JPH0649995Y2 - 油圧回路用短絡通路付セルフシールカツプリング - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、油圧装置のメイン回路の途中部にサブ回路を
直列状に接続したり、分離したりするために用いるセル
フシールカップリングにおいて、 接続した状態では、セルフシールカップリング内の短絡
通路を閉止することにより、圧油をサブ回路に迂回させ
るのに対し、 分離した状態では、短絡通路を開通させて、メイン回路
の途中部を迂回させずに直通させるように構成したもの
に関し、 構造が簡単で且つ耐久性に優れるうえ、自封弁体による
オイルの圧縮をなくしてカップリングの接続を非常に楽
に行えるものを提供する。

〈考案の背景〉 例えば、農用トラクタに農用ローダを着脱する場合に
は、農用トラクタ側に設けた油圧装置のメイン回路の途
中部に農用ローダ側のサブ回路を直列状に接続し、この
接続部に上記油圧回路用短絡通路付きセルフシールカッ
プリングを介装させる。

即ち、農用トラクタを耕耘作業に使用するときには、セ
ルフシールカップリング内の短絡通路を開いて、トラク
タ自体の３点リンクヒッチを圧油駆動する。

また、農用ローダ等のような油圧駆動のトラクタ外部作
業機を装着して使用したいときには、短絡通路を遮断し
て、メイン回路内を流れるオイルをサブ回路へ迂回させ
るようにしてある。

〈従来技術１〉 本考案の対象となる油圧回路用短絡通路付セルフシール
カップリングの基本構造は、 カップリング本体１に導入側通路２と導出側通路３とを
互いに独立させて設け、導入側通路２の出口側部分４と
導出側通路３の入口側部分５とに夫々自封弁６・６を設
け、 上記各自封弁６は、各自封弁体７が各閉弁用押圧手段８
で外向きに押し出されて各自封弁口14を閉じて外部から
遮断する自封閉弁状態と、外力で内向きに押し戻されて
自封弁口14を開く接続開弁状態とに切換え可能に構成
し、 導入側通路２と導出側通路３とを短絡通路10を介して、
互いに連通する短絡状態と互いに連通しない短絡解除状
態とに切換え可能に構成した形式のものである。

そして、本出願人は、この形式の従来技術１として、実
開昭62-163688号公報の第１図〜第２図に示すものを先
に提案した。

即ち、従来技術１は、第４図及び第５図に示すように、
ブロック状のカップリング本体１の上方に自封弁６・６
を２列並行に螺合固定し、自封弁６の内部に設けた閉弁
用押圧バネ８で自封弁体７を閉弁付勢し、カップリング
本体１の一側面に導入側通路２を、また、他側面に導出
側通路３を各々水平段違い状に空け、垂直状に空けた短
絡通路10で当該導入側・導出側通路２・３を連通し、カ
ップリング本体１の中央上下に亘って付設した円柱状の
短絡弁11を上下摺動自在に短絡通路10に貫通し、同カッ
プリング本体１の下方に取り付けた開弁用押圧バネ13で
短絡弁11を上方に押圧して短絡通路10を開弁付勢するよ
うに構成したものがある。

〈従来技術１の課題〉 上記従来技術１では、自封弁６と短絡弁11とをカップリ
ング本体１に別々に取り付け、しかも自封弁体７の付勢
手段である閉弁押圧バネ８と短絡弁体11の付勢手段であ
る開弁押圧バネ13をも別々に設けねばならないので、全
体の構造が大型化し、且つ、複雑になってしまう。

