JPH0665570A - 電場発光蛍光体およびその製造方法 - Google Patents

電場発光蛍光体およびその製造方法

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JPH0665570A
JPH0665570A JP3044793A JP3044793A JPH0665570A JP H0665570 A JPH0665570 A JP H0665570A JP 3044793 A JP3044793 A JP 3044793A JP 3044793 A JP3044793 A JP 3044793A JP H0665570 A JPH0665570 A JP H0665570A
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恵 須田
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尚志郎 猿田
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Mitsuhiro Oikawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実用上十分な防湿性を有し、かつ蛍光体が本
来有する発光特性を十分に発揮させることが可能な電場
発光蛍光体を提供する。 【構成】 硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤として銅
およびマンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共付活
剤として塩素、臭素、よう素およびアルミニウムから選
ばれた少なくとも 1種とを含有させた電場発光蛍光体で
あって、その表面が酸化珪素を主成分とする防湿性非粒
状膜にて被覆されている。この防湿性非粒状膜は、副成
分として、例えば酸化アルカリ土類金属を含む珪酸塩を
含有していてもよい。防湿性非粒状膜は、通常の焼成法
により作製した電場発光蛍光体と、珪素を含む有機金属
化合物、例えばエチルシリケートとを少なくとも混合し
た後、 150℃以下の温度でベーキングして形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機分散型の電場発光
蛍光体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機分散型電場発光蛍光体(以下、EL
蛍光体と称する)は、これを誘電物質中に分散させて発
光体層を形成し、この発光体層の両側に電極を配置する
と共に、少なくとも一方の電極を透明電極にて構成し、
この電極間に交流電圧を印加することにより発光させる
ものである。このようなEL蛍光体としては、硫化亜鉛
(ZnS)を母体とし、これに付活剤として銅やマンガン、
共付活剤として塩素、臭素、よう素、アルミニウム等を
含有させたものが一般的に用いられている。
【0003】この種のEL蛍光体は、微量の水分の影響
を強く受けるため、十分に水分から隔離した環境とせず
に、これを励起した場合には輝度の経時劣化が大きく、
実用に耐えないという欠点を有している。従って、上記
したようなEL蛍光体を用いた有機分散型ELパネル
(以下、ELパネルと称する)では、通常、発光体層
を、ナイロンフィルム等による補水層、および三フッ化
塩化エチレンフィルム等による防湿層により覆ってい
る。しかし、これらのフィルムの光吸収作用により、E
L発光の効率は少なからず低下し、並びに製造プロセス
を複雑にするという問題が存在しており、かつコスト面
においても非常に不利であった。
【0004】このような問題を解消するためには、例え
ばEL蛍光体自身の抜本的な改質が必要となるが、現状
のEL蛍光体では、蛍光体粒子中に水分に対して極めて
不安定なCuS を析出させる必要があり、これに代替する
有効な材料も発見されていない。そこで、EL蛍光体自
身に表面処理を施すことにより、防湿性を持たせること
が検討されている。
【0005】例えば、EL蛍光体粒子の表面に粗水性シ
リカ微粒子を被覆する(特開昭63-23987号公報参照)、
EL蛍光体粒子表面にフッ化カルシウム、フッ化ストロ
ンチウム、フッ化マグネシウム、フッ化亜鉛、フッ化バ
リウム等を被覆する(特開平2-173086号公報参照)等の
防湿対策が提案されている。しかし、これらの方法では
蛍光体表面を完全に水分から隔離することができず、従
って補水フィルムや防湿フィルムを取り除いたELパネ
ルで、実用上十分な寿命特性を得るまでには至っていな
い。また、EL蛍光体粒子をオゾンガスにて処理するこ
とにより、表面に酸化物被膜を析出させる方法(特開平
2-94287号公報参照)が提案されているが、この方法に
用いるオゾンは発ガン性物質であり、安全上製造工程に
適用するためには多大なコストを要する等といった難点
を有している。
【0006】また、蛍光体表面に化学的気相成長法によ
りアルミナの非粒状膜を被覆形成することが提案されて
いる(特開平 2-38482号公報参照)が、この方法では 4
00℃以上の高温にEL蛍光体を晒さねばならず、上述し
たEL蛍光体の発光色調をはじめとする諸特性に、甚大
