JPH0663574U - 吊り荷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置全体に対するウエイトの重力比率を大き
くし、また傾斜に対応して自動的に水平に補正できるよ
うにした。 【構成】 吊り荷装置は、両端に吊り荷８を吊下するブ
ラケット３を設けた吊りビーム１と、吊りビーム１の長
手方向に沿って水平移動可能に配置されたウエイトボッ
クス９と、これの下部内側に内蔵されたウエイト兼用の
バッテリ１１と、ウエイトボックス９内にあってバッテ
リ１１を電源としてウエイトボックス９を右または左に
移動させるための駆動モータ１２と、前記吊りビーム１
上に配置された水平センサー１０と、センサー１０から
の信号を受けて前記吊りビーム１の傾きと方向を判別す
る傾斜判別器１９と、この判別結果に基づき前記駆動モ
ータ１２を傾き修正方向に正逆転駆動する制御回路１４
を備えた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ＰＣ版カータンウオール等の大型の吊り荷を水平に保ちつつ揚重 作業する場合に好適な吊り荷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

高層ビルなどの建物の外装に用いられるＰＣカーテンウォール材をクレーンに よって吊り上げ、所定の場所に取り付けるには、一般にクレーンに吊下される水 平ビームの両端にチェーンブロックなどを介してカーテンウォールを懸垂し水平 バランスの調整および取り付け調整を人手により行ってから吊り上げるようにし ているが、この調整作業は熟練を要し、非能率的であった。

【０００３】 一方、このような点を改善すべく水平調整のための移動可能なバランスウエイ トを備えた吊り荷装置として例えば実開昭５９−８３８７０号公報に示すリフタ ーがある。

【０００４】 このリフターは、本体下部にネジ送り機構を介してウエイトを移動可能に設け るとともに、該ネジ送り機構の一端に設けたモータを正逆転させることによって ウエイトを左右に移動させ、吊り荷を水平に保つ構造である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような吊り荷装置にあっては、ウエイトの移動のためのモータ等 の駆動装置が本体側に固定されているため、装置が大掛かりとなる割りにはウエ イトの重力が小さく、バランス力が小さい欠点があった。

【０００６】 また、このものは操作者が目視確認を行いながら遠隔操縦によってウエイトを 移動させるようにしているため、例えば屋外での揚重作業時等において目視確認 できない場合や、風やその他の突発的な外乱によって吊り姿勢がアンバランスに なった場合に直ちに対応出来ない欠点があった。

【０００７】 この考案は以上の欠点を解消するものであって、その目的はウエイトの駆動の ための機構や電源をウエイト内に内蔵させることで、装置全体に対するウエイト の重力比率を大きくし、また傾斜に対応して自動的に水平に補正できるようにし た吊り荷装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、この考案は、両端に吊り荷を吊下支持する支持手段 を設けた吊りビームと、該吊りビームの長手方向に沿って水平移動可能に配置さ れたウエイトボックスと、該ウエイトボックスに内蔵されたウエイト兼用のバッ テリと、該ウエイトボックス内にあって前記バッテリを電源として前記ウエイト ボックスを右または左に移動させるための駆動モータと、前記吊りビーム上に配 置された水平センサーと、該センサーからの信号を受けて前記吊りビームの傾き と方向を判別し、この判別結果に基づき前記駆動モータを傾き修正方向に正逆転 駆動する制御手段を備えたものである。

【０００９】

【作用】

以上の構成によれば、ウエイトボックス内に電源や駆動機構が全て内蔵されて いる。水平センサーが吊りビームの傾きを検出すると、その傾きとは反対方向に ウエイトボックスが移動することにより吊りビームの重心が変化して水平に修正 される。

【００１０】

【実施例】

以下この考案の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図１はこの考案の実 施例による吊り荷装置の全体構成を示すもので、Ｉ形鋼からなる吊りビーム１の 中央上部には吊下げ用ブラケット２が溶接され、下部両側には吊り荷用ブラケッ ト３が溶接されている。

【００１１】 吊下げ用ブラケット２の上部には中間金具４が連結され、この金具４の上部を クレーンのフックブロック５にワイヤ６を介して吊り下げている。また、前記吊 り荷用ブラケット３には玉掛けワイヤ７を介してＰＣ版カーテンウォール等の吊 り荷８を吊下支持している。

【００１２】 前記吊りビーム１の下縁にはウエイトボックス９が移動可能に配置され、上部 ほぼ中央寄りには水平センサー１０が固定配置されている。

【００１３】 ウエイトボックス９の内側下部には図２，３に示すように、バランスウエイト を兼用した複数のバッテリ１１が内蔵され、また内側上部にはこのバッテリ１１ を電源とする一対の駆動モータ１２およびこれの制御回路１４および駆動機構が 内蔵され、ウエイトボックス９の重量に加え内蔵されたこれらの重量により大き な荷重を加えることができる。

【００１４】 駆動機構は、ウエイトボックス９の上部内側の左右両側にそれぞれ軸受された ピニオン１５と、吊りビーム１の下部側フランジ１ａの両側に固定され、前記ピ ニオンに噛合するラック１６と、各ピニオン１５と駆動モータ１２間を連結する チェーン１６およびスプロケット１７とからなっており、各駆動モータ１５の正 逆転動作によってウエイトボックス９はいずれかの方向に走向する。

