JPH0660375B2 - 耐硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ罐 - Google Patents

耐硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ罐

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JPH0660375B2
JPH0660375B2 JP60005818A JP581885A JPH0660375B2 JP H0660375 B2 JPH0660375 B2 JP H0660375B2 JP 60005818 A JP60005818 A JP 60005818A JP 581885 A JP581885 A JP 581885A JP H0660375 B2 JPH0660375 B2 JP H0660375B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、耐硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ
罐に関するもので、より詳細には、特定のクロム質被覆
と特定の熱硬化性塗膜との組合せにより、内容物による
硫化黒片を防止した食品罐用塗装ブリキ罐詰に関する。
従来の技術及び発明の技術的課題 従来、種々の農産物、畜産物、海産物或いはこれらの加
工品を、錫メツキ鋼板(ブリキ)から成る罐体内に充填
した食品罐詰においては、罐内面が黒変する所謂硫化黒
変と呼ばれる腐食が生ずることが知られている。この硫
化黒変は前述した食品のタン白質等に含有される含硫黄
アミノ酸の一部が分解して微量の硫化水素やメルカプタ
ンを発生し、これが金属錫と反応して硫化錫を生ずるた
めであると言われている。
ブリキ罐の硫化黒変を防止するために、ブリキの表面を
有機樹脂塗料で塗装し、所謂内面塗装ブリキ罐とするこ
とが一般に行われているが、この内面塗装ブリキ罐にお
いても、硫化黒変の防止は完全ではなく、特に加工を受
けた部分では未だかなりの硫化黒変を生ずることが認め
られる。
内面塗装ブリキ罐のこの硫化黒変性を解消しようとする
試みも既にいくつか知られている。その一つの試みは、
酸化亜鉛を塗料中に配合して、発生する硫化水素を硫化
亜鉛の形で吸収させようとするものであり、他の一つは
アルミニウム・フレークを塗料中に配合し、錫メツキ層
を完全に隠蔽しようとするものである。しかしながら、
製罐用金属素材の保護塗膜中のこのような顔料を混入さ
せると、素材そのものの加工性が極端に悪くなり、未だ
所期の目的を達成するに至つていない。
また、塗料自体の硫化水素との反応性を利用する方法も
既に本発明者等により提案されており、特開昭58−1
2540号公報には、キノン・アルデヒド樹脂或いはキ
ノン・フエノール・アルデヒド樹脂を、ブリキ上の保護
塗膜成分として利用することにより、硫化黒変を防止す
ることが記載されている。
従来、ブリキ罐の硫化黒変を防止しようとする手段は全
て発生する硫化水素等をブリキ基体に達する前に吸収さ
せ或いは反応させることにより、金属硫化物の発生を抑
制しようとするものであり、その捕捉効果に自ら限度が
あるものであつた。
発明の目的 従つて、本発明の目的は、ブリキ基体上に特定のクロム
質被覆と熱硬性塗膜との組合せから成る硫化水素へのバ
リヤー層を形成させることによつて、ブリキ基体の硫化
黒変を防止した塗装ブリキ罐を提供するにある。
本発明の他の目的は、ブリキ罐への苛酷な加工、レトル
ト殺菌等の苛酷な熱水処理或いは更にその後の長期にわ
たる経時にもかかわらず、耐硫化黒変性が安定に維持さ
れる食品罐詰用塗装ブリキ罐を提供するにある。
発明の構成 本発明によれば、クロメート処理ブリキ罐の少なくとも
内面に、保護有機塗膜を設けたブリキ罐であって、該ク
ロメート処理ブリキは陽極酸化溶出電気量として表し
て、1.0乃至9.0ミリクーロン/cm2に相当するク
ロム質被覆層を有するブリキであり、且つガラス転移温
