JP3246999B2 - 合成樹脂製可撓波形管 - Google Patents

合成樹脂製可撓波形管

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JP3246999B2 JP31430293A JP31430293A JP3246999B2 JP 3246999 B2 JP3246999 B2 JP 3246999B2 JP 31430293 A JP31430293 A JP 31430293A JP 31430293 A JP31430293 A JP 31430293A JP 3246999 B2 JP3246999 B2 JP 3246999B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、電線・ケーブ
ルなどの配線などに用いられる合成樹脂製可撓波形管に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電線・ケーブルなどの電気配線用等に用
いられる電線管には、コンクリート打設や工事時に応力
を受けても複元するだけの圧縮復元性を有し、かつ電線
・ケーブルなどを通線する際に摩擦抵抗が少ないよう
に、波付けされた合成樹脂製可撓波形管が用いられてい
る。しかも、かかる電線管は、建物内に配管される事が
多いため、燃焼し難く、炎を当てて燃焼させても炎を取
り去ると自然に消えるという、所謂自己消火性を有する
ことが一般に要求されている。しかしながら、単一素材
の管で充分な機械的強度と良好な難燃性を併有する合成
樹脂製可撓波形管は得難い。このため、例えば、実公昭
55−43704号には、内層に強度の強いポリオレフ
ィン樹脂よりなる波付管を用い、その外層を軟質塩化ビ
ニルのような難燃性樹脂により被覆した構造の複合管が
提案されている。また、特公昭63−66659号に
は、塩化ビニル含有量が50重量%以上の塩化ビニル系
樹脂からなる難燃性樹脂層を外層とし、オレフィン系樹
脂層を内層として押出し成形された二層管を波形に賦形
してなる可撓波形管が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの合成
樹脂製可撓波形管には、以下の如き問題点があった。ま
ず、前者の複合管では、外層に軟質塩化ビニルを用いる
ため、要求される強度と難燃性とを得るには外層を厚く
しなければならず、そうすると管の重量が増えて長尺物
として持ち運び難くなり、作業性に劣ったものとなる。
また、後者の二層構造の可撓波形管では、オレフィン樹
脂の内層と塩化ビニル系樹脂の外層とを2層押出しで接
着させるとしているが、オレフィン系樹脂の内層への接
着性を持たせるためには、塩化ビニル系樹脂の外層にオ
レフィン成分を加えていく必要がある。そうすると得ら
れる二層構造の可撓波形管は、その外層が耐摩耗性や耐
引っ掻き性等に弱いものとなり、継ぎ手を用いると容易
に外層が傷ついたりして問題となる。
【0004】一方、軽量にするために、難燃剤を添加し
たポリオレフィン樹脂で管全体を成形した波付け可撓波
形管もあるが、これを露出部に用いる場合には、特に耐
候性に問題があった。一般に、塩化ビニル樹脂に比べて
ポリオレフィン樹脂は耐候性が劣り、特に難燃剤を添加
した場合には、更に低下するからである。更に、露出部
に配管する場合は、美観上の観点から黒色よりも明るい
色が好まれるが、着色可能にするために耐候性付与に効
果を有するものの黒色であるカーボンブラックの使用を
やめ、その代わりに紫外線防止剤を用いると、紫外線防
止剤は高価なため、得られる管のコストアップを招くと
いう問題があった。本発明は、全体として良好な耐燃性
と耐候性を有するうえに、外面を自由に着色できて美観
的にも良く、更により安価な合成樹脂製可撓波形管を提
供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の合成樹脂
製可撓波形管は、図1に一例を示す如く、平均肉厚の1
0〜33%の厚さの外層1がカーボンブラックを含まな
いか又は0. 1重量%未満のカーボンブラックが添加さ
れた、酸素指数が22以上の難燃性ポリオレフィン系樹
脂組成物からなり、平均肉厚の67〜90%の厚さの内
層2がカーボンブラックが0. 1重量%以上添加された
ポリオレフィン系樹脂組成物からなる二層波形管である
ことを特徴とするものである。
【0006】本発明にて、外層1の形成材料として用い
る酸素指数が22以上の難燃性ポリオレフィン系樹脂組
成物とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・αオレ
フィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂に周知の難
燃剤、例えばデカブロモジフェニルエーテル、テトラブ
ロモビスフェノールA誘導体などの臭素系難燃剤、塩素
系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム等の無機難燃剤等を添加混合し、これ
必要により0. 1重量%未満のカーボンブラックを添
加した組成物であり、勿論、これに周知の酸化防止剤、
滑剤、顔料等を少量添加したものでもよい。ここでカー
ボンブラックの添加量を0. 1重量%以上とすると着色
性が顕著に低下する。明るい色に着色するためには0.
