JPH0665246A - 新規物質pf1101a物質、pf1101b物質、それらの製造法及び用途 - Google Patents

新規物質pf1101a物質、pf1101b物質、それらの製造法及び用途

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JPH0665246A
JPH0665246A JP21589292A JP21589292A JPH0665246A JP H0665246 A JPH0665246 A JP H0665246A JP 21589292 A JP21589292 A JP 21589292A JP 21589292 A JP21589292 A JP 21589292A JP H0665246 A JPH0665246 A JP H0665246A
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誠之 高木
Shigemi Yoshida
茂美 吉田
Takashi Yaguchi
貴志 矢口
Keiichi Imamura
圭一 今村
Tadaaki Okada
忠昭 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 駆虫作用、殺虫作用を有する化合物は多数知
られているが、寄生虫症、農業害虫は現在も流行してお
り、かつ深刻な問題である。そこで駆虫作用と殺虫作用
を有する新規なPF1101物質を提供する。 【構成】 次式(I)及び(II) 【化5】 で示される化合物は、強い駆虫作用と殺虫作用を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なPF1101A物質及
びPF1101B物質、それらの製造法並びに用途に関する。
本発明のPF1101A物質及びPF1101B物質は駆虫作用及び殺
虫作用を有しており、医薬、動物薬、環境衛生薬及び農
園芸用薬剤等の分野への応用が期待される。
【0002】
【従来の技術】従来、微生物の生産する生理活性物質は
数多く知られているが、本発明によるPF1101A物質及びP
F1101B物質はJanthitrem系の化合物で類似する化合物と
しては、Janthitrem A、B及びC[Appl.Environ.Microbio
l.,39(1),272-3(1980)]、 Janthitrem D[J.Chromatog
r.,248(1),150-4(1982)]、Janthitrem E、F及びG[J.Che
m.Soc.Perkin Trans.1,(4),697-701(1984)]が報告され
ているに過ぎない。また微生物の生産物で駆虫活性を有
する物質としては、デストマイシンA、ハイグロマイシ
ンB、アベルメクチン、PF1022物質等が、又、殺
虫活性を有する物質としてはアトラナクチン、アンチマ
イシンA、ピエリシジン等が知られているがその数は極
めて少ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、寄生虫病と呼
ばれる病気は動物宿主に寄生虫が寄生することによって
起こる。又、現在種々の害虫が存在している。これらが
原因となって人間及び動物の健康並びに農業に甚大な被
害を及ぼしている。従って新規な駆虫活性や殺虫活性物
質の出現は常に求められている。本発明者らは、駆虫作
用及び殺虫作用を有する新規な化合物を提供すると共
に、その有利な製造法を確立し、該有効物質を含有する
駆虫剤あるいは殺虫剤を提供することによって、これを
解決しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の期
待にこたえるべく駆虫活性あるいは殺虫活性を有する物
質の探索を続けていたところ、不完全菌ペニシリウム属
に属する1菌株の培養物中に駆虫活性及び殺虫活性を有
する物質が生産されていることを見出し、有効物質PF11
01A物質及びPF1101B物質を単離し、本発明を完成させ
た。更に本発明の目的は、新規駆虫及び殺虫活性物質PF
1101A物質及びPF1101B物質並びにそれらの製造法を提供
し、併せてこれらの活性物質の少なくとも1種を含有す
ることを特徴とする駆虫剤及び殺虫剤を提供することに
ある。
【0005】第1の本発明の要旨とするところは、下記
の式(I)
【化3】 で表されるPF1101A物質を提供するものである。
【0006】第2の本発明の要旨とするところは、下記
の式(II)
