JPH0661514A - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

Info

Publication number
JPH0661514A
JPH0661514A JP4231315A JP23131592A JPH0661514A JP H0661514 A JPH0661514 A JP H0661514A JP 4231315 A JP4231315 A JP 4231315A JP 23131592 A JP23131592 A JP 23131592A JP H0661514 A JPH0661514 A JP H0661514A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
gas
type layer
atoms
light reflection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4231315A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2785885B2 (ja
Inventor
Keishi Saito
恵志 斉藤
Masafumi Sano
政史 佐野
Susumu Hayashi
享 林
Masahiko Tonogaki
雅彦 殿垣
Toshimitsu Kariya
俊光 狩谷
Koichi Matsuda
高一 松田
Naoto Okada
直人 岡田
Takaharu Kondo
隆治 近藤
Tomonori Nishimoto
智紀 西元
Yutaka Nishio
豊 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP4231315A priority Critical patent/JP2785885B2/ja
Publication of JPH0661514A publication Critical patent/JPH0661514A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2785885B2 publication Critical patent/JP2785885B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/52PV systems with concentrators
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/545Microcrystalline silicon PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/546Polycrystalline silicon PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、過酷な環境下においても高い初期
特性を長期間に渡り維持し得る光起電力素子を提供する
ことを目的とする。また、高い歩留まりで大量生産可能
な光起電力素子を提供することを目的とする。 【構成】 導電性基板101上に、光反射層102、光
反射増加層103、少なくともシリコン原子を含有する
非単結晶半導体材料からなるn型層104、i型層10
5及びp型層106、及び透明電極107を積層して構
成される光起電力素子において、前記光反射層102は
AlとSi原子を主構成元素とし、酸素原子、窒素原
子、炭素原子またはアルカリ金属原子の内少なくとも1
つを含有していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光起電力素子に係わ
り、シリコン原子を含有する非単結晶半導体材料、例え
ば水素化非晶質シリコン、水素化非晶質シリコンゲルマ
ニウム、水素化非晶質シリコンカーバイド、微結晶シリ
コンまたは多結晶シリコン等からなる光起電力素子で、
特に光反射層を有する光起電力素子に関する。本発明の
光起電力素子は、例えば、太陽電池、センサー、撮像素
子等に好適に適用される。
【0002】
【従来の技術】光起電力素子については、光反射層の材
質及び表面性等の観点から多くの研究がなされている。
【0003】例えば、太陽電池への応用という観点から
は水素化非晶質シリコン半導体(a−Si:H)と金属
(Ag,Al,Au,Cu,Cr,Fe,Mo,Ni)
との間の反射率について検討されている(A,Mada
n,M.P.Shaw,The physics an
d Applications of Amorpho
us Semiconductors,Academi
c Press,1988)。また銀原子から構成され
る光反射層について反射率とテクスチャー構造について
検討されている(例えば、「29p−MF−2 ステン
レス基板上のa−SiGe太陽電池における光閉じこめ
効果」1990年秋季第51回応用物理学会学術講演会
予稿集第2分冊;”a−SiC/a−Si/a−SiG
e MULTI−BANDGAP STACKED S
OLAR CELLS WITHBANDGAP PR
OFILING”,Technical Digest
of the International PVSE
C−5,Kyoto,Japan,1990,P−IA
−15)。
【0004】また更に、Al,SUS/Al/ポリマ
ー,Ti/Ag/Ti/Al等のテクスチャー基板につ
いて検討されている(M.HIRASAKA et.a
l.,”DESIGN OF TEXTURED AL
ELECTRODE FORA HYDROGENA
TED AHORPHOUS SILLIC ONSO
LAR CELL”,in Solar Energy
Materials,(1990)99−110,N
orth−Holland)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の光起電
力素子は、優れた光電変換特性を有するものであるが、
使用される環境及び耐久特性等の観点からの検討が殆ど
されていないのが現状である。それ故、実用上の観点か
ら、優れた耐久性を有し、しかもより一層高い特性を有
す光起電力素子が強く望まれている。
【0006】本発明は、以上の状況に鑑み、過酷な環境
下においても高い初期特性を長期間に渡り維持し得る光
起電力素子を提供することを目的とする。
【0007】また、本発明は、光起電力素子を高い歩留
まりで大量生産可能な光起電力素子を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の問
題点を解決し、本発明の目的を達成するために鋭意検討
した結果、光起電力素子の光反射層としては、AlとS
i原子を主構成元素とし、酸素原子、窒素原子、炭素原
子またはアルカリ金属原子を含有する光反射層が適して
いることを見いだしたものである。
【0009】即ち本発明の光起電力素子は、導電性基板
上に、光反射層、光反射増加層、少なくともシリコン原
子を含有する非単結晶半導体材料からなるn型層、p型
層及びi型層、及び透明電極を積層して構成される光起
電力素子において、前記光反射層はAlとSi原子を主
構成元素とし、酸素原子、窒素原子、炭素原子またはア
ルカリ金属原子の内少なくとも1つを含有していること
を特徴とする。
【0010】
【作用】本発明の光起電力素子の光反射層は、AlとS
i原子を主構成元素とし、酸素原子、窒素原子、炭素原
子またはアルカリ金属原子の内少なくとも1つを含有す
るもので、該構成にすることによって、光起電力素子特
性が著しく向上する。
【0011】本発明の光起電力素子において、AlSi
合金に光反射層に酸素 原子を含有させることにより、
合金中の歪を広く分散させると考えられる。即ち、Al
の格子定数(4.05Å)及びSiの格子定数(5.4
3Å)と比較して、酸化アルミニウムの格子定数(5.
12〜7.9Å)及び酸化珪素の格子定数(4.9〜
5.47Å)は大きく違っている、そのため合金の歪が
酸素原子の近傍に集中し、その結果として歪は広く分散
されることになるものと思われる。
【0012】更に原因の詳細は不明であるが、AlとS
iの合金に酸素原子を含有させることによって結晶粒径
がほぼ均一となる。
【0013】以上のように酸素をAlSi合金に添加す
ることにより、合金中の歪が分散したり、また結晶粒径
がほぼ均一になることによって本発明の効果である光反
射層と基板及び反射増加層との密着性が向上し、光反射
層の金属が光反射増加層及び半導体層ヘの拡散するのを
防止することが可能となる。
【0014】本発明の光起電力素子において、AlSi
光反射層に炭素原子を含有させることによっても、合金
中の歪を広く分散させることができると考えられる。即
ち、Al−Si系合金のうち、本発明で用いたSiの固
溶量の少ないものは、そのほとんどは単体のAl金属と
同じ面心立方格子をとる組織からなり、Si原子および
炭素原子はこの格子中に無秩序に配列していると考えら
れる。ここで、単体状態での炭素の最短原子間距離
(1.54Å)はAlの最短原子間距離(2.86Å)
およびSiの最短原子間距離(2.35Å)と比較して
かなり小さいため、合金の歪が炭素原子の近傍に集中す
ることが考えられ、その結果として歪は広く分散される
ことになるものと思われる。
【0015】更に原因はよくわかっていないが、Alと
Siの合金に炭素原子を含有させることによって結晶粒
径がほぼ均一となる。
【0016】以上のように炭素をAlSi合金に添加す
ることにより、合金中の歪が分散したり、また結晶粒径
がほぼ均一になることによって本発明の効果である光反
射層と基板及び反射増加層との密着性が向上し、光反射
層の金属が光反射増加層及び半導体層ヘの拡散するのを
防止することが可能となる。
【0017】本発明の光起電力素子において、AlSi
合金の光反射層に窒素原子を含有させて構成されるもの
である。
【0018】光反射層の薄膜作製の際に窒素原子を混入
させると、窒素原子は主に粒界中に分布するように薄膜
内に取り込まれて圧縮応力を発生させ、その結果、Al
Si合金の光反射層中に残留する引張応力が緩和される
と考えられる。
【0019】また更に原因はよくわかっていないが、A
lSiの合金に窒素原子を含有させることによって結晶
粒径がほぼ均一となる。
【0020】以上のように窒素をAlSiに添加するこ
とにより、合金中の応力が緩和されたり、また結晶粒径
がほぼ均一になることによって本発明の効果である光反
射層と基板及び反射増加層との密着性が向上し、光反射
層の金属の光反射増加層及び半導体層ヘの拡散を防止す
ることが可能となる。
【0021】また窒素原子、炭素原子、酸素原子を1種
だけでなく、2種以上含有させることによって、上記の
効果が増大し、光反射層としての機能がさらに向上する
ものである。
【0022】本発明の光起電力素子の光反射層は、Al
とSiとの合金にアルカリ金属(Li、Na、K、R
b、Cs)を含有させて構成されるものである。
【0023】Al−Si系合金にアルカリ金属、特にN
aを添加すると、表面処理された状態になり、各結晶粒
の大きさが非常に小さくなる。
【0024】また更に原因はよくわかっていないが、A
lSiの合金にアルカリ金属原子を含有させることによ
って結晶粒径がほぼ均一となる。
【0025】以上のようにAlSi合金にアルカリ金属
原子を添加することにより、合金中の結晶粒の大きさが
小さくなり、合金の表面状態が改善されたり、また結晶
粒径がほぼ均一になることによって本発明の効果である
光反射層の基板及び反射増加層との密着性が向上し、光
反射層の金属の光反射増加層及び半導体層への拡散を防
止することが可能となるものである。
【0026】以下本発明を図面に用いて詳細に説明す
る。
【0027】図1、図2、図3は、本発明の光起電力素
子の構成例を模式的に示す概念図である。
【0028】図1の光起電力素子は、不透明の導電性基
板101上に、AlとSi原子を主構成元素とし、酸素
原子、窒素原子、炭素原子またはアルカリ金属原子の内
少なくとも1つを含有する光反射層102、反射増加層
103、n型(またはp型)の非単結晶シリコン系半導
体層104、i型(実質的にintrinsic)の非
単結晶シリコン系半導体層105、p型(またはn型)
の非単結晶シリコン系半導体層106、透明電極10
7、集電電極108、から構成されている。該光起電力
素子に対して、光109は透明電極107側から照射さ
れる。
【0029】図2の光起電力素子は、タンデム構造の例
であり、透明基板201上に、集電電極208、透明電
極207、p型(またはn型)の非単結晶シリコン系半
導体層206b、i型(実質的にintrinsic)
の非単結晶シリコン系半導体層205b、n型(または
p型)の非単結晶シリコン系半導体層204b、p型
(またはn型)の非単結晶シリコン系半導体層206
a、i型(実質的にintrinsic)の非単結晶シ
リコン系半導体層205a、n型(またはp型)の非単
結晶シリコン系半導体層204a、反射増加層203、
AlとSi原子を主構成元素とし、酸素原子、窒素原
子、炭素原子またはアルカリ金属原子の内少なくとも1
つを含有する光反射層202、導電層(または/及び保
護層)210、から構成されている。
【0030】不図示ではあるが、pinのユニットを3
層積層したトリプルの光起電力素子も本発明の適した光
起電力素子である。
【0031】図3の光起電力素子は、テクスチャー構造
を有するタンデムセルの例であり、不透明の導電性基板
301上に、テクスチャー構造でAlとSi原子を主構
成元素とし、酸素原子、窒素原子、炭素原子またはアル
カリ金属原子の内少なくとも1つを含有する光反射層3
02、反射増加層303、n型(またはp型)の非単結
晶シリコン系半導体層304a、i型(実質的にint
rinsic)の非単結晶シリコン系半導体層305
a、p型(またはn型)の非単結晶シリコン系半導体層
306a、n型(またはp型)の非単結晶シリコン系半
導体層304b、i型(実質的にintrinsic)
の非単結晶シリコン系半導体層305b、p型(または
n型)の非単結晶シリコン系半導体層306b、透明電
極307、集電電極308から構成されている。該光起
電力素子に対して、光309は透明電極307側から照
射される。
【0032】図3の例では、テクスチャー構造は光反射
層で形成したが、基板301、反射増加層303等で形
成しても良い。
【0033】以下に、本発明の光起電力素子の構成要素
を詳細に説明する。
【0034】光反射層 本発明の光起電力素子において光反射層は、光起電力素
子の耐環境性や耐久性に影響を与える重要な機能を有す
る層である。本発明の光起電力素子に適した光反射層
は、AlとSi原子を主構成元素とし酸素原子、窒素原
子、炭素原子またはアルカリ金属原子の内少なくとも1
つを含むものであり、酸素原子、窒素原子または炭素原
子の好ましい含有量は、0.1〜1000ppmであ
る。0.1〜1000ppmとすることで、光電変換特
性、素子の耐久性及び耐環境性は一層向上する。また、
アルカリ金属原子の好ましい含有量は、2〜100pp
mであり、この範囲で素子の耐久性及び耐環境性は一層
向上する。
【0035】本発明の光起電力素子の光反射層に適した
堆積方法としてはスパッタリング法、真空蒸着法等が上
げられる。
【0036】本発明の光起電力素子の光反射層に適した
AlSi合金中のSiの含有量は1〜30%が適した範
囲であり、3〜10%が最適な範囲として挙げられる。
【0037】図4は本発明の光起電力素子の光反射層の
堆積に適したDCマグネトロンスパッタリング装置の一
例を示す模式図である。該装置は、堆積室401、基板
402、加熱ヒータ403、ターゲット404、絶縁性
支持体405、DC電源406、シャッター407、真
空計408、コンダクタンスバルブ409、ガス導入バ
ルブ410、412、414、416、マスフローコン
トローラー411、413、415、417等から構成
されている。該DCマグネトロンスパッタリング装置で
光反射層を堆積する場合、予め酸素原子、窒素原子、炭
素原子またはアルカリ金属原子(Li,Na,K,R
b,Cs)を所定量添加したAlSiのターゲットを用
意し堆積室401のターゲット404にセットし、また
光反射層を堆積すべき基板を基板402にセットする。
【0038】AlSiのターゲットに含有される酸素原
子、窒素原子または炭素原子の含有量は0.1〜150
0ppmが好ましい範囲として挙げられる。また、アル
カリ金属原子の含有量は2〜100ppmが好ましい範
囲として挙げられる。そして油拡散ポンプとロータリー
ポンプからなる不図示の排気系でコンダクタンスバルブ
409を介して堆積室401を5×10-5Torr以下
に排気する。また基板402の温度を加熱ヒータ403
