JPH0656616A - 土壌病害防除剤およびその製造方法 - Google Patents

土壌病害防除剤およびその製造方法

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JPH0656616A
JPH0656616A JP4210496A JP21049692A JPH0656616A JP H0656616 A JPH0656616 A JP H0656616A JP 4210496 A JP4210496 A JP 4210496A JP 21049692 A JP21049692 A JP 21049692A JP H0656616 A JPH0656616 A JP H0656616A
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rhizosphere
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重義 大澤
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善忠 山岸
Toshiya Okada
俊也 岡田
Daizo Kida
大三 喜田
Hirokazu Tsuji
博和 辻
Hiroyuki Chino
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 土壌病害防除剤において、対象とする栽培植
物の根圏から分離され、かつその根圏土壌と前記栽培植
物との加熱抽出液のみからなる貧栄養培地で選別された
拮抗微生物が活性炭と炭粒との複合担体に担持される。 【効果】 保水性、保肥性および透水性の向上、水や空
気からの有害物質の除去、根が分泌する根酸等の分泌物
の吸着と分解、並びに多孔性担体の空気量の保持によ
る、作物生育および有微生物の「すみか」としての好
適な環境の付与が可能となる。また、例えば芝草の病害
に対して、少量で著効を示すと同時に、発芽率を極めて
有効に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は土壌病害防除剤および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、農薬による殺菌や化学肥料による
栄養分のかたよりが自然本来の生態系をゆがめ、かえっ
て有害な微生物の蔓延と生理障害を引き起こす事例が増
大している。病原菌によって著しく汚染された土壌は、
クロルピクリンや臭化メチルなどの土壌くん蒸剤で処理
せざるを得ないのが実状である。しかし土壌くん蒸剤の
多くは、土壌中の微生物を非選択的に殺菌するため使用
後は根圏微生物の生態系を破壊する。また、人畜に毒性
があり刺激臭のため、人家に近いところでは使用が困難
である。
【0003】一方、ゴルフ場においては、近年、減農薬
ないし無農薬の社会的要請が年々高まってきている。
【0004】そこで、今日では各種の農薬代替品の導入
が試みられている。
【0005】例えば、一般に有用微生物を直接土壌に施
用してもなかなか土壌に定着しないことから有機物を原
料として拮抗微生物を担持しようとする試みがイナワラ
堆肥、オガクズ、ピートモス等で行われている。しか
し、有用微生物の定着が不十分なため、その効力は低か
った。
【0006】また、球形や円柱状に成形した活性炭や炭
粒に、窒素、リン酸、カリ等の肥料成分を含浸させるこ
とにより、土壌中での微生物の増殖を企図する製品も見
受けられる。しかし、コスト高のわりにその効力は低
く、持続期間も短い。
【0007】さらに有用微生物を種子に粉衣して定着さ
せる試みも行われているが、この方法でも植物が大きく
なるとそれに見合うだけの有用微生物密度が保てず、効
力は十分でない。
【0008】病土に直接、拮抗微生物を導入する方法
は、殺菌土壌を使った実験系では成功しても、上述のよ
うに自然土壌では殆ど失敗しており、その原因は在来菌
による駆逐を主とする「環境不適応」と考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】結局のところ、これま
での土壌病害防除剤は著効を示すものが見当たらないの
が現状である。
【0010】このような実状から、土壌病原菌に対して
優れた抑止効果を示し、かつ安価に生産できて、使用上
安全であり使いやすい天然の土壌病害防除剤が切望され
ている。
【0011】この発明は、このような要望に応えること
のできる土壌病害防除剤およびその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の土壌病害防除剤は、対象とする栽培植物の
根圏から分離され、かつその根圏土壌と前記栽培植物と
の加熱抽出液のみからなる貧栄養培地で選別された拮抗
