JPH0663611A - 完全連続熱間圧延のシートバーの切断方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、完全連続熱間圧延を行う際に、粗
圧延後のシートバーの先後端形状を、仕上圧延中にシー
トバーの突き合わせ面が分離しない最適な形状に切断す
る方法に関する。 【構成】 シートバー１の先後端を、図１（Ｄ）に示す
刃の形状を可変な第１工程の切断装置６を用いて図１
（Ｂ）に示すように板幅中央部切断線４を含む線で切断
する。次に、図１（Ｅ）に示す刃の形状を可変な第２工
程の切断装置７を用いて図１（Ｃ）に示すように板幅端
部切断線５を含む線で切断する。以上の連続する２工程
の切断により、最適形状の突き合わせ面を持つシートバ
ー３を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、完全連続熱間圧延にお
いて、粗圧延後のシートバーの先後端形状を、仕上圧延
中にシートバーの突き合わせ面が分離しない最適な形状
に切断する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、薄板の熱間タンデム圧延では、製
鋼工程から送られてきた有限長さのスラブを粗圧延して
シートバーとし、このシートバーを多スタンドの熱間仕
上圧延機で圧延してコイルに巻き取ることにより所定の
寸法の薄板コイルにしている。しかし、仕上圧延におい
て、シートバーが有限長さであることによるシートバー
先端の噛み込みおよびシートバー後端の尻抜け時の非定
常圧延が避けられないため、板の絞り込みなどの通板不
良発生防止の観点から、シートバーの先後端の通板時に
通板速度を遅くしなければならず、生産性を阻害する要
因となっていた。その対策として、有限長さのシートバ
ーを粗圧延機と仕上圧延機の間で接合してエンドレスの
仕上圧延を行うことが検討されている。例えば特開昭５
７−１０９５０４号公報には図６に示すように粗圧延機
１２、コイルボックス２２、シャー１３、移動式接合機
２４（およびスイングローラー式テーブル２６）、仕上
圧延機１５からなるプロセスが開示されている。この方
式の欠点は、溶接だけで接合強度を確保しなければなら
ないために、広い接合面積が必要で、そのために充分な
接合時間を得る目的で移動式接合機の走行距離が長くな
る点にある。即ち、スイングローラー式テーブル２６設
置のため、既設ミルの改造に際しては多くのミル休止期
間と改造コストが必要となり、この方法は事実上採用で
きない。

【０００３】また、特開昭５８−１１２６０１号公報お
よび特開昭５９−２０９４０５号公報には図７に示すよ
うに粗圧延機１２、コイルボックス２２、シャー１３、
固定式溶接機２７、シートバーの貯蔵装置またはスパイ
ラルルーパー２９、仕上圧延機１５からなるプロセスが
開示されている。固定式溶接機の例として特開昭６１−
１５８２８５号公報および特開昭６１−２４２７６８号
公報に通電加熱とアップセットを用いるプロセスが示さ
れている。この方式では固定式溶接機を採用するのでス
イングローラー式テーブルは不要である。しかし、ルー
パーなどのシートバーの貯蔵装置が新たに必要となり、
シートバーが塑性変形をしない最小の曲げ極率半径が２
５ｍ程度となることを考慮すると、ルーパーなどの設備
の大型化が避けられず、高コストとなる難点がある。即
ち、既設ミルの改造には事実上採用できない。

