JPH0656479A - 紫外線遮蔽膜および紫外線遮蔽ガラス - Google Patents

紫外線遮蔽膜および紫外線遮蔽ガラス

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JPH0656479A
JPH0656479A JP20576192A JP20576192A JPH0656479A JP H0656479 A JPH0656479 A JP H0656479A JP 20576192 A JP20576192 A JP 20576192A JP 20576192 A JP20576192 A JP 20576192A JP H0656479 A JPH0656479 A JP H0656479A
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film
glass
zinc oxide
ultraviolet ray
ultraviolet
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JP20576192A
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Mitsumasa Saito
光正 斉藤
Kazuhiko Osada
和彦 長田
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Sumitomo Cement Co Ltd
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Sumitomo Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 、酸化亜鉛からなる紫外線吸収膜の耐酸性を
改善し、紫外線吸収性能、透明性、耐酸性のいずれにも
優れた紫外線吸収膜とこのような膜を有する紫外線遮蔽
ガラスを提供する。 【構成】 酸化亜鉛からなる酸化亜鉛膜3と、シロキサ
ン結合を有しかつ粒径0.1μm以下の酸化セリウム微
粒子を分散した保護膜4とからなる紫外線遮蔽膜5。ガ
ラス2の両面または片面に酸化亜鉛からなる酸化亜鉛膜
3が形成され、酸化亜鉛膜3の上にシロキサン結合を有
しかつ粒径0.1μm以下の酸化セリウム微粒子を分散
した保護膜4が形成されてなる紫外線遮蔽ガラス1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛及び酸化セリ
ウムを紫外線遮蔽材として用いた紫外線遮蔽膜と、この
紫外線遮蔽膜を有してなる紫外線遮蔽ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に紫外線を吸収する物質としては、
ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の有機系紫外線
吸収材や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の無
機系紫外線吸収材、さらには屈折率の異なる物質による
多層膜が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら吸収
材あるいは多層膜にはそれぞれ以下に述べる不都合があ
る。有機系紫外線吸収材は、耐熱性、耐久性に乏しいた
め用途が限定されてしまい、例えばフィルムへの練り込
みには適しているものの、ガラス面に紫外線遮蔽膜を形
成するには適さない。
【0004】無機系紫外線吸収材としては、前述したよ
うに酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の金属酸化
物が知られている。しかし、酸化亜鉛は紫外線吸収性
能、透明性に優れているものの、耐酸性に劣るといった
問題がある。また、酸化チタンは吸収特性がブロードで
400〜450nm付近の可視光を吸収し、また屈折率
が高いことから透明性に劣るといった問題がある。さら
に、酸化セリウムは350μm以下の紫外線については
効果的に吸収(遮蔽)するものの、350〜400nm
の波長の紫外線については膜厚を数百μmにしなければ
これを効果的に吸収(遮蔽)できないといった問題があ
る。
【0005】多層膜は、一般に蒸着法またはディップ法
により高屈折率物質と低屈折率物質とが数層から数十層
積層されて形成されるが、このような方法によって得ら
れる多層膜では屈折率や膜厚により吸収波長を任意に設
定出来る利点はあるものの、前記吸収材による紫外線遮
