JPH06588B2 - 紙葉類繰出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は紙幣等の紙葉類を繰出す紙葉類繰出し装置に関
するものである。

（従来の技術） 従来の紙幣繰出し機構は、第１０図に示すように、それ
ぞれローラ本体の山部外周に弧状切欠部を設け、この弧
状切欠部にゴムを埋込んでゴム埋込み摩擦送り部
（イ），（ロ）を形成してなる繰出しローラ（ハ）と、
サブローラ（ニ）とを設けてある。

紙幣類待機筐（ホ）から前記サブローラ（ニ）の回動に
よって送出された最下位の紙幣（ヘ）を、回動する繰出
しローラ（ハ）と、停止状態にあるストップローラ
（ト）とからなる噛合機構（チ）の繰出し口（リ）に送
り、回動する繰出しローラ（ハ）のゴム埋込み摩擦送り
部（イ）により最下位の紙幣（ヘ）１枚を前方へ繰出
し、引出しローラ（ヌ）と繰出しローラ（ハ）との協働
により繰出された紙幣の先端部を抑え込み状として前方
へ引出す。

最下位の紙幣の上方に位置する別の紙幣は常に停止状態
にあるストップローラ（ト）によって制動をかけられ前
進を阻止されるとともに、最下位の紙幣は繰出しローラ
（ハ）の外周、即ちゴム埋込み摩擦送り部（イ）以外の
部分によって滑って繰出し不能としてあり、回動する繰
出しローラ（ハ）のゴム埋込み摩擦送り部（イ）が繰出
し点に達すると、最下位の１枚のみが繰出されるように
なっている。

このような作動の連続繰出しによって、１枚の紙幣が繰
出しローラ（ハ）の１回転ごとに前方へ繰出されるよう
に構成されている。

このため、１枚づつ多数枚の紙幣を繰出すと、紙幣のイ
ンクが前記ゴム埋込み摩擦送り部（イ）の面を汚染し、
摩擦係数が低下して繰出し動作が不安定となり、紙幣の
送り間隔のバラツキ、並行送りの乱れによる送り姿勢不
良、皺の発生等を起生し、延いては繰出し得ない状態と
なることがある。

このような障害対策として、毎日、あるいは頻繁に繰出
しローラ（ハ）のゴム埋込み摩擦送り部（イ）を清浄し
なければならず、かかる作業は手間が掛り、面倒であ
り、繰出す紙幣の通過量により清浄間隔を定め、装置を
停止し清浄作業をする時期を選ぶことは容易ではなく、
しかもゴムは温度変化、環境変化等により変質し、例え
ば５℃では硬化して摩擦力を喪失し、繰出し機能を果た
し得なくなる。

そこで、かかる問題点を解決すべく、外周面にダイヤモ
ンド粒子を固着させた繰出しローラが提案された。

（発明が解決しようとする課題） 上記の如き外周面にダイヤモンド粒子を固着させた繰出
しローラは、耐摩耗性に優れ、変質もせず、長期に渡り
繰出し機能を維持するものであるが、一方、ダイヤモン
ド粒子の刃先を紙葉類に食い込ませて繰出すものであ
り、繰出し能力が強いものであるから、紙葉類の摩損を
防止するためダイヤモンド粒子と紙葉類との当接時間を
極力短く、すなわち、ダイヤモンド粒子を固着する部分
を極力小範囲としたい。しかし、あまりに小範囲とした
場合には、引出しローラ（ヌ）と繰出しローラとの当接
部においてダイヤモンド粒子と紙葉類との当接時間も短
時間となり、紙葉類がストップローラ（ト）と引出しロ
ーラ（ヌ）との間で湾曲し、ジャムの原因となることも
ある。

又、ダイヤモンド粒子は比較的高価であり、繰出しロー
ラ外周面の一部分にのみダイヤモンド粒子を固着させる
のが好ましいが、このようにするとダイヤモンド粒子を
固着させた部分と固着させない部分との境界部において
段差が生じ、ダイヤモンド粒子が硬質であることから、
紙葉類に皺を発生させ、切損の原因となることもある。

