JPH0658799B2 - 電池用電極の製造法 - Google Patents

電池用電極の製造法

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JPH0658799B2
JPH0658799B2 JP60065017A JP6501785A JPH0658799B2 JP H0658799 B2 JPH0658799 B2 JP H0658799B2 JP 60065017 A JP60065017 A JP 60065017A JP 6501785 A JP6501785 A JP 6501785A JP H0658799 B2 JPH0658799 B2 JP H0658799B2
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insoluble
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静邦 矢田
之規 羽藤
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鐘紡株式会社
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
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    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/60Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of organic compounds
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電池用電極の製造法に関する。さらに詳しく
は、有機電解質電池用の電極として好適な半導体として
の性能を有する不溶不融性成形体を製造する方法に関す
る。
〔従来の技術〕
近年、電子機器の小型化、薄形化あるいは軽量化は目覚
ましく、それに伴い電源となる電池の小型化、薄形化、
軽量化の要望が大きい。小型で性能のよい電池として現
在は酸化銀電池が多用されており、又薄形化された乾電
池や、小型軽量な高性能電池として、リチウム電池が開
発され実用化されている。しかしてこれらの電池は1次
電池であるため充放電を繰返して長時間使用することは
できない。一方、高性能な2次電池としてニツケル・カ
ドミウム電池が実用化されているが、小型化、薄形化、
軽量化という点で未だ不満足である。
又、大容量の2次電池として従来より鉛蓄電池が種々の
産業分野で用いられているが、この電池の最大の欠点は
重いことである。これは電極として過酸化鉛及び鉛を用
いているため宿命的なものである。近年、電気自動車用
電池として該電池の軽量化及び性能改善が試みられたが
実用するに至らなかつた。しかし蓄電池として大容量で
且つ軽量な2次電池に対する要望は強いものがある。
以上のように現在実用化されている電池は夫々一長一短
があり、それぞれ用途に応じて使い分けされているが、
電池の小型化、薄形化、或は軽量比に対するニーズは大
きい。このようなニーズに答えようとする電池として、
近時、有機半導体である薄膜状ポリアセチレンに電子供
与性物質又は電子受容性物質をドーピングしたものを電
極活物質として用いる電池が研究され、提案されてい
る。該電池は2次電池として高性能で且つ薄形化、軽量
化の可能性を有しているが、大きな欠点がある。それは
有機半導体であるポリアセチレンが極めて不安定な物質
であり空気中の酸素により容易に酸化を受け、又熱によ
り変質することである。従つて電池製造は不活性ガス雰
囲気で行なわなければならず、又ポリアセチレンを電極
に適した形状に製造することにも制約を受ける。
また、本願の出願人の同一出願人の出願にかかる先願で
ある特願昭59−24165号は未だ公開されていない
が、同先願の明細書には、炭素、水素および酸素からな
る芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であつて、水素原子
/炭素原子の原子比が0.05〜0.5であり、且つBET法
による比表面積値が600m/g以上であるポリアセ
ン系骨格構造を有する不溶不融性基体を正極及び/又は
負極とし、電解により該電極にドーピング可能なイオン
を生成し得る化合物の非プロトン性有機溶媒溶液を電解
液とすることを特徴とする有機電解質電池が提案されて
いる。
該電池は、高性能で、薄形化、軽量化の可能性も有して
おり、電極活物質の酸化安定性も高く、さらにその成形