度が60℃以下あるいは、125℃以上の熱硬化性塗膜
であって、125℃の温度に加熱し、且つ室温に冷却し
たときの収縮応力が40kg/cm2以下の熱硬化性塗膜が
前記クロム質被覆層上に設けられていることを特徴とす
る耐硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ罐が提供
される。
発明の好適態様 本発明をその好適態様について以下に詳細に説明する。
クロム質被覆層 本発明の塗装ブリキ罐は、ブリキ基質上に、陽極酸化溶
出電気量として表して、1.0乃至9.0ミリクローン
/cm2に相当するクロム質被覆層を有するブリキであ
り、且つガラス転移温度が60℃以下あるいは、125
℃以上の熱硬化性塗膜であって、125℃の温度に加熱
し、且つ室温に冷却したときの収縮応力が40kg/cm2
以下の熱硬化性塗膜が前記クロム質被覆層上に設けられ
ていることが顕著な特徴である。
添付図面第1図は、後述する例に詳述する通り、ブリキ
基質上にクロムの付着量を種々変化させるようにクロム
酸処理を行い、これらのクロム酸処理ブリキ板から、塗
装ブリキ罐を製造し、この塗装ブリキ罐にマグロ油漬を
充填し、1年間の実罐貯蔵試験に付したものについて、
ブリキ基体に結合した硫黄量(S)を測定した結果を示す
ものであり、図において、横軸はクロム酸処理ブリキ板
の陽極酸化溶出量(mC/cm2)を、縦軸はブリキ板基
体に結合した硫黄量をmg/m2の単位で夫々示している。
この第1図の結果によると、陽極酸化溶出量とブリキ結
合硫黄量との関係は、陽極酸化溶出量が約1.0mC/
cm2の位置を屈曲点とする2つの直線から成り、陽極酸
化溶出量1.0mC/cm2以上とすることにより、ブリ
キ結合硫黄量を顕著に抑制し得るという驚くべき事実が
明らかとなる。
本明細書において、陽極酸化溶出量とは次の意味を有す
る。一般にブリキ基質の表面をクロム酸処理すると、そ
の処理条件等によつて、クロム分は3価乃至はより原子
価の低い不溶性の酸化物或いはその水和物の形でブリキ
基質表面に付着する。一方、これらのクロム質被覆を有
するブリキ板を陽極として電解処理を行うと、これらの
クロム酸化物乃至はその水和物は、6価の状態に酸化さ
れて液中に溶出する。かくして、陽極酸化溶出量は、ブ
リキ基質表面に付着するクロム質被覆の量が大きければ
大きい程大きい値となり、またクロム質被覆中のクロム
の酸化の程度が低ければ低い程大きい値となることが了
解されよう。
本発明においては、既に第1図に関して説明した通り、
この陽極酸化溶出量を前述した1.0mC/cm2以上と
することにより、硫化水素或いはその他の有機硫化物に
対するバリヤー性(遮断性)が付与され、ブリキに対す
る硫黄結合量を著しく少ないレベルに抑制することが可
能となるものである。実際的なブリキのクロム酸処理に
おいては、ブリキ表面に付着するクロム質被覆層の厚み
には一定の制限がある。このような場合にも、ブリキ表
面に付着するクロム質被覆のクロムの酸化の程度を、例
えば三価よりも低次の酸化物とするか、或いは三価より
も低次の酸化物の割合いを増大させることにより、陽極
酸化溶出量を増大させ、その結果として硫化水素等に対
するバリヤー性を顕著に向上させることができる。
尚、本発明において、クロム質被覆層について陽極酸化
溶出量の上限を定めているのは、ブリキの加工性からの
制限による。即ち、陽極酸化溶出量が前記範囲を越える
ようなクロム質被覆では、ブリキ罐への加工等に際し
て、この被覆が硬すぎたり、或いは脆すぎたりする傾向
があり、例えば二重巻締加工に際して、ミクロクラツク
等の傷が入りやすく、更に保護塗膜との密着性が低下す
るからである。
本発明において、ブリキ基体としてはそれ自体公知の任
意のブリキが使用される。ブリキ板は冷間圧延鋼板に、
電解錫メツキ、或いは溶融錫メツキを施したものであ
り、例えば、製罐法によつても相違するが、一般にその
厚みが0.15乃至0.35mm、特に0.18乃至0.25
mmのものが用いられる。また錫メツキ量は、一般に0.