〈従来技術２〉 そこで、本出願人は、従来技術２として、上記公報の第
５図〜第６図に示すような、構造をより簡略化したもの
を提案した。

即ち、従来技術２は、第６図及び第７図に示すように、
カップリング本体１の上下に亘り導入側通路２と導出側
通路３とを空け、当該導入・出側通路２・３に上方から
並列状に配置した２連の自封弁６・６のうち、導入側通
路２に嵌入する方を上下摺動自在に設け、弁の円柱状下
部100を水平に空けた短絡通路10に臨ませるとともに、
導出側通路３の方の弁６をカップリング本体１に螺合固
定することにより、 油圧装置のメイン回路のみを使用するカップリング分離
・自封状態では、導入側通路２の油圧によって自封弁６
が押し上げられて短絡通路10が開き、 サブ回路を使用するカップリング接続・自封解除状態で
は、当該サブ回路の先端に設けられた２連のカップリン
グを、カップリング本体１側の２連の自封弁６・６に押
し込み嵌着し、導入側自封弁６を下降操作して短絡通路
10を閉じることを特徴とする。

本従来技術２では、導入側自封弁６の円柱状下部100が
短絡弁体12を兼ね、しかも、導入側の油圧が短絡弁体12
の開弁用押圧手段13になるので、いわば短絡弁11を省略
でき、装置全体の構造を簡略化できる。

〈従来技術２の課題〉 しかしながら、上記従来技術２では、導入側自封弁６は
上下に進退するので、サブ回路を使用する場合、当該サ
ブ回路側の２連の接続用継ぎ手101は、カップリング本
体１側の導出側自封弁６でのみ片持ち状に不安定に固定
されることになる。

従って、オイル流通用ホースからの引っ張り力や押し込
み方等の外力のために導入側自封弁６が伸縮すると、こ
の導入側弁６にかかる力が導出側自封弁６を曲げる力と
して働く結果、導出側自封弁６に応力か集中して変形
し、オイルの漏洩が生じたり、長期使用の間に弁の破損
を起こしたりする虞れがある。

〈考案が解決しようとする課題〉 本考案は、従来技術１と２との欠点をともに解消して、
構造を簡単にするとともに、安定強固にカップリング接
続することを技術的課題とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を達成する手段を、実施例に対応する図面を用
いて以下に説明する。

即ち、本考案は、前記基本構造の油圧回路用短絡通路付
セルフシールカップリングにおいて、 次の特徴構造を追加したことを、特徴とする。

すなわち、導入側通路２と導出側通路３とは夫々カップ
リング本体１から片持状に突出する各筒体20の各筒孔か
らなり、各筒体20の先端面21を閉止するとともに、この
先端面21に近い周面部分に自封弁口14を閉口し、 各自封弁体７は筒型に形成して各筒体20に摺動自在に外
嵌し、各自封弁体７の内周面の途中部に各短絡口15を形
成するとともに、各短絡口15の両側の内周面部分を上記
各筒体20の外周面に対して封止状態で摺動自在に外嵌さ
せ、両短絡口15を短絡通路10で連通し、 各自封弁体７が各閉弁用押圧手段８で各筒体20の先端面
21側へ押し出された自封閉弁状態では、各短絡口15が各
自封弁口14に連通して、導入側通路２と導出側通路３と
が各自封弁口14・各短絡口15及び短絡通路10を介して連
通する短絡状態となり、 自封弁体７が外力で閉弁用押圧手段８に抗して筒体20の
基端部側へ押し込められた接続開弁状態では、各自封弁
口14が各短絡口15との連通が断たれて解放される短絡解
除状態となるように構成し、 カップリング本体１の先端部に導入側および導出側の継
ぎ手部17を固定し、この継ぎ手部17に連結・分離操作の
相手側のセルフシールカップリング60の各自封弁30の各
弁筒31を連結・分離自在に構成し、この継ぎ手部17はそ
の各弁筒31を連結状態で固定支持するように構成したも
のである。

〈作用〉 上記構造のセルフシールカップリングは次のとおり作用
する。

（１） 第２図は、油圧装置のメイン回路のみを使用す
るカップリング分離・自封状態を示す。

この状態では、両方の通路２・３の自封弁６の自封弁体
７が閉弁用押圧手段８の押圧力で自封弁口14を閉じて外
部から遮断するとともに、当該自封弁口14を各自封弁体
７の内周面12に形成した各短絡口15に連通させて、上記
両通路２・３が短絡通路10に開通する。

