JPH065238Y2 - 燃料タンクにおける燃料の過給防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は車両用エンジンの燃料タンクに対する給油時
の過給を防止するための装置に関する。

（従来の技術） 車両用エンジンの燃料タンクでは一般にタンクの安全を
図る意味合いから、最多燃料の充填時において第５図の
ように燃料タンク１の上部に燃料蒸気を溜めるための所
要広さの空気室１ａを確保するようになし、そして、公
害対策と燃料の経済性を図るために空気室１ａを途中に
カーボンキャニスターＣやチェックバルブＶなどの燃料
蒸気処理装置を配設したエバポラインで吸気マニホー
ルドに連結し、タンク１中に生じた燃料蒸気を吸気マニ
ホールド側に送り込むようにする一方、燃料タンク１と
注入管２とを導入パイプ３ａで連結してタンク内の燃料
蒸気の一部を注入管２に導くようになし、また注入管２
の入口端部には仕切弁４と操作板５を設け、仕切弁４の
弁箱４ａを導出パイプ３ｂでカーボンキャニスターＣに
連結し、燃料補給に当たり給油ノズルｎをノズルガイド
を通じ注入管２に挿入した際、ノズルｎにより操作板５
を回動させて仕切弁４を開き、注入管２や燃料タンク１
に溜まっている燃料蒸気を外部に放出することなくカー
ボンキャニスターＣに送るようにしている。

一方、燃料タンク内の燃料の溢出を防止する装置を用い
たものとして、燃料タンクの上壁を貫通させて下小筺体
を取付け、この下小筺体の上に、ブリーザパイプにつな
がると共に中央に環状突起部または円錐状の密着部を設
けた上小筺体を被着し、下小筺体の内部には球形フロー
トまたは円錐状のフロートを収容する一方、底壁には複
数の小孔を設け、注入パイプの下端を燃料タンクの所定
高さ位置に開口させたものが実開昭48-108010号により
提案されており、また、給水タンクのフロート弁とし
て、水の入口通路とこの通路を開閉する弁体を設けた弁
本体の下側に案内棒を垂設し、この案内棒に円筒状のフ
ロートを一定範囲上下できるように嵌挿し、案内棒を固
定した弁本体の下面および案内棒の下端にそれぞれ磁石
を取付ける一方、これに対向するフロートの上下の面に
磁性円板を取付け、フロートの上面をレバーを介して弁
体に連結し、タンク内の水位に応じてフロートに働く浮
力または重力によりフロートを昇降させ、弁体がチャタ
リングを起こさずに開閉するようにしたものが実開昭60
-61575号により提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来の第１の燃料タンクではタンク１と
注入管２とを単に導入パイプ３ａで連結するだけで、こ
れを閉塞する手段を備えていないために、給油時に給油
ノズルｎ中の圧力センサの不具合あるいは手動で給油す
るとき誤って一定以上の燃料がタンク１中に充填される
と、その燃料蒸気または燃料がエバポラインおよびパ
イプ３ａ，３ｂを通じカーボンキャニスターＣ側に流れ
てしまい、カーボンキャニスターＣやチェックバルブＶ
の機能を損なうと共に外部に流出してしまう。また、第
２の装置におけるフロートは揺動し易いものであり、車
両の旋回や急激な変速操作によって波立った燃料が下小
筺体内に流入した際、球形フロートを環状突起部に当接
させるものでは、液面の揺れの影響でフロートと突起部
がずれ易く、パイプの入口端をしっかりと閉じにくく、
一方、円錐状のフロートを円錐状の密着部に当接させる
ものでは、密着部に対しフロートが液面の揺れで傾いて
当接したときにはパイプの入口端が完全に閉じられない
ままになる恐れがある。更に第３のフロート弁は、フロ
ート自体で流体通路を開閉するものでなく、フロートの
昇降動作をレバーを介して別に存在する弁体を動かして
通路を開閉するようになされていて、構成が複雑で、二
つの磁石と二つの吸着板を必要とし、かつフロートの昇
降動作を規制する案内棒を必要としている。

そこで、この考案は給油時に誤動作することなく燃料タ
ンクに対する過給を確実に防いで、燃料を流出させず、
燃料蒸気処理装置の機能を低下させないようにすること
を目的とする。

