JPH065898Y2 - 記録装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は記録装置に関し、さらに詳しくは、インクジェ
ットヘッドにより記録媒体に記録を行い、インクジェッ
トヘッドよりも記録媒体搬送方向下流側で、インクジェ
ットヘッドと同じ側に配置された第１の搬送回転体と、
反対側に配置された第２の搬送回転体により記録媒体を
挟持して搬送する記録装置に関するものである。

［従来の技術］ 上記のような構成を採用している記録装置としてインク
ジェットプリンタがある。周知のようにインクジェット
プリンタではインク粒子を記録用紙に吹き付けて記録を
行なっているため、インクが用紙に吸収されるまでに所
定の時間を要する。そのため記録用紙の記録直後の記録
面に何かが接触すると記録部分のかすれ、汚れなどが発
生するので、記録用紙の記録済部分の搬送経路で上記接
触がないように細心の注意が必要である。また記録ヘッ
ドの前面にはインキ液が付着しているため、これと接触
しないように記録用紙は記録ヘッドの前方における浮き
上がりを極力押える必要がある。

このような要請からインクジェットプリンタでは、記録
ヘッド上方に引張用のローラと、記録用紙と点接触して
上記ローラとで用紙を挾持する拍車を設け、これらを回
転させて記録用紙を記録部から引き出し、テンションを
かけて用紙を送り、用紙の浮き上りを防ぐ構成が広く用
いられている。

ところでこのようなインクジェットプリンタでは記録用
紙の耳ぞろえを行なう場合などに記録用紙をフリーにす
るため、上記のローラと拍車による用紙の挾持を解除す
る必要がある。

この解除を行なうために従来のインクジェットプリンタ
では拍車をペーパーベールとして記録用紙から離れる方
向（ローラから離れる方向）へ変位可能に設け、同方向
へ変位させて解除を行なっている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが上記のような解除の構造によると、上記解除時
には記録面側に配置された拍車が記録面から離れる方向
すなわち記録ヘッドへ接近する方向へ変位するので、同
方向への用紙の押えがなくなる。このため前記方向へ用
紙の倒れや浮きが生じ、用紙が記録ヘッドに接触して用
紙の記録面が汚される危険性があった。

これはこの種のインクジェットプリンタに限らす上述と
同様の紙送り機構を有した記録装置に共通する問題であ
る。

［問題点を解決するための手段］ 上述した問題点を解決するため、本考案の記録装置にあ
っては、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッド
と、前記インクジェットヘッドよりも記録媒体搬送方向
下流側で前記インクジェットヘッドと同じ側に配置さ
れ、記録媒体を前記インクジェットヘッドと接触しない
位置に保ちながら案内する第１の搬送回転体と、記録媒
体の搬送通路を挟んで前記第１の搬送回転体とは反対側
に配置され、前記第１の搬送回転体と協働して記録媒体
を挟持して搬送する第２の搬送回転体と、前記第２の搬
送回転体を前記第１の搬送回転体より離れる方向に変位
させることによって挟持を解除する解除手段と、を有す
る構成を採用した。

［作用］ このような構成によれば、第２の搬送回転体を第１の搬
送回転体より離れる方向に変位させることによって記録
媒体の挟持が解除されるので、解除後も媒体のインクジ
ェットヘッド側には第１の搬送回転体による押えが存在
する。従って、この押えにより記録媒体がインクジェッ
トヘッド方向へ浮いたり倒れたりするのが防止される。

［実施例］ 以下、添付した図を参照して本考案の実施例の詳細を説
明する。

第１図は本実施例によるインクジェットプリンタの記録
および紙送り機構部の構造を示す斜視図である。

第１図において符号７で示すものはインクジェットヘッ
ドとして構成された記録ヘッドであり、キャリア６上に
搭載されている。

キャリア６は、図示の機構全体を支持する基板１上に対
向して設けられた側板２，３間に平行に架設されたガイ
ド軸４，５上に摺動自在に設けられており、不図示の駆
動手段の駆動によりガイド軸４，５上に摺動走行して記
録ヘッド７を移送する。なお図示していないがキャリア
６上には記録ヘッドにインクを供給する不図示のインク
供給機構などが設けられている。

また符号９で示すものはプラテンロールであり、次に述
べるプラテン板１１とともにプラテンを構成するととも
に紙送りローラを兼ねている。このプラテンロール９
は、同ロールの中心を貫通して固着されたプラテン軸８
の両端部を左右の側板２，３のそれぞれに回転自在に軸
受けすることで側板２，３間に回転自在に支持され、か
つ上部が記録ヘッド７と対向し、ガイド軸６，７と平行
に配置されている。そしてプラテンロール９は不図示の
紙送りモータの駆動により回転し、不図示のピンチロー
ラと、基板１上に設けられた紙押え板１８により同ロー
ル９の外周面上に圧接される不図示の記録用紙を記録部
へ送り込む。