で室温から400℃の範囲に設定することが好ましい。
【0039】基板加熱の時、堆積室401内に水素、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等のAlSiの
ターゲットと反応しにくいガスを流し、堆積室401内
をパージすることが好ましい。スパッタリング用の不活
性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、
クリプトン等が挙げられ、堆積室401内への導入圧と
しては5×10-4〜10-2Torr、導入量として1〜
200sccmが好ましい。
【0040】酸素、窒素、炭素またはアルカリ金属原子
を含有するAlSiターゲットを用いる場合のDC電圧
は、10〜500Vが好ましく、そして、光反射層の堆
積速度は、0.1〜100Å/secが好ましい。
【0041】また同様にしてDCマグネトロンスパッタ
リング法に代えてRFスパッタリング法を用いることが
できる。RFスパッタリング法の場合、前記条件の内D
C電源に代えてRF電源が使用され、周波数としては1
3.56MHz付近の周波数が好ましい周波数として挙
げられる。そしてRF電源から堆積室401に投入され
るRFパワーとしては0.01〜10W/cm2 が好ま
しい。
【0042】次に、反応性スパッタリング法で光反射層
を堆積する場合、前記酸素、窒素または酸素を含有する
AlSiターゲットを酸素、窒素または炭素の含有量の
少ないまたは全く含まないAlSiターゲットに取り替
え、更に前記不活性ガスに替えて、酸素含有ガス、窒素
含有ガスまたは炭素含有ガスを添加した前記不活性ガス
をスパッタリング用ガスとして使用して光反射層を堆積
することができる。反応性スパッタリング法の場合前記
不活性ガス中に添加される酸素原子、窒素原子または炭
素原子の添加量としては1〜2000ppmが好まし
い。
【0043】図8は、光反射層と光反射増加層を堆積室
の真空を破ることなく連続して堆積できるスパッタリン
グ装置である。該装置は堆積室801、基板802、加
熱ヒータ803、光反射層堆積用のターゲット804、
光反射増加層堆積用のターゲット818等で構成され
る。光反射層の堆積条件は、図4の堆積装置の堆積条件
と同様である。
【0044】図9は、真空蒸着法による光反射層の堆積
装置(真空蒸着装置)である。該真空蒸着装置は、堆積
室901、基板902、加熱ヒータ903、蒸着源90
4、電子ビーム(EB)ガン905、高電圧電源90
6、シャッター907、真空計908、コンダクタンス
バルブ909、ガス導入バルブ910、912、91
4、916マスフローコントロラー911、913、9
15、917、不図示の排気装置等から構成されてい
る。この真空蒸着装置で、光反射層を堆積する場合、基
板を堆積室内にセットし、蒸着源として酸素原子、窒素
原子、炭素原子またはアルカリ金属原子を含有するAl
Siをセットする。蒸着源のAlSiに含有される酸素
原子、窒素原子または炭素原子の好ましい含有量は1〜
2000ppmである。また、アルカリ金属原子の好ま
しい含有量は、2〜200ppmである。そして堆積室
を5×10-5Torr以下に排気し、基板温度を室温か
ら400℃の間に設定する。基板温度が所定の温度にな
ったならば、EBガンから電子ビームを蒸着源に照射す
る。蒸着時の堆積室内の圧力は、1×10-5〜5×10
-4Torrが好ましく、更に光反射層の堆積速度として
は、0.1〜100Å/secが好ましい。
【0045】また反応性蒸着で光反射層を堆積する場
合、前記酸素原子、窒素原子または炭素原子を含有する
AlSiに代えて、上記原子の含有量の少ないかあるい
は全く含有しないAlSiを蒸着源にし、酸素原子含有
ガス、窒素含有ガスまたは炭素含有ガスを1×10-4
5×10-3Torr導入する。このような圧力下で前記
AlSi原子を電子ビーム蒸着し、光反射層を形成する
ことができる。
【0046】図12は、光反射層を電子ビーム蒸着法で
堆積する方法と光反射増加量をスパッタリング方法で堆
積する方法とを同一の堆積装置に組み込んだ装置であ
る。光反射層の堆積条件は、前記図9に置ける電子ビー
ム蒸着装置を利用した堆積条件と同一である。
【0047】反応性スパッタリングまたは反応性蒸着法
を用いて、酸素原子、炭素原子、窒素原子を含有させた
光反射層を堆積する場合、酸素原子、炭素原子、窒素原
子導入用の原料ガスとしては、例えばそれぞれO2,C
4,N2が用いられる。
【0048】酸素、窒素、炭素またはアルカリ金属原子
を含有するAlSiを主構成元素とする光反射層をテク
スチャー構造にするには、例えば、基板温度を比較的高
め(300℃以上)に設定して堆積することにより得ら
れる。
【0049】本発明の光起電力素子に適した光反射層の
AlSiの結晶粒経は、100Å〜10μmが適した範
囲であり、500Å〜2μmが最適な範囲である。ま
た、本発明の光起電力素子に適した光反射層の膜厚は5
00Å〜3μmである。
【0050】反射増加層 本発明の光起電力素子において光反射増加層は、光反射
層と接触し光起電力素子の特性に密接に関係する重要な
層であり、例えばZnO,SnO2 ,In2 3 ,IT
O,TiO2 ,CdO,Cd2 SnO4 ,Bi2 3
MoO3 ,NaX WO3 (x=2〜3)等が好適に用い
られる。
【0051】反射増加層の堆積方法としては、例えば真
空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、スプレー法、
スピンオン法、ディップ法等が適した方法として挙げら
れる。
【0052】また層厚としては、屈折率により最適な層
厚は異なるが、好ましい膜厚の範囲としては500Å〜
10μmが挙げられる。
【0053】光反射増加層でテクスチャ構造を形成しよ
うとする場合、光反射増加層堆積時の基板温度を300
℃以上の高めに設定し、2μm以上の厚さに堆積するこ
とで形成できる。
【0054】p型層またはn型層 本発明の光起電力素子において、p型層またはn型層
は、光起電力素子の特性を左右する重要な層である。
【0055】本発明の光起電力素子のp型層またはn型
層の非晶質材料(a−と表示する)微結晶材料(μc−
と表示する)または多結晶材料(「poly−」と表示
する)等にp型の価電子制御剤(周期率表第III族原
子 B,Al,Ga,In,Tl)やn型の価電子制御
剤(周期率表第V族原子 P,As,Sb,Bi)を高
濃度に添加した材料が挙げられる。
【0056】非晶質材料としては、例えばa−Si:
H,a−Si:HX,a−SiC:H,a−SiC:H
X,a−SiGe:H,a−SiGeC:H,a−Si
O:H,a−Sin:H,a−SiON:HX,a−S
iOCN:HX,μc−Si:H,微結晶材料として
は、例えばμc−SiC:H,μc−Si:HX,μc
−SiC:HX,μc−SiGe:H,μc−SiO:
H,μc−SiGeC:H、μc−SiN:H,μc−
SiON:HX,μc−SiOCN:HX,)、多結晶
材料としては、例えばpoly−Si:H,poly−
Si:HX,poly−SiC:H,poly−Si
C:HX,poly−SiGe:H,poly−Si,
poly−SiC,poly−SiGe等が挙げられ
る。ここで、Xはハロゲン原子である。
【0057】特に光入射側のp型層またはn型層には、
光吸収の少ない結晶性の半導体層がバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。
【0058】p型層への周期率表第III族原子の添加
量およびn型層への周期率表第V族原子の添加量は0.
1〜50at%が適量として挙げられる。
【0059】またp型層またはn型層に含有される水素
原子(H,D)またはハロゲン原子Xはp型層またはn
型層の未結合手を補償する働きをし、p型層またはn型
層のドーピング効率を向上させるものである。p型層ま
たはn型層へ添加される水素原子またはハロゲン原子は
0.1〜40at%が適量である。特にp型層またはn
型層が結晶性の場合、水素原子またはハロゲン原子の好
適な含有量は0.1〜8at%である。
【0060】更にp型層/i型層、n型層/i型層の各
界面側で水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が
多く分布しているものが好ましく、該界面近傍での水素
原子または/及びハロゲン原子の好ましい含有量はバル
ク内の含有量の1.1〜2倍である。このようにp型層
/i型層、n型層/i型層の各界面近傍で水素原子また
はハロゲン原子の含有量を多くすることによって該界面
近傍の欠陥準位や機械的歪を減少させることができ、本
発明の光起電力素子の光起電力や光電流を増加させるこ
とができる。
【0061】更に透明電極/p型層、または透明電極/
n型層の各界面側で水素原子または/及びハロゲン原子
の含有量が多く分布しているものが好ましい分布形態と
して挙げられ、該界面近傍での水素原子または/及びハ
ロゲン原子の含有量はバルク内の含有量の1.1〜2倍
が好ましい。このように透明電極/p型層、または透明
電極/n型層の各界面近傍で水素原子またはハロゲン原
子の含有量を多くすることによって該界面近傍の欠陥準
位や機械的歪みを減少させることができ、本発明の光起
電力素子の光起電力や光電流を増加させることができ
る。
【0062】本発明の光起電力素子のp型層及びn型層
の電気特性としては活性化エネルギーが0.2eV以下
のものが好ましく、0.1eV以下のものがより好まし
い。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、
1Ωcm以下がより好ましい。さらにp型層及びn型層
の層厚は10〜500Åが好ましく、30〜100Åが
より好ましい。
【0063】本発明の光起電力素子のp型層またはn型
層の堆積に適した原料ガスとしては、例えばシリコン原
子を含有したガス化し得る化合物、ゲルマニウム原子を
含有したガス化し得る化合物、窒素原子を含有したガス
化し得る化合物等、及び該化合物の混合ガスを挙げるこ
とができる。
【0064】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、例えばSiH4 ,SiH6 ,Si
4 ,SiFH3 ,SiF2 2 ,SiF3 H,Si3
8,SiD4 ,SiHD3 ,SiH2 2 ,SiH3
D,SiFD3 ,SiF2 2 ,SiD3 H,Si2
3 3 等が挙げられる。また、ゲルマニウム原子を含有
するガス化し得る化合物としては、例えばGeH4 ,G
eD4 ,GeF4 ,GeFH3 ,GeF2 2 ,GeF
3 H,GeHD3 ,GeH2 2 ,GeH3 D,Ge2
6 ,Ge26等が挙げられる。炭素原子を含有するガ
ス化し得る化合物としては、例えばCH4 ,CD4 ,C
n 2n+2(nは整数)Cn 2n(nは整数),C
2 2 ,C6 6 ,CO2 ,CO等が挙げられる。窒素
含有ガスとしては、例えばN2 ,NH3 ,ND3 ,N
O,NO2 ,N2 Oが挙げられる。酸素含有ガスとして
は、例えばO2 ,CO,CO2 ,NO,NO2 ,N
2 O,CH3 CH2 ,OH,CH3 OH等が挙げられ
る。
【0065】本発明において価電子制御するためにp型
層またはn型層に導入される物質としては周期率表第I
II族原子及び第V族原子が挙げられる。第III族原
子導入用の出発物質として有効に使用されるものとして
は、例えば、ホウ素原子導入用としては、B2 6 ,B
4 10,B5 9,B5 11,B6 10,B6 12,B
6 14等の水素化ホウ素、BF3 ,BCl3等のハロゲ
ン化ホウ素等を挙げることができる。このほかにAlC
3 ,GaCl3 ,InCl3 ,TlCl3 等も挙げる
ことができるが、特にB2 6 ,BF3 が適している。
また、第V族原子導入用の出発物質として有効に使用さ
れるのは、例えば燐原子導入用としてはPH3 ,P2
4 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,PF5 ,PC
3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr5 ,PI3 等のハロ
ゲン化燐が挙げられる。このほかAsH3 ,AsF3
AsCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,SbH3 ,SbF
3 ,SbF5 ,SbCl3 ,SbCl5 ,BiH3 ,B
iCl3 ,BiBr3 等も挙げることができる。これら
の内、特にPH3 ,PF3 が適している。
【0066】p型層またはn型層の堆積方法は、RFプ
ラズマCVD法とμWプラズマCVD法である。特にR
FプラズマCVD法で堆積する場合、容量結合型のRF
プラズマCVD法が適している。
【0067】RFプラズマCVD法でp型層またはn型
層を堆積する場合、基板温度は、100〜350℃、内
圧は、0.1〜10Torr、RFパワーは、0.05
〜1.0W/cm2 、堆積速度は、0.1〜30Å/s
ec等が好ましい条件として挙げられる。
【0068】また前記ガス化し得る化合物をH2 ,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。特に微結晶半導体やa−Si
C:H等の光吸収の少ないバンドギャップの広い層を堆
積する場合は水素ガスで2〜100倍に原料ガスを希釈
し、RFパワーは比較的高くして導入するのが好まし
い。RFの周波数としては1〜100MHzが適した範
囲であり、特に13.56MHz近傍の周波数が好まし
い。
【0069】また、p型層またはn型層をμWプラズマ
CVD法で堆積する場合、μWプラズマCVD装置は、
堆積室に誘電体窓(アルミナセラミックス等)を介して
導波管でマイクロ波を導入する方法が適している。p型
層またはn型層をμWプラズマCVD法で堆積する場
合、堆積室内の基板温度は100〜400℃、内圧は
0.5〜30mTorr、μWパワーは0.01〜1W
/cm3 ,μWの周波数は0.5〜10GHzが好まし
い。
【0070】この時、前記ガス化し得る化合物をH2
He,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して
堆積室に導入しても良い。特に微結晶半導体やa−Si
C:H等の光吸収の少ないかバンドギャップの広い層を
堆積する場合は水素ガスで2〜100倍に原料ガスを希
釈し、μWパワーは比較的高いパワーを導入するのが好
ましい。
【0071】i型層 本発明の光起電力素子において、i型層は照射光に対し
てキャリアを発生輸送する重要な層である。
【0072】本発明の光起電力素子のi型層としては、
僅かにp型、僅かにn型としてもよい。正孔の移動度と
寿命の積が電子の移動度と寿命との積より小さい半導体
層をi型層として用いる場合、僅かにp型とした層が適
している。また、逆の場合、即ち電子の移動度と寿命の
積が正孔の移動度と寿命との積より小さい半導体層を用
いる場合、僅かにn型の層が適している。
【0073】i型層としては、例えばa−Si:H,a
−Si:HX,a−SiC:H,a−SiC:HX、a
−SiGe:H,a−SiGe:HX,a−SiGe
C:HX等の非晶質材料等が挙げられる。特に、i型層
としては、前記の非晶質材料に価電子制御剤として周期
率表第III族原子または/および第V族原子を添加し
てイントリンジック化(intrinsic)した材料
が好適なものとして挙げられる。
【0074】i型層に含有される水素原子(H,D)ま
たはハロゲン原子(X)は、i型層の未結合手を補償す
る働きをし、i型層でのキャリアの移動度と寿命の積を
向上させるものである。またこれらの原子は、p型層/
i型層、n型層/i型層の各界面の界面準位を補償する
働きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そして光応
答性を向上させる効果がある。i型層中の水素原子また
は/及びハロゲン原子の好適な含有量は、1〜40at
%である。特に、p型層/i型層、n型層/i型層の各
界面側では、水素原子または/及びハロゲン原子の含有
量が多く分布しているものが好ましい分布形態として挙
げられ、該界面近傍での水素原子または/及びハロゲン
原子の含有量は、バルク内の含有量の1.1〜2倍が好
ましい。
【0075】i型層の層厚は、光起電力素子の構造(例
えばシングルセル、タンデムセル、トリプルセル)及び
i型層のバンドギャップに大きく依存するが0.1〜
1.0μmが最適な層厚として挙げられる。
【0076】本発明の目的を効果的に達成するために、
i型層の基本的な物性としては、例えば電子の移動度は
0.01cm2 /V/sec以上、正孔の移動度は0.
