JPH0649107A - 塩化ビニル系不飽和単量体の懸濁重合方法 - Google Patents

塩化ビニル系不飽和単量体の懸濁重合方法

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JPH0649107A
JPH0649107A JP30598092A JP30598092A JPH0649107A JP H0649107 A JPH0649107 A JP H0649107A JP 30598092 A JP30598092 A JP 30598092A JP 30598092 A JP30598092 A JP 30598092A JP H0649107 A JPH0649107 A JP H0649107A
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organic peroxide
acid
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Kazuo Matsuyama
一夫 松山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気絶縁性に優れた塩化ビニル系重合体を得
ることができる、塩化ビニル系不飽和単量体の懸濁重合
方法を見いだす。 【構成】 凝固点が0℃以下でかつ10時間半減期を示
す温度が75℃以下であるぺルオキシエステル、凝結防
止剤としての分子量100以下の水溶性アルコールおよ
び水からなる系に、ポリオキシエチレン基を含まず、か
つ、単一の乳化剤の場合にはそのものについて、また2
種以上の場合には混合乳化剤についてのHLB値が4〜
10である少なくとも1種以上の非イオン系乳化剤を加
えて得られる有機過酸化物の水エマルションを重合開始
剤として、塩化ビニル系不飽和単量体を懸濁重合させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系不飽和単
量体の懸濁重合方法、さらに詳しくは、特定の乳化剤を
含む経時安定性および安全性に優れた有機過酸化物の水
エマルションを重合開始剤として用いることにより、電
気絶縁性に優れた重合体を与える塩化ビニル系不飽和単
量体の懸濁重合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル系重合体は、電線その他
の電気部品の絶縁材料として広く利用されている。電気
絶縁材料として利用されるには、電気絶縁材料としての
電気絶縁性や体積固有抵抗値をできるだけ高めることが
非常に重要である。またさらに、最近では、ポリ塩化ビ
ニル系重合体を製造するに当たって、生産性向上をはか
り、かつ、残留および廃棄塩化ビニル系不飽和単量体の
毒性による環境汚染を防止するために、重合設備を大型
化し、かつ製造系統を自動連続化するとともに、重合反
応系全体をクローズド化するシステムによって行なわれ
ている。
【0003】塩化ビニル系不飽和単量体の懸濁重合は、
通常所望粒度の重合体を得るために保護コロイドおよび
/または乳化剤を使用し、かつ、重合反応を起こすため
に重合開始剤を使用することによって行なわれる。しか
しながら、これらの添加物を使用する場合には、当該添
加物の種類によって重合体生成物の特性、例えば体積固
有抵抗値などに悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】塩化ビニル系不飽和単量体の重合開始剤と
しては、現在ではサイクルアップによる生産性向上のた
めに、低温活性なラジカル重合開始剤が主に使用されて
いる。このような重合開始剤は、主にペルオキシジカー
ボネート、ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド
などの有機過酸化物であるが、これらは一般に非常に反
応性が高く、不安定で危険性の高い物質である。これら
の重合開始剤は、取扱い、安全性および毒性の面からみ
て好ましくないものである。
【0005】したがって、近年クローズド化された系で
も使用できるような、有機過酸化物の水エマルションま
たは水サスペンションが提案されている。例えば、重合
開始剤サスペンションに固体の有機過酸化物を用い、H
LB値が15より大きく、かつ、ポリオキシエチレン基
を含有する非イオン系乳化剤で、環状の内部エーテル結
合を含有しないものを用いる方法(特開昭56−110
703号公報)、HLB値が15より大きく、かつ、ポ
リオキシエチレン基を含有する非イオン系乳化剤と、H
LB値が9より小さく、かつ、ポリオキシエチレン基を
含有しない非イオン系乳化剤とからなる乳化系で、混合
乳化剤のHLB値が11〜17の範囲にあるものを用い
る方法(特開昭56−110702号公報)などがあ
る。また、1〜4個の炭素原子を有するアルカノールお
よび/または2〜4個の炭素原子を有するアルカンジオ
ールを含有し、かつ、−5℃において液体である有機過
酸化物、乳化剤および/または保護コロイドからなる水
エマルションを用いる方法(特開昭56−139509
号公報)が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの方
法は下記に述べるいくつかの欠点を有している。例え
ば、特開昭56−110703号公報の固体の有機過酸
化物から得られる水サスペンションを用いる方法では、
水サスペンションが容器内および配管内に付着または残
留した場合に、水の蒸発により純度の高い有機過酸化物