（課題を解決するための手段） 本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、そ
の目的とするところは、繰出しローラにダイヤモンド粒
子を固着させたものであっても、より確実かつ安定に紙
葉類を繰出し得るようにしたものであって、繰出しロー
ラと、該繰出しローラに対向して設けられたストップロ
ーラと、繰出し方向に関して該操出しローラの前方に該
繰出しローラに対向して設けられた引出しローラと、よ
りなる紙葉類繰出し装置において、 前記繰出しローラは、ローラ本体の外周面に設けた弧状
切欠部にダイヤモンド粒を電着させることによりダイヤ
モンド粒電着弧状部が形成され、該ダイヤモンド粒電着
弧状部の外縁は前記ローラ本体の外周面の延長状となる
ように形成されて成り、 前記ダイヤモンド粒電着弧状部は、前記ストップローラ
と協働して紙葉類を繰出すダイヤモンド粒電着小弧状部
と、前記引出しローラと協働して繰出された紙葉類を搬
出するダイヤモンド粒電着大弧状部と、が繰出し方向に
関して並行に形成されて成り 前記ダイヤモンド粒電着大弧状部は、繰出し方向始端を
前記ダイヤモンド粒電着小弧状部と同一とし、繰出し方
向終端を前記ダイヤモンド粒電着小弧状部より延長して
形成されて成ることを特徴とする紙葉類繰出し装置を提
供する。

（作用） 回動する繰出シローラに形成したダイヤモンド粒電着弧
状部のダイヤモンド粒の刃先が紙葉類に食い込み状とな
るから、紙葉類を確実に１枚づつ繰出すことができる。

ダイヤモンド粒電着弧状部の外縁は、ローラ本体の外周
面の延長状としてあるので、紙葉類に皺を発生させるこ
ともなく、円滑に繰出すことができる。

又、ダイヤモンド粒電着小弧状部と、ダイヤモンド粒電
着大弧状部とを形成し、ダイヤモンド粒子と紙葉類との
当接時間を極力短くするとともに、引出しローラと繰出
しローラとの当接部においてはダイヤモンド粒子と紙葉
類との当接時間を十分に確保したから、紙葉類の摩損を
防止できるとともに、紙葉類を湾曲させることもなく、
安定に搬出することができる。

（実施例） 本発明装置の実施例を第１図乃至第９図について説明す
る。

紙葉類繰出し装置１は第１図および第２図に示すよう
に、紙幣等紙葉類を積重ね状に装入してある紙葉類待機
筐２の底板部３に貫設した開口４より外周上縁を僅か内
方に突出させてサブローラ５を配してあり、前記紙葉類
待機筐２の前端に形成した通口６の前方に臨んで噛合機
構部７を配設してある。

前記噛合機構部７は上側にストップローラ８を配し、下
側に繰出しローラ９を配してなる。

この繰出しローラ９は、第３図、第４図および第５図に
示すように、山部１１及び谷部２４を有するものであ
り、アルミニューム製ローラ本体１０の山部１１外周に
おいて、ローラ本体１０の中心より５０°〜６０°の開
き角（α）を有する弧状切欠部１２を切欠し、この弧状
切欠部１２にダイヤモンド粒１３，１３…を電着させて
ダイヤモンド粒電着弧状部１４を形成してある。

前記ストップローラ８は、山部２５及び谷部２６を有す
ものであり、アルミニューム製本体の山部２５外周に環
状ゴム１５を取付けてあり、ストップローラ８の山部２
５の先端を湾曲状としてある。

これらストップローラ８、繰出しローラ９は第５図に詳
細を示したように、ストップローラ８の山部２５の側面
２５ａと、繰出しローラ９の山部１１の側面１１ａとの
距離（ｍ）を０．３ｍｍとし、繰出しローラ９の山部１
１外周縁１１ｂとストップローラ８の山部２５の湾曲周
縁部２５ｂｃ先端との距離（ｓ）を０．２５ｍｍとして
ある。

前記サブローラ５はアルミニューム製ローラ本体１６の
外周所定部に、中心より５６°の開き角を持ったゴム弧
状部１７を形成してある。

また、前記噛合機構部７の繰出しローラ９に圧接するよ
う配して引出しローラ１８を設けてあり、この引出しロ
ーラ１８は支軸１９を支点とし、ばね２０によって繰出
しローラ９に適宜圧力を負荷するようにしてあり、さら
にこの引出しローラ１８は繰出しローラ９とつれ回りす
るよう空転自在としてある。

繰出された紙幣は上板部２１と下板部２２とからなる紙
幣送り路２３に送られる。

繰出しローラ９は３山とし、ダイヤモンド粒電着弧状部
１４は第３図、第４図、第６図、第７図、第８図および
第９図に示すよう、２つの山部に弧状切欠部１２ａ，１
２ａを欠切してあり、内側に位置するよう配した山部の
弧状切欠部１２ｂは小弧状切欠部１２ｃと大弧状切欠部
１２ｄとを幅方向に連ねて欠切してある。