【化4】 で表されるPF1101B物質を提供するものである。
【0007】更に第3の発明は、糸状菌に属する駆虫活
性及び殺虫活性物質PF1101物質生産菌を培養し、その培
養物から駆虫活性及び殺虫活性物質PF1101物質を採取す
ることによる駆虫活性及び殺虫活性物質PF1101物質の製
造法にある。本発明に使用される駆虫活性及び殺虫活性
物質PF1101物質生産菌の一例としては、1989年、トルコ
国イスタンブール市の土壌から分離されたPF1101株があ
る。なお、PF1101物質はPF1101A物質とPF1101B物質を併
せた意味である。
【0008】第4の発明は、このようにして製造された
PF1101A物質及び/又はPF1101B物質の少なくとも1種を
含有することを特徴とする駆虫剤を提供するものであ
る。
【0009】第5の発明は、このようにして製造された
PF1101A物質及び/又はPF1101B物質の少なくとも1種を
含有することを特徴とする殺虫剤を提供するものであ
る。PF1101物質を駆虫剤として適用しようとする動物は
豚、牛、馬、兎、羊、山羊、鶏、アヒル、七面鳥、二十
日ネズミ、大黒ネズミ、モルモット、サル、犬、猫、小
鳥等の家畜、家禽、実験動物、ペット等を挙げることが
できる。また、これらの動物の寄生虫としては、例え
ば、牛、羊の捻転胃虫、オステルターグ胃虫、毛円虫、
クーパー線虫、腸結節虫、双口吸虫、ベネディン条虫、
肺虫、肝てつ等、豚の回虫、鞭虫、糸状虫等、猫の回
虫、マンソン列頭条虫等、鶏の回虫、毛様虫、盲腸虫等
がある。また、ヒトの回虫、蟯虫、鈎虫(ズビニ鈎虫、
セイロン鈎虫、アメリカ鈎虫)、東洋毛様線虫、糞線
虫、鞭虫等が知られている。
【0010】PF1101物質は寄生虫感染症の治療及び予防
のために用いることができる。治療のための投与方法
は、経口的又は非経口的な方法がある。経口的に投与す
る場合は、液状の製剤を胃カテーテル等の器具を用いて
強制的に投与する方法、通常の飼料又は飲料水に混合し
て投与する方法、あるいは、通常の経口投与に適した剤
型、例えば錠剤、カプセル剤、ペレット剤、巨丸剤、粉
剤あるいは軟カプセル剤等で投与する方法がある。非経
口的に投与する場合は、ピーナッツ油、大豆油等の非水
溶性処方、グリセロール、ポリエチレングリコール等の
水溶性処方を注射などにより皮下、筋肉内、静脈内、腹
腔内等に投与する。また、寄生虫の予防のための投与方
法は、通常用いられている飼料に混合して経口的に投与
するのが一般的である。投与期間は予防の場合制限は無
いが、通常肉用鶏では約2ヶ月、豚では5ヶ月で十分で
あることが多い。
【0011】PF1101A物質の投与量は対象動物及び寄生
虫の種類、あるいは投与方法により異なる。例えば、鶏
の回虫を駆除するために、PF1101A物質の結晶をゼラチ
ンカプセルに充填し、強制経口的に投与する場合は20 m
g/kg以上、好ましくは20〜40mg/kgを投与する。また、
予防のための投与量は飼料中1ppm以上好ましくは10ppm
以上の濃度で連続的に投与する。
【0012】また、PF1101物質を液体担体に溶解又は、
懸濁した場合には、動物の皮下、又は筋肉内などに注射
により、非経口的に投与することができる。非経口的投
与する場合は、ピーナッツ油、大豆油のような植物油類
を用いた非水性処方が使用され、またグリセロール、ポ
リエチレングリコールのような水溶性賦形剤を用いた水
性非経口処方も使用される。これらの処方は、一般に、
PF1101物質を0.1〜10重量%含有する。非経口投与におけ
る用量は、1日当り、0.1 mg/kg以上、好ましくは、10
mg/kgの範囲で使用される。
【0013】本発明のPF1101物質は殺虫剤としても用い
ることができるが、特に有効な害虫としては、ハスモン
ヨトウ、コナガ、ニカメイガ等の鱗し目、ゾウムシ類、
ハムシ類等の鞘し目、イエバエ、アカイエカ等の双し
目、アザミウマ目、ゴキブリ類等の網し目、アブラムシ
類、ウンカ類、ヨコバイ類、カメムシ類等の、半し目、
その他直し目、ハダニ等が挙げられる。
【0014】1.PF1101株の菌学的性状 (1)培養の特徴 ツアペック寒天培地上で、25℃で 7日間培養したとこ
ろ、コロニーの大きさは10〜12mm程度となり、白色綿毛
状のコロニーを形成し、まだらに鈍緑色の分生子を形成
した。裏面は白色である。ツアペック酵母エキス寒天培
地(CYA)では13〜14mm(25℃、7日)、表面は白色綿毛
状の部分と鈍緑色ベルベット状の部分(分生子形成)と
に分かれるコロニーとなった。裏面は灰緑色である。
