JPH066072B2 - ポリアミンの測定方法 - Google Patents

ポリアミンの測定方法

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JPH066072B2 JP29983386A JP29983386A JPH066072B2 JP H066072 B2 JPH066072 B2 JP H066072B2 JP 29983386 A JP29983386 A JP 29983386A JP 29983386 A JP29983386 A JP 29983386A JP H066072 B2 JPH066072 B2 JP H066072B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酵素法によるポリアミンの測定方法に関するも
のである。
〔従来の技術及び問題点〕
ポリアミンは、自然界に広く分布する非蛋白性低分子量
の脂肪族塩基性化合物で、種々の生理活性を有し蛋白質
合成の促進や酵素活性の発現、核酸の代謝等に重要な役
割を果たし生体反応と深いかかわりをもっている。哺乳
動物の生体内ではプトレッシン、カダベリン、スペルミ
ジン及びスペルミンが主なもので、これら四種のポリア
ミンをまとめて総ポリアミンと称している。
またポリアミンは細胞増殖と深いかかわりを持つため、
細胞増殖の盛んな癌細胞を有する癌患者においては、血
液、尿等いわゆる体液中の総ポリアミン量が健常人に比
して著しく増加することが報告されている。従って体液
中総ポリアミンの測定は癌の有力な診断法として、また
癌の治療効果の判定や予後の診断等、癌床検査分野での
幅広い応用が期待されている。
また総ポリアミン測定方法も種々の方法が報告されてい
る。例えば、特公昭56−36918号,特開昭59−
2700号、特開昭58−141798号などがある。
このうち特公昭56−36918号方法は、ポリアミン
を含有する試料に発芽大豆由来のアミンオキシダーゼを
作用させ、生成する過酸化水素を定量する方法であり、
特開昭59−2700号方法は、ポリアミンを含有する
試料にあらかじめアスコルビン酸オキシダーゼを作用さ
せて還元性物質を除去したのち、発芽大豆由来のアミン
オキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素を定量す
る方法である。しかしながらこの両者の総ポリアミン測
定方法は次の欠点を有している。すなわちポリアミンの
酸化に使用する発芽大豆由来のアミンオキシダーゼは、
プトレッシン、カダベリン及びスペルミジンからは1モ
ルの過酸化水素を生成するがスペルミンからは2モルの
過酸化水素を生成するので、試料中の総ポリアミンモル
数に対応した過酸化水素生成とはならない。従ってこれ
らの方法で求めた総ポリアミン量は真値から正の誤差を
持つことになる。従って、スペルミンの含量の多い試料
例えば血液を試料とした場合には、これらの総ポリアミ
ン測定法は誤差が大きくなり使用不可能であった。
一方特開昭58−141798号方法は、ポリアミンの
酸化にミクロコッカス・フラビダスのプトレッシンオキ
シダーゼを使用するポリアミンの分析法で優れた方法の
1つである。しかし、このプトレッシンオキシダーゼの
基質特異性が総ポリアミンのうちのスペルミンに対して
弱く、スペルミン含量の多い試料例えば血液を試料とし
て用いるとき今一歩満足出来ない傾向がある。
また、ポリアミンを含有する試料にミクロコッカス・ロ
ーゼウスのプトレッシンオキシダーゼとトウモロコシ由
来のポリアミンオキシダーゼを組み合わせて作用させる
ことにより、総ポリアミンの測定する方法も提案されて
いる。この方法は優れたポリアミンの測定法であるがト
ウモロコシ由来のポリアミンオキシダーゼは、スペルミ
ンに対するミカエリス定数(Km値)が比較的大きく、ま
た酵素生成性が低い傾向があり、多少不安定なため精製
に難がある。そのため、測定時間が長くかかりかつ測定
感度が低い正確性に欠ける場合もあり、十分に満足出来
るまでに至っていない。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等はこのような状況に鑑み、煩雑な操作を必要
