JPH066916Y2

JPH066916Y2 - 化粧石膏ボード

Info

Publication number: JPH066916Y2
Application number: JP1988140843U
Authority: JP
Inventors: 勲杉山; 清文新島; 正一黒田
Original assignee: Shin Etsu Polymer Co Ltd
Current assignee: Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority date: 1988-10-28
Filing date: 1988-10-28
Publication date: 1994-02-23
Anticipated expiration: 2003-10-28
Also published as: JPH0261640U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、建築材料として壁や天井などに使用される化
粧石膏ボードの改良に関するものである。

［従来の技術］石膏ボードは、防火性、遮音性、断熱性、無伸縮性など
の特質から、高層建築物、公共施設及び一般住宅等の
壁、天井、パーティシヨン等に用いられ、その表面に
は、吹付塗装、紙や半硬質塩化ビニル製の壁紙、織物等
の貼付など種々の方法により施こされている。

しかしながら、これら従来の化粧石膏ボードは、突差し
強度が弱く、例えば、椅子や机等の角がぶつかることに
より、簡単にへこみが出来てしまうという問題があっ
た。

また、出隅、入隅等の切口は、その施工時に化粧層を巻
込み加工することが出来ず、見栄えの点でも満足出来る
ものではなかった。

更に、壁や天井からの湿気により、化粧層表面にしみや
汚れが現れたり、カビが発生するなど、種々の欠点があ
り、その解決が待望されている。

このような問題を解決する方法として、各種樹脂シート
を石膏ボード表面に貼合せることが考えられるが、防火
性、防煙性などの問題や、コスト面からも必ずしも満足
し得る評価が得られていないのが現状である。

［考案が解決しようとする課題］本考案は、上記従来の化粧石膏ボードが有する問題点に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは突
差し強度を強化し、施工時の出隅、入隅等の切口への化
粧層の巻込みを容易にして見栄えをよくするとともに、
湿気からくる化粧層表面のしわや汚れ並びにカビの発生
等を防止しうる化粧石膏ボードを提供しようとするもの
である。

［課題を解決するための手段］上記目的を達成するために本考案者らは、鋭意研究を重
ねた結果、すぐれた化粧石膏ボードを見出し、本考案を
完成した。

すなわち、本考案は、石膏ボード上に、塩化ビニル系樹
脂と該塩化ビニル樹脂１００重量部当り、可塑剤１０〜
５０重量部と無機顔料及び／又は無機充填剤を１００〜
４４０重量部を配合してなる塩化ビニル系樹脂シート、
好ましくはこのシートの厚みが０．１〜１mmであるシー
トを、一体に貼り合わせ、その上に化粧層を設けた化粧
石膏ボードを要旨とするものである。

以下、本考案を詳しく説明する。

本考案における石膏ボードは、通常建築材料として知ら
れた、例えば厚さ９〜１５mmのものである。

本考案の化粧石膏ボードに用いられる塩化ビニル系樹脂
は、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニルを主体とし、これを
共重合し得るモノマーとの共重合体を包含する。

塩化ビニルと共重合し得るモノマーとしては、ビニルエ
ステル類、ビニルエーテル類、アクリル酸又はメタクリ
ル酸及びこれらのエステル類、マレイン酸又はフマール
酸及びこれらのエステル類、並びに無水マレイン酸、芳
香族ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピ
レンなどがあげられる。

また、本考案の化粧石膏ボードに使用される可塑剤とし
ては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレ
ート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレー
ト、ジイソデシルフタレート、ジドデシルフタレート、
ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類；アジ
ピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−ｎ−ブチル、セバシ
ン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類；ペンタエ
リスリトールエステル、ジエチレングリコールジベンゾ
エート等のグリコールエステル類；アセチルリシノール
酸メチル等の脂肪酸エステル類；トリクレジルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート等の、りん酸エステル
類；エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキ
シ化油；アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ
オクチルシトレート、トリ−ｎ−ブチルシトレート等の
クエン酸エステル類；トリアルキルトリメリテート、テ
トラ−ｎ−オクチルピロメリテート、ポリプロピレンオ
ジペート、その他ポリエステル系等の種々の構造の可塑
剤があげられる。

