JP2532878B2 - 活性炭金属酸化物複合物を正極とする有機電解質電池 - Google Patents

活性炭金属酸化物複合物を正極とする有機電解質電池

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は有機電解質電池に関する。更に詳しくは活性
炭と金属酸化物との複合物を正極活物質とし、そしてド
ーピングされうるイオンを生成しうる化合物を非プロト
ン性有機溶媒に溶解した溶液を電解液とする有機電解質
電池に関する。
[従来の技術] 近年、電子機器の小形化、薄形化或は軽量化は、目覚
ましく、それに伴い電源となる電池の小形化、薄形化、
軽量化の要望が大きい。小形で性能のよい電池として現
在は酸化銀電池が多用されており、又薄形化された乾電
池や、小形軽量な高性能電池としてリチウム電池が開発
され実用化されている。しかし、これらの電池は一次電
池であるため充放電を繰り返して長時間使用することは
できない。一方、高性能な二次電池としてニッケル−カ
ドミウム電池が実用化されているが、小形化、薄形化、
軽量化という点で未だ不満足である。
又、大容量の二次電池として従来より鉛蓄電池が種々
の産業分野で用いられているが、この電池の最大の欠点
は重いことである。これは電極として過酸化鉛及び鉛を
用いているため宿命的なものである。近年、電気自動車
用電池として該電池の軽量化及び性能改善が試みられた
が実用するに至らなかった。しかし蓄電池として大容量
で且つ軽量な二次電池に対する要望は強いものがある。
以上のように現在実用化されている電池は、夫々一長
一短が有りそれぞれ用途に応じて使い分けされている
が、電池の小形化、薄形化、或は軽量化に対するニーズ
は大きい。このようなニーズに応える電池として、近
時、有機半導体である薄膜状ポリアセチレンに電子供与
物質又は電子受容性物質をドーピングしたものを電極活
物質として用いる電池が研究され提案されている。該電
池は二次電池として高性能で且つ薄形化、軽量化の可能
性を有しているが、大きな欠点がある。それは、有機半
導体であるポリアセチレンが極めて不安定な物質であ
り、空気中の酸素により容易に酸化を受け、又熱により
変質することである。従って電池製造は不活性ガス雰囲
気で行なわなければならず、又ポリアセチレンを電極に
適した形状に製造する事にも制約を受ける。
また、特開昭58−35881号公報には、少くとも一方の
電極に、1,000〜10,000m2/gの比表面積を有する炭素繊
維を用いた電気化学電池が提案されている。同公報の発
明の詳細な説明によれば、上記炭素繊維は直径10〜20μ
mであり、電極はこのような炭素繊維から例えばシート
状に形成される。
さらに、特開昭61−225761号公報には (A)平均孔径10μm以下の連通気孔を有し且つ少くと
も600m2/gのBET法による比表面積値を有する多孔性活性
炭を正極又は負極とし、 (B)電解により該電極にドーピングされうるイオンを
生成しうる化合物を非プロトン性有機溶媒に溶液した溶
液を電解液とする、 ことを特徴とする有機電解質電池が提案されている。と
ころがこれら電池の実用化を進めるにはいくつかの課題
が残されていた。これらの課題の中で最も重要なのは電
池の容量の向上である。
ところで正極材としてV2O5等の金属酸化物が知られて
おり、該金属酸化物を正極に用いた二次電池が研究され
てきた。しかし、該金属酸化物を正極材として用いた電
池においては、急速充放電を行った時に容量の低下が著
しく、実用的でない。
[発明が解決しようとする問題点] 既存の電池の上述の諸問題に鑑み、本発明は、容量が
大きく、特に急速充放電において容量の低下の少い有機
電解質電池を提供することを目的とする。
本発明のさらに他の目的は小形化、薄形化あるいは軽
量化が可能でありそして製造も容易である経済的な二次
電池である有機電解質電池を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は起電圧が高く、内部抵抗が
小さく、しかも長期に亘って充電、放電が可能な二次電
池を提供するにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明か
ら明らかとなろう。
[問題点を解決するための手段] 本発明者は、BET法による比表面積値が少くとも600m2
/gである活性炭と金属酸化物との特定の重量比の複合物
を正極活物質として用いることにより、容量が大きく、