とせず、経済的・迅速かつ正確に総ポリアミン量を測定
する方法を開発すべく研究を重ねた。その結果、カラス
ムギ由来のポリアミンオキシダーゼがポリアミンに対す
るKm値が非常に小さいうえ、生産性が高く且つ該ポリア
ミンオキシダーゼとプトレッシンオキシダーゼを組み合
せしかもあるPH範囲で反応させることにより、両ポリ
アミン酸化酵素がポリアミンに正確かつ迅速に作用する
という知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ポリアミンを含有する試料にポリアミン
酸化酵素を作用させ、生成する過酸化水素を定量するこ
とにより試料中の遊離のポリアミン量を求めるに際し、
該ポリアミン酸化酵素として、カラムスギ由来のポリア
ミンオキシダーゼ及びプトレッシンオキシダーゼをPH
6.5〜9.3の範囲で作用させることを特徴とするポ
リアミンの測定方法である。
本発明においてポリアミンを含有する試料としては、
尿、血液、リンパ液、腹水、胸水、精液、だ液等あらゆ
る体液更には微生物培養液や動植物の組織が使用出来
る。また該試料中に測定阻害物質例えば着色物質、還元
物質が含まれるときは該試料に適当な前処理をほどこし
て使用するのが好ましい。該前処理の方法は試料によっ
て異なるが、イオン交換樹脂やシリカゲルを利用したポ
リアミンの抽出、有機溶媒によるポリアミンの抽出、ト
リクロロ酢酸や過塩素酸による除蛋白処理等が適宜用い
られる。またアセチル複合体ポリアミンなどの非遊離の
ポリアミンを含む試料例えば尿等の試料については、あ
らかじめ4〜10規定塩酸やアシルポリアミン加水分解
酵素等による加水分解処理を行ない、すべて遊離のポリ
アミンに変換したのち本測定用の試料とするのが好まし
い。
また本発明で使用するポリアミンオキシダーゼは、カラ
スムギ由来のポリアミンオキシダーゼである必要があ
る。オキシダーゼは発芽カラスムギ中に大量に含有され
ている。
(約10単位/グラム・芽)該カラスムギからの抽出方
法は特に限定されないが一般に例えば次の方法により調
製できる。例えばカラムスギの芽に0.1M塩化ナトリ
ウム溶液を加えてホモジネートし、ガーゼ等で濾過した
濾液に硫酸アンモニウムを加えて塩析する。遠心分離で
沈殿を採取し、この沈殿に0.05M−クエン酸緩衝液
(PH6.0)を加えて沈殿を溶解したのち、同緩衝液
で透析する。この程度の部分精製酸素でも十分実用に耐
え得る。勿論必要に応じて再に精製して使用すればよ
い。
更に本発明で使用する他のポリアミン酸化酵素はプトレ
ッシンオキシダーゼである。該プトレッシンオキシダー
ゼは、総ポリアミンのうちの少なくともプトレッシン及
びカダベリンと反応し且つ反応性を有するポリアミンを
酸化した後、各々1モルの過酸化水素を生成するもので
あればいずれもでもよい。一般に好適に使用されるもの
を例示すればミクロコッカス・フラビダスのプトレッシ
ンオキシダーゼやミクロコッカス・ローゼウスのプトレ
ッシンオキシダーゼ等があげられる。これらのプトレッ
シンオ キシダーゼは、微生物菌体内より公知の生化学
的手法を用いて調製すればよい。
本発明においては、前記ポリアミンオキシダーセとして
カラスムギに由来のポリアミンオキシダーゼを使用し、
しかも該ポリアミンオキシダーゼをプトレッシンオキシ
ダーゼと組合せて使用することが必要である。しかしな
がら、カラスムギ由来のポリアミンオキシダーゼのどの
ような機能又は因子がプトレッシンオキシダーゼと作用
し、本発明の作用効果を発揮するのかその作用機構は現
在なお明らかではない。
本発明においては、また上記ポリアミン酸化酵素をPH
6.5〜9.3好ましくは6.8〜9.0の範囲で作用
させることも重要な要因である。該PHの調製は試料の
PH調製を実施することで行ってもよいが一般には緩衝
液を使用すると好適である。該緩衝液は緩衝作用を有す
るものであれば種類を問わず、例えばリン酸化緩衝液、
トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液及び一連
のグッド緩衝液等が好適に用いられる。該PHの調製は
