JPH066984Y2 - フロ−ト式ヒユ−エルカツトオフバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はヒューエルタンクとキャニスタを結ぶベーパー
流路のタンク側出口の内側に設置し、車両の旋回、急制
動時等により燃料液の液面が出口付近まで上昇してキャ
ニスタへ流出してしまうことがないように閉栓するヒュ
ーエルカットオフバルブに関するものである。

従来の技術 従来、ヒューエルタンクには、第３図(A)に示す如く、
該タンク内１で発生するベーパーとその圧力をキャニス
タ２の経由でエンジンに導く為のベントホール３が設置
されているが、ベーパー通路４のヒューエルタンク１側
出口のこのベントホール３は車両の旋回、急制動、急発
進、スラロール及び凸凹路走行等で燃料液の液面５が変
化し、その変化でベントホール３に達した液面５′によ
りベーパーとその圧力のみを通していた前記キャニスタ
２へのベーパー通路に液体が流出されることになるの
で、これを防止するような構成にされていた。

そして、従来の液体がキャニスタ２へ流出しないための
構造として、第３図(B)に示す如く、ベントホール３部
分を凸形状とした凸部６が設けられ、また、凸部でなく
ても空間層を多く取るなどしたものか、それとも第３図
(C)に示す如く、ベーパーリキッドセパレータ７を備え
た複数ベーパー通路８によるものとかがあった。

ところで、近年のヒューエルタンクでは、ヒューエルタ
ンク設置の為のスペース上の制約等から凸部６及び空間
層を多く取ること、又はベーパーリキッドセパレータ７
及び複数ベーパー通路８を設けることが困難になった。

そこで、これら困難を解消する為に、ベントホール３部
に液面５が達した場合にはベントホール３を閉栓するヒ
ューエルカットオフバルブ９、10が従来にも装着されて
いた。

従来のヒューエルカットオフバルブは、第２図(A)に示
す如く、車両の前後左右の動揺に対し、バルブ穴９ｂの
閉栓に重力の作用で斜面９ｃを上下するボール９ａの利
用されたヒューエルカットオフバルブ９と、第２図(B)
に示すような、バルブ穴10bの閉栓にフロート10aの浮力
を利用したヒューエルカットオフバルブ10とがあった。
そして、フロート10aの浮力を利用したヒューエルカッ
トオフバルブ10にはニードルバルブ方式が一般的であっ
て、フロート10aの頂面中央のシール突起10cをバルブケ
ース10dのバルブ穴10bに接合させることによって閉栓さ
れるものであった。

ところで、フロート式ヒューエルカットオフバルブには
ヒューエルタンク内の正圧を逃す為のエマージェンシー
バルブがあるものと無いものとがあった。機能構造上、
一体化されたエマージェンシーバルブの有る場合には、
第２図(C)に示すように、エマージェンシーバルブ16′
がバルブケース20′内に装着され、その装着スペースを
得る為、バルブケース20′内側に膨出部20′ａが形成さ
れていた。従って、該膨出部20′ａの対応するフロート
12′の側周面には抉られた陥没部12′ａが形成され、陥
没部12′ａを膨出部20′ａに嵌合させてフロート12′が
浮力によって自由な上下動をするようバルブケース20′
内に収納されていた。

なお、図中、13′はバルブ穴、14′はシール突起であっ
てこれらによってヒューエルカットオフバルブ11′のシ
ール部が形成され、17′はベーパー流路に継げるホース
取付用ニップルであって、18′は該ニップルの座によっ
て形成されたヒューエルカットオフバルブ11′とエマー
ジェンシーバルブ16′とが共用するバルブルームであ
る。また、15は浮力補助バネである。

考案が解決しようとする問題点 ところが、従来、一般的であったフロート10a、12′を
用いたニードルバルブ方式のヒューエルカットオフバル
ブ10、11′は、バルブ穴10b、13′が小径で、かつシー
ル部のシール面がバルブ穴であり、断面急変部の為に異
物を付着仕易く、その上、異物の付着でバルブ穴10b、1
3′の目詰りを生じることとなった。

また、ヒューエルタンクには該ヒューエルタンク内の正
圧を逃がす為のエマージェンシーバルブが装着されてい
たが、ヒューエルカットオフバルブに一体化されていな
い場合には、ヒューエルタンクに別設置しなければなら
ない為、構造が複雑となり、だからといって、ヒューエ
ルカットオフバルブに一体化された場合には、第２図
(C)の如く、エマージェンシーバルブ16′をバルブケー
ス20′内に形成された膨出部20′ａに設置されることに
なり、その結果、該膨出部に対応した陥没部12′ａをフ
ロート12′に形成する必要を生じ、該フロート12′に浮
力を得る為には或る一定容積を要し、上記陥没部12′ａ
の減少した容積分を補うにはフロートを大型化しなけれ
ばならなかった。結局、ヒューエルタンクに取付けるに
要するヒューエルカットオフバルブのスペースは拡大さ
れ、ヒューエルタンクの大型化となり、レイアウトの制
約も大きくなって不都合であった。