も容易であるなど将来有望な2次電池である。ところが
該電池の実用化を進めるにはいくつかの課題が残されて
いた。その一つに内部抵抗の改良があつた。
本発明の目的は、電池用電極の製造法を提供することに
ある。
本発明の他の目的は、内部抵抗の小さい電池を与える改
良された電極の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高性能で且つ小型化、薄型
化あるいは軽量化された二次電池を与えることの可能な
電極をポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性成形
体例えば板状体ないしフイルムとして製造する、該電極
の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の如き電極を工業的に
有利に且つ経済的に製造する方法を提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明
らかとなろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、レゾ
ール型フエノール系樹脂、ノボラツク型フエノール系樹
脂および無機塩の複合成形体の硬化物を非酸化性雰囲気
中で熱処理し、次いで得られた熱処理体から該無機塩を
洗滌して除去し、水素原子/炭素原子の原子比が0.05〜
0.5でありそしてBET法による比表面積値が少くとも
600m/gであるポリアセン系骨格構造を含有する
不溶不融性成形体を生成することを特徴とする、電池用
電極の製造法によつて達成される。。
本発明において用いられるフエノール系樹脂はフエノー
ル性水酸基を有する芳香族系炭化水素化合物とアルデヒ
ド類との縮合物である芳香族系縮合ポリマーである。レ
ゾール型フエノール系樹脂は上記縮合を塩基性触媒の存
在下で実施して製造されるものであり、加熱すると架橋
反応が進んで硬化するものである。またノボラツク型樹
脂は上記縮合を酸性触媒の存在下で実施して製造される
ものであり、加熱すると溶融するものであり通常ヘキサ
ミン等を添加して加熱して初めて硬化するものである。
かかる芳香族炭化水素化合物としては、例えばフエノー
ル、クレゾール、キシレノールの如きいわゆるフエノー
ル類が好適であるが、これらに限られない。例えば下記
ここで、xおよびyはそれぞれ独立に、0、1又は2で
ある、 で表わされるメチレン−ビス・フエノール類であること
ができ、あるいはヒドロキシ−ビフエニル類、ヒドロキ
シナフタレン類であることもできる。これらのうち、実
用的にはフエノール類特にフエノールが好適である。
本発明における芳香族系縮合ポリマーとしては、さらに
フエノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1
部をフエノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合
物例えばキシレン、トルエン等で置換した変性芳香族系
ポリマー例えばフエノールとキシレンとホルムアルデヒ
ドとの縮合物である変性芳香族系ポリマーを用いること
もできる。またアルデヒドとしてはホルムアルデヒドの
みならず、アセトアルデヒド、フルフラールの如きその
他のアルデヒドも使用することができるが、ホルムアル
デヒドが好適である。
本発明における不溶不融性成形体は、フエノール性水酸
基を有する芳香族炭化水素化合物又はフエノール性水酸
基を有する芳香族炭化水素化合物とフエノール性水酸基
を有さない芳香族炭化水素化合物およびアルデヒド類か
らのレゾール型フエノール系樹脂とノボラツク型フエノ
ール系樹脂とを準備し、これらの樹脂を無機塩と混合し
て先ず複合成形体を調製する。混合方法としては上記し
た3成分が均一に混合出来るならばどの様な方法でも良
いが、充分に均一に混合するには適当な溶媒、例えば
水、メタノール、アセトン等を加えることによつて上記
した3成分を溶液状あるいはスラリー状にして混合する
のが望ましい。成形方法としては一般に樹脂成形品を作
る場合と同様な方法で可能であるが、例えばフイルム状
を得たい場合には上記した3成分混溶液あるいはスラリ
ーをアプリケーターによつて適当な厚みに成膜すればよ
い。又板状体を得る場合では一般によく知られているよ
うに壁枠を使つて成形すればよい。又硬化は、成形後あ
るいは成形時に50〜200℃の温度で熱硬化するのが
簡便である。
この様にして得られた複合成形体の硬化物は、フエノー
ル系樹脂及び無機塩から成っている。これはフイルム
状、板状等の任意の形状を有した機械的強度に優れた成
形体である。これを必要に応じ、適当な大きさに切断し
たり、円形、矩形等の形状に加工することが出来る。