従って、オイルは、カップリング本体１の導入側通路２
→導入側自封弁口14→短絡口15→短絡通路10→短絡口15
→導出側自封弁口14→導出側通路３の順番で筒型の通路
内のみに短絡して流れて、メイン回路を単独に流通す
る。

（２） 第１図は、サブ回路側のカップリングをカップ
リング本体１側の自封弁６に接続して、サブ回路を油圧
装置のメイン回路に繋ぐカップリング接続・自封解除状
態を示す。

この状態では、閉弁用押圧手段８の押圧力に抗する当該
サブ回路側カップリングによる自封弁体７の内向きへの
押し込み外力により、両方の通路２・３の自封弁口14が
開口するとともに、自封弁体７の短絡口15が自封弁口14
から外れて、上記両通路２・３と短絡通路10との連通を
遮断する。

従って、オイルは、カップリング本体１の導入側通路２
→導入側通路出口４（自封弁口14）→サブ回路→導出側
通路入口５（自封弁口14）→導出側通路３を通って、メ
イン回路及びサブ回路に直列状に流通する。

（３） カップリングを接続していく過程においては、
各筒型の自封弁体７が大きく内向きに押し戻されても、
当該自封弁体７は導入側及び導出側通路２・３を形成す
る筒体20の外部を摺動するだけなので、自封弁体７は導
入側及び導出側通路２・３内のオイルを圧縮することは
ない。

従って、例えば、メイン回路側或いはサブ回路側が油圧
ポンプ又はクローズドセンタ型方向切り換え弁でブロッ
クされてオイルの逃げがない場合でも、自封弁体７の押
し戻しに伴うオイルの圧縮がないので、各自封弁体７は
スムーズに押し戻されて、サブ回路側のカップリングを
メイン回路側に軽い力で容易に接続できる。

〈考案の効果〉 （イ） 短絡専用弁を省略 導入側及び導出側通路を形成する筒体に沿って自封弁体
が摺動することによって、当該両通路と短絡通路との間
の短絡及び短絡解除との切り換えが行われるので、自封
弁がいわば前記従来技術の短絡弁を兼用することにな
る。

従って、自封弁とは別に短絡操作を行う操作具を従来技
術１のように設ける必要はないので、セルフシールカッ
プリング全体をコンパクトにまとめられ、構造を簡単に
できる。

（ロ） 筒体20・自封弁体７の破損解消 カップリング本体１の先端の継ぎ手部17に、相手側のセ
ルフシールカップリング60を連結した状態において、相
手側のセルフシールカップリング60が外力で、軸直行方
向の横曲げ力を受けることがある。

このときに、これらの引っ張り力・押し圧力・横曲げ力
などの外力は、継ぎ手部17を介してカップリング本体１
に吸収されるので、導入側の筒体20・自封弁体７にも導
出側の筒体20・自封弁体７にも、無理な力として加わる
ことがない。

このため、両筒体20・20も両自封弁体７・７も、上記引
っ張り・押し圧・横曲げなどの外力で変形・破損される
ことが無く、高い封止能力を長期に亘って保持して、そ
の耐久性を高めることができる。

（ハ） カップリングを軽い力で接続できる カップリングを接続していくときに、各自封弁体７が各
筒体20の外周面に沿って摺動させられるだけであり、各
筒体20内の導入側通路２も導出側通路３も各筒体20外の
各自封弁体７でその内容積が圧縮されることがない。

このため、各自封弁体７は、導入側通路２・導出側通路
３内のオイルによる抵抗力を受けることがなく、軽い力
で動くので、カップリングを軽い力で楽に速やかに能率
よく接続することができる。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて述べる。