蔽膜に比べ製造に手間がかかり、製造コストが高くなる
といった問題がある。
【0006】このような不都合を解消するべく本発明者
は、特に酸化亜鉛の吸収特性と透明性に注目し、これを
最大限に生かしつつ、その耐酸性を改善すべく鋭意検討
した結果、酸化亜鉛を含む紫外線遮蔽膜上にシロキサン
結合からなる保護膜を形成するのが効果的であることを
見いだした。しかしながら、シロキサン結合のみからな
る膜は、硬化に伴い脱水縮合して膜が収縮するため、膜
厚を厚くするとクラックが発生しやすく、したがって十
分薄くする必要があることからある程度の効果は得られ
るものの十分な耐酸性を与えるまでには至っていない。
【0007】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、酸化亜鉛からなる紫外線
吸収膜の耐酸性を改善し、紫外線吸収性能、透明性、耐
酸性のいずれにも優れた紫外線吸収膜とこのような膜を
有する紫外線遮蔽ガラスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
記載の紫外線遮蔽膜では、酸化亜鉛からなる酸化亜鉛膜
と、シロキサン結合を有しかつ粒径0.1μm以下の酸
化セリウム微粒子を分散した保護膜とからなることを前
記課題の解決手段とした。請求項2記載の紫外線遮蔽ガ
ラスでは、ガラスの両面または片面に酸化亜鉛からなる
酸化亜鉛膜が形成され、該酸化亜鉛膜の上にシロキサン
結合を有しかつ粒径0.1μm以下の酸化セリウム微粒
子を分散した保護膜が形成されてなることを前記課題の
解決手段とした。
【0009】すなわち、本発明者は、シロキサン膜の硬
化に伴う脱水縮合による収縮を低減し、耐酸性を改善す
るための無機フィラーにつき検討を重ねた結果、酸化セ
リウムが最も効果的な無機フィラーであることを見いだ
し本発明に至ったのである。以下本発明を詳しく説明す
る。図1(a),(b)は本発明における請求項2記載
の紫外線遮蔽ガラスの例を示すもので、これらの図にお
いて符号1は紫外線遮蔽ガラスである。この紫外線遮蔽
ガラス1は、ガラス2の片面または両面に酸化亜鉛から
なる酸化亜鉛膜3を形成した従来の紫外線遮蔽ガラスの
耐酸性を改善するため、酸化亜鉛膜3の上に保護膜4を
形成したものである。
【0010】本発明において用いられるガラス2として
は、可視光を透過するものであれば、その種類、形状に
限定されることなくすべてのものが使用可能であるが、
種類については例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガ
ラス、石英ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸塩ガラ
ス、ホウ酸塩ガラス、りん酸塩ガラスが好適とされ、ま
た形状については、板状、レンズ状、半球状、円筒状、
ロート状等のものが用いられる。ガラス2として強化処
理、サンドブラスト処理等の後処理を施したものを用い
ても良いのは勿論である。酸化亜鉛膜3は、酸化亜鉛微
粒子がバインダー中に分散されて形成された膜、または
有機亜鉛化合物溶液が熱分解されて形成された膜であ
る。
【0011】前者の膜を得るには、例えば特開平2−2
65976に述べられた方法によって作製する。すなわ
ちこの方法では、0.1μm以下の酸化亜鉛微粒子をポ
リシロキサン/有機溶媒溶液中に均一分散させて塗料を
形成し、次いでこの塗料をディップコート、スピンコー
ト、スプレーコート、ロールコート等の公知の塗布方法
によって前記ガラス2に塗布し、その後焼成することに
よってガラス2上に酸化亜鉛膜3を形成することができ
る。このようにして得られる焼成後の酸化亜鉛膜3の膜
厚については、0.5〜5.0μmの範囲にあるのが好ま
しい。なぜなら、0.5μm未満であると紫外線遮蔽力
が弱くなり、一方5.0μmを越えると焼成時に膜にク
ラックが生じる恐れがあるからである。また、焼成温度
については、常温から700℃の範囲とするのが好まし
い。なぜなら、700℃を越えると塗料中の酸化亜鉛が
ガラス2中に溶解しイオン化することにより、得られる
紫外線遮蔽力が低下してしまう恐れがあるからである。
【0012】後者の膜を得るには、例えば2−エチルヘ
キサン酸亜鉛、ナフテンサン亜鉛、ジエチルカルバミン
酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、オレインサン亜
鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート錯体