0001cm2 V/sec以上、バンドギャップは1.
1〜2.2eV、禁制帯中央の局在密度は1018/cm
3 /eV以下、価電子帯側のアーバックテイルの傾きは
65meV以下のものが望ましい。更に本発明の光起電
力素子をAM1.5、100mW/cm2 の下で電流電
圧特性を測定しHecht式でカーブフィッティングを
行い、このカーブフィッティングから求めた移動度と寿
命の積が10-1 0 cm2 /V以上であることが望まし
い。
【0077】またi型層のバンドギャップはp型層/i
型層、n型層/i型層の各界面側で広くなるように設計
することが好ましい。このように設計することによっ
て、光起電力素子の光起電力、光電流を大きくすること
ができ、更に長時間使用した場合の光劣化等を防止する
ことができる。
【0078】本発明の光起電力素子のi型層の堆積に適
した原料ガスとしては、シリコン原子を含有したガス化
し得る化合物、ゲルマニウム原子を含有したガス化し得
る化合物、炭素原子を含有したガス化し得る化合物等、
及び該化合物の混合ガスを挙げることができる。
【0079】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、例えばSiH4 ,SiH6 ,Si
4 ,SiFH3 ,SiF2 2 ,SiF3 H,Si3
8,SiD4 ,SiHD3 ,SiH2 2 ,SiH3
D,SiFD3 ,SiF2 2 ,SiD3 H,Si2
3 3 等が挙げられる。また、ゲルマニウム原子を含有
するガス化し得る化合物としては、例えばGeH4 ,G
eD4 ,GeF4 ,GeFH3 ,GeF2 2 ,GeF
3 H,GeHD3 ,GeH2 2 ,GeH3 D,Ge2
6 ,Ge26等が挙げられる。炭素原子を含有するガ
ス化し得る化合物としては、例えばCH4 ,CD4 ,C
n 2n+2(nは整数)Cn 2n(nは整数),C
2 2 ,C6 6 等が挙げられる。
【0080】本発明においてi型層の価電子制御するた
めにi型層に導入される物質としては周期率表第III
族原子及び第V族原子が挙げられる。第III族原子導
入用の出発物質として有効に使用されるものとしては、
具体的にはホウ素原子導入用としては、B2 6 ,B4
10,B5 9,B5 11,B6 10,B6 12,B6
14等の水素化ホウ素、BF3 ,BCl3 等のハロゲン化
ホウ素等を挙げることができる。このほかにAlC
3 ,GaCl3 ,InCl3 ,TlCl3 等も用いる
ことができる。また、第V族原子導入用の出発物質とし
て有効に使用されるのは、例えば燐原子導入用としては
PH3 ,P2 4 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,P
5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 PBr5 ,PI3
等のハロゲン化燐が挙げられる。このほかAsH3 ,A
sF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,Sb
3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,SbCl5
BiH3,BiCl3 ,BiBr3 等も挙げることがで
きる。
【0081】i型層に導電型を制御するために導入され
る周期率表第III族原子及び第V族原子の導入量は1
000ppm以下が好ましい。
【0082】本発明に適したi型層の堆積方法としては
RFプラズマCVD法、μWプラズマCVD法が挙げら
れる。RFプラズマCVD法の場合、特に容量結合型の
RFプラズマCVD法が適している。
【0083】該RFプラズマCVD法でi型層を堆積す
る場合、基板温度は、100〜350℃、内圧は、0.
1〜10Torr、RFパワーは、0.05〜1.0W
/cm2 、堆積速度は、0.1〜30Å/sec等の条
が好適に用いられる。
【0084】また前記ガス化し得る化合物をH2 ,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。特にa−SiC:H等のバンド
ギャップの広い層を堆積する場合は、水素ガスで2〜1
00倍に原料ガスを希釈し、RFパワーは比較的高いパ
ワーを導入するのが好ましい。RFの周波数としては1
MHz〜100MHzが適した範囲であり、特に13.
56MHz近傍の周波数が好ましい。
【0085】i型層をμWプラズマCVD法で堆積する
場合、堆積室に誘電体窓(アルミナセラミックス等)を
介して導波管でマイクロ波を導入する方法が適してい
る。堆積室内の基板温度は100〜400℃、内圧は
0.5〜30mTorr、μWパワーは0.01〜1W
/cm3 ,μWの周波数は0.5〜10GHzが好まし
い。更にプラズマ内にバイアス棒(板状、リング状でも
良い)を設置してプラズマ電位を制御すると特性がより
一層向上する。特に導入したμWパワーに対して堆積速
度が飽和していない領域では、バイアス棒によるプラズ
マ電位の制御が効果的に働く。この時、バイアス棒を基
板の電位に対してプラスにすることがもっとも効果的で
ある。バイアス棒に印加するバイアスがDCバイアスの
場合、10〜500Vが好ましく、またACバイアスの
場合は、印加電圧の極大極小間の電圧は10〜500V
が好ましい。更にバイアス棒にRFバイアスを印加する
場合、RF電力は、10Wから3KWが好ましい。RF
バアイスの場合、特にμWパワーより以上にRFパワー
を導入すると特性が向上する。ACバイアス、RFバイ
アスいずれの場合もDCバイアスの場合と同様に基板が
バイアス棒にたいして負電位であることが好ましい。
【0086】このようにバイアスによる堆積膜の特性が
向上するのは、μWプラズマCVD法において正イオン
が重要な働きをしていると考えられる。更にμWパワー
とバイアスの特異な組み合わせにおいて特性が向上する
ことからプラズマ中の活性種とイオン種の組み合わせが
重要であることが考えられる。
【0087】また前記ガス化し得る化合物をH2 ,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。特にa−SiC:H等のバンド
ギャップの広い層を堆積する場合は水素ガスで2〜10
0倍に原料ガスを希釈し、μWパワーは比較的高いパワ
ーを導入するのが好ましい。
【0088】図13、図14は本発明のp型層、n型層
及びi型層の堆積に適したμWプラズマCVD装置とR
FプラズマCVD装置の模式的説明図である。
【0089】図13に示すμWプラズマCVD装置は堆
積室1301、マイクロ波導入用誘電体窓1302、ガ
ス導入管1303、基板1304、加熱ヒータ130
5、真空計1306、コンダクタンスバルブ1307、
補助バルブ1308、リークバルブ1309、導波部1
310、バイアス電源1311、バイアス棒1312、
原料ガス供給装置1320、マスフローコントローラー
1321〜1326、ガス流入バルブ1331〜133
6、ガス流出バルブ1341〜1346、原料ガスボン
ベのバルブ1351〜l356、圧力調整器1361〜
1366、原料ガスボンベl371〜1376等から構
成されている。
【0090】図14に示すRFプラズマCVD装置は、
堆積室1401、カソード1402、ガス導入管l40
3、基板1404、加熱ヒーター1405、真空計14
06、コンダクタンスバルブ1407、補助バルブ14
08、リークバルブ1409、RFマッチングボックス
1412等から構成されている。
【0091】本発明の光起電力素子の堆積に適した図1
3及び図14に示す堆積装置は、ステンレスまたはアル
ミニウム材で作製するのが適している。特にステンレス
材で作製する場合にはSUS304,SUS304N
2,SUS304L,SUS304LN,SUS32
1,SUS347、SUS316、SUS316L等の
耐食性、耐孔食性、耐粒界腐食性、及び耐熱性の優れた
ステンレス材が最適な材料として挙げられる。また、ア
ルミニウム材で堆積装置を作製する場合は、JISの5
000番台のAl−Mg系の材料が最適なものとして挙
げられる。
【0092】図13に示すμWプラズマCVD装置のマ
イクロ波導入用の誘電体窓の材料としてはアルミナセラ
ミックス(Al23)が95%以上含有されているもの
が最適なものとして挙げられる。
【0093】透明電極 本発明の光起電力素子で用いられる透明電極は、例えば
スズ酸化物、インジウム酸化物、インジウム−スズ酸化
物等の透明電極が適し、特にこれら酸化物透明電極に窒
素原子または/及び炭素原子を含有させた酸化物透明電
極が適している。
【0094】スズ酸化物、インジウム酸化物、インジウ
ム−スズ酸化物に窒素原子を含有させることにより、透
明電極を構成する前記酸化物の結晶粒径が増加し、また
該結晶粒径の分散が小さくなる。更には透明電極の歪を
小さくすることができる。この結果、透明電極の比抵抗
を小さくすると共に透明電極の透過率を向上させること
ができる。
【0095】更に加えて透明電極に窒素原子を含有させ
ることによって透明電極を構成する前記酸化物の結晶の
形を比較的なめらかな形にすることができ、透明電極の
表面性を向上させることができる。特に半導体層上に前
記透明電極を堆積した場合、半導体層と透明電極の密着
性が著しく向上する。また、該透明電極上に非単結晶シ
リコン系半導体層を堆積する場合に、非単結晶シリコン
系半導体層の異常堆積を少なくすることも可能となる。
したがって、薄いp型層(またはn型層)を堆積しても
電気的リークを減少させることができる。その結果光起
電力素子の平均的な特性が向上する。
【0096】また、詳細は不明であるが窒素原子が酸化
物の結晶成長に関係すると考えられ、窒素原子を導入す
ることで比較的低温においても良質な特性の透明電極を
得ることができる。
【0097】本発明の窒素原子を含有する透明電極は以
下のようにして堆積される。
【0098】透明電極の堆積にはスパッタリング法と真
空蒸着法が適した堆積方法である。例えば、DCマグネ
トロンスパッタリング装置において、窒素原子を含有す
るスズ酸化物から成る透明電極を基板上に堆積する場
合、ターゲットは金属スズ(Sn)やスズ酸化物(Sn
2 )等に窒素原子含有物を含有させたターゲット等が
用いられる。
【0099】また窒素原子を含有するインジウム酸化物
から成る透明電極を堆積する場合、ターゲットは金属イ
ンジウム(In)やインジウム酸化物(In2 3 )等
に窒素原子含有物を含有させたターゲットが用いられ
る。窒素原子を含有するインジウム−スズ酸化物から成
る透明電極を堆積する場合には、ターゲットは金属ス
ズ、金属インジウムまたは金属スズと金属インジウムの
合金、スズ酸化物、インジウム酸化物、インジウム−ス
ズ酸化物等に窒素原子を含有させたターゲットを適宜組
み合わせて用いられる。
【0100】また反応性スパッタリング法で本発明の透
明電極を堆積する場合には、前記ターゲットまたは/及
び窒素原子を含有しない前記ターゲットを適宜組み合わ
せたものをスパッタ用ターゲットとし、窒素原子含有の
原料ガスを堆積室に導入してプラズマエネルギーを利用
して透明電極に窒素原子を導入することができる。
【0101】反応性スパッタリング法に適した窒素原子
含有の原料ガスとしては、例えばN2 ,NH3 ,N
3 ,NO,NO2 ,N2 Oが挙げられる。
【0102】本発明の透明電極中に含有される窒素原子
の含有量は100ppm以下が好ましい。また、透明電
極中に100ppm以下の窒素原子を含有させるために
前記ターゲット中に含有される窒素原子の含有量はスパ
ッター条件によって大きく依存するもののおおむね10
0ppmである。
【0103】また反応性スパッタリング法で透明電極中
に100ppm以下の窒素原子を含有させるためには前
記窒素原子含有ガスのスパッタリング用ガスへの混合比
は200ppm以下が好ましい。
【0104】本発明の窒素原子を含有する透明電極をス
パッタリング法で堆積する場合、基板温度は重要な因子
であって、25〜600℃が好ましい。25〜250℃
の低温でも、従来技術と比べて優れた特性を示す透明電
極が得られる。また、スパッタリング用のガスとして
は、アルゴンガス(Ar),ネオンガス(Ne)、キセ
ノンガス(Xe),ヘリウムガス(He)等の不活性ガ
スが用いられ、特にArガスが好ましい。また前記不活
性ガスに酸素ガス(O2 )を必要に応じて添加すること
が好ましく、特に金属をターゲットにしている場合、酸
素ガス(O2 )は必須のものである。
【0105】スパッタリングする場合、放電空間の圧力
は効果的にスパッタリングを行うために、0.1〜50
mTorrが好ましい。電源としては、DC電源やRF
電源が適したものとして挙げられる。スパッタリング時
の電力としては10〜1000Wが適した範囲である。
また、堆積速度は、放電空間内の圧力や放電電力に依存
し、好ましい堆積速度としては、0.1〜100Å/s
ecである。
【0106】本発明の窒素原子を含有する透明電極の層
厚は、反射防止膜の条件を満たすような条件に堆積する
のが好ましい。具体的な層厚としては500〜3000
Åである。
【0107】本発明の窒素原子を含有する透明電極を堆
積するに適した第2の方法として真空蒸着法が挙げられ
る。蒸着源としては、金属スズ、金属インジウム、イン
ジウム−スズ合金に前記窒素原子含有物を添加したもの
が用いられる。前記窒素原子の含有量としては、おおむ
ね100ppm以下が適した範囲である。
【0108】また、堆積条件としては、基板温度を25
〜600℃として、圧力1×10-6Torr台以下に減
圧した後に酸素ガス(O2 )を5×10-5〜9×10-4
Torrの範囲で堆積室に導入する。
【0109】この範囲の酸素を導入することによって蒸
着源から気化した金属が気相中の酸素と反応して良好な
透明電極が堆積される。
【0110】また反応性蒸着で窒素原子含有の透明電極
を堆積する場合、前記蒸着源または/及び窒素原子を含
有しない蒸着源を、窒素原子含有ガスを堆積室内に5×
10 -4Torr以下導入した状態で、蒸発させて透明電
極を堆積しても良い。加えて前記真空度でRF電力を導
入してプラズマを発生させて、該プラズマを介して蒸着
を行っても良い。
【0111】上記条件による透明電極の好ましい堆積速
度としては0.1〜100Å/secである。堆積速度
が0.1Å/sec未満であると生産性が低下し、10
0Å/secより大きくなると粗い膜となり透過率、導
電率や密着性が低下する。
【0112】本発明の窒素原子を含有する透明電極に炭
素原子を同時に含有させることによって、光起電力素子
の特性を一層向上させることができる。即ち、透明電極
に窒素原子と炭素原子を同時に含有させることによっ
て、光起電力素子のヒートサイクルに対する耐性がより
改善され、また透明電極の柔軟性がより向上して光起電
力素子のひび割れを防止する効果がより一層向上する。
本発明の添加される炭素原子の好ましい添加量は、10
0ppm以下である。
【0113】炭素原子の透明電極への導入方法は前記窒
素原子と同様な手段方法で行うことができる。
【0114】例えば、透明電極堆積用のターゲットや蒸
着源に炭素原子を含有させたターゲットや蒸着源を使用
してスパッタリングや真空蒸着を行うことで透明電極に
炭素原子を含有させることができる。この際、ターゲッ
トや蒸着源に含有させる炭素原子の出発物質としてはグ
