JPH0653977B2 - ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド構造体からなる繊維の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド構造体からなる繊維の製造方法

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JPH0653977B2
JPH0653977B2 JP62005586A JP558687A JPH0653977B2 JP H0653977 B2 JPH0653977 B2 JP H0653977B2 JP 62005586 A JP62005586 A JP 62005586A JP 558687 A JP558687 A JP 558687A JP H0653977 B2 JPH0653977 B2 JP H0653977B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、線状低密度ポリエチレンと結晶性ポリプロピ
レンとのブレンド構造体からなる繊維の製造方法に関す
るもので、特に柔軟性と風合に優れ、しかも表面欠点の
少ないスパンボンド不織布を得るのに好適な繊維を高速
の吸引引取り速度で効率よく安定して製造できる方法を
提供しようとするものである。
(従来の技術) 従来より、異なる溶融温度を有する繊維を含有する不織
布が当業界ではよく知られている。低い溶融温度を有す
る繊維は、高い溶融温度を有する繊維同士を結合させる
接着剤として作用する。ポリエチレンとポリプロピレン
を含有する繊維は、比較的低い溶融温度とその他の望ま
しい特性を有しているので、不織布の素材としてよく使
用される。しかしながら、ポリエチレンは高速で製糸す
ることが困難であるため、製糸とウエブ作成を連続的に
行ういわゆるスパンボンド方式でポリエチレンとポリプ
ロピレンを含有する繊維からなる不織布を得ることは困
難であった。しかも、上記繊維は製糸性に劣るため、接
着剤としては不満足なものであった。
また、ポリエチレン繊維の素材として、従来、低密度ポ
リエチレンや高密度ポリエチレンが用いられていたが、
最近に至り特開昭60−209010号公報及び特開昭60−1941
13号公報に記載されたように、エチレンとオクテン−1
を共重合して得られる線状低密度ポリエチレンが用いら
れるようになってきた。
例えば、特開昭60−194113号公報には、線状低密度ポリ
エチレンとその他のオレフインポリマーとの配合物から
構成され、織布、非織布又はメリヤス布地を得るのに好
適な繊維あるいはフイラメントに関する技術が開示され
ている。しかしながら、この繊維あるいはフイラメント
は、前記公報の記載から明らかなようにメルトインデツ
クスが2.0 〜6.0 g/10分といった高粘度線状低密度ポ
リエチレンと低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレンあるいはポリブテンとの配合物から
なるものであって、このような高粘度物を用いるがゆえ
に柔軟性に劣るものとなる。また、この技術は、前記繊
維あるいはフイラメントを製造するに際し、通常の溶融
紡糸装置を用いて巻き取り速度1000〜1500m/分という
低速度で溶融紡糸するものであり、仮に高速度で溶融紡
糸しようとすると前記のような高粘度物を用いるため必
然的に溶融温度を高くしなければならず、経時的に紡糸
口金面の汚れ増加により糸切れが増大し、製糸性が低下
するという問題を有している。
一方、特開昭59−82406 号公報には、直鎖状低密度ポリ
エチレンと結晶性ポリオレフインとの組成物からなる繊
維に関する技術が開示されているが、この繊維とは、前
記公報の記載から明らかなようにメルトインデツクスが
0.2 〜15g/10分といった高粘度の線状低密度ポリエチ
レンと結晶性ポリオレフインとの組成物からなる30デニ
ール以上の太繊度のモノフイラメントであって、このよ
うな高粘度物を用いるがゆえに柔軟性に劣るものとな