弧状切欠部１２ａ，１２ａに開き角を５２°としたダイ
ヤモンド粒電着弧状部１４ａ，１４ａを形成し、小弧状
切欠部１２ｃに開き角５２°を有するダイヤモンド粒電
着小弧状部１４ｂ、大弧状切欠部１２ｄに開き角（β）
１２０°を有するダイヤモンド粒電着大弧状部１４ｃを
形成し、これらダイヤモンド粒小弧状部１４ｂとダイヤ
モンド粒電着大弧状部１４ｃとは始端を同一とし幅方向
に連ね、ダイヤモンド粒電着大弧状部１４ｃの終端をダ
イヤモンド粒電着小弧状部１４ｂより延長し、かつダイ
ヤモンド粒電着大弧状部１４ｃを右回りまたは左回りと
してある。

この場合、ダイヤモンド粒１３の刃先１３ａ，１３ａ…
を結ぶ線をローラ本体１０の直径とした円周に略一致す
る弧となすようにしてある。換言すれば、ローラ本体１
０の外周面の延長状をなすように、ダイヤモンド粒電着
弧状部１４ａ，１４ａ、ダイヤモンド粒電着小弧状部１
４ｂ、ダイヤモンド粒電着大弧状部１４ｃの外縁を形成
してある。

本発明装置は前記のように構成したから、紙葉類待機筐
２に積重ね状に装入された紙幣（ａ），（ａ）の最下位
にあるものはサブローラ５の回動によって逐次、通口６
を通り噛合機構部７に送込まれるよう前方に送られる。

前記噛合機構部７の繰出し口７ａに臨んでいる紙幣のう
ち、最下位より２枚目から上の紙幣は停止状態にあるス
トップローラ８によって前進を阻止され、回動する繰出
しローラ９のダイヤモンド粒電着弧状部１４が繰出し口
７ａに来たとき、最下位に位置する紙幣はダイヤモンド
粒電着弧状部１４によって確実に繰出される。

即ち、ダイヤモンド粒電着弧状部１４のダイヤモンド粒
１３の鋭い刃先１３ａが紙幣に食い込み状となるから、
莫大な量の紙幣を繰出されても確実かつ繰出しミスのな
い常に安定した１枚づつの繰出しがなされる。

繰出しローラ９はコンピュータ制御によるクラッチ励磁
により回動され、１回転で紙幣を１枚繰出す。この場
合、回転数を４２０ｒ．ｐ．ｍ．とし、１秒間に７枚を
繰出すようにしてあり、食い込み状となるといっても紙
幣に傷を与えることはなく、このためには充分にストッ
プローラと、繰出しローラとの間隙等を調整するととも
に、ダイヤモンド粒電着弧状部を微細に仕上げることが
必要である。

繰出しローラの長期使用により、ダイヤモンド粒のチッ
プポケットに紙幣のインクが蓄積されることはなく、従
つて清浄する必要はない。

ダイヤモンドの有する秀れた熱的特性、化学的性能等に
より温度および湿度の変化による変形、変質を起生しな
いから繰出し機能を確実に達成することができるし、ダ
イヤモンド粒の有する耐摩耗性により長期間に亘り繰出
しローラの機能は保証され、保守、点検を不要とする。

繰出しローラ９のダイヤモンド粒電着弧状部１４の外縁
をローラ本体１０の外周面の延長状としたから、ダイヤ
モンド粒電着弧状部１４の外縁とローラ本体１０の外周
面との境界部において段差は生じず、紙幣に皺を発生さ
せることなく、円滑に繰出すことができる。

前記引出しローラ１８は噛合機構部７より繰出された紙
幣の先端部を繰出しローラ９との協働により抑え込み状
とするとともに前方へ引出すよう作用するため、紙幣は
一層確実に前方へ送り出される。

又、ダイヤモンド粒電着弧状部１４をダイヤモンド粒電
着小弧状部１４ｂとこの繰出し方向後端より延長したダ
イヤモンド粒電着大弧状部１４ｃとより構成したから、
ダイヤモンド粒子と紙葉類との当接時間を極力短くする
とともに、引出しローラと繰出しローラとの当接部にお
いてはダイヤモンド粒子と紙葉類との当接時間を十分に
確保したから、紙葉類の摩損を防止できるとともに、紙
葉類を湾曲させることもなく、安定に搬出することがで
きる。

従来のゴム埋込み摩擦送り部を形成してなる繰出しロー
ラと本発明のダイヤモンド粒電着弧状部を有する繰出し
ローラの繰出し性能比較を次に示す。

この表から分るように、繰出しミスの頻度は繰出し投入
回数を重ねるごとに従来のゴム埋込み摩擦送り部を有す
る繰出しローラの場合には繰出しミスが多くなり、本発
明に係る繰出しローラを用いた場合には繰出しミスはな
く繰出し信頼性は格段に秀れる。

