JPH0665311A - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造方法

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JPH0665311A
JPH0665311A JP22254592A JP22254592A JPH0665311A JP H0665311 A JPH0665311 A JP H0665311A JP 22254592 A JP22254592 A JP 22254592A JP 22254592 A JP22254592 A JP 22254592A JP H0665311 A JPH0665311 A JP H0665311A
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polyvinyl butyral
solvent
butyral resin
resin
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JP22254592A
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Hiroko Minamino
裕子 南野
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フローリーの最高アセタール化度(81.6
モル%)を超える高アセタール化度を有するポリビニル
アセタール樹脂を得る方法を提供する。 【構成】 ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下にア
ルデヒドでアセタール化するに当たり、全反応段階の少
なくとも、アセタール化度が50モル%を超えた段階
で、反応溶剤として、トルエン、キシレン、テトラヒド
ロフラン、ベンゼン、アセトン、四塩化炭素、クロロホ
ルム、ジオキサン、クロロベンゼン、フェノール、アセ
チルアセトン、アニリン、エチルベンゼン、塩化メチレ
ン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸
アミル、シクロペンタン、臭化ブチル、ニトロベンゼ
ン、テトラクロロエチレン、1,2−シクロエタンより
なる群から選ばれた少なくとも1つの溶剤を少なくとも
90重量%含むものを用いることを特徴とするポリビニ
ルアセタール樹脂の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高アセタール化度を有
するポリビニルアセタール樹脂の製造方法に関する。
【0002】高アセタール化度を有するポリビニルアセ
タール樹脂は、同樹脂製シートの音波透過損失係数が高
く且つ同樹脂が耐湿性に優れていることから、遮音性合
わせガラスの中間膜用材料やプリント基板の接着剤用材
料などとして特に有用である。 また、この樹脂は、樹
脂内に含まれる水酸基量が極端に少ないので、焼成時に
水酸基と化学反応を起こすことを避けなければならない
樹脂として、例えばセラミックスバインダーなどに用い
られる。
【0003】さらに、この樹脂は、水酸基量の減少によ
る樹脂極性の低下を利用して、顔料分散剤、相溶化剤な
どとしても用いられる。
【0004】
【従来の技術】ポリビニルブチラールに代表されるポリ
ビニルアセタール樹脂は、古くからその透明性、ガラ
ス、金属などとの接着性、力学的強度などに優れている
ため、合わせガラスの中間膜用の樹脂、プリント基板用
接着剤用の樹脂として用いられている。ポリビニルアセ
タール樹脂がこれらの用途に使用される理由の一つは、
金属やガラスとの優れた接着性にある。そしてこの優れ
た接着性は、ポリビニルアセタール樹脂が本質的に多く
の水酸基を具備していることによる。
【0005】しかしながら、こうした水酸基は、他方で
は、高湿度下での吸湿を過度のものとし、樹脂の水膨潤
による力学強度低下や、耐候性の悪化を引き起こすこと
にもなる。その対策として、通常、樹脂使用時に湿気が
外部から浸入しないような構造的工夫や、他の劣化抑制
剤の添加配合によって、こうした問題の発生を抑えてい
るが、工程が煩雑である場合や上記手段を取れない場合
には、ポリビニルアセタール系以外の樹脂を使用した
り、ポリビニルアセタール樹脂を限定的ないしは部分的
使用にとどめていた。
【0006】したがって、上記のような優れた接着性を
保持し且つ過度の吸湿性を有しないポリビニルアセター
ル樹脂が要望されており、これを得るには同樹脂中に水
酸基を適度な量だけ残すように、アセタール化度を所要
の値に高めることが肝要である。
【0007】ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化
度については、古くは1939年にJ.P.フローリー
が、アセタール化度は最高で81.6モル%であるとい
う結論を下している。この結論は、アセタール化反応が
不可逆反応であるという仮定の下に統計学的考察を加え
て得られたものである。その論文が発表されて以降、多
くの研究者によって、フローリーの提唱する最高アセタ
ール化度を超えるポリビニルアセタール樹脂の合成が試
みられた。1961年に、S.G.Matsoyanは、ジビニ
ルアセタールの重合によってフローリーの最高アセター
ル化度を超えるポリビニルアセタール樹脂の合成に成功
している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、S.