第１図は第１実施例を示す接続状態の油圧回路用短絡通
路付セルフシールカップリングの縦断正面図、第２図は
接続解除状態を示す同セルフシールカップリングの縦断
正面図、第３図は同セルフシールカップリングを使用し
た概略油圧系統図であって、当該油圧回路用短絡通路付
セルフシールカップリングは、ブロック状のカップリン
グ本体１に２連の自封弁６・６を固定して構成される。

上記カップリング本体１の左・右の上下に亘り２本の円
筒状の弁筒20・20を片持ち状に突出し、左側の弁筒20の
中央筒孔を導入側通路２に、右側の弁筒20の中央筒孔を
導出側通路３に各々設定する。

一方、自封弁６は、自封弁体７と自封弁口14と自封弁座
11とから構成され、上記左・右の各弁筒20に沿って設け
られる。

当該自封弁体７は、円筒状に形成されて、上記各弁筒20
に沿って上下摺動自在に外嵌され、閉弁用押圧バネ８で
上方に押圧付勢されるとともに、その内周面12の上下の
途中部に周溝15aと径方向の連通口15bから成る短絡口15
が空けられ、その上部に薄肉の接続用筒部13が連出され
る。

また、上記自封弁口14は、弁筒20の先端面21を閉止した
うえで、当該弁筒先端面のすぐ下方の周面に空けられ、
弁筒20の筒孔と連通される。

上記自封弁座11は、カップリング本体１の先端寄りに固
定される後述の継ぎ手部17の内壁により形成されて、自
封弁体７の接続用筒部13が着座するように構成される。

上記左・右の筒型自封弁体７の間を筒状の短絡通路10で
連結して、短絡通路10を当該弁体７と同行移動可能に構
成する。

即ち、短絡通路10を自封弁体７に空けた前記連通口15b
に連通して、導入側自封弁体７の内周面12と導出側内周
面12とを当該短絡通路10で常時開通する。

尚、符号16は、短絡通路10の往復移動用空間である。

他方、カップリング本体１の先端に円筒状の導入側及び
導出側の継ぎ手部17を固定し、上述のように、この継ぎ
手部17の内壁を自封弁座11に形成するとともに、継ぎ手
部17の中央部に複数の横孔19を空け、当該横孔19に鋼製
のボール18を径方向に進退自在に嵌入する。

また、上記継ぎ手部17に円筒状のスリーブ22を弾圧バネ
23を介して上下進退自在に外嵌し、スリーブ22の下部内
周面にテーパー部26を形成し、上記ボール18をテーパー
部26に沿って外径方向に進退可能に構成する。

尚、符号24はカップリング本体１を例えばトラクタ本体
に固定するための支持孔、符号27は導入側及び導出側の
スリーブ22・22を一体に連結する着脱操作ハンドル、符
号28はスリーブ22の抜け外れ防止用ストッパである。

そこで、上記自封弁６の機能を述べる。

（１） 閉弁用押圧バネ８の付勢力で自封弁体７の接続
用筒部13が自封弁座11に着座すると、弁筒20に空けた自
封弁口14が外部と遮断して閉じる自封閉弁状態になると
同時に、自封弁体７が上方に摺動して自封弁口14が短絡
口15に連通し、導入側通路２と導出側通路３とが自封弁
口14、短絡口15及び短絡通路10を介して開通して、短絡
状態になる。

（２） 外力（例えば、サブ回路側の自封弁の押圧力）
で自封弁体７が弁筒20に沿って内向きに押し戻される
と、自封弁口14が開いた接続開弁状態になると同時に、
自封弁体７が下方に摺動して短絡口15が弁筒20の自封弁
口14から外れ、導入側及び導出側通路２・３と短絡通路
10との連通が遮断する短絡解除状態になる。

