JPH065944U

JPH065944U - 積層可撓管

Info

Publication number: JPH065944U
Application number: JP4657192U
Authority: JP
Inventors: 康雄中島; 光範岡田
Original assignee: 古河電気工業株式会社
Priority date: 1992-07-03
Filing date: 1992-07-03
Publication date: 1994-01-25

Abstract

(57)【要約】【構成】ポリ塩化ビニル１００重量部に対して耐衝撃
改良剤が６重量部以上配合されてなる内層の外周に、ポ
リオレフィンに紫外線吸収剤が配合されてなる厚み１０
０μｍ以上の外層が積層されてなる積層可撓管。【効果】ポリ塩化ビニルよりなる内層により機械的強
度を有し、ポリオレフィンに紫外線防止剤が配合されて
なる外層により外傷、紫外線等による機械的物性低下を
防ぎ耐外傷性、耐光性を有する。そのため長期にわたり
日にさらされるような状態で保管あるいはそのような状
態下で使用しても耐衝撃性等の機械的物性の低下がな
い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、耐外傷性、耐光性と機械的強度とを同時に合わせもつ合成樹脂製可撓管に関する。詳しくは、管を使用、保管するうえで外傷や日光による耐衝撃性等の機械的物性の低下がなく、特に、地上、地中の電線・ケーブルの防護管として適する合成樹脂製可撓管に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、土地の有効利用・都市景観の美化などの観点から、電力ケーブル、通信線等の電線・ケーブルの地中埋設化が盛んに行われている。特に、市街地においては電線・ケーブルの地中埋設化の要求は顕著である。地中埋設される電線・ケーブルの防護管の使用条件を考えると、まず第一に、路上の交通量が多いため工期の短縮が要求されている。そのために、地中埋設される電線・ケーブルの防護管においては、一夜で掘削、管敷設、埋戻しが可能であること、軽量で取扱いが簡単であること、長丈尺で接続箇所が少ないことが要求される。第二に、市街地では、埋設物が多く輻輳しているため既設管路を容易に迂回できること、必要な箇所で手軽な工具で容易に切断が可能であること、屈曲して敷設した箇所で容易にケーブルが入手可能であることなどが要求される。このような要件を満足する管として波付けされた合成樹脂製の可撓管が用いられている。特に、波付けされた硬質ポリ塩化ビニル製の可撓管が用いられている。

【０００３】しかしながら、硬質ポリ塩化ビニル製の可撓管は少しでも表面に傷を受けると耐衝撃性等の機械的物性が落ちるという問題点がある。

【０００４】また、このような地中埋設電線・ケーブルの防護用の硬質ポリ塩化ビニル製の可撓管は、通常、ドラム等に巻かれた状態で屋外に保管されるため、応力が加わった状態で日光にさらされ該管を構成するポリ塩化ビニルが劣化し耐衝撃性等の機械的物性が低下するという問題もある。特に、地中埋設される電線・ケーブルの防護管は耐衝撃性等の機械的物性を有する必要があるため該電線・ケーブルの保護管の日光による機械的物性低下は問題である。

【０００５】通常、硬質ポリ塩化ビニルには、耐衝撃性を改善するため、耐衝撃改良剤が配合されており、通常、メチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレンの三元共重合体（ＭＢＳ）系樹脂もしくは塩素化ポリエチレンが配合されている。しかしながら、これら耐衝撃改良剤も概して耐光性が悪いため、日光によって該耐衝撃改良剤が劣化し、硬質ポリ塩化ビニルの劣化とあいまって、管の耐衝撃性が低下し管が割れやすくなる。特に、上述のように応力の加わった保管状態においては、応力の加わっていない状態に比べて日光による劣化が進行しやすい。

【０００６】従来、このような日光等の光による耐衝撃性等の機械的物性低下を防ぐために、紫外線防止剤として、カーボンブラックや酸化チタンが管を構成する樹脂によく配合されているが、このような紫外線防止剤等の添加剤をあまり多く配合することは、逆にまた引張強度や耐衝撃特性等の機械的物性の低下を引き起こすため、紫外線防止剤等の添加剤をあまり多く配合することはできなかった。