等を溶剤等に分散させる等の適宜な方法により塗料に調
製し、ついでこの塗料を前記ガラス2にディップコー
ト、スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の
公知の塗布方法で塗布し、その後焼成熱分解することに
よってガラス2上に酸化亜鉛膜3を形成する。
【0013】このようにして得られる焼成後の酸化亜鉛
膜の膜厚については、0.1μm〜2.0μmの範囲にあ
るのが好ましい。なぜなら、0.1μm未満であると紫
外線遮蔽力が弱くなり、一方2.0μmを越えると膜に
クラックが生じる恐れがあるからである。また、焼成温
度については、400℃から700℃の範囲とするのが
好ましい。なぜなら、400℃未満では有機亜鉛化合物
の熱分解が十分に進行せず、酸化亜鉛が十分生成しない
からであり、一方700℃を越えると塗料中の酸化亜鉛
がガラス2中に溶解しイオン化することにより、得られ
る紫外線遮蔽ガラスの紫外線遮蔽力が低下してしまう恐
れがあるからである。
【0014】保護膜4としては、それ自体が耐酸性に優
れたものであり、酸化亜鉛膜3を備えた紫外線遮蔽ガラ
スの特徴である透明性、耐熱、耐紫外線、高硬度、耐摩
耗性、ガラスとの密着性等を満足するものでなければな
らない。さらに、酸化亜鉛膜3上に容易に膜形成がで
き、該酸化亜鉛膜3との親和性の強いものでなければな
らない。しかして、本発明者らは、このような性能を満
足する材料について鋭意検討したところ、以下に述べる
ようにシロキサン結合を有する膜でしかも膜中に酸化セ
リウムが均一に分散している膜が保護膜として最適であ
ることを見いだし本発明を完成させたのである。
【0015】シロキサン結合を有するだけの単独の保護
膜では、焼成時の乾燥収縮が大きいことから膜厚を厚く
するとクラックが生じる恐れがあり、よって成膜する際
膜厚制御を高精度で行って十分に薄い膜にしなければな
らず、したがって薄厚にしか製造し得ないことから耐酸
性の改善効果が小さい保護膜となってしまう。特に、4
00℃以上の高温条件では有機成分が分解し、これに伴
って保護膜の収縮応力が大きくなりクラックが発生して
保護膜がガラスから剥離してしまうことから、高温での
使用にはその耐久性に難がある。
【0016】ところで、膜の収縮応力を緩和するために
は無機粉体のフィラー(充填材)を配合することが有効
であることは周知である。また、透明な膜を得るには一
般にシリカ、アルミナ等の屈折率及び比重の小さい無機
粉体が用いられている。しかし、シリカ、アルミナは粒
子が多孔質であることから、これらをシロキサン結合を
有する膜に分散させてもその粒子表面においてシロキサ
ンとの強固な結合が得られず、膜構造が多孔質となって
しまうため、酸性物質の膜中への拡散を防止できないの
である。しかも、シリカやアルミナは比重が小さく粒子
そのものの強度も小さいことから、シロキサン結合を有
するだけの単独の保護膜に比べ膜強度も小さく酸化亜鉛
膜の保護膜としては不十分なものとなってしまうのであ
る。
【0017】これに対して酸化セリウムは、無孔質で粒
子強度が大きく、粒径も30〜50オングストローム程
度の小さいものができるため、これをシロキサン結合を
有する膜中に分散させれば該膜は透明性に優れたものと
なる。さらに、酸化セリウムは粒子表面に存在する水酸
基が塩基性水酸基であるため、酸性水酸基であるシロキ
サンの水酸基と酸塩基反応により強固に結合し、これに
より酸化セリウムを分散させたシロキサン結合を有する
膜は緻密な構造となって酸性物質の該膜中への拡散を防
止し、膜強度の強い保護膜となる。また、酸化セリウム
は酸化亜鉛と同様に紫外線を吸収(遮蔽)するので、こ
の保護膜は酸化亜鉛膜の紫外線吸収(遮蔽)を補強する
作用も奏するものとなる。
【0018】シロキサン結合を形成する物質としては、
ポリシロキサン(シリコーン樹脂)、水ガラス、シリカ
コロイド等が使用できるが、成膜性、膜強度、耐久性等
の点からポリシロキサンが最も好ましい。ポリシロキサ
ン(シリコーン樹脂)の中でも特に好ましいのは、側鎖
がメチル基又はエチル基のものである。なお、一般にシ
リコーン樹脂と呼ばれるメチルフェニルシリコーンは、
耐光性が悪く、黄変するために適さない。
【0019】ポリシロキサンを得るには、テトラアルコ
キシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジア
ルキルジアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキ
シシラン等のアルコキシシランの単体または混合物を加
水分解し、さらにこれを縮重合して得るのが好ましい。
このようなポリシロキサンの製造方法の具体例として
は、例えばテトラエトキシシランとメチルトリエトキシ
シランとを4:1に混合した液にエタノール、ブタノー
ル、水及び塩酸を加えて加水分解し、さらに還流下にて
加熱することによりポリシロキサン溶液を得るといった
方法が挙げられる。
【0020】保護膜4の形成に用いられる酸化セリウム
としては、粒径が0.1μm以下で、前記ポリシロキサ
ン溶液中に均一に分散できるものであればその製造方法
に特に限定されない。このような酸化セリウムは、セリ
ウム塩の水溶液をアルカリで中和して水酸化セリウムを
得、これをろ過洗浄しさらに凝集を起こさない適宜な方
法で加熱脱水することによって得ることができる。
【0021】例えば、硫酸セリウムの水溶液を水酸化ナ
トリウムで中和し、これをろ過洗浄した後、ケーキ状の
水酸化セリウムを得る。次に、これを水熱処理すること
により酸化セリウムの水性ゾルを得る。次いで、得られ
た水性ゾルを、2−メトキシエタノール、2−エトキシ
エタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチ
ルオキシエタノールのような水に可溶で100℃以上の
沸点を有する有機溶剤で溶媒置換することにより、酸化
セリウムの有機ゾルを得る。そして、このようにして得
られた有機ゾルを、超音波分散などの簡易な分散方法に
よって前記ポリシロキサン溶液中に均一に分散させるこ
とにより、ポリシロキサン溶液中に酸化セリウムが均一
に分散した分散液が得られる。なおこのとき、乾燥速
度、成膜性等を考え前記有機ゾルに他の有機物を混合し
て用いることもできる。
【0022】このようにして得られる分散液中のポリシ
ロキサンと酸化セリウムとの混合比率については、重量
比で100:1ないし1:20の範囲とするのが好まし
く、さらには20:1ないし1:10の範囲とするのが
望ましい。酸化セリウムが100:1の比率より少なく
なるとその添加効果が小さくなり、一方1:20より多
くなると得られる保護膜の膜強度及び密着性が低下し実
用性にやや難が生じるからである。さらに、前記分散液
にアルコール、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化
水素等の有機溶剤を加え、5〜20%の塗布液とする。
このとき、超音波等の適宜な方法を採用することによっ
て速やかに透明で均一な分散液が得られる。
【0023】そして、このようにして得られたポリシロ
キサン/酸化セリウム塗布液を、スピンコート、ディッ
ピング、スプレーコート、はけ塗り等の通常の塗布方法
によってガラス板2上に形成された酸化亜鉛膜3上に塗
布し、その後塗布後のガラスを焼成することにより、酸
化亜鉛膜3上に強固な保護膜4が形成されるのである。
焼成条件については、100〜700℃程度で10〜3
0分程度とするのが好ましく、特に焼成温度を140℃
〜450℃あるいは550〜700℃とするのが好まし
い。すなわち、140℃未満では膜が十分な強度を有す
るものとならず、実用に供すにはやや難があるからであ
り、700℃を越えると酸化亜鉛膜3を形成する酸化亜
鉛がガラス2中に溶解してしまい、紫外線遮蔽膜3の紫
外線遮蔽力を低下させてしまう恐れがあるからである。
また、特に140℃〜450℃が好ましいのは、この温
度範囲ではポリシロキサン中の有機成分が分解揮発せ
ず、保護膜4中にとどまるため、形成された膜にピンホ
ールがなくしかも撥水性のある保護膜が得られ、したが
って耐酸性により優れた膜を得ることができるからであ
る。また、550〜700が好ましいのは、特に膜の表
面硬度が要求される用途に対しては、このような温度範
囲で焼成することによりポリシロキサン膜が完全に無機
質化し、ガラスと同等の膜硬度が得られるからである。
【0024】また、このようにして得られる保護膜4の
厚さとしては、0.1〜5.0μmであるのが好ましい。
なぜなら、0.1μm未満になると耐酸性の改善効果が
小さく、またこのように薄い膜厚とするのであれば、ポ
リシロキサン単独で膜形成する場合と同様にその膜厚制
御にかなりの精度が要求されてしまうからであり、一方
5.0μmを越えると焼成時に膜にクラックが入る恐れ
が生じるからである。
【0025】このようにしてポリシロキサン/酸化セリ
ウムよりなる保護膜4を形成して得られた紫外線遮蔽膜
5は、保護膜4の機能により耐酸性が特に優れたものと
なるばかりでなく、酸化亜鉛膜3の屈折率が1.6〜1.