（問題点を解決するための手段ならびに作用） 上記目的のもとにこの考案は、燃料タンクにおける燃料
の過給防止装置として、燃料タンクの上壁と注入管、仕
切弁と燃料蒸気処理装置とをそれぞれ導入パイプ、導出
パイプにより連結し、更に燃料タンクと燃料蒸気処理装
置とをエバポラインで連結し、燃料タンク内の上部に導
入パイプの入口端を開口させ、周壁と底壁とでコップ状
のチャンバーとなし、底壁の中央部には磁石片を設ける
と共にその周囲部に複数の通孔を設け、内部には、上半
部を半球状となし下半部を角形とし下面に吸着片を取付
けて最大の浮力を吸着片と上記磁石片との吸着力より大
きくした所要大きさのフロートを収容し、このフロート
に対向するチャンバーの上方部分または導入パイプの入
口端に円錐座部を設けた閉塞部材を上記導入パイプの入
口端または入口端周囲のタンク壁に取付けたことを特徴
とするものであり、燃料タンクに対する燃料の補給時に
注入管に給油ノズルを挿入することにより燃料タンク中
に燃料が注入され、閉塞部材に達すれば、燃料の一部が
底壁通孔からチャンバー内に入るようになるが流入当初
にはフロートはチャンバー底壁の磁石片に吸着されて動
かず、燃料が一定量になりフロートに一定の浮力が作用
するようになれば、フロートが一挙に浮上して導入パイ
プの入口端を閉じ、燃料タンク内の燃料レベルを一定に
し過給を防ぐ。

（実施例） 第１図はこの考案の実施例を示すものであるが、燃料タ
ンク１の内側上部には燃料蒸気を溜めるための空気室１
ａが設けられ、その空気室１ａは途中に燃料蒸気処理用
のカーボンキャニスターＣやチェックバルブＶなどを配
設したエバポラインで吸気マニホールドに連結され
て、タンク１中に生じた燃料蒸気を吸気マニホールドに
送り込むようになされ、また、燃料タンク１の上壁と注
入管２とは導入パイプ３ａで連結されて空気室１ａ中の
燃料蒸気の一部を注入管２に導入するようになされ、注
入管２の入口端部には仕切弁４と操作板５が設けられる
と共に仕切弁４の弁箱４ａは導出パイプ３ｂでカーボン
キャニスターＣに連結され、燃料の補給時に給油ノズル
ｎをノズルガイドを通じて注入管２に挿入することによ
り操作板５を回動させて仕切弁４を開き、注入管２や燃
料タンク１に溜まっている燃料蒸気をカーボンキャニス
ターＣに送るようになされていることは前記従来のもの
と変りない。

ところで、この考案では燃料タンク１の上壁と注入管２
とを結ぶ導入パイプ３ａのタンク内における入口端部に
は金属またはポリアミド，ポリアセタールなどの耐燃料
油性の合成樹脂からなる所要大きさの閉塞部材Ａが垂下
状態に設けられている。

そして、上記閉塞部材Ａは第２図のようにコップ状のチ
ャンバー６とこのチャンバー６の上方部分をなす円錐座
部７ａを備えたキャップ７とで形成され、また、コップ
状のチャンバー６は所要高さの周壁６ａと、中央部に磁
石片ｍ_１が取付けられその周囲に複数の通孔6cが穿設さ
れた底壁６ｂとで形成され、その内部には、上半部が導
入パイプ３ａの直径より大きな半球状をなし下半部が横
長な角形をなしその下面中央部に磁石または鉄片などの
吸着片m₂が取付けられ、最大の浮力ｆ_２が吸着片m₂とチ
ャンバー側の磁石片m₁との吸着力ｆ_１より大きくなされ
たフロート８が収容されていて、キャップ７の上端筒部
が導入パイプ３ａの入口端に嵌め込んで取付けられてい
る。

そして、タンク１内の燃料が少ないときにはフロート８
は吸着片m₂を介しチャンバー底壁の磁石片m₁に不動に吸
着されている。

そこで、注入管２の入口端に給油ノズルｎを挿し込んで
タンク１に燃料を補給するようにすれば、一方ではノズ
ルｎによって操作板５が外方に回動されて仕切弁４が開
かれ、注入管２に溜まっている燃料蒸気は導出パイプ３
ｂを通り、タンク１中の燃料蒸気は導入および導出パイ
プ３ａ，３ｂを通ってカーボンキャニスターＣ側に流
れ、他方ではタンク１中の燃料が順次に増加していく。

かくて、タンク１中の燃料が増加して閉塞部材Ａに達す
ると、燃料の一部がチャンバー底壁６ｂの通孔６ｃを通
ってチャンバー６中に入り込みフロート８を押し上げよ
うとする。ところで、フロート８下面の吸着片ｍ_２によ
ってチャンバー底壁６の磁石片ｍ_１に吸着されているの
で、燃料の流入当初からフロート８に対する押し上げ力
すなわち浮力が吸着力ｆ_１より小さなうちはフロート８
は静止して浮上せず、タンク１中に一定量の燃料が入り
フロート８に吸着力ｆ_１より大きな最大の浮力ｆ_２が作
用するようになれば、フロート８は一気に浮上して第３
図のようにキャップ７の円錐座部７ａの内面に圧接して
導入パイプ３ａの入口端を閉塞する。

