JPH064989Y2 - ブランク搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はブランク供給装置から１枚ずつ取出されたブラ
ンク（素材）をプレスのトランスファのフィードバーに
受渡す位置まで搬送するブランク搬送装置に関し、特に
搬送方向に対し左右の幅が大きい板の搬送に適する。

「従来の技術」 従来、ブランク供給装置の取出し位置からプレスのフィ
ードバーに受渡す位置までの距離を等分したピッチで搬
送方向に往復動を行って順にブランクを搬送するブラン
ク搬送装置は、ブランク供給装置の昇降する吸着具で１
枚ずつ取出したブランクを搬送方向に対し左右からブラ
ンク搬送装置のジョーで掴んで受取り、前進してシュー
トの上で解放して渡し、それ以後はブランク搬送装置に
搬送ピッチごとに設けた吸着カップで吸着、搬送、解放
を繰り返してシュート上を受渡す位置まで搬送してい
た。

「考案が解決しようとする問題点」 上述の従来の装置は、吸着カップはブランクの左右の幅
に合わせて適宜増設できるので問題はないが、ブランク
の左右の端部を掴むジョーは左右方向の中央部が垂れ下
がるのを防止できない。特にブランクの左右の幅が大き
い薄板で垂れ下がりが大きく、渡す位置のシュートに干
渉して搬送に失敗するためブランクの大きさが制限さ
れ、また垂れ下がりによりシュートに渡したときのブラ
ンクの位置ずれを起こし易い。またブランクの左右の幅
は製品ごとに大きく変化するので、ジョーの位置調節の
ための移動用レールが長くなり、ブランク搬送装置の構
造上無理が生じる。またブランクの垂れ下がりを防止す
る装置を設けようとしてもジョーの移動と干渉して設け
られない。など多くの欠点があった。

本考案の目的はこれらの欠点を除き、ブランクの搬送方
向の前後の寸法は変動が少ないことに着眼し、ブランク
の搬送方向前側を掴むジョーを設けることにより垂れ下
がりを防止する装置も設け易く、搬送方向に対し左右方
向の幅の大きい薄板の搬送に好適なブランク搬送装置を
提供することにある。

「問題点を解決するための手段及び作用」 本考案の構成は、ブランク搬送装置の機体部に搬送方向
に搬送ピッチで往復動し、左右方向に所要の幅を有する
移動体を設け、この移動体から後向に、左右方向に所要
の間隔で突出し、前後方向に位置調節可能な１組のジョ
ーを設け、移動体の下面には搬送ピッチごとに昇降可能
な吸着カップを設け、ブランク供給装置の吸着具でブラ
ンクを取出す位置から、このブランクをジョーで掴んで
搬送ピッチだけ前進させる位置にわたり、磁気ロールを
並設した磁気ロール付レールを吸着具及びジョーと干渉
しない間隔で左右方向の所要の範囲に設け、このレール
のうちジョー近傍の１組には、前後方向の中央部に間隔
を設け、移動体から後方に突設したガイドの先端部に、
このレールに沿って案内され、磁気ロール下面と若干上
方との間を昇降するマグネットを有する磁気キャッチャ
を設け、ジョーと磁気キャッチャで搬送したブランクを
受取る位置のシュートにはシュート上面の下方からレー
ルの磁気ロール下面の間を昇降し、その上面に磁石を列
設した昇降テーブルを設けたことを特徴とする。従って
大形の薄板ブランクも磁気ロールで吸着されて垂れ下が
ることなく、ジョーはブランクの前側を掴み、前後方向
に位置調節可能なので磁気ロール付きのレールと干渉す
ることがない。

「実施例」 第１図において、本考案のブランク搬送装置の正面を示
している。この図の右側に示すトランスファプレス(1)
の右側近傍にはブランク供給装置(2)を設けている。ブ
ランク供給装置(2)は揃えて積載したブランク(3)を図示
しない下方のリフタでマグネットフロータ(4)間の一定
高さに順次押上げ、１枚ずつに分離したブランク(3)を
その上方に設けたシリンダ(5)の吸着具(6)で吸着して上
方へ取出す。

シリンダ(5)はプレス(1)の側面に突設したフレーム(7)
に垂直に取付けてある。

フレーム(7)の下部には移動体(8)の案内として２本のカ
イド溝(9)がブランク(3)の搬送方向に設けられ、このガ
イド溝(9)に移動体(8)の左右両側面に回転自在に設けた
ローラ(10)を係合し、このローラ(10)を介して移動体
(8)は往復動自在となっている。移動体(8)の上面には連
結ブラケット(11)を立設し、この連結ブラケット(11)は
搬送方向に間隔をあけてフレーム(7)に設けた一対のス
プロケット(12)、(13)に掛けたチェーン(14)に連結され
ている。後方側のスプロケット(12)と同軸上に設けたス
プロケット(15)には、フレーム(7)部に設けた正逆回転
可能なモータ(16)の回転がチェーン(17)を介して伝達さ
れる。従ってモータ(16)の正逆回転により移動体(8)は
前進・後退動作を行う。この前進・後退動作の搬送ピッ
チはモータ(16)の回転角度により可変できるが、この例
ではシリンダ(5)のブランク供給位置(A)からプレスのフ
ィードバー（図示せず）にブランク(3)を受渡す位置(B)
までの距離を５等分した長さＳに設定している。