そこで本考案は、ヒューエルタンクとキャニスタとを結
ぶベーパー流路のベントホールにヒューエルカットオフ
バルブが設置され、フロートで開閉栓される大径のシー
ル用パッキンと、そのシール面として平面の弁座とを備
えたヒューエルカットオフバルブのシール部を有し、該
シール部と並列するようそのバルブケース上面のヒュー
エルタンク外部に該ヒューエルタンク内部のバルブケー
ス外側のヒューエルタンク内空気層と通じるエマージェ
ンシーバルブを設置したフロート式ヒューエルカットオ
フバルブの供給がされることを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案はヒューエルタンクとキャニスタとを結ぶベーパ
ー流路のヒューエルタンク側出口のベントホールに設置
されたフロート式ヒューエルカットオフバルブにおい
て、ヒューエルカットオフバルブのバルブケースの外側
面にエマージェンシーバルブが並列になるよう備えら
れ、このエマージェンシーバルブの流路を上記ベーパー
流路のホース取付用ニップルの座のバルブルームに構成
し、更に、ヒューエルカットオフバルブを浮力で開閉栓
するフロートが設けられ、該フロートによる閉栓のシー
ル部にフロートの頂面周部分のシール用パッキンと、該
シール用パッキンとのシール面にバルブケース内の平面
な弁座とが備えられたフロート式ヒューエルカットオフ
バルブある。

作用 従って、車両の旋回、急制動、急発進、スラローム及び
凸凹路走行などでヒューエルタンク内の燃料液は液面変
化をし、ヒューエルタンク内で発生するベーパーとその
圧力がキャニスタを経由してエンジンに導入させている
ヒューエルタンクのベントホールに上記液面が達し、液
体をキャニスタに流出させてしまうことになった。そこ
で、ベントホール部分にフロートの浮力で閉栓するニー
ドルバルブよりなるヒューエルカットオフバルブを装着
する。そして、液面がヒューエルカットオフバルブに達
した場合には、該ヒューエルカットオフバルブのフロー
トが液面の変化によるその浮力で押上げられ、フロート
の頂面周部分のシール用パッキンと平面なバルブケース
内の弁座に押当てて閉栓する。ところで、大径のシール
用パッキンと平面な弁座とのシール部であるのでシール
面に異物の付着が少ない。そして、通常時のフロートが
加工して開栓状態になっている場合においては、シール
部が広く開口されるので流路断面を大きくし、ベーパー
とその圧力のキャニスタへ抵抗少く容易に供給する。

また、ヒューエルカットオフバルブにはシール部と並列
のエマージェンシーバルブが設けられ、ヒューエルタン
ク内に正圧を生じた場合には、ヒューエルカットオフバ
ルブのバルブケース外側のヒューエルタンク内空気層と
バルブケース上面のヒューエルタンク外部であるバルブ
ルームとを導通して正圧を逃がすことにする。そして、
シール部の開栓及びエマージェンシーバルブの開栓でベ
ーパー流路のホース取付用ニップルの座とされているバ
ルブルームに流出したベーパー及びその圧力はベーパー
通路でキャニスタを経由してエンジンに導入される。

実施例 以下、図面に基いて本考案の一実施例を説明すると、第
１図はフロート式ヒューエルカットオフバルブ構造を示
す。

図中、12はフロートであって、該フロート12の頂面周部
分にシール用パッキン14を設け、該シール用パッキン14
と当接するバルブケース20内の平面なシール面である弁
座20cとでシール部を構成される。更に、上記シール部
でベーパーとその圧力を開閉栓するヒューエルカットオ
フバルブのバルブケース20の上面には、該ヒューエルカ
ットオフバルブと並列に正圧バルブボール16aと正圧バ
ルブスプリング16bよりなるエマージェンシーバルブ16
が装着され、ボトムプレート20bでフロート12を収納し
たバルブケース20外側のヒューエルタンク１内空気層と
トッププレート20aで囲繞されたバルブケース20上面の
ヒューエルタンク外部であるバルブルーム18とが上記正
圧バルブボール16aの開栓で導通する。エマージェンシ
ーバルブの流路19はベーパー通路のホース取付用ニップ
ル17の座を構成しているバルブルーム18と共用に形成さ
れている。