【０００４】以上に示す従来技術では、シートバーの溶
接に長い時間を要するので、設備コストが高くなる問題
があった。この問題を解決するためには短時間で接合を
行う方法の開発が重要である。その有力な方法としてシ
ートバーの接合面積の全部または大部分を圧接する方法
が考えられる。圧接法で強い接合強度を得るためには、
圧延機前段での圧延圧接中に突き合わせ面の密着性を面
全体で充分保つことが重要である。しかし、突き合わせ
面の大部分を占める未溶接部は自由端面であり、非定常
変形を生じ易く、そのため突き合わせ面が変形して分離
する。しかも、連続圧延においては連続化率の向上に伴
って、板温度、板サイズ、鋼種、圧下率などの圧延条件
が頻繁に変化するので、突き合わせ面の変形状態も変動
し、それに伴ってシートバーの接合力も変化して、板破
断など、安定した通板ができない問題があった。図３
（Ａ）は従来の圧延前のシートバーの突き合わせ面の平
面形状を示す。図３（Ｂ）の実線は圧延した後の突き合
わせ面の形状を、破線は圧延前の形状を示す。圧延によ
り突き合わせ面の形状が破線から実線のように変化する
ことが判る。即ち、突き合わせ面の相対変位が板両側端
近傍で分離する。

【０００５】そこで、発明者らは特願平４−２０２７３
６号公報に図５に示す新プロセスを示し、シャー１３に
よる切断において、圧延前のシートバーの突き合わせ面
形状を少なくとも２次以上の多項式の曲線であらわせる
切断線に沿って切断し、圧延圧接中の突き合わせ面の分
離を防止する技術を開示している。この方法によれば、
前記圧延条件の変化により切断線をあらわす多項式とし
て最適なものを選択することにより、圧延条件の変化に
影響されずに圧延圧接中に突き合わせ面の密着性を面全
体で充分保つことが可能である。即ち、図４（Ａ）は圧
延前のシートバーの突き合わせ面の最適形状を示す。図
４（Ｂ）の実線は図４（Ａ）のシートバーを圧延した後
の突き合わせ面の形状を、破線は圧延前の突き合わせ面
の形状を示す。圧延により突き合わせ面の形状が破線か
ら実線のように変化し、突き合わせ面は圧延後に板幅方
向全体に良好に接触する。

【０００６】この方法を実現するためにはシートバーを
任意の形状に切断する方法および装置の存在が必須であ
る。『わが国における最近のホットストリップ製造技術
−第２版，日本鉄鋼協会，（１９８７），３１．』の教
えるところによれば、従来、熱間板圧延のシートバーの
切断方法としては、クロップシャーが使用されており、
その基本機構により、ドラム型、クランク型、振
動型の３つの型式に分類される。何れの型式のものも切
断形状は刃を交換しない限り変更できない。即ち、従来
の切断方法では切断形状はシャーに取り付けられた刃の
形状により唯一に規定されるので、圧延条件により最適
なシートバーの切断形状を得ることは事実上できない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上に述べたように、
完全連続熱間圧延のシートバーの切断において、圧延条
件により最適なシートバーの切断形状を得るには、任意
に刃の形状を変更する機構を備えたシャーが事実上ない
という問題があった。

【０００８】本発明は、このような現状の問題点を解消
するものであって、仕上圧延時に突き合わせ面が分離し
ないためのシャーの最適切断形状を圧延理論と熱間の鋼
を用いた実験に基づき切断に必要な最適な構成要素をも
つ完全連続熱間圧延シートバーの切断方法を提供するも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明が要旨とす
るところは、完全連続熱間圧延のシートバーを最適形状
に切断する際に、板幅中央部の切断線に沿って切断する
第１切断工程と、板幅両端部の切断線に沿って切断する
第２切断工程に分けて切断することであり、また本発明
は幅方向に分割し、且つ圧延方向に分割刃の位置調整機
構を有するシャーを用いることである。

【００１０】以下に、本発明の実施態様例を示す。図面
を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図１（Ａ）
は粗圧延後のシートバー１を示す。先後端部は非定常状
態の圧延となるため端部に凹凸が生じるのでこの部分を
切断し除去する。シートバー１の先後端を、図１（Ｄ）
に示す刃の形状を可変な第１工程の切断装置６を用いて
図１（Ｂ）に示すように板幅中央部切断線４を含む線で
切断する。次に、図１（Ｅ）に示す刃の形状を可変な第
２工程の切断装置７を用いて図１（Ｃ）に示すように板
幅端部切断線５を含む線で切断する。そして、最適形状
の突き合わせ面を持つシートバー３を得る。