【０００７】このように、単層の硬質ポリ塩化ビニル製の可撓管においては、紫外線防止剤等の耐光改善用の無機質添加剤を多く配合することはできないため、耐光性と耐衝撃性等の機械的物性とを同時にあわせもつ合成樹脂製の可撓管は今までなかった。

【０００８】本考案は、硬質ポリ塩化ビニル製の可撓管のこのような問題に着目してなされたものである。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

すなわち、本考案の目的は、外傷あるいは光による耐衝撃性等の機械的物性低下が防止された合成樹脂製の可撓管、すなわち耐外傷性、耐光性と耐衝撃性等の機械的物性とをともに満足する合成樹脂製の可撓管を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

外傷による耐衝撃性等の機械的物性低下という問題を解決するために、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の外周に、ポリオレフィン系樹脂よりなる厚み１００μｍ以上の外層が積層されてなることを特徴とする積層可撓管を提供する。

【００１１】硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層は、管の主体層となるもので管の機械的強度を有する。また、ポリオレフィン系樹脂よりなる外層は、硬質ポリ塩化ビニルよりなる内層の外周に積層されて設けられ、該内層に外傷が生じるのを防ぐ。ポリオレフィン系樹脂よりなる外層により、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂は直接の外傷が防がれ、そのため硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層に傷が生じることによる耐衝撃性等の機械的物性低下が防がれる。

【００１２】また、たとえポリオレフィン系樹脂よりなる外層に外傷や劣化によりひび割れが生じたとしてもポリオレフィン系樹脂と硬質ポリ塩化ビニル系樹脂とは接着性がないため、外層に生じたひび割れが内層の硬質ポリ塩化ビニル系樹脂まで伝達することはなく管全体が割れることはない。

【００１３】さらに、外傷及び光による耐衝撃性等の機械的物性低下という問題を解決するために、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の外周に、ポリオレフィン系樹脂よりなる厚み１００μｍ以上の外層が積層されてなる積層可撓管であって、前記ポリオレフィン系樹脂がポリオレフィンに紫外線防止剤が配合されてなることを特徴とする積層可撓管を提供する。

【００１４】本考案の積層可撓管は、紫外線防止剤が配合されたポリオレフィン系樹脂よりなる外層により紫外線を遮断するため、管の機械的強度を有する硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の紫外線による機械的物性の低下が防がれる。そのため日光等の光による管の機械的物性の低下がない。また本考案の積層可撓管は、紫外線吸収剤が配合されるのはポリオレフィン系樹脂よりなる外層であって、管の機械的強度を有する硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層には紫外線防止剤は配合する必要はないため、紫外線防止剤の配合による管の機械的強度の低下はない。

【００１５】本考案において、ポリオレフィン系樹脂よりなる外層の厚みは１００μｍ以上とする。１００μｍ未満では、光の遮蔽効果が小さく、外傷によって内層の硬質ポリ塩化ビニル系樹脂まで伝達しやすい。できれば、５００μｍ以上の厚みとすることが好ましい。

【００１６】さらに、耐衝撃性を向上するために、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層に耐衝撃剤を配合する。耐衝撃剤の配合量は、ポリ塩化ビニル１００重量部に対して耐衝撃改良剤が６重量部以上配合が望ましい。６重量部未満では得られる耐衝撃改良効果は小さく、特に耐衝撃性を必要とする用途には用いることはできない。

【００１７】また、本考案の積層可撓管は、直管であっても、管軸方向に軸対称または螺旋状の波形が施された波付け管、またはその他の形状の管であってもかまわないが、耐圧性と可撓性の同時に優れる波付け管が望ましい。

【００１８】また、本考案の内層及び外層には、必要に応じて公知の種々の滑剤・充填剤を添加してもよい。

【００１９】

【作用】

本考案の積層可撓管は、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層により機械的強度を有する一方、ポリオレフィン系樹脂よりなる外層によって硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層に傷が生じるのを防止する。そのため機械的強度を有する硬質ポリ塩化ビニルよりなる内層に傷が生じることによる機械的物性の低下が防止され、外傷による耐衝撃性等の機械的物性低下が防がれる。