【0015】麦芽エキス寒天培地上では直径12〜15mm
(25℃、7日)、表面はCYAと同様の性状を示した。裏面
は淡黄色である。どの培地上でも可溶性色素は生成せ
ず、37℃の培養では生育しなかった。 (2)形態学的特徴 顕微鏡下で観察したところ、分生子柄、分枝、メトレ、
フィアライドからなる複輪生−対称体のペニシリウムで
ある。分生子柄は基底菌糸層から生じ、柄は400〜600 x
3.5〜5μm、滑面である。分枝は2〜3本の輪生、8〜10
x 3〜4.5μm、滑面である。メトレは3〜6本の輪生、8〜
10 x 3〜4.5μm、滑面である。フィアランドはとっくり
型4〜8本の輪生、7〜9 x 2.5〜3.5μm、滑面である。分
生子は楕円形〜亜球形、その大きさは 2.5〜3.5μm、滑
面である。
【0016】以上の菌学的性状より、PF1101株は不完全
菌ペニシリウム属(Penicilliumsp.)ペニシリウム亜属
(Subgenus Penicillium)に属すると考えられる。従っ
て、本菌株をペニシリウム属PF1101株と呼称することに
した。尚、本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に
微工研菌寄第12978号(FERM P-12978)として寄託され
ている。
【0017】PF1101株は、他のカビに見られるようにそ
の性状が変化し易い。例えば、PF1101株の、又はこの株
に由来する突然変異株(自然発生又は誘発性)、形質接
合体又は遺伝子組換え体であっても、PF1101物質を生産
するものは全て本発明に使用できる。
【0018】2.PF1101物質生産菌の培養法 不完全菌類に属するPF1101物質生産菌を通常の微生物が
利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。栄養源と
しては、従来カビの培養に利用されている公知のものが
使用できる。例えば、炭素源としては、グルコース、シ
ュクロース、水飴、デキストリン、澱粉、グリセロー
ル、糖蜜、動・植物油等を使用しうる。また、窒素源と
しては、大豆粉、小麦胚芽、コーン・スティープ・リカ
ー、綿実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸ア
ンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等を使用しうる。そ
の他必要に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、
マグネシウム、コバルト、塩素、燐酸、硫酸及びその他
のイオンを生成することができる無機塩類を添加するこ
とは有効である。また、菌の発育を助け、PF1101物質の
生産を促進するような有機及び無機物を適当に添加する
ことができる。
【0019】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に深部培養法が最も適している。培養に適当な温度は
15〜30℃であるが、多くの場合26℃付近で培養する。PF
1101物質の生産は培地や培養条件により異なるが、振盪
培養、タンク培養のいずれにおいても通常2〜10日間で
その蓄積が最高に達する。培養中のPF1101物質の蓄積量
が最高になった時に培養を停止し、培養液から目的物質
を単離精製する。
【0020】3.PF1101物質の精製法 本発明によって得られるPF1101物質の培養物からの採取
に当たっては、その性状を利用した通常の分離手段、例
えば、溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着又は分配カ
ラムクロマト法、ゲルろ過法、透析法、沈澱法等を単独
で又は適宜組み合わせて抽出精製することができる。例
えば、PF1101物質は、培養菌体中からはアセトン−水、
メタノール−水又は酢酸エチル等で抽出される。また、
培養液中に蓄積されたPF1101物質は、水と混ざらない有
機溶剤、例えば、ブタノール、酢酸エチル等で抽出すれ
ばPF1101物質は有機溶剤層に抽出される。PF1101物質を
更に精製するには、シリカゲル(ワコーゲル C-300、和
光純薬工業社製等)、アルミナ等の吸着剤やセファデッ
クス LH-20(ファルマシア社製)、トヨパールHW-40
(株式会社東ソー社製)等を用いるクロマトグラフィー
を行うとよい。
【0021】以上のような方法により、あるいはこれら
を適宜組み合わせることにより、高純度のPF1101A物質
