歯車を大型化することなく、疲労強度を向上さ
せることにより歯車の耐久性を向上させることのできる
歯車の製造方法の提供を目的とするものである。
〔発明の構成〕
本発明の歯車の製造方法は、上記の目的を達成するため
に、合金鋼から成る歯車素材を機械加工して歯型成形し
た後に、この機械加工された歯車を真空浸炭焼入れ処理
し、次に、この真空浸炭焼入れ処理がなされた歯車を焼
戻しし、その後、この焼戻しがなされた歯車を粒径が0.
05〜0.2mmの鉄系ショットを用いてショットピーニング
し、表面近傍の残留応力値を高めることができるように
構成したことを特徴とするものである。
〔第1実施例〕 本発明の第1実施例を第1図乃至第4図に基づいて以下
に説明する。
歯車は第1図に示すような工程にて作製される。先ず、
円柱状の材料を、所定の大きさに切断する(F1)。次
に、熱間鍛造を行って歯車粗形材を作製する(F2)。次
いで、必要に応じて所定の温度で焼準を行う(F3)。そ
の後、歯車形状に切削加工を行う(F4)。しかる後、96
0℃で1.5時間真空浸炭を行った後、850℃で0.5時間ソル
ト焼入れ或いは油焼入れを行い(F5)、次いで、170℃
で2時間焼戻しを行う(F6)。その後、ショットピーニ
ングを行う(F7)。
ここで、合金鋼(SCr420)を、上記の方法で真空浸炭焼
き入れ、及び焼き戻し等を行った後、粒子径の異なる種
々のスチールショットを用いてショットピーニングを施
した試験片について、疲労試験を行い、その疲労破損寿
命を調べた結果を第2図に示す。第2図において、ガス
浸炭焼入れ鋼においては、ショット径が0.4〜0.5mmのス
チールショットでショットピーニングを行った場合(図
中の実線)に、疲労破損寿命が最大となる。したがっ
て、真空浸炭焼入れ鋼においては、上記ガス浸炭焼入れ
鋼のグラフを上方に平行移動させたグラフとなると推定
される(図中の破線)。しかしながら、実際には、真
空浸炭焼入れ鋼においてはガス浸炭焼入れ鋼の場合と異
なり、ショット径が0.05〜0.2mmのスチールショットで
ショットピーニングを行った場合(図中の実線)に、
疲労破損寿命が最大となる。即ち、ガス浸炭焼入れ鋼と
比べ、より小径側に最適範囲が存在していることが認め
られる。
そこで、合金鋼(SCr420)を、前記の工程にて加工し、
歯車(メーンドライブギアに用いられ、モジュール:2.
0、歯数:21、歯幅22mm)を作製した後、ショット径及び
ショット固さを変化させてショットピーニングを行っ
た。そして、表面からの距離と圧縮残留応力との関係及
び破損サイクル数について調べた結果を第3図及び表1
に示す。尚、真空浸炭焼入れ時の真空度は、10-2mmHgで
行った。
上記表1に示すように、本発明と従来例とにおい
て、ショット固さは同一でショット径のみを変えてい
る。そして、本発明と従来例との破損サイクル数を
比べると、本発明の方が従来例に比べ約10倍の疲労
強度を有するということが認められる。また、第3図に
示すように、圧縮残留応力と表面からの距離との関係に
おいて、従来例では、表面から約30μmで圧縮残留応
力の最大値を得ているが、本発明においては、表面か
ら約10μmで圧縮残留応力の最大値を得ている。これら
のことから、ショット径を従来より小さくしたほうが
(最適範囲は、上記の如くショット径が0.05〜0.2m
m)、真空浸炭焼入れ鋼における実質的な疲労開始点と
なる極表面において、圧縮残留応力値を大きくすること
ができるため、疲労クラックの生成を十分に抑止するこ
とができる。
即ち、合金鋼の真空浸炭焼き入れ、焼き戻し等を行った
後、粒径0.05〜0.2mmのスチールショットを用いてショ
ットピーニングを施すことにより、疲労強度を顕著に向
上させることができる。
尚、HRC50以上ではショットピーニング後に形成される
圧縮残留応力がより大きくなり、疲労強度を一層向上さ
せることができる。例えば、上記本発明と本発明と
においては、ショット径は同一でショット固さのみを変
えているが、この場合の破損サイクル数を比べると、
本発明の方が本発明に比べ約10倍の疲労強度を有する
ということが認められる。一方、HRC58以上ではショッ
トが割れやすく、経済性を損なう。したがって、ショッ
ト固さはHRC50〜58であることが望ましい。
〔第2実施例〕 本第2実施例は、真空浸炭焼入れのうち、最新の真空イ
オン浸炭焼入れにて行った。この真空イオン浸炭焼入れ