4乃至14g/m2特に0.6乃至11.2g/m2のもの
が好適である。更に、電解錫メツキ板の場合には、メツ
キ錫層の溶融処理を行わないノーリフロー板(マツト
板)でもよいし、溶融処理を行つたリフロー板(ブライ
ト板)であつてもよい。
ブリキ板へのクロム酸処理は、陽極酸化溶出量が前述し
た範囲となるようなものであればよく、処理自体はそれ
自体公知の任意の手法で行うことができ、例えばブリキ
板を陽極としてクロム酸浴中で短時間電解処理する方
法、ブリキ板をクロム酸浴中に浸漬して化学的に被膜を
形成させる方法、或いはブリキ板にクロム酸含有組成物
を塗布する方法、等が採用される。これらの処理条件
は、形成されるクロム質被覆の陽極酸化溶出量が前記範
囲となるように実験的に定めればよい。
熱硬化性塗膜 本発明の塗装ブリキ罐は、前述した含クロム質被覆上
に、125℃に加熱し且つ室温に冷却したときの収縮応
力が40kg/cm2以下、特に30kg/cm2以下の熱硬化塗
膜を設けることが第2の特徴である。
添付図面第2図は、後述する例に詳述する通り、種々の
クロム酸処理ブリキ板に、種々の熱硬化性内面保護塗膜
を施した試料片を、マグロ油漬と共に実罐中に充填し、
所定のレトルト後、50℃で10日間の実罐貯蔵試験に
付したものの黒変度を表わす結果である。第2図におい
て横軸は熱硬化性塗膜の収縮力kg/cm2を表わし、縦軸
は試料片の黒変度、即ち試料片全面積当りの黒変した面
積の%を表わす。
第2図の結果によると、何れのクロム酸処理ブリキ板に
ついて、塗膜の収縮力が増大すると、これにつれてブリ
キ板の黒変度が直線的に増大するという事実が明白とな
る。ブリキ板の硫化黒変が塗膜の収縮力に密接に関連す
るという事実は、本発明以前全く未知のことであり、本
発明では、かかる新規知見に基づき、クロム質被覆層上
に収縮力が40kg/cm2以下、特に30kg/cm2以下の熱
硬化性塗膜を設け、特定のクロム質被覆との組合せで、
罐の苛酷な加工、レトルト殺菌或いはその後の長期の経
時にもかかわらず、安定に耐硫化黒変性が維持されるこ
とを可能にしたのである。
本明細書における塗膜の収縮力とは、塗膜が125℃の
ような高温に加熱され、その後室温迄冷却されるときに
元す収縮力(以下単に収縮力と呼ぶ)であり、この測定
法の詳細は後述する例に示されるが、次の意味を有す
る。一般に、塗膜を高温に加熱すると、温度差に対応す
る塗膜の熱膨脹を生じると共に、塗膜中に固定されてい
た分子鎖の緩和を生じる。この塗膜を高温の状態から室
温に冷却すると、前述した熱膨脹に対応する収縮に加え
て緩和に対応する収縮をも発生し、この緩和に対応する
収縮が収縮力となつて表われる。
塗膜の収縮力がブリキ板の硫化黒変性に重大な影響を及
ぼす正確な理由は未だ十分には解明されるに至つていな
いが、塗膜の収縮力がブリキ板上のクロム質被覆に悪影
響を及ぼし、クロム質被覆層にミクロクラツク等の被覆
欠陥を生じさせることがその原因であろうと推測され
る。
本発明に用いる内面保護塗膜は、クロム酸処理ブリキ基
体への密着性に優れ且つレトルト殺菌の如き苛酷な熱水
処理にも耐えるものでなければならないことから、この
塗膜は熱硬化性塗膜でなければならない。
熱硬化性塗膜としては、形成される塗膜の収縮力が前記
範囲内にある限り、それ自体公知の任意のものを用いる
ことができる。塗膜の収縮力が関連する因子としては塗
膜のガラス転移温度(Tg)を挙げることができる。従
来、製罐用に使用されている熱硬化性塗膜の殆んどのも
のは、Tgが一般に100乃至120℃の範囲にあり、
このような塗膜は125℃に加熱し次いで室温に冷却し