次いで、上記油圧回路用短絡通路付セルフシールカップ
リングの実際上の使用形態と使用に際する機能を併せて
述べる。

第３図はセルフシールカップリングを農用トラクタに適
用した場合の実際上の油圧概略系統図を示す。

即ち、農用トラクタの前半部には油圧ローダが着脱自在
に取り付けられ、その後半部にはトラクタ自体の作業機
が取り付けられる。

そして、油圧ローダをアームシリンダ及びダンプシリン
ダなどのローダ側アクチェータ51と方向切り換え弁52と
で駆動するとともに、トラクタ自体の作業機を作業機側
アクチェータ53とトラクタに装備された方向切り換え弁
54とで駆動する。

上記油圧ローダ及び作業機を駆動する油圧装置50は、油
圧ポンプＰ、ローダ側サブ油圧回路56、トラクタ側のリ
リーフ弁57及びトラクタ自体のメイン油圧回路58を直列
状に接続して構成される。

尚、このとき、第３図とは異なり、トラクタ側のリリー
フ弁57が油圧ポンプＰとサブ油圧回路56との中間にある
場合には、サブ油圧回路56内のリリーフ弁は不要であ
る。

そして、油圧ローダにローダ側サブ油圧回路56を形成
し、当該サブ回路を除く他の三者をトラクタ本体に形成
して、サブ回路56とメイン回路58との間に、上記油圧回
路用短絡通路付セルフシールカップリング40とローダ側
セルフシールカップリング60とから成るオイル入・切装
置59を介装する。

因みに、上記セルフシールカップリング40は、弁筒20の
下端に形成した接続用ネジ孔25にトラクタ本体側からの
配管を接続して、トラクタ本体に固定される。

上記オイル入・切装置59にあっては、 （１） トラクタ作業機のみを使用する場合には、ロー
ダ側セルフシールカップリング60を切り離して短絡弁付
（即ち、作業機側）セルフシールカップリング40を接続
解除状態にしてサブ油圧回路56ごとローダをトラクタか
ら外し、 （２） ローダを使用したい場合には、ローダ側セルフ
シールカップリング60を作業機側セルフシールカップリ
ング40に嵌着して、ローダをトラクタに装着し、もって
当該作業機側カップリング40を接続状態にする。

上記ローダ側セルフシールカップリング60は、導入側及
び導出側の２連の自封弁30を着脱操作ハンドル41で一体
化したもので、各自封弁30は、作業機側セルフシールカ
ップリング40の導出側の自封弁６と同様に、弁筒31の中
央の筒孔に上下摺動自在に内嵌される自封弁体32と、当
該自封弁体32の径方向に空けた自封弁口38と、自封弁体
32を閉弁付勢する閉弁用押圧バネ33と、弁筒31の先端面
に形成した自封弁体32が着座する弁座34とから構成され
る。

また、弁筒31の先端寄りを若干小径に形成して接続用頭
部35に構成して、作業機側セルフシールカップリング40
の自封弁体７の接続用筒部13に内嵌可能に構成するとと
もに、弁筒31の途中部の外周部に断面円弧状の嵌入周溝
36を凹設して、作業機側カップリング40のボール18を嵌
入可能に構成する。

尚、符号37は閉弁用バネ33を受ける支持部材である。

以下、油圧回路用短絡通路付セルフシールカップリング
40の機能を述べる。

（１） 油圧装置のメイン回路58だけを使用して、トラ
クタ側作業機のみを操作する場合には、当該作業機側セ
ルフシールカップリング40はローダ側カップリングから
外れた接続解除状態なので、第２図に示すように、閉弁
用押圧バネ８の弾圧力で自封弁体７が外向きに押し戻さ
れて、自封弁体７の接続用筒部13が継ぎ手部17の自封弁
座11に着座し、弁筒20に空けた自封弁口14が外部から遮
断して自封弁６を閉弁する。

このとき、自封弁体７の短絡口15は、上記自封弁口14に
連通するので、導入側通路２と導出側通路３とは、自封
弁口14、短絡口15及び短絡通路10を介して開通する。