微生物が活性炭と炭粒との複合担体に担持されているこ
とを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の土壌病害防除剤の製造にお
いては、対象とする栽培植物の根圏から細菌および/ま
たは放線菌を分離し、分離された菌株を前記栽培植物と
前記根圏土壌との加熱抽出液のみからなる貧栄養培地で
選別して拮抗微生物を得、この拮抗微生物を活性炭と炭
粒との混合物中に添加混合することを特徴とするもので
ある。
【0014】本発明においては、活性炭と炭粒との前記
混合物中にクエン酸および/またはその金属塩を添加し
て、活性炭と炭粒との複合担体にクエン酸および/また
はその金属塩を含浸させておくことが好ましい。
【0015】また、前記貧栄養培地にもクエン酸および
/またはその金属塩を添加することが好ましい。
【0016】以下、本発明をより具体的に説明する。
【0017】本発明の土壌病害防除剤は、担体として活
性炭と炭粒とからなる複合担体を用いることを第一のポ
イントとする。活性炭は主として本防除剤の原料の一つ
である微生物培養ブロスの悪臭防除、栄養源の吸着並び
に徐放、農薬の流出防止を狙ったものである。一方、炭
粒は、主として拮抗微生物の「すみか」を与えるもので
ある。
【0018】活性炭の原料は石炭、ヤシ殻、木材、モミ
殻等いずれを使っても当該防除剤の性能に変わりはない
が、コスト面から安価な再生炭の篩下微粉末を使用する
ことが好ましい。
【0019】炭粒としてはオガクズ、ヤシ殻、バーク、
モミ殻等を炭化したもので、およそ長径5mm以下の粉末
であればよい。
【0020】活性炭と炭粒との重量混合比は、およそ
9:1から1:9の範囲内で、これに適宜ピート、カニ
殻、カキ殻、ゼオライト、パーライト等を加えることが
できる。上記の混合担体の原料は、いずれも養分の保
持、地温の上昇、保水性、透水性など土壌改良剤として
も既に有効性が認められ、農業や園芸分野に古くから使
われている安全な資材である。
【0021】本発明においては、上記活性炭に、拮抗微
生物および拮抗微生物の活性化剤として、あらかじめク
エン酸またはその金属塩を吸着させておくことが好まし
い。天然の有機酸、特にクエン酸は、植物の成長促進効
果を示すことも認められている(特開平4−46104
号公報、実用バイオ農芸「自然と野生ラン」2月号増
刊、P26、1992−2−20、新企画出版局)。こ
のクエン酸またはその金属塩は、最終製品中の含量が
0.05%(w/w)から0.5%(w/w)、とりわ
け0.1%(w/w)近辺になるように活性炭に吸着さ
せる。
【0022】次に、本発明の最も重要特徴の一つである
拮抗微生物の選別について説明する。
【0023】本発明は、対象とする栽培植物の根圏から
細菌や放線菌を分離すること、分離した菌株の選別培地
は対象とする植物と根圏土壌との加熱抽出液のみからな
る当該土壌環境に近似した培地で選別することを第二の
ポイントとする。例えば、ゴルフ場のペンクロスベント
グリーンを対象とする拮抗微生物の選別の場合、グリー
ンのソッドからマルトース−酵母エキス寒天培地または
グルコース−アスパラギン寒天培地上で細菌や放線菌を
分離する。
【0024】一方、ソッドを重量比でおよそ2倍量の水
道水に懸濁し、100〜120℃で30分間加熱抽出す
る。冷却後ガーゼ数枚を重ねて濾過し、室温でおよそ2
週間静置した後、再びガーゼを重ねて濾過する。その濾
液をpH6.7からpH7.0に希塩酸または希アルカ
リで調整した後、適宜試験管やフラスコに分注、綿栓
し、120℃で20分間加圧蒸気滅菌後、上記の細菌や
放線菌の選別培地として供する。
【0025】温度20℃から30℃にて、回転振盪培養
機(毎分120〜130回転)で3日から6日にわたっ
て培養した後、培養物をパルプ検定に供する。
【0026】このようにして得られた拮抗微生物の中に
はクエン酸嗜好性を有する微生物が多く、例えばゴルフ
場のペンクロスベントグリーンを対象とする場合、上記
のソッド加熱抽出液にクエン酸・一水和物を0.1〜
1.0%(w/w)添加した培地で旺盛な成育を示し、
かつ拮抗物質を産生する特徴がある。この場合、クエン
酸はナトリウムやカリウム等の金属塩とすることもでき
る。
【0027】
【作用】本発明においては、活性炭と炭粒との複合担体
を利用することにより、拮抗微生物の培養ブロスを濾
過、洗浄等の前処理を施すことなく、直接に吸着、担持
させて生産コストの低下、栄養源の吸着、培養ブロスの
悪臭防除、さらには農薬の流出防止等を一挙に達成する
ことができる。
【0028】また、栄養源として、単に培養物のみでな
く、拮抗微生物の特性から、天然有機酸の一つであり安
価に市販されているクエン酸またはその金属塩を複合担
体に担持させて使用することにより、土壌中における拮