たときの収縮力が一般に45乃至85kg/cm2の範囲に
ある、 本発明においては一般に、熱硬化性塗膜として60℃以
下、特に45℃以下のTgを有するものを使用するか、
或いは逆に125℃以上、特に130℃以上のTgを有
するものを使用することにより、熱硬化性塗膜の収縮力
を40kg/cm2以下、特に30kg/cm2以下に抑制するこ
とが可能となる。その理由は、次のようなものと思われ
る。即ち、前者のTgが低い塗膜の場合には、塗膜中の
分子鎖はもともと緩和された状態で存在しており、加熱
−冷却サイクルでの収縮が生じないか、或いは生じると
してもその程度が著しく小さいためであり、また後者の
Tgが高い塗膜の場合には、塗膜中の分子鎖の緩和が加
熱−冷却サイクルで生じないためと思われる。
勿論、本発明に用いる熱硬化性塗膜は、クロム質被覆層
に密着性を有しているべきであり、かかる観点から、エ
ポキシ樹脂成分と、エポキシ樹脂に対して反応性を有す
る硬化剤樹脂成分、例えばフエノール・ホルムアルデヒ
ド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン系ホルム
アルデヒド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂等の少なく
とも1種との組合せが使用される。
エポキシ樹脂としては、ビスフエノール類とエピハロヒ
ドリンとから誘導されたエポキシ当量が1800乃至5
000、特に2500乃至4000のエポキシ樹脂が有利に
使用される。フエノール樹脂やアミノ樹脂は、硫化水素
等に対するバリヤー性に優れた塗膜を形成するので、本
発明の目的に好適な硬化剤樹脂成分である。アクリル樹
脂やビニル樹脂としては、オキシラン環に対して反応性
のある極性基、例えばカルボキシル基、カルボン酸無水
物基、水酸基等を有するアクリル樹脂やビニル樹脂が使
用される。
エポキシ樹脂と硬化剤樹脂との個々の組合せ及び量比
は、Tgの値が前述した範囲となるように定める。一般
にこの組成物中のエポキシ樹脂の量比が増大するにつれ
て塗膜の架橋密度は減少し、Tgは低下し、一方フエノ
ール樹脂等の架橋剤樹脂の量比が増大すると塗膜の架橋
密度は増大し、Tgは上昇する。一般には、エポキシ樹
脂と硬化剤樹脂とを90:10乃至50:50の量比で
且つTgが60℃以下となるように組合せるか、或いは
エポキシ樹脂と硬化剤樹脂とを50:50乃至10:9
0の量比で且つTgが125℃以上となるように組合せ
るのがよい。
熱硬化性塗膜をTgを低下させるために、この塗膜中に
そのTgを低下させるような樹脂成分を含有せしめるこ
ともできる。例えば前述したエポキシ−フエノール系塗
料中に液体ポリブタジエンを全体当り5乃至90重量
%、特に10乃至70重量%の量で含有させることによ
り、塗膜のTgを所定の範囲に調節することができる。
また公知の方法によって合成されるゴム変性エポキシ樹
脂、例えば樹脂間の相溶性、硬化反応性を上げる為に液
状ポリブタジエンをエポキシ変性したもの、或いは末端
がカルボキシル基であるブタジエンアクリロニトリル共
重合体とエピコート#828 のようなエポキシ樹脂を所定
の触媒存在下で反応させることによって得られるゴム変
性エポキシ樹脂等も同様の効果を示す。
塗装ブリキ罐の製造 本発明の塗装ブリキ罐は、前述したブリキ基質と熱硬化
性塗膜との組合せを用いる点を除けば、それ自体公知の
任意の手法で製造し得る。
先ず、前述したクロム酸ブリキ基質の上に熱硬化性塗料
を塗布し、次いで焼付して製罐用素材とする。
塗装に際しては、前述した熱硬化性樹脂を有機溶媒に溶