この場合、フロート８が吸着片ｍ_２を持たないとする
と、チャンバー６中に燃料が下から入り圧力が作用する
ようになると、フロート８は浮上し始め、燃料表面の傾
きや揺れなどによってタンク中に一定量の燃料が入って
いないにも拘らず導入パイプ３ａの入口端を閉じてしま
うことがあるが、フロート８に一定の磁力を作用させる
ことにより、このような誤動作を防ぐことができる。ま
た、フロート８が浮上する際には下面に取付けた吸着片
ｍ_２がおもりになって、直立した姿勢を維持して上昇
し、半球状部が円錐座部７ａに正しく密接して導入パイ
プ３ａの入口端を確実に閉じることができる。

そして、タンク１中に一定量の燃料が入れば、空気室１
ａおよび注入管２内の蒸気圧が一定値に達し、それが給
油ノズルｎに組み込まれた圧力センサに感知され、給油
が停止される。

第４図は閉塞部材Ａの変更例を示すもので、チャンバー
６にはキャップを取付けることなく、フロート８が浮上
圧接すべき円錐座部７ａを導入パイプ３ａの入口端に形
成し、チャンバー６の周壁６ａはその円錐座部７ａを囲
むようにして上方に伸び上端が燃料タンク壁に固定され
ているが、その機能は上述の例と変りない。

また、チャンバー６は周壁６ａにも複数の通孔を設けて
もよい。

（考案の効果） 以上のようにこの考案では、燃料タンクにおける燃料の
過給防止装置として、燃料タンクの上壁と注入管、仕切
弁と燃料蒸気処理装置とをそれぞれ導入パイプ、導出パ
イプにより連結し、更に燃料タンクと燃料蒸気処理装置
とをエバポラインで連結し、燃料タンク内の上部に導入
パイプの入口端を開口させ、周壁と底壁とでコップ状の
チャンバーとなし、底壁の中央部には磁石片を設けると
共にその周囲部に複数の通孔を設け、内部には、上半部
を半球状となし下半部を角形とし下面に吸着片を取付け
て最大の浮力を吸着片と磁石片との吸着力より大きくし
た所要大きさのフロートを収容し、このフロートに対向
するチャンバーの上方部分または導入パイプの入口端に
円錐座部を設けた閉塞部材を導入パイプの入口端または
入口端周囲のタンク壁に取付けたので、フロートはチャ
ンバーへの燃料の入り初めには吸着片と磁石片の吸着力
によって静止して動かず、燃料液面の揺動や傾きによっ
て誤動作せず、フロートは一定の浮力を受けることによ
り一挙に浮上することになり、その際には、吸着片がお
もりになってフロートは傾くことなく直立した姿勢で浮
上し、半球状部が円錐座部に円周的にきちっと密接して
導入パイプの入口端を確実に閉じることができ、給油時
における燃料の過給または不足を防ぐことができ、しか
も燃料の少ない状態でフロートはガタつかず雑音を発し
たりせず、燃料や燃料蒸気の外部への流出と燃料蒸気処
理装置の損傷を確実に防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の線図的な側面図。 第２図イは閉塞部材の一例の断面図。 同図ロはイ図のＸ−Ｘ線に沿った断面図。 第３図はフロートが浮上した状態の断面図。 第４図は閉塞部材の変更例の断面図。 第５図は従来装置の線図的な側面図。 図中、 １……燃料タンク、１ａ……空気室 ２……注入管、３ａ……導入パイプ ３ｂ……導出パイプ、４……仕切弁 ５……操作板、６……チャンバー ６ａ……周壁、６ｂ……底壁 ６ｃ……通孔、７ａ……円錐座部 ８……フロート、Ａ……閉塞部材 ｍ_１……磁石片、ｍ_２……吸着片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料タンクの上壁と注入管、仕切弁と燃料
   蒸気処理装置とをそれぞれ導入パイプ、導出パイプによ
   り連結し、更に燃料タンクと燃料蒸気処理装置とをエバ
   ポラインで連結し、燃料タンク内の上部に導入パイプの
   入口端を開口させ、周壁と底壁とでコップ状のチャンバ
   ーとなし、底壁の中央部には磁石片を設けると共にその
   周囲部に複数の通孔を設け、内部には、上半部を半球状
   となし下半部を角形とし下面に吸着片を取付けて最大の
   浮力を吸着片と上記磁石片との吸着力より大きくした所
   要大きさのフロートを収容し、このフロートに対向する
   チャンバーの上方部分または導入パイプの入口端に円錐
   座部を設けた閉塞部材を上記導入パイプの入口端または
   入口端周囲のタンク壁に取付けてなる燃料タンクにおけ
   る燃料の過給防止装置。