り、また、製造するに際して、引取り速度約40〜50m/
分という低速度で製糸するものである。
また、特開昭59−36147 号公報にも、密度0.90〜0.97g
/cm3のポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを包含
する。)からなる組成物で構成されたフイラメントに関
する技術が開示されているが、このフイラメントも、前
記公報の記載から明らかなようにメルトインデツクスが
4g/10分以下のような高粘度のポリエチレンからなる
380 デニールのような太繊度のモノフイラメントであっ
て、また、製造するに際して、延伸速度150 m/分程度
の低速度で得られるものである。
すなわち近年、スパンボンド方式で不織布を得るため
に、あるいはマルチフイラメントの長繊維糸条等を得る
工程を簡略化して製造原価を低減するために、紡糸速度
を3000〜5000m/分程度に高速化する傾向が強くなって
きている。しかしながら、上述の各公報に記載された技
術は、いずれも高粘度の直鎖状(線状)低密度ポリエチ
レン単体を採用するものであって、スパンボンド方式の
ような高速紡糸には適用することができないものであ
る。しかも得られた繊維あるいはフイラメントは、柔軟
性に劣るものとなるのである。
ところで、上述のような高速紡糸に要求される可紡性
は、高紡糸温度領域では満足できるものである。しかし
ながら、その可紡性は経時的安定性に対しなお不満足な
ものである。すなわち、溶融紡出されたマルチフイラメ
ントの長繊維糸条をエアーサツカー等の吸収引引取り手
段で引取り連続してウエブ作成を行ういわゆるスパンボ
ンド方式において、紡糸温度を線状低密度ポリエチレン
の溶融温度よりかなり高くすることにより高速吸引引取
りが可能で細いデニールの繊維を得ることは確かに可能
であるが、経時的に紡糸口金面が汚れ、糸曲がりや断糸
というトラブルが生じるという問題点がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記問題を解決し、溶融紡糸時に従来困難で
あったような高速の吸引引取り速度を採用でき、しかも
紡糸口金面に汚れが生じることがなく経時的に安定して
製造でき、さらに柔軟性に優れた繊維の製造方法を提供
しようとするものである。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は、オクテン−1を含有する線状低密
度ポリエチレンと、結晶性ポリプロピレンとのブレンド
構造体からなる繊維を溶融紡糸するに際し、前記線状低
密度ポリエチレンとしてメルトインデツクスがASTM
のD-1238(E)の方法で測定して25〜100g/10分、融解熱
が25cal/g以上の線状低密度ポリエチレンを用い、前記
結晶性ポリプロピレンとしてメルトフローレートがAS
TMのD-1238(L)の方法で測定して15g/10分以下の結
晶性ポリプロピレンを用い、かつ前記線状低密度ポリエ
チレン:前記結晶性ポリプロピレンのブレンド比(重量
%)を95〜50:5〜50として、紡糸温度210 〜230 ℃で
溶融紡出し、紡出繊維糸条をエアーサツカーにより吸引
速度8000m/分以上で吸引引取ることを特徴とするポリ
エチレンとポリプロピレンのブレンド構造体からなる繊
維の製造方法、を要旨とするものである。
本発明で用いるブレンド構造体中の線状低密度ポリエチ
レンは、エチレンとオクテン−1との線状低密度コポリ
マーで、繊維形成能に着目すれば、一般に知られている
ように、オクテン−1を実質的に1〜15重量%含有する
必要がある。すなわち、線状低密度ポリエチレン中のオ
クテン−1の含有量が15重量%を超えると細い繊度の繊
維を得ることが困難であり、逆に、1重量%未満である
と得られる繊維が硬くなり、例えばスパンボンド不織布
のような製品になってからの風合が劣るので好ましくな
い。なお、該線状低密度ポリエチレンには、吸湿剤や潤
滑剤、顔料、染料、安定剤、難燃剤等の添加剤が加えら
れてもよい。
さらに上記線状低密度ポリエチレンは、従来から知られ
ているように、密度が0.900 〜0.940 g/cm2となる必
要がある。密度が0.940g/cm3を超えると繊維自体の軽
量化が図れず、逆に、0.900g/cm3未満であると機械的
に高性能の繊維を得ることが困難であり、いずれも不織
布としたとき好ましくない。
本発明においては、上記ブレンド構造体の線状低密度ポ
リエチレンと結晶性ポリプロピレンの両者の溶融粘性が
特に重要である。すなわち、線状低密度ポリエチレン
は、メルトインデツクスがASTMのD-1238(E)の方法
で測定して25〜100g/10分のものである。このメルトイ
ンデツクスが25g/10分未満では、溶融紡糸時にブレン
ド構造体からなる吐出糸条の溶融弾性があがるため、本
発明により紡糸速度が8000m/分以上となる高速紡糸を
行う際に、吐出糸条の均一な細化ができにくくなった
り、あるいは細化むらによって紡出糸条が断糸したりす
る。このため、線状低密度ポリエチレン単体の場合より
も却って製糸性が劣る結果になる。一方、線状低密度ポ
リエチレンのメルトインデツクスが100g/10分を超える
と、線状低密度ポリエチレンと結晶性ポリプロピレンの
各溶融粘性があまりにも異なるため均一なブレンド状態
が得られず、その結果、本発明により紡糸速度が8000m
/分以上となる高速紡糸を行う際に、吐出糸条が紡糸口
金面直下で断糸するという重大な欠陥を生じる。
上記のような理由で、線状低密度ポリエチレンのメルト
インデツクスは、25〜100g/10分とし、好ましくは35〜
80g/10分、より好ましくは40〜70g/10分の範囲とす
るのがよい。
本発明において、線状低密度ポリエチレンは、融解熱が
25cal/g以上のものである。この融解熱とは、以下のよ
うにして測定したものである。すなわち、パーキンエル
マー(Perkin-Elmer)社製DSC−2C型熱分析器を使
用し、試料約5mgを採取し、走査速度(Scan Rate)を20
℃/分として室温より昇温して得られるDSC曲線から
同装置のマニユアルに従って求める。
線状低密度ポリエチレンが25cal/g以上の高い融解熱を
有するということは、このポリマーが結晶構造的に安定
したものあるいは結晶化度の高いものであることを意味
し、結果としてこのブレンド構造体からなる繊維が安定
した構造を有することになる。この融解熱が25cal/g未
満であると、溶融紡糸時の冷却工程で形成される結晶構
造が不安定となり、繊維の経時安定性が劣ることになる
ので好ましくない。
また、製糸工程において吸引引取りを行うに際しても、
この融解熱が25cal/g未満であると、結晶構造が不安定
になり、しかも配向が進みにくいため、吸引力を増大さ
せなければ高速で細い繊維を製糸することができず、ま
た得られる繊維には高吸引力で引取りを行うため損傷が
生じる。これに対し融解熱が25cal/g以上であると、吸
引力を増大させることなく細い繊維を製糸することがで
き、したがって柔軟性に優れた繊維を得ることができ
る。
本発明で用いるブレンド構造体中の結晶性ポリプロピレ
ンは、アイソタクチツクポリプロピレンであって、メル
トフローレートがASTMのD-1238(L)の方法で測定し
て15g/10分以下のものである。このメルトフローレー
トが15g/10分を越えかつ20g/10分未満の範囲である
場合には、原則として線状低密度ポリエチレンとのブレ
ンドが均一に行われにくい。例外的に、メルトインデツ
クスを80〜120g/10分と高くして溶融粘度を低下させた
線状低密度ポリエチレンと組み合わせるなら、均一にブ
レンドできることもあるが、適用可能なブレンド率の範
囲や紡糸温度の範囲が狭く、また経時的に不安定になり
やすくなる。メルトフローレートが20g/10分以上であ
ると、線状低密度ポリエチレンとのブレンドが均一にな
されない。すなわち、両成分のブレンド構造においてポ
リプロピレンセグメントが線状低密度ポリエチレン中で
繊維軸方向において「流れすぎ」るために、製糸工程に
おける吸引引取り速度が低下することになる。
本発明にもとづきポリエチレンとポリプロピレンとのブ
レンド構造体からなる繊維を製造する際には、上記のよ
うな線状低密度ポリエチレンと結晶性ポリプロピレンと
を一緒にブレンドし、次いで従来公知の紡糸設備で紡糸
すればよい。すなわち、ブレンドの後、これを溶融紡糸
装置を用い紡糸温度210 〜230 ℃で溶融紡出し、紡出繊
維糸条をエアーサツカーにより8000m/分以上の高速で
吸引引取るのである。
本発明にもとづきブレンド構造体からなる繊維を製造す
るに際して、紡糸温度には次のような考慮を払えばよ
い。すなわち上述のように通常よりも溶融粘度の低い線
状低密度ポリエチレンに結晶性ポリプロピレンをブレン
ドすることにより、下記のような低い紡糸温度でも、80
00m/分以上の高速吸引引取りが可能となり、また、従
来から問題となっている紡糸口金面の汚れを防止するこ
とが可能となるものである。
具体的には、線状低密度ポリエチレン単体は高速吸引引
取り性を考慮すれば250 ℃付近の紡糸温度が、また結晶
性ポリプロピレン単体は270 ℃付近の紡糸温度が通常適
用されるが、本発明で用いるブレンド構造体の紡糸に際
しては、上述のように溶融粘度の低い線状低密度ポリエ
チレンと結晶性ポリプロピレンとをブレンドすること
で、210 〜230 ℃という低い紡糸温度が適用される。紡
糸温度が230 ℃を超えると、紡糸のための溶融後の粘度
が低下しすぎて繊維化が困難になる。また紡糸温度が21
0 ℃未満であると、溶融後の粘度が高くなり過ぎて均一
な細化ができず、やはり繊維化が困難になる。なお、繊
維断面形状は丸に限らず、スリツト部を有する異型ある
いは中空断面でも何ら限定されるものではない。
本発明では、紡出繊維糸条をエアーサツカーにより吸引
引取るに際し、その吸引引取り速度を8000m/分以上の
高速にする。上記のように溶融粘度の低い特定範囲の線
状低密度ポリエチレンに特定範囲の結晶性ポリプロピレ
ンをブレンドすることにより、このような高速吸引引取
りが可能となる。
また、線状低密度ポリエチレンと結晶性ポリプロピレン
のブレンド比率も、高速吸引引取り性に大きく関与す
る。線状低密度ポリエチレン単体がポリプロピレン単体
の製糸工程における吸引引取り速度は、最大でも2000〜
4000m/分程度であり、本発明の場合ほど高速にならな
い。また、結晶性ポリプロピレンの量が線状低密度ポリ
エチレンの量より多くなると、逆に製糸性は劣る結果と
なる。さらに、線状低密度ポリエチレンの代わりに高密
度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンを用いた結晶性
ポリプロピレンとのブレンド構造体についてその製糸性
を比較してみると、その製糸工程における吸引引取り性
は製糸不能であったり、製糸できても高速では行えな
い。
本発明で用いるブレンド構造体のブレンド構造では、繊
維断面及び軸方向に対し線状低密度ポリエチレンの海部
分にポリプロピレンが島成分として位置する。製糸性に
大きく起因するのは島成分の大きさである。両成分の溶
融粘性が近すぎると、かなり小さな島成分となる。その
結果、溶融弾性が上がりすぎ、8000m/分以上の高速吸
引引取りに耐えられない。逆に、両成分の溶融粘性があ
まりにも異なりすぎると島成分が大きくなりすぎ両成分
がマクロな形状で吐出されるため、同様に製糸工程で80
00m/分以上の高速吸引引取りに耐えられない。
このように本発明は、線状低密度ポリエチレンと結晶性
ポリプロピレンとのブレンド構造体からなる細繊度の繊
維を、上述の8000m/分以上の高速度で得るものであ
る。例えば、前述の特開昭60−194113号公報に記載され
た線状低密度ポリエチレン単体の場合は、単糸繊度の大
きい繊維を、1000〜1500m/分程度の低速でしか製糸で
きない。同様に前述の特開昭59−82406 号公報の場合
は、単糸繊度の大きな繊維を、40〜50m/分程度の低速
でしか製糸できない。仮に紡糸温度を線状低密度ポリエ
チレンの溶融温度よりかなり高くすれば、単糸繊度が細
い繊維を製糸可能であるが、経時的にみると紡糸口金面
が汚れ、糸曲がりや断糸というトラブルが生じる。
これに対し、本発明では、上記特定範囲のメルトインデ
ツクス及び融解熱を有する線状低密度ポリエチレンを用
い、しかもこの線状低密度ポリエチレンに上記特定範囲
のメルトフローレートを有する結晶性ポリプロピレンが
特定範囲のブレンド比率でブレンドされてなるブレンド
構造体を用いることにより、製糸工程で糸曲がりや断糸
というトラブルを生じることなく8000m/分以上での高
速吸引引取りが可能で、しかも細い繊維を安定して製造
することができるのである。そして、溶融紡糸時の製糸
性が優れるため吸引力を増大させることなく細い繊維の
高速吸引引取りが可能であり、したがって繊維に損傷が
生じることがない。
本発明の方法により得られるポリエチレンとポリプロピ
レンとのブレンド構造体からなる繊維を用いて作成され
るスパンボンド不織布は、線状低密度ポリエチレン単体
のものや結晶性ポリプロピレン単体のものより引張強
力、柔軟性に優れ、しかも不織布の構成繊維に損傷が生
じていないので表面欠点の少ない目付の均一性に優れた
ものとなる。さらに、ポリプロピレン特有の「ぬめり」
が全くない良好な風合も有している。
本発明方法により得られた繊維を用いてなるスパンボン
ド不織布は、柔軟度が1.5 以下の柔軟性を有するもので
ある。この柔軟度とは、不織布の目付1g/m2当りのト
ータルハンド値を表すもので、この数値が小さいほど柔
軟性に優れることを意味している。
この柔軟度は、JIS L-1096に記載のハンドル・オ・メー
タ法に準じ、スロツト幅10mmで測定したトータルハンド
値(g)を目付(g/m2)で除して得られるものであ
る。例えば、不織布の目付が50g/m2でトータルハンド
値が65gであると、柔軟度は65gを50g/m2で除して1.
3 となる。この不織布は、上記のブレンド構造体からな
る繊維を用いるので、柔軟度が1.5 以下の柔軟性に優れ
たものとなる。
本発明により得られたブレンド構造体からなる繊維を用
いて不織布を製造するに際しては、製糸工程とウエブ作
成工程とを連続して行ういわゆるスパンボンド方式によ
り製造することができる。すなわち、上記特定範囲の線
状低密度ポリエチレンと特定範囲の結晶性ポリプロピレ
ンとのブレンド構造体を紡糸温度210 〜230 ℃で溶融紡
出し、紡出繊維糸条をエアーサツカーにより高速で吸引
引取り、コロナ放電等の開繊装置で開繊し、連続して移
動する金網状物の上に堆積させてウエブを作成し、次い
で加熱されたエンボスロールにより熱圧着処理を施して
繊維間に熱圧着部を形成することにより製造することが
できる。
(実施例) 次に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明
する。
まず、第1表および第2表に示したとおりの種々のポリ
エチレンとポリプロピレンを準備した。
次に、第3表に示す条件で溶融紡糸を行った。溶融紡糸
に際し、エアーサツカーを用い紡出糸条を表中に示す吸
引速度で引取り、表中に示す長繊維糸条を得た。第3表
において、ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド
比率の欄のアルフアベツトの記号は、第1表の試料記号
と対応している。
各例とも、0.4 mmの孔径で孔数が80の紡糸口金を用い、
1孔当たりの吐出量を1.5 g/分として溶融紡糸を行っ
た。
第3表には、製糸性の評価結果及び糸質をも示す。
実施例1〜3および比較例1〜2 第1〜3表から明らかなように、本発明が規定する範囲
内のポリエチレンとポリプロピレンのブレンド構造体で
あって、そのブレンド比を本発明の範囲内で変化させた
ものにより製糸を行った実施例1〜3の場合は、2g/
d程度以上の実用上十分な強度を有する高性能のものを
高速製糸性よく得ることができた。
比較例1および2は、ポリエチレンおよびポリプロピレ
ンの試料自体は本発明に規定の範囲内のものてあった
が、そのブレンド比が本発明の範囲を外れていたため、
本発明により期待される満足な製糸性が得られなかっ
た。
例えば、比較例1の線条低密度ポリエチレン単体の場合
は、吸引引取り速度、糸性能、風合とも優れていたが、
紡糸口金面汚れが多く、これに起因する糸切れがみら
れ、製糸性はよくなかった。
比較例2では、ポリプロピレンが重量%で50%を超えて
いるため、製糸性が低下し、また、風合においても「ぬ
めり」が発生した。
実施例4〜5、比較例3〜4 実施例4は、メルトインデツクスが25g/10分である試
料記号Bの線状低密度ポリエチレンを用いた場合の例を
示す。第3表から明らかなように、ポリエチレンのメル
トインデツクスがこのように低めである場合には、ブレ
ンドするポリプロピレンも実施例1〜3に比べてメルト
フローレート値の小さな試料記号Mのものを使用するの
が適当であった。また、このようにポリエチレンおよび
ポリプロピレンの溶融粘度が高めであるので、その紡糸
温度も実施例1〜3に比べやや高めの230 ℃が適当であ
った。
実施例5は、メルトインデツクスが100 g/10分である
試料記号Cの線状低密度ポリエチレンを用いた場合の例
を示す。この場合は、溶融粘度が低めであるので、その
紡糸温度はやや低めの210 ℃が適当であった。
これに対し比較例3では、メルトインデツクスが19g/
10分であって本発明の範囲未満となった試料記号eの線
状低密度ポリエチレンを用いたため、ポリエチレンとポ
リプロピレンとの均一なブレンド状態という面では問題
は無かったが、溶融粘度が高過ぎたため、吐出糸条の溶
融弾性があがり、高速製糸性が劣っていた。
比較例4は、メルトインデツクスが120 g/10分と本発
明の範囲よりも大きな値を示す試料記号fの線状低密度
ポリエチレンを用いたときの例を示す。この場合は、ポ
リエチレンの粘度が低過ぎるため、海部分を形成するポ
リエチレン中で島部分のポリプロピレンが均一に分散せ
ずマクロに存在し、そのためポリプロピレンが製糸性を
阻害することに起因して、吐出糸条が口金面下で断糸す
る事態が生じた。
実施例6、比較例5 実施例6は、線状低密度ポリエチレンの融解熱が本発明
の範囲の25cal/gである試料記号Dの試料を用いた場合
の例を示す。他の実施例1〜5と同様に、実用上十分な
強度を有する高性能の糸条を高速製糸性よく得ることが
できた。
これに対し比較例5は、線状低密度ポリエチレンの融解
熱が本発明の範囲未満の20cal/gであったため、紡出糸
条の結晶構造の不安定性に起因する冷却性能の斑が発生
した。このため糸切れが発生し、また紡糸速度を5000m
/分以上にあげることができなかった。
比較例6、7、8 比較例6は、メルトフローレートが28g/10分と本発明
の範囲よりも大きな値を示す試料記号nの結晶性ポリプ
ロピレンを用いたときの例を示す。この場合は、海島構
造を成す海部分のポリエチレンに対して島部分のポリプ
ロピレンの溶融粘度が小さくなり過ぎたため、海部分の
繊維軸方向にポリプロピレンが流れ易く縦方向に配列
し、均一な島状に形成できず、このポリプロピレンが製
糸性を阻害することに起因して、吐出糸条が口金面下で
断糸を生じた。
比較例7は、本発明で規定するブレンド成分ではない低
密度ポリエチレンからなる試料記号hの試料を用いた場
合の例を示す。この場合は、低密度ポリエチレンの分子
結合が分岐鎖状であるため、溶融紡糸法を用いた高速紡
糸を採用することが出来なかった。この比較例7におい
て、試料記号hの低密度ポリエチレンに試料記号Lの結
晶性ポリプロピレンをブレンドすることで一応製糸可能
となったが、本発明に示すような高速吸引引取りによる
紡糸方法では到底製糸することができなかった。
比較例8は、本発明で規定するブレンド成分ではない高
密度ポリエチレンからなる試料記号iの試料を用いた場
合の例を示す。この場合の高密度ポリエチレンは線状の
主鎖をもっているが、線状低密度ポリエチレンのような
繊維用の低粘度ポリマーを重合することが出来ないこと
から、単体では製糸性が劣り、やはり溶融紡糸法を用い
た高速紡糸を行うことができなかった。
比較例9 前述の特開昭60−194113号公報の記載にならって、オク
テン−1を8重量%含有し、融点が125 ℃、メルトイン
デツクスが3.3g/10分、融解熱が36 cal/gのエチレン
/オクテン−1共重合体を準備し、0.3 mmの孔径で孔数
が80の紡糸口金を用い、紡糸温度を280 ℃、1孔当たり
の吐出量を1.2 g/分として溶融紡出し、エアーサツカ
ーを用いて紡出糸条を3800m/分の吸引速度で引き取っ
た。しかし、上述のようにメルトインデツクス値が本発
明の範囲未満であり、溶融紡糸に際して、実施例1のポ
リエチレンに対して溶融粘度があまり高過ぎるため、紡
出糸条は弾性領域に至る前の粘性状態にあり、前記吸引
速度には耐え得られず、紡出糸条の糸切れが多発した。
また、このため長繊維を得ることができなかった。
実施例7 次に本発明にもとづき製造された繊維を用いて製造され
る不織布の実施例について説明する。第1、2及び3表
に示した線状低密度ポリエチレン75重量%と結晶性ポリ
プロピレン25重量%とのブレンド構造体からなる長繊維
糸条すなわち実施例2(紡糸温度220 ℃)の溶融紡出糸
条を、エアーサツカーにより吸引引取り速度8800m/分
で吸引した。その後、開繊装置により開繊し、移動する
金網状ベルトコンベヤーの上に堆積させてウエブを作成
し、次いで、温度118 ℃に加熱されたエンボスロールに
導き圧縮、加熱処理を加えて単繊維間に熱圧着部を形成
して不織布を得た。得られた不織布が機械的に優れた性
能を有し、その風合も良好なものであった。その不織布
の性能を第4表に示す。
第4表における物性値の測定法は、次のとおりであっ
た。
引張強力(kg/3cm)は、JIS L−1096に記載のス
トリツプ法に準じ、幅30mm、長さ100 mmの試験片の最大
引張強力を測定した。
トータルハンドは、JIS L-1096に記載のハンドル・オ・
メータ法に準じ、スロツト幅を10mmとして測定した。
(発明の効果) 本発明によれば、ポリエチレンとポリプロピレンとのブ
レン構造体からなる繊維を高速で製糸することができ、
しかも製糸時に紡糸口金面の汚れの発生が少なく、この
ため製糸時の糸切れの発生を紡糸できて経時的に安定し
て製糸性良く製造することができ、また得られた繊維は
引張強力、柔軟性に優れたものであるうえにポリプロピ
レン特有の「ぬめり」が全くないものであり、このため
良好な風合を有する不織布を得るのに好適なものであ
り、特に使い捨ておむつの内張り等の衛生材やメデイカ
ル分野等の用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桐山 俊一 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 三嶋 康伸 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−194113(JP,A) 特開 昭59−82406(JP,A) 特開 昭59−36147(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オクテン−1を含有する線状低密度ポリエ
    チレンと、結晶性ポリプロピレンとのブレンド構造体か
    らなる繊維を溶融紡糸するに際し、前記線状低密度ポリ
    エチレンとしてメルトインデツクスがASTMのD-123
    8(E)の方法で測定して25〜100g/10分、融解熱が25cal/
    g以上の線状低密度ポリエチレンを用い、前記結晶性ポ
    リプロピレンとしてメルトフローレートがASTMのD
    -1238(L)の方法で測定して15g/10分以下の結晶性ポリ
    プロピレンを用い、かつ前記線状低密度ポリエチレン:
    前記結晶性ポリプロピレンのブレンド比(重量%)を95
    〜50:5〜50として、紡糸温度210 〜230 ℃で溶融紡出
    し、紡出繊維糸条をエアーサツカーにより吸引速度8000
    m/分以上で吸引引取ることを特徴とするポリエチレン
    とポリプロピレンとのブレンド構造体からなる繊維の製
    造方法。
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