G.Matsoyanの方法を工業的に実施するには、特殊なモ
ノマーの合成や、厳しい反応条件が想定され、技術的完
成には長年を必要とする。さらにこの方法はコスト面で
も高価な点で実用的でない。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、従来から工業的に実施されてい
るポリビニルアルコールとアルデヒドとの縮合反応にお
いて、特定の反応条件を設定することにより、フローリ
ーの最高アセタール化度(81.6モル%)を超える高
アセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を得
る方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべく工夫されたもので、全反応段階の少なくとも、ア
セタール化度が50モル%を超えた段階で、反応溶剤と
して特定の溶剤を用いることにより上記目的が達成され
るという知見を得て完成されたものである。
【0011】すなわち、本発明によるポリビニルアセタ
ール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコールを酸触媒
の存在下にアルデヒドでアセタール化するに当たり、全
反応段階の少なくとも、アセタール化度が50モル%を
超えた段階で、反応溶剤として、トルエン、キシレン、
テトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトン、四塩化炭
素、クロロホルム、ジオキサン、クロロベンゼン、フェ
ノール、アセチルアセトン、アニリン、エチルベンゼ
ン、塩化メチレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸アミル、シクロペンタン、臭化ブチル、
ニトロベンゼン、テトラクロロエチレン、1,2−シク
ロエタンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの溶剤
(以下、特定溶剤という)を少なくとも90重量%含む
ものを用いることを特徴とするものである。
【0012】本発明方法の一方の原料であるポリビニル
アルコールとしては、その重合度は特に限定されない
が、ポリビニルアセタール樹脂製造用として通常使用さ
れる平均重合度200〜10,000のものが好適であ
る。
【0013】溶剤に対するポリビニルアルコールの濃度
は、通常適用される0.1〜50重量%の範囲で適宜定
められる。この濃度が0.1重量%未満であると経済的
に不利になることがある。また、この濃度が50重量%
を超えると、ポリビニルアセタール樹脂の濃度が高いた
めに、水酸基同士の水酸基のインタラクションにより可
逆反応性が低下することがある。ただし、この濃度範囲
は本発明方法を限定するものではない。
【0014】もう一方の原料であるアルデヒドとして
は、ポリビニルアルコールのアセタール化に通常供され
るアルデヒドが使用される。溶剤に対する溶解性の点か
ら、特に、炭素数1〜10のアルデヒドが好ましい。例
えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオ
ンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアル
デヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルア
ルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシ
ルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアル
デヒド、シンナムアルデヒドなどが例示される。これら
は単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
より好適なアルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プ
ロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチ
ルアルデヒド、バレルアルデヒド、2−エチルブチルア
ルデヒド、n−ヘキシルアルデヒドなどが例示される。
【0015】アルデヒドの仕込量は、所望する最終アセ
タール化度に応じて定められる。
【0016】酸触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸
や、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸が適宜
使用される。特に好ましい酸は、塩酸、硫酸である。酸
触媒の濃度は、溶剤に対して0.02〜10重量%とい
った広い範囲で設定できる。酸触媒の濃度が0.02重
量%未満であれば、触媒としてのプロトン供与効果が乏
しく、逆に10重量%を超えても、触媒効率の点で追加
効果がなく不経済である。ただし、この濃度範囲は本発
明方法を限定するものではない。
【0017】反応温度は、特に限定されないが、好まし
くは0〜80℃である。反応温度は、主として、使用す
る溶剤、原料アルデヒド、触媒などにより決まるが、反
応温度がこれらの物質の沸点を上回る場合は、反応系を
加圧して反応を進行させる。
【0018】本発明の特徴点は、全反応段階の少なくと
も、アセタール化度が50モル%を超えた段階で、反応
溶剤として、上記特定溶剤を全溶剤量の90重量%以上