上記複合成形体の製造時におけるレゾール型フエノール
系樹脂/ノボラツク型フエノール系樹脂の重量比は好ま
しくは0.2〜5の範囲である。ノボラツク型フエノール
系樹脂は使用した程度に応じ少量でもその効果を発揮す
るが、同重量比が0.2未満の場合には硬化時に複合成形
体の架橋密度が高くなりすぎるためか、後に示す様に電
気炉中にて熱処理しポリアセン系骨格構造を含有する不
溶不融性成形体とし、電極活物質として使用し2次電池
を構成すると、電池の内部抵抗が大きくなる傾向があ
る。
また、レゾール型フエノール系樹脂も使用した程度に応
じその効果を発揮するが、同重量比が5を超える場合に
は複合成形体の硬化時に架橋反応が遅い傾向がありその
ため硬化された成形体の強度が出難い傾向がある。
また無機塩は該複合成形体を後に示す方法によつて不溶
不融性成体とする時、該成形体の比表面積値(BET
法)を高くする効果を有するものである。かかる無機塩
は、例えば塩化亜鉛、リン酸ナトリウム、水酸化トリウ
ムあるいは硫化トリウム等である。これらのうち塩化亜
鉛が特に好ましく用いられる。該無機塩は、無機塩/レ
ゾール型フエノール系樹脂とノボラツク型フエノール系
樹脂の合計重量の重量比で好ましくは0.5〜7の割合で
使用される。同重量比が0.5未満では無機塩が充分に効
果を発揮しえず、不溶不融性成形体を電極として用いた
時、電解液中のイオンをスムーズにドーピングあるいは
アンドーピング出来難くなる傾向が大きい。又無機塩の
量が7を超える場合にはフエノール系樹脂の絶対量が少
なくなり、フイルムあるいは板状等の成形が難しくなる
傾向が大きくなる。
本発明によれば、硬化された上記複合成形体は次いで非
酸化性雰囲気中で熱処理される。熱処理温度は好ましく
は400〜800℃であり、特に好ましくは450〜7
00℃である。好ましい昇温条件は、複合成形体の組成
比、硬化条件あるいはその形状によつて多少相違する
が、一般に室温から300℃程度の温度までは比較的大
きな昇温速度とすることが可能であり例えば100℃/
時間の速度とすることも可能である。300℃以上の温
度になると、該該芳香族縮合ポリマーの熱分解が開始
し、水蒸気(HO)、水素、メタン、一酸化炭素の如
きガスが発生し始めるため、充分に遅い速度で昇温せし
めるのが有利である。
熱処理を行う非酸化性雰囲気は、例えば窒素、アルゴ
ン、ヘリウム、ネオン、二酸酸化炭素等であり、窒素が
好ましく用いられる。かかる非酸化性雰囲気は静止して
いても流動していてもさしつかえない。
得られた熱処理体を水あるいは希塩酸等によつて十分に
洗浄することによつて、熱処理体中に含まれる無機塩を
除去することができ、その後これを乾燥するとポリアセ
ン系骨格構造を有する比表面積の大きな不溶不融性成形
体が得られる。
すなわち、本発明により製造される上記不溶不融性成形
体は、水素原子/炭素原子の原子比(以下、H/Cとい
う)が0.05〜0.5であるポリアセン系骨格構造を有し且
つBET法による比表面積値が少くとも600m/g
である。
H/C比が0.5を越える場合あるいは0.05より小さい場
合には、該基体を後に示す方法に従つて2次電池の電極
として用いたとき充放電の電荷効率が低下し好ましくな
い。又、該ポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性
成形体のBET法による比表面積値は、塩化亜鉛等の無
機塩を使用して製造しているため極めて大きな値とな
り、本発明では600m/g以上であるものが用いら
れる。600m/g未満の場合には、例えば該成形体
を電極とした2次電池の充電時における、充電電圧を高
くする必要が生じるためエネルギー密度等が低下し、
又、電解液の劣化をさそうため好ましくない。上記不溶
不融性成形体はフイルム状、板状あるいは円筒状等々、
任意の形状の成形体であるが、特に内部抵抗の小さい2
次電池の電極活物質として好適なものである。
又、該ポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性成形体
はBET法による比表面積値が600m/g以上と大
きな値を有するため、酸素ガス等が侵入し、劣化し易い
と考えられるが、現実には空気中に長時間放置しても電
気伝導度等の物性に変化はなく、酸化安定性に優れてい
る。
上記本発明で製造される不溶不融性成形体は電池用電極
として使用される。例えば、上記不溶不融性成形体を正
極または/及び負極とし、電解により該電極にドーピン
グされ得るイオンを生成し得る化合物を非プロトン性有
機溶媒に溶解したものを電解液とする有機電解質電池を
組立てることができる。