9であるのに対し、ポリシロキサン/酸化セリウム膜の
屈折率が1.4〜1.6と小さく、従って該保護膜4が反
射防止膜としても機能することから本発明の紫外線遮蔽
膜5は従来の保護膜を有しないものに比べ可視光線の透
過率を向上させたものとなる。
【0026】
【作用】請求項1記載の紫外線遮蔽膜によれば、保護膜
を形成する酸化セリウム微粒子が0.1μm以下でしか
も無孔質で粒子強度が大きいため、透明性に優れかつ膜
強度も高い保護膜を有したものとなる。また、酸化セリ
ウムは粒子表面に存在する水酸基が塩基性水酸基である
ため、酸性水酸基であるシロキサンの水酸基と酸塩基反
応により強固に結合し、これによって酸化セリウムを分
散させたシロキサン結合を有する膜は緻密な構造とな
り、酸性物質の該膜中への拡散を防止する膜強度の強い
保護膜となる。さらに、酸化セリウムは酸化亜鉛と同様
に紫外線を吸収(遮蔽)するので、この保護膜は酸化亜
鉛膜の紫外線吸収(遮蔽)を補強する作用も奏するもの
となる。請求項2記載の紫外線遮蔽ガラスは、請求項1
記載の紫外線遮蔽膜を有してなることから、透明性に優
れ、耐酸性にも優れ、さらに紫外線遮蔽性能も向上した
ものとなる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。 (実施例)粒径5〜20nmの微粒子酸化亜鉛(住友セ
メント株式会社製)を10重量部、ポリシロキサンを3
重量部、酢酸ブチルを30重量部を混合し、塗料分散機
で3時間分散させて酸化亜鉛含有塗料(紫外線遮蔽塗
料)を作製した。この塗料を、スピンコート法によって
縦100mm、横100mm、厚さ1mmのホウケイ酸
ガラスに塗布し、さらに180℃で15分間焼成して該
ガラス板上に厚さ約1.2μmの酸化亜鉛膜を形成し
た。次に、前述したポリシロキサン/酸化セリウムの酢
酸ブチル溶液(有効成分10%)を前記酸化亜鉛膜上に
スピンコート法により塗布した。その後、この溶液塗布
ガラスを400℃で30分間焼成し、厚さ約0.5μm
のポリシロキサン/酸化セリウムからなる保護膜を形成
した。
【0028】(比較例1)比較のため、実施例1に用い
たホウケイ酸ガラスに実施例1で使用した酸化亜鉛含有
塗料(紫外線遮蔽塗料)をスピンコート法によって塗布
し、400℃で30分間焼成して厚さ約1.2μmの酸
化亜鉛膜を形成した。 (比較例2)ポリシロキサンの酢酸ブチル溶液(有効成
分10%)を、実施例1で作製したホウケイ酸ガラス上
の酸化亜鉛膜の上にスピンコート法によって塗布した。
その後、この溶液塗布ガラスを400℃で30分間焼成
し、厚さ約0.5μmのポリシロキサンからなる保護膜
を形成した。
【0029】このようにして得られた実施例品及び比較
例品である紫外線遮蔽ガラスの分光透過特性を図2に、
耐熱性、耐摩耗性、表面硬度を表1に、耐酸性を図3に
示す。(ただし、図2中において実施例と比較例2によ
る紫外線遮蔽ガラスはほぼ同一の透過率を示したもの
で、曲線を1本にまとめて記載した。)
【表1】 なお、耐熱性の試験は、600℃で15分間加熱し、室
温で放冷した後の膜の外観によって評価した。また、耐
摩耗性は、消しゴム(ライオン株式会社製;No.5
0)を用いて500gの荷重で500往復した後、35
0nmの波長の紫外線の透過率を測定することによって