ラファイト状炭素、ダイヤモンド状炭素等が適してい
る。
【0115】また反応性スパッタリング法で窒素原子と
炭素原子を含有する透明電極を堆積する場合は、前記タ
ーゲットまたは/及び炭素原子を含有しない前記ターゲ
ットを適宜組み合わせて、スパッタリング用ターゲット
として、前記窒素原子含有の原料ガスに加えて炭素原子
含有の原料ガスを堆積室に導入してプラズマエネルギー
を利用して透明電極に窒素原子に加えて炭素原子を導入
することができる。
【0116】反応性スパッタリング法に適した炭素原子
含有の原料ガスとしてはCH4 ,CD4 ,Cn
2n+2(nは整数)Cn 2n(nは整数),C2 2 ,C
6 6 ,CO2 CO等が挙げられる。
【0117】また反応性蒸着により窒素原子に加えて炭
素原子含有の透明電極を堆積する場合、前記蒸着源また
は/及び炭素原子を含有しない前記蒸着源を、前記炭素
原子含有ガスを堆積室内に5×10-4Torr以下導入
した状態で、蒸発させて透明電極を堆積しても良い。加
えて前記真空度でRF電力を導入してプラズマを発生さ
せて、該プラズマを介して蒸着を行っても良い。
【0118】一方窒素原子及び/または炭素原子を含有
しない前記酸化物からなる透明電極を形成する場合に
は、従来の方法で透明電極を堆積すれば良い。
【0119】導電性基板 導電性基板は、導電性材料をそのまま用いてもよく、ま
た絶縁性材料または導電性材料で支持体を形成し、その
上に導電性処理をしたものであっても良い。導電性支持
体としては、例えば、NiCr,ステンレス,Al,C
r,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb,
Sn等の金属または、これらの合金が挙げられる。ま
た、電気絶縁性支持体としては、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリカーボネートナー、セルロースアセテー
ト、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリスチレン、ポリアミド、等の合成樹脂のフィ
ルム、またはシート、ガラス、セラミックス、紙などが
挙げられる。これらの電気絶縁性支持体は、少なくとも
その一方の表面を導電処理し、該導電処理された表面側
に光起電力層を設けるのが望ましい。
【0120】例えばガラスであれば、その表面に、例え
ばNiCr,Al,Cr,Mo,Ir,Nb,Ta,
V,Ti,Pt,Pb,In2 3 ,ITO(In2
3 +Sn)等から成る膜薄を設けることによって導電性
を付与し、或いはポリエステルフィルム等の合成樹脂フ
ィルムであれば、例えばNiCr,Al,Ag,Pb,
Zn,Ni,Au,Cr,Mo,Ir,Nb,Ta,
V,Ti,Pt等の金属薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸
着、スパッタリング等でその表面に設け、または前記金
属でその表面を面をラミネート処理して、その表面に導
電性を付与する。支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸
表面のシート状でよい。その厚さは所望通りの光起電力
素子を形成し得るように適宜決定するが光起電力素子と
しての柔軟性が要求される場合には、支持体としての機
能が十分発揮される範囲で可能な限り薄くすることがで
きる。しかしながら、支持体の製造上および取扱い上、
機械的強度等の点から、通常は10μm以上とされる。
【0121】導電層(及び保護層) 導電層は、導電性材料であってもよく、導電性材料に絶
縁性材料を形成したものであっても良い。導電性材料と
しては、例えば、NiCr,ステンレス,Al,Cr,
Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb,Sn
等の金属または、これらの合金が挙げられる。該金属を
真空蒸着法、スパッタリング法等で薄膜として形成すれ
ば良い。電気絶縁性材料としては、ポリエステル、ポリ
エチレン、ポリカーボネート2、セルロースアセテー
ト、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリスチレン、ポリアミド、等の合成樹脂のフィ
ルム、またはシート、ガラス、セラミックス、紙などが
挙げられる。これらの電気絶縁性材料は、好適には少な
くともその一方の表面に接着剤を塗布し、前記金属薄膜
層上に接着するのが好ましい。
【0122】電気絶縁性材料は保護層としての機能が十
分発揮される範囲で可能な限り薄くすることができる。
しかしながら、製造上および取扱い上、機械的強度等の
点から、通常は10μm以上とされる。
【0123】(実験例)以下の本発明に至る過程で行っ
た実験例により本発明の効果を詳細に説明する。
【0124】(実験例1−1)まず、図4に示すDCマ
グネトロンスパッタリング装置により、ステンレス基板
上に酸素原子を含有するAlSiの光反射層を作製し
た。
【0125】図中402は50mm角、厚さ0.2m
m、表面に鏡面加工を施したステンレス(SUS43
0)であり、アセトン(CH3 OCH3 )で10分間、
イソプロパノール(CH3 CHOHCH3 )で10分間
の超音波洗浄を行い、80℃で30分間の温風乾燥を行
ったものである。
【0126】図中404は、純度99.999%のアル
ミニウムーシリコン合金(AlSi)ターゲットであ
り、絶縁性支持体405で堆積室401より絶縁されて
いる。図中410、412、414、416はガス導入
バルブであり、それぞれ不図示のアルゴン(Ar)ガス
ボンベ(純度99.9999%)、アルゴン(Ar)ガ
スで50ppmに希釈された窒素(N2 /Ar)ガスボ
ンベ、アルゴン(Ar)ガスで50ppmに希釈された
メタン(CH4/Ar)ガスボンベ、アルゴン(Ar)
ガスで50ppmに希釈された酸素(O2 /Ar)ガス
ボンベに接続されている。
【0127】まず、堆積室401内を不図示の真空ポン
プにより排気し、真空計408の読みが約1×10-6
orrになった時点で、ガス導入バルブ410、416
を徐々に開いて、O2 /Arガス流量が2sccm、A
rガス流量が10sccmとなるように、各々のマスフ
ローコントローラー411、417で調整し、堆積室4
01内の圧力が6mTorrとなるように、真空計40
8を見ながらコンダクタンスバルブ(パタフライ型)4
09の開口を調整した。その後、DC電源406の電圧
を−400Vに設定して、ターゲット404にDC電力
を導入し、DCグロー放電を生起させた。5分経過した
後にシャッター407を開けて、基板402上にAlS
iの光反射層の作製を開始し、層厚450nmの光反射
層を作製したところでシャッター407を閉じ、DC電
源406の出力を切り、DCグロー放電を止めた。次
に、ガス導入バルブ416を閉じて、堆積室401内へ
のO2 /Arガスの流入を止め、Arガスの流量が10
0sccmとなるようにマスフローコントロラー411
を調整した。
【0128】次に、コンダクタンスバルブ409を閉じ
て、堆積室401を徐々にリークし、酸素原子を含むA
lSiの光反射層の作製を終えた。
【0129】(実験例1−2)実験例1−1において、
Arガスで希釈した酸素ガスの代わりに、Arガスで5
0ppmに希釈したCH4 ガスを用い、他は実験例1−
1と同様にして炭素原子を含有するAlSi光反射層を
作製した。
【0130】(実験例1−3)実験例1−1において、
Arガスで希釈した酸素ガスの代わりに、Arガスで5
0ppmに希釈したN2 ガスを用い、他は実験例1−1
と同様にして窒素原子を含有するAlSi光反射層を作
製した。
【0131】(実験例1−4)実験例1−1において、
ターゲットとしてアルカリ金属原子(Li,Na,K,
Rb,Cs)のいずれかを20ppm添加したアルミニ
ウム−シリコン合金(AlSi)を用い、Arガスで1
0sccm流した以外は、実験例1−1と同様にしてア
ルカリ金属原子(Li,Na,K,Rb,Cs)のいず
れかをを含有するAlSi光反射層を作製した。
【0132】(比較実験例1)光反射層の作製中に堆積
室401内へO2 ガスを流さず、他は実験例1−1と同
様AlSi光反射層を作製した。
【0133】図4に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ装置において、まず、堆積室401にArガス流量を
35sccm流入させ、堆積室401内の圧力を6mT
orrに調整した。その後、DC電源406の電圧を−
400Vに設定して、ターゲット404にDC電力を導
入し、DCグロー放電を生起させた。次に、シャッター
407を開けて、基板402上にAlSiの光反射層の
作製を開始し、層厚450nmの光反射層を作製したと
ころでシャッター407を閉じ、DC電源406の出力
を切り、DCグロー放電を止めた。次に、Arガスの流
量を100sccmにし、コンダクタンスバルブ409
を閉じて、堆積室401を徐々にリークし、従来の光起
電力素子のアルミニウム−シリコン合金の光反射層の作
製を終えた。
【0134】以上のようにして作製した光反射層に対し
て本発明の効果を実証するために次に挙げる4つの評価
試験を行った。
【0135】(評価a)結晶粒径のばらつき (評価b)密着性 (評価c)結晶粒径の温度依存性 (評価d)積層構造での密着性 光反射層中のAlSiの結晶粒径のばらつきを調べるた
めに、日立製作所製の走査型電子顕微鏡(SEM)S−
530を用いてその表面を観察し、面積100μm×1
00μmの正方形内のすべての結晶の粒径を測定した。
試料の粒径分布は図5に示すようになり、実験例1−1
〜1−4のほうが比較実験例1よりもはるかに結晶粒径
のばらつきが小さいことが分かった。また、実験例1−
1〜1−4の試料間での違いはほとんど観られなかっ
た。
【0136】(評価b)密着性 光反射層の密着製を調べるために、図6のような曲げ試
験器を用いて光反射層が作製されたステンレス基板60
1の曲げ試験をおこなった。(A)図において、まず光
反射層が作製された面601aを右方向に向け、曲げ棒
602の先端にわずかに接触するようにステンレス基板
601の端部をしっかりと固定する。つぎにエアーシリ
ンダー603に圧縮空気を導入し、曲げ棒の押し出し速
度約1m/s、引き込み速度約1m/s、ストローク
3.0cmになるように圧縮空気の圧力を調整した。通
常雰囲気中にて10000回の曲げ試験を行ない、通常
の光学顕微鏡を使用して剥がれた光反射層の面積を算出
した。(B)さらに光反射層が作製された面601aを
左方向に向けて、同様な曲げ試験を行った。結果を表1
に示す。
【0137】表1から明らかなように、実験例1−1〜
1−4の光反射層は、比較実験例1に比べ、密着性が大
きく改善されていることが分かる。
【0138】(評価c)結晶粒径の温度依存性 光反射層中のAlSi結晶の成長と温度との関係を調べ
るために図4の装置を用い、光反射層を形成したステン
レス基板の加熱アニーリングを行った。まず光反射層を
形成したステンレス基板を光反射層が下向きになるよう
に加熱ヒーター403に取り付け、堆積室401内を不
図示の真空ポンプにより排気し、真空計408の読みが
約1×10-6Torrになった時点で、ガス導入バルブ
410を徐々に開いて、Arガス流量が100sccm
となるようにマスフローコントローラー411で調整
し、堆積室401内の圧力が8mTorrとなるよう
に、コンダクタンスバルブ409の開口を調整した。つ
ぎに加熱ヒーター403に電力を供給し、ステンレス基
板402が400℃となるように不図示の温度コントロ
ーラーで調整した。加熱アニーリングを3時間施した後
にヒーターへの電力供給を止め、堆積室401内の圧力
が10Torrになるようにコンダクタンスバルブ40
9の開口を調整し、ステンレス基板402を徐冷した。
ステンレス基板402の温度が室温まで下がったところ
で、コンダクタンスバルブ409を閉じ、堆積室401
をリークし、ステンレス基板を取り出した。
【0139】取り出したステンレス基板を(評価a)で
用いた走査型電子顕微鏡を使用して同様な方法でそれぞ
れの結晶粒径を調べた。その結果、実験例1−1〜1−
4の試料はいずれも図7(a)に示すように、加熱アニ
ーリングによって結晶粒径の変化は観られなかった(平
均粒径0.2μm)。一方、比較実験例1の試料は、図
7(b)に示すように、アニーリングにより結晶粒径が
平均粒径が0.2μmから0.5μmと大きくなること
が分かった。
【0140】(評価d)積層構造での密着性 積層構造にした場合の密着性を評価するために、光反射
層の上に酸化亜鉛(ZnO)の光反射増加層を作製し
た。
【0141】まず、図8に示すDCマグネトロンスパッ
タリング装置により、基板上に実験例1−1〜1−4と
比較実験例1と同じ光反射層を作製した。実験例1−1
〜1−4と同様な手順に従ってシャッター807を開け
て、基板802上にAlSiの光反射層の作製を開始
し、層厚450nmの光反射層を作製したところでシャ
ッター807を閉じ、DC電源806の出力を切り、D
Cグロー放電を止めた。次に、ガス導入バルブを閉じ、
再び堆積室801内の圧力が1×10-6Torrになる
まで十分に真空排気した。
【0142】次にAlSiの光反射層の上に酸化亜鉛
(ZnO)の光反射増加層を作製した。図中818は、
純度99.99%の酸化亜鉛(ZnO)ターゲットであ
り、絶縁性支持体805で堆積室801より絶縁されて
いる。まずガス導入バルブ810を徐々に開いて、Ar
ガス流量が30sccmとなるようにマスフローコント
ローラー811を調整し、堆積室801内の圧力が6m
Torrとなるように、コンダクタンスバルブ809の
開口を調整した。その後、DC電源820の電圧を−4
00Vに設定して、ZnOのターゲット818にDC電
力を導入し、DCグロー放電を生起させた。5分経過し
た後にシャッター821を開けて、AlSiの光反射層
の上にZnOの光反射増加層の作製を開始し、層厚1.
0μmの光反射増加量を作製したところでシャッター8
21を閉じ、DC電源820の出力を切り、DCグロー
放電を止めた。次に、Arガスの流量が100sccm
となるようにマスフローコントローラー811を調整
し、コンダクタンスバルブ809を閉じて、堆積室80
1を徐々にリークし、ZnOの光反射増加量の作製を終
えた。
【0143】同様にして、比較実験例1の光反射層の上
にもZnO光反射増加層を形成した。以上の試料につい
て、(評価b)と同様な方法で密着性を評価した。結果
を表2に示す。
【0144】表2が示すように、実験例1−1〜1−4
の試料は比較実験例1に比べて膜の剥離は少なく、積層
構造とした場合でも高い密着性を示すことが分かった。
【0145】(実験例2−1)電子ビーム(EB)真空
蒸着法によって本発明のAlSiの光反射層子を作製し
た。
【0146】まず、図9に示す電子ビーム(EB)真空
蒸着法の製造装置により、基板上に、酸素原子を含有す
るAlSiの光反射層を作製した。
【0147】図中902は実験例1で用いたステンレス
基板と同様なものであり、904は、純度99.999
%のEB蒸着用のAlSiの蒸着源である。図中91
0、912、914、916はガス導入バルブであり、
それぞれ不図示のアルゴン(Ar)ボンベ(純度99.