含む溶剤を使用することにある。
【0019】最高アセタール化度を確認する実験はすで
に野間氏らによって行われているが(高分子化学協会京
都研究室、1949年6月30日受理論文参照)、この
実験では、原料アルデヒドとして側鎖の比較的大きいも
のを使用しているため、立体障害によりアセタール化反
応の進行が妨げられることが考えられる。したがって高
アセタール化度のアセタール化は達成されないことは、
該論文のデータから明らかである。
【0020】本発明で使用する上記特定溶剤は、目的物
質たるアセタール化度81.6モル%以上のポリビニル
アセタール樹脂を溶解あるいは膨潤することの可能な溶
剤である。こうした溶剤として、トルエン、キシレン、
テトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトン、四塩化炭
素、クロロホルム、ジオキサン、クロロベンゼン、フェ
ノール、アセチルアセトン、アニリン、エチルベンゼ
ン、塩化メチレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸アミル、シクロペンタン、臭化ブチル、
ニトロベンゼン、テトラクロロエチレン、1,2−シク
ロエタンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの溶剤
を少なくとも90重量%含むものを使用する。
【0021】上記反応溶剤は、溶剤全量に対して10重
量%以下の割合でその他の溶剤を含んでいてもよい。併
用されるその他の溶剤としては、水、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコールが例示される。これらの溶剤は単独で
用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0022】本発明方法において、反応溶剤中の上記特
定溶剤の含有量が溶剤全体の90重量%以上に限定され
る理由は、90重量%未満の含有量では、目的物質たる
アセタール化度81.6モル%以上のポリビニルアセタ
ール樹脂を十分に溶解あるいは膨潤することができない
からである。
【0023】反応過程において、粒子合着を防止するた
めの分散剤、界面活性剤、反応時の酸化を防止するため
の酸化防止剤などの添加剤が適宜添加されてもよい。
【0024】反応の初期段階、すなわち、アセタール化
度が50モル%に達するまでの段階では、アセタール化
反応の既知の条件を採用することができる。すなわち、
反応溶剤として、水またはアルコール系溶剤、水−アル
コール混合溶剤を用いてアセタール化反応を進めること
ができる。アルコール系溶剤としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコールなどが例示される。反応溶剤としては
特に、出発原料たるポリビニルアルコールを選択的に溶
解し、かつ、反応生成物たるポリビニルアセタール樹脂
を選択的に溶解する溶剤が好ましく使用される。また、
反応温度は適宜設定される。
【0025】本発明の好適な実施態様では、アセタール
化反応の既知の条件を採用して、反応の初期段階でアセ
タール化度を50モル%まで上げた後、初期段階で用い
た溶剤を本発明方法の上記特定溶剤へ代える。例えば、
反応の初期段階で水を溶剤として反応を進めた場合に
は、樹脂を析出させるような条件下で溶剤と樹脂を分離
し、樹脂に本発明方法の上記特定溶剤を添加する。この
場合、反応の初期段階の後に引き続いて本発明の方法を
連続的に行うことができる。
【0026】反応の初期段階での反応終了後、得られた
樹脂を、中和、洗浄、乾燥の工程を経て、乾燥樹脂とし
て一旦単離し、ついでこれに本発明方法を適用すること
もできる。
【0027】また、反応の初期段階においても、本発明
の反応条件に従って、反応溶剤として、上記特定溶剤を
全溶剤量の90重量%以上含む反応溶剤を使用しても構
わない。この場合は、反応の初期段階から所期の高アセ
タール化度のポリビニルアセタール樹脂を得るまで、上
記特定溶剤を用いて上記反応温度で反応を1工程で連続
的に行うことができる。
【0028】反応時間の短縮その他を考慮すると、アセ
タール化度が50モル%を超えた段階で、反応溶剤を上
記特定溶剤に代えるのが好ましい。
【0029】また、より高アセタール化度(ほぼ100
モル%)を有するポリビニルアセタール樹脂を得るに
は、アセタール化度が80モル%を超えた段階で、反応
溶剤を上記特定溶剤混合溶剤に代えればよい。
【0030】本発明方法により得られた高アセタール化
度のポリビニルアセタール樹脂の精製は、次のような操
作でなされる。すなわち、得られたポリビニルアセター
ル樹脂を適当な溶剤、たとえば水、メタノールなど中へ
投入することにより再沈させる。その後、未反応のアル
デヒド、酸触媒を除去するために、該樹脂を溶解する溶
剤を選択し溶解させ、再び沈殿させる。この操作を繰り
返す。その後、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの中和剤を適
宜、系に加えて、残酸を中和する。ついで、前述の再沈
操作を繰り返し、生成した塩を除去する。最後に、溶剤
を真空乾燥などの適宜な処置によって除去し、さらに乾
燥を経て白色のポリビニルアセタール樹脂を得る。
【0031】
【作用】本発明方法においては、上記特定溶剤を全溶剤
量の90重量%以上含有する溶剤を使用することによっ
て、高アセタール化度でアセタール化が達成でき、特
に、81.6モル%以上の高アセタール化度を有するポ