な悪影響を及ぼしてしまう。また、アルミナによる非粒
状膜は、EL蛍光体の発光輝度を大きく低下させてしま
うという輝度特性上の問題も有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のEL蛍光体に対する防湿処理は、いずれも実用上十分
な防湿性が得られない、製造コストが高くなる、あるい
は製造過程で蛍光体自身が劣化したり、EL蛍光体の発
光輝度に悪影響を及ぼす等の種々の問題を有していた。
このようなことから、ELパネルを作製した際に、補水
フィルムや防湿フィルを設けることなく、実用上十分な
寿命特性(防湿性)が得られると共に、発光輝度等の蛍
光体特性に悪影響を及ぼすことのない、容易でかつ安全
なEL蛍光体に対する防湿処理の開発が強く求められて
いる。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、実用上十分な防湿性を有すると共
に、蛍光体が本来有する発光輝度を十分に発揮させるこ
とが可能な電場発光蛍光体を提供することを目的として
おり、また、そのような電場発光蛍光体を、本来の特性
に悪影響を及ぼすことなく、容易にかつ安全に製造する
ことを可能にした電場発光蛍光体の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電場発光蛍光体
は、硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤として銅および
マンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共付活剤とし
て塩素、臭素、よう素およびアルミニウムから選ばれた
少なくとも 1種とを含有させた電場発光蛍光体であっ
て、その表面が酸化珪素を主成分とする防湿性非粒状膜
にて被覆されていることを特徴としている。また、上記
防湿性非粒状膜は、副成分として酸化アルカリ土類金属
を含む珪酸塩を含有することを特徴としている。
【0010】また、本発明の電場発光蛍光体の製造方法
は、硫化亜鉛を母材とし、これに付活剤として銅および
マンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共付活剤とし
て塩素、臭素、よう素およびアルミニウムから選ばれた
少なくとも 1種とを混合して原料物質を調製し、この原
料物質を焼成して電場発光蛍光体を作製する工程と、前
記電場発光蛍光体と珪素を含む有機金属化合物とを少な
くとも混合した後、150℃以下の温度で熱処理し、該電
場発光蛍光体の表面に酸化珪素を主成分とする防湿性非
粒状膜を被覆形成する工程とを有することを特徴として
いる。
【0011】本発明の電場発光蛍光体は、その表面に防
湿被膜として、酸化珪素を主成分とする非粒状膜を有す
るものである。この防湿性非粒状膜の構成材料は、酸化
珪素を主成分とするものであればよく、例えば酸化珪素
単体や、酸化珪素を主成分とし、これに副成分として酸
化アルカリ土類金属を含む珪酸塩を含有させた混合物等
が例示される。酸化珪素のみで構成した非粒状膜でも、
十分な防湿性が得るれるが、副成分として酸化アルカリ
土類金属を含む珪酸塩を含有させることによって、防湿
効果がより一層向上するため、例えば非粒状膜の膜厚を
薄くすることができる。この副成分の添加割合は 50%以
下とするが、初期輝度の低下を考慮すると、 40%以下と
することが好ましい。また、防湿性の向上効果は 10%程
度から顕著となるため、副成分の添加割合は 10%〜 40%
程度とすることが好ましい。
【0012】上記防湿性非粒状膜の膜厚は、特に限定さ
れるものではないが、あまり薄いと十分な防湿性が得ら
れ難く、またあまり厚いと励起電場を電場発光蛍光体に
印加しにくくなる。また、非粒状膜の構成材料によって
も異なるため、酸化珪素のみで非粒状膜を構成する場合
には、実用上 0.1μm 〜 2.0μm 程度の膜厚とすること
が好ましく、副成分として酸化アルカリ土類金属を含む
珪酸塩を含有する場合には、0.01μm 〜 2.0μm 程度の
膜厚とすることが好ましい。
【0013】本発明の防湿性非粒状酸化珪素膜を有する
電場発光蛍光体は、例えば以下のようにして製造され
る。まず、硫化亜鉛を母材とし、これに付活剤として銅
およびマンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共付活
剤として塩素、臭素、よう素およびアルミニウムから選
ばれた少なくとも 1種とを混合して原料物質を調製す
る。次いで、この原料物質を焼成した後、しかるべき洗
浄処理を施して電場発光蛍光体を得る。
【0014】次に、上記電場発光蛍光体に珪素を含む有
機金属化合物を少なくとも添加し、十分に混合すること
により、有機金属化合物の被膜を形成する。この珪素を
含む有機金属化合物としては、エチルシリケート(Si(C
2 H 5 ) 4 )、ブチルシリケート(Si(C3 H 7 ) 4 )等
の比較的低温での熱処理により、容易に珪素の酸化被膜
が得られるものが好ましい。また、副成分として酸化ア
ルカリ土類金属を含む珪酸塩を含有させる場合には、ア
ルカリ土類金属の酸化物を上記珪素を含む有機金属化合
物の溶液中に添加すればよい。上記被膜形成は、若干の