特に急速充放電において容量低下の少い二次電池が得ら
れことを見い出した。該電池の容量は、活性炭単独また
は金属酸化物単独より成る正極活物質を用いる場合より
も顕著に大きい。
すなわち本発明は、 (A)BET法による比表面積値が少くとも600m2/gである
活性炭と、金属酸化物との複合物であって、活性炭と金
属酸化物との重量比が90:10〜30:70である複合物を正極
活物質とし (B) 電解により該正極活物質にドーピングされうる
イオンを生成しうる化合物の非プロトン性有機溶媒溶液
を電解液とする ことを特徴とする有機電解質電池である。
本発明における活性炭はBET法による表面積が600m2/g
以上であれば、粉末状、粒状、繊維状、織布状等の形状
にある市販のものを使用することが可能である。しか
し、芳香族系縮合ポリマーを高温たとえば800℃以上に
熱処理して得られる多孔性活性炭を用いることが好まし
い。これは次のようにして作ることができる。まずフェ
ノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物又はこれ
とフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合
物、およびアルデヒド類から初期縮合物を作り、この初
期縮合物と無機塩とを含む水溶液を調製し、この水溶液
を適当な型に流し込み、次いで水分の蒸発を抑制しつつ
該水溶液を加熱して該型内で例えば板状、フィルム状あ
るいは円板状等の形態に硬化し、得られた硬化体を非酸
化性雰囲気中で800℃以上に焼成し、次いで得られた焼
成体を洗浄して該焼成体中に含有される無機塩を除去
し、必要により乾燥する。
初期縮合物と共に用いる上記無機塩は、後の工程で除
去され活性炭に連通孔を付与するために用いられる孔形
成剤であり、例えば塩化亜鉛、塩化スズ、塩化ナトリウ
ム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムあるいは硫化
ナトリウム等である。これらのうち塩化亜鉛が特に好ま
しく用いられる。無機塩は、初期縮合物の例えば2.5〜1
0重量倍の量で用いることができる。下限より少ない量
では連通孔を有する多孔性活性炭が得難くまた上限より
多い量では多孔性活性炭の密度が低下する傾向が大きく
なり望ましくない。
初期縮合物と無機塩の水溶液は、使用する無機塩の種
類によっても異なるが例えば無機塩の0.1〜1重量倍の
水を用いて調製することができる。
フェノール性樹脂の初期縮合物と無機塩の水溶液は、
例えば水溶性レゾールに塩化亜鉛水溶液を加えた後、撹
拌することにより、均一な溶液として調製することがで
き、またレゾールのメタノール溶液と塩化亜鉛水溶液を
混合することにより粘度の高いスラリー状に調製するこ
ともできる。その際、該水溶液に他の添加物、例えば硬
化フェノール樹脂の粉体あるいは繊維、あるいはセルロ
ースの微粒子等を混入しても良い。又、上記の如く、メ
タノール、エタノール、アセトンの如き有機溶媒を、均
一な混合のために加えても良い。かくして得た例えば10
0,000〜100ポイズの粘度を有する水溶液は適当な型に流
し込まれ、例えば50〜200℃の温度に加熱される。この
加熱の際、水溶液中の水分の蒸発を抑止するのが肝要で
ある。水溶液中において初期縮合物は加熱を受けて徐々
に硬化し、塩化亜鉛の如き無機塩水と分離しながら三次
元網目構造に成長するものと考えられる。
得られた硬化体を非酸化性雰囲気中で焼成することに
よって該硬化体を活性炭に変えることができる。焼成は
通常800℃以上の温度で行なわれる。焼成の際の好まし
い昇温速度は使用するフェノール系樹脂あるいはその形
状等によって多少相違するが、一般に室温から300℃程
度の温度までは比較的大きな昇音速度とすることが可能
であり、例えば100℃/時間の速度とすることも可能で
ある。300℃以上の温度になると、樹脂の熱分解か開始
し、水蒸気、水素、メタン、一酸化炭素の如きガスが発
生し始めるため、300℃に達したのちは充分遅い速度で
昇温せしめるのが有利である。非酸化性雰囲気は、例え
ば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素等又
は真空であり、窒素が好ましく用いられる。かかる非酸
化性雰囲気は静止しても流動していてもさしつかえな
い。
得られた焼成体を水、あるいは希塩酸等で充分に洗浄
することによって焼成体中に含まれる無機塩を除去する