本実施例ではサブローラにゴム弧状部を形成してなる
が、サブローラとのゴム弧状部をダイヤモンド粒電着弧
状部に代え、繰出しローラとサブローラとにダイヤモン
ド粒電着弧状部を形成してもよい。

また、繰出しローラの形状およびダイヤモンド粒電着弧
状部の形成部所等は装置により選択設計される。

（発明の効果） 繰出しローラのダイヤモンド粒電着弧状部の外縁をロー
ラ本体の外周面の延長状としたから、ダイヤモンド粒電
着弧状部の外縁とローラ本体の外周面との境界部におい
て段差は生じず、紙葉類に皺を発生させることもなく、
円滑に繰出すことができる。

又、ダイヤモンド粒電着弧状部をダイヤモンド粒電着小
弧状部とこの繰出し方向後端より延長したダイヤモンド
粒電着大弧状部とより構成したから、ダイヤモンド粒子
と紙葉類との当接時間を極力短くして紙葉類の摩損を防
止できるとともに、引出しローラと繰出しローラとの当
接部においてはダイヤモンド粒子と紙葉類との当接時間
を十分に確保して紙葉類を湾曲させることもなく、安全
に搬出することができる。

さらに、本発明は繰出しローラの外周面全体に渡りダイ
ヤモンド粒電着弧状部を形成するものではないから、従
来のものに比し繰出しローラの製造コストも安価とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例の側面図、第２図は第１
図のII−II線における噛合機構部の拡大詳細図、第３図
は３山とし山部の弧状切欠部にダイヤモンド粒電着弧状
部を形成した本実施例における繰出しローラの左側面
図、第４図は同・右側面図、第５図は本実施例における
噛合機構部の要部拡大詳細図、第６図はダイヤモンド粒
電着弧状部の一部拡大詳細図、第７図は同・正面図、第
８図はダイヤモンド粒電着大弧状部とダイヤモンド粒電
着小弧状部との関連を示す説明図、第９図はダイヤモン
ド粒電着弧状部の要部拡大説明図、第１０図は従来装置
の要部断面側面図である。 １…紙葉類繰出し装置、２…紙葉類待機筐、３…底板
部、４…開口、５…サブローラ、６…通口、７…噛合機
構部、７ａ…繰出し口、８…ストップローラ、１１…山
部、９…繰出しローラ、１０，１６…ローラ本体、１
２，１２ａ，１２ｂ…弧状切欠部、１３…ダイヤモンド
粒、１３ａ…刃先、１４，１４ａ…ダイヤモンド粒電着
弧状部、１４ｂ…ダイヤモンド粒電着小弧状部、１４ｃ
…ダイヤモンド粒電着大弧状部、１５…環状ゴム、１７
…ゴム弧状部、１８…引出しローラ、１９…支軸、２０
…ばね、２１…上板部、２２…下板部、２３…紙幣送り
路、２４…谷部、２５…山部、２６…谷部、（ａ）…紙
幣。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 正 神奈川県藤沢市片瀬５―７―19 湘南アパ ートメント12号 (72)発明者 森合 秀一 東京都調布市富士見町２―10―４ (56)参考文献 特開 昭58−36843（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−118630（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−27839（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−258049（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−127038（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−79744（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】繰出しローラと、該繰出しローラに対向し
   て設けられたストップローラと、繰出し方向に関して該
   操出しローラの前方に該繰出しローラに対向して設けら
   れた引出しローラと、よりなる紙葉類繰出し装置におい
   て、 前記繰出しローラは、ローラ本体の外周面に設けた弧状
   切欠部にダイヤモンド粒を電着させることによりダイヤ
   モンド粒電着弧状部が形成され、該ダイヤモンド粒電着
   弧状部の外縁は前記ローラ本体の外周面の延長状となる
   ように形成されて成り、 前記ダイヤモンド粒電着弧状部は、前記ストップローラ
   と協働して紙葉類を繰出すダイヤモンド粒電着小弧状部
   と、前記引出しローラと協働して繰出された紙葉類を搬
   出するダイヤモンド粒電着大弧状部と、が繰出し方向に
   関して並行に形成されて成り、 前記ダイヤモンド粒電着大弧状部は、繰出し方向始端を
   前記ダイヤモンド粒電着小弧状部と同一とし、繰出し方
   向終端を前記ダイヤモンド粒電着小弧状部より延長して
   形成されて成ることを特徴とする紙葉類繰出し装置。