JPH065037Y2 - スライド位置調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、プレス機械のスライド位置調整装置に関す
る。詳しくは、プレス作業中のスライド位置調整を規定
変位量づつ断続的に行えるよう構成したものである。

［従来の技術］ プレス機械には、使用する金型に合せたダイハイトを迅
速に確立するために、スライド位置調整装置が設けられ
ている。これにより型変換時間を大幅に短縮できる。

ところで、かかるスライド位置調整装置は、コネクティ
ングロッドとスライド間に装着されたスライド調整機構
とこのスライド調整機構を駆動するための駆動源とこの
駆動源に駆動信号を加える駆動手段いわゆる制御系とか
ら構成されている。

ここに、各構成要素は、上記型交換時間の短縮という目
的を達成するために、連続駆動方式とされている。

すなわち、駆動源は、ウォーム、ウォームホイール、ネ
ジ等の機械要素から形成されたスライド調整機構に適応
するものとして電動機、エアーモータ、油圧モータ等の
回転駆動源が採用され、かつ駆動手段は回転駆動源の型
式に適合するものとして構成されている。

例えば、回転駆動源を電動機とした場合における駆動手
段は、起動スイッチをＯＮして電動機を連続回転させ、
連続変位されたスライド位置をダイハイト計で確認して
から、起動スイッチをＯＦＦする方式の制御系から形成
されている。さらに、ダイハイト位置あるいはスライド
変位量をデジタルスイッチ等に設定し、この設定値に相
応した指令信号に基づいてダイハイト等と設定値とが等
しくなるまで連続調整する自動化された制御系から形成
されたものもある。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、プレス機械では、プレス作業進行に伴って油
温上昇やコネクティングロッドの伸び等が生じるので、
経時的にダイハイトが変化する。したがって、プレス作
業中にもスライド位置調整装置を用いて、手動操作ある
いは自動運転によってその経時的変化を補正している。

しかしながら、従来のスライド位置調整装置は、上記の
通りダイハイト設定作業の迅速化を図るものとして構成
されている。

このために、制御系を形成する上位の手段から駆動手段
への指令信号あるいは駆動手段から回転駆動源への駆動
信号に異常があると、連続回転方向ゆえにスライドが暴
走し設定位置に止まらないことがある。

すると、プレス停止中のダイハイト設定作業の場合に
は、使用する金型に応じて慎重な調整作業が行われかつ
調整量も比較的大きいので問題が少ないが、プレス作業
中の補正作業の場合には、その調整量が非常に小さいこ
とから不良製品を発生するばかりか、金型破損やプレス
機械の破損に直結してしまうという危険性が高い。つま
り、スライド調整機構と回転駆動源との機械的構成要素
が正常であっても、駆動手段（制御系）すなわち電気的
要素に異常があると、機械的構成要素が連続回転方式で
あることからスライド暴走や目標位置での正確な停止が
出来ない場合があり、金型等を破損させてしまう危険性
が内存しているのである。

ここで、本考案は、プレス停止中の金型交換の時間短縮
とプレス作業中における安全とを図りつつ正確で迅速な
位置調整を行えるスライド位置調整装置を提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、電気的異常発生防止と構造簡素化との観点か
ら回転駆動源を油圧モータから形成する、とともに高速
性と安全性との双方確保の観点から連続供給のモータ駆
動型オイルポンプとワンショット供給のエアー駆動型オ
イルポンプとを併設し、特にプレス作業中にはエアー駆
動型オイルポンプを用いかつこの一作動を確認しつつス
ライドを規定変位量づつ断続的に調整し、スライド位置
逸脱による危険性を確率的に非常に小さくするように形
成したものである。

すなわち、油圧を連続供給するモータ駆動型オイルポン
プと一作動するごとに規定量の油圧を間歇供給するエア
ー駆動型オイルポンプとを方向切換バルブを介してスラ
イド調整機構を形成する油圧モータに並列接続し、 モータ駆動型オイルポンプを連続駆動指令信号に基づい
て連続駆動する連続駆動回路とエアー駆動型オイルポン
プをコントローラから出力される一作動指令信号に基づ
いて一作動させるワンショット駆動回路とを設けるとと
もに、このワンショット駆動回路をエアー駆動型オイル
ポンプが一作動したときに一作動完了信号を出力可能に
形成し、かつ該コントローラをこの一作動完了信号を受
けたことを条件に次の一作動指令信号を出力可能に形成
し、 少なくともプレス作業中のスライド位置調整を、ワンシ
ョット駆動回路によってエアー駆動型オイルポンプを間
歇運転することにより、規定変位量づつ断続的に行える
ように構成したことを特徴とする。