ことができる。無機塩を除去したのち、必要により乾燥
すると連通孔の発達した多孔性活性炭を得ることができ
る。
本発明において使われる活性炭のBET法による比表面
積値は少なくとも600m2/gである。比表面積値が600m2/g
未満の場合には、該活性炭と金属酸化物との複合物を正
極活物質として電池を構成した場合に、例えば充電時に
おける充電電圧を高くする必要が生じるため、エネルギ
ー効率等が低下し、又電解液の劣化をさそうため好まし
くない。
本発明における金属酸化物としては、リチウムイオン
のインターカレーション、又はデインターカレーション
可能なものを用いる。特に遷移金属酸化物が好ましい。
尚、本発明におけるドーピングとは、該インターカレー
ション機構をも含意する。遷移金属酸化物としてはバナ
ジウム、クロム、マンガン、モリブデン、銅、ビスマス
のごとき金属の酸化物を用いることができる。たとえ
ば、V2O5、V6O13、Cr3O8が挙げられる。また、AgCrO3
Bi2Pb2O3、Cu2V2O7等の二種以上の金属の複合された酸
化物を用いることもできる。該金属酸化物は、結晶質状
態であっても、あるいは加熱処理等により非晶質状態に
したものであってもよい。
本発明における活性炭と金属酸化物との複合物は例え
ば、これらの粉末を用いて次のようにして得られる。
活性炭は粉末状で得られるものをそのまま使用しても
良く、又は成形体の形で得られるものをミル等を用いて
粉末状に砕いても良い。
特に多数の連通孔を有する活性炭の例えば粒状、板状
の様な成形体を粉末状に砕いたものを用いることが望ま
しい。該粉末を用いた場合、これと金属酸化物との複合
物を正極活性物質に用いる二次電池において、電解液が
十分に正極の内部まで入ることによりドーパントがスム
ーズに正極活物質にドーピングあるいはアンドーピング
されるため急速充放電可能となる。活性炭粉末の平均粒
径は100μmを越えなければ特に問題はないが、後に述
べる複合物の成形体の成形の容易さ、成形体の強度を考
慮すると30μm以下にすることが望ましい。
また、金属酸化物の粉末についてもドーピングの効率
化及び成形を考慮すると30μm以下にすることが望まし
い。
上記2種の粉末を十分に混合することにより複合物を
得ることができる。複合比は該複合物を正極活物質に用
いた二次電池の使用用途にもよるが、活性炭/金属酸化
物の重量比が90/10〜30/70である。活性炭の比率が90を
越えて金属酸化物を減らした場合、複合することによる
高容量化の効果が小さくなり、また、活性炭の比率が30
より下で金属酸化物が増えた場合には急速充放電特性が
失われてしまうため好ましくない。この比は90/10〜30/
70であることが好ましい。
該複合物を正極として用いる場合、一般に板状、フィ
ルム状、円筒状等の形状に成形することが望ましい。加
圧成形の場合にバインダーを加えることが好ましい。バ
インダーの種類は後で述べる本発明における電解液に不
溶のものであれば特に限定されないが、例えばSBR等の
ゴム等バインダー、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系
樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂
が好ましく、その混合比は複合物総重量に対し20%以下
が望ましい。
上記の様な活性炭粉末、金属酸化物粉末、及び場合に
より更にバインダーを加えた混合物を板状、フィルム
状、円筒状等に成形する。成形法としては、例えば混合
物を金型に入れ室温あるいは必要に応じて加熱下で加圧
成形すれば良い。また該混合物を適当な溶媒、例えば
水、メタノール、DMF、四塩化炭素等の比較的沸点の低
い溶媒と混練して、ペースト状にし、後で述べる集電体
上に塗布あるいは加圧下接着させ、その後に適当な方法
で乾燥させ、正極として用いることもできる。さらには
後で述べる電解液と共に該混合物をアルゴンガス等の水
を含まない雰囲気下で混練後、後で述べる集電体上に塗
付あるいは加圧下接着させ、そのまま正極として用いる
こともできる。
かくして得られた正極は空気中に長時間放置しても電
気伝導度の物性に変化はなく、酸化安定性に優れてい
る。また、耐熱性、耐薬品性に優れているため電極剤と
して用い、電池を構成する場合電極の劣化の問題が生じ
ない。
本発明の有機電解質電池において電解により正極活物
質にドーピングされうるイオンを生成しうる化合物とし