一方、符号１１で示すものはプラテンロール９とともに
プラテンを構成するプラテン板であり、不図示の支持部
材を介して側板２，３間でプラテンロール９上に同ロー
ルに平行に支持、固定されている。プラテン板１１はほ
ぼコの字状に屈曲されており、記録ヘッド７と対向する
側面がプラテン部１１ａとなっている。またプラテン板
１１の左右両端部には次に述べる拍車軸１７とローラ軸
１２を保持するＬ字形の保持腕１１ｂ，１１ｂが形成さ
れている。

すなわち保持腕１１ｂ，１１ｂの先端部のそれぞれに
は、薄い歯車状の先述した拍車１６を２個軸支した拍車
軸１７の両端が回転自在に軸支されている。これにより
拍車軸１７は記録ヘッド１７上でプラテン板１１のプラ
テン部１１ａに平行に対向して架設されており、拍車１
６，１６は互いの間に所定間隔をおいて拍車軸１７の中
間部に軸受けされている。

また保持腕１１ｂ，１１ｂの中間部のそれぞれには長孔
１１ｃ，１１ｃ（右側は図示せず）が拍車軸１７の軸受
穴と対向して形成されている。そしてこの長孔１１ｃ，
１１ｃには拍車１６，１６とともに記録用紙を挾持し、
引張して送り出す引張りローラ１３，１３の中心を貫通
して軸支したローラ軸１２の両端部が回転自在、かつ長
孔１１ｃの長手方向に沿って変位可能に軸受けされてい
る。すなわちローラ軸１２は拍車軸１７に平行に架設さ
れ、拍車軸１７から離れる方向へ変位可能に軸受けされ
ている。

またローラ軸１２は不図示のバネにより拍車軸１７側へ
押圧されている。この押圧力により、ローラ軸１２に固
着された引張りローラ１３，１３のそれぞれがプラテン
板１１のプラテン部１１ａに形成された切欠部１１ｄ，
１１ｄを介して拍車１６，１６のそれぞれに対してプラ
テン部１１ａとほぼ同一面上で圧接する。またこの圧接
位置ではローラ軸１２の図中右端に固着されたローラギ
ヤ１４が、プラテン軸８の図中右端に固着された不図示
のプラテンギヤと噛合しているアイドラギヤ１５と噛合
する。

また第１図において符号１０で示すものは記録用紙をプ
ラテンロール９の外周面に沿って案内するペーパーパン
であり、下部は半円弧状にわん曲して形成され、プラテ
ンロール９の外周面の下半部に対向して配置されてい
る。またペーパーパンの上部は傾斜面となっており不図
示の記録用紙挿入口に連続して配置されている。

ペーパーパンの両端部は屈曲されており、プラテン軸８
の両端部に回転自在に軸受けされており、これによりペ
ーパーパンは側板２，３間の図示の位置で回動可能に支
持されている。そしてペーパーパン１０は紙送り時には
不図示のクリック部材を介して図示の位置に保持されて
いる。

またペーパーパン１０の両端部の上縁先端には後述する
記録用紙の挾持解除時にローラ軸１２を押圧して変位さ
せるリリース腕１０ｂ，１０ｂが形成されている。さら
にペーパーパン１０の左端部の上側縁中央部には後述す
る引張りローラ１３の変位を行なうためのつまみ１０ａ
が形成されている。

なおこの他プリンタの図示していない各部は本考案に関
連しないので説明を省略する。

次に上記構造における本実施例の動作を説明する。

紙送り時にはペーパーパン１０は先述したクリック部材
を介して第１図に図示した位置に保持されており、不図
示の記録用紙はペーパーパンを介してプラテンロール９
の外周面に沿って導かれ、不図示のピンチローラおよび
紙押え板１１によりプラテンロール９に圧接され、さら
に引張りローラ１３、拍車１６間を通ってプラテン板１
１のプラテン部１１ａに沿って導き出されている。また
第２図（ａ）に示すように引張りローラ１３，１３は先
述したローラ軸１２を押圧する不図示のバネの押圧力に
より記録用紙１９を介して拍車１６，１６に圧接し、引
張りローラ１３、拍車１６間に記録用紙１９が挾持され
ている。