［作用］ 上記構成による本考案では、金型交換時には連続駆動回
路に連続駆動指令信号を加えてモータ駆動型オイルポン
プを連続駆動してスライドを調整する。したがって、短
時間でダイハイト調整することができる。

一方、プレス作業中の補正作業では、ワンショット駆動
回路に切換え、エアー駆動型オイルポンプをコントロー
ラから出力される一作動指令信号が入力されるごとに一
作動させて、油圧モータに規定量の油圧を供給する。コ
ントローラはワンショット駆動回路から一作動完了信号
を受けるごとに次の一作動指令信号を出力する。したが
って、スライドは規定変位量づつ断続的に調整されるの
で、連続駆動による場合に生ずる設定値逸脱を確率的に
非常に小さくでき、金型破損等の危険を回避し全体とし
て安定性を一段と向上させることができる。以上は、手
動操作の場合にも自動操作の場合にも同じである。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

本装置は、スライド調整機構を構成する油圧モータ１に
並列接続されたモータ駆動型オイルポンプ５とエアー駆
動型オイルポンプ１２と、モータ駆動型オイルポンプ５
用の連続駆動回路１６と、エアー駆動型オイルポンプ１
２用のワンショット駆動回路１７と、このワンショット
駆動回路１７から一作動完了信号を受けるごとに一作動
指令信号を出力するコントローラ２１等から構成されて
いる。

油圧モータ１は、コネクティングロッドとスライドとを
相対移動させる図示しないギヤ機構を回動するもので、
その回転方向はコントローラ２１の出力信号で切換えら
れる方向切換バルブ２のポジションによって定まる。す
なわち、入切スイッチ２４、正逆切換スイッチ２２の操
作により、コントローラ２１は、正回転用のポート２ａ
に切替えるべきソレノイド２VRを励磁し、また、逆回転
用ポート２ｃに切替えるべきソレノイド２VLを励磁す
る。中立ポジション２ｂが選択されると油圧モータ１は
回転しない。

なお、コントローラ２１は、制御系を構成するのみなら
ずシーケンス機能、各信号の切換機能等を有するものと
形成されている。

モータ駆動型オイルポンプ５は、連続駆動回路１７、モ
ータ６によって回転駆動され、油圧タンク４内の油を所
定圧力に昇圧しつつ逆止弁７を介して方向切換バルブ
２，油圧モータ１へ連続的に供給するものである。

連続駆動回路１６は、制御盤２０に収納されたコントロ
ーラ２１からの連続駆動指令信号に基づき電動機６を回
転制御する。この実施例では、デジタルスイッチ２７で
設定されたダイハイトを設定値乃至目標値とし、油圧モ
ータ１に連結された図示しない回転検出器からの回転数
信号をフィードバック信号として閉ループの回転制御系
を形成するものとされている。連続駆動指令信号は連続
運転スイッチ２３を操作することにより発生される。な
お、手動操作運転もできる。

調整動作中に刻々変化するダイハイトは、ダイハイト計
２８で読取ることができる。

なお、３はドレンタンク、１３はレリーフバルブであ
る。

エアー駆動型ポンプ１２は、駆動弁８の切替により往復
動され、一作動するごとに規定量の油圧を油圧モータ１
に間歇供給するものである。

すなわち、駆動弁８は、ソレノイド９ａが励磁されると
ポート８ａに切換わり空気源１０からの圧搾空気をエア
ー駆動型オイルポンプ１２に供給してピストン１２−１
を後進させ、油タンク４内の油をシリンダ内に吸上げ
る。一方、ソレノイド９ｂが励磁されるとポート８ｂに
切換え、ピストン１２−１を前進させてシリンダ内の油
を逆止弁７を介して油圧モータ１に供給する。各動作中
の排気は、サイレンサー１１で消音される。