抗微生物の定着率は飛躍的に上昇する。
【0029】さらに、対象とする土壌病害の根圏からそ
の土壌の加熱抽出液のみからなる貧栄養培地で選別され
た拮抗微生物は、各種病害に対して著効を示し、同時に
芝については発芽率を向上させる作用を有する。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【0031】拮抗微生物の選別ペンクロスベントグリー
ンのソッドから本発明に従い上述のようにして得た培養
物を、被験菌としてフザリウム属(Fusarium)、ヘルミ
ントスポリウム属(Helminthosporium)、リゾクトニア
属(Rhizoctonia )、スクレロチニア属(Sclerotinia
)、ピシウム属(Pythium )のそれぞれ1ないし10
株を用い、ポテト−デキストロース寒天平板を使ってパ
ルプ検定に供した。阻止円径より拮抗能を判定し、さら
に高次の選別を行った。すなわち、微生物農材を施用し
ても外来菌の定着性が低い原因は、主として在来菌との
競合、外来拮抗菌間の競合、土壌の物理化学性(pH、
栄養源、温度、酸素、水分等)の変化に対する耐性、紫
外線や農薬に対する耐性等が考えられる。高次選別手段
として、これらのストレス全てに配慮して所与の環境に
適応する可能性が大きい優良株を選別した。
【0032】動植物に対する安全性については、ヒメダ
カによる急性毒性試験を行うことと並行して、各種植物
例えば、ペンクロスベント、コウライ、ノシバ等に対し
て高濃度菌数条件下(1010〜1012生菌数/ml)での
栽培試験を行い、対照区と比較して成育阻害がないこと
を確認した。
【0033】以上の試験成績を細菌、放線菌それぞれ代
表例について下記の表1、表2および表3に示す。
【0034】なお、土壌より分離した放線菌には、作業
の便宜上、記号WSを冠して順次連続番号を付け、細菌
には記号WBを付してその後に連続番号を付けて、識別
を容易にした。
【0035】
【表1】
【表2】
【表3】 このようにして選別された拮抗微生物の数は細菌10
株、放線菌50株であった。それぞれについて菌学的性
質を検討した結果、細菌については、シュードモナス属
(Pseudomonas )、バチルス属(Bacillus)が優勢であ
ったほか、これまでに報告例がないアゾモナス属(Azom
onas)1株が認められた。
【0036】放線菌については、ストレプトミセス属
(Streptomyces)が優勢であった。単離された代表的な
ストレプトミセス属の2株とアゾモナス属の1株につい
てその性質を表4と表5に示す。
【0037】尚、上述の方法は主にシャーリングとゴッ
トリーブ(Shirling E.B. and D.Gottlieb: Methods fo
r characterization of Streptomyces species.Interna
tional Journal of Systematic Bacteriology 16,313-3
40,1966 )、ワックスマン(Waksman S.A.: The Actiom
ycetes Vol.2:Classification,identification and des
cription of genera and species:The Williams and Wi
lkins Co.,Baltimore,1961)、ウイリアムス(Williams
S.T. :Bergey's Manual of Systematic Bacteriology
Vol.4,2451-2508:The Williams and Wilkins Co., Balt
imore,1989)およびブキャナンとギボンズ(Buchanan R.
E. and N.E. Gibbons: Bergey's Manualof Determinati
ve Bacteriology,8th edition, 748-829: The Williams
and Wilkins Co., Baltimore,1974 )に従った。
【0038】
【表4】
【表5】 <実施例1> (活性炭と炭粒との複合担体利用による菌体入り芝草病
害防除剤の製造)2m3 混合槽内にヤシ殻活性炭の32
メッシュ篩下微粉末110kg、オガ炭125kgおよびピ
ートモス60kgを入れ、1時間混合攪拌した。混合担体
はpH8.4であった。
【0039】一方、ペンクロスベントのソッドから前記
の方法により分離した拮抗微生物WS6、55、58、
133、248、294(以上、放線菌)、WB5、3
3、51、105(以上、細菌)をあらかじめPYG培
地(培地1リットル中、ポリペプトン20g、酵母エキ
ス10g、コーンスチープリカー20g、グルコース1
0g、K2 HPO4 5g、FeSO4 ・7H2 O 0.
