JPH065137B2 - 輻射式燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、灯油等の液体燃料を気化しこの気化ガスと燃
焼空気を予混合させて燃焼せしめると共に、燃焼ガスに
て赤熱部材を赤熱させるように構成した輻射式燃焼装置
に関する。

(ロ) 従来技術 液体燃料を気化室内で気化させ、この気化ガスと燃焼空
気との予混合ガスを炎口部材上で青火燃焼させるバーナ
は、ＣＯ等の有害な排出物が極めて少なく且つススの発
生が無いため、室内開放型の石油暖房器としてその利用
価値が大変高い。ところで、上記せる従来構成のバーナ
（実開昭５７−１６０５２３号公報）にあっては、気化
室の周壁部を加熱する気化用電気ヒータを、その周壁部
に取付けたスーミスタ等の温度検出器により制御して液
体燃料の気化温度である約２５０℃〜３００℃程度に保
つように構成しているが、バーナの外周に二次空気とし
ての空気を通すようにしてある関係上、その二次空気流
によって気化室の周壁部が冷却されることになり気化用
電気ヒータの通電時間が長くなる欠点があった。又、バ
ーナ本体は熱伝導性の高いアルミダイカストを成形して
ある関係上、バーナ本体の上部に燃焼炎の一部を接触さ
せてヒートバックさせる構成にすると、燃焼炎によって
バーナ本体が局部的に高温度に加熱されて熱変形を起こ
す場合があった。

(ハ) 発明の目的 本発明は以上の従来技術の欠点に鑑みてなされたもので
あり、燃焼炎にて赤熱化される赤熱輻射部材からの熱線
を、耐熱性熱線吸収膜を通してバーナ本体に吸収させる
ことにより、バーナ本体を効率よく加熱保温することを
目的としている。

(ニ) 発明の構成 本発明は、上述した事実に鑑みてなされたものであり、
電気ヒータで加熱される気化室と、炎口部材を有し、気
化室で気化した液体燃料の気化ガスと燃焼空気との予混
合気を炎口部材から噴出して燃焼させるバーナ本体と、
炎口部材上に設けられた赤熱輻射部材とを備えた燃焼装
置において、バーナ本体の外表面に前記赤熱輻射部材か
らの熱線を吸収する耐熱性熱線吸収膜を設け、この耐熱
性熱線吸収膜は輻射率よりも吸収率の高い材料で作られ
ている構成である。

(ホ) 実施例 以下本発明を室内開放型石油温風暖房機を一実施例とし
て図に基づいて発明する。図中、(1)は中空筐体状を呈
する外装ケースで、該外装ケース(1)の前パネル部(2)に
はその略中央部分に輻射用窓口(3)が開設され、該輻射
用窓口(3)の上部には温風吐出口(4)が形設してある。
(5)は前記外装ケース(1)の背部上方に配設せる温風供給
用の送風機であり、該送風機(5)と温風吐出口(4)との間
の外装ケース(1)内にはシェルター(6)により送風路(7)
が形成されている。

(8)は外装ケース(1)内の右側下方部に設けられた外気を
吸収する給気用送風機で、この給気用送風機(8)によっ
て加速された空気は給気パイプ(9)より給気ノズル(10)
へ送られ、該給気ノズル(10)よりバーナ本体(11)の気化
室(12)内に燃焼空気として圧送供給するようになってい
る。(13)は前記外装ケース(1)内の左側下方部に配設し
たカートリッジタンク付の貯油槽（図示せず）内の液体
燃料を供給する給油パイプで、その液体燃料は電磁ポン
プ(14)により加圧されて前記給気ノズル(10)内に臨ませ
た給油ノズル(15)より前記気化室(12)内に微粒状に圧送
される。

(16)はバーナ支持台、(17)はバーナ支持台(16)上に取付
けられ且つ前記バーナ本体(11)の気化室(12)の周壁部(1
1a)の外囲を間隔(X)を存して囲繞するバーナケースであ
り、鋼板を下部が有底円筒状で且つ上部が楕円筒状の拡
大部(17a)となるように深絞り成形してなり、そのバー
ナケース(17)の上端部には水平遮熱板(18)が装着してあ
る。

前記バーナ本体(11)は、アルミダイカストを成形すると
共に前記気化室(12)の周壁部(11a)を約２５０℃〜３０
０℃の気化温度に加熱する気化用電気ヒータ(19)を周壁
部(11a)に埋設してなり、前記気化室(12)内に供給され
た液体燃料を気化し且つ該気化ガスと燃焼空気とを予混
合せしめ、この予混合ガスを導出路(20)を通して横長状
炎口部材(21)より上方に噴出させ、該炎口部材(21)の上
面にライン状の青火燃焼炎(22)を形成して燃焼させる。
又、(11b)(11b)は前記炎口部材(21)の前後両側部に長手
方向に沿ってバーナ本体(11)と一体に形成した熱回収用
立上り部である。(23)は前記気化室(12)の周壁部(11a)
に取付けたサーミスタ等の温度検出器で、前記周壁部(1
1a)の温度を検出して前記気化用電気ヒータ(19)への通
電をオン、オフ制御するものである。