かかる駆動弁８は、ワンショット駆動回路１７によって
駆動制御される。ワンショット駆動回路１７は、コント
ローラ２１から出力されたワンショットパルス信号（一
作動指令信号）が入力されると、ソレノイド９ａを励磁
してポート８ａに切換え、これによりピストン１２−１
と一体的な作動片１３によって後退限検出スイッチ１４
が作動すると、ソレノイド９ａに代えてソレノイド９ｂ
を励磁してポート８ｂに切換える。そして、前進限検出
スイッチ１５が作動したところで一作動を完了するよう
に形成されている。また、このワンショット駆動回路１
７は、一作動完了信号をコントローラ２１にフィードバ
ックする。

上記ワンショットパルス信号は、断続運転スイッチ２５
を選択しかつ寸動スイッチ２６を操作したときに、コン
トローラ２１から１つだけ発生される。但し、ワンショ
ット駆動回路１７から一作動完了信号がフィードバック
されない限り、寸動スイッチ２６を操作してもワンショ
ットパルス信号は出力されない。したがって、コントロ
ーラ２１等の制御系に異常が発生したとしても油圧モー
タ１が連続回転される危険性を確率的に回避できる。さ
らに、自動補正スイッチ２５−１を選択したときは、デ
ジタルスイッチ２７で設定された設定値乃至目標値に至
るまで上記手順と同様にワンショット駆動回路１７によ
り自動補正できる構成とされている。

なお、２４は入切スイッチであり、このスイッチが
“切”とされている場合には、連続運転も断続運転もす
ることができない。

次に作用を説明する。

（連続運転） 金型交換時のダイハイト設定をする場合である。

まず、入切スイッチ２４を“入”とし、デジタルスイッ
チ２７にスライド位置を設定し、続いてスライドを移行
させるべき方向を正逆切換スイッチ２２で決める。

したがって、方向切換バルブ２は、コントローラ２１の
出力信号によりポート２ａ又は２ｃに切換えられる。但
し、デジタルスイッチ２７にダイハイトを設定するよう
に形成するとともに正逆切換スイッチ２２を省略し、移
行方向を自動切替えするように構成した場合には、移行
方向の設定操作は不要となる。

ここで、連続運転スイッチ２３を操作すれば、コントロ
ーラ２１から連続駆動回路１６へ連続運転指令信号が出
力される。

連続駆動回路１６は、油圧モータ１に連結された図示し
ない回転検出器からのフィードバック信号とデジタルス
イッチ２７で設定された値とが等しくなるまでモータ駆
動型オイルポンプ５（モータ６）を回転駆動して油圧モ
ータ１へ駆動油圧を連続提供する。

したがって、スライドは急速に連続移行する。

連続移行中および調整後のスライド位置は、ダイハイト
計２８で読取ることができる。なお、プレス停止中の手
動操作については説明を省略する。

（断続運転） プレス作業中に経時的に変化するダイハイトを補正する
場合に運転される。

手動操作の場合、入力スイッチ２４、正逆切換スイッチ
２２の操作については連続運転の場合と同じである。

ここで、断続運転スイッチ２５を操作し、かつ寸動スイ
ッチ２６を一回操作する。

すると、コントローラ２１からワンショット駆動回路１
７に一作動指令信号（ワンショットパルス信号）が出力
される。

ワンショット駆動回路１７では、駆動弁８を駆動してエ
アー駆動型オイルポンプ１２を一作動させ、規定量の油
圧を油圧モータ１に供給する。スライドは、供給された
油圧規定量に相当する単位ハイトだけ移行する。単位ハ
イトもダイハイト計２８で目読できる。

この一作動は、前進限検出スイッチ１５と後退限検出ス
イッチ１４との各１回動作により確認され、ワンショッ
ト駆動回路１７はこの確認後にコントローラ２１に一作
動完了信号がフィードバックされる。この一作動完了信
号を受けたことを条件にコントローラ２１は、次の一作
動指令信号を出力する。

引続き、寸動スイッチ２６を操作することにより、油圧
モータ１は間歇運転され、スライドが単位ハイトだけ移
行する。

なお、この断続運転は、上記金型交換時のダイハイト設
定時にも利用することができる。デジタルスイッチ２７
に設定する値を目標とする一歩手前に設定し、最終的調
整をワンショット駆動回路１７を用いて行えば、金型破
損等の危険を回避できる。これによりダイハイト設定作
業も一層安全となる。