ては、例えばLiI、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiB
(C2H5、LiB(C6H5又はLiHF2等が挙げられる。
前記化合物を溶解する溶媒としては非プロトン性有機
溶媒が用いられる。例えばエチレンカーボネイト、プロ
ピレンカーボネイト、γ−ブチロラクトン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒド
ロフラン、ジオキソラン、スルホラン又はこれらの混合
物が挙げられる。これらのうちから電解質として用いら
れる前記化合物の溶解性、電子性能等を考慮して選択さ
れる。
電解液中の前期化合物の濃度は、電解液による内部抵
抗を小さくするため少くとも0.1モル/以上とするの
が望ましく、通常0.2〜1.5モル/とするのがより好ま
しい。
本発明の電池の電池作用は正極活物質として用いる活
性炭と金属酸化物との複合物へのドーピング剤の電気化
学的ドーピングと電気化学的アンドーピングを利用する
ものである。
本発明に係る電池の負極にはアルカル金属又はアルカ
リ土類金属を用いる場合が最も実用的であるが、上記し
た不溶不融性物質を用いることもできる。
アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、例え
ばセシウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウム、リチ
ウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムがあげら
れる。これらのうちリチウムが最も好ましい。これらの
金属は単独であるいは合金として用いることもできる。
電池外部に電流を取り出すための集電体としてはドー
ピング剤及び電解液に対し耐蝕性の導電性物質、例えば
炭素、白金、ニッケル、ステンレス鋼等を用いることが
出来る。
次に図により本発明の実施態様を説明する。第1図は
本発明に係る電池の基本構成図である。
第1図において、1は正極であり、フィルム状、或は
板状等である複合物の成形体であり、2は負極であり、
同様にフィルム状或は板状等であるアルカリ金属、アル
カリ土類金属あるいはこれらの金属と他の金属との合
金、又は活性炭あるいは活性炭を含む成形体等である。
3、3′は各電極から外部に電流を取り出したり、電気
化学的ドーピング、即ち充電するために電流を供給する
ための集電体であり、各電極及び外部端子7、7′に電
圧降下を生じないように接続されている。4は電解液で
あり、ドーピングされうるイオンを生成しうる前述の化
合物が非プロトン性有機溶媒に溶解されている。電解液
は通常液状であるが漏液を防止するためゲル状又は固体
状にして用いることもできる。5は正負両極の接触を阻
止する事及び電解液を保持する事を目的として配置され
たセパレータである。該セパレータは電解液或はドーピ
ング剤やアルカリ金属等の電極活物質に対し耐久性のあ
る連通気孔を有する電子導電性のない多孔体であり、通
常ガラス繊維、ポリエチレン或はポリプロピレン等から
なる布、不織布或は多孔体が用いられる。セパレータの
厚さは電池の内部抵抗を小さくするため薄い方が好まし
いが、電解液の保持量、流通性、強度等の勘案して決定
される。正負極及びセパレータは電池ケース6内に実用
上問題が生じないように固定される。電極の形状、大き
さ等は目的とする電池の形状、性能により適宜決められ
る。例えば薄形電池を製造するには電極はフィルム状が
適し、大容量電池を製造するにはフィルム状或は板状等
の電極を多数枚正負両極を交互に積層することにより達
成できる。
例えば負極としてリチウムを用い、金属酸化物として
V2O5、電解液としてLiClO41モル/プロピレンカーボ
ネート溶液を用いた場合電池組み立て後の起電力は3.0
〜3.5Vである。次に外部電源により電圧を印加してClO4
-イオンを該正極活物質にドーピングすると、起電力は
3.5〜4.5Vとなる。また外部に電流を放出することによ
り複合物より成る正極活物質にリチウムイオンをドーピ
ングすると、起電力は1.0〜2.5Vとなるが、外部電源に
より電圧を印加し、リチウムイオンをアンドーピングす
ると再び起電力は3.0〜3.5Vとなる。ドーピング又はア
ンドーピングは一定電流下でも一定電圧下でも、又電流
及び電圧の変化する条件下のいずれで行ってもよい。負
極として、特開昭60−170163号公報に記載されるポリア