この状態でプラテンロール９が第２図（ａ）に矢印で示
すように回転駆動されることによりプラテンロール９、
記録用紙１９間の摩擦力で記録用紙１９が記録ヘッド７
の前方へ送り込まれる。またプラテンロール９の回転力
がプラテンギヤ、アイドラギヤ１５、ローラギヤ１４、
ローラ軸１２を介して引張りローラ１３，１３に伝達さ
れ、引張りローラ１３，１３はプラテンロール９よりも
わずかに速い周速度で同図に矢印で示すように回転す
る。そして引張りローラ１３はこれに伴って回転する拍
車１６との間に挾持している記録用紙１４の記録ヘッド
７により記録された直後の部分を摩擦力で引張り、プリ
ンタ外へ送り出す。この場合引張りローラ１３の周速度
がプラテンロール９より速いことから記録用紙１９のプ
ラテンロール９、引張りローラ１３間の部分には張力が
がかり、この部分に浮き、たるみは生じない。一方、記
録用紙をフリーにする場合にはペーパーパン１０のつま
み１０ａを第１図中矢印Ａ方向へ倒し、先述のクリック
部材による止めを外してペーパーパン１０を第１図中反
時計方向へ回動させる。これによりペーパーパン１０の
リリース腕１０ｂ，１０ｂがローラ軸１２と係合し、こ
れを押圧して長孔１１ｃに沿って拍車軸１７から離れる
方向へ変位させる。このため第２図（ｂ）に示すように
引張りローラ１３が拍車１６から離れ、記録用紙１９の
挾持が解除される。この時不図示の連動機構により不図
示のピンチローラがプラテンロール９から離され、また
紙押え板１８の圧接力はごく弱くこれによる拘束力はご
く弱いので記録用紙１９はフリーになる。

そしてこの場合に拍車１６は第２図（ａ）の紙送り時の
位置から移動せず、この拍車１６と紙押え板１８の押え
により記録用紙１９が記録ヘッド７側へ倒れたり浮いた
りすることが防止される。記録用紙１９にファンホール
ド紙を用いた場合のミシン目部分での浮きも防止され
る。

従って本実施例によれば上記倒れや浮きで記録用紙１９
が記録ヘッド７に接触することによる記録用紙１９の汚
れを確実に防止できる。またペーパーパンが挾持解除機
能を兼有しているので、従来用いられていた解除用部材
（但し従来の場合は拍車１６側を変位させる）の分だけ
部品点数が減少し、製造コストを低減させることができ
る。

なお本実施例では拍車１６を薄い歯車状のものとした
が、ピンを放射状に植設した拍車を用いてもよい。

また以上のような紙送り機構の構造はインクジェットプ
リンタに限らず、他の記録装置にも適用できるのは勿論
である。

［効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案の記録装置によ
れば、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドよりも記録媒体搬送方向下流
側で前記インクジェットヘッドと同じ側に配置され、記
録媒体を前記インクジェットヘッドと接触しない位置に
保ちながら案内する第１の搬送回転体と、記録媒体の搬
送通路を挟んで前記第１の搬送回転体とは反対側に配置
され、前記第１の搬送回転体と協働して記録媒体を挟持
して搬送する第２の搬送回転体と、前記第２の搬送回転
体を前記第１の搬送回転体より離れる方向に変位させる
ことによって挟持を解除する解除手段と、を有する構成
を採用したので、記録媒体の挟持解除時に、媒体がイン
クジェットヘッド側へ倒れたり浮いたりすることを第１
の搬送回転体の押えにより防止し、媒体とインクジェッ
トヘッドの接触による媒体の汚れの発生を確実に防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例によるインクジェットプリンタ
の記録および紙送り機構部の構造を示す斜視図、第２図
（ａ），（ｂ）はそれぞれ第１図の紙送り機構の動作説
明図である。 １……基板、２，３……側板 ４，５……ガイド軸、６……キャリア ７……記録ヘッド、８……プラテン軸 ９……プラテンロール １０……ペーパーパン １１……プラテン板、１２……ローラ軸 １３……引張りローラ、１４……ローラギヤ １５……アイドラギヤ、１６……拍車 １７……拍車軸、１８……紙押え板 １９……記録用紙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】記録媒体に記録を行うインクジェットヘッ
   ドと、 前記インクジェットヘッドよりも記録媒体搬送方向下流
   側で前記インクジェットヘッドと同じ側に配置され、記
   録媒体を前記インクジェットヘッドと接触しない位置に
   保ちながら案内する第１の搬送回転体と、 記録媒体の搬送通路を挟んで前記第１の搬送回転体とは
   反対側に配置され、前記第１の搬送回転体と協働して記
   録媒体を挟持して搬送する第２の搬送回転体と、 前記第２の搬送回転体を前記第１の搬送回転体より離れ
   る方向に変位させることによって挟持を解除する解除手
   段と、 を有することを特徴とする記録装置。