総ポリアミンを測定しようとする試料にポリアミン酸化
酵素を加える前に上記緩衝液で行うのが望ましいが、緩
衝液に溶解したポリアミン酸化酵素を加えることによっ
て同時に試料のPH調整することも可能である。
本発明における前記ポリアミン酸化酵素の作用温度は特
に限定されず適宜選択して採用すればよいが一般には2
0゜C〜45゜C好ましくは30゜C〜40゜Cの範囲が好適で
ある。
本発明においては前記ポリアミン酸化酵素の作用によ
り、試料中の総ポリアミン量に対応したモル数の過酸化
水素が生成する。この生成した過酸化水素を測定するこ
とによりポリアミン量を求めることが出来る。該過酸化
水素の定量には公知の過酸化水素定量法のいずれでも適
用できる。例えばペルオキシダーゼの存在下、4−アミ
ノアンチピリンと水素供与体である色原体とを過酸化水
素によって酸化縮合させ、生成した色素を比色する方法
が好適である。この場合の色原体としては、フェノー
ル,2,4−ジクロロフェノール,N−エチル−N−
(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイ
ジン・ナトリウム塩、N−エチル−N−(2−ヒドロキ
シ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリ
ン・ナトリウム塩及びジエチルアニンなどが用いられ
る。
本発明における試料中の総ポリアミン量の求め方は特に
限定されないが例えば次の方法で求められる。既知濃度
(Cp)のポリアミン標準液を調製し、該ポリアミン標
準液と試料とを同じ操作で反応させ、生成した過酸化水
素を前記の定量法に従い発色させ、測定したポリアミン
標準液の吸光度(Es)と試料の吸光度(Et)及び試
薬盲検の吸光度(Eb)から式1に従って計算する。
式1 〔作用及び効果〕 本発明の特徴の1つは、プトレッシンオキシダーゼとカ
ラスムギ由来のポリアミンオキシダーゼを組み合せるこ
とである。両者を組み合せて作用させることにより、1
段階で試料中の総ポリアミン量に対応したモル数の過酸
化水素を生成させ、該過酸化水素を定量することにより
試料中の総ポリアミン量を経済的かつ正確に求めること
ができる。
本発明のもう1つの特徴は、ポリアミンに対するKm値の
非常に小さいカラスムギ由来のポリアミドオキシダーゼ
とプトレッシンオキシダーゼを組み合せて特定のPH範
囲で作用させることにより、全ポリアミンの酸化反応が
非常に速く完了することである。作用PH範囲としては
前記のようにPH6.5〜9.3好ましくはPH6.8
〜9.0更に好ましくはPH7.2〜8.2が好適であ
る。このPH範囲で両ポリアミン酸化酵素を組み合せる
効果を具体的に示す。
表−1はプトレッシン20nmole/m及びスペルミン
20nmole/mを基質とし、0.1Mトリス−塩酸緩
衝液(PH8.0)中、30゜Cで、カラムスギ由来のポ
ルアミンオキシダーゼ0.2単位のみを作用させた場合
と、ミクロコッカス・フラビダス由来のプトレッシンオ
キシダーゼ2.0単位のみを作用させた場合と、及び両
者を共に作用させた場合の反応時間と吸光度の関係を示
したものである。表−1に示される結果を第1図として
表わす。第1図中、の曲線はカラムスギ由来のポリア
ミンオキシダーゼ0.2単位のみを作用させた場合を、
の曲線はミクロコッカス・フラビダス由来のプトレッ
シンオキシダーゼ2.0単位のみを作用させた場合を、
の曲線は両者を共に作用させた場合を示している。
両者を共に作用させた場合、全ポリアミン量(この場合
プトレッシン+スペルミン)に対応した発色強度が得ら
れるのみでなく、プトレッシンオキシダーゼを単独で作
用させたときプトレッシンオキシダーゼが基質(プトレ
ッシン)をすべて酸化するに要する時間(約15分)よ
りはるかに速く(約7.5分)全ポリアミンを酸化し終
っている。
表−2には表−1と同じ実験を反応液のPHを変えて行
なった結果を示す。PHと反応完了に要する時間(反応
時間)との関係を示す。PH緩衝液としてPH5.0〜
6.0では0.1Mクエン酸緩衝液を、PH6.5〜
7.0では0.1Mリン酸緩衝液を、PH7.5〜9.