セン系骨格構造の不溶不融性物質を用いた場合、起電力
は約0.5Vであり、外部電源により電圧を印加して、両極
にドーピング剤をドーピングすることにより、1.0〜3.5
Vの起電力となる。
活性炭と金属酸化物の複合物を正極活物質として用い
る本発明の電池は充放電を繰り返し動作することのでき
る二次電池である。
本発明の電池は高容量であり、特に急速充放電を行っ
てもその容量の減少が小さいことを特徴とする。さらに
本発明の電池は内部抵抗の小さく、繰り返し充放電の可
能な、長期にわたって電池性能の低下しない二次電池で
ある。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 (1)水溶性レゾール(約60%濃度)/塩化亜鉛/水を
重量比で10/25/4の割合で混合した水溶液を100cm×100c
m×0.5mmの型に流し込み、その上にガラス板を被せ水分
が蒸発しない様にした状態で150℃で2時間加熱して硬
化し、前駆体を得た。
該前駆体をシリコニット電気炉中に入れ窒素気流下で
40℃/時間の速度で昇温して、900℃まで焼成した。次
に該板状多孔体を希塩酸で洗った後、水洗し、その後乾
燥した。該多孔体をディスクミルで粉砕し、平均粒径10
μの活性炭の粉末を得た。該粉末のBET法による比表面
積値は1600m2/gと極めて大きな値であった。
(2)市販のCr3O8をディスクミルにて粉砕し平均粒径1
0μmである金属酸化物の粉末を得た。
(3)(1)で得られた活性炭の粉末と、(2)で得ら
れた金属酸化物の粉末を第1表に示した所定の割合で混
合し、さらに該混合物に対して10重量%のカーボンブラ
ック及び10重量%のポリ四フッ化エチレンパウダーを加
え、十分に混練した後、200Kg/cm2の圧力で室温下加圧
成形を行い、厚さ約300μmのフィルムを得た。
(4)次に充分に脱水したプロピレンカーボネイトにLi
ClO4を溶解させた1.2モル/の溶液を電解液とし、リ
チウム金属を負極とし、上記した成形フィルムを正極と
した電池を第1図の様に組んだ。集電体としてはステン
レスメッシュを用い、セパレーターとしてはガラス繊維
からなるフェルトを用いた。
(5)次にこの電池に外部より電圧を印加して、定電流
でClO4 -イオンを該成形体フィルムにドーピングした。
この時の電流値は、下記の式より算出した値(mA)であ
る。
ドーピング終了時の開路電圧は4Vであった。次に充電
時と同じ電流値で放電し、電池電圧が2Vになるまで放電
を続けた。結果をまとめて第1表に示す。
ただし第1表で混合比とは活性炭と金属酸化物の重量
比を表わす。以上のような急速充放電にも拘らず、高容
量の二次電池が得られた。
比較例1 実施例1(1)と同様にして得られた活性炭の粉末の
みを用い実施例1(3)〜(5)と同様の方法にて実験
を行ったどころ、得られた成形フィルムの電気伝導度は
3×10-2S/cmであり、放電に要した時間は0.60時間であ
った。
比較例2 実施例1(2)と同様にして得られた金属酸化物の粉
末のみを用い実施例1(3)〜(5)と同様の方法にて
実験を行なったところ得られた成形フィルムの電気伝導
度は5×10-4S/cm、放電に要した時間は0.60時間であっ
た。
実施例1、比較例1及び2よりの結果を第2図にまと
めて示す。第2図において横軸は複合物中の活性炭の重
量比であり、縦軸は放電で2Vになるまでの時間である。
正極活物質として、活性炭単独(比較例1)及び金属酸
化物単独(比較例2)を用いた場合に比べて、本発明の
複合物を用いた場合に容量が顕著に増大したことが明ら
かである。
実施例2 実施例1(1)と同様の方法で得られた活性炭の粉末
と、V2O5をディスクミルにて粉砕して得られた平均粒径
が10μm以下である金属酸化物の粉末を、活性炭の粉末
と金属酸化物の粉末の混合比が70/30である以外実施例
1−(3)と同様にして成形し、フィルム状電極を得
た。該フィルム状電極を用い、電解質としてLiBF4を用
いること以外実施例1−(4)と同様にして電池を組ん
だ。
該電池に外部より4Vの電圧を印加して1時間充電し
た。次に該電池を実施例1(5)と同様の電流値及び該
電流値の1/5倍の電流値で放電し、電池電圧が2Vとなる
まで放電を続けた。その結果それぞれ放電に0.89時間、
5.25時間を要し、その容量比が0.85となった。
実施例3 正極に実施例2で用いたのと同じ複合物成形体を用
い、負極には比較例1における活性炭の粉末から作った