また、本考案において使用しうる無機顔料としては、例
えば、ルチル型又はアナターゼ型酸化チタン等のチタン
化合物があげられる。さらに、無機充填剤としては、重
質炭酸カルシウム、形質炭酸カルシウム及びカオリンク
レーの他、アルミニウムや銅などの金属粉があげられ
る。

本考案の塩化ビニル系樹脂シートは、塩化ビニル系樹脂
と可塑剤と無機顔料及び／又は無機充填剤とが、それぞ
れ１００：１０〜５０：１００〜４４０の重量割合で均
一配合されたものからつくられる。塩化ビニル系樹脂１
００重量部に対して可塑剤の量が１０重量部未満では、
出隅、入隅等の巻込み加工時に折れてしまい、５０重量
部を超えると燃えやすくなり、石膏ボードの特性（防火
性、防煙性）を損うから不都合である。また、無機顔料
及び／又は無機充填剤が１００重量部未満では、燃えや
すくなり、石膏ボードの特性（防火性、防煙性）を損
い、４４０重量部を超えると脆くなり、巻込み加工がで
きなくなるので好ましくない。

また、本考案のシートには必要に応じて通常の各種樹脂
添加剤、例えば、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔
料、染料、難燃剤等を配合することが出来る。

使用しうる熱安定剤としては、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸カドミウム、リシノール酸バリ
ウム等の金属石鹸類；三塩基性硫酸亜鉛、二塩基性亜リ
ン酸亜鉛、ジブチルすずラウレート、ジブチルすずマレ
ート、ジ−ｎ−オクチルすずメルカプタイド、ジメチル
すずメルカプタイドのような有機すず化合物等があげら
れる。

使用しうる滑剤としては、ステアリン酸、パルミチン
酸、ミスチリン酸等の脂肪酸系滑剤；ステアリン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアマイ
ド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド系滑
剤；ブチルステアレート、ブチルパルミテート等のエス
テル系滑剤、あるいは、ポリエチレンワックス、流動パ
ラフィン等があげられる。

使用しうる紫外線吸収剤としては、ベンゾエート系紫外
線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線
吸収剤、フェニルサリシレート系紫外線吸収剤等があげ
られる。

これら各種樹脂添加物は、通常の配合量、例えば、塩化
ビニル系樹脂１００重量部当り、２０重量部以下の範囲
で選ぶことができる。

塩化ビニル系樹脂に可塑剤、各種樹脂添加剤、無機顔料
及び／又は、無機充填剤を配合するには、通常の混合、
配合技術、例えば、リボンブレンダー、バンバリーミキ
サー、スーパーミキサー、その他の従来から知られてい
る配合機、混合機が使用される。

本考案のシートは上記のような樹脂配合物を公知の方
法、例えば溶融押出成形法、溶融流延法、カレンダー成
形法で容易に製造することができる。

また、シートの厚さは、０．１〜１mm、好ましくは０．
２〜０．５mmの範囲で選ぶことが出来る。これは、０．
１mm未満では突差強度を充分に満足することが出来ず、
また、１mmを越える厚さでは、施工時の切断や、切口の
巻込み加工が難しくなるので好ましくない。

このようにして得られたシートを石膏ボードに貼合せる
には、酢酸ビニル系やエポキシ系等の接着剤、アクリル
系やＥＶＡ系等の粘着剤が好適に用いられる。

化粧層は、上記シート上に、従来知られた吹付塗装や模
様等の化粧が施された塩化ビニルシート（軟質、硬質及
び半硬質）や紙、織物、不織布の貼付等種々の方法によ
り形成される。

また、化粧石膏ボードを施工するときに出隅、入隅等の
切口に化粧層を巻込み加工するには、まず、巻込みしろ
を含めた部位をカッター等で切断し、次いで、切断しよ
うとする部位の裏側からカッターで３〜５mmの切込みを
つけ、表側に折り曲げると、石膏ボードのみが切断出来
る。さらに、この巻込みしろの部分の石膏ボードを該シ
ートから剥離し、第２図に示した化粧層の巻込みしろを
有した石膏ボードが得られる。この巻込みしろに、前述
した接着剤や粘着剤を塗布し、或は、両面粘着フィルム
等を貼付け、切口を矢印の方向に巻込むことが出来る。