(A)は第３図で示すように熱回収用立上り部(11b)(11b)
を含むバーナ本体(11)の外表面に形成した耐熱性熱線吸
収膜で、該耐熱性熱線吸収膜(A)はシリコン樹脂を主成
分としてそれに酸化鉄系の顔料を含有する黒色系の耐熱
塗料を約２〜５ミクロンの膜厚として塗布したもので、
後述する赤熱輻射部材(24)からの熱線を吸収してバーナ
本体(11)を加熱保温するものであり、その熱吸収率α＝
0.92程度に対して放射率ε＝0.3程度と放射率が極めて
少ないものである。

(25)は前記水平遮熱板(18)に止着せる方形筒状の燃焼室
筒で、アルミメッキ鋼板で形成してなると共に、その前
面には前記輻射用窓口(3)と対応して耐熱性ガラス板等
よりなる熱線透過体(26)を付設した開口(27)が開設して
ある。(24)は前記せる赤熱輻射部材で、前記熱線透過体
(26)に対応し且つ前記炎口部材(21)の直上に位置して燃
焼室筒(25)内に配設してあり、その形状は正略視略横長
矩形状を呈し且つその縦断面を略鋸歯状とした耐熱性多
孔金属板にて製作してある。

次に本発明の作用について説明する。気化用電気ヒータ
(19)により予め周壁部(11a)が加熱された気化室(12)内
に液体燃料と燃焼一次空気を圧送すると、液体燃料が瞬
時に気化し該気化ガスと燃焼空気とが予混合し、この予
混合ガスは導出路(20)を通って炎口部材(21)より燃焼室
筒(25)内に噴出され、そこで点火プラグ（図示せず）に
より点火されて炎口部材(21)上でライン状の青火燃焼炎
(22)を形成して燃焼する。そして、燃焼ガスは赤熱輻射
部材(24)を約８００℃〜９００℃の高温に加熱せしめて
それを赤熱化させる。赤熱輻射部材(24)は赤熱すること
によって熱線を放射し、前方へ放射された熱線は熱線透
過体(26)を透過して輻射による暖房作用をなす。

一方、前記赤熱輻射部材(24)によって下方向へ放射され
る熱線は第３図で示す直接又は燃焼室筒(25)の内壁面で
屈折してバーナ本体(11)へ向かい、耐熱性熱線吸収膜
(A)に吸収され、該耐熱性熱線吸収膜(A)からバーナ本体
(11)へ熱伝導される。

従って、バーナ本体(11)はその外表面に耐熱性熱線吸収
膜(A)を形成することにより、赤熱輻射部材(24)から放
射される熱線を広範囲に効率よく吸収して加熱保温され
ることになり、従来一般に行なわれていた燃焼炎の一部
を直接接触させることによるヒートバック方式に於ける
如く、局部的に高温加熱されて変形を生じたり溶解され
たりすることがない。

又、前記熱線吸収膜(A)は熱吸収率に対して放射率が約
１／３程度であり、保温効果も極めて高い。

(ヘ) 発明の効果 本発明は以上説明したように、バーナ本体の外表面に前
記赤熱輻射部材からの熱線を吸収する耐熱性熱線吸収膜
を設け、この耐熱性熱線吸収膜は輻射率よりも吸収率の
高い材料で作られているので、赤熱輻射部材からの熱線
を前記バーナ本体の外表面より吸収し、極力輻射させな
いようにしてバーナ本体内に保持することができるもの
であり、バーナ本体を広範囲に且つ効率よく保温でき、
気化用電気ヒータの節電が行えるのは勿論のこと、従来
の欠点であるバーナ本体の変形や溶解等の問題を簡単な
手段にて防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である石油温風暖房機の一部
切欠正面図、第２図は同縦断面図、第３図は同要部拡大
断面図である。 (11)…バーナ本体、(11a)…周壁部、(12)…気化室、(1
7)…バーナケース、(19)…気化用電気ヒータ、(21)…炎
口部材、(23)…温度検出器、(24)…赤熱輻射部材、(25)
…燃焼室筒、(A)…耐熱性熱線吸収膜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電気ヒータで加熱される気化室と、炎口部
   材を有し、気化室で気化した液体燃料の気化ガスと燃焼
   空気との予混合気を炎口部材から噴出して燃焼させるバ
   ーナ本体と、炎口部材上に設けられた赤熱輻射部材とを
   備えた燃焼装置において、バーナ本体の外表面に前記赤
   熱輻射部材からの熱線を吸収する耐熱性熱線吸収膜を設
   け、この耐熱性熱線吸収膜は輻射率よりも吸収率の高い
   材料で作られていることを特徴とする輻射式燃焼装置。