この結果、油圧ポンプＰから圧送されたオイルは、導入
側通路２→導入側自封弁口14→短絡口15→短絡通路10→
短絡口15→導出側自封弁口14→導出側通路３を短絡して
流れて、トラクタ作業機のみが駆動される。

（２） ローダを操作するために、ローダ側セルフシー
ルカップリング60を作業機側セルフシールカップリング
40に接続すると、第１図に示すように、ローダ側セルフ
シールカップリング60の弁筒31の接続用頭部35が作業機
側セルフシールカップリング40の弁筒20の接続用筒部17
に内嵌したのち、ローダ側の弁筒31が閉弁用押圧バネ８
の弾圧力に抗して作業機側の自封弁体７を内向きに押し
下げていき、作業機側の継ぎ手部17のボール18が上記弁
筒31の嵌入周溝36に嵌入して、カップリング同士のセッ
ティングが完了する。

但し、前記ボール18は上記嵌入周溝36に嵌入して内径方
向に移動するので、ボール18を受け止めていたテーパー
部26とボール18との係合が解除されて、弾圧バネ23によ
りスリーブ22は下方に押しやられる。

このとき、作業機側カップリング40の自封弁口14は、ロ
ーダ側カップリング60の自封弁口38にローダ側弁筒31の
筒孔を介して連通する。

また、このとき、自封弁体７は内向きに押し下げられる
ので、自封弁体７の短絡口15は弁筒20の自封弁口14から
外れて、導入側及び導出側通路２・３の連通が断たれ
る。

この結果、油圧ポンプＰで圧送されたオイルは、導入側
通路２→導入側自封弁口14→ローダ側自封弁口38→ロー
ダ側サブ回路56→ローダ側自封弁口38→導出側自封弁口
14→導出側通路３→メイン回路に流れて、トラクタ作業
機及びローダを同時に操作可能にする。

（３） 前述したように、カップリング同士を接続して
いく過程では、自封弁体７はオイルが通る弁筒20の筒孔
の外周部を内向きに押し戻されるので、押し戻しによる
オイルの排除はなく、作業機側或いはローダ側回路に付
設されたクローズドセンタ型の方向切換え弁などにより
オイルの逃げがない場合でも、カップリング同士の接続
が楽に行える。

また、ローダ側の接続用頭部35が作業機側の接続用筒部
13に内嵌してから後に、自封弁口14はローダ側と開通す
るので、自封弁口14を出たオイルがカップリング本体１
の短絡通路往復移動用空間16内に漏れることはない。

（４） ローダ側セルフシールカップリング60を作業機
側から切り離す場合、ローダ側に設けられた着脱操作ハ
ンドル41に対して作業機側の着脱操作ハンドル27を押し
上げると、作業機側のスリーブ22が継ぎ手部17に対して
上方に移動するので、ローダ側の弁筒31を介して閉弁用
押圧バネ８の押し上げ力を受けるボール18は、嵌入周溝
36から外れてスリーブ22のテーパー部26に受け止められ
て外径方向に退出する。

この結果、ローダ側セルフシールカップリング60は、作
業機側セルフシールカップリング40から上方に抜け外れ
て自封閉弁状態に移行する。

以上のように、本考案は、セルフシールカップリングの
自封弁体７を筒型の導入側及び導出側通路２・３の外周
部に摺動自在に外嵌して、カップリング接続過程でオイ
ルが自封弁体により排除されないように構成したことを
特徴とするので、自封弁体７の構造は上記実施例に限定
されず、例えば、内周部を穿った筒型に形成して、当該
内周部同士を短絡通路10で連通したものでも差し支えな
い。