999%)、アルゴン(Ar)ガスで50ppmに希釈
された窒素(N2 /Ar)ガスボンベ、アルゴン(A
r)ガスで50ppmに希釈されたメタン(CH4/A
r)ガスボンベ、アルゴン(Ar)ガスで50ppmに
希釈された酸素(O2 /Ar)ガスボンベに接続されて
いる。まず、堆積室901内を不図示の真空ポンプによ
り排気し、真空計908の読みが約1×10-6Torr
になった時点で、ガス導入バルブ916を徐々に開い
て、O2 /Arガス流量が2sccmとなるように、マ
スフローコントローラー917で調整し、堆積室901
内の圧力が1×10-4Torrとなるように、真空計9
08を見ながらコンダクタンスバルブ(バタフライ型)
909の開口を調整した。その後、電子銃905に高電
圧を印加し、成膜速度が2.5A/secとなるように
高電圧電源906の電圧を調整した。5分経過した後に
シャッター907を開けて、基板902上にAlSiの
光反射層の作製を開始し、層厚450nmの光反射層を
作製したところでシャッター907を閉じ、高電圧電源
906の出力を切り、EB真空蒸着を終えた。次に、ガ
ス導入バルブ916を閉じて、堆積室901内への、O
2 /Arガスの流入を止め、ガス導入バルブ910を開
け、Arガスの流量が100sccmとなるようにマス
フローコントローラー911を調整した。
【0148】次に、コンダクタンスバルブ909を閉じ
て、堆積室901を徐々にリークし、酸素原子を含むA
lSiの光反射層の作製を終えた。
【0149】(実験例2−2)実験例2−1において、
Arガスで希釈した酸素ガスの代わりに、Arガスで5
0ppmに希釈したCH4 ガスを用い、他は実験例2−
1と同様にして炭素原子を含有するAlSi光反射層を
作製した。
【0150】(実験例2ー3)実験例2−1において、
Arガスで希釈した酸素ガスの代わりに、Arガスで5
0ppmに希釈したN2 ガスを用い、他は実験例2−1
と同様にして窒素原子を含有するAlSi光反射層を作
製した。
【0151】(実験例2−4)アルカリ金属原子(L
i,Na,K,Rb,Cs)のいずれかを20ppm添
加したEB蒸着用のアルミニウム−シリコン合金(Al
Si)を蒸着源に用い、ガスを導入しない他は、実験例
2−1と同様にしてアルカリ金属原子(Li,Na,
K,Rb,Cs)のいずれかを含有するAlSi光反射
層を作製した。
【0152】(比較実験例2)光反射層の作製中に堆積
室901内へO2 /Arガスを流さず、他は実験例2−
1と同様な方法により、従来の光反射層を作製した。
【0153】以上、真空蒸着法で作製した二つのAlS
iの光反射層に対して本発明の効果を実証するために実
験例1−1〜1−4、比較実験例1と同様な評価試験を
行った。
【0154】(評価a)光反射層中のAlSiの結晶粒
径のばらつきを図10に示す。実験例2−1〜2−4で
はほとんど差異は観られず、また図から明らかなよう
に、実験例2−1〜2−4の試料のほうが比較実験例2
の試料よりもはるかに結晶粒径(平均粒径0.1μm)
のばらつきが小さいことが分かった。
【0155】(評価b)光反射膜の曲げ試験による密着
性評価の結果を表3に示す。
【0156】表3が示すように、実験例2−1〜2−4
の光反射層は、従来例に比べ優れた密着性を示すことが
分かる。
【0157】(評価c)光反射層中のAlSiの結晶粒
径の温度依存性測定結果を図11に示す。実験例2−1
〜2−4ではほとんど同様な結果となった。図から明ら
かなように、実験例2−1〜2−4の試料では、加熱ア
ニーリングによって結晶粒径の変化はほとんどないが、
比較実験例2では結晶粒径が大きくなっていることが分
かった。
【0158】(評価d)積層構造にした場合の密着性を
評価するためにAlSiの光反射層の上に酸化亜鉛(Z
nO)の光反射増加層を作製した。
【0159】図12に示すEB真空蒸着法とDCマグネ
トロンスパッタリング法を兼ね備える装置を使用し、ま
ず、EB真空蒸着法でステンレス基板上に実験例2−1
〜2−4の光反射層を作製した。図中1202はステン
レス基板であり、1204は、純度99.999%のE
B蒸着用のAlSiの蒸着源である。
【0160】図中1210、1212、1214、12
16はガス導入バルブであり、それぞれ実験例2−1〜
2−4と同じボンベが接続されている(不図示)。手順
は実験例2−1〜2−4と同じである。
【0161】次にAlSiの光反射層の上に酸化亜鉛
(ZnO)の光反射増加層を作製した。
【0162】図中1218は、純度99.99%の酸化
亜鉛(ZnO)ターゲットであり、絶縁性支持体121
9で堆積室1201より絶縁されている。まず、AlS
iの光反射層を作製した基板1202を、ヒーター12
03により350℃に保持し、次にガス導入バルブ12
10を徐々に開いて、Arガス流量が20sccmとな
るようにマスフローコントローラー1211を調整し、
堆積室1201内の圧力が5mTorrとなるように、
コンダクタンスバルブ1209の開口を調整した。その
後、DC電源1220の電圧を−400Vに設定して、
ZnOのターゲット1218にDC電力を導入し、DC
グロー放電を生起させた。
【0163】5分経過した後にシャッター1221を開
けて、AlSiの光反射層の上にZnOの光反射増加層
の作製を開始し、層厚1.0μmの光反射増加層を作製
したところでシャッター1221を閉じ、DC電源12
20の出力を切り、DCグロー放電を止めた。次に、A
rガスの流量が100sccmとなるようにマスフロー
コントローラー1212を調整し、コンダクタンスバル
ブ1209を閉じて、堆積室1201を徐々にリーク
し、ZnOの光反射増加層の作製を終えた。
【0164】同様に比較実験例2の光反射層の上にも上
記と同じZnOの光反射増加量を作製した。
【0165】以上のようにして作製した積層構造の密着
性を前記した方法で評価した。その結果を表4に示す。
【0166】表4から明らかなように、実験例2−1〜
2−4の光反射層は、積層構造としても比較実験例と比
べ密着性が高いことが分かる。以上述べたように、本発
明の光反射層は4つの評価試験の結果、従来の光反射層
よりも優れていることが分かった。
【0167】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例によって限定されるもの
ではない。
【0168】実施例1〜4及び比較例1 (実施例1)DCマグネトロンスパッタリング法及びマ
イクロ波(以下「μW」と略記する)グロー放電分解法
によって図1に示した構成の光起電力素子を作製した。
【0169】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ法の製造装置により、50mm角、厚さ0.2mmの
鏡面研磨されたステンレス(SUS430)製基板上
に、実験例1−1と同様に酸素原子を含有するAlSi
の光反射層を450nm、及び光反射増加層を1μm作
製した。
【0170】次に、図13に示す原料ガス供給装置13
20と堆積装置1300からなるμWグロー放電分解法
による製造装置により、光反射増加層上に非単結晶シリ
コン系半導体層を作製した。
【0171】図中の1371〜1376のガスボンベに
は、本発明の非単結晶シリコン系半導体層を作製するた
めの原料ガスが密封されており、1371はSiH4
ス(純度99.999%)ボンベ、1372はH2 ガス
(純度99.9999%)ボンベ、1373はH2 ガス
で10%に希釈されたPH3 ガス(純度99.99%、
以下「PH3 /H2 」と略記する)ボンベ、1374は
2 ガスで10%に希釈されたB2 6 ガス(純度9
9.99%、以下「B2 6 /H2 」と略記する)ボン
ベ、1375はCH4 ガス(純度99.9999%)ボ
ンベ、1376はGeH4 ガス(純度99.99%)ボ
ンベである。また、あらかじめ、ガスボンベ1371〜
1376を取り付ける際に、各々のガスを、バルブ13
51〜1356から流入バルブ1331〜1336のガ
ス配管内に導入してある。
【0172】図中1304は、前述した方法により、光
反射層及び光反射増加層を作製した基板である。
【0173】まず、ガスボンベ1371よりSiH4
ス、ガスボンベ1372よりH2 ガス、ガスボンベ13
73よりPH3 /H2 ガス、ガスボンベ1374よりB
2 6 /H2 ガス、ガスボンベ1375よりCH4
ス、ガスボンベ1376よりGeH4 ガスを、バルブ1
351〜1356を開けて導入し、圧力調整器1361
〜1366により各ガス圧力を約2Kg/cm2 に調整
した。
【0174】次に、流入バルブ1331〜1336、堆
積室1301のリークバルブ1309が閉じられている
ことを確認し、また、流出バルブ1341〜1346、
補助バルブ1308が開かれていることを確認して、コ
ンダクタンス(バタフライ型)バルブ1307を全開に
して、不図示の真空ポンプにより堆積室1301及びガ
ス配管内を排気し、真空計1306の読みが約1×10
-4Torrになった時点で流出バルブ1341〜134
6を閉じた。
【0175】次に、流入バルブ1331〜1336を徐
々に開けて、各々のガスをマスフローコントローラー1
321〜1326内に導入した。
【0176】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基板1304上に、n型層、i型層、p型層の成膜
を行なった。
【0177】n型層を作製するには、基板1304を加
熱ヒーター1305により350℃に加熱し、流出バル
ブ1341〜1343を徐々に開いて、SiH4 ガス、
2ガス、PH3 /H2 ガス流量が30sccm、H2
ガス流量が100sccm、PH3 /H3 ガス流量が6
sccmとなるように各々のマスフローコントローラー
1321〜1323で調整した。堆積室1301内の圧
力は、10mTorrとなるように真空計1306を見
ながらコンダクタンスバルブ1307の開口を調整し
た。その後、不図示のμW電源の電力を50mW/cm
3 に設定し、不図示の導波管、導波部1310及び誘電
体窓1302を通じて堆積室1301内にμW電力を導
入し、μWグロー放電を生起させ、光反射増加層上にn
型層の作製を開始し、層厚10nmのn型層を作製した
ところでμWグロー放電を止め、流出バルブ1341〜
1343及び補助バルブ1308を閉じて、堆積室13
01内へのガス流入を止め、n型層の作製を終えた。
【0178】次に、i型層を作製するには、基板130
4を加熱ヒーター1305により350℃に加熱し、流
出バルブ1341,1342を徐々に開いて、SiH4
ガス、H2 ガスをガス導入管1303を通じて堆積室1
301内に流入させた。この時、SiH4 ガス流量が、
100sccm、H2 ガス流量が200sccmとなる
ように各々のマスフローコントローラー1321,13
22で調整した。堆積室1301内の圧力は、5mTo
rrとなるように真空計1306を見ながらコンダクタ
ンスバルブ1307の開口を調整した。次に、バイアス
電源の高周波(以下「RF」と略記する)バイアスを1
00mW/cm3 、直流バイアスを基板1304に対し
て75Vに設定し、バイアス棒1312に印加した。そ
の後、不図示のμW電源の電力を100mW/cm3
設定し、不図示の導波管、導波部1310及び誘電体窓
1302を通じて堆積室1301内にμW電力を導入
し、μWグロー放電を生起させ、n型層上にi型層の作
製を開始し、層厚400nmのi型層を作製したところ
でμWグロー放電を止め、バイアス電源1311の出力
を切り、i型層の作製を終えた。
【0179】p型層を作製するには、基板1304を加
熱ヒーター1305により300℃に加熱し、流出バル
ブ1344を徐々に開いて、SiH4 ガス、H2 ガス、
26 /H2 ガスをガス導入管1303を通じて堆積
室1301内に流入させた。この時、SiH4 ガス流量
が10sccm、H2 ガス流量が100sccm、B2
6 /H2 ガス流量が5sccmとなるように各々のマ
スフローコントローラー1321、1322、1324
で調整した。堆積室1301内の圧力は、20mTor
rとなるように真空計1306を見ながらコンダクタン
スバルブ1007の開口を調整した。その後、μW電源
の電力を400mW/cm3 に設定し、不図示の導波
管、導波部1310及び誘電体窓1302を通じて堆積
室1301内にμW電力を導入し、μWグロー放電を生
起させ、i型層上にp型層の作製を開始し、層厚5nm
のp型層を作製したところでμWグロー放電を止め、流
出バルブ1341、1342、1344及び補助バルブ
1308を閉じて、堆積室1301内へのガス流入を止
め、p型層の作製を終えた。
【0180】それぞれの層を作製する際に、必要なガス
以外の流出バルブ1341〜1346は完全に閉じられ
ていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが
堆積室1301内、流出バルブ1341〜1346から
堆積室1301に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ1341〜1346を閉じ、補助バル
ブ1308を開き、さらにコンダクタンスバルブ130
7を全開にして、系内を一旦高真空を排気する操作を必
要に応じて行う。
【0181】次に、p型層上に、透明電極として、IT
O(In2 3 +SnO2 )を真空蒸着にて80nm蒸
着し、集電電極としてCrを真空蒸着にて1μm蒸着
し、光起電力素子を作製した(素子実1)。以上の、光
起電力素子の作製条件を表5に示す。
【0182】(実施例2)実験例1−2の条件で、実施
例1と同様にしてステンレス基板上に炭素原子を含有す
るAlSiの光反射層を450nm、光反射増加層を1
μm形成した。続いて実施例1と同様にして、n型層,
i型層、p型層、透明電極、集電電極を形成して図1の
光起電力素子を作製した(素子実2)。
【0183】(実施例3)実験例1−3の条件で、実施
例1と同様にしてステンレス基板上に窒素原子を含有す
るAlSiの光反射層を450nm、光反射増加層を1
μm形成した。続いて実施例1と同様にして、n型層,
i型層、p型層、透明電極、集電電極を形成して図1の
光起電力素子を作製した(素子実3)。
【0184】(実施例4)実験例1−4の条件で、実施
例1と同様にしてステンレス基板上にアルカリ金属(L
i,Na,K,Rb,Cs)を何れか含有するAlSi
の光反射層を450nm、光反射増加層を1μm形成し
た。続いて実施例1と同様にして、n型層,i型層、p
型層、透明電極、集電電極を形成して図1の光起電力素
子を作製した(素子実4−1〜4−5)。
【0185】(比較例1)実施例1と同様に方法によ
り、従来の光起電力素子を作製した。
【0186】まず、図8示すDCマグネトロンスパッタ
リング法の製造装置により、基板上に、比較実験1と同
様の方法で酸素原子を含有していないAlSi光反射層
を450nmに作製した。
【0187】次に、実施例1と同じ作製条件で、光反射
層上に、光反射増加層、n型層、i型層、p型層、透明
電極、集電電極を作製して光起電力素子を作製した(素
子比1)。
【0188】以上作製した実施例1〜4及び比較例1の
光起電力素子について、本発明の効果を実証するため
に、次に挙げる3つの評価を行った。 (A)初期特性 (B)特性の密着性依存 (C)特性の環境変化依存性 光起電力素子及びの太陽電池特性の初期特性を調べるた
めに前記光起電力素子を、AM−1.5 (100mW/c
2 )光照射下に設置して、V−1特性を測定すること
により得られる光電変換効率により評価した。結果を表
6に示す。
【0189】表6が示すようにより、比較例1の光起電
力素子に対して実施例1〜4の光起電力素子は光電変換
効率が大きくなり、本発明の酸素原子、炭素原子、窒素
原子またはアルカリ金属原子を含有する光反射層を用い
た光起電力素子が従来の光反射層を用いた光起電力素子
に比べて優れた特性を示すが実証された。 (B)特性の密着性依存 光起電力素子の太陽電池特性の密着性に対する依存性を
調べるため、実験例と同様にして、図6のような曲げ試
験器を用いて光起電力素子が堆積されたステンレス基板
の601の曲げ試験をおこなった。
【0190】特性については前述したように光電変換効
率の測定を行い、次に光起電力素子が堆積された面60
1aを右方向に向け、曲げ棒602の先端にわずかに接
触するようにステンレス基板601の端部をしっかりと
固定しつぎにエアーシリンダー603に圧縮空気を導入
し、曲げ棒の押し出し速度約1m/s、引き込み速度約
1m/s、ストローク3.0cmになるように圧縮空気
の圧力を調整し、通常雰囲気中にて10000回の曲げ
試験を行った後、再びAM−1.5光照射下において、
光電変換効率を測定した。測定結果を表6にまとめた。
【0191】この結果より、実施例1〜4の光起電力素
子の光電変換効率は比較例1の光起電力素子に比べて大
きく、本発明の酸素原子、炭素原子、窒素原子またはア
ルカリ金属原子を含有する光反射層を用いた光起電力素
子が従来の光起電力素子をに比べて優れた耐久性を示す
が実証された。 (C)特性の環境変化依存性 光起電力素子を、温度85℃での相対温度85%の暗所