移動体(8)の後方には第２図及び第３図にも示すごと
く、搬送方向の左右に所要の間隔で一対のジョー(18)、
(18)が設けられている。夫々のジョー(18)は上部のロー
ラ(19)をガイド溝(9)に係合させ、中間部の３個のロー
ラ(20)を移動体(8)から後向に突設したガイド(21)に係
合させて搬送方向に往復動自在に設けられ、更にそのナ
ット部材(18A)を移動体(8)から後向に突出させ回転自在
のねじ棒(22)に螺合させている。ねじ棒(22)は移動体
(8)に設けたエアモータ(23)によりギヤを介して正逆回
転される。従って一対のジョー(18)、(18)は移動体(8)と
共に前進・後退動作を行い、かつブランク(3)の搬送方
向の寸法に合わせて位置調節できる。ジョー(18)は第３
図の示す夫々のシリンダ(24)により下側が下開きする。

シリンダ(5)の吸着具(6)で吸着して上昇したブランク
(3)はフレーム(7)の下面にその支柱(25A)で取付けた磁
気ロール付レール(25、(26)の下面に吸着される。搬送方
向の両側面に磁気ロールを有する第１の磁気ロール付レ
ール(26)及び第２の磁気ロール付レール(25)は、第２図
及び第３図に示すようにブランク(3)の搬送方向に対す
る左右の幅に対応して左右方向に間隔をあけて、かつ磁
気ロールの下面を同一水平面上として搬送方向に長く設
けている。ジョー(18)と対応して設けた第１の磁気ロー
ル付レール(26)、(26)はレールの中央に間隔をあけ、こ
の間隔部に沿って案内される磁気キャッチャ(27)がガイ
ド(27)の後端下部に設けられている。この磁気キャッチ
ャ(27)は、そのシリンダ(27A)でその下面が第１の磁気
ロール付レール(26)の磁気ロール下面とこれより若干上
方との間を昇降する。シリンダ(5)の吸着具(6)で取出さ
れ、第１の磁気ロール付レール(26)及び第２の磁気ロー
ル付レール(25)の下面に吸着されたブランク(3)は、移
動体(8)の後退端でジョー(18)と磁気キャッチャ(27)と
で保持され、前進端まで搬送され、解放される。

第１図に示す移動体(8)は後退端に停止した状態で、吸
着具(6)から第１の磁気ロール付レール(26)及び第２図
の磁気ロール付レール(25)に渡されたブランク(3)に対
し、下降した磁気キャッチャ(27)が後側を、前側端をジ
ョー(18)が掴む位置にある。ジョー(18)と磁気キャッチ
ャ(27)とがブランク(3)を掴み、かつ保持すると同時に
移動体(8)が前進する。移動体(8)が搬送ピッチＳだけ前
進した次のステージの下方には、所要の高さにシュート
(28)を設け、シュート(28)の間には、シュート(28)上面
の若干下方から第１の磁気ロール付レール(26)及び第２
の磁気ロール付レール(25)の下面までの間を昇降し、上
面にマグネットを設けた昇降テーブル(29)を設けてい
る。昇降テーブル(29)はシリンダ(30)により昇降し、上
昇した磁気キャッチャ(27)とジョー(18)が解放したブラ
ンク(3)を第１の磁気ロール付レール(26)及び第２の磁
気ロール付レール(25)から受取り、シュート(28)上面に
渡す。シュート(28)にはブランク(3)の位置ずれを防止
するマグネットが埋設されている。

