JPH0657792B2 - ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物

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JPH0657792B2
JPH0657792B2 JP63148022A JP14802288A JPH0657792B2 JP H0657792 B2 JPH0657792 B2 JP H0657792B2 JP 63148022 A JP63148022 A JP 63148022A JP 14802288 A JP14802288 A JP 14802288A JP H0657792 B2 JPH0657792 B2 JP H0657792B2
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polyarylene sulfide
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sulfide resin
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリアリーレンサルファイド樹脂、および水
酸化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物を含む樹
脂組成物に関するものであって、耐アーク性等の電気的
特性に優れ、電気・電子部品、自動車部品など広い分野
で使用される。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPSと略記
することもある。)に代表されるポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂は耐熱性、耐薬品性、剛性、寸法安定性など
に優れていることから、近年、電気・電子部品や自動車
部品など耐熱性や寸法精度の要求される分野で用途開発
が試みられている。
しかし、該樹脂単独では耐衝撃性や機械的強度が劣るた
め、これらの性質を改良する目的で、該樹脂に各種の無
機物質を配合した樹脂組成物に関する各種の提案がなさ
れている(例えば、特開昭52-73275号公報、特公昭57-1
553号公報など)。
この目的で使用される無機物質のうち、特に耐アーク性
など電気的特性を改良する目的でいくつかの提案がなさ
れている(例えば、特開昭54−162752号公報な
ど)。しかし、これまで提案された無機物質タルク、ク
レーなどは天然物であり、産地等により品質に差があり
耐アーク性等が一定しない傾向にあった。また、これら
を焼成することにより品質の安定化を図る方法がある
が、焼成したものは、耐アーク性などが焼成したものに
比べて劣る傾向にあった。
本発明の目的は、上記のような従来の無機物質物にみら
れるような欠点を改良した、安定して耐アーク性などに
優れるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を提供す
ることにある。
〔問題を解決する手段〕
本発明の目的を達成するため、種々検討した結果、耐ア
ーク性などの電気的特性を改良するには適当な脱水分解
温度をもつ含水無機化合物が適しており、また、品質の
安定したものを利用するためには合成無機化合物をもち
いれば良いことからポリアリーレンサルファイド樹脂に
特定の大きさの、水酸化マグネシウムを主成分とする粒
子状、フレーク状または繊維状の金属水酸化物を配合す
ることにより達成できることを見出し、本発明に到達し
た。
すなわち、本発明の目的は、ポリアリーレンサルファイ
ド樹脂100重量部に対し、水酸化マグネシウムを主成
分とする金属水酸化物5〜300重量部を含有させるこ
とによって達成できる。
本発明に使用されるポリアリーレンサルファイド樹脂
は、耐熱性、耐薬品性、機械的特性の点から、その繰り
返し単位の70モル%以上が、構造式 で表されるものが好ましい。このパラフェニレンサルフ
ァイド単位が70モル%以下では耐熱性が低下するので
好ましくない。残りの30%以下の成分としては、メタ
フェニレンサルファイド結合 ジフェニルエーテル結合 ジフェニルスルホン結合 ビフェニルサルファイド結合 ナフチルサルファイド結合 置換パラフェニレンサルファイド結合 (ここで、Rは炭素数12以下のアルキル基またはアル
コキシ基、フェニル基およびニトロ基からなる群から選
ばれる)、三官能基フェニルサルファイド結合などがあ
る。
本発明では、上記構造のポリアリーレンサルファイド樹
脂であって、ASTM D 1238で定めるメルトフ
ローテスターで315℃、荷重5Kgの条件で測定した
メルトフローレイトが5〜10000g/10分のも
の、好ましくは15〜5000g/10分のものが使用
される。また、特に流動性が要求される用途の場合に
は、ポリアリーレンサルファイド樹脂として、メルトフ
ローレイトが5〜300g/10分のものと400〜1
0000g/10分のものとを、重量比で5/95〜9
5/5の割合で混合することにより得られる樹脂混合物
を使用することが好ましい。
ポリアリーレンサルファイド樹脂の具体例としては、ラ
イトン(PPS樹脂の商品名、フィリップス石油社
製)、トープレン(PPS樹脂の商品名、トープレン社
製)、フォートロン(PPS樹脂の商品名、呉羽化学社
製)、サスティール(PPS樹脂の商品名、東ソー・サ
スティール社製)などがある。
本発明で用いる金属水酸化物はMg(OH)の化学式
で表される水酸化マグネシウムを主成分とし、水酸化マ
グメシウムを50重量%以上、好ましくは60重量%以
上含有する合成無機物質である。