リビニルアセタール樹脂を製造することができる。
【0032】その技術的理由は、ポリビニルアルコール
がアルデヒドによってアセタール化されていくアセター
ル化反応は、本質的に可逆反応であることに存する。こ
の可逆反応の故に、アセタール化は本質的に81.6モ
ル%の限界を超えて進むのである。すなわち、本発明で
使用する反応溶剤の少なくとも90重量%を占める上記
特定溶剤は、目的物質たるポリビニルアセタールのアセ
タール化度が高い程、ポリビニルアセタールをより多く
溶解あるいは膨潤することの可能な溶剤である。したが
って、反応を均一溶液で進行させることができ、その結
果、この可逆反応の反応性を向上させ、反応の進行に連
れて非常に少なくなった水酸基を可能な限り反応にあず
からせ、アセタール化反応を継続・進行させることがで
きる。こうして、高アセタール化度のポリビニルアセタ
ール樹脂を製造することができる。
【0033】
【実施例】本発明の実施例を幾つか挙げて、本発明を具
体的に説明する。
【0034】得られたポリビニルブチラール樹脂のブチ
ラール化度の測定方法は、下記のNMR法と滴定法によ
って行った。
【0035】 NMR法 生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトルは、次の手法で
測定した。
【0036】ポリビニルブチラール樹脂の2重量%重水
−ベンゼン溶液を調製し、少量のテトラメチルシラン
[(CH3 4 Si]を標準物質として添加し、温度2
3℃でスペクトル測定を行った。その1例を図1に示
す。尚、図1の横軸は使用した標準物質テトラメチルシ
ランの共鳴周波数を基準とした化学シフト(ppm )であ
り、縦軸は、共鳴吸収強度であって、プロトン(水素)
の量に対応する。この測定チャートより、表1に記載し
た各吸収ピークの帰属と積分強度から、積分強度の値
(IA およびIB )を下記の計算式にあてはめ、ブチラ
ール化度を計算した。
【0037】
【表1】 <計算式> ブチラール化度={2IA /(3IB −4IA )}×1
00(モル%) 滴定法 JIS「ポリビニルブチラール試験方法」(K−672
8−1977)における組成分析の項の「ビニルブチラ
ール」の試験方法に準拠して、塩酸ヒドロキシルアミン
法によってブチラール化度の測定を行った。
【0038】尚、ブチルアルコールに対する溶解を円滑
に行うため、加熱還流操作を併用し、溶解した後、上記
JISの操作に従った。
【0039】<実施例1> 工程i) 純水2900gに、重合度1740、鹸化度
99.2モル%のポリビニルアルコール198gを加え
て加温溶解した。反応系を9℃に温度調節し、35重量
%塩酸196g(全系対比1.99重量%)とブチルア
ルデヒド152g(ポリビニルアルコール対比97.2
モル%)を加えて、ポリビニルブチラールを析出させ
た。その後、反応系を温度50℃で3時間保持し、反応
を完了させた。過剰の水での洗浄により、未反応アルデ
ヒドを洗い流し、塩酸触媒を中和し、塩を除去した後、
乾燥を経て、ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得
た。
【0040】このポリビニルブチラール樹脂のブチラー
ル化度は、プロトンNMR法により測定し、74.8モ
ル%であった。
【0041】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂60g(全系対比3重量%)を、1768gのキ
シレンからなる溶剤に25℃で溶解させた。その後、3
5重量%塩酸溶液115g(全系対比1.97重量
%)、n−ブチルアルデヒド94.8g(ポリビニルア
ルコール対比200モル%)を、次のように添加した。
まず、n−ブチルアルデヒドを溶液に一括投入した後、
約5分間の攪拌により十分に混合し、ついで塩酸を約1
5分間かけて滴下ロートにより添加し混合した。これら
を混合してから、約30分後、全系を0.5〜0.6℃
/分の速度で60℃まで約60分間で昇温した。その
後、この反応系を60℃で3時間恒温保持し、反応を完
了させた。
【0042】反応完了後、重曹6%(樹脂固形分に対す
る重量比)を溶解させた大過剰の水/メタノール(混合
比=1:1)混合液を添加し、触媒を分離させると共
に、中和を行った。その後、この混合液を大過剰のメタ
ノール中に注下し、樹脂を再沈させ、さらに塩を取除く
ために熱水洗浄を繰り返した。
【0043】最後に、残留したキシレンを揮発させ、乾
燥を経て、表2に示す高ブチラール化度のポリビニルブ
チラール樹脂の白色粉末を得た。
【0044】<実施例2> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0045】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比5重量%)を、720gのキシ
レンと680gのトルエンからなる混合溶剤に、25℃
で溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液80g(全
系対比2.0重量%)、n−ブチルアルデヒド117g
(ポリビニルアルコール対比200モル%)を、次のよ
うに添加した。すなわち、まずn−ブチルアルデヒドを
4等分に分割し、各部分を順次溶液に投入しつつ、約5
分間攪拌により合計20分間かけて混合し、ついで塩酸
を約15分間かけて滴下ロートにより添加し混合した。
これらを混合してから約30分後、全系を0.5〜0.