電解液に用いられ、電極にドーピングされ得るイオンを
生成し得る化合物としては、例えばアルカリ金属又はテ
トラアルキルアンモニウムのハロゲン化物過塩素酸塩、
6フツ化リン酸塩、6フツ化ヒ酸塩、4フツ化ホウ素酸
塩等が挙げられる。
具体的にはLiI、NaI、NHI、LiClO
LiAsF、LiBF、KDF、NaPF
(n−CNClO、(CNCl
、(CNBF、(n−C
BF、(n−CNAsF、(n−C
NPFあるいはLiHF等が挙げられる。
前記化合物を溶解する溶媒としては非プロトン性有機溶
媒が用いられる。例えばエチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、塩化メチレンあるいはスルホラン又はこれらの
混合物が挙げられる。これらのうちから電解質として用
いられる前記化合物の溶解性、電池性能等を考慮して選
択される。
電解液中の前記化合物の濃度は、電解液による内部抵抗
を小さくするため、少なくとも0.1モル/以上とする
のが望ましく、通常0.2〜1.5モル/とするのがより好
ましい。
上記電池の電池使用は電極として用いる不溶不融性成形
体へのドーピング剤の電気化学的ドーピングと電気化学
的アンドーピングを利用するものである。即ちエネルギ
ーが不溶不融性成形体へのドーピング剤の電気化学的ド
ーピングにより蓄えられるか、或いは外部に放出される
気電化学的アンドーピングにより、電気エネルギーとし
て外部に取出されるか或いは内部に蓄えられる。
上記電池は2つのタイプに分けられる。第1のタイプは
正極及び負極の両極に不溶不融性成形体を用いる電池で
あり、第2のタイプは正極に不溶不融性成形体を用い負
極にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を用いる電極で
ある。アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、
例えばセシウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウム、
リチウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムがあ
げられる。これらのうちリチウムが最も好ましい。これ
らの金属は単独であるいは合金として用いることができ
る。
電池内に配置される不溶不融性成形体からなる電極の形
状、大きさは、目的とする電池の種類により任意に選ぶ
ことができるが、電池反応は電極表面上の電気化学的反
応であるため電極は可能な限り、表面積を大きくするこ
とが有利である。又、該成形体より電池外部に電流を取
出すための集電体としては不溶不融性成形体あるいはド
ーピング剤でドーピングされた不溶不融性成形体を用い
ることもできるが、ドーピング剤及び電解液に対し耐食
性のある他の導電性物質、例えば炭素、白金、ニツケ
ル、ステンレス等をを用いることもできる。
次に図により上記電池の実施態様を説明する。第1図は
上記電池の基本構成図である。
まず、上記電池の第1のタイプ、即ち正極及び負極の両
極に不溶不融性成形体を用いる電池について説明する。
第1図において、1は正極であり、フイルム状あるいは
板状等である不溶不融性成形体であり、2は負極であ
り、同様にフイルム状あるいは板状等である不溶不融性
成形体である。これらはいずれドーピング剤でドーピン
グされていても、されていなくてもよい。電池を組み立
てた後、外部電源より電圧を印加して、ドーピング剤を
ドーピングする。例えば両極ともに未ドーピングの不溶
不融性成形体を用いた場合、電池の組み立て後の該電池
の起電圧はOVであり、外部電源により電圧を印加し
て、両極にドーピング剤をドーピングすることにより該
電池は起電力を有するようになる。3,3′は各電極か
ら外部に電流を取り出したり、電気化学的ドーピング、
即ち充電するために電流を供給するための集電体であ
り、前述した方法により各電極及び外部端子7,7′に
電圧降下を生じないように接続されている。4は電解液
であり、非プロトン性有機溶媒に正負両極にドーピング
されうるイオンを生生成しうる前述の化合物が溶解され
ている。電解液は通常液状であるが漏液を防止するため
ゲル状又は固体状にして用いることもできる。5は正負
両極に接触を阻止すること及び電解液を保持することを
目的として配置されたセパレータである。該セパレータ
は電解液或はドーピング剤やアルカリ金属等の電極活物
質に対し耐久性のある連続気孔を有する電子伝導性のな
い多孔体であり、通常ガラス繊維、ポリエチレン或はポ
リプロピレン等からなる布、不織布或は多孔体が用いら
れる。セパレータの厚さは電池の内部抵抗を小さくする