が析出し易いため危険度が高まること、その上さらに析
出した有機過酸化物の除去は非常に困難であり、かつ、
その除去操作にはかなりの危険を伴うため、ポンプ輸送
による自動仕込みには適さない欠点がある。さらに固体
の有機過酸化物の水サスペンションに用いた乳化剤で、
液体の有機過酸化物の水エマルションを得る方法は、十
分に安定なエマルションが得られない欠点がある。ま
た、特開昭56−139509号公報の液体の有機過酸
化物の水エマルションを用いる方法は、これを追試した
ところ、得られた重合体の電気的性質が著しく損なわ
れ、電気絶縁材料として利用できないものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の欠
点を解決し、安全性および安定性に優れ、かつ、電気的
特性に優れた重合体を提供し得る方法を求めて研究した
結果、ポリオキシエチレン基を含有せず、かつ、HLB
値が4〜10の乳化剤、または2種以上の乳化剤を組み
合わせた場合は得られる混合乳化剤のHLB値が4〜1
0である混合乳化剤を用いて得た、特定の有機過酸化物
の水エマルションは、安定性に優れ、この水エマルショ
ンを用いて塩化ビニル系不飽和単量体を懸濁重合させれ
ば、得られる塩化ビニル系重合体は電気的特性に優れて
いるとの知見を得て、本発明を完成するにいたった。
【0008】すなわち、本発明の方法は、凝固点が0℃
以下でかつ10時間半減期を示す温度が75℃以下であ
るペルオキシエステル、凝結防止剤としての分子量10
0以下の水溶性アルコールおよび水からなる系に、ポリ
オキシエチレン基を含まず、かつ、単一の乳化剤の場合
にはそのものについて、また2種以上の場合には混合乳
化剤についてのHLB値が4〜10である少なくとも1
種以上の非イオン系乳化剤を加えて得られる有機過酸化
物の水エマルションを重合開始剤として、塩化ビニル系
不飽和単量体を懸濁重合させることを特徴とするもので
ある。
【0009】本発明の方法は、塩化ビニルの単独重合に
限らず、塩化ビニルを主体とする共重合にも応用するこ
とができる。この場合の塩化ビニルと共重合されるコモ
ノマーとしては、ビニルエステル、ビニルエーテル、ア
クリル酸またはメタクリル酸のエステル、α−オレフイ
ン、芳香族ビニル、塩化ビニル以外のハロゲン化ビニ
ル、ハロゲン化ビニリデン、マレイン酸あるいはフマル
酸エステルなどが例示され、これらは一般には塩化ビニ
ルとの混合物とした場合、30重量%以下の含有量で使
用される。
【0010】本発明の懸濁重合方法に用いられる有機過
酸化物の水エマルションの調製は、乳化剤および分子量
が100以下の水溶性アルコールを水に溶解することに
より得た水溶液を、攪拌しながら有機過酸化物に添加ま
たは前記水溶液に有機過酸化物を添加するという方法に
よって行なうことができる。この際、乳化剤は有機過酸
化物に溶解させて使用することもできる。
【0011】このようにして得られた有機過酸化物の水
エマルションは、水を連続相とするものであり、そのた
め安全性および安定性において優れた性質を示す。ま
た、このような有機過酸化物の水エマルションは、前記
水溶性アルコールによる凝結防止作用により、低温度に
おける貯蔵性および輸送性に優れている。
【0012】本発明に用いられる有機過酸化物は、10
時間半減期を示す温度が75℃以下で、かつ、凝固点が
0℃以下である1種または2種以上の有機過酸化物であ
る。また、該有機過酸化物と凝固点が0℃以上の有機過
酸化物との混合物で、凝固点が0℃以下となるような混
合有機過酸化物も本発明に含まれる。ここでいう10時
間半減期を示す温度とは、有機過酸化物に対して比較的
不活性な溶剤、例えばベンゼンまたはトルエンを主に使
用して、およそ0.1から0.2モル/lの有機過酸化
物濃度にし、ある温度に保持したとき、もとの有機過酸
化物が分解してその活性酸素量が1/2になるまでに要
する時間が10時間であるような温度を意味している。
【0013】前記有機過酸化物を具体的に示すと、例え
ばt−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペル
オキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレ
ート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチ
ルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート
などのペルオキシエステルがある。そして、本発明では
前記有機過酸化物をより安定にするため、または凝固点
を下げる目的で溶剤を添加することもできる。本発明に
用いられる有機過酸化物の水エマルションにおいて、前
記有機過酸化物の含有量は、10〜65重量%である
が、少なすぎると輸送コストが高くなり経済的に好まし
くなく、多くなりすぎると安全性に優れた製品が得られ
難い。有機過酸化物以外の残余は、水、乳化剤および分
子量が100以下の水溶性アルコールである。
【0014】本発明に用いられる分子量が100以下の
水溶性アルコールとは、任意の割合で水に溶解する低分
子量のアルコールのことであり、例えばメチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン
などがある。従来から、低分子量の水溶性アルコール
は、有機過酸化物の貯蔵安定性を著しく低めるため、好
ましくない溶剤とみなされてきたが、凝結防止剤として
このような低分