【００２０】さらに、本考案の積層可撓管は、ポリオレフィンに紫外線防止剤が配合されてなる外層により紫外線を遮断するため、内層の硬質ポリ塩化ビニル系樹脂及びそれに配合される耐衝撃改良剤の紫外線による劣化が防がれる。そのため、長期にわたり日光にさらされるような状態で保管あるいはそのような状態で使用しても耐衝撃性等の機械的物性が低下することがなく、また、耐衝撃改良剤の配合量も少量にてその威力をはっきせしめ続けることができる。

【００２１】通常、硬質ポリ塩化ビニルは紫外線防止剤の配合により耐衝撃性等の機械的物性が低下する。しかし、本考案の積層可撓管においては紫外線防止剤の配合される層はポリオレフィン系樹脂よりなる外層であるため、管の機械的強度を有する硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の耐衝撃性等の機械的物性が紫外線防止剤の配合により低下することはない。

【００２２】さらに、本考案の積層可撓管は、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との間には接着性がないため、たとえ外傷や劣化によってポリオレフィン系樹脂よりなる外層にひびや割れを生じたとしても、ひびや割れが内層まで伝播することがなく可撓管全体が割れるという事態を防ぐことができる。特に、波付け管は、内層と外層とが接着されてなくとも埋設時や、ケーブル内通時にかかる力等によって内層と外層がずれることはない。したがって、本考案の積層可撓管は紫外線防止剤を配合するにもかかわらず機械的物性低下はない。

【００２３】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図を参照して説明する。図１及び図２はそれぞれ本考案の積層可撓管の一実施例の縦断面図及び横断面図である。図１及び図２に示すように本考案の積層可撓管１０は内層１１と外層１２の積層体からなる。内層１１（可撓管の主体層）はポリ塩化ビニル１００重量部に対して耐衝撃改良剤が６重量部以上配合されてなる硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなり、外層１２は（可撓管の被覆層）はポリオレフィンに紫外線防止剤が配合されてなるポリオレフィン系樹脂よりなる。

【００２４】本考案の積層可撓管を構成する内層１１の硬質ポリ塩化ビニル系樹脂としては、通常のポリ塩化ビニル、または後塩素化ポリ塩化ビニルが使用でき、それらは各々の使用用途における要求品質に応じ、例えば、耐熱性を要求される場合には後塩素化ポリ塩化ビニル、耐熱性をそれほど要求されない場合には通常のポリ塩化ビニルを用いればよい。また、塩化ビニル樹脂の重合度は、８００〜１２００程度のものを用いることが好ましい。８００未満では耐衝撃性が悪く、１２００を越えると、加工性が悪くなる傾向にある。

【００２５】外層１２における紫外線防止剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤等があげられる。ただし、カーボンブラックを添加することによって樹脂は黒色となってしまい、他の着色が必要な用途には用いることはできない。特に、着色が必要な用途に用いるときには、紫外線防止剤として酸化チタンが白色で着色可能であり、紫外線防止効果も大きいので好ましいがこれに限定されるものではない。酸化チタンを使用した場合、その配合量はポリオレフィン１００重量部に対して１〜２０重量部が好ましく、１重量部未満では十分な耐光性が得られない、更に好ましくは１〜１０重量部である。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があるが、ルチル型のほうが耐光性に効果があり、ルチル型を用いることが好ましい。

【００２６】また、ヒンダードアミン系光安定剤は、ヒンダードアミンまたはその誘導体であって、ヒンダードアミンまたはその塩、Ｎ−オキシド、Ｎ−ヒドロキシドもしくはＮ−ニトロキシド等であり、該ヒンダードアミン系安定剤中のアミン窒素原子は非芳香属複素環の一部を形成する炭素−炭素鎖の形態で含まれ、該鎖中の２つの炭素原子はそれぞれアミンに立体障害を及ぼす２つの互いに同一もしくは異なる炭素原子数１〜１２の低級アルキル基と結合しているかまたはアミンに立体障害を及ぼす炭素原子数４〜９の１つの脂環式基と結合した化合物である。紫外線防止剤としてヒンダードアミン光安定剤を使用する場合は、ヒンダードアミン系光安定剤のポリオレフィン系樹脂中の濃度は０．０１〜１重量％とするのが好ましく、より好ましくは０．０３〜０．５重量％である。０．０１重量％以下では効果は少なく、また、１重量％より高濃度にしても改良効果は飽和するので不経済である。