及びPF1101B物質が得られる。得られたPF1101A物質及び
PF1101B物質の理化学的性状は次の通りである。
【0022】1.PF1101A物質の理化学的性状 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C3747NO4 (3) マススペクトル (EI-MS): m/z 569 (M+) (4) 比旋光度:[α]D 24= -93.0°(c 1.0, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax MeOHnm(ε):223(17400), 255(29300), 258(2930
0), 331(22900) (6) 赤外部吸収スペクトル νMeOH KBr cm-1:3400, 2970, 2930, 2850, 1650, 162
0, 1560, 1360,1250, 830 (7) 1H NMRスペクトル:第1図に示す。 (8) 13C NMRスペクトル:第2図に示す。 (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノールに可溶で、ヘキサン、水に不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
【0023】2.PF1101B物質の理化学的性状 (1) 色及び形状:無色粉末 (2) 分子式:C3747NO6 (3) マススペクトル (EI-MS):m/z 601 (M+) (4) 比旋光度:[α]D 24= -168.57°(c 1.0, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax MeOHnm(ε):225(16500), 255(16500), 258(1650
0), 295(10100)314(8600) (6) 赤外部吸収スペクトル νMeOH KBr cm-1:3400, 2950, 2900, 2850, 1650, 161
0, 1560, 1450,1380, 1250, 1110, 1050, 880, 840 (7) 1H NMRスペクトル:第3図に示す。 (8) 13C NMRスペクトル:第4図に示す。 (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノールに可溶で、ヘキサン、水に不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 更に構造研究の結果、PF1101A物質及びPF1101B物質の化
学構造を、前記式 (I)及び(II)のごとく決定した。
【0024】
【試験例】
1.PF1101A物質投与による鶏回虫駆虫試験 既に鶏回虫(Ascaridia galli)感染症にかかっている
のが確認されている鶏にPF1101A物質を1回投与してそ
の鶏回虫感染症を治療した試験例を次に示す。体重60g
前後の雛4羽に対し、回虫の感染卵を各羽約200個ずつ経
口投与させた。回虫卵の投与5週後、鶏の糞便1g中の虫
卵数(E.P.G.)を検査して感染を確認した。その4羽にP
F1101A物質を体重1kg当り40mg、30mg、20mg、残りの1
羽は全くPF1101A物質を投与しない無投与対照とした。P
F1101A物質は各鶏毎の体重から正確に計算した投与量だ
けを計量し、ゼラチンカプセルに充填し、これを、胃ゾ
ンデで強制的に経口投与した。これらの鶏は一羽毎に金
網製の鳥籠に入れ、金網敷きの床から落下する排泄物を
ステンレス製の受け皿に受け、投薬開始の当日から7日
間毎日排泄された子虫を丹念に数えると同時に体重と一
般状態を観察し、その観察の終了日に全ての鶏を解剖し
て消化管内の内部寄生虫を全て計測して残存虫体数と
し、7日間に排泄された子虫数と合わせて排虫率を求め
た。その結果は第1表に示す通りである。
【0025】 第1表 PF1101A物質投与による鶏回虫駆虫試験投与量 排虫率(%) 無投与 0 20mg/kg 57.4 30mg/kg 88.040mg/kg 100 即ち、排虫率は投与した薬物の駆虫効果をそのまま表現
する指数と見なされているので、まずその排虫率を見る
と、無投与対照は排虫がなく、残存虫体数のみであった
のでその排虫率は0%であったのに対し、20mg/kg投与で5
7.4%、30mg/kg投与で88.0%、40mg/kg投与では100%と完
全に駆除されており、投与群の殆どでは投薬後2日間以