0では0.1Mトリス−塩酸緩衝液を、PH9.5〜1
0.0では0.1Mホウ酸緩衝液を使用した。表中プト
レッシンオキシダーゼをPUOと、ポリアミンオキシダ
ーぜをPAOと、プトレッシンをPutと、スペルミン
をSpmと略記した。
本反応条件において、PH6.5〜9.3の範囲では著
しく短時間で酸化が可能で特にPH6.8〜9.0では
全ポリアミンを30分以内に酸化できる。更にPH7.
2〜8.2の範囲では反応は10分以内に完了し、プト
レッシンオキシダーゼを単独で作用させたとき全プトレ
ッシンを酸化するに要する時間の半分程度となってい
る。もちろんこの反応時間は使用するそれぞれの酵素量
を変えることにより変動する。
この現像はおそらく、プトレッシンオキシダーゼが基質
類似体であるスペルミンによって阻害を受けるが、カラ
スムギ由来のポリアミンオキシダーゼは基質類似体であ
るプトリレッシンで阻害を受けず、しかも該ポリアミン
オキシダーゼのスペルミンに対すKm値が非常に小さいた
め、試料中のスペルミンはすみやかに酸化され消失す
る。スペルミンの消失に伴ないプトレッシンオキシダー
ゼにかかっていたスペルミンによる阻害は短時間のうち
に軽減され、プトレッシンオキシダーゼの酸化反応も迅
速に完了できるのであろう。
次に実施例において本発明を更に詳細に説明する。尚実
施例におけるプトレッシンオキシダーゼ、ポリアミンオ
キシダーゼ及びペルオキシダーゼの活性は下記測定法に
よって求めた。
(1)プトレッシンオキシダーゼの活性測定法0.1Mリ
トス−塩酸緩衝液(PH8.0)100mに4−アミ
ノアンチピリン10.2mg、2,4−ジクロロフェノー
ル4.9mg,ペルオキシダーゼ(シグマ社製、タイプI
I)5mgを溶解し発色液とする。発色液0.75mに
5mMプトレッシン0.15mを加え30゜Cで3分間
保温したのち、酸素液0.05mを添加し反応させ
る。反応開始後1分間の510nmにおける吸光度の上
昇(ΔA510)を測定し、式2に従って酵素活性を計
算する。なおこの場合の発色の分子吸光係数として9,
600(M−1cm-1)を用いている。プトレッシンオキ
シダーゼ1単位とは、PH8.0,30゜Cにおいて毎分
1nmoleのプトレッシンを酸化する酵素量である。
式2 (2)ポリアミンオキシダーゼの活性測定法 前記(1)のプトレッシンオキシダーゼの活性測定法にお
いて、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(PH8.0)の変
わりに0.1Mリン酸緩衝液(PH6.5)を使用し、
基質の5mMプトレッシンの変わりに5mMスペルミン
を使用すれば、(1)と全く同様にしてポリアミンオキシ
ダーゼ活性を求められる。
(3)ペルオキシダーゼの活性測定法 グアヤコール0.22mを100mの精製水に溶解
しグアヤコール試薬とする。30%過酸化水素水0.0
83mを100mの精製水に溶解して過酸化水素試
薬とする。
0.1Mリン酸緩衝液(PH7.0)3.0mにグア
ヤコール試薬0.05mと過酸化水素試薬0.20m
を加え、30゜Cで3分間保温したのち、酵素液0.0
5mを添加し反応させる。反応開始後1分間の436
nmにおける吸光度の上昇(ΔA436)を測定し、式
3に従って酵素活性を計算する。
式3 また以下の実施例で使用す試薬類の略記は下記の定義の
通りである。
標準液:30nmole/m プトレッシン水溶液。