ため薄い方が好ましいが、電解液の保持量、流通性、強
度等を勘案して決定される。正負正極及びセパレータは
電池ケース6内に実用上問題が生じないように固定され
る。電極の形状、大きさ等は目的とする電池の形状、性
能により適宜、決められる。例えば薄形電池を製造する
には電極はフイルム状が適し、大容量電池を製造するに
はフイルム状、或は板状等の電極を多数板正負両極を交
互に積層することにより達成できる。
次に上記電池の第2のタイプ、即ち正極にポリアセン系
骨格構造を有する不溶不融性成形体を用い、負極にアル
カリ金属又はアルカリ土類金属を用いる場合について説
明する。第1図を借りて説明するとこの第2のタイプの
電池では、負極2がアルカリ金属又はアルカリ土類金属
となつている点が第1のタイプの電池と異なるだけで、
他の1、3〜7は第1のタイプの電池の場合と同じ意味
を持つている。
この第2のタイプの電池の場合、ドーピング機構、即ち
電池の動作機構は更に2つの機構に分けられる。第1の
機構では不溶不融性成形体に電子受容性ドーピング剤が
ドーピングされるのが充電に相当し、アンドーピングさ
れるのが放電に対応する電池である。例えば電極として
未ドーピング不溶不融性成形体及びリチウムを電解液と
してLiClO1モル/プロピレンカーボネート溶
液を用いた場合電池組み立て後の起電力は2.5〜3.0Vで
ある。次に外部電源により電圧を印加してClO
オンを不溶不融性成形体にドーピングすると、起電力は
3.4〜4.5Vとなる。第2の機構では多孔性不溶不融性成
形体に電子供与性ドーピング剤をドーピングするのが放
電に相当し、アンドーピングするのが充電に対応する電
池である。例えば上記した電池構成では電池製組み立て
後の起電圧は2.5〜3.0Vであり、外部に電流を放出する
ことにより、不溶不融性成形体にリチウムイオンをドー
ピングすると、起電力は1.0〜2.5Vとなるが、外部電源
により電圧を印加し、リチウムイオンをアンドーピング
すると再び起電力は2.5〜3.0Vとなる。
ドーピング又はアンドーピングは一定電流下でも一定電
圧下でも、また電流及び電圧の変化する条件下のいずれ
で行つてもよいが、不溶不融性成形体にドーピングされ
るドーピング剤の量は該成形体の炭素原子1個に対する
ドーピングされるイオン数の百分率で0.5〜20%が好
ましい。
不溶不融性成形体を電極として用いる上記電池は充放電
を繰返し動作することのできる2次電池であり、その起
電圧は該電池の構成によつて異なるが第1のタイプでは
1.0〜3.5V、第2のタイプで第1機構を利用する場合に
は3.5〜4.5Vであり、又第2のタイプで第2機構を利用
する場合には2.5〜3.0Vである。又本発明の電池は特に
重量当りのエネルギー密度が大きく、適量のドーピング
を行えば不溶不融性成形体の重量を基準として、100
〜350WH//kgの値を有している。又パワー密度に
ついては電池の構成により、差はあるが鉛蓄電池より、
はるかに大きなパワー密度を有している。更に、本発明
における上記不溶不融性成形体を電極として使用する
と、内部抵抗の小さく、繰返し充放電の可能な、長期に
わたつて電池性能の低下しない2次電池を製造すること
ができる。
本発明方法によつて製造された不溶不融性基体を用いる
2次電池は、従来公知のの有機半導体に比較して耐酸化
性、耐熱性、成形性及び機械的強度に優れたポリアセン
系骨格構造を含有する多孔性不溶不融性基体を電極と
し、該電極に電子供与性又は電子受容性物質をドーピン
グしたものを電極活物質とし、電解により該電極にドー
ピングされうるイオンを生成しうる化合物を非プロトン
性有機溶媒に溶解した溶液を電解液とする電池であり、
小型化、薄形化、軽量化が可能で、且つ極めて高容量、
高出力で長寿命の新規な高性能の2次電池である。以下
実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 (1)レゾール型フエノール系樹脂(約65%濃度の水溶
液)/ノボラツク型フエノール系樹脂/水/塩右亜鉛を
重量比で10/10/2/12の割合で混合したスラリ
ーをガラス板上にアプリケーターにて成膜した後100
℃の温度で20分間硬化させて厚み400μmのフイル
ム状成形体を得た。次に該成形体をシリコニツト電気炉
に入れ、窒素雰囲気下所定温度まで約40℃/時間の昇
温速度にて熱処理した後、炉より取り出して温水にて洗
浄し残存している塩化亜鉛を除去し、乾燥することによ
つて不溶不融性成形体のフイルムを得た。該フイルムに
ついて元素分析及びBET法による比表面積値の測定を
行つた。結果はまとめて第1表に示す。
(2)次に充分に脱水したプロピレンカーボネートにLi
BFを溶解させた1.0モル/の溶液を電解液とし、