は、ヒータを陽極側、部品を陰極側にして高電圧をか
け、真空中のカーボン原子を加速させ浸炭するものであ
る。したがって、浸炭時の温度を通常の真空浸炭より低
温で行うことができるので、結晶粒の粗大化を防止する
ことができると共に、浸炭速度を速くすることができ
る。このようなことから、前記第1図に示すような工程
にて加工する場合に、真空浸炭焼入れ処理(F5)と焼戻
し処理(F6)との条件を第1実施例とは異ならしめてい
る。即ち、940℃で1時間浸炭を行った後、840℃で0.5
時間ソルト焼入れ或いは油焼入れを行い、次いで、160
℃で2時間焼戻しを行う。上記の工程にて作製された歯
車(リングギアに用いられ、モジュール:3.5、歯数:4
3、歯幅24mm)を、ショット径及びショット固さを変化
させてショットピーニングを行った。そして、表面から
の距離と圧縮残留応力との関係及び破損サイクル数につ
いて調べた結果を第4図及び表2に示す。尚、材料はSC
M420を用いており、又、負荷電圧は480Vで、加熱時の真
空度は10-2mmHgである。
上記表2に示すように、本発明と従来例との破損サ
イクル数を比べると、本発明の方が従来例に比べ約
10倍の疲労強度を有するということが認められる。ま
た、第4図に示すように、圧縮残留応力と表面からの距
離との関係において、本発明では従来例と比べ、表
面に近い部位で圧縮残留応力の最大値を得ている。これ
により、第1実施例と同様に、ショット径を従来より小
さくしたほうが(最適値は上述したように0.05〜0.2m
m)、極表面における圧縮残留応力値を向上させること
ができ、疲労クラックの生成を十分に抑止することがで
きる。
〔発明の効果〕
本発明の歯車の製造方法は、以上のように、合金鋼から
成る歯車素材を機械加工して歯形成形した後に、この機
械加工された歯車を真空浸炭焼入れ処理し、この真空浸
炭焼入れ処理がなされた歯車を焼戻しした後、この焼戻
しがなされた歯車を粒径が0.05〜0.2mmの鉄系ショット
を用いてショットピーニングしているので、歯車を大型
化することなく、表面近傍の残留応力値を高めることに
より疲労強度を向上させ、歯車の耐久性を向上させるこ
とができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す工程図、第2図はガス
浸炭焼入れ鋼と真空浸炭焼入れ鋼とを各種のショット径
を有するスチールショットでショットピーニングを行っ
たときの疲労破損寿命を示すグラフ、第3図は第1実施
例における各種処理材の表面からの距離と圧縮残留応力
との関係を示すグラフ、第4図は第2実施例における各
種処理材の表面からの距離と圧縮残留応力との関係を示
すグラフ、第5図はガス浸炭焼入れ鋼におけるショット
径と疲労強度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23F 17/00 8414−4K

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合金鋼から成る歯車素材を機械加工して歯
    型成形した後に、この機械加工された歯車を真空浸炭焼
    入れ処理し、次に、この真空浸炭焼入れ処理がなされた
    歯車を焼戻しし、その後、この焼戻しがなされた歯車を
    粒径が0.05〜0.2mmの鉄系ショットを用いてショットピ
    ーニングすることを特徴とする歯車の製造方法。
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JP4603198B2 (ja) * 2001-06-14 2010-12-22 株式会社田中 チタン合金部品の疲労特性改善方法とそれを用いたチタン合金部品
MX2010007726A (es) 2009-07-14 2011-01-24 Engineered Abrasives Inc Terminado amartillado.
KR101604562B1 (ko) * 2012-03-05 2016-03-17 도요타지도샤가부시키가이샤 기계 가공 부품의 제조 방법 및 기계 가공 부품
JP2013220509A (ja) * 2012-04-17 2013-10-28 Daido Steel Co Ltd ショットピーニング方法及びそれを用いた歯車材

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