5g、MgSO4 ・7H2 O 0.5g、pH6.7)
で培養しておき、この培養物10リットル、コーンスチ
ープリカー3.5gおよび水道水300リットルを上記
槽内に添加混合した。
【0040】室温で7日間攪拌を続けて製品600kgを
得た。製品を分析した結果、pH8.1、全生菌数4.
1×109 /g(湿潤質量)であった。
【0041】<実施例2> (クエン酸利用による菌体入り芝草病害防除剤の製造)
10リットル容ポリバケツの中でクエン酸・1H2
500gを水道水1.5リットルに溶解した。これにヤ
シ殻活性炭の32メッシュ篩下微粉末1kgを添加混練
し、クエン酸吸着活性炭3kg(pH2.97)を得た。
【0042】一方、ペンクロスベントのソッド加熱抽出
液にクエン酸0.3%(w/v)添加した培地(pH
6.7)で選別した拮抗微生物WS182、226(以
上、放線菌)、WB、126(細菌)を実施例1と同様
のPYG培地で培養して培養物7.5リットルを得た。
これをヤシ殻活性炭の32メッシュ篩下微粉末4.5k
g、オガ炭4.5kg、ピートモス1.5kgおよび水道水
2リットルと攪拌混合して、微生物吸着炭20kg(p
H7.56)を得た。
【0043】次いで、2m3 混合槽内にカキ殻粉末33
0kgおよびカニ殻粉末70kgを仕込み、これに上記のク
エン酸吸着活性炭3kgと微生物吸着炭20kgを添加混合
した。1時間後、水道水60リットルを数回に分けて添
加混合し、その後、室温で2日間混合を続けて、製品4
80kgを得た。
【0044】製品を分析した結果、pH8.4、全生菌
数2.5×109 /g(湿潤質量)であった。
【0045】拮抗微生物の生産性におよぼすクエン酸添
加の効果は、図1に示す通りである。芝ソッドの加熱抽
出液にクエン酸・1H2 Oを所定濃度に添加溶解してp
H6.7に調整した。試験管に5mlずつ分注後、12
0℃、20分加圧蒸気滅菌した。20℃、4日、回転培
養し、その培養物を適宜、滅菌水で希釈した後、R.sola
niGR−9を、被験菌としてパルプ検定した。土壌病害
防除剤の生産菌株としては、クエン酸嗜好性の強い菌株
を優先的に使用した(例:WB105,WS133,W
S307等)。
【0046】<実施例3> (リゾクトニア ソラニ クーン、表1中のGR−5に
よるペンクロスベントのリゾクトニア病防除−湿式系) 1)病原土壌の調製 300ml容広口三角フラスコに乾燥畑土200g(5メ
ッシュ篩下)、米糠20g、蒸留水25mlをいれて混合
し、アルミホイールでカバーして加圧蒸気滅菌(120
℃、30分)を行った。冷後、上記病原菌の寒天平板培
養物を植菌し、25℃で2週間培養して、病原土壌とし
た。
【0047】2)ペンクロスベントのマット芝の調製 麻の不織布(厚さ5mm)を5cm角に切り、ガラス製の大
型ペトリ皿(14.5cmφ×3cmH)内に6〜7枚ずつ
並べて水道水に浸漬し、120℃で20分間加圧蒸気滅
菌した。冷後、余分の水を流し去り、湿った不織布の表
面にペンクロスベントの滅菌種子を播種(1g/100
cm2 )した後、25℃で1週間に亘り、照度4500
ルックスにて16時間日長の条件下で栽培し、マット芝
として供試した。
【0048】種子の滅菌は、70%エチルアルコールで
2分間種子を湿らせた後、有効塩素濃度として2%次亜
塩素酸ナトリウムに5分間浸漬した。滅菌水で数回洗浄
した後、滅菌砂10倍量に混ぜて使用した。
【0049】3)リゾクトニア病防除試験 ガラス製の滅菌ペトリ皿(8.6cmφ×1.7cmH)に
上記1の病原土壌1gと実施例1で製造した土壌病害防
除剤1gおよび5gの2水準と、前記のソッド加熱抽出
液(pH6.7)の滅菌液30mlとを入れて静かに攪拌
混合した。これに上記2で調製したペンクロスベントの
マット芝、1片ずつを浸漬して蓋をした。25℃、照度
4500ルックス、16時間日長の条件下でおよそ2か
月発病抑制効果を試験した。反復数は2連とした。その
結果を表6に示す。
【0050】
【表6】 表6の結果からも明らかなように、無処理区は病原菌接
種後16日で激烈な病徴を示し、21日には完全に枯死
したのに対して、本剤施用区は29日までほぼ健常な状
態を維持し、2か月目に入ってようやく軽微な病徴が認
められる程度に抑制された。
【0051】<実施例4> (ペンクロスベントのブラウンパッチ病防除−乾式系)
ケニスSカップ(商品名)に滅菌山砂100g、滅菌米
糠0.5gおよび硫黄華0.5gを入れて十分に攪拌混
合後、滅菌水15mlを入れ、120℃で15分間加圧蒸
気滅菌を行った。冷後、実施例1で製造した菌体入り農