フィルムを使用し、電解液としてLiAsF6の1モル/プ
ロピレンカーボネート溶解を使用して電池を構成し、充
放電テストを行った。電池を組んだ直後の電圧は0.5Vで
あった。次に外部電源により2Vの電圧を印加して約1時
間正極及び負極にドーピングした。電池の起電圧は当然
のことながら2Vであった。次に実施例1(5)と同様に
して定電流で放電したところ、約0.65時間で電池の電圧
は0になった。該電池を2Vと0Vの間で充放電を100回行
ったが、電池の性能は劣化しなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る電池の基本構成を示すものであ
り、1は正極、2は負極、3,3′は集電体、4は電解
液、5はセパレーター、6は電池ケース、7,7′は外部
端子を表わす。 第2図は本発明に係る電池及び比較のための電池におけ
る正極活物質中の活性炭の重量比と放電時間の関係を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−28625(JP,A) 特開 昭54−60421(JP,A) 特開 昭59−146165(JP,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)BET法による比表面積値が少くとも6
    00m2/gである活性炭と、金属酸化物との複合物であっ
    て、活性炭と金属酸化物との重量比が90:10〜30:70であ
    る複合物を正極活物質とし、 (B)電解により該正極活物質にドーピングされうるイ
    オンを生成しうる化合物の非プロトン性有機溶媒溶液を
    電解液とすることを特徴とする有機電解質電池。
  2. 【請求項2】活性炭と金属酸化物との複合物が、活性炭
    粉末と金属酸化物粉末を複合させたものである特許請求
    の範囲第1項に記載の有機電解質電池。
  3. 【請求項3】複合物が、活性炭粉末と金属酸化物の粉末
    及び任意的な結着剤を含む混合物をフィルム状、板状、
    円筒状に成形したものである特許請求の範囲第2項に記
    載の有機電解質電池。
  4. 【請求項4】活性炭が平均孔径10μ以下の連通孔を有す
    るものである特許請求の範囲第1項に記載の有機電解質
    電池。
  5. 【請求項5】金属酸化物が遷移金属酸化物である特許請
    求の範囲第1項に記載の有機電解質電池。
  6. 【請求項6】遷移金属酸化物がバナジウム酸化物、クロ
    ム酸化物及び/又はモリブデン酸化物である特許請求の
    範囲第5項に記載の有機電解質電池。
  7. 【請求項7】遷移金属酸化物がV2O5、V6O13、Cu2V2O7
    びCr3O8から選ばれる特許請求の範囲第6項記載の有機
    電解質電池。
  8. 【請求項8】負極がアルカル金属、これの合金、アルカ
    リ土類金属又はこれの合金から選ばれる特許請求の範囲
    第1項記載の有機電解質電池。
  9. 【請求項9】負極がリチウム又はリチウム合金である特
    許請求の範囲第8項記載の有機電解質電池。
  10. 【請求項10】負極が活性炭である特許請求の範囲第1
    項に記載の有機電解質電池。
  11. 【請求項11】電解によりドーピングされうるイオンを
    生成しうる化合物がLiI、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF
    6、LiB(C2H5、LiB(C6H5又はLiHF2である特許
    請求の範囲第1項に記載の有機電解質電池。
  12. 【請求項12】非プロトン性有機溶媒がエチレンカーボ
    ネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクト
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
    メチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタ
    ン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン又
    はこれらの混合物である特許請求の範囲第1項に記載の
    有機電解質電池。
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