内に殆どの子虫が排泄されていた。すなわち、PF1101A
物質20mg/kg以上の投与量で顕著な効果が得られた。
【0026】2.マツノザイセンチュウに対するPF1101
A物質の有効性試験 PF1101A物質のマツノザイセンチュウ増殖抑制効果を試
験するために、既に知られている綿球試験法を用いた。
まず脱脂綿(1.4 cm角)を手で丸めて綿球(φ5 mm)を
作り、乾熱滅菌し、昆虫針で固定し、マイクロピペット
で所定量のPF1101A物質を注入した。PF1101A物質を溶か
すのに用いた溶媒を注入した対照品も用意した。デシケ
ーター中で約30分間減圧にし、溶媒を蒸発除去し、供試
綿球とした。
【0027】検定菌のハイイロカビはCzapek培地(3m
l)を含むシャーレで22℃で4日間培養した。このシャー
レの中央に供試線球を置き、それにマツノザイセンチュ
ウ(15000匹/ml)0.1mlを注入した。このシャーレを裏
返しにして26℃の暗黒下で5日間培養した。培養後の生
存するマツノザイセンチュウの計数にはベールマンロー
ト法を用いた。24時間後、濾液を取り出し、遠心分離
(2000回転、3分間)してマツノザイセンチュウを10ml
メスフラスコに移し、蒸留水を加えて定容した。この溶
液1mlをとり、煮沸湯浴中で3分間加熱し、生存するマツ
ノザイセンチュウの数を求めた。
【0028】このようにして求めたPF1101A物質のマツ
ノザイセンチュウに対する増殖阻止活性を第2表に示し
た。第2表に示すようにPF1101A物質はマツノザイセン
チュウ増殖阻止効果を有することが判明した。 第2表 PF1101A物質のマツノザイセンチュウ増殖阻止活性試験 薬剤量 増殖阻止率(%) クロロホルム対照区 0 20μg 63.9 80μg 83.3 3.ヒメトビウンカ幼虫に対するPF1101A物質の有効性
試験 PF1101A物質を少量のアセトンに溶解し、展着剤(Tween
20)を0.05%含む水で希釈して500 ppm懸濁液を調製し
た。この懸濁液を散布塔でイネ苗に十分量散布し、風乾
後アクリル製パイプを苗にかぶせてヒメトビウンカ幼虫
を約20頭放虫し、10日後に生虫数を計測した。第3表に
示すようにPF1101A物質はヒメトビウンカ幼虫に対し殺
虫活性を示した。 第3表 PF1101A物質のヒメトビウンカ幼虫に対する有効性試験 薬剤濃度 判定 500ppm + 判定基準 +:生虫が認められない ±:生虫数5以下 −:生虫数6以上 なお、PF1101A物質、PF1101B物質は抗菌活性を示さなか
った。以下に本発明の実施例を示すが、PF1101物質の性
状が本発明によって明らかにされたので、それらの性状
に基づきPF1101物質の製造法を種々考案することができ
る。従って本発明は実施例に限定されるものではなく、
実施例の修飾手段は勿論、本発明によって明らかにされ
たPF1101物質の性状に基づいて公知の手段を施してPF11
01物質を生産、濃縮、抽出、精製する方法をすべて包括
する。
【0029】
【実施例】種培地として、可溶性澱粉 2.0%、グルコー
ス 1.0%、ポリペプトン 0.5%、小麦胚芽 0.6%、酵母
エキス 0.3%、大豆粕 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%の
組成からなる培地を用いた。なお、殺菌前のpHは7.0に
調整した。また生産培地として、グルコース 5.0%、大
豆粕 1.0%、肉エキス 0.4%、ペプトン 0.4%、酵母エ
キス 0.1%、塩化ナトリウム 0.25%、炭酸カルシウム
0.5%、KM-72 0.1%、アデカノール 0.01%の組成からな
る培地を用いた。なお、殺菌前pHはpH 6.5に調整して使
用した。前記の種培地(25 ml)を分注した100 ml容三
角フラスコを120℃で15分間殺菌し、これにPenicillium
sp. PF1101株(FERM P-12978)の斜面寒天培養の1白金
耳を接種し、26℃で24時間振盪培養して第1種培養とし
た。次いで種培地(70 ml)を分注した500 ml容三角フ
ラスコを120℃で15分間殺菌し、これに第1種培養1.4ml
を接種し、26℃で24時間振盪培養して第2種培養とし
た。次いで種培地(700 ml)を分注した3 l容三角フラ
スコを120℃で15分間殺菌し、これに第2種培養14mlを
接種し、26℃で24時間振盪培養して第3種培養とした。
さらに、前記の生産培地(35 l)を分注した50 l容ジャ
ーファメンターを120℃で15分間殺菌し、これに前記第