温度を加えつつ行うことが好ましい。このようにして、
電場発光蛍光体に珪素を含む有機金属化合物を主とする
被膜を形成した後、 150℃以下の温度で熱処理を施すこ
とによって、酸化珪素を主成分とする非粒状膜で被覆し
た電場発光蛍光体が得られる。
【0015】ここで、本発明においては、表面処理時の
温度を 150℃以下とすることが重要である。処理温度が
150℃を超えると、電場発光蛍光体の発光色調が緑味を
帯び、また温度が上がるにつれて初期輝度が低下し、電
場発光蛍光体が本来有する特性が得られなくなる。言い
換えれば、 150℃以下の温度での熱処理により、酸化珪
素を主成分とする非粒状膜を形成することが可能な有機
金属化合物を用いることが重要である。
【0016】
【作用】本発明の電場発光蛍光体においては、酸化珪素
を主成分とする防湿性非粒状膜を、珪素を含む有機金属
化合物等を用いることにより、 150℃以下の表面処理温
度で形成することを可能にしているため、蛍光体特性に
悪影響を及ぼすことなく、十分な防湿性を付与すること
ができる。また、酸化珪素を主成分とする非粒状膜は、
アルミナ膜に比べて発光輝度に対する影響が小さいた
め、適切な範囲の厚さで形成することにより、蛍光体が
本来有する発光輝度を十分に維持することができる。さ
らに、非粒状膜に副成分として酸化アルカリ土類金属を
含む珪酸塩を含有させることによって、より一層防湿性
が向上するため、非粒状膜の膜厚をより薄くすることが
できる。これによって、発光特性の経時劣化等を抑制し
た上で、電場発光蛍光体の発光輝度等の向上を図ること
ができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0018】実施例1 蛍光体母体となる ZnSに、付活剤の原料としてCuSO
4 と、共付活剤の原料としてNaBrおよびKBr を湿式にて
添加、混合し、このスラリーを乾燥した後、 H2 S雰囲
気中にて 900℃の温度で 120分間焼成し、 ZnS:Cu,Br型
EL蛍光体を得た。この ZnS:Cu,Br型EL蛍光体20kg
に、 5kgのエタノールを加えて洗浄し、上澄みを除去し
た後濾過し、蛍光体濾過ケークを得た。この濾過ケーク
を市販の回転コニカル乾燥機の中に移し、80℃および 3
mmHgの低圧に保たれた回転反応槽にて、 30rpmのスピー
ドで 120分間回転させて、十分に乾燥させた。
【0019】次に、エチルシリケートの8%エタノール分
散液10kgを撹拌し、これを 3mmφの樹脂性パイプを用い
て、上記回転反応槽のリークノズルを経て、回転させな
がら約 1kg/分の流量にて 1分間反応槽中に噴射した。
噴射後 9分間そのまま回転させ、この噴射、回転を合計
10回繰り返した。全ての分散液を噴射した後、さらに30
分間回転させた。この後、回転反応槽から蛍光体を取り
出し、 140℃にて 8時間ベーキングを行った。こうし
て、表面に約0.40μm の厚さの非粒状酸化珪素膜が形成
されたEL蛍光体を得た。
【0020】このようにして得た非粒状酸化珪素膜を有
するEL蛍光体を用いて、補水フィルムおよび防湿フィ
ルムを設けることなくELパネルを作製し、恒温恒湿状
態(温度25℃、相対湿度50%)にて100V,400Hzの交流電圧
を印加し、この際の初期輝度および輝度半減時間を測定
した。なお、ELパネルの寿命は、一般的に初期輝度が
半減するまでの時間によって示される。
【0021】それらの結果を通常のEL蛍光体(非粒状
酸化珪素膜なし)によるELパネルの結果と共に表1に
示す。比較例としては、通常のELパネルと同様に、補
水フィルムおよび防湿フィルムで覆ったもの(比較例
1)と、補水フィルムおよび防湿フィルムを用いていな
いもの(比較例2)とを示した。表1から明らかなよう
に、初期輝度および輝度半減期共に、補水、防湿フィル
ムを有する通常のELパネルと同等かそれ以上であり、
防湿性非粒状酸化珪素膜は多大な効果を示すことが分か
る。
【0022】また、上記実施例によるELパネル、それ
に補水フィルムおよび防湿フィルムを設けたもの(参考
例)、および比較例1、2の各ELパネルを用い、これ
らの輝度経時変化を上記測定と同一条件下で測定した。
その結果を図1に示す。なお、図1は初期輝度を 100と
した時の相対輝度の経時変化を示す。図1から明らかな
ように、非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を用いて
作製したELパネルは、補水フィルムおよび防湿フィル
ムの有無にかかわらず、補水フィルムおよび防湿フィル
ムを有する通常のELパネルと同様の輝度経時変化を示
しており、EL蛍光体自身が実用的な防湿性を有してい
ることが分かる。
【0023】実施例2 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの2%エタノール分散液により、実
施例1と同様の方法で処理した。こうして表面に約0.10
μm の非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。こ
のEL蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネル
による初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件