一方、自動操作の場合、調整量をデジタルスイッチ２７
に設定し、自動補正スイッチ２５−１を操作する。この
場合にもコントローラ２１からのワンショットパルス信
号の間歇出力により段階的に自動補正される。

しかして、この実施例によれば、油圧モータ１に、連続
駆動回路１６で連続運転されるモータ駆動型オイルポン
プ５とワンショット駆動回路１７で一作動づつ間歇運転
されるエアー駆動型オイルポンプとを並列接続するとと
もにコントローラ２１をワンショット駆動回路１７から
一作動完了信号を受けたことを条件に次の一作動指令信
号をワンショット駆動回路１７へ出力するように構成し
たものであるから、金型交換時のダイハイト設定を迅速
に行える、とともにプレス作業中に経時的に生ずるスラ
イド位置の微小変動の補正については、断続的に規定量
づつ調整でき、結果として所望のスライド位置を迅速か
つ正確に調整できる。

また、補正作業は、手動操作でも自動補正運転において
も継続運転する構成であるから、制御系の異常があった
としても、連続運転方式の場合におけるスライドの暴走
がなく、スライド位置逸脱の機会を確立的に少なくで
き、不良品発生、金型やプレス機械の破損の危険性を回
避できる。

さらに、エアー駆動型オイルポンプ１２とワンショット
駆動回路１７とは、前進限検出スイッチ１５，後退限検
出スイッチ１４というポンプ１２と機械的に係合する手
段を用いて一作動を確認する構成であるから、電気的要
素による異常発生の心配がなく、この点からも危険性を
確実に回避できる。

さらに、ワンショット駆動回路１７，エアー駆動型オイ
ルポンプ１２は、連続駆動回路１６，モータ駆動型オイ
ルポンプ５と別個独立とされているので、金型交換時に
連続駆動回路１６により高速で、ワンショット駆動回路
１７により正確に、全体として高速・高精度のダイハイ
ト調整を達成することができる。

なお、以上の実施例では、連続駆動回路１６，ワンショ
ット駆動回路１７，コントローラ２１等を個々に形成し
たが、これら回路は構造簡素化、製作便宜等から一体的
に形成してもよい。例えば、プレス機械全体を駆動・制
御あるいは監視するコンピユータを利用して実施するこ
とができる。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかの通り、本考案は、連続運転され
るモータ駆動型オイルポンプと間歇運転されるエアー駆
動型オイルポンプとを併設し、かつコントローラをエア
ー駆動型オイルポンプの一作動完了信号を受けて次の一
作動指令信号をワンショット駆動回路へ出力するように
した構成であるから、ダイハイト設定の迅速化とプレス
作業中のタイハイト補正の正確化を図りつつ制御系の異
常等によるスライドの暴走や目標スライド位置からの逸
脱の機会を確率的に非常に少なくできる安全性の高いス
ライド位置調整装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示す全体構成図である。 １…油圧モータ、２…方向切換バルブ、４…油タンク、
５…モータ駆動型オイルポンプ、６…モータ、８…駆動
弁、１０…空気源、１２…エアー駆動型オイルポンプ、
１３…作動片、１４…後退限検出スイッチ、１５…前進
限検出スイッチ、１６…連続駆動回路、１７…ワンショ
ット駆動回路、２１…コントローラ、２８…ダイハイト
計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】油圧を連続供給するモータ駆動型オイルポ
   ンプと一作動するごとに規定量の油圧を間歇供給するエ
   アー駆動型オイルポンプとを方向切換バルブを介してス
   ライド調整機構を形成する油圧モータに並列接続し、 モータ駆動型オイルポンプを連続駆動指令信号に基づい
   て連続駆動する連続駆動回路とエアー駆動型オイルポン
   プをコントローラから出力される一作動指令信号に基づ
   いて一作動させるワンショット駆動回路とを設けるとと
   もに、このワンショット駆動回路をエアー駆動型オイル
   ポンプが一作動したときに一作動完了信号を出力可能に
   形成し、かつ該コントローラをこの一作動完了信号を受
   けたことを条件に次の一作動指令信号を出力可能に形成
   し、 少なくともプレス作業中のスライド位置調整を、ワンシ
   ョット駆動回路によってエアー駆動型オイルポンプを間
   歇運転することにより、規定変位量づつ断続的に行える
   よう構成したことを特徴とするスライド位置調整装置。