解した溶液とする。溶媒としては、キシレン、トルエン
等の芳香族炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン等の各種ケトン
類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ等の各種セロソルブ類;ダイアセトンアルコー
ル、イソホロン等を挙げることができるが、前述した樹
脂を溶解し得るものであれば、上述したものに限定され
ず、任意の有機溶媒を使用することができる。これらの
有機溶媒は一般に固形分(不揮発分)が20乃至50%
となるような量で使用するのがよい。
この塗料を、クロム酸処理ブリキ基体上に浸漬塗装、噴
霧塗装、静電塗装、電気泳動塗装、ハケ塗、ローラ塗、
各種コーター等の塗装方式で施こすことができる。この
塗料の塗工量は、最適の耐腐食性と加工性との組合せが
達成されるように、乾燥物基準で2乃至100g/m2
特に3乃至20g/m2の範囲とするのが望ましい。
塗膜の焼付は、一般に150乃至250℃の温度で1乃
至20分間の条件で行うことができる。
被覆金属素材をそれ自体公知の種々の加工、例えばハン
ダ付、接着、溶接等の側面継目形成加工、絞り加工、深
絞り加工、しごき加工、フランジ加工、折り曲げ加工、
ネツクイン加工、ビード加工、カール加工、クリンプ加
工、スタンプ加工、打抜き成形、プレス加工等の種々の
加工に賦して、罐胴、罐蓋或いは罐体の形に成形する。
勿論、この被覆金属素材は種類の異なる複数種の加工に
賦して、所望の罐胴等に成形することができる。
勿論、成形前の金属素材に塗装を行う代りに、絞り加工
或いは絞り−しごき加工で形成された罐胴の内面にスプ
レー等によつて塗装を行うこともできる。
本発明による内面塗装罐は、各種野菜、果実、果汁、水
産製品、畜産製品等を保存するための罐詰としての用途
に有用である。
本発明を次の例で説明する。
実施例1. 冷間圧延鋼板に電解錫メツキを施こしたブリキ板を、重
クロム酸ナトリウム30g/、pH5.7、60℃に調整
した電解浴にブリキ板を陰極として浸漬し、電流密度8
A/dm2で0.5秒間通電して表面にクロメート皮膜を
作成した。このブリキ板を沸騰した1N水酸化ナトリウ
ム水に1分間浸漬した後、pH5のリン酸水素ナトリウム
溶液中でブリキを陽極にして定電流を通すというAubrun
等の方法(参考文献1)によつてクロメート皮膜中に含
まれる陽極酸化溶出量を求めた。溶出量は単位面積当り
に存在する溶解可能なクロム化合物を全て溶出させるの
に必要な電気量で表わした。それによると本実施例の実
験に使用したブリキ板は2.7mC/cm2であつた。こ
のブリキ板上に、フエノール樹脂とエポキシ樹脂及び適
当な溶剤よりなりその硬化後塗膜の個有収縮力が後述す
る測定方法によれば23kg/cm2(Tg135℃)であ
る塗料及び62kg/cm2(Tg≒110℃)である塗料
を散布、焼付けした試料を3cm/3cm角に切断し、マグ
ロ油漬とともにテインフリースチール(TFS)よりな
る罐に充填巻締めした。
115℃−90分間のレトルト処理後、50℃にて経時
保存を行なつた。
試料の硫化黒変程度を、サンプル面積に対する黒変面積
部分の割合(%)として表わし(以下黒変度)経時保存に
よる黒変度変化を測定した。
又、無塗装のブリキ板を同様に充填・巻締めし、黒変度
の測定を行なつた。結果は表1に示すごとく収縮力小さ
い塗膜を有する試料のほうが黒変小さく、収縮力大の塗
膜では無塗装に較べても黒変が顕著に発生することが判
かつた。
本実施例で使用されたブリキ板は、それ自体耐硫化黒変
性に優れているが収縮力大の塗膜を施こされた試料は無