緩衝液A:0.4Mトリス−塩酸緩衝液(PH8.0) 酵素試薬A:アシルポリアミン加水分解酵素30単位/
mを含む0.1Mリン酸緩衝液(PH7.2)。
溶血液:1、5g トリトン×−100を含む0.1M
トリス−塩酸緩衝液(PH8.0) カラムA:弱酸性カチオン交換樹脂0.12gを充填し
たミニカラム。
脱着液A:0.4Mトリクロロ酢酸溶液。
脱着液B:0.4M塩酸溶液。
中和液:0.3Mトリス−(ヒドロキシメタル)−アミ
ノメタン溶液。
酵素試薬B:プトレッシンオキシダーゼ(ミクコッカス
・フラビダス由来)2.0単位/m、ポリアミンオキ
シダーゼ(カラスムギ由来)0.2単位/m、ペルオ
キシダーゼ(シグマ社製、タイプII)10単位/m、
4−アミノアンチピリン0.3mg/m、2,4−ジク
ロロフェノール1.5mg/mを含む0.1Mトリス−
塩酸緩衝液(PH8.0) 更にまた以下の実施例において、プトレッシンはPut
と、カダベリンはCadと、スペルミジンはSpdと、
スペルミンはSpmとそれぞれ略記する。
実施例1 4−アミノアンチピリ10.2mg,2,4−ジクロロフ
ェノール4.9mg、ペルオキシダーゼ330単位を0.
1Mトリス−塩酸緩衝液(PH7.8)に溶解し発色試
薬Aとした。
発色試薬A2.82mに基質液として2mMPut又
は2mMCad又は2mMSpd又は2mMSpm又は
これら四種ポリアミン溶液の1:1:1:1の混合液の
いずれかを0.08m添加し、37゜C3分間保温す
る。保温後ミクロコッカス・フラビダス由来のプトレッ
シンオキシダーゼ20単位のみ、又はカスラスムギ由来
のポリアミンオキシダーゼ0.2単位のみ、又はプトレ
ッシンオキシダーゼ20単位とカラスムギ由来のポリア
ミンオキシダーゼ0.2単位の両方のいずれかの酵素を
加え(添加量はいずれも0.1m)、混合液37゜Cで
10分間反応させたのち、精製水を対照として510n
mにおける吸光度を測定した。結果は表−3に示した。
実験番号1〜5により、このプトレッシンオキシダーゼ
がPut.Cad及びSpdを基質とし、等モルの過酸
化水素を生成していることがわかる。0.010の吸光
度は試薬盲検に相当する。実験番号5でPut.Cad
及びSpdの総量に相当する吸光度(およそ0.61)
が得られていないのは、Spmの阻害により反応がまだ
完了していないからである。実験番号6〜10により、
カラスムギ由来のポリアミンオキシダーゼがSpd及び
Spmを基質とし等モルの過酸化水素を生成しているこ
とがわかる。実験番号11〜15から、両酵素を組み合
わせることにより、いかなる組成のポリアミン試料でも
総ポリアミン量が正確かつ迅速に測定できることが判
る。
実験例2 精製水、標準液、尿、各12.5nmole/mのPu
t,Cad,Spd,Spmを添加した尿(添加尿
1)、各25.0nmole/mのPut,Cad,Sp
d,Spmを添加した尿(添加尿2)の5本を試料と
し、以下の測定操作に従い総ポリアミン量を測定した。
〔測定操作〕
(1)試料1.0mに緩衝液A1.0mと酵素試薬A
1.0mを添加し攪拌後37゜Cで1時間保温して、ア
セチルポリアミンを遊離化する。
(2)3000rpm、5分間遠心分離し、上澄液全量をカラ
ムAに流し込みポリアミンをイオン交換樹脂に吸着させ
る。
(3)精製水3.0mでカラムAを洗浄する。
(4)脱着液A1.0mでポリアミンを溶出し、中和液
1.0mを加えて中和する。(PHは約8.0とな
る) (5)酵素試薬Bを1.0m添加し、37゜Cで10分間