05重量%未満が好ましいものである。
【0007】本発明の二層構造の波形管において、管の
平均肉厚の10〜33%の厚さの外層1を上記酸素指数
が22以上の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を用い
て形成するとした理由は、外層1の厚さが二層構造の波
形管の平均肉厚の10%未満の厚さの場合およびポリオ
レフィン系樹脂組成物の酸素指数が22未満のものであ
る場合には、得られる二層構造の波形管はいずれも必要
な難燃性を有しないためである。即ち、一般に可撓波形
管の耐燃性試験(例えばJISC 8411)は、管を
垂直に吊るし管の外部よりブンゼンバーナーの炎を45
°の角度で当ててから、炎を取り去ったときに消火する
か否かで行うが、外層が上記条件を外れると炎を取り去
った後も管の燃焼が継続してしまう。なお、ここで管の
平均肉厚Tとは、図2に示したように波形管の山部3の
肉厚t1 谷部4の肉厚t2 とした場合、(t1 +t2
÷2=Tで算出される。また、外層1の厚さを二層構造
の波形管の平均肉厚の33%を超えて厚くすると、得ら
れる二層構造の波形管を露出させて使用した場合、耐候
性が悪くなる。
【0008】本発明の二層構造の波形管において、その
平均肉厚の67〜90%の厚さの内層2を0. 1重量%
以上のカーボンブラックを添加したポリオレフィン樹脂
組成物を用いて形成するとした理由は、内層2の厚さが
二層構造の波形管の平均肉厚の67%以上の厚さで、カ
ーボンブラックを0. 1重量%以上、好ましくは0.2
%以上添加したポリオレフィン樹脂組成物でないと二層
構造の波形管全体としての耐候性が悪くなるためであ
る。また、内層2の厚さを二層構造の波形管の平均肉厚
の90%以上の厚さにすると、得られる二層構造の波形
管は必要な耐燃性を有しなくなるためである。
【0009】本発明の可撓波形管の内層2の形成に用い
るポリオレフィン系樹脂としては、押出成形のし易さ、
外層1との接着性の点から外層1の形成に用いるものと
同種のポリオレフィン樹脂を用いるのが好適であり、ま
た、外層1の形成材料と同様に周知の各種添加剤を少量
添加してもよい。なお、耐候性を向上させるために添加
するカーボンブラックとしては、例えば、商品名ファー
ネスブラック、サーマルブラック等の周知のカーボンブ
ラックを用いることができる。本発明の可撓波形管の製
造は、例えば、内層2と外層1の二層押出成形により直
管を成形し、これを押出し方向に回動している波付け用
金型に挟み込んだ状態で金型内面に沿うようにブロー成
形して連続的に長尺の波形管を製造する方法などにより
製造できる。また、本発明の可撓波形管における波形管
の形状は、山部3と谷部4とが周方向に独立波として形
成されたものでも、螺旋状に形成されたものでもよい。
【0010】
【作用】本発明の合成樹脂製可撓波形管は、耐燃性が優
れたポリオレフィン系樹脂組成物からなる外層1と、耐
候性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物からなる内層
2とを限られた範囲内で二層構造に押出成形することに
より成形したポリオレフィン系樹脂の二層構造波形管で
あるため、全体として耐燃性と耐候性を兼備し、軽量で
機械的強度も優れている。しかも紫外線防止剤を用いず
に良好な耐候性を付与できる。また、外層1を形成する
組成物へのカーボンブラックの添加量を0〜0.1重量
%と少量であるので、本発明の管は着色が可能である。
【0011】
【実施例】
実施例1〜4、比較例1〜4 内層2の形成材料として、高密度ポリエチレン(MFR
0. 1、密度 0.95)にカーボンブラック(商品
名 旭70)を表1に示す量だけ添加した組成物を用
い、外層1の形成材料として、高密度ポリエチレン(M
FR 0. 1、密度 0. 95)に難燃剤としてテトラ
ブロモビスフェノールAを添加して表1に示す酸素指数
とした難燃高密度ポリエチレン組成物にカーボンブラッ
ク(商品名旭70)を表1に示す量だけ添加した組成物
を用い、管の平均肉厚1. 2mmのうち、内層と外層の
厚さの比率を表1に示すように種々変えて二層押出し成
形法により外径23mm、内径16mm、ピッチ4mm
(図2参照)の山部3と谷部4とが周方向に独立波とし
て形成された波形の二層構造の波形管を製造した。製造
したそれぞれの二層構造の波形管について、JIS C
8411に規定された耐燃性試験を行い耐燃性を評価し
た。得られた結果を表1に併記する。また、製造したそ
れぞれの二層構造の波形管についてサンシャインウエザ
ロメータにより耐候性試験を行った。得られた結果を表
1に併記する。
【0012】実施例5 内層2の形成材料として、ポリプロピレン(MFR
0. 2、密度 0. 89)にカーボンブラック(商品名
旭70)を0. 25重量%添加した組成物を用い、外
層1の形成材料として、ポリプロピレン(MFR 0.