塗装板より却つて黒変が進行してしまい塗膜を施こす効
果が無いといえる。
(参考文献) J.Aubrum,G.A.Pennera;“Preprint of 2nd Internation
al Tin Plate Confernce”25,(1980) 塗膜収縮力測定方法 ブリキ板上にNo.48バーコーターを使用して塗装を施
こし、焼付け硬化後、塗膜−ブリキ界面に水銀を滴下
し、ブリキ表面をアマルガム化して塗膜を剥がす。この
塗膜を幅5mm、長さ90mmの短冊型に切り出す。一定間
隔に設定されたチヤツク間にサンプルを固定し、毎分7
℃/mmの昇温速度で125℃まで上げ30秒間保持した
後、ヒーターを切り、炉をはずし空冷する。この際に発
生するフイルムが縮もうとする力をロードセルを用いて
測定する。測定は炉をはずしたと同時に開始する。収縮
力がほぼ一定になつたときの値をフイルム初期断面積で
除したものを、その塗膜個有の収縮力として定義する。
この測定は恒温、恒湿室で行なつた。
Tg測定方法 ペネトレーション法による塗膜軟化温度をTgとした。
即ち一定荷重(2g)をかけた石英針を塗膜(厚さ5〜
10μm)上に置き、昇温(10℃/分)した時の石英
針の塗膜中への侵入状態により軟化温度を求め、初期状
態と一定速度で侵入し始めた状態で各々接点を引き、こ
の交点より温度を求める。使用装置:理学電機(株)製
TMA 実施例2. 電解スズメツキされた冷間圧延鋼板を実施例1の電解浴
中で6A/dm2の電流密度、0.5秒の通電して、表面
にクロメート皮膜を作成した。実施例1の方法で測定し
た陽極溶解クロム量は1.9mC/cm2であつた。本ブリ
キ板上にフエノール成分としてビスフエノールA:p−
クレゾール=8:2とホルムアルデヒドからなるアンモ
ニアゾール型フエノール樹脂とエポキシ樹脂(シエル#
1009)を固形分比2:8になるように適当な溶剤に
溶解し、かつ固形分量30%になるように調整された塗
料及び、ビスフエノールAとホルムアルデヒドのみより
なるアンモニアレゾール型フエノール樹脂とエポキシ樹
脂(シエル#1009)を固形分5:5の割合で調整さ
れた塗料、さらに、ブチル化尿素樹脂;エポキシ樹脂
(シエル#1007)を固形分比15:85の割合で調
整したエポキシ尿素系塗料を、乾燥硬化後の塗膜厚が同
じになるように塗布、200℃、10分間の焼付けを行
なつた。こうして作成された塗装板を3cm×3cmに切断
し、実施例1と同様にまぐろ油漬と共に充填、巻締し、
レトルト処理115℃−90分の後50℃にて保存し、
一定期間経過する毎にサンプルを取り出しその黒変度を
実施例1と同様に測定した。結果を表2に記す。
本実施例のブリキ板は、それ自体実施例1で使用された
ブリキ板に較べて耐硫化黒変性が劣つているのでレトル
ト直後に黒変が発生した。塗膜の存在は透過硫化物量の
減少をもたらすので、無塗装板に較べて黒変は減少して
くるが、収縮力大のものでは減少割合が小さいのが判か
つた。
実施例3. 電解スズメツキを施こされた冷間圧延鋼板を実施例1の
電解浴で10A/dm2の電流密度で0.5秒間通電して
クロメート処理されたブリキ板(実施例1の方法で測定
されたアノード溶解クロム量3.0mC/cm2)上に、
フエノール成分としてキシレノールとホルムアルデヒド
より合成されたアンモニアレゾールとエポキシ成分とし
てシエル#1004エポキシ樹脂とリノール酸より誘導
されたいわゆるダイマー酸変性エポキシエステル樹脂を
固形分比が15:85になるように配合し、かつ塗料全
体に占める固形分割合が30%になるように溶媒を添加