に放置し、温度85℃で4時間、温度−40℃で40分
のヒートサイクルを30回繰り返し、光電変換効率を調
べた。結果を表6に示す。
【0192】表から明らかなように、実施例1〜4の光
起電力素子では、ヒートサイクルによる光電変換効率の
低下は抑えられ、耐環境性は比較例1の光起電力素子に
対して、優れていることが分かった。
【0193】以上の評価試験により、本発明の酸素原子
を含有する光反射層を用いた光起電力素子が、従来の光
起電力素子に対して、優れた耐環境特性を有することが
判明し、本発明の効果が実証された。
【0194】実施例5〜8及び比較例2 (実施例5)DCマグネトロンスパッタリング法及び高
周波(RF)グロー放電分解法によって本発明の光起電
力素子を作製した。
【0195】まず、実施例1と同じ作製条件で、図8の
DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、基板上
に酸素原子を含むAlSiの光反射層を450nm、及
び光反射増加層を1μm作製した。
【0196】次に、図14に示す原料ガス供給装置13
20と堆積装置1400からなるRFグロー放電分解法
による製造装置により、光反射増加層上に非単結晶シリ
コン系半導体層を作製した。
【0197】図中1404は、前述した光反射増加層及
び光反射層を作製した基板である。図中、ガスボンベ1
371〜1376の各ガスボンベには、実施例1と同じ
原料ガスが密封されており、実施例1と同様の操作手順
により各ガスをマスフローコントローラー1321〜1
326内に導入した。
【0198】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基板1404上にn型層、i型層、p型層の成膜を
行なった。
【0199】n型層を作製するには、基板1404を加
熱ヒーター1405により300℃に加熱し、流出バル
ブ1341〜1343及び補助バルブ1408を除々に
開いて、SiH4 ガス、H2 ガス、PH3 /H2ガスを
ガス導入管1403を通じて堆積室1401内に流入さ
せた。この時、SiH4 ガス流量が2sccm、H2
ス流量が20sccm、PH3 /H2 ガス流量が1sc
cmとなるように各々のマスフローコントローラー13
21〜1323で調整した。堆積室1401内の圧力
は、1Torrとなるように真空計1406を見ながら
コンダクタンスバルブ1407の開口を調整した。その
後、不図示のRF電源の電力を5mW/cm3 に設定
し、RFマッチングボックス1412を通じてカソード
1402にRF電力を導入し、RFグロー放電を生起サ
セ、光反射増加層上にn型層の作製を開始し、層厚10
nmのn型層を作製したことろでRFグロー放電を止
め、流出バルブ1341〜1343を閉じて、堆積室1
401内へのガス流入を止め、n型層の作製を終えた。
【0200】次に、i型層を作製するには、基板140
4を加熱ヒーター1405により300℃に加熱し、流
出バルブ1341,1342を除々に開いて、SiH4
ガス、H2 ガスをガス導入管1403を通じて堆積室1
401内に流入させた。この時、SiH4 ガス流量が2
sccm、H2 ガス流量が20sccmとなるように各
々のマスフローコントローラー1321,1322で調
整した。堆積室1041内の圧力は、1Torrとなる
ように真空計1406を見ながらコンダクタンスバルブ
1407の開口を調整した。その後、不図示のRF電源
の電力を5mW/cm3 に設定し、RFマッチングボッ
クス1412を通じてカソード1402にRF電力を導
入し、RFグロー放電を生起させ、p型層上にi型層の
作製を開始し、層厚400μmのi型層を作製したこと
ろでRFグロー放電を止め、i型層の作製を終えた。
【0201】次にp型層を作製するには、基板1404
を加熱ヒーター1405により250℃に加熱し、流出
バルブ1344を除々に開いて、SiH4 ガス、H2
ス、B2 6 /H2 ガスをガス導入管1403を通じて
堆積室1401内に流入させた。この時、SiH4 ガス
流量が2sccm、H2 ガス流量が50sccm、B2
6 /H2 ガス流量が1sccmとなるように各々のマ
スフローコントローラー1321,1322,1324
で調整した。堆積室1401内の圧力は、1Torrと
なるように真空計1406を見ながらコンダクタンスバ
ルブ1407の開口を調整した。その後、不図示のRF
電源の電力を200mW/cm3 に設定し、RFマッチ
ングボックス1412を通じてカソード1402にRF
電力を導入し、RFグロー放電を生起させ、i型層上に
p型層の作製を開始し、層厚5nmのp型層を作製した
したろでRFグロー放電を止め、流出バルブ1341,
1342,1344及び補助バルブ1408をとじて、
堆積室1401内へのガス流入を止め、p型層の作製を
終えた。
【0202】それぞれの層を作製する際に、必要なガス
以外の流出バルブ1341〜1346は完全に閉じられ
ていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが
堆積室1401内、流出バルブ1341〜1346から
堆積室1401に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ1341〜1346を閉じ、補助バル
ブ1408を開き、さらにコンダクタンスバルブ140
7を全開にして、系内を一旦高真空に排気する操作を必
要に応じて行う。
【0203】次に、p型層上に、透明電極として、IT
O(In2 3 +SnO2 )を真空蒸着にて80nm蒸
着し、集電電極としてCrを真空蒸着にて1μm蒸着
し、光起電力素子を作製した(素子実5)。以上の、光
起電力素子の作製条件を表7に示す。
【0204】(実施例6)実施例2と同様にしてステン
レス基板上に炭素原子を含有するAlSiの光反射層を
形成し、その上に実施例5と同様にして光反射増加層、
n型層,i型層、p型層、透明電極、集電電極を形成し
て光起電力素子を作製した(素子実6)。
【0205】(実施例7)実施例3と同様にしてステン
レス基板上に窒素原子を含有するAlSiの光反射層を
形成し、その上に実施例5と同様にして光反射増加層、
n型層,i型層、p型層、透明電極、集電電極を形成し
て光起電力素子を作製した(素子実7)。
【0206】(実施例8)実施例4と同様にしてステン
レス基板上にアルカリ金属(Li,Na,K,Rb,C
s)を何れか含有するAlSiの光反射層を形成し、そ
の上に実施例5と同様にして光反射増加層、n型層,i
型層、p型層、透明電極、集電電極を形成して光起電力
素子を作製した(素子実8−1〜8−5)。
【0207】(比較例2)比較例1と同様な方法によ
り、光反射層を形成し、続いて実施例5と同様にして光
反射増加層、半導体層、透明電極、集電電極を形成し従
来の光起電力素子を作製した(素子比2)。
【0208】実施例5〜8及び比較例2で作製した光起
電力素子の太陽電池特性について本発明の効果を実証す
るために、実施例1と同様な評価試験を行った。結果を
表8に示す。
【0209】表8から明らかなように、実施例5〜8の
光起電力素子は、比較例2の素子に比べ、初期特性のみ
らず耐久性、耐環境性が大きく改善されることが分かっ
た。 (実施例9)実施例1と同様に、図8に示すDCマグネ
トロンスパッタリング法の製造装置により、基板上に実
施例1と同様の方法で堆積室801に導入するO2 ガス
の流量を、Arガス流量に対して0.1〜25,000
ppmまで変化させて、酸素原子の含有量の異なるAl
Siの光反射層を450nm作製した。次にそれぞれの
光反射層の堆積した基板について、その一部を用いて二
次イオン質量分析(SIMS)を行いAlSiの光反射
層中の酸素量を測定した。
【0210】この結果作製された光反射層に含まれる酸
素原子の量は0.05ppmから2,500ppmであ
ることがわかった。
【0211】次に、実施例1と同様に、図8に示すDC
マグネトロンスパッタリング法の製造装置によりそれぞ
れの量の酸素原子を含む光反射層上に、層厚1μmの光
反射増加層を堆積し、さらに光反射増加層層上に図13
に示すμWグロー放電分解法による製造装置により、光
反射増加上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、
集電電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実9
−1〜9−9)。
【0212】これら光起電力素子の太陽電池特性につい
て、実施例1と同様な評価試験を行った。結果を表9に
示す。
【0213】表9から明らかなように、光反射層に含ま
れる酸素原子の量が0.1ppmから1000ppmの
範囲内にあるときの光起電力素子は、前記酸素原子の量
が、0.1ppm以下または1000ppm以上の光起
電力素子に対して、光電変換特性の初期特性、密着性試
験後及び環境試験後の特性も高い値を示し、酸素原子を
0.1ppmから1000ppm含有する光反射層を用
いることにより、より一層高い効果が得られることが分
かった。
【0214】(実施例10)実施例2と同様に、図8に
示すDCマグネトロンスパッタリング法の製造装置によ
り、基板上に実施例2と同様の方法で堆積室801に導
入するCH4ガスの流量を、Arガス流量に対して1〜
10,000ppmまで変化させて、炭素原子の含有量
の異なるAlSiの光反射層を450nm作製した。次
にそれぞれの光反射層の堆積した基板について、その一
部を用いて二次イオン質量分析(SIMS)を行いAl
Siの光反射層中の炭素量を測定した。
【0215】この結果作製された光反射層に含まれる炭
素原子の量は0.05ppmから1,500ppmであ
ることがわかった。
【0216】次に、実施例1と同様に、図8に示すDC
マグネトロンスパッタリング法の製造装置によりそれぞ
れの量の炭素原子を含む光反射層上に、層厚1μmの光
反射増加層を堆積し、さらに光反射増加層層上に図13
に示すμWグロー放電分解法による製造装置により、光
反射増加上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、
集電電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実1
0−1〜10−9)。これら光起電力素子の太陽電池特
性について、実施例1と同様な評価試験を行った。結果
を表10に示す。
【0217】表10から明らかなように、光反射層に含
まれる炭素原子の量が0.1ppm〜1000ppmの
範囲内にあるときの光起電力素子は、前記炭素原子の量
が、0.1ppm以下または1000ppm以上の光起
電力素子に対して、光電変換特性の初期特性、密着性試
験後及び環境試験後の特性も高い値を示し、炭素原子を
0.1ppm〜1000ppm含有する光反射層を用い
ることにより、より一層高い効果が得られることが分か
った。
【0218】(実施例11)実施例3と同様に、図8に
示すDCマグネトロンスパッタリング法の製造装置によ
り、基板上に実施例3と同様の方法で堆積室801に導
入するN2ガスの流量を、Arガス流量に対して1pp
m〜10,000ppmまで変化させて、炭素原子の含
有量の異なるAlSiの光反射層を450nm作製し
た。次にそれぞれの光反射層の堆積した基板について、
その一部を用いて二次イオン質量分析(SIMS)を行
いAlSiの光反射層中の窒素量を測定した。
【0219】この結果作製された光反射層に含まれる炭
素原子の量は0.05ppmから1,500ppmであ
ることがわかった。
【0220】次に、実施例1と同様に、図8に示すDC
マグネトロンスパッタリング法の製造装置によりそれぞ
れの量の窒素原子を含む光反射層上に、層厚1μmの光
反射増加層を堆積し、さらに光反射増加層層上に図13
に示すμWグロー放電分解法による製造装置により、光
反射増加上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、
集電電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実1
1−1〜11−9)。
【0221】これら光起電力素子の太陽電池特性につい
て、実施例1と同様な評価試験を行った。結果を表11
に示す。
【0222】表11から明らかなように、光反射層に含
まれる窒素原子の量が0.1ppmから1000ppm
の範囲内にあるときの光起電力素子は、前記窒素原子の
量が、0.1ppm以下または1000ppm以上の光
起電力素子に対して、光電変換特性の初期特性、密着性
試験後及び環境試験後の特性も高い値を示し、窒素原子
を0.1ppmから1000ppm含有する光反射層を
用いることにより、より一層高い効果が得られることが
分かった。
【0223】(実施例12)実施例4と同様に、図8に
示すDCマグネトロンスパッタリング法の製造装置によ
り、基板上に実施例4と同様の方法でアルミニウム−シ
リコン合金ターゲットに添加するアルカリ金属原子(L
i,Na,K,Rb,Cs)の量を変化させて、アルカ
リ金属原子(Li,Na,K,Rb,Cs)の含有量が
異なるAlSi光反射層をそれぞれ450nm作製し
た。
【0224】次にそれぞれの光反射層の堆積した基板に
ついて、その一部を用いて二次イオン質量分析(SIM
S)を行いAlSiの光反射層中のアルカリ金属原子
(Li,Na,K,Rb,Cs)量を測定した。
【0225】この結果作製された光反射層に含まれるア
ルカリ金属原子(Li,Na,K,Rb,Cs)の量は
1.5ppmから200ppmであることがわかった。
【0226】次に、実施例1と同様に、図8に示すDC
マグネトロンスパッタリング法の製造装置によりそれぞ
れの量のアルカリ金属原子(Li,Na,K,Rb,C
s)を含む光反射層上に、層厚1μmの光反射増加層を
堆積し、さらに光反射増加層層上に図13に示すμWグ
ロー放電分解法による製造装置により、光反射増加層上
に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、集電電極を
積層し、光起電力素子を作製した(素子実12−1−1
〜12−5−9)。これら光起電力素子の太陽電池特性
について、実施例1と同様な評価試験を行った。結果を
表12−1〜12−5に示す。
【0227】表12−1〜12−5から明らかなよう
に、光反射層に含まれるアルカリ金属原子(Li,N
a,K,Rb,Cs)の量が2ppmから100ppm
の範囲内にあるときの光起電力素子は、前記アルカリ金
属原子(Li,Na,K,Rb,Cs)の量が、2pp
m以下または100ppm以上の光起電力素子に対し
て、光電変換特性の初期特性、密着性試験後及び環境試
験後の特性も高い値を示し、アルカリ金属原子(Li,
Na,K,Rb,Cs)を2ppmから100ppm含
有する光反射層を用いることにより、より一層高い効果
が得られることが分かった。
【0228】実施例13〜16及び比較例3 (実施例13)基板に、50mm角、厚さ1mmのバリ
ウムほう珪酸ガラス(コーニング(株)製7059)を
用い、基板上に透明電極として1TOを80nm作製し
た後、表13の条件を用いて、第1のp型層、第1のi
型層、第1のn型層、第2のp型層、第2のi型層、第
2のn型層を作製し、実施例1の方法で、光反射増加
層、及び酸素原子を含有するAlSiの光反射層を作製
して図2に示す光起電力素子を作製した(素子実1
3)。
【0229】(実施例14)基板に、50mm角、厚さ
1mmのバリウムほう珪酸ガラス(コーニング(株)製
7059)を用い、基板上に透明電極として1TOを8
0nm作製した後、表13の条件を用いて、第1のp型
層、第1のi型層、第1のn型層、第2のp型層、第2
のi型層、第2のn型層を作製し、実施例2の方法で、
光反射増加層、及び炭素原子を含有するAlSiの光反
射層を作製して図2に示す光起電力素子を作製した(素
子実14)。
【0230】(実施例15)基板に、50mm角、厚さ
1mmのバリウムほう珪酸ガラス(コーニング(株)製
7059)を用い、基板上に透明電極として1TOを8
0nm作製した後、表13の条件を用いて、第1のp型
層、第1のi型層、第1のn型層、第2のp型層、第2
のi型層、第2のn型層を作製し、実施例3の方法で、
光反射増加層、及び窒素原子を含有するAlSiの光反
射層を作製して図2に示す光起電力素子を作製した(素
子実15)。
【0231】(実施例16)基板に、50mm角、厚さ
1mmのバリウムほう珪酸ガラス(コーニング(株)製
7059)を用い、基板上に透明電極として1TOを8
0nm作製した後、表13の条件を用いて、第1のp型
層、第1のi型層、第1のn型層、第2のp型層、第2
のi型層、第2のn型層を作製し、実施例4の方法で、
光反射増加層、及びアルカリ金属原子(Li,Na,
K,Rb,Cs)を含有するAlSiの光反射層を作製
して図2に示す光起電力素子を作製した(素子実16−
1〜16−5)。
【0232】(比較例3)実施例13と同様に、基板上
に透明電極としてITOを80mm作製した後、表13
の条件を用いて、第1のp型層、第1のi型層、第1の