評価した。表面硬度は、鉛筆硬度試験機により1kgの
荷重で、膜に傷の入らない鉛筆の硬度で評価した。耐酸
性は、25℃、0.1規定のHCl溶液に浸漬し、その
状態で350nmの波長の紫外線の透過率を1時間ごと
に測定することによって行った。図2、表1、図3に示
した結果より、本発明品は、保護膜のない従来のものに
比べ分光透過特性、耐摩耗性、表面硬度、耐酸性に優
れ、耐熱性は同等であり、またポリシロキサン単独の保
護膜を形成したものに比べ、分光透過率及び表面硬度は
同等で、耐熱性、耐摩耗性、耐酸性に優れていることが
確認された。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本願発明における請
求項1記載の紫外線遮蔽膜は、シロキサン結合を有しか
つ粒径0.1μm以下の酸化セリウム微粒子を分散した
保護膜を有してなるものであり、酸化セリウム微粒子が
無孔質で粒子強度が大きいことから保護膜は透明性に優
れかつ膜強度も高いものとなり、したがって紫外線遮蔽
膜自体も透明性に優れかつ膜強度も高いものとなる。ま
た、保護膜が緻密な構造を有し、したがって酸性物質の
該膜中への拡散を防止する膜強度の強いものとなること
から紫外線遮蔽膜自体も耐酸性に優れたものとなる。さ
らに、酸化セリウムは酸化亜鉛と同様に紫外線を吸収
(遮蔽)することから、保護膜が酸化亜鉛膜の紫外線吸
収(遮蔽)を補強する作用も奏するものとなり、したが
って紫外線遮蔽性能により優れたものとなる。請求項2
記載の紫外線遮蔽ガラスは、請求項1記載の紫外線遮蔽
膜を有してなることから、透明性に優れ、また従来の酸
化亜鉛膜のみによる紫外線遮蔽ガラスやシロキサン単独
の保護膜を持った紫外線遮蔽ガラスに比べ耐酸性、耐久
性が著しく改善され、さらに紫外線遮蔽性能も向上した
ものとなり、したがってより厳しい環境での使用にも堪
え得るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の紫外線遮蔽ガラスの一例の概
略構成図、(b)は本発明の紫外線遮蔽ガラスの他の例
の概略構成図である。
【図2】分光透過特性を示すグラフである。
【図3】耐酸性試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 紫外線遮蔽ガラス 2 ガラス 3 酸化亜鉛膜 4 保護膜 5 紫外線遮蔽膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛からなる酸化亜鉛膜と、シロキ
    サン結合を有しかつ粒径0.1μm以下の酸化セリウム
    微粒子を分散した保護膜とからなることを特徴とする紫
    外線遮蔽膜。
  2. 【請求項2】 ガラスの両面または片面に酸化亜鉛から
    なる酸化亜鉛膜が形成され、該酸化亜鉛膜の上にシロキ
    サン結合を有しかつ粒径0.1μm以下の酸化セリウム
    微粒子を分散した保護膜が形成されてなることを特徴と
    する紫外線遮蔽ガラス。
JP20576192A 1992-07-31 1992-07-31 紫外線遮蔽膜および紫外線遮蔽ガラス Pending JPH0656479A (ja)

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