して調整された塗料を乾燥膜厚4μmになるように塗布
し、220℃で3分間の焼付けを行なつた。実施例1の
方法で測定された塗膜の固有収縮力は12kg/cm2(T
g40℃)であつた。この塗装板より作成された3cm×
3cmの試験片を、まぐろ油漬中に充填、巻締めし、11
5℃、90分間のレトルト処理を行なつた。50℃にお
いて保存し、経時的に実施例1に記したように黒変程度
を測定した。保存3週間目までは黒変の発生は見られな
かつた。
実施例4. 実施例3と同様のブリキ板上に液状ポリブタジエン(シ
エル2000PB)に架橋剤として過酸化ベンゾイルを
樹脂100g当り0.005モル添加し、更に適当な溶
剤にて固形分25%になるよう調整した溶液を塗布し、
200℃で7分間の焼付けを行なつた。塗膜の固有収縮
力は18kg/cm2であつた。実施例1と同様にまぐろ油
漬中に埋め込み、巻締、レトルト後の経時保存での黒変
度を測定した。結果を表3に記した。
実施例5. 実施例3と同様のブリキ板上に実施例4のポリブタジエ
ン溶液とフエノール成分としてp−クレゾールとビスフ
エノールAの2:8とホルムアルデヒドからなるアンモ
ニアレゾール型フエノール樹脂とエポキシ樹脂(シエル
#1009)をその全固形分比が30%になり、かつ個
々の配合割合が1:1:4になるように配合作成された
塗料を散布し、200℃で10分間焼付を行なつた。塗
膜の個有収縮力は29kg/cm2であつた。実施例1と同
様にまぐろ油漬中に埋め込みレトルト処理後50℃保存
で経時的にサンプルを抽出し黒変程度を測定した。表3
に示したようにポリブタジエン成分を添加しないものに
較べて改善の効果が見られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、横軸を各種ブリキ表面クロメート層中の陽極
溶解クロム量を、その溶出させるに必要な電気量として
表わし、縦軸には、それらブリキで作成された罐体にま
ぐろ油漬を充填し、所定のレトルト処理後、室温で1年
間保存した後、そのブリキ表面に付着しているイオウ量
を螢光X線で測定した値を記したものである。 第2図は、陽極溶解クロム量の異なつたブリキ板に、収
縮力の異なつた各種塗料を塗布したテスト板を、まぐろ
油漬と共に充填し、所定のレトルト処理後、50℃にて
保存10日後のサンプル上の黒変度を測定した結果を記
したものである。横軸は、塗布塗料の製膜後の収縮力、
縦軸は黒変度である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロメート処理ブリキ罐の少なくとも内面
    に、保護有機塗膜を設けたブリキ罐であって、該クロメ
    ート処理ブリキは陽極酸化溶出電気量として表して、
    1.0乃至9.0ミリクーロン/cm2に相当するクロム
    質被覆層を有するブリキであり、且つガラス転移温度が
    60℃以下あるいは、125℃以上の熱硬化性塗膜であ
    って、125℃の温度に加熱し、且つ室温に冷却したと
    きの収縮応力が40kg/cm2以下の熱硬化性塗膜が前記
    クロム質被覆層上に設けられていることを特徴とする耐
    硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ罐。
JP60005818A 1985-01-18 1985-01-18 耐硫化黒変性に優れた食品罐詰用塗装ブリキ罐 Expired - Lifetime JPH0660375B2 (ja)

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