また、セルフシールカップリングは上記実施例のような
ワンタッチ式カップリングに限らず、ネジ込み式カップ
リングでも差し支えない。

但し、本考案では、上記ワンタッチ式カップリングは、
装着時にフリーで、抜外し時にスリーブを上方に操作す
る上記実施例の形式に限らず、用途に応じて種々のもの
を選択することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の実施例を示し、第１図は接続
開弁状態を示す油圧回路用短絡通路付セルフシールカッ
プリングの縦断正面図、第２図は自封閉弁状態を示す同
セルフシールカップリングの縦断正面図、第３図は同セ
ルフシールカップリングを使用した概略油圧系統図、第
４図は接続解除状態の従来技術１を示す第２図相当図、
第５図は接続状態の従来技術１を示す第１図相当図、第
６図は接続解除状態の従来技術２を示す第２図相当図、
第７図は接続状態の従来技術２を示す第１図相当図であ
る。 １……カップリング本体、２……導入側通路、３……導
出側通路、４……２の出口側部分、５……３の入口側部
分、６……自封弁、７……自封弁体、８……閉弁用押圧
手段、10……短絡通路、12……７の内周面、14……自封
弁口、15……短絡口、17……継ぎ手部、20……筒体、21
……筒体の先端面、30……自封弁、31……弁筒、60……
セルフシールカップリング。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 倉嶋 登志昌 岡山県浅口郡里庄町大字新庄3858番地 三 陽機器株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−75193（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−163688（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カップリング本体（１）に導入側通路
   （２）と導出側通路（３）とを互いに独立させて設け、
   導入側通路（２）の出口側部分（４）と導出側通路
   （３）の入口側部分（５）とに夫々自封弁（６・６）を
   設け、 上記各自封弁６は、各自封弁体（７）が各閉弁用押圧手
   段（８）で外向きに押し出されて各自封弁口（14）を閉
   じて外部から遮断する自封閉弁状態と、外力で内向きに
   押し戻されて自封弁口（14）を開く接続開弁状態とに切
   換え可能に構成し、 導入側通路（２）と導出側通路（３）とを短絡通路（1
   0）を介して、互いに連通する短絡状態と互いに連通し
   ない短絡解除状態とに切換え可能に構成した 油圧回路用短絡通路付セルフシールカップリングにおい
   て、 導入側通路（２）と導出側通路（３）とは夫々カップリ
   ング本体（１）から片持状に突出する各筒体（20）の各
   筒孔からなり、各筒体（20）の先端面（21）を閉止する
   とともに、この先端面（21）に近い周面部分に自封弁口
   （14）を開口し、 各自封弁体（７）は筒型に形成して各筒体（20）に摺動
   自在に外嵌し、各自封弁体（７）の内周面の途中部に各
   短絡口（15）を形成するとともに、各短絡口（15）の両
   側の内周面部分を上記各筒体（20）の外周面に対して封
   止状態で摺動自在に外嵌させ、両短絡口（15）を短絡通
   路（10）で連通し、 各自封弁体（７）が各閉弁用押圧手段（８）で各筒体
   （20）の先端面（21）側へ押し出された自封閉弁状態で
   は、各短絡口（15）が各自封弁口（14）に連通して、導
   入側通路（２）と導出側通路（３）とが各自封弁口（1
   4）・各短絡口（15）及び短絡通路（10）を介して連通
   する短絡状態となり、 自封弁体（７）が外力で閉弁用押圧手段（８）に抗して
   筒体（20）の基端部側へ押し込められた接続開弁状態で
   は、各自封弁口（14）が各短絡口（15）との連通が断た
   れて解放される短絡解除状態となるように構成し、 カップリング本体（１）の先端部に導入側および導出側
   の継ぎ手部（17）を固定し、この継ぎ手部（17）に連結
   ・分離操作の相手側のセルフシールカップリング（60）
   の各自封弁（30）の各弁筒（31）を連結・分離自在に構
   成し、この継ぎ手部（17）はその各弁筒（31）を連結状
   態で固定支持するように構成した ことを特徴とする油圧回路用短絡通路付きセルフシール
   カップリング。