n型層、第2のp型層、第2のi型層電第2のn型層を
作製し、比較例1と同様に光反射増加層、及び酸素原子
を含有しない光反射層を作製して光起電力素子を作製し
た(素子比3)。
【0233】以上の実施例13〜16及び比較例3で作
製した光起電力素子の太陽電池特性について本発明の効
果を実証するために、実施例1と同様な評価試験を行
い、結果を表14にまとめた。
【0234】表14から明らかなように、実施例13〜
16の光起電力素子は、比較例3の素子に比べ、初期特
性のみならず耐久性、耐環境性が大きく改善されること
が分かった。
【0235】実施例17〜20及び比較例4 (実施例17)DCマグネトロンスパッタリング法及び
μWグロー放電分解法によって本発明の光起電力素子を
作製した。
【0236】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ装置によりステンレス基板上に、実施例1と同様に、
酸素原子を含有する層厚450nmのAlSiの光反射
層、光反射増加層を作製し、次に、図13に示すμWグ
リー放電分解法による製造装置で表15の条件を用い、
光反射層上に非単結晶シリコン系半導体層を第1のn型
層、第1のi型層、第1のp型層、第2のn型層、第2
のi型層、第2のp型層、第3のn型層、第3のi型
層、第3のp型層からなる構成で積層し、更に透明電
極、集電電極を積層し、トリプル型の光起電力素子を作
製した(素子実17)。
【0237】(実施例18)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0238】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ装置によりステンレス基板上に、実施例2と同様に、
炭素原子を含有する層厚450nmのAlSiの光反射
層、光反射増加層を作製し、次に、図13に示すμWグ
リー放電分解法による製造装置で表15の条件を用い、
光反射層上に非単結晶シリコン系半導体層を第1のn型
層、第1のi型層、第1のp型層、第2のn型層、第2
のi型層、第2のp型層、第3のn型層、第3のi型
層、第3のp型層からなる構成で積層し、更に透明電
極、集電電極を積層し、トリプル型の光起電力素子を作
製した(素子実18)。
【0239】(実施例19)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0240】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ装置によりステンレス基板上に、実施例3と同様に、
窒素原子を含有する層厚450nmのAlSiの光反射
層、光反射増加層を作製し、次に、図13に示すμWグ
リー放電分解法による製造装置で表15の条件を用い、
光反射層上に非単結晶シリコン系半導体層を第1のn型
層、第1のi型層、第1のp型層、第2のn型層、第2
のi型層、第2のp型層、第3のn型層、第3のi型
層、第3のp型層からなる構成で積層し、更に透明電
極、集電電極を積層し、トリプル型の光起電力素子を作
製した(素子実19)。
【0241】(実施例20)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0242】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ装置によりステンレス基板上に、実施例4と同様に、
アルカリ金属原子を含有する層厚450nmのAlSi
の光反射層、光反射増加層を作製し、次に、図13に示
すμWグリー放電分解法による製造装置で表15の条件
を用い、光反射層上に非単結晶シリコン系半導体層を第
1のn型層、第1のi型層、第1のp型層、第2のn型
層、第2のi型層、第2のp型層、第3のn型層、第3
のi型層、第3のp型層からなる構成で積層し、更に透
明電極、集電電極を積層し、トリプル型の光起電力素子
を作製した(素子実20−1〜20ー5)。
【0243】(比較例4)比較例1と同様に、ステンレ
ス基板上に、酸素原子を含有しない光反射層及び光反射
増加層を作製し、次に実施例17と同様な方法により図
13に示すμWグロー放電分解法による製造装置によ
り、光反射層上に非単結晶シリコン系半導体層を積層
し、実施例17と同様な方法および条件で透明電極、集
電電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子比
4)。
【0244】実施例17〜20及び比較例4で作製した
光起電力素子の太陽電池特性について本発明の効果を実
証するために、実施例1と同様な評価試験を行った。結
果を表16にまとめた。
【0245】表16から明らかなように、実施例17〜
20の光起電力素子は、比較例4の素子に比べ、初期特
性、耐久性、耐環境性のいずれも大きく改善されること
が分かった。
【0246】実施例21〜24及び比較例5 (実施例21)電子ビーム(EB)真空蒸着法及びDC
マグネトロンスパッタリング法、およびμWグロー放電
分解法によって本発明の光起電力素子を作製した。
【0247】図12に示す装置を用い電子ビーム(E
B)真空蒸着により、実験例2−1と同様にして、ステ
ンレス基板上に、酸素原子を含有する層厚450nmの
AlSiの光反射層を形成し、その上にDCスパッタリ
ングにより酸化亜鉛(ZnO)からなる光反射増加層を
作製した。次に、実施例17と同様にして、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層を積層し、続いて透
明電極、集電電極を積層し、光起電力素子を作製した
(素子実21)。
【0248】(実施例22)電子ビーム(EB)真空蒸
着法及びDCマグネトロンスパッタリング法、およびμ
Wグロー放電分解法によって本発明の光起電力素子を作
製した。
【0249】図12に示す装置を用い電子ビーム(E
B)真空蒸着により、実験例2−2と同様にして、ステ
ンレス基板上に、炭素原子を含有する層厚450nmの
AlSiの光反射層を形成し、その上にDCスパッタリ
ングにより酸化亜鉛(ZnO)からなる光反射増加層を
作製した。次に、実施例17と同様にして、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層を積層し、続いて透
明電極、集電電極を積層し、光起電力素子を作製した
(素子実22)。
【0250】(実施例23)電子ビーム(EB)真空蒸
着法及びDCマグネトロンスパッタリング法、およびμ
Wグロー放電分解法によって本発明の光起電力素子を作
製した。
【0251】図12に示す装置を用い電子ビーム(E
B)真空蒸着により、実験例2−3と同様にして、ステ
ンレス基板上に、窒素原子を含有する層厚450nmの
AlSiの光反射層を形成し、その上にDCスパッタリ
ングにより酸化亜鉛(ZnO)からなる光反射増加層を
作製した。次に、実施例17と同様にして、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層を積層し、続いて透
明電極、集電電極を積層し、光起電力素子を作製した
(素子実22)。
【0252】(実施例24)電子ビーム(EB)真空蒸
着法及びDCマグネトロンスパッタリング法、およびμ
Wグロー放電分解法によって本発明の光起電力素子を作
製した。
【0253】図12に示す装置を用い電子ビーム(E
B)真空蒸着により、実験例2−4と同様にして、ステ
ンレス基板上に、アルカリ金属原子(Li,Na,K,
Rb,Cs)を含有する層厚450nmのAlSiの光
反射層を形成し、その上にDCスパッタリングにより酸
化亜鉛(ZnO)からなる光反射増加層を作製した。次
に、実施例17と同様にして、光反射増加層上に非単結
晶シリコン系半導体層を積層し、続いて透明電極、集電
電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実24−
1〜24−5)。
【0254】(比較例5)図12の装置を用い、ステン
レス基板上に、酸素原子を含有しない層厚450nmの
AlSiの光反射層とその上に酸化亜鉛(ZnO)から
なる1μmの光反射増加層を作製した。他は実施例21
と同様にして、光起電力素子を作製した(素子比5)。
【0255】実施例21〜24及び比較例5で作製した
光起電力素子の太陽電池特性について本発明の効果を実
証するために、実施例1と同様な評価試験を行った。結
果を表17に示す。
【0256】表17から明らかなように、実施例21〜
24の光起電力素子は、比較例5の素子に比べ、初期特
性、耐久性、耐環境性のいずれも大きく改善されること
が分かった。
【0257】実施例25〜28及び比較例6 (実施例25)DCマグネトロンスパッタリング法及び
μWグロー放電分解法によって本発明の光起電力素子を
作製した。
【0258】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ法の製造装置により、ヒーター803により基板80
2の温度を350℃に保持する以外は実施例1と同じ条
件で基板802上にテクスチャー構造の酸素原子を含む
光反射層を450mm作製した。 次に実施例1と同様
に、光反射層上に、層厚1μmの光反射増加層(Zn
O)を堆積し、さらに光反射増加層上に図13に示すμ
Wグロー放電分解法による製造装置により、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、集電電
極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実25)。
【0259】(実施例26)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0260】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ法の製造装置により、ヒーター803により基板80
2の温度を350℃に保持する以外は実施例2と同じ条
件で基板802上にテクスチャー構造の炭素原子を含む
光反射層を450mm作製した。 次に実施例1と同様
に、光反射層上に、層厚1μmの光反射増加層(Zn
O)を堆積し、さらに光反射増加層上に図13に示すμ
Wグロー放電分解法による製造装置により、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、集電電
極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実26)。
【0261】(実施例27)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0262】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ法の製造装置により、ヒーター803により基板80
2の温度を350℃に保持する以外は実施例3と同じ条
件で基板802上にテクスチャー構造の窒素原子を含む
光反射層を450mm作製した。 次に実施例1と同様
に、光反射層上に、層厚1μmの光反射増加層(Zn
O)を堆積し、さらに光反射増加層上に図13に示すμ
Wグロー放電分解法による製造装置により、光反射増加
層上に非単結晶シリコン系半導体層、透明電極、集電電
極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実27)。
【0263】(実施例28)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びμWグロー放電分解法によって本発明の光
起電力素子を作製した。
【0264】図8に示すDCマグネトロンスパッタリン
グ法の製造装置により、ヒーター803により基板80
2の温度を350℃に保持する以外は実施例4と同じ条
件で基板802上にテクスチャー構造のアルカリ金属原
子(Li,Na,K,Rb,Cs)を含む光反射層を4
50mm作製した。次に実施例1と同様に、光反射層上
に、層厚1μmの光反射増加層(ZnO)を堆積し、さ
らに光反射増加層上に図13に示すμWグロー放電分解
法による製造装置により、光反射増加層上に非単結晶シ
リコン系半導体層、透明電極、集電電極を積層し、光起
電力素子を作製した(素子実28−1〜28−5)。
【0265】(比較例6)堆積室802に、O2 /Ar
ガスのかわりにArガスを導入した以外は実施例25と
同じ条件で基板802上にテクスチャー構造の酸素原子
を含有しない光反射層を450nm作製した。その後、
実施例1と同様にして、光起電力素子を作製した(素子
比6)。
【0266】実施例25〜28と比較例6で作製した光
起電力素子の太陽電池特性について本発明の効果を実証
するために、実施例1と同様な評価試験を行った。結果
を表18に示す。
【0267】表18から明らかなように、実施例25〜
28の光起電力素子は、比較例6の素子に比べ、初期特
性、耐久性、耐環境性のいずれも大きく改善されること
が分かった。
【0268】(実施例29)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びマイクロ波(μW)グロー放電法によって
本発明の光起電力素子を作製した。
【0269】まず、図8に示すDCマグネトロンスパッ
タリング装置により、ステンレス基板上に酸素原子及び
炭素原子を含有するAlSiの光反射層を作製した。
【0270】図中802は50mm角、厚さ0.2m
m、表面に鏡面加工を施したステンレス(SUS43
0)であり、アセトン(CH3 OCH3 )で10分間、
イソプロパノール(CH3 CHOHCH3 )で10分間
の超音波洗浄を行い、80℃で30分間の温風乾燥を行
ったものである。
【0271】図中804は、純度99.999%のアル
ミニウムーシリコン合金(AlSi)ターゲットであ
り、絶縁性支持体805で堆積室801より絶縁されて
いる。図中810、812、814、816はガス導入
バルブであり、それぞれ不図示のアルゴン(Ar)ガス
ボンベ(純度99.9999%)、アルゴン(Ar)ガ
スで50ppmに希釈された窒素(N2 /Ar)ガスボ
ンベ、アルゴン(Ar)ガスで50ppmに希釈された
メタン(CH4/Ar)ガスボンベ、アルゴン(Ar)
ガスで50ppmに希釈された酸素(O2 /Ar)ガス
ボンベに接続されている。
【0272】まず、堆積室801内を不図示の真空ポン
プにより排気し、真空計808の読みが約1×10-6
orrになった時点で、ガス導入バルブ810、81
4、816を徐々に開いて、Arガス流量が10scc
m、CH4/Arガス流量が2sccm、O2 /Arガ
ス流量が2sccmとなるように、各々のマスフローコ
ントローラー811、815、817で調整し、堆積室
801内の圧力が6mTorrとなるように、真空計8
08を見ながらコンダクタンスバルブ(パタフライ型)
809の開口を調整した。その後、DC電源806の電
圧を−400Vに設定して、ターゲット804にDC電
力を導入し、DCグロー放電を生起させた。5分経過し
た後にシャッター807を開けて、基板802上にAl
Siの光反射層の作製を開始し、層厚450nmの光反
射層を作製したところでシャッター807を閉じ、DC
電源806の出力を切り、DCグロー放電を止めた。次
に、ガス導入バルブ814、816を閉じて、堆積室8
01内へのCH4/Arガス、O2 /Arガスの流入を
止め、Arガスの流量が100sccmとなるようにマ
スフローコントロラー811を調整した。
【0273】次に、コンダクタンスバルブ809を閉じ
て、堆積室801を徐々にリークし、酸素原子及び炭素
原子を含むAlSiの光反射層の作製を終えた。
【0274】更に実施例1と同じ作製条件で、図8のマ
グネトロンスパッタリング装置を用いて光反射層を1μ
m作製した。次に表19に示す条件で図13に示すμW
グロー放電法により非単結晶シリコン系半導体層を積層
し、また実施例1と同様な方法及び条件で透明電極、集
電電極を積層し、光起電力素子を作製した(素子実2
9)。以上の作製条件を表19に示す。
【0275】(比較例7)比較例1と同様な方法で従来
の光起電力素子を作製した。
【0276】まず図8に示すDCマグネトロンスパッタ
リング装置により、基板上に比較例1と同様にして炭素
原子、酸素原子を含有しないAlSi光反射層を450
nm作製した。
【0277】次に実施例29と同じ作製条件で、光反射
層上に光反射増加層、n型層、i型層、p型層、透明電
極、集電電極を形成して光起電力素子を作製した(素子
比7)。
【0278】実施例29と比較例7で作製した光起電力
素子の太陽電池特性について本発明の効果を実証するた
めに、実施例1と同様な評価試験を行った。
【0279】(素子比7)に対し、(素子実29)は、
光電変換効率で1.07倍、密着性試験で1.09倍、
環境試験後で1.11倍大きく、本実施例の酸素原子及
び炭素原子を含有する光反射層を用いた光起電力素子が
従来素子に比べ優れた特性を有することが分かり、本発
明の効果が実証された。
【0280】(実施例30)DCマグネトロンスパッタ