【００１５】 水平センサー１０は、１種の水銀スイッチであり、吊りビーム１の長手方向に 沿って配置される円筒状の真空ガラス管１０ａの内部に水銀１０ｂを密封し、そ の中央と両側にそれぞれ電極を配置したもので、各電極に接続されたリード線１ ８は吊りビーム１上に配置された傾斜判別器１９に接続されている。

【００１６】 傾斜判別器１９は水銀の移動方向によってそれぞれ０（水平時），−１，＋１ （±は傾き方向に応じた正負の検出出力）を出力するもので、この出力はリール 回転検出器２０から繰り出されるリード線２１を通じて前記制御回路１４側に入 力され、制御回路１４ではこの検出出力に応じて前記各駆動モータ１２の正逆お よび停止制御を行う。

【００１７】 前記リール回転検出器２０はリード線２１のリトラクタ（巻取器）機能ととも に、リード線２１の繰出し量に応じたウエイトボックスの移動距離と方向を検出 する機能を有するもので、内蔵された図示しないエンコーダ等によってリード線 ２１の繰出し量を検出し、これによりウエイトボックス９の移動量を判定できる ようにしている。

【００１８】 また回転検出器２０の下部にはタッチセンサー２２が配置され、このタッチセ ンサー２２によりリード線２１の移動方向を判別する。

【００１９】 すなわち、リード線２１は吊りビーム１の上部側フランジ１ｂの下部に設けた 中間リール２３に一端が巻き取られた状態で制御回路１４側に接続されているが 、前記タッチセンサー２２はこのリール２３に近接位置し、図２におけるウエイ トボックス９が中立位置から右側に移動することでリード線２１がタッチセンサ ー２２に接し、中立位置あるいは左側に移動した場合に接しないことから、セン サー２２のＯＮ，ＯＦＦ出力によって移動方向を判別できる。

【００２０】 なお、このリール回転検出器２０にはウエイトボックス９が吊りビーム１の端 部まで移動した場合、自動的に駆動モータ１２の回転を停止させて焼き付きを防 止する機能や、この時点で未だ水平が保持されていない場合に警報を発する機能 がもたらされ、過度にアンバランスな吊り姿勢の場合に大事に至る前にそのアン バランスを作業者に気が付かせることができる。

【００２１】 以上の構成において、作業者は吊り荷８を吊りビーム１に玉掛け作業するだけ で、バランス調整する必要はない。

【００２２】 つまり、吊りビーム１をクレーンで吊り上げ、吊り荷８の荷重が吊りビーム１ に加わった時点で多少アンバランスが生じていると、駆動モータ１２の正逆転駆 動によりウエイトボックス９が吊りビーム１を水平に修正する方向に移動して重 心点を変え、この状態で水平に修正されると、駆動モータ１２は停止してその状 態を保つので吊りビーム１が水平状態のまま吊り荷８を吊り上げることができる 。 なお、荷重が加わった時点で吊りビーム１の傾きが激しく、ウエイトボック ス９が吊りビーム１の端部まで移動しても傾きが直らない状態では直ちに警報が 発せられるので、この時点で直ちに揚重作業を中断し、人手による調整に切り替 えることができる。

【００２３】 また、揚重途中で風その他の突発的外乱によって吊り姿勢がアンバランスとな った場合においてもそのウエイトボックス９の移動によりバランスを回復でき、 またバランスが大きく崩れた場合には警報が発生されるため、このような状態に なっても迅速な対処ができる。

【００２４】

【考案の効果】

以上実施例によって詳細に説明したように、この考案による吊り荷装置にあっ ては、ウエイトボックス内にバッテリ電源や駆動機構が全て内蔵されているため 、余分な荷重を他にかけることがなく、装置全体に対する重量比を増加できるの で、バランス力が大きい。このため、特に大重量物の揚重時におけるバランスの 調整に好適である。

【００２５】 また、この考案では、水平センサーが吊りビームの傾きを検出すると、その傾 きとは反対方向にウエイトボックスが移動することにより吊りビームの重心が変 化して水平に修正されるため、人手によるバランス調整の要がなく、調整作業の 省力化を図ることができ、さらには突風その他の外乱によりバランスが崩れた場 合にも自動的に回復できるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による吊り荷装置の全体構成を示す正
面図である。

【図２】同要部正断面図である。

【図３】同側断面である。

【符号の説明】

１ 吊りビーム ２ 吊下げ用ブラケット ３ 吊り荷用ブラケット ５ フックブロック ８ 吊り荷 ９ ウエイトボックス １０ 水平センサー １１ バッテリ １２ 駆動モータ １４ 制御回路（制御手段） １９ 傾斜判別器（制御手段）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端に吊り荷を吊下支持する支持手段を
   設けた吊りビームと、該吊りビームの長手方向に沿って
   水平移動可能に配置されたウエイトボックスと、該ウエ
   イトボックスに内蔵されたウエイト兼用のバッテリと、
   該ウエイトボックス内にあって前記バッテリを電源とし
   て前記ウエイトボックスを右または左に移動させるため
   の駆動モータと、前記吊りビーム上に配置された水平セ
   ンサーと、該センサーからの信号を受けて前記吊りビー
   ムの傾きと方向を判別し、この判別結果に基づき前記駆
   動モータを傾き修正方向に正逆転駆動する制御手段を備
   えたことを特徴とする吊り荷装置。