材1gと病原土壌(実施例3に同じ)1gとを入れ、表
層を攪拌後、ペンクロスベント(実施例3に同じ)を乾
燥種子換算50mg量播種し、透明な蓋で密閉して栽培し
た。条件は温度25℃、照度3000ルックス、16時
間日長とした。実験の反復数は10カップとした。
【0052】その結果を表7に示す。
【0053】
【表7】 表7から明らかなように、菌体入り農材使用区は対照区
と比べてリゾクトニア病抑制効果が明瞭であった。この
ことは、培地表面に形成された接種リゾクトニアのコロ
ニー数が当該農材の添加によって、激減する事実とも一
致するものである。さらに、当該農材の使用により種子
の発芽率が向上することも認められた。
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の土壌
病害防除剤は、特定の方法で選別された拮抗微生物が活
性炭と炭粒とからなる複合担体に担持されていることに
より、まず複合体自体による効果として、保水性、保肥
性および透水性の向上、水や空気からの有害物質の除
去、根が分泌する根酸等の分泌物の吸着と分解、並びに
多孔性による空気量の保持により、作物成育および有用
微生物の「すみか」として好適な環境を付与することが
できること等が挙げられる。このうち特に、培養液の養
分やクエン酸等の保肥性と、培養液の悪臭や農薬有害物
質の除去とは活性炭の使用により達成され、拮抗微生物
の「すみか」としての有用性は炭粒の使用により達成さ
れる。このことは、実際に、選別された拮抗微生物を単
独に上記複合体に担持させ、25℃で1年間の保存試験
を行った結果、いずれも生菌数の減少が認められなかっ
たことからも明らかである。
【0055】次に、対照とする栽培植物の根圏から分離
され、かつその根圏土壌と前記栽培植物との加熱抽出液
のみからなる貧栄養培地で選別された拮抗微生物に基づ
く効果として、例えば芝草の病害に対して、1平方メー
トル当たり200〜300gの施用で、芝草のリゾクト
ニア病、ピシウム病、スクレロチニア病、ヘルミントス
ポリウム病あるいはフザリウム病等に対して著効を示す
ことが挙げられる。またこれと同時に、芝については発
芽率を極めて有効に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】拮抗微生物の生産性におよぼすクエン酸添加の
効果を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】活性炭と炭粒との重量混合比は、およそ
9:1から1:9の範囲内で、これに適宜ピートモス
カニ殻、カキ殻、ゼオライト、パーライト等を加えるこ
とができる。上記の混合担体の原料は、いずれも養分の
保持、地温の上昇、保水性、透水性など土壌改良剤とし
ても既に有効性が認められ、農業や園芸分野に古くから
使われている安全な資材である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】動植物に対する安全性については、ヒメダ
カによる急性毒性試験を行うことと並行して、各種植物
例えば、ペンクロスベント、コウライ、ノシバ等に対し
て高濃度菌数条件下(1010〜1012生菌数/ml)での
栽培試験を行い、対照区と比較して生育阻害がないこと
を確認した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】
【表1】
【表2】
【表3】 このようにして選別された拮抗微生物の数は細菌10
株、放線菌50株であった。それぞれについて菌学的性
質を検討した結果、細菌については、シュードモナス属
(Pseudomonas )、バチルス属(Bacillus)が優勢であ
ったほか、これまでに報告例がないアゾモナス属(Azom
onas)1株が認められた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【表4】
【表5】 <実施例1> (活性炭と炭粒との複合担体利用による菌体入り芝草病
害防除剤の製造)2m3 混合槽内にヤシ殻活性炭の32
メッシュ篩下微粉末110kg、オガ炭125kgおよびピ
ートモス60kgを入れ、1時間混合攪拌した。混合担体
はpH8.4であった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【表6】 表6の結果からも明らかなように、無処理区は病原菌接
種後16日で激烈な病徴を示し、21日には完全に枯死
したのに対して、本剤施用区は29日までほぼ健常な状
態を維持し、2か月目に入ってようやく軽微な病徴が認