リング法及びマイクロ波(μW)グロー放電法によって
本発明の光起電力素子を作製した。
【0281】まず、図8に示すDCマグネトロンスパッ
タリング装置により、ステンレス基板上に酸素原子、炭
素原子及び窒素原子を含有するAlSiの光反射層を作
製した。
【0282】図中802は50mm角、厚さ0.2m
m、表面に鏡面加工を施したステンレス(SUS43
0)であり、アセトン(CH3 OCH3 )で10分間、
イソプロパノール(CH3 CHOHCH3 )で10分間
の超音波洗浄を行い、80℃で30分間の温風乾燥を行
ったものである。
【0283】図中804は、純度99.999%のアル
ミニウムーシリコン合金(AlSi)ターゲットであ
り、絶縁性支持体805で堆積室801より絶縁されて
いる。図中810、812、814、816はガス導入
バルブであり、それぞれ不図示のアルゴン(Ar)ガス
ボンベ(純度99.9999%)、アルゴン(Ar)ガ
スで50ppmに希釈された窒素(N2 /Ar)ガスボ
ンベ、アルゴン(Ar)ガスで50ppmに希釈された
メタン(CH4/Ar)ガスボンベ、アルゴン(Ar)
ガスで50ppmに希釈された酸素(O2 /Ar)ガス
ボンベに接続されている。
【0284】まず、堆積室801内を不図示の真空ポン
プにより排気し、真空計808の読みが約1×10-6
orrになった時点で、ガス導入バルブ810、81
2、814、816を徐々に開いて、Arガス流量が1
0sccm、N2 /Arガス流量が2sccm、CH4
/Arガス流量が2sccm、O2 /Arガス流量が2
sccmとなるように、各々のマスフローコントローラ
ー811、813、815、817で調整し、堆積室8
01内の圧力が6mTorrとなるように、真空計80
8を見ながらコンダクタンスバルブ(パタフライ型)8
09の開口を調整した。その後、DC電源806の電圧
を−400Vに設定して、ターゲット804にDC電力
を導入し、DCグロー放電を生起させた。5分経過した
後にシャッター807を開けて、基板802上にAlS
iの光反射層の作製を開始し、層厚450nmの光反射
層を作製したところでシャッター807を閉じ、DC電
源806の出力を切り、DCグロー放電を止めた。次
に、ガス導入バルブ812、814、816を閉じて、
堆積室801内へのN2 /Arガス、CH4/Arガ
ス、O2 /Arガスの流入を止め、Arガスの流量が1
00sccmとなるようにマスフローコントロラー81
1を調整した。
【0285】次に、コンダクタンスバルブ809を閉じ
て、堆積室801を徐々にリークし、酸素原子、炭素原
子及び窒素原子を含むAlSiの光反射層の作製を終え
た。
【0286】更に実施例29と同じ作製条件で、図8の
マグネトロンスパッタリング装置を用いて光反射増加層
を作製した。次に実施例29と同様な方法及び条件で図
13に示すμWグロー放電法により非単結晶シリコン系
半導体層を積層し、また実施例29と同様な方法及び条
件で透明電極、集電電極を積層し、光起電力素子を作製
した(素子実30)。
【0287】実施例30で作製した光起電力素子の太陽
電池特性について本発明の効果を実証するために、実施
例1と同様な評価試験を行い、比較例7の光起電力素子
(素子比7)と比較した。
【0288】(素子比7)に対し、(素子実30)は、
光電変換効率で1.09倍、密着性試験で1.11倍、
環境試験後で1.13倍大きく、本実施例の酸素原子、
炭素原子及び窒素原子を含有する光反射層を用いた光起
電力素子が従来素子に比べ優れた特性を有することが分
かり、本発明の効果が実証された。
【0289】
【発明の効果】以上説明したように本発明の光起電力素
子は、AlSiを主構成元素とし、酸素、窒素、炭素原
子またはアルカリ金属原子(Li,Na,K,Rb,C
s)の内少なくとも1つを含有する光反射層を用いるこ
とにより、従来の光起電力素子よりさらに短絡電流が増
加し、直列抵抗が減少し、変換効率が向上する。
【0290】また、本発明により、導電性基板と光反射
層の密着性及び光反射層と反射増加層との密着性が改善
され、光起電力素子の耐環境性及び耐久性が向上する。
【0291】更に本発明により、光反射層の金属が反射
増加層及び非単結晶半導体層に拡散するのを防止でき、
耐久性の高い光起電力素子を提供することが可能とな
る。
【0292】加えて本発明により、光反射層を堆積した
後、反射増加層及び非単結晶半導体層等の堆積時の基板
温度変化や光起電力素子を高温高湿の繰り返し環境下で
使用することによる結晶成長の進行を防止でき、素子特
性が経時的に安定な光起電力素子を提供することができ
る。
【0293】更に加えて本発明により、高歩留まりで大
量生産可能な光起電力素子を提供することが可能とな
る。
【0294】
【表1】
【0295】
【表2】
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】
【0298】
【表5】
【0299】
【表6】
【0300】
【表7】
【0301】
【表8】
【0302】
【表9】
【0303】
【表10】
【0304】
【表11】
【0305】
【表12−1】
【0306】
【表12−2】
【0307】
【表12−3】
【0308】
【表12−4】
【0309】
【表12−5】
【0310】
【表13】
【0311】
【表14】
【0312】
【表15】
【0313】
【表16】
【0314】
【表17】
【0315】
【表18】
【0316】
【表19】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一構成例を示した模式
図である。
【図2】本発明の光起電力素子の他の構成例を示した模
式図である。
【図3】本発明の光起電力素子の他の構成例を示した模
式図である。
【図4】本発明の光起電力素子を構成する透明電極を作
製するための装置の一例であり、DCマグネトロンスパ
ッタリング放置の模式図である。
【図5】実験例1−1〜1−4と比較実験例1で作製し
た光反射層中のAlSiの結晶粒径分布を示すグラフで
ある。
【図6】曲げ試験を行うための装置の一例を示す模式図
である。
【図7】実験例1−1〜1−4と比較実験例1で作製し
た光反射層について、AlSiの結晶粒径の分布の変化
をアニーリング前後で示したグラフである。
【図8】本発明の光起電力素子を構成する光反射層と光
反射増加層を作製するための装置の一例であり、DCマ
グネトロンスパッタリング法による製造装置の模式図で
ある。
【図9】本発明の光起電力素子を構成する光反射層を作
製するための装置の一例であり、真空蒸着法による製造
装置の模式図である。
【図10】実験例2−1〜2−4と比較実験例2で作製
した光反射層において、AlSiの結晶粒径分布を示す
グラフである。
【図11】実験例2−1〜2−4と比較実験例2で作製
した光反射層について、AlSiの結晶粒径の分布の変
化をアニーリング前後で示したグラフである。
【図12】本発明の光起電力素子を構成する光反射層と
光反射増加層を連続して作製するための装置の一例であ
り、DCマグネトロンスパッタリング法と真空蒸着法に
よる製造装置の模式図である。
【図13】本発明の光起電力素子を構成する非単結晶シ
リコン系半導体層を作製するための装置の一例であり、
マイクロ波グロー放電法による製造装置の模式図であ
る。
【図14】本発明の光起電力素子を構成する非単結晶シ
リコン系半導体層を作製するための装置の一例であり、
RFグロー放電法による製造装置の模式的図である。
【符号の説明】
101,301 導電性基板 102,202 光反射層 103,203,303 光反射増加層 104,204a,204b,304a,304b n
型(またはp型)非単結晶シリコン半導体層 105,205a,205b,305a,305b i
型非単結晶シリコン系半導体層 106,206a,206b,306a,306b p
型層(またはn型)非単結晶シリコン系半導体層 107,207,307 透明電極 108,208,308 集電電極 109,209,309 光 201 透明基板 210 導電層(または/及び保護層) 302 テクスチャ構造の光反射層 401,801 堆積室 402,802 基板 403,803 加熱ヒータ 404,804,818 ターゲット 405,805 絶縁性支持体 406,806、820 DC電源 407,807,821 シャッター 408,808 真空計 409,809,コンダクタンスバルブ 410,412,414,416,810,81281
4,816 ガス導入バルブ 411,413,415,417,811,813,8
15,817 マスフローコントローラー 601 基板 602 基板曲げ棒 603 エアーシリンダー 901 堆積室 902 基板 903 加熱ヒータ 904 蒸着 905 電子銃 906 高電圧電源 907 シャッター 908 真空計 909 コンダクタンスバルブ 910,912,914,916 ガス導入バルブ 911,913,915,917 マスフローコントロ
ーラー 1201 堆積室 1202 基板 1203 加熱ヒータ 1204 蒸着源 1205 電子銃 1206 高電圧電源 1207,1221 シャッター 1208 真空計 1209 コンダクタンスバルブ 1210,1212,1214,1216 ガス導入バ
ルブ 1211,1213,1215,1217 マスフロー
コントローラー 1218 ターゲット 1219 絶縁性支持体 1220 DC電源 1301 μWグロー放電分解法による成膜装置の堆積
室 1302 誘電体窓 1303、1403 ガス導入管 1304,1404 基板 1305,1405 加熱ヒータ 1306,1406 真空計 1307,1407 コンダクタンスバルブ 1308,1408 補助バルブ 1309,1409 リークバルブ 1310 導波部 1311 バイアス電源 1312 バイアス棒 1320 原料ガス供給装置 1321〜1326 マスフローコントローラー 1331〜1386 ガス流入バルブ 1341〜1346 ガス流出バルブ 1351〜1356 原料ガスボンベのバルブ 1361〜1366 圧力調整器 1371〜1376 原料ガスボンベ 1401 RFグロー放電分解法による成膜装置の堆積
室 1402 カソード 1412 FRマッチクングボックス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 殿垣 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 狩谷 俊光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 松田 高一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 岡田 直人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 近藤 隆治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 西元 智紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 西尾 豊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板上に、光反射層、光反射増加
    層、少なくともシリコン原子を含有する非単結晶半導体
    材料からなるn型層、i型層及びp型層、及び透明電極
    を積層して構成される光起電力素子において、前記光反
    射層はAlとSi原子を主構成元素とし、酸素原子、窒
    素原子、炭素原子またはアルカリ金属原子の内少なくと
    も1つを含有していることを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ金属原子は、Li,Na,
    K,RbまたはCsの群から選択される少なくとも1つ
    であることを特徴とする請求項1記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前期光反射層に含まれる酸素原子、窒素
    原子及び炭素原子の総量は、0.1〜1000ppmで
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電
    力素子。
  4. 【請求項4】 前期光反射層に含まれるアルカリ金属原
    子の総量は、2〜100ppmであることを特徴とする
    請求項1または2に記載の光起電力素子。
JP4231315A 1992-08-06 1992-08-06 光起電力素子 Expired - Fee Related JP2785885B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4231315A JP2785885B2 (ja) 1992-08-06 1992-08-06 光起電力素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4231315A JP2785885B2 (ja) 1992-08-06 1992-08-06 光起電力素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0661514A true JPH0661514A (ja) 1994-03-04
JP2785885B2 JP2785885B2 (ja) 1998-08-13

Family

ID=16921710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4231315A Expired - Fee Related JP2785885B2 (ja) 1992-08-06 1992-08-06 光起電力素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2785885B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5891264A (en) * 1995-01-09 1999-04-06 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Solar cell and method for producing electrode for solar cell

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5891264A (en) * 1995-01-09 1999-04-06 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Solar cell and method for producing electrode for solar cell

Also Published As

Publication number Publication date
JP2785885B2 (ja) 1998-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0677510A (ja) 光起電力素子
JP3073327B2 (ja) 堆積膜形成方法
US5635408A (en) Method of producing a semiconductor device
JP2994812B2 (ja) 太陽電池
JPH0621494A (ja) 光起電力デバイス
AU646761B2 (en) Photovoltaic device
JP2724892B2 (ja) アモルファスシリコン系pin型光電変換素子
JP3406959B2 (ja) マイクロ波プラズマcvd法による堆積膜形成方法
JP2785885B2 (ja) 光起電力素子
JP3027670B2 (ja) 光起電力素子
JP2788799B2 (ja) 太陽電池
JP2788798B2 (ja) 光起電力素子
JP2911659B2 (ja) 光起電力素子
JP2785882B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP2915628B2 (ja) 光起電力素子
JP2905004B2 (ja) 光起電力素子の製造方法
JP2984430B2 (ja) 光起電力素子
JP2862416B2 (ja) 光起電力素子
JP2915629B2 (ja) 光起電力素子
JP3017393B2 (ja) 光起電力素子の製造法
JPH06128748A (ja) マイクロ波プラズマcvd法による堆積膜形成方法及び堆積膜作製装置
JP2004266111A (ja) 微結晶膜および微結晶薄膜太陽電池の製造方法
JP2785883B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP2785884B2 (ja) 光起電力素子
JPH065895A (ja) 太陽電池

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees