JPH065346A - 端子圧着装置 - Google Patents

端子圧着装置

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JPH065346A
JPH065346A JP4163046A JP16304692A JPH065346A JP H065346 A JPH065346 A JP H065346A JP 4163046 A JP4163046 A JP 4163046A JP 16304692 A JP16304692 A JP 16304692A JP H065346 A JPH065346 A JP H065346A
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electric wire
upper die
terminal
crimper
wire
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富士郎 有満
Fujio Ogawa
不二夫 小川
Teiji Sakuma
悌二 佐久間
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】サーボモータ58を回転させると、スライド部
材60が上下に変位する。これにより、スライド部材6
0にリンク53,55などにより連結されている上型保
持部材51の上下変位の基準位置が変化する。その結
果、上金型31のワイヤークリンパの下死点位置が変化
し、クリンプハイトが調整される。上金型31には、上
型保持部材51に対してスライド可能に設けられたイン
シュレーションクリンパが設けられている。このインシ
ュレーションクリンパのスライド変位幅は、ステッピン
グモータ87を回転させることで増減される。これによ
り、ビニルハイトの調整が達成される。 【効果】電線の種類に速やかに対応してクリンプハイト
およびビニルハイトを独立して調整できるので、複数種
類の電線に対する端子の圧着を1台の端子圧着装置で良
好に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車や複写機などの
ワイヤーハーネスを構成する電線の端部などに端子を圧
着するための端子圧着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数本の被覆電線を結束して構成される
ワイヤーハーネスの製造工程は、電線長の計測および切
断工程、電線の端部の被覆を剥ぐ皮剥ぎ工程、皮剥ぎさ
れた電線の端部の導体に端子を圧着する端子圧着工程、
端子をコネクタハウジングに挿入する端子挿入工程、な
らびにコネクタが取り付けられた電線を結束する結束工
程などを含む。
【0003】電線に端子を圧着するための一般的な端子
圧着装置は、プレス台上に配置された下金型と、この下
金型に対向して設けられた上金型とを有し、下金型上に
端子を載置し、この端子上に電線を配置して、上金型を
下金型に向けて変位させる構成となっている。ワイヤー
ハーネスは多数の被覆電線から構成されているから、電
線と端子との圧着を極めて多数回に渡って行わなければ
ならない。そこで、多数回にわたる端子圧着を自動で行
うための装置が従来から提案されている。
【0004】たとえば、典型的な従来の装置では、端部
を皮剥ぎした複数本の電線を一定間隔を開けて整列状態
で保持する電線保持手段が備えられ、この電線保持手段
が電線の配列方向に間欠的に搬送されることで、上金型
と下金型との間の中間位置に、端子を圧着すべき電線の
端部が順次供給される。また、電線の供給と同期するよ
うに下金型には端子が順次供給される。端子および電線
が供給された後に上金型を下金型に向けて変位させる
と、上金型の変位途中で電線が上金型に当接して下金型
上の端子に導かれる。この状態から、上金型をさらに下
金型に向けて変位させることにより、端子が変形して圧
着が達成される。このような動作が繰り返されることに
より、複数回に渡る端子の圧着を自動で行わせることが
できる。
【0005】図17は、電線に端子を圧着した状態を拡
大して示す図である。端子33には、電線1の皮剥ぎさ
れた芯線部163をかしめるためのワイヤーバレル16
4と、電線1の被覆部165をかしめるためのインシュ
レーションバレル166とが設けられている。すなわ
ち、ワイヤーバレル164を変形させて芯線部163に
圧着させることにより、この芯線部163と端子33と
の導通が得られ、また、芯線部163と端子33との接
続の機械的強度が得られる。さらに、インシュレーショ
ンバレル166で被覆部165をかしめることによっ
て、充分な引張り強度が得られる。
【0006】ワイヤーバレル164におけるかしめ厚さ
であるクリンプハイトC/H は、芯線部163の太さに応
じて最適値に設定される必要がある。すなわち、芯線部
163に太さに対してクリンプハイトC/H が小さいと、
圧着時に芯線部163が切断されるおそれがあり、クリ
ンプハイトC/H が大きいと導通不良になったり接続の機
械的強度が不十分になったりするおそれがある。同様
に、インシュレーションバレル166におけるかしめ厚
さであるビニルハイトV/H も、被覆部165の太さに応
じた最適値に設定される必要がある。すなわち、ビニル
ハイトV/H が被覆部165の太さに対して小さめに設定
されると、被覆が切断されるおそれがあり、逆に大きめ
に設定されると、引張り力に対する強度不足となるおそ
れがある。
【0007】端子圧着装置におけるクリンプハイトC/H
およびビニルハイトV/H の調整は、従来では、手動によ
り行われている。すなわち、圧着すべき電線の芯線の太
さおよび被覆部の太さに応じてクリンプハイトC/H およ
びビニルハイトが手作業により調整され、そのうえで電
線の圧着が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ワイヤーハーネスで
は、極めて多数本の電線が用いられる。この多数本の電
線のなかには、異なる種類の電線であっても同一種類の
端子が圧着されるものもある。同一種類の端子の圧着は
1台の端子圧着装置により行えるから、基本的には、同
一種類の端子を圧着すべき複数種類の電線に対する端子
圧着処理は1台の端子圧着装置で対応できる。
【0009】しかし、上記のように電線の種類毎にクリ
ンプハイトC/H およびビニルハイトV/H を調整する必要
があるから、複数種類の電線を搬送しながら端子の圧着
を連続的に行わせようとすると、各電線の種類に対応し
た複数台の端子圧着装置が必要となる。したがって、端
子の種類毎だけでなく、電線の種類毎にも端子圧着装置
が必要となり、多数台の端子圧着装置を要するという問
題が生じる。
【0010】このような問題は、複数種類の電線を布線
板上で所定パターンに自動布線し、布線板を搬送しなが
ら布線板に保持された複数種類の電線の端部に端子を自
動で連続的に圧着する場合などには不可避である。この
ため、電線の布線からコネクタハウジングへの端子の挿
入に至る作業を自動で行わせる場合に、多数の端子圧着
装置を要することになり、生産ラインにおいて端子圧着
装置が占めるスペースが極めて大きくなってしまう。し
たがって、ワイヤーハーネスの生産装置全体が大型化す
るという問題があった。のみならず、多数の端子圧着装
置を要するので、コスト高となるという問題もあった。
【0011】そこで、本発明の目的は、上述の技術的課
題を解決し、電線の種類に速やかに対応してクリンプハ
イトおよびビニルハイトの調整を行うことができ、した
がって、複数種類の電線と端子との圧着を良好に行うこ
とができる端子圧着装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】上記の目的を
達成するための請求項1記載の端子圧着装置は、被覆電
線の芯線部を保持するワイヤーバレルおよび被覆部を保
持するインシュレーションバレルを有する端子と被覆電
線とを上型と下型との間で挟み、端子を変形させてワイ
ヤーバレルで被覆電線の芯線部をかしめさせるとともに
インシュレーションバレルで被覆部をかしめさせること
により、端子を被覆電線に圧着する端子圧着装置におい
て、上記上型は、ワイヤーバレルに当接する第1クリン
パと、インシュレーションバレルに当接する第2クリン
パとを有し、上記端子圧着装置は、上記上型と下型とを
近接/離反変位させる駆動機構と、上記上型と下型とが
最も近接したときの上記第1クリンパと下型との間の距
離を可変制御して、上記ワイヤーバレルのかしめ厚さで
あるクリンプハイトを調整するクリンプハイト調整手段
と、上記上型と下型とが最も近接したときの上記第2ク
リンパと下型との間の距離を可変制御して、上記インシ
ュレーションバレルのかしめ厚さであるビニルハイトを
上記クリンプハイトとは独立に調整するビニルハイト調
整手段とを含むことを特徴とする。
【0013】この構成によれば、上型にはワイヤーバレ
ルに当接する第1クリンパと、インシュレーションバレ
ルに当接する第2クリンパとが設けられており、上型と
下型とが駆動機構により近接変位させられらて両者が最
も近接したときにおける第1、第2クリンパと下型との
間の距離が、それぞれクリンプハイト調整手段およびビ
ニルハイト調整手段により可変制御される。
【0014】これにより、ワイヤーバレルのかしめ厚さ
であるクリンプハイトおよびインシュレーションバレル
のかしめ厚さであるビニルハイトが調整される。ビニル
ハイト調整手段によるビニルハイトの調整は、クリンプ
ハイトの調整とは独立に行われる。このように、端子圧
着装置においてクリンプハイトおよびビニルハイトを調
整する手段が設けられているので、手作業によることな
くクリンプハイトおよびビニルハイトを調整することが
できる。
【0015】これにより、電線の種類に速やかに対応し
て、クリンプハイトおよびビニルハイトの調整を行うこ
とができる。請求項2記載の端子圧着装置は、複数本の
電線を所定の整列状態で保持する電線保持手段と、この
電線保持手段を搬送することにより、上記上型と下型と
の間に電線を順次供給する電線供給手段と、上記電線保
持手段に保持された電線の種類および配列に対応した加
工情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶され
た上記加工情報に従い、上記上型と下型との間に供給さ
れる電線の種類に対応して上記クリンプハイト調整手段
および上記ビニルハイト調整手段を制御する制御手段と
をさらに含むことを特徴とする。
【0016】この構成によれば、電線保持手段が電線供
給手段により搬送され、これにより電線保持手段に所定
の整列状態で保持された電線が順次供給される。電線保
持手段に保持された電線の種類および配列に対応した加
工情報は、記憶手段に記憶されており、この記憶手段に
記憶された加工情報に従って、制御手段により、クリン
プハイト調整手段およびビニルハイト調整手段が制御さ
れる。
【0017】このため、上型と下型との間に順次供給さ
れる電線の種類に対応して、適切なクリンプハイトおよ
びビニルハイトが自動的に設定され、これにより、複数
種類の電線に対する端子の圧着を連続的に行える。請求
項3記載の端子圧着装置は、上記電線保持手段は、この
電線保持手段に保持された電線の種類および配列に対応
して定められた識別情報を担持した識別情報担持部を有
し、上記端子圧着装置は、さらに、上記識別情報担持部
に担持された識別情報を読み取る読取手段と、上記記憶
手段から、読み取られた識別情報に対応する上記加工情
報を読み出して上記制御手段に与える手段とを含むこと
を特徴とする。
【0018】この構成では、電線保持手段に電線の種類
および配列に対応して定められた識別情報を担持した識
別情報担持部が設けられている。そして、この識別情報
は読取手段により読み取られ、読み取られた識別情報に
対応した加工情報が記憶手段から読み出されて制御手段
に与えられる。これによって、電線保持手段に保持され
た電線の種類および配列が種々の態様を有する場合で
も、各態様に自動で対応させて、個々の電線への端子の
圧着を、適切なクリンプハイトおよびビニルハイトを設
定して良好に行わせることができる。
【0019】請求項4記載の端子圧着装置は、上記駆動
機構は、固定配置された本体部と、この本体部に対して
所定方向にスライド自在であるように取り付けられ、上
記上型を保持する上型保持部材とを含み、上記第1クリ
ンパは、上記上型保持部材に対して固定的に設けられて
おり、上記第2クリンパは、上記上型保持部材に対して
上記所定方向に沿って変位可能に設けられており、上記
クリンプハイト調整手段は、上記上型保持部材のスライ
ド変位の基準位置を上記所定方向に沿って変化させるも
のであり、上記ビニルハイト調整手段は、上型保持部材
に対する上記第2クリンパの変位幅を増減するものであ
ることを特徴とする。
【0020】この構成では、上型保持部材のスライド変
位の基準位置を変化させることで、この上型保持部材に
対して固定的に設けられた第1クリンパの下死点が変化
させられ、これによりクリンプハイトの調整が達成され
る。また、上型保持部材に対してスライド変位可能に設
けられた第2クリンパの変位幅を増減することによって
ビニルハイトが調整される。すなわち、第2クリンパが
端子のインシュレーションバレルに当接してから上型保
持部材が下死点に至る過程で第2クリンパに許容される
上型保持部材に対する相対変位量が増減させられること
で、上型保持部材が下死点に至った時点における第2ク
リンパの到達点が変化し、これによりビニルハイトの調
整が達成される。
【0021】
【実施例】以下では、本発明の実施例を、添付図面を参
照して詳細に説明する。図3は本発明の一実施例の端子
圧着装置の全体の構成を示す斜視図である。複数本の電
線1が所定パターンに布線された布線板2は、搬送機構
3によって、矢印R1方向に間欠的に搬送される。布線
板2の搬送経路に沿って異なる種類の端子の圧着を担当
する複数の端子圧着装置M1,M2,M3,M4(総称
するときには「端子圧着装置M」という。)が配置され
ている。布線板2は電線1の端部を、端子圧着装置Mに
対向する側縁2aに所定の整列状態で保持している。な
お、端子圧着装置Mに導かれる以前に、図外の皮剥装置
によって電線の端部の被覆は一定長だけ除去されてい
る。
【0022】各端子圧着装置Mは、それぞれ1種類の端
子の圧着を担当し、布線板2に保持された電線1の種類
に応じて圧着条件を変化させる。具体的には、図17に
示されたワイヤーバレル164のかしめ厚さであるクリ
ンプハイトC/H およびインシュレーションバレル166
のかしめ厚さであるビニルハイトV/H を、電線1の種類
に応じて変化させる。
【0023】図4は布線板2の詳しい構成を示す平面図
である。布線板2は、布線用ピンが立設されるピンボー
ド2Aと、このピンボード2Aを保持しているとともに
搬送機構3により搬送されるベースプレート2Bとを有
している。ピンボード2Aの表面には所望の布線パター
ンに対応する位置に複数の布線用ピン5が立設されてい
る。図外の布線装置は、電線1を布線用ピン5に順に巻
き掛けていくことで、電線1を布線する。ベースプレー
ト2Bにおいて、端子圧着装置Mに対向する側縁4に
は、電線1の端部を一定間隔で保持することができる電
線クランプ6が配置されている。
【0024】ピンボード2Aの裏面には、当該布線板2
に布線されて電線クランプ6に端部が配列される個々の
電線1の種類とその配列状態とに対応した識別情報であ
る布線板番号を表すバーコードを形成したラベル(図示
せず。)が貼着されている。このバーコードは、布線板
2の搬送経路上の所定位置に設けられた光学的読取装置
により読み取られ、端子圧着装置Mの動作制御のために
供される。具体的には、上記のクリンプハイトC/H およ
びビニルハイトV/H の調整のために用いられる。
【0025】上記のように本実施例では、電線クランプ
6を含む布線板2が電線保持手段に対応しており、ピン
ボード2Aの裏面に識別情報担持部に相当するバーコー
ドラベルが貼着されている。電線クランプ6の構成は、
図5に拡大して示されている。すなわち、電線クランプ
6は、電線を一本ずつ保持する図5(a) に示されたクラ
ンプ部材7を、図5(b) に示す長尺状のフレーム10に
一定ピッチで取り付けて構成されている。なお、図5
(b) は、フレーム10の長手方向に交差する切断面から
見た断面図である。
【0026】クランプ部材7は、先端をテーパー状に形
成した一対の挟持片8と、この一対の挟持片8を相互に
近接する方向に付勢する略U字状の板ばね9とを有して
いる。各挟持片8の基端部には相互に向かい合う半円柱
状の凹部が形成されており、この凹部により孔8aが形
成されている。フレーム10は長手方向に交差する断面
が略U字状に形成されており、このフレーム10の一対
の立ち上がり部10aに形成した取付け孔14と一対の
クランプ部材7の上記凹部で形成される孔8aとを取付
けピン11が挿通している。また、板ばね9の底部に形
成された孔12を挿通してボルト13がフレーム10の
内底面10bに螺着されている。
【0027】フレーム10の底部には長手方向に沿う位
置決め溝15が形成されており、この位置決め溝15が
ベースプレート2Bの側縁4に形成した位置決め用突条
16に嵌め込まれ、この状態で略L字状の取付け部材1
7によりフレーム10の長手方向およびその交差方向に
関する移動が規制されている。このようにして、ベース
プレート2Bとフレーム10とが相互に位置決めされて
固定されることになる。
【0028】電線クランプ6のクランプ部材7には、図
4に示されているように、ベースプレート2Bの側縁4
から一定長だけ突出するように電線1の端部が把持され
る。ベースプレート2Bにおいて、電線クランプ6より
も布線台2側には、布線台2から参照符号20で示すよ
うに扇形に拡散しつつ導かれる電線を平行状態に整列さ
せるための平行用くし18が配置されている。この平行
用くし18と電線クランプ6との働きにより、複数の電
線1の端部はベースプレート2Bの側縁4において一定
ピッチで相互に平行な状態で整列することになる。な
お、図5において、19は電線の高さを一定に保つため
の部材である。
【0029】図1は端子圧着装置Mの正面図であり、図
2は図1に示された構成の右側面図である。上記の電線
クランプ6により浮遊状態で保持された電線1の端部
は、搬送機構3により、参照符号30で示す基準レベル
位置を保ちながら搬送される。この基準レベル位置30
を挟んで、上方側に上金型31が配置され、下方側に下
金型32が配置されている。そして、電線1の端部に圧
着すべき端子33は、複数個が結合されて帯状になって
おり、端子送り機構70によって、下金型32上に順次
1個ずつ供給される。供給された端子33は、端子送り
機構70とこの端子33が連結されて構成された帯状体
とにより、下金型32上に位置するように保持される。
【0030】下金型32は、固定配置された略L字状の
本体部35の立上がり部35Aに対して上下にスライド
自在に取り付けられた下型保持部材36に保持されてい
る。本体部35の底部35B上には、回転軸保持部37
が取り付けられており、この回転軸保持部37には回転
軸43が適当な軸受を介して支持されている。回転軸4
3には、モータ38からギアボックス39を介した回転
力がプーリ40、ベルト41およびプーリ42を介して
伝達される。ギアボックス39は内部にクラッチを有し
ており、モータ38の駆動力の出力を制御できる構成と
なっている。
【0031】回転軸43の中間部には偏心カム44が固
定されている。偏心カム44は、図6に拡大して示され
ているように、下型保持部材36の下端部に当接する保
持体46に取り付けられたローラフォロア45を介して
下型保持部材36を支持している。したがって、回転軸
43の回転に伴って、下型保持部材36は上下動するこ
とになる。偏心カム44は、下型保持部材36の上下動
における上死点において、下金型32が上記の基準レベ
ル位置30に達するように構成されている。
【0032】下型保持部材36はスライド板66に固定
されており、このスライド板66は本体部35の立上が
り部35Aにリニアガイド65を介してスライド自在に
取り付けられている。回転軸43においてプーリ42と
は反対側の端部には、別のプーリ47が取り付けられて
いる。プーリ47にはタイミングベルト48が巻き掛け
られており、このタイミングベルト48はさらに、本体
部35の立上がり部35Aに適当な軸受けを介して支持
されている回転軸49に固定されたプーリ50に巻き掛
けられている。
【0033】本体部35の立上がり部35Aの内表面に
は、上金型31を保持した上型保持部材51が上下にス
ライド自在に取り付けられている。上型保持部材51に
は、軸52により一対のリンク53が取り付けられてい
る。リンク53は軸54により他の一対のリンク55に
連結されており、このリンク55はスライド部材60に
軸56によって取り付けられている。スライド部材60
は、本体部35の立上がり部35Aの内表面にスライド
自在に取り付けられている。スライド部材60の上方に
は本体部35の立上がり部35Aに固定されたモータ取
付け部57に取り付けられたサーボモータ58が設けら
れている。
【0034】このサーボモータ58の近傍の構成は、図
7に拡大して示されている。サーボモータの駆動力は、
カップリング80などを介して、外周面にねじを螺刻し
たねじ棒59に与えられている。このねじ棒59は、ス
ライド部材60にボルト81により固定されたボス82
の内ねじに螺合している。したがって、サーボモータ5
8を正逆回転させることにより、スライド部材60が上
下変位し、これによりスライド部材60の位置が調整さ
れる。
【0035】このように上金型31を保持した上金型保
持部材51は、図1および図2に示されているように、
リンク53,55、スライド部材60、ねじ棒59およ
びモータ取付け部材57を介して本体部35に支持され
ている。リンク53,55を連結する軸54の中間部に
は、クランク腕61の一端部が連結されている。クラン
ク腕61の他端部は上述の回転軸49の中間部に取り付
けられた偏心軸62に連結されている。偏心軸62の軸
線は回転軸49の軸線から距離Rだけずれており、この
ため回転軸49が回転すると、偏心軸62は最大で距離
2Rだけ変位する。これによって、偏心軸62にクラン
ク腕61を介して連結された軸54がほぼ水平方向に距
離2Rだけ変位することになり、この結果、リンク5
3,55は図2に示された屈曲状態と、これらのリンク
53,55が一直線をなす状態との間で変位する。その
結果、上型保持部材51が上下変位することになる。こ
の上下変位の下死点は、上型保持部材51に保持された
上金型31が端子33の圧着を完了する位置、すなわ
ち、上金型31が基準レベル位置30に達する位置であ
る。
【0036】図8は上型保持部材51の近傍の構成を拡
大して示す図であり、(a) は一部切り欠いて示す正面
図、(b) は一部切り欠いて示す側面図である。上型保持
部材51には、軸85が挿通している。軸85の一端部
にはプーリ86が取り付けられている。このプーリ86
には、モータ取付け部57に固定されたステッピングモ
ータ87(図1、図2および図7参照。)からの回転力
が、スプライン軸88および傘歯車89,90、傘歯車
90と同軸に設けられたプーリ(図示せず。)、ならび
にベルト91を介して与えられている。スプライン軸8
8は、上型保持部材51に固定された支持部材93に回
転自在に支持されている。
【0037】軸85の途中部には、外周面を穿って形成
した六面体部92が設けられている。この六面体部92
を通り軸85に垂直な切断面は図9に示されている。こ
の六面体部92は、軸85の軸線85aから各側面まで
の距離d1,d2,d3,d4,d5,d6が異なるよ
うに形成されている。こられの距離d1〜d6は、たと
えば次のような値とされている。
【0038】d1=7.00(mm) d2=7.05(mm) d3=7.10(mm) d4=7.15(mm) d5=7.20(mm) d6=7.25(mm) 図10はステッピングモータ87の近傍の構成を一部切
り欠いて示す正面図である。ステッピングモータ87の
回転は、カップリング95を介して筒状体96に与えら
れている。この筒状体96の上部には、ポテンショメー
タ97の歯車98に噛合する歯車99が固定されてい
る。また、筒状体96の下部には、スプライン軸88の
外周面に形成されたキーに整合するキーボス100がボ
ルト101により固定されている。この構成により、キ
ーボス100内におけるスプライン軸88の摺動を許容
しつつ、ステッピングモータ87からの回転力をスプラ
イン軸88に伝達することができる。したがって、上型
保持部材51の変位に伴ってスプライン軸88が上下動
しても、軸85を回転させることができる。筒状体96
の回転角は、ポテンショメータ97において検出される
から、結果として、軸85に形成された六面体部92の
角度位置が検出されることになる。
【0039】図11は上金型31の構成を示す図であ
り、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は側面図であ
る。上金型31には、端子33のワイヤーバレル164
をかしめるワイヤークリンパ104と、インシュレーシ
ョンバレル166をかしめるインシュレーションクリン
パ106とが備えられている。また、電線1を所定位置
で保持するためにばね108で付勢された電線押さえ1
09、端子33を所定位置で保持するためにばね11
0,111で付勢された端子押さえ112,113が備
えられている。114,115はスペーサである。
【0040】ワイヤークリンパ104は第1クリンパに
対応しており、このワイヤークリンパ104は上型保持
部材51に上金型31を取り付けたときに、この上型保
持部材51に対して固定的に取り付けられる。すなわ
ち、上型保持部材51に対して相対的に変位することが
できない。一方、インシュレーションクリンパ106
は、第2クリンパに対応しており、案内孔116に沿っ
て、ワイヤークリンパ103に対して相対的に変位する
ことができる。このため、結局、上型保持部材51に対
する相対変位が可能である。
【0041】上型保持部材51に上金型31を取り付け
た状態では、インシュレーションクリンパ106の直上
の位置に、軸85に形成された六面体部92(図8参
照。)が位置する。このため、インシュレーションクリ
ンパ106の案内孔116に沿う変位幅は、六面体部9
2により規制される。図12は端子送り機構70の構成
を拡大して示す正面図である。端子送り機構70は、下
型保持部材36にボルト71などにより取り付けられた
支軸72を中心に揺動する揺動部材73と、この揺動部
材73の先端部73aに揺動自在に取り付けられた送り
爪74とを有している。送り爪74の先端部は下型32
に向かって延びており、その基端部は図12において簡
略化して示すコイルばね75により下方に付勢されてい
る。
【0042】揺動部材73には、その背面に途中で屈曲
した形状のスライド孔76が形成されている。このスラ
イド孔76には本体部35に固定された軸77がスライ
ド自在に挿通されている。したがって、下型保持部材3
6の上下変位に追従して支点軸72が上下変位すると、
スライド孔76の周面に揺動方向R2,R3への外力が
加わり、この結果、揺動部材73が揺動することにな
る。このとき、送り爪74が同時に揺動し、その先端が
帯状に連結された端子33の間に生じている隙間(図示
せず。)に係合する。この係合状態で、矢印R3方向に
送り爪74が揺動することによって、端子33が下金型
32に供給されることになる。
【0043】なお、図12において、78は電線クラン
プ6に保持された電線1をガイドするためのガイド部材
である。すなわち、電線クランプ6から延び出た電線1
には僅かに変形が生じている場合もあるため、ガイド部
材78により電線1を正確に下金型32の直上の位置に
導いた状態で、端子33の圧着を行わせることとしてい
るのである。
【0044】図13は下金型32の構成を示す図であ
り、(a) は平面図、(b) は正面図、(c) は側面図であ
る。下金型32には、上金型31のワイヤークリンパ1
04に対向する位置に設けられたワイヤーアンビル12
1と、インシュレーションクリンパ106に対向する位
置に設けられたインシュレーションアンビル122とが
備えられている。さらに、帯状に連結された端子33を
切断するためのカッタ123が備えられており、このカ
ッタ123は、下型保持部材36の上下動の過程でばね
124により付勢されて、端子33の連結部を切断す
る。125はガイドである。
【0045】次に、上記の端子圧着装置の全体の動作を
説明する。端子を圧着すべき電線1が上金型31と下金
型32との間に供給される度毎に導出される所定の入力
信号に応答して、ギアボックス39内のクラッチが動作
し、回転軸43を1回転させる。すなわち、回転軸43
を1回転させた時点でギアボックス39は駆動力の出力
を停止する。
【0046】これにより、1回の端子圧着動作に対応し
て、回転軸43は1回だけ回転することになる。これに
より、偏心カム44が1回転するから、下型保持部材3
6は下死点と上死点との間を1回だけ往復変位する。回
転軸43の回転はタイミングベルト48などを介して軸
49に伝達されるから、クランク腕61は、下型保持部
材36の動作に同期して動作することになる。この結
果、下型保持部材36が上昇変位するのに同期して上型
保持部材51が下降変位し、下型保持部材36が下降変
位するのに同期して上型保持部材51が上昇変位する。
【0047】上述のように、下型保持部材36が上死点
まで変位したときに下金型32が基準レベル位置30に
達し、上型保持部材51が下死点まで変位したときに上
金型31が基準レベル位置30に達する。このため、電
線1の端部が浮遊状態で保持された基準レベル位置30
で上金型31と下金型32とが出会うことになる。した
がって、電線1は初期位置に保持されたままで、下金型
32上に保持されている端子33に変形が加えられ、こ
の端子33と電線1の端部との圧着が達成される。
【0048】このように、モータ38、回転軸43、偏
心カム44、タイミングベルト48、クランク腕61お
よびリンク53,55などにより駆動機構が構成されて
いる。上金型31と下金型32とが出会うとき、ワイヤ
ークリンパ104とワイヤーアンビル121との間でワ
イヤーバレル164(図17参照。)に変形が加えら
れ、これにより電線1の芯線部163がかしめられる。
このときのかしめ厚さであるクリンプハイトC/H は、サ
ーボモータ58の回転により制御されたスライド部材6
0の位置に依存する。すなわち、スライド部材60は上
型保持部材51のスライド変位の基準位置を規定し、し
かもワイヤークリンパ104は上型保持部材51に対し
て固定的に取り付けられているから、結局、スライド部
材60の位置によりクリンプハイトC/H が定まることに
なる。このように、サーボモータ58などによりクリン
プハイト調整手段が構成されている。
【0049】一方、上金型31と下金型32とが出会う
ときには、インシュレーションクリンパ106とインシ
ュレーションアンビル122との間でインシュレーショ
ンバレル166に変形が加えられ、電線1の被覆部16
5がかしめられる。このときのかしめ厚さであるビニル
ハイトV/H は、軸85の角度位置に依存する。すなわ
ち、上述のように、インシュレーションクリンパ106
は上型保持部材51に対して相対的にスライド変位可能
な状態で取り付けられており、このインシュレーション
クリンパ106の変位幅は軸85の六面体部92により
規制される。
【0050】具体的には、上金型31と下金型32とが
近接し、インシュレーションクリンパ106がインシュ
レーションバレル166に当接して案内孔116(図1
1参照。)に沿って上方に変位していくと、このインシ
ュレーションクリンパ106は六面体部92に当接す
る。そして、さらに上金型31および下金型32が近接
変位することによって、インシュレーションクリンパ1
06の上型保持部材51に対する相対変位が規制された
状態で上型保持部材51が変位するので、インシュレー
ションクリンパ106とインシュレーションアンビル1
22との間でインシュレーションバレル166に変形が
加えられることになる。
【0051】六面体部92は、上記のように各側面毎に
軸85の軸線85aからの距離が異なっているから、上
型保持部材51が下死点位置に達した時点におけるイン
シュレーションクリンパ106とインシュレーションア
ンビル122との間の距離は、軸85の角度位置に依存
することになる。したがって、軸85の角度位置を制御
することで、ビニルハイトV/H を6種類に可変制御でき
る。
【0052】このように、軸85を回転させるステッピ
ングモータ87や上記の六面体部92などによりビニル
ハイト調整手段が構成されている。図14はクリンプハ
イトC/H およびビニルハイトV/H を調整するための電気
的構成を示すブロック図である。クリンプハイトC/H を
調整するためのサーボモータ58およびビニルハイトV/
H を調整するためのステッピングモータ87は、駆動回
路141,142により駆動される。これらの駆動回路
141,142はマイクロコンピュータなどを有する制
御部140により制御される。この制御部140には、
読取部143および記憶部144が接続されている。
【0053】読取部143は、搬送機構3(図3参
照。)による布線板2の搬送途中に、この布線板2の裏
面に貼着されたラベルに形成されている上述のバーコー
ドを読み取るものである。このバーコードは布線板2の
番号を表すものであり、この布線板番号は、布線板2上
で行われる布線に1対1に対応する。記憶部144は、
布線板番号毎に、その布線板番号が与えられた布線板2
における電線クランプ6に保持される電線の配列順に、
各電線の種類に対応した適切なクリンプハイトC/H およ
びビニルハイトV/H を加工データとして記憶している。
この加工データにはさらに、各電線に圧着すべき端子の
種類なども含まれている。
【0054】制御部140は、読取部143で読み取ら
れた布線板番号に基づき、対応する加工データを記憶部
144から読み出す。そして、読み出した加工データに
基づき、駆動回路141,142に制御信号を与え、サ
ーボモータ58およびステッピングモータ87を制御す
る。これにより、端子33が圧着される電線毎に、その
種類に応じた適切なクリンプハイトC/H およびビニルハ
イトV/H が設定されることになる。
【0055】図15は、端子圧着装置の動作を詳細に説
明するためのフローチャートである。ステップn1で、
布線板2が読取部143による読取位置に達すると、布
線板番号の読取が行われる。そして、ステップn2で
は、制御部140は、読取結果に対応した加工データを
記憶部144から読み出す。次に、ステップn3では、
当該端子圧着装置に装着されている端子33の種類が読
み込まれる。この装着されている端子の種類は、たとえ
ば記憶部144の所定の記憶領域に予め入力される。
【0056】ステップn4では、圧着加工が必要か否か
が判断される。すなわち、圧着すべき端子の種類が当該
端子圧着装置に装着されている端子の種類に合致するか
否かが判断され、これにより、圧着加工の要否が判断さ
れる。もしも、圧着すべき端子の種類と当該端子圧着装
置に装着されている端子の種類とが一致した場合には、
ステップn5において、記憶部144の記憶内容が検索
され、圧着すべき電線の位置が読み出される。電線の位
置とは、電線クランプ6における位置である。また、こ
の電線の位置の読み出しとともに、ステップn6では、
上記の加工データのうち、クリンプハイトC/H およびビ
ニルハイトV/H が読み出される。
【0057】ステップn7では、圧着位置まで布線板2
が搬送される。すなわち、端子を圧着すべき電線が当該
端子圧着装置の上金型31と下金型32との間に位置す
るまで布線板2が搬送される。同時に、ステップn8で
は、駆動回路141,142に制御信号が与えられて、
ステップn6で読み出されたクリンプハイトC/H および
ビニルハイトV/H が設定される。
【0058】ステップn9では、ギアボックス39から
モータ38の回転力が出力され、1サイクルの圧着動作
が行われる。そしてステップn10では、次の圧着の必
要があるか否かが判断され、必要であれば、ステップn
5に戻る。端子の圧着が不要であるときには、ステップ
n11において、当該端子圧着装置から次の装置へと布
線板2が搬送されて、処理を終了する。次の装置とは、
たとえば別の種類の端子を圧着するための端子圧着装置
や、端子圧着の良否を検査する検査装置などである。
【0059】以上のように本実施例の端子圧着装置で
は、サーボモータ58を回転させることでスライド部材
60の位置が調整され、これにより上金型31を保持し
た上型保持部材51のスライド変位の基準位置が調整さ
れる。これにより、上型保持部材51に対して固定的に
取り付けられたワイヤークリンパ104の下死点位置が
変化するから、これによりクリンプハイトC/H の調整が
達成される。
【0060】このクリンプハイトC/H の調整はサーボモ
ータ58を回転させることにより行われるので、高速に
調整を完了させることができ、たとえば、圧着の1サイ
クルの期間内に行える。一方、ステッピングモータ87
を回転させると、軸85が回転し、この軸85の途中部
に形成された六面体部92が回転する。この六面体部9
2は、各側面毎に軸85の軸線85aとの間の距離が異
なっている。この六面体部92には、圧着動作時におい
て、インシュレーションクリンパ106が当接する。こ
のため、六面体部92のいずれの側面がインシュレーシ
ョンクリンパ106に当接するかによって、このインシ
ュレーションクリンパ106の上方へのスライド変位幅
を増減することができる。これにより、ビニルハイトV/
H の調整が達成されることになる。
【0061】このビニルハイトV/H は、軸85を回転さ
せることで調整されるから、この調整は高速に行うこと
ができ、たとえば端子圧着の1サイクルの期間に完了さ
せることができる。このように、本実施例では、クリン
プハイトC/H およびビニルハイトV/H を独立に制御する
ことができるから、いずれの種類の電線にも良好に対応
することができる。しかも、サーボモータ58およびス
テッピングモータ87の回転制御によって、クリンプハ
イトC/H およびビニルハイトV/H を高速にかつ正確に制
御することができるから、布線板2を搬送しながら自動
で端子の圧着を行わせる場合に、各端子毎にクリンプハ
イトC/H およびビニルハイトV/H をその都度設定するこ
とができる。
【0062】これにより、同一種類の端子が圧着される
電線に対しては、いずれの種類の電線であっても1台の
端子圧着装置により連続的に端子を圧着することができ
る。このため、電線の布線から、電線の端部の被覆の除
去を経て、端子を圧着した後、この端子をコネクタハウ
ジングへ挿入するまでの各工程を自動で行わせる場合
に、多数台の端子圧着装置が必要となることがない。こ
のため、端子圧着装置が占めるスペースを少なくするこ
とができ、この結果、ワイヤーハーネスの生産装置全体
の構成を小規模にすることができる。しかも、少ない台
数の端子圧着装置により、ワイヤーハーネスの生産が行
えるから、コストの低減にも寄与することができる。
【0063】さらに、本実施例では、布線板2の裏面に
当該布線板2上で行われる布線の態様を識別するための
番号を表すバーコードを形成したラベルを貼着してい
る。そして、このバーコードを読取部143で読み取ら
せ、その読取結果に対応して、クリンプハイトC/H およ
びビニルハイトV/H が自動で調整される構成とされてい
る。このため、多種類の布線が行われる場合に、各種類
の布線に良好に対応して、クリンプハイトC/H およびビ
ニルハイトV/H を調整しながら、端子圧着動作を完全に
自動で行わせることができる。
【0064】さらに、クリンプハイトC/H およびビニル
ハイトV/H に対応する加工データを、端子の圧着が良好
に行われたか否かを検査するための検査装置にも与える
ことすれば、各電線毎の圧着の良否の検査が良好に行え
る。検査装置は、たとえば図16に示すように、エアシ
リンダ151のアクチュエータ152に固定したスライ
ド部材153にリニアゲージ154を取り付け、このリ
ニアゲージ154のアクチュエータ156に、端子33
のワイヤーバレルまたはインシュレーションバレルに当
接するパンチ155の頂面を当接させるようにして構成
される。すなわち、エアシリンダ151を駆動してスラ
イド部材153を下方に変位させた際に、リニアゲージ
154のアクチャエータ156の変位量を監視してパン
チ155の頂面の位置を検出すれば、クリンプハイトC/
H またはビニルハイトV/H を検出できる。
【0065】なお、図16において、157は電線1を
把持する電線チャックであり、6は布線板2の側部に設
けた電線クランプである。本発明の実施例の説明は上記
のとおりであるが、本発明は上記の実施例に限定される
ものではない。たとえば、上記の実施例では、布線板の
裏面に布線の種類に対応した布線板番号を表すバーコー
ドを形成したラベルを貼着することとしたが、たとえば
布線板が或る一定の順序でラインに載せられるときに
は、その順序で端子圧着装置における動作制御が行われ
るような動作プログラムを用意すれば足りる。この場合
には、バーコードを読み取る読取手段などは不要であ
る。
【0066】また、上記の実施例では、上金型と下金型
とが同期して変位する構成を例にとったが、たとえば下
金型が固定配置されて、上金型のみが下金型に対して近
接/離反変位する構成の端子圧着装置にも、本発明は容
易に応用することができる。さらに、上記の実施例で
は、ビニルハイトV/H の調整は、軸線から各側面までの
距離を異ならせた六面体部92を形成した軸85を回転
させるようにして行われているが、たとえば軸線から各
側面までの距離を異ならせた八面体部を設けるなどして
もよく、さらには、軸線からの距離が連続的に変化する
曲面を軸85の周面に形成して、この曲面にインシュレ
ーションクリンパ106を当接させるようにしてもよ
い。
【0067】また、上記の実施例では、布線板2の裏面
にバーコードを形成したラベルが貼着された例について
説明したが、布線板番号を表すためにはバーコード以外
の記号が用いられてもよい。さらには、布線板番号を表
す所定パターンの突起を布線板2に形成し、この突起の
パターンをマイクロスイッチなどで検知することによっ
ても、布線板番号の識別が可能である。
【0068】その他、本発明の要旨を変更しない範囲で
種々の設計変更を施すことが可能である。
【0069】
【発明の効果】請求項1記載の端子圧着装置では、クリ
ンプハイト調整手段およびビニルハイト調整手段が設け
られているので、手作業によることなくクリンプハイト
およびビニルハイトを調整することができる。これによ
り、電線の種類に速やかに対応して、クリンプハイトお
よびビニルハイトの調整を行うことができる。これによ
り、複数種類の電線に対する端子の圧着をスムーズに行
わせることができる。
【0070】請求項2記載の端子圧着装置によれば、電
線保持手段に保持された電線の種類および配列に対応し
た加工情報が記憶手段に記憶されており、この記憶手段
に記憶された加工情報に従って、制御手段により、クリ
ンプハイト調整手段およびビニルハイト調整手段が制御
される。このため、上型と下型との間に順次供給される
電線の種類に対応して、クリンプハイトおよびビニルハ
イトが自動的に設定され、これにより、複数種類の電線
に対する端子の圧着を連続的に行える。
【0071】請求項3記載の端子圧着装置によれば、電
線保持手段に設けられた識別情報担持部に担持された識
別情報に基づき、対応する加工情報が記憶手段から読み
出されてクリンプハイトおよびビニルハイトの調整が行
われる。このため、電線保持手段における電線の種類お
よび配列の態様が複数存在する場合でも、各態様に自動
で対応させて、個々の電線への端子の圧着を、適切なク
リンプハイトおよびビニルハイトを設定して良好に行わ
せることができる。
【0072】請求項4記載の端子圧着装置においても、
上述の各効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の端子圧着装置の正面図であ
る。
【図2】図1に示された構成の右側面図である。
【図3】上記端子圧着装置の全体の構成を示す斜視図で
ある。
【図4】布線板の平面図である。
【図5】電線クランプの構成を拡大して示す図であり、
(a) は電線クランプを構成するクランプ部材の斜視図で
あり、(b) は電線クランプの長手方向に交差する切断面
から見た断面図である。
【図6】偏心カムに関連する構成を拡大して示す断面図
である。
【図7】サーボモータに関連する部分の構成を一部切り
欠いて示す側面図である。
【図8】ビニルハイトの調整のための構成を示す図であ
り、(a) は一部切り欠いて示す正面図、(b) は一部切り
欠いて示す側面図である。
【図9】ビニルハイトの調整のための六面体部の構成を
示す断面図である。
【図10】ステッピングモータに関連する部分の構成を
一部切り欠いて示す正面図である。
【図11】上金型の構成を示す図であり、(a) は平面
図、(b) は正面図、(c) は側面図である。
【図12】端子送り機構の構成を拡大して示す正面図で
ある。
【図13】下金型の構成を示す図であり、(a) は平面
図、(b) は正面図、(c) は側面図である。
【図14】上記の実施例の端子圧着装置の電気的構成を
示すブロック図である。
【図15】動作を説明するためのフローチャートであ
る。
【図16】クリンプハイトまたはビニルハイトを検査す
る検査装置の構成を一部切り欠いて示す側面図である。
【図17】クリンプハイトおよびビニルハイトを説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 電線 2 布線板(電線保持手段) 3 搬送機構 6 電線クランプ 31 上金型 32 下金型 33 端子 35 本体部 36 下型保持部材 38 モータ 39 ギアボックス 43 回転軸 44 偏心カム 45 ローラフォロア 48 タイミングベルト 49 回転軸 51 上型保持部材 53 リンク 55 リンク 58 サーボモータ 59 ねじ棒 60 スライド部材 61 クランク腕 62 偏心軸 70 端子送り機構 85 軸 86 プーリ 87 ステッピングモータ 88 スプライン軸 89 傘歯車 90 傘歯車 91 ベルト 92 六面体部 104 ワイヤークリンパ(第1クリンパ) 106 インシュレーションクリンパ(第2クリンパ) 116 案内孔 121 ワイヤーアンビル 122 インシュレーションアンビル 140 制御部 143 読取部 144 記憶部 163 芯線部 164 ワイヤーバレル 165 被覆部 166 インシュレーションバレル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐久間 悌二 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被覆電線の芯線部を保持するワイヤーバレ
    ルおよび被覆部を保持するインシュレーションバレルを
    有する端子と被覆電線とを上型と下型との間で挟み、端
    子を変形させてワイヤーバレルで被覆電線の芯線部をか
    しめさせるとともにインシュレーションバレルで被覆部
    をかしめさせることにより、端子を被覆電線に圧着する
    端子圧着装置において、 上記上型は、ワイヤーバレルに当接する第1クリンパ
    と、インシュレーションバレルに当接する第2クリンパ
    とを有し、 上記端子圧着装置は、 上記上型と下型とを近接/離反変位させる駆動機構と、 上記上型と下型とが最も近接したときの上記第1クリン
    パと下型との間の距離を可変制御して、上記ワイヤーバ
    レルのかしめ厚さであるクリンプハイトを調整するクリ
    ンプハイト調整手段と、 上記上型と下型とが最も近接したときの上記第2クリン
    パと下型との間の距離を可変制御して、上記インシュレ
    ーションバレルのかしめ厚さであるビニルハイトを上記
    クリンプハイトとは独立に調整するビニルハイト調整手
    段とを含むことを特徴とする端子圧着装置。
  2. 【請求項2】複数本の電線を所定の整列状態で保持する
    電線保持手段と、 この電線保持手段を搬送することにより、上記上型と下
    型との間に電線を順次供給する電線供給手段と、 上記電線保持手段に保持された電線の種類および配列に
    対応した加工情報を記憶する記憶手段と、 この記憶手段に記憶された上記加工情報に従い、上記上
    型と下型との間に供給される電線の種類に対応して上記
    クリンプハイト調整手段および上記ビニルハイト調整手
    段を制御する制御手段とをさらに含むことを特徴とする
    請求項1記載の端子圧着装置。
  3. 【請求項3】上記電線保持手段は、この電線保持手段に
    保持された電線の種類および配列に対応して定められた
    識別情報を担持した識別情報担持部を有し、 上記端子圧着装置は、さらに、 上記識別情報担持部に担持された識別情報を読み取る読
    取手段と、 上記記憶手段から、読み取られた識別情報に対応する上
    記加工情報を読み出して上記制御手段に与える手段とを
    含むことを特徴とする請求項2記載の端子圧着装置。
  4. 【請求項4】上記駆動機構は、固定配置された本体部
    と、この本体部に対して所定方向にスライド自在である
    ように取り付けられ、上記上型を保持する上型保持部材
    とを含み、 上記第1クリンパは、上記上型保持部材に対して固定的
    に設けられており、 上記第2クリンパは、上記上型保持部材に対して上記所
    定方向に沿って変位可能に設けられており、 上記クリンプハイト調整手段は、上記上型保持部材のス
    ライド変位の基準位置を上記所定方向に沿って変化させ
    るものであり、 上記ビニルハイト調整手段は、上型保持部材に対する上
    記第2クリンパの変位幅を増減するものであることを特
    徴とする請求項1、2または3記載の端子圧着装置。
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