他の金属水酸化物の具体例としては、水酸化カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム等が挙げられ
る。
この金属水酸化物は粒子状、フレーク状または繊維状を
しており、本発明で使用するものは粒子状で平均粒子径
が0.1μm〜10μmのもの、フレーク状でやはり平
均粒子径が0.1〜10μmのもの、そして繊維状で平
均繊維径が0.1〜2μmでかつアスペクト比が20〜
60のもの、より好ましくは平均繊維径が0.3〜1μ
mでかつアスペクト比が30〜50のものが好ましい。
粒子状またはフレーク状金属水酸化物は無機充填剤とし
て使用できるが、平均粒子径が0.1μmよりも小さく
なると、ポリアリーレンサルファイド樹脂との混合性が
悪くなり、電気的特性が不安定になり、機械的強度も低
下する。また、平均粒子径が10μmを越えると、成形
品の表面外観が悪くなり、電気的特性も低下し、機械的
強度も低下するため好ましくない。
フレーク状のもので、アスペクト比の大きい(平均粒子
径に対して平均厚みの小さい)ものは、強化材としても
使用できる。
また、繊維状のものは強化材として使用できるが、平均
繊維径が0.1μmよりも小さくなるとポリアリーレン
サルファイド樹脂との混合性が悪くなり、衝撃強度が低
下する。また、平均繊維径が2μmを越えたり、アスペ
クト比が60より大きくなった場合は、成形品の表面外
観が悪くなり、衝撃強度が低下し、電気的特性にも影響
が出る。
水酸化マグネシウム以外の金属水酸化物を主成分とする
金属水酸化物のうち、水酸化アルミニウムなど脱水分解
温度が300℃以下のものは、ポリアリーレンサルファ
イド樹脂との混合時やポリアリーレンサルファイド樹脂
組成物の成形加工時に脱水分解が起き、期待される特性
が発現しない。また、水酸化カルシウム(消石灰)など
脱水分解温度の極端に高いものも、やはり期待される特
性が発現しない。
水酸化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物の具体
例としては、キスマ(商品名、協和化学工業製)があ
る。
この水酸化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物
は、ステアリン酸、オレイン酸などの脂脂酸およびその
塩、ステアリルアルコールなどで表面処理したものを使
用するのが好ましい。これらによる処理量は金属水酸化
物100重量部に対して、0.05〜3重量部であるこ
とが好ましい。
また、更にビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
メチルジエトキシシランなどのシラン系カップリング剤
で表面処理したものを使用してもよい。処理量は金属水
酸化物100重量部に対して、0.05〜3重量部であ
ることが好ましい。
本発明では、金属水酸化物以外の強化材、充填剤を使用
することができる。それらの具体例としては、硝子繊
維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・
アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホ
ウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、ステンレス、
アルミニウム、チタン、銅、真鍮、マグネシウムなどの
金属繊維、およびポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステ
ル、アクリル樹脂などの有機質繊維、銅、鉄、ニッケ
ル、亜鉛、すず、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、
金、銀などの金属粉末、ヒュームドシリカ、けい酸アル
ミニウム、ガラスビーズ、カーボンブラック、石英粉
末、タルク、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケ
イソウ土、雲母粉末などがある。これらのうち繊維状物
質は平均繊維径が3〜50μm、繊維長が50μm〜3
0mmのものが使用できる。また、これらの強化材、充
填剤は公知のシランカップリング剤やチタネート系カッ
プリング剤で表面処理したものも使用できる。
本発明におけるポリアリーレンサルファイド樹脂と水酸
化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物との配合割
合は、ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部に
対し、金属水酸化物5〜300重量部、より好ましくは
ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部に対し、
金属水酸化物10〜250重量部である。
水酸化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物の割合
が300重量部を越える場合、或いは、他の強化材また
は充填材との合計量が300重量部を越える場合には、
ポリアリーレンサルファイド樹脂と水酸化マグネシウム
との混合が困難となり曲げ強度などが低下し、良好な樹
脂組成物を得ることが難しくなる。また、ポリアリーレ
ンサルファイド樹脂100重量部に対し水酸化マグネシ
ウムを主成分とする金属水酸化物の割合が5重量部未満
の場合には、機械的強度の低下が著しく好ましくない。
但し、他の強化材或いは充填剤を併用する場合には、ポ
リアリーレンサルファイド樹脂100重量部に対し、金
属水酸化物と他の強化材或いは充填剤の総量が300重
量部を越えないことが望ましい。
また、水酸化マグネシウムを主成分とする金属水酸化物