【００２７】内層における耐衝撃改良剤としては、ＭＢＳ系樹脂、塩素化ポリエチレン等があげられる。

【００２８】本考案の積層可撓管の製造は、樹脂組成物をヘンシェルミキサー、バンバリミキサー等の混合装置を用いて混合し、さらに押出機、例えば、硬質ポリ塩化ビニルはコニカル異方向二軸押出機を用いて押出し、ポリオレフィンは単軸押出機を用いて押出した後、特開昭４７−１１８４６号にあるような成形機を用いて、管に可撓性を付与するための波付け加工することによってできる。また、被覆層用パリソン押出流路と主体層用パリソン押出流路をもった押出ダイを用いて押出すことにより目的とする積層可撓管を得ることができる。

【００２９】

【考案の効果】

本考案の積層可撓菅は、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の外周にポリオレフィン系樹脂よりなる外層が積層されてなるため、ポリ塩化ビニル系樹脂の外傷が防がれ、そのためポリ塩化ビニル系樹脂に傷が付くことによる耐衝撃性等の機械的物性低下が防がれる。

【００３０】また、本考案の積層可撓管は、ポリオレフィンに紫外線防止剤が配合されてなる外層が劣化の原因となる紫外線を遮断し、紫外線による硬質ポリ塩化ビニル及び耐衝撃剤の劣化が防がれる。そのため、長期にわたり日にさらされるような状態で保管あるいはそのような状態下で使用しても耐衝撃性等の機械的物性が低下することがなく、また、内層の耐衝撃改良剤の配合量も少量にてその威力をはっきさせ続けることができ、長期的に耐衝撃性等の機械的物性に優れる。また、本考案の積層可撓管は、紫外線防止剤の配合がポリオレフィンよりなる外層であるので、管の機械的強度を有する硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層の紫外線防止剤による機械的物性の低下はなく、紫外線防止剤を配合することによる管の機械的物性低下はない。したがって、本考案の積層可撓管は、耐外傷性、耐光性と耐衝撃性等の機械的強度を同時にあわせ持つ。

【００３１】さらに、本考案の積層可撓管は、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との間には接着性がないため、たとえ外傷や劣化によってポリオレフィン系樹脂よりなる外層にひびや割れを生じたとしても、ひび割れが内層まで伝播することがなく可撓管全体が割れるという事態を防ぐことができる。

【００３２】このように本考案の積層可撓管は、耐外傷性、耐光性と機械的物性とを同時に合わせ持つ合成樹脂性可撓管であり、特に、耐衝撃性等の機械的強度を必要とされ、保管時には屋外に放置されることが多い地中埋設の電線・ケーブル等の防護管として極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の積層可撓管の一実施例の縦断面図であ
る。

【図２】本考案の積層可撓管の一実施例の横断面図であ
る。

【符号の説明】

１０積層可橈管１１硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層１２ポリオレフィン系樹脂よりなる厚み１００μｍ以
上の外層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｈ０２Ｇ 9/06 Ｚ 7509−5Ｇ

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】硬質ポリ塩化ビニル系樹脂よりなる内層
の外周に、ポリオレフィン系樹脂よりなる厚み１００μ
ｍ以上の外層が積層されてなることを特徴とする積層可
撓管。
【請求項２】前記ポリオレフィン系樹脂がポリオレフ
ィンに紫外線防止剤が配合されてなることを特徴とする
請求項１記載の積層可撓管。
【請求項３】前記硬質ポリ塩化ビニル系樹脂がポリ塩
化ビニル１００重量部に対して耐衝撃改良剤が６重量部
以上配合されてなることを特徴とする請求項１記載の積
層可撓管。
【請求項４】前記積層可撓管が波付け管であることを
特徴とする請求項１記載の積層可撓管。