められる程度に抑制された。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の土壌
病害防除剤は、特定の方法で選別された拮抗微生物が活
性炭と炭粒とからなる複合担体に担持されていることに
より、まず複合体自体による効果として、保水性、保肥
性および透水性の向上、水や空気からの有害物質の除
去、根が分泌する根酸等の分泌物の吸着と分解、並びに
多孔性による空気量の保持により、作物生育および有用
微生物の「すみか」として好適な環境を付与することが
できること等が挙げられる。このうち特に、培養液の養
分やクエン酸等の保肥性と、培養液の悪臭や農薬有害物
質の除去とは活性炭の使用により達成され、拮抗微生物
の「すみか」としての有用性は炭粒の使用により達成さ
れる。このことは、実際に、選別された拮抗微生物を単
独に上記複合体に担持させ、25℃で1年間の保存試験
を行った結果、いずれも生菌数の減少が認められなかっ
たことからも明らかである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】次に、対象とする栽培植物の根圏から分離
され、かつその根圏土壌と前記栽培植物との加熱抽出液
のみからなる貧栄養培地で選別された拮抗微生物に基づ
く効果として、例えば芝草の病害に対して、1平方メー
トル当たり200〜300gの施用で、芝草のリゾクト
ニア病、ピシウム病、スクレロチニア病、ヘルミントス
ポリウム病あるいはフザリウム病等に対して著効を示す
ことが挙げられる。またこれと同時に、芝については発
芽率を極めて有効に向上させることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜田 大三 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 辻 博和 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 千野 裕之 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象とする栽培植物の根圏から分離さ
    れ、かつその根圏土壌と前記栽培植物との加熱抽出液の
    みからなる貧栄養培地で選別された拮抗微生物が活性炭
    と炭粒との複合担体に担持されていることを特徴とする
    土壌病害防除剤。
  2. 【請求項2】 対象とする栽培植物の根圏から細菌およ
    び/または放線菌を分離し、分離された菌株を前記栽培
    植物と前記根圏土壌との加熱抽出液のみからなる貧栄養
    培地で選別して拮抗微生物を得、この拮抗微生物を活性
    炭と炭粒との混合物中に添加混合することを特徴とする
    請求項1記載の土壌病害防除剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 活性炭と炭粒との前記混合物中にクエン
    酸および/またはその金属塩を添加して、活性炭と炭粒
    との複合担体にクエン酸および/またはその金属塩を含
    浸させる請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記貧栄養培地にクエン酸および/また
    はその金属塩を添加する請求項2または3記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006124280A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Kumiai Chem Ind Co Ltd 植物種子発芽率向上剤
EP2573164A1 (de) * 2011-09-23 2013-03-27 Green C GmbH Verfahren zum mikrobiologischen Abbau von Kohlenwasserstoffen

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JP4630627B2 (ja) * 2004-10-26 2011-02-09 クミアイ化学工業株式会社 植物種子発芽率向上剤
EP2573164A1 (de) * 2011-09-23 2013-03-27 Green C GmbH Verfahren zum mikrobiologischen Abbau von Kohlenwasserstoffen

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