保温後、精製水を対照に510nmにおける吸光度を測
定する。
本測定操作に基づく5本の試料の吸光度は表−4のとお
りであった。また前述の式1により計算したポリアミン
量もあわせて記す。
表中の値から添加回収率を計算すると、添加尿1は9
7.6%、添加尿2は98.3%と良好であり、尿中ポ
リアミン量が正しく測定されたことが判る。
実施例3 精製水、標準液、血液、各12.5nmole/mのPu
t,Cad,Spd,Spmを添加した血液(添加血液
1)、各25.0nmole/mのPut,Cad,Sp
d,Spmを添加した血液(添加血液2)の5種類を試
料とし以下の測定操作に従い総ポリアミン量を測定し
た。3種類の血液試料については各10本ずつ測定し同
時再現性試験を行った。
〔測定操作〕
(1)試料1.0mに溶血液3.0mを添加し、赤血
球を溶血する。
(2)3000rpm5分間遠心分離し、上澄液全量をカラム
Aに流し込みポリアミンをイオン交換樹脂に吸着させ
る。
(3)精製水3.0m×2回、カラムAを洗浄する。
(4)脱着液B1.0mでポリアミンを溶出し、中和液
1.0mを加えて中和する。(PHは約8.0とな
る) (5)酵素試薬Bを1.0m添加し、37゜Cで10分間
保温後、精製水を対照に510nmにおける吸光度を測定
する。
表−5には同時再現在試験結果が示される。
同時再現性は2%以下と非常に良好であり、本測定法に
より血液中総ポリアミン量が精度よく測定できることが
判る。
表−6には5種の試料の吸光度とポリアミン値が示され
る。血液試料については10本の平均値を採用した。
表中の値から添加回収率を計算すると、添加血液1は9
9.4%、添加血液2は100.9%と非常に良好であ
り、本測定法により血液が中総ポリアミン量が正確に測
定されることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、プトレッシン及びスペルミンを含む系にスラ
スムギ由来のポリアミンオキシダーゼのみを作用させた
場合の反応時間と生成過酸化水素に基づく吸光度の変化
との関係を示すグラフを曲線に、同様にプトレッシン
オキシダーゼのみを作用させたときのグラフを曲線に
及び両酵素を共に作用させたときのグラフを曲線にそ
れぞれ示した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミンを含有する試料にポリアミン酸
    化酵素を作用させ、生成する過酸化水素を定量すること
    により試料中の遊離のポリアミン量を求めるに際し、該
    ポリアミン酸化酵素としてカラスムギ由来のポリアミン
    オキシダーゼ及びプトレッシンオキシダーゼをPH6.
    5〜9.3の範囲で作用させることを特徴とするポリア
    ミンの測定方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004011920A (ja) * 2002-06-03 2004-01-15 Nippon Trex Co Ltd 輸送車両用箱体およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004011920A (ja) * 2002-06-03 2004-01-15 Nippon Trex Co Ltd 輸送車両用箱体およびその製造方法

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