移動体(8)の下面側には、移動体(8)に枢着したリンク(3
1)、(32)により昇降体(33)が水平に吊り下げられてい
る。リンク(31)、(32)の下端部は昇降体(33)に水平に設
けた長溝(34)、(35)に係合している。リンク(31)の上端
は枢着点より更に上方に伸び、連結ブラケット(11)に枢
着したシリンダ(36)のピストンロッドに連結されてい
る。リンク(31)と(32)とは水平な連杆(37)で連結してい
る。昇降体(33)の上面には軸(38)を立設し、軸(38)の上
部は移動体(8)下面に設けた穴(39)に球面軸受(40)を介
して挿入されている。従ってシリンダ(36)のピストンロ
ッドが伸びるとリンク(31)、(32)が連動して揺動し昇降
体(33)は上昇し、縮むと下降する。この時昇降体(33)の
軸(38)がリンク(31)、(32)の下端の移動による昇降体(3
3)の移動を規制するので昇降体(33)は上下方向に昇降す
る。昇降体(33)には搬送ピッチＳごとに下向に吸着カッ
プ(41)を４個所に突設している。吸着カップ(41)の下方
にはシュート(28)と同じ高さのシュート（図示せず）を
受渡す位置(B)まで設け、シュート(28)上に搬送された
ブランク(3)を吸着カップ(41)で吸着し、昇降体(33)を
上昇させ、移動体(8)の前進端で下降させ、吸着カップ
(41)から解放してシュートに渡し、再び昇降体(33)を上
昇させ移動体(8)の後退端で下降させる。この動作を繰
り返してブランク(3)を順次受渡す位置(B)まで搬送し、
プレスのフィードバーは受渡す位置(B)からブランク(3)
を受取り加工ステージに順次搬送する。

「考案の効果」 以上の説明から明らかなように本考案によれば、ジョー
をブランクの前側を掴む位置に設け、第１及び第２の磁
気ロール付レールを設けたので左右方向の幅が大きい薄
板ブランクでも撓むおそれがなく、搬送が確実である。
また磁気キャッチャ及び昇降テーブルを設けたので巾広
いブランクでも受渡しが確実であり、プレスの加工工程
における不良品の発生を少なくすることができ、ブラン
クの歩留りが向上するなど、実用上の効果と利点は大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の一部断面とした正面図、第２図は第１
図のII矢視図、第３図は第１図のIII矢視図である。 １はトランスファプレス、２はブランク供給装置、３は
ブランク、４はマグネットフロータ、５はシリンダ、６
は吸着具、７はフレーム、８は移動体、９はガイド溝、
１０はローラ、１１は連結ブラケット、１２はスプロケ
ット、１３はスプロケット、１４はチェーン、１５はス
プロケット、１６はモータ、１７はチェーン、１８はジ
ョー、１９はローラ、２０はローラ、２１はガイド、２
２はねじ棒、２３はエアモータ、２４はシリンダ、２５
は第２の磁気ロール付レール、２６は第１の磁気ロール
付レール、２７は磁気キャッチャ、２８はシュート、２
９は昇降テーブル、３０はシリンダ、３１はリンク、３
２はリンク、３３は昇降体、３４は長溝、３５は長溝、
３６はシリンダ、３７は連杆、３８は軸、２９は穴、４
０は球面軸受、４１は吸着カップ、Ａはブランク供給位
置、Ｂは受渡し位置である

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブランク供給装置のブランク供給位置(A)
   で取出したブランクをトランスファプレスのフィードバ
   ーに受渡す位置(B)までプレスの搬送方向に搬送するブ
   ランク搬送装置において、 前記トランスファプレスの側面に固設されブランク供給
   位置(A)の上方まで伸びるフレームで案内され、ブラン
   ク供給位置(A)と受渡す位置(B)との間の距離を等分した
   搬送ピッチで往復動を行う移動体(8)と、 ブランク供給位置(A)から前記搬送ピッチだけ進んだ次
   の搬送ステージまでの間に、移動体(8)と対応する間隔
   で前記搬送方向を向けて前記フレームに固設され、取出
   したブランクを受取る１組の第１の磁気ロール付レール
   (26)と、 ブランク供給位置(A)から前記次の搬送ステージまでの
   間に、第１の磁気ロール付レール(26)と平行にかつ下面
   を同一平面上として前記フレームに固設され、１組の第
   １の磁気ロール付レール(26)の間隔の中央と、両外側か
   ら間隔をあけた位置とに配置された複数の第２の磁気ロ
   ール付レール(25)と、 第１の磁気ロール付レール(26)の夫々の上方に対応して
   移動体(8)から前記搬送方向後向に突設したガイド(21)
   の後端下部に設けられ、第１の磁気ロール付レール(26)
   の中央の間隔部に沿って前記搬送方向に案内され、かつ
   第１の磁気ロール付レール(26)の磁気ロールの下面とこ
   の若干上方との間を昇降し、取出したブランクの前記搬
   送方向の後側を保持する磁気キャッチャ(27)と、 前記フレームとガイド(21)で前記搬送方向に案内され、
   移動体(8)から後向に突設した正逆回転されるねじ棒(2
   2)に位置調整可能に螺合し、取出したブランクの前記搬
   送方向前側を後向に掴む１組のジョー(18)と、 前記次の搬送ステージに設けられ、シュート(28)の上面
   の若干下方から第１の磁気ロール付レール(26)及び第２
   の磁気ロール付レール(25)の磁気ロール下面近傍までの
   間を昇降し、上面の磁石で受取ったブランクをシュート
   (28)に渡す昇降テーブル(29)と、 を具備することを特徴とするブランク搬送装置。