【００１１】次に、本発明の作用について説明する。一
般に、シートバーの突き合わせ面の形状は図４（Ａ）に
示されるものが圧延中の突き合わせ面の密着割合が高い
という理由で最適であり、図１（Ｃ）の端面形状を該最
適形状に近い形状に切断しなければならない。但し、
板幅や圧下率などの圧延条件による最適形状の変化に対
応すること、および切断装置や刃物の必要数をできる
限り少なくすることを考慮して、図１（Ｃ）に示すよう
に切断線を板幅中央部切断線４と板幅端部切断線５の異
なる曲線からなる部分に分けて近似する。また、切断装
置は板幅中央部切断線４の形状の刃を持つ第１工程の切
断装置６および板幅端部切断線５の形状の刃を持つ第２
工程の切断装置７の計２台とする。該近似曲線に沿って
切断する方法として、先ず板幅中央部切断線４を切断
し、その後板幅端部切断線５を切断する２工程に分割し
て切断する。

【００１２】但し、該近似曲線は板幅中央部切断線４が
板幅端部切断線５に比べて板の内側へ後退しているの
で、従来の幅方向に滑らかな曲線でつながった広幅の刃
を有する切断装置では切断できないことが幾何学的に証
明されている。そこで、図１（Ｄ）に示されるように、
切断装置の刃を幅方向に分割した分割刃８とし、その位
置を分割刃の位置調整機構９により自在に変更して、切
断線の形状に合わせる方式を用い、また、縦方向の切断
に対して縦刃１０と縦刃の位置調整機構１１を設けるこ
とによって対処した。この装置を用いることによって、
図１（Ｂ）のようにシートバーを切断するには、図１
（Ｄ）のように分割刃の位置調整機構９を黒矢印の方向
に、縦刃の位置調整機構１１を白抜き矢印の方向に操作
し、分割刃８と縦刃１０を板幅中央部切断線４を含むシ
ートバーの切断線に沿うように設定すればよい。同様に
図１（Ｃ）のようにシートバーを切断するには、図１
（Ｅ）のように分割刃の位置調整機構９を黒矢印の方向
に操作して、分割刃８を板幅端部切断線５を含むシート
バーの切断線に沿うように設定すればよい。

【００１３】

【実施例】本発明の実施例を図１と表１および表２を用
いて説明する。表１および表２の条件で切断試験を行っ
た。図１（Ｄ）および図１（Ｅ）の機構を表２に示す型
式のシャーに適用した。ドラム型シャーは胴長方向にド
ラムを等分割して、各分割ドラムに分割刃を１枚固定し
た。刃の位置調整機構は分割した各ドラムを設定の角度
に回転するとともに、ドラム内に設けられた機構で刃を
固定する方式とした。４クランク型シャー、２クランク
型シャー、振動型シャーは幅方向に等分割したスライド
式位置調整機構に各１枚刃を固定した。刃の位置調整機
構は分割した台を設定の距離平行移動するとともに、台
に設けられた機構で刃を固定する方式とした。試験の結
果、何れの場合も図１（Ｂ）および図１（Ｃ）に示す形
状にシートバーを切断できることが判明し、本発明が有
効であることが判明した。また、表２の条件では直線刃
を用いているが、曲線刃でも本発明が有効であることを
確認した。更に、図１（Ｄ）の代わりに図２を用いた結
果、この場合も本発明が有効であることを確認した。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】

【発明の効果】本発明は、以上に述べたように構成しか
つ作用せしめることにより、完全連続熱間圧延を行う際
に、シートバーの突き合わせ面を最適形状に切断するの
に顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す図であり、（Ａ），
（Ｂ），（Ｃ）はシートバーの切断状況、（Ｄ），
（Ｅ）は切断方法を示す。

【図２】本発明のシートバー切断の他の実施例を示す。

【図３】本発明に関する発明者らが既に開示した技術を
示す図で、通常の形状の突き合わせ面で連続圧延を行う
際に、（Ａ）は圧延前の突き合わせ面の形状、（Ｂ）は
圧延後の突き合わせ面の形状を示す図。

【図４】本発明に関する発明者らが既に開示した技術を
示す図で、最適化を図った形状の突き合わせ面で連続圧
延を行う際に、（Ａ）は圧延前の突き合わせ面の形状、
（Ｂ）は圧延後の突き合わせ面の形状を示す図。

【図５】本発明者らが既に開示した新プロセスを示す
図。

【図６】従来技術を示すもので、移動式接合機とスイン
グローラー式テーブルを用いたプロセスの図。

【図７】従来技術を示すもので、固定式溶接機とシート
バーの貯蔵装置またはスパイラルルーパーを用いたプロ
セスの図である。

【符号の説明】

１ 切断前のシートバー ２ 第１工程の切断後のシートバー ３ 第２工程の切断後のシートバー ４ 板幅中央部切断線 ５ 板幅端部切断線 ６ 第１工程の切断装置 ７ 第２工程の切断装置 ８ 分割刃 ９ 分割刃の位置調整機構 １０ 縦刃 １１ 縦刃の位置調整機構 １２ 粗圧延機 １３ シャー １４ 移動式ガイド １５ 仕上圧延機 １６ 仕上圧延機前段の作業ロール １７ 後行するシートバー １８ 先行するシートバー １９ 移動式溶接機および加熱装置 ２０ 接合検査装置 ２１ 学習制御装置 ２２ コイルボックス ２３ コイル ２４ 移動式接合機 ２５ レール ２６ スイングローラー式テーブル ２７ 固定式溶接機 ２８ ピンチロール ２９ シートバーの貯蔵装置またはスパイラルルーパー

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粗圧延後のシートバーの先後端部を、板
   幅中央部と板幅両端部が異なる曲線または直線で構成さ
   れる切断線に沿って切断する完全連続熱間圧延のシート
   バーの切断方法において、板幅中央部の切断線と、該板
   幅中央部の切断線の両端点と板幅両端部または板端部を
   シートバーの切り捨て部分を通り且つ該板幅両端部の切
   断線と該板幅中央部の切断線の両端以外と交わることな
   く結ぶ曲線または直線とで構成される線に沿って切断す
   る第１切断工程と、該板幅両端部の切断線のみで構成さ
   れる線に沿って切断する第２切断工程に分けて切断する
   ことを特徴とする完全連続熱間圧延のシートバーの切断
   方法。
2. 【請求項２】 シートバーの移動に同期して設定の位置
   を切断する機構を有する、タンデムに配設した２台の切
   断装置を用いて、第１切断工程と第２切断工程を実施す
   ることを特徴とする請求項１記載の完全連続熱間圧延の
   シートバーの切断方法。
3. 【請求項３】 幅方向に分割した複数の刃と該各分割刃
   をシートバーの送り方向に位置変更および固定する分割
   刃の位置調整機構を有するシャーを用いることを特徴と
   する請求項１あるいは２記載の完全連続熱間圧延のシー
   トバーの切断方法。
4. 【請求項４】 幅方向に分割した複数の刃と該各分割刃
   をシートバーの送り方向に位置変更および固定する分割
   刃の位置調整機構を有するドラム型シャーを用いること
   を特徴とする請求項１あるいは２記載の完全連続熱間圧
   延のシートバーの切断方法。
5. 【請求項５】 幅方向に分割した複数の刃と該各分割刃
   をシートバーの送り方向に位置変更および固定する分割
   刃の位置調整機構を有するクランク型シャーを用いるこ
   とを特徴とする請求項１あるいは２記載の完全連続熱間
   圧延のシートバーの切断方法。
6. 【請求項６】 幅方向に分割した複数の刃と該各分割刃
   をシートバーの送り方向に位置変更および固定する分割
   刃の位置調整機構を有する振動型シャーを用いることを
   特徴とする請求項１あるいは２記載の完全連続熱間圧延
   のシートバーの切断方法。