リチウム金属を負極とし、上記した不溶不融性成形体の
フイルムを正極とした電池を第1図の様に組んだ。集電
体としてはステンレスメツシユを用い、セパレーターと
してはガラス繊維からなるフエルトを用いた。この電池
は上記した第2タイプの第1機構を利用する電池であ
る。即ち、電子受容性ドーピング剤であるBF イオ
ンを不溶不融性成形体にドーピングするのが充電に相当
し、アンドーピングするのが放電に相当する。又ドーピ
ング量は基体中の炭素原子1個当りのドーピングされる
イオンの数で表わすこととしたが、本明細書におけるド
ーピングされるイオンの数は回路を流れた電流値より求
めたものである。
次に該電池に外部より電圧を印して、1時間当りのドー
ピング量が1%となるように一定電流でBF イオン
を不溶不融性成形体に3.5時間ドーピングした。ドーピ
ング終了時の開路電圧を第1表に示す。次に1時間当り
のアンドーピング量が1%となるように一定電流を回路
に流し、BF イオンのアンドーピングを行い、開路
電圧が電池組み立て直後の電圧になるまで続けた。該テ
ストにおけるドーピング量に対するアンドーピング量を
電荷効率とした。また放電途中で開路を開き開路電圧を
測定し、その時点の動作電圧の差より内部抵抗を求め
た。結果はまとめて第1表に示す。
いずれの場合にも安定で高性能の2次電池が得られた。
実施例2 レゾール型フエノール樹脂(65%水溶液)/(ノボラ
ツク型フエノール樹脂/水/塩化亜鉛の重量比を、A組
成〔10/0/2/12〕B組成〔10/6/4/2
4〕及びC組成〔0/60/10/120〕とし、それ
ぞれ均一に混合した後実施例1と同様にして成膜、硬化
した後、電気炉にて550℃まで熱処理することによつ
て不溶不融性成形体のフイルムを作成することを試み
た。C組成では成膜後、100℃で硬化を試みたが硬化
体の強度が弱く取扱いが困難であつた。A組成及びB組
成では問題を生じる事なく不溶不融性成形体のフイルム
を得ることが出来た。該成形体について元素分析及びB
ET法による比表面積値の測定を行つた。又LiBF
の替りにLiClOを使つた以外は全く実施例1と同
じ方法にて電池を組んで、充放電のテストを行つた。結
果をまとめて第2表に示す。
実施例3 この電池は上記した第1タイプの電池、即ち正極及び負
極に不溶不融性成形体からなる成形体を用いる2次電池
に関する。
正極及び負極実施例2で用いたNo.2(B組成)の不溶
不融性成形体のフイルムを用い電解液として(C
NClOの1モル/プロピレンカーボネ
ート溶液を使用して電池を構成し、充放電テストを行つ
た。
電池を組んだ直後の開路電圧はOVであつた。次に外部
電源より電圧を印加して正極にClO イオンを負極
に(Cイオンをドーピングすることによ
つて充電した。充電速度は1時間当りのドーピング量が
1%となる様にし、3時間行つた。この時の開路電圧は
2.8Vであつた。次に充電時と同じ速度でClO
オン及び(Cイオンのアンドーピングを
行うことによつて放電した。放電は開路電圧がOVにな
るまで行つた。電荷効率は85%であつた。又放電途中
にて内部抵抗を測定したが約30Ωであつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明により製造した不溶不融性成形体を電極
とする電池の基本構成を示すものである。 1……正極、2……負極、3……集電体、4……電解
液、 5……セパレーター、6……電池ケース、 7……外部端子を表わす。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レゾール型フエノール系樹脂、ノボラツク
    型フエノール系樹脂および無機塩の複合成形体の硬化物
    を非酸化性雰囲気中で熱処理し、次いで得られた熱処理
    体から該無機塩を洗滌して除去し、水素原子/炭素元子
    の原子比が0.05〜0.5でありそしてBET法による比表
    面積値が少くとも600m/gであるポリアセン系骨
    格構造を含有する不溶不融性成形体を生成することを特
    徴とする、電池用電極の製造法。
  2. 【請求項2】レゾール型フエノール系樹脂/ノボラツク
    型フエノール系樹脂の重量比が0.2〜5である特許請求
    の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】無機塩/レゾール型フエノール系樹脂をノ
    ボラツク型フエノール系樹脂の合計量の重量比が0.5〜
    7である特許請求の範囲第1項記載の方法。
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