の使用量は、本発明で使用する強化材、充填剤の5重量
%以上、好ましくは10〜95重量%の範囲である。金
属水酸化物の使用量がこれより少ない場合には、耐アー
ク性などの特性が発現せず好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範
囲で、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン、チオエ
ーテル、ホスファイト類およびこれらの置換体などの酸
化防止剤や熱安定剤、レゾルシノール、サリシレート、
ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収
剤、ステアリン酸およびその塩、ステアリルアルコール
などの離型剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ポリアルキレングリコールなどの帯電防止剤、結晶
化促進剤、染料、顔料などの添加剤を一種以上添加する
ことができる。
また、少量のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合
体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリア
セタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリアリ7ートなどの熱可塑性樹脂
や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、またはスチレンブタ
ジエン共重合体、水添スチレンブタジエンブロック共重
合体、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラ
ストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを添加するこ
ともできる。
本発明の樹脂組成物の製造は、押出機などの連続式混練
機や、バンバリーミキサー、ニーダーなどのバッチ式混
練機などの、通常の溶融混練加工装置によって行うこと
ができ、さらに、射出成形、圧縮成形、押出成形などに
よって各種用途の成形品に加工することができる。
以下に実施例によって本発明を説明する。
〔本発明の実施例〕
実施例および比較例に記載する耐アーク性、体積固有抵
抗、絶縁破壊電圧、誘電特性、曲げ強度、曲げ弾性率、
落球衝撃強度の測定は、下記の方法で行った。
1)耐アーク性 ASTM D 495に準拠し、日正電機製作所製耐ア
ーク性試験装置を用いて試験した。
2)体積固有抵抗 ASTM D 257に準拠し、横河ヒューレットパッ
カード社製の抵抗計で測定した。
3)絶縁破壊電圧 ASTM D 149に準拠し、日立化成製HAT−3
01型耐電圧測定装置で測定した。
4)誘電特性 ASTM D 150に準拠し、安藤電機製誘電体損測
定装置で測定した。
5)曲げ強度、曲げ弾性率 ASTM D 790に準拠して測定した。
(単位Kgf/cm) 6)落球衝撃試験 高速衝撃試験機(TENSHIRON/UTM−5型、
東洋精機製作所製)を用いて測定した。
測定条件 ミサイルヘッド径 1インチ 台座穴径 60mm 台座穴角曲径 2mmφ テストスピード 2.5m/秒 試験片厚さ 2mm 測定温度 23℃ 測定時湿度 60%RH 実施例1〜3、比較例1〜5 トープレンT−4(商品名、トープレン社製PPS樹
脂)、フレーク状水酸化マグネシウム(キスマ5A、協
和化学工業製)およびガラス繊維(繊維長3mm、繊維
径13μm)を表1に示す配合割合で、310℃に設定
した二軸押出機に投入し、溶融混合してペレットを製造
した。このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温
度300℃、金型温度150℃の条件で各種試験片を作
成し、所定の条件で物性を測定した。また、水酸化マグ
ネシウムのかわりに、炭酸カルシウム(平均粒子径5μ
m)、タルク(中国産、平均粒子径5μm)、水酸化ア
ルミニウム(合成品、平均粒子径5μm)、水酸化カル
シウム(日本石灰社製、150メッシュパス)を用いて
同様の条件で混合、成形、物性測定して、水酸化マグネ
シウムと比較した。結果を第1表に示した。
実施例4〜6、比較例6 トープレンT−4(商品名、トープレン社製PPS樹
脂)、繊維状水酸化マグネシウム(キスマ7、協和化学
工業製)およびガラス繊維(繊維長3mm、繊維径13
μm)を表1に示す配合割合で、310℃に設定した二
軸押出機に投入し、溶融混合してペレットを製造した。
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度30
0℃、金型温度150℃の条件で各種試験片を作成し、
所定の条件で物性を測定した。結果を第2表に示した。
〔本発明の効果〕 本発明によれば、充分な機械的強度、高い耐熱性を保持
したまま、耐アーク性等の電気的特性に優れた、電気・
電子分野、自動車分野に使用できるポリアリーレンサル
ファイド樹脂組成物を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンサルファイド樹脂100重
    量部に対し、水酸化マグネシウムを主成分とする金属水
    酸化物5〜300重量部を含有する樹脂組成物。
JP63148022A 1988-06-17 1988-06-17 ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 Expired - Lifetime JPH0657792B2 (ja)

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