は実施例1と同)を表1に示す。輝度、輝度半減期共
に、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネルと同
等で、非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分
かる。
【0024】実施例3 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの4%エタノール分散液により、実
施例1と同様の方法で処理した。こうして表面に約0.25
μm の非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。こ
のEL蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネル
による初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件
は実施例1と同)を表1に示す。輝度、輝度半減期共
に、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネルと同
等で、非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分
かる。
【0025】実施例4 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケート10%エタノール分散液により、実
施例1と同様の方法で処理した。こうして表面に約0.75
μm の非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。こ
のEL蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネル
による初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件
は実施例1と同)を表1に示す。輝度、輝度半減期共
に、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネルと同
等で、非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分
かる。
【0026】実施例5 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの 10%エタノール分散液を15kg用
いて、実施例1と同様の方法にて、噴射、回転を合計15
回繰り返し行って処理した。こうして表面に約1.25μm
の非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。このE
L蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネルによ
る初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件は実
施例1と同)を表1に示す。輝度、輝度半減期共に、補
水、防湿フィルムを有する通常のELパネルと同等で、
非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分かる。
【0027】実施例6 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケート10%エタノール分散液を15kg用い
て、実施例1と同様の方法にて、噴射、回転を合計27回
繰り返し行って処理した。こうして表面に約 2.0μm の
非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネルによる
初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件は実施
例1と同)を表1に示す。輝度、輝度半減期共に、補
水、防湿フィルムを有する通常のELパネルと同等で、
非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分かる。
【0028】実施例7 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液により、実
施例1と同様の方法で処理した。こうして表面に約0.05
μm の非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。こ
のEL蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネル
による初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件
は実施例1と同)を表1に示す。輝度半減期が補水、防
湿フィルムを有する通常のELパネルよりは劣るもの
の、同様な構成のELパネルよりは、輝度の経時劣化が
抑制されていることが分かる。
【0029】実施例8 実施例1と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの 10%エタノール分散液15kgを用