2、密度 0. 89)に難燃剤としてテトラブロモビス
フェノールAを添加して酸素指数22. 5とした難燃ポ
リプロピレン組成物にカーボンブラック(商品名 旭7
0)を0.05重量%添加した組成物を用い、二層押出
し成形法により管の平均肉厚1. 2mm、内層2の肉厚
比率が15%、外層1の肉厚比率が85%で、外径23
mm、内径16mm、ピッチ4mmの山部3と谷部4と
が周方向に独立波として形成された二層構造の波形管を
製造した。製造した二層構造の波形管について、JIS
C8411に規定された耐燃性試験を行い耐燃性を評
価した。得られた結果を表1に併記する。また、製造し
た二層構造の波形管についてサンシャインウエザロメー
タにより耐候性試験を行った。得られた結果を表1に併
記する。
【0013】
【表1】
【0014】表1から明らかなように、本発明にて規定
した条件を満たしている実施例1〜5の二層構造の波形
管は、耐燃性はいずれも自己消火性であり、耐候性も1
000時間照射後においても良好であった。これに対し
て、外層1と内層2の肉厚比率が本発明における規定外
である比較例1の二層構造の波形管は、耐候性は100
0時間照射後においても良好であったが、耐燃性は燃焼
継続と悪い。また、比較例2の二層構造の波形管は、耐
燃性は自己消火性であったが、耐候性は500時間照射
にて劣化が激しいものであった。また、外層1の形成材
料の酸素指数が21. 5と本発明における規定外である
比較例3の二層構造の波形管は、耐候性は1000時間
照射後においても良好であったが、耐燃性は燃焼継続と
悪いものであった。また、内層2の形成材料中のカーボ
ンブラックの添加量の少ない比較例4の二層構造の波形
管は、耐燃性は自己消火性であったが、耐候性は500
時間照射にて劣化が激しいものであった。
【0015】
【発明の効果】以上、実施例から明らかなように、本発
明の合成樹脂製可撓波形管は、外層1の形成材料中にカ
ーボンブラックを添加せず、あるいは添加しても少量で
あるために着色性を持ち、全体として耐燃性と耐候性の
バランスを併せ持ち、軽量で機械的強度にも優れてい
る。しかも、紫外線防止剤を用いなくても良好な耐候性
を得ることができるので、製造コストを低減することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成樹脂製可撓波形管の一例品の一部
断面説明図である。
【図2】本発明の合成樹脂製可撓波形管における管の波
形および平均肉厚を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1・・・・外層 2・・・・内層 3・・・・波形の山部 4・・・・波形の谷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−17284(JP,A) 特開 昭59−7039(JP,A) 特開 平7−16908(JP,A) 特開 昭60−184789(JP,A) 実開 昭59−24583(JP,U) 実開 昭56−44275(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16L 9/00 - 9/22 F16L 11/00 - 11/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管の平均肉厚の10〜33%の厚さの外
    層がカーボンブラックを含まないか又は0. 1重量%未
    満のカーボンブラックが添加された、酸素指数が22以
    上の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、平均
    肉厚の67〜90%の厚さの内層がカーボンブラックが
    0. 1重量%以上添加されたポリオレフィン系樹脂組成
    物からなる二層波形管であることを特徴とする合成樹脂
    製可撓波形管。
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