このようにして、石膏ボードの切断面が表側より見えな
いようにすることが出来るため、見栄えをきわめて良好
に仕上げることが出来る。

以下、本考案に係る構造物を実施例にもとづいて説明す
るが、本考案はその要旨を超えない限り、以下の例に限
定されるものではない。

第１図は、本考案の化粧石膏ボードの部分断面図で、石
膏ボード１の表面に塩化ビニル系樹脂組成物シート２が
貼り合わされ、その上に化粧層３が設けられている。

実施例１（シートの調整）ポリ塩化ビニル（＝1000）１００重量部ジオクチルフタレート３０〃ステアリン酸鉛１０〃ステアリン酸２．５〃重質炭酸カルシウム２２０〃よりなる樹脂組成物をまず調整した。次いで、この樹脂
組成物を１６５℃に加温したカレンダーロールに供給し
て混練したのち、厚さ０．５mmのシートとした。以下シ
ートという。

（石膏ボードへの貼付）厚さ１２mmの石膏ボード表面に厚さ４０μのアクリル系
両面粘着フィルムをラミネートし、次いで、シートを２
本のロールより構成されるラミネーターにて加圧接着し
貼った。

（化粧層の貼付）このようにして得られた石膏ボードのシート表面に、前
述した両面粘着フィルムをラミネートし、次いで、厚さ
７０μの半硬質塩化ビニル樹脂製壁紙を同様のラミネー
ターにて貼付した。

実施例２（シートの調整）実施例１に同じ（石膏ボードへの貼付）実施例１に同じ（化粧層の貼付）このようにして得られた石膏ボードのシート表面に、前
述した両面粘着フィルムをラミネートし、次いで４０ｇ
／m²の不織布製壁紙を同様のラミネーターにて貼付し
た。

比較例１（化粧層の貼付）実施例１において、シートを使用しないほかは全く同様
の操作をした。本例においては、石膏ボードの表面に、
前述した両面粘着フィルムをラミネートし、これに厚さ
７０μの半硬質塩化ビニル樹脂製壁紙を貼付した。

比較例２（化粧層の貼付）比較例１において、半硬質塩化ビニル樹脂製壁紙に換え
て、４０ｇ／m²の不織布を用いて化粧石膏ボードを作成
した。

比較例３（化粧層の貼付）比較例１において、化粧用壁紙として紙製の厚さ７０μ
の壁紙を用いて同様の化粧石膏ボードを作成した。

比較例４（化粧層の貼付）比較例１において、化粧用壁紙として厚さ０．６１mmの
半硬質塩化ビニル樹脂シートを用いて同様の化粧石膏ボ
ードを作成した。

評価の方法 1)突差強度幅３００mm、長さ３００mm、厚さ１２mm、質量９００ｇ
石膏ボード試験片の化粧層側を半径３０mmの木製机の角
に時速４kmの速さで衝突させたときの化粧層表面の凹み
状態を観察した。

2)切口の化粧層の巻込み加工性前述した化粧層の巻込み加工についての可否を観察し
た。

3)耐水性石膏ボードの化粧層を下向きに水平にして設置し、上か
ら３０ｇの水を滴下した後、３日後の化粧層を観察し
た。

実施例、比較例をテストした結果、第１表に示すとおり
であった。

［考案の効果］上記のような本考案の化粧石膏ボードは、突差し強度と
耐水性にすぐれ、切口の巻込み加工が容易で見栄えがよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の化粧石膏ボードの部分拡大断面図で
あり、第２図は本考案の化粧石膏ボードの巻込み加工を
説明する模式図である。１……石膏ボード２……塩化ビニル系樹脂組成物シート３……化粧層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】石膏ボード上に、塩化ビニル系樹脂と該塩
化ビニル系樹脂１００重量部当り、可塑剤１０〜５０重
量部と無機顔料及び／又は無機充填剤を１００〜４４０
重量部を配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物からなる
シートを一体に貼り合わせ、その上に化粧層を設けた化
粧石膏ボード。