3種培養700 mlを接種して、26℃で 96時間振盪培養し
た。なお、回転数は0〜24時間後は毎分200回転で、24〜
96時間後は毎分250回転で行った。培養終了後、濾過助
剤として珪藻土を加えて濾過し、濾液と菌体を得た。こ
の菌体に70%アセトン水(33 l)を加え、1時間撹拌後
菌体を濾別して菌体抽出液を得た。菌体抽出液は、減圧
下でアセトンを留去して10 lの濃縮液とした。この濃縮
液のpHを9.0に合わせブタノール(18 l)で活性成分を
抽出し、ブタノール層を濃縮した後、シリカゲル(300
g)をその濃縮液に加え、更に濃縮乾固することにより
活性成分をシリカゲルに吸着させた。これをグラスフィ
ルター上に載せ、ヘキサン及びクロロホルム−メタノー
ル(1:1)で溶出することにより、PF1101物質を含むフ
ラクションを得た。活性画分を濃縮乾固後、更にヘキサ
ンで充填したシリカゲルカラム(100 g)に乗せヘキサ
ンで洗浄後、クロロホルム−メタノール(100:1、50:
1、25:1、10:1、7:1、5:1、3:1、1:1)を展開溶媒とす
るクロマトグラフィーを行い、PF1101A物質を含む画分
(10:1、7:1で溶出される画分)、PF1101B物質を含む画
分(5:1、3:1で溶出される画分)を濃縮乾固し、淡黄色
粉末をそれぞれ554 mg、252 mg得た。次いでPF1101A物
質を含む粉末をメタノールを展開溶媒とするセファデッ
クス LH-20(200 ml)カラムクロマトグラフィーで精製
した後、メタノールより結晶化を行い、PF1101A物質の
無色針状結晶104.1 mgを得た。同様にPF1101B物質を含
む粉末をクロロホルム−メタノール(3:7)を展開溶媒
とするセファデックス LH-20(500 ml)カラムクロマト
グラフィーで精製し、PF1101B物質の無色粉末 42.5 mg
を得た。本物質は前記の理化学的性状を有する。
【0030】
【発明の効果】本発明のPF1101A物質は、第1表に示し
たごとく 駆虫活性を有しており駆虫剤としての用途が
期待される。また第2表及び第3表に示したごとくマツ
ノザイセンチュウやヒメトビウンカ幼虫に対し有効な害
虫防除剤として用いることができる。また、化学構造の
類似するPF1101B物質にも同様の活性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PF1101A物質の重クロロホルム溶液中での400
MHz 1H NMRスペクトル
【図2】 PF1101A物質の重クロロホルム溶液中での100
MHz 13C NMRスペクトル
【図3】 PF1101B物質の重クロロホルム溶液中での400
MHz 1H NMRスペクトル
【図4】 PF1101B物質の重クロロホルム溶液中での100
MHz 13C NMRスペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 17/18 C12R 1:80) (72)発明者 今村 圭一 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 岡田 忠昭 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(I) 【化1】 で表わされるPF1101A物質又はその薬学的に許容される
    塩。
  2. 【請求項2】 下記の式(II) 【化2】 で表わされるPF1101B物質又はその薬学的に許容される
    塩。
  3. 【請求項3】 ペニシリウム属(Penicillium属)に
    属するPF1101A物質及び/又はPF1101B物質生産菌を培養
    し、それらの培養物からPF1101A物質及び/又はPF1101B
    物質を採取することを特徴とするPF1101A物質及び/又
    はPF1101B物質の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のPF1101A物質及び/又
    は請求項2記載のPF1101B物質の少なくとも1種を含有
    することを特徴とする駆虫剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のPF1101A物質及び/又
    は請求項2記載のPF1101B物質の少なくとも1種を含有
    することを特徴とする殺虫剤。
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