いて、実施例1と同様の方法にて、噴射、回転を合計32
回繰り返し行って処理した。こうして表面に約2.20μm
のの非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍光体を得た。この
EL蛍光体の非粒状酸化珪素膜の膜厚と、ELパネルに
よる初期輝度および輝度半減期の測定結果(測定条件は
実施例1と同)を表1に示す。初期輝度の低下が大き
く、若干実用上の問題を有しているものの、輝度半減期
は十分な値を示している。
【0030】
【表1】 実施例9 実施例1と同様の方法で作製した ZnS:Cu,Br型EL蛍光
体の濾過ケークを、実施例1と同様に回転コニカル乾燥
機を用いて乾燥させた。次に、エチルシリケートの1%エ
タノール分散液10kgに、酸化カルシウムを 20g添加し、
2時間撹拌した後、これを 3mmφの樹脂性パイプを用い
て、回転反応槽のリークノズルを経て回転させながら、
約 1kg/分の流量にて、 ZnS:Cu,Br型EL蛍光体が収容
された回転反応槽中に 1分間噴射した。噴射後 9分間そ
のまま回転させ、この噴射、回転を合計10回繰り返し
た。全ての分散液を噴射した後、さらに30分間回転させ
た。この後、回転反応槽から蛍光体を取り出し、 140℃
にて 8時間ベーキングを行った。こうして、表面に酸化
珪素を主成分とし、副成分として酸化カルシウムの珪酸
塩と含有する非粒状膜(珪酸塩を含む非粒状酸化珪素
膜:酸化カルシウムの添加量=20%)が約0.05μm の厚さ
で形成されたEL蛍光体を得た。
【0031】このようにして得た非粒状膜を有するEL
蛍光体を用いて、実施例1と同様に、補水フィルムおよ
び防湿フィルムを設けることなくELパネルを作製し、
実施例1と同一条件で初期輝度および輝度半減時間を測
定した。
【0032】それらの結果を、同一膜厚の非粒状酸化珪
素膜を有するEL蛍光体を用いたELパネル(実施例
7)、および補水フィルムおよび防湿フィルムで覆った
通常のELパネル(比較例1)の結果と共に、表2に示
す。表2から明らかなように、防湿性非粒状膜の膜厚を
0.05μm と薄くしたにもかかわらず、初期輝度および輝
度半減期共に、補水、防湿フィルムを有する通常のEL
パネルと同等であり、珪酸塩を含む非粒状酸化珪素膜は
多大な効果を示すことが分かる。
【0033】実施例10 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に 10gの酸
化カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同
様の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非
粒状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量=10%)が約0.
05μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添
加量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の
測定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。輝
度半減期は、補水、防湿フィルムを有する通常のELパ
ネルより若干劣るものの、同一膜厚の酸化珪素からなる
非粒状膜を有するEL蛍光体を用いたELパネルよりは
輝度劣化が抑制されており、この実施例の珪酸塩を含む
非粒状酸化珪素膜は、良好な防湿効果を有することが分
かる。
【0034】実施例11 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に 15gの酸
化カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同
様の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非
粒状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量=15%)が約0.
05μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添
加量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の
測定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。輝
度、輝度半減期共に、補水、防湿フィルムを有する通常
のELパネルと同等で、珪酸塩を含む非粒状酸化珪素膜
の防湿効果は大であることが分かる。
【0035】実施例12 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に 30gの酸
化カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同
様の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非
粒状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量=30%)が約0.
05μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添
加量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の
測定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。輝
度、輝度半減期共に、補水、防湿フィルムを有する通常
のELパネルと同等もしくはそれ以上で、珪酸塩を含む
非粒状酸化珪素膜の防湿効果は大であることが分かる。
【0036】実施例13 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に 40gの酸
化カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同
様の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非
粒状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量=40%)が約0.
05μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添
加量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の
測定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。初
期輝度は、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネ
ルより若干劣るものの、輝度半減期はそれ以上であり、
珪酸塩を含む非粒状酸化珪素膜は十分な防湿効果を有す
ることが分かる。
【0037】実施例14 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に5gの酸化
カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同様
の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非粒
状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量= 5%)が約0.05
μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL蛍
光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添加
量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の測
定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。輝度
半減期は、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネ
ルより劣るものの、同一膜厚の酸化珪素からなる非粒状
膜を有するEL蛍光体を用いたELパネルよりは輝度劣
化が抑制されていることが分かる。
【0038】実施例15 実施例9と同様の方法にて得た ZnS:Cu,Br型EL蛍光体
を、エチルシリケートの1%エタノール分散液に 50gの酸
化カルシウムを添加混合した処理液にて、実施例9と同
様の方法で処理した。こうして、表面に珪酸塩を含む非
粒状酸化珪素膜(酸化カルシウムの添加量=50%)が約0.
05μm の厚さで形成されたEL蛍光体を得た。このEL
蛍光体の非粒状酸化珪素膜における酸化カルシウムの添
加量と、ELパネルによる初期輝度および輝度半減期の
測定結果(測定条件は実施例9と同)を表2に示す。初
期輝度は、補水、防湿フィルムを有する通常のELパネ
ルより劣り、若干実用上の問題を有しているものの、輝
度半減期は十分な値を示している。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、防
湿性に優れた酸化珪素を主成分とする防湿性非粒状膜
を、蛍光体の特性に悪影響を与えることなく、かつ安全
で容易に形成することができるため、実用上十分な防湿
性を有すると共に、蛍光体が本来有する特性を十分に発
揮させることが可能な電場発光蛍光体を提供することが
可能となる。よって、補水フィルムや防湿フィルムを構
造中に含まない、安価で簡易なELパネルの製造が可能
となり、実用上大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による非粒状酸化珪素膜を有するEL蛍
光体と従来のEL蛍光体とを用いて作製した補水、防湿
フィルムを有するELパネルと補水、防湿フィルムを有
さないELパネルそれぞれの相対輝度の経時変化を示す
図である。
フロントページの続き (72)発明者 及川 充広 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化亜鉛を母体とし、これに付活剤とし
    て銅およびマンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共
    付活剤として塩素、臭素、よう素およびアルミニウムか
    ら選ばれた少なくとも 1種とを含有させた電場発光蛍光
    体であって、その表面が酸化珪素を主成分とする防湿性
    非粒状膜にて被覆されていることを特徴とする電場発光
    蛍光体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電場発光蛍光体におい
    て、 前記防湿性非粒状膜は、副成分として、酸化アルカリ土
    類金属を含む珪酸塩を含有することを特徴とする電場発
    光蛍光体。
  3. 【請求項3】 硫化亜鉛を母材とし、これに付活剤とし
    て銅およびマンガンから選ばれた少なくとも 1種と、共
    付活剤として塩素、臭素、よう素およびアルミニウムか
    ら選ばれた少なくとも 1種とを混合して原料物質を調製
    し、この原料物質を焼成して電場発光蛍光体を作製する
    工程と、 前記電場発光蛍光体と珪素を含む有機金属化合物とを少
    なくとも混合した後、150℃以下の温度で熱処理し、該
    電場発光蛍光体の表面に酸化珪素を主成分とする防湿性
    非粒状膜を被覆形成する工程とを有することを特徴とす
    る電場発光蛍光体の製造方法。
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