なお、13はベーパー流路であり、15は、フロート12の浮
力を助勢する浮力補助バネである。

従って、ヒューエルタンク１の燃料液の液面がベントホ
ールに設置されたヒューエルカットオフバルブ11に達す
ると、フロート12が浮力補助バネ15の助勢を受けて押上
げられ、シール用パッキン14と弁座20cよりなるシール
部で液体がキャニスタに流出しないように閉栓する。し
かし、ヒューエルタンク内に正圧が生じた場合には、バ
ルブケース20上面の上記シール部と並列にされたエマー
ジェンシーバルブ16が、正圧バルブスプリング16bとの
均衡に基いて正圧バルブボール16aが押上げられて開栓
することによって正圧を逃がす。そして、液面がヒュー
エルカットオフバルブ11のフロート12に達していない開
栓された状態では、ヒューエルタンク内のベーパーとそ
の圧力が開栓された大径のシール用パッキン14と弁座20
cとよりなるシール部を通過し、該シール部が流路断面
を広く採れるので容易な通過になり、ベーパー流路13を
介してバルブルーム18に至り、ホース取付用ニップル17
からキャニスタを経由してエンジンに導入される。

考案の効果 以上の結果、本考案はヒューエルカットオフバルブのシ
ール部がフロートの頂面周部分のシール用パッキンとバ
ルブケース内の平面な弁座とで流路断面が広く採れ、ヒ
ューエルタンク内のベーパーとその圧力が容易に流出
し、かつ、シール部を大径のシール用パッキンと平面の
弁座とにした為、異物の付着が少なく、流路抵抗を増加
させることがない。また、エマージェンシーバルブをヒ
ューエルカットオフバルブのシール部と並列、かつヒュ
ーエルタンク内部のバルブケース外側のヒューエルタン
ク内空気層とバルブケース上面のヒューエルタンク外部
とを開栓することによって導通させるよう装着されたの
で、浮力を得る為のフロート部分を含むヒューエルタン
ク内部への収容スペースが必要最小となって、結果的
に、全体がコンパクトになり、ヒューエルタンクへの取
付けを容易にし、また、ヒューエルタンクの取付けも容
易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のフロート式ヒューエルカットオフバ
ルブ断面図である。第２図は、従来のヒューエルカット
オフバルブの断面図であって、(A)はボール式の断面
図、(B)はフロート式エマージェンシーバルブ無しの断
面図、(C)はフロート式エマージェンシーバルブ有りの
断面図である。第３図は、ヒューエルタンク構造説明図
であって、(A)は、全体構造説明図、(B)は１ベント方式
構造説明図、(C)は複数ベント方式構造説明図である。 １……ヒューエルタンク、２……キャニスタ、３……ベ
ントホール、４……ベーパー流路、５，５′……液面、
６……凸部、７……ペーパーリキッドセパレータ、８…
…複数ベーパー通路、９……ボール式ヒューエルカット
オフバルブ、９ａ……ボール、９ｂ……バルブ穴、９ｃ
……斜面、10……フロート式ヒューエルカットオフバル
ブ（エマージェンシーバルブ無）、10a……フロート、1
0b……バルブ穴、10c……シール突起、10d……バルブケ
ース、11……フロート式ヒューエルカットオフバルブ
（エマージェンシーバルブ有）、12……フロート、13…
…ベーパー流路、14……シール用パッキン、15……浮力
補助バネ、16……エマージェンシーバルブ、16a……正
圧バルブボール、16b……正圧バルブスプリング、17…
…ホース取付用ニップル、18……バルブルーム、19……
エマージェンシーバルブ流路、20……バルブケース、20
a……トッププレート、20b……ボトムプレート、20c…
…弁座。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヒューエルタンクとキャニスタとを結ぶベ
   ーパー流路のヒューエルタンク側出口のベントホールに
   設置されたフロート式ヒューエルカットオフバルブにお
   いて、ヒューエルカットオフバルブに浮力で開閉栓する
   フロートが設けられ、該フロート頂面周部分のシール用
   パッキンと、該シール用パッキンとのシール面にバルブ
   ケース内の平面な弁座とが備えられたフロートによる閉
   栓がされるシール部を有し、ヒューエルカットオフバル
   ブのバルブケースの外側面にエマージェンシーバルブが
   シール部と並列になるよう備えられ、このエマージェン
   シーバルブの流路を蒸気ベーパー流路のホース取付用ニ
   ップルの座のバルブルームを共用するように構成したこ
   とを特徴とするフロート式ヒューエルカットオフバル
   ブ。