6℃/分の速度で60℃まで約60分間で昇温した。そ
の後、この反応系を60℃で10時間恒温保持し、反応
を完了させた。
【0046】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0047】こうして、表2に示す高ブチラール化度の
ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0048】<実施例3>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として、128gのキシレ
ンと112gのメタノールからなる混合溶剤を用いるこ
とを除いて、実施例2の工程ii)と同様の操作を行い、
表2に示す高ブチラール化度のポリビニルブチラール樹
脂の白色粉末を得た。
【0049】<実施例4>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として、128gのトルエ
ンと112gのメタノールからなる混合溶剤を用いるこ
とを除いて、実施例2の工程ii)と同様の操作を行い、
表2に示す高ブチラール化度のポリビニルブチラール樹
脂の白色粉末を得た。
【0050】<実施例5> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0051】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比5重量%)を、1400gのア
セチルアセトンからなる溶剤に、25℃で溶解させた。
その後、35重量%塩酸溶液80g(全系対比2.0重
量%)、n−ブチルアルデヒド117g(ポリビニルア
ルコール対比200モル%)を、次のように添加した。
すなわち、まずn−ブチルアルデヒドを4等分に分割
し、各部分を順次溶液に投入しつつ、約5分間攪拌によ
り合計20分間かけて混合し、ついで塩酸を約15分間
かけて滴下ロートにより添加し混合した。これらを混合
してから約30分後、全系を0.5〜0.6℃/分の速
度で30℃まで約30分間で昇温した。その後、この反
応系を30℃で10時間恒温保持し、反応を完了させ
た。
【0052】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0053】こうして、表2に示す高ブチラール化度の
ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0054】<実施例6>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1400gのキシレ
ンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と同様の
操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリビニル
ブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0055】<実施例7>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1400gのトルエ
ンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と同様の
操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリビニル
ブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0056】<実施例8>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1400gのベンゼ
ンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と同様の
操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリビニル
ブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0057】<実施例9>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1400gのテトラ
ヒドロフランを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0058】<実施例10>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのア
セトンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と同
様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリビ
ニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0059】<実施例11>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの四
塩化炭素を用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0060】<実施例12>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのク
ロロホルムを用いることを除いて、実施例5の工程ii)
と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0061】<実施例13>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのジ
オキサンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0062】<実施例14>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのク
ロロベンゼンを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0063】<実施例15>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのフ
ェノールを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0064】<実施例16>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのア
ニリンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と同
様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリビ
ニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0065】<実施例17>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのエ
チルベンゼンを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0066】<実施例18>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの塩
化メチレンを用いることを除いて、実施例5の工程ii)
と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0067】<実施例19>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのシ
クロヘキサンを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0068】<実施例20>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの酢
酸エチルを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0069】<実施例21>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの酢
酸プロピルを用いることを除いて、実施例5の工程ii)
と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0070】<実施例22>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの酢
酸アミルを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0071】<実施例23>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのシ
クロペンタンを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0072】<実施例24>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの臭
化ブチルを用いることを除いて、実施例5の工程ii)と
同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度のポリ
ビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0073】<実施例25>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのニ
トロベンゼンを用いることを除いて、実施例5の工程i
i)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール化度
のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0074】<実施例26>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gのテ
トラクロロエチレンを用いることを除いて、実施例5の
工程ii)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラール
化度のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0075】<実施例27>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1400gの
1.2−ジクロロエタンを用いることを除いて、実施例
5の工程ii)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチラ
ール化度のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得
た。
【0076】<実施例28> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0077】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比5重量%)を、720gのテト
ラヒドロフランと680gのアセトンからなる混合溶剤
に、25℃で溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液
80g(全系対比2.0重量%)、n−ブチルアルデヒ
ド117g(ポリビニルアルコール対比200モル%)
を、次のように添加した。すなわち、まずn−ブチルア
ルデヒドを4等分に分割し、各部分を順次溶液に投入し
つつ、約5分間攪拌により合計20分間かけて混合し、
ついで塩酸を約15分間かけて滴下ロートにより添加し
混合した。これらを混合してから約30分後、全系を
0.5〜0.6℃/分の速度で60℃まで約60分間で
昇温した。その後、この反応系を60℃で10時間恒温
保持し、反応を完了させた。
【0078】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0079】こうして、表2に示す高ブチラール化度の
ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0080】<実施例29> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0081】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比2.0重量%)を、1420g
のベンゼンと800gのクロロホルムと963gの四塩
化炭素からなる混合溶剤に、25℃で溶解させた。その
後、35重量%塩酸溶液200g(全系対比2.0重量
%)、n−ブチルアルデヒド117g(ポリビニルアル
コール対比200モル%)を、次のように添加した。す
なわち、まず溶液にn−ブチルアルデヒドを一括投入
し、約5分間攪拌の後、塩酸を約15分間かけて滴下ロ
ートにより添加した。これらを混合してから約30分
後、全系を0.5〜0.6℃/分の速度で60℃まで約
60分間で昇温した。その後、この反応系を60℃で5
時間恒温保持し、反応を完了させた。
【0082】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0083】こうして、表2に示す高ブチラール化度の
ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0084】<実施例30>実施例1の工程i)と同様
の操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した
後、工程ii)において、反応溶剤として1420gのジ
オキサンと800gのクロロベンゼンと963gのフェ
ノールからなる混合溶剤を用いることを除いて、実施例
29の工程ii)と同様の操作を行い、表2に示す高ブチ
ラール化度のポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得
た。
【0085】<比較例1> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0086】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂60g(全系対比3.0重量%)を、1760g
の水に25℃で溶解させた。その後、実施例1の工程i
i) と同様の操作を行い、表3に示すブチラール化度の
ポリビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0087】<比較例2> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0088】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂60g(全系対比3.0重量%)を、1195g
の水と595gのメタノールからなる混合溶剤に、40
℃で溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液115g
(全系対比1.97重量%)、n−ブチルアルデヒド9
4.8g(ポリビニルアルコール対比200モル%)
を、次のように添加した。すなわち、まず溶液にn−ブ
チルアルデヒドを一括投入し、約5分間攪拌の後、塩酸
を約15分間かけて滴下ロートにより添加した。その
後、この反応系を60℃で3時間恒温保持し、反応を完
了させた。
【0089】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0090】こうして、表3に示すブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0091】<比較例3> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0092】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比3.0重量%)を、140gの
トルエンgと1260gの水からなる混合溶剤に、25
℃で溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液80g
(全系対比2.0重量%)、n−ブチルアルデヒド1
1.7g(ポリビニルアルコール対比200モル%)
を、次のように添加した。すなわち、まずn−ブチルア
ルデヒドを4等分に分割し、各部分を順次溶液に投入し
つつ、約5分間攪拌により合計20分間かけて混合し、
ついで塩酸を約15分間かけて滴下ロートにより添加し
混合した。その後、この反応系を60℃で10時間恒温
保持し、反応を完了させた。
【0093】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0094】こうして、表3に示すブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0095】<比較例4> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0096】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比5.0重量%)を、700gの
ベンゼンと700gの水からなる混合溶剤に、25℃で
溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液80g(全系
対比2.0重量%)、n−ブチルアルデヒド117g
(ポリビニルアルコール対比200モル%)を、次のよ
うに添加した。すなわち、まずn−ブチルアルデヒドを
4等分に分割し、各部分を順次溶液に投入しつつ、約5
分間攪拌により合計20分間かけて混合し、ついで塩酸
を約15分間かけて滴下ロートにより添加し混合した。
これらを混合してから約30分後、全系を0.5〜0.
6℃/分の速度で60℃まで約60分間で昇温した。そ
の後、この反応系を60℃で10時間恒温保持し、反応
を完了させた。
【0097】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0098】こうして、表3に示すブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0099】<比較例5> 工程i) 実施例1の工程i)と同様の操作によってポ
リビニルブチラール樹脂を調製した。プロトンNMR法
により測定したポリビニルブチラール樹脂のブチラール
化度は、やはり74.8モル%であった。
【0100】工程ii) 次に、このポリビニルブチラー
ル樹脂70g(全系対比5.0重量%)を、980gの
キシレンと420gのメタノールからなる混合溶剤に、
25℃で溶解させた。その後、35重量%塩酸溶液80
g(全系対比2.0重量%)、n−ブチルアルデヒド1
17g(ポリビニルアルコール対比200モル%)を、
次のように添加した。すなわち、まずn−ブチルアルデ
ヒドを4等分に分割し、各部分を順次溶液に投入しつ
つ、約5分間攪拌により合計20分間かけて混合し、つ
いで塩酸を約15分間かけて滴下ロートにより添加し混
合した。これらを混合してから約30分後、全系を0.
5〜0.6℃/分の速度で60℃まで約60分間で昇温
した。その後、この反応系を60℃で10時間恒温保持
し、反応を完了させた。
【0101】反応終了後の操作、すなわち樹脂の中和、
洗浄、精製、乾燥は、実施例1の工程ii) と同様に実施
した。
【0102】こうして、表3に示すブチラール化度のポ
リビニルブチラール樹脂の白色粉末を得た。
【0103】<比較例6>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1190gのキシレ
ンと210gのメタノールからなる混合溶剤を用いるこ
とを除いて、比較例5の工程ii)と同様の操作を行い、
表3に示すブチラール化度のポリビニルブチラール樹脂
の白色粉末を得た。
【0104】<比較例7>実施例1の工程i)と同様の
操作によってポリビニルブチラール樹脂を調製した後、
工程ii)において、反応溶剤として1190gのトルエ
ンと210gのメタノールからなる混合溶剤を用いるこ
とを除いて、比較例6の工程ii)と同様の操作を行い、
表3に示すブチラール化度のポリビニルブチラール樹脂
の白色粉末を得た。
【0105】
【表2】
【表3】
【0106】
【発明の効果】本発明方法によれば、全反応段階の少な
くとも、アセタール化度が50モル%を超えた段階で、
反応溶剤として、少なくとも1つの上記特定溶剤を少な
くとも90重量%含む溶剤を使用するので、高アセター
ル化度でアセタール化が達成でき、特に、81.6モル
%以上の高アセタール化度を有するポリビニルアセター
ル樹脂を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリビニルブチラール樹脂のNMRスペクトル
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下
    にアルデヒドでアセタール化するに当たり、全反応段階
    の少なくとも、アセタール化度が50モル%を超えた段
    階で、反応溶剤として、トルエン、キシレン、テトラヒ
    ドロフラン、ベンゼン、アセトン、四塩化炭素、クロロ
    ホルム、ジオキサン、クロロベンゼン、フェノール、ア
    セチルアセトン、アニリン、エチルベンゼン、塩化メチ
    レン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢
    酸アミル、シクロペンタン、臭化ブチル、ニトロベンゼ
    ン、テトラクロロエチレン、1,2−シクロエタンより
    なる群から選ばれた少なくとも1つの溶剤を少なくとも
    90重量%含むものを用いることを特徴とする、ポリビ
    ニルアセタール樹脂の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6025348A (en) * 1998-04-30 2000-02-15 Kao Corporation Oil and fat composition containing phytosterol
US6261812B1 (en) 1997-08-18 2001-07-17 Kao Corporation Process for producing diglycerides
WO2009144858A1 (ja) 2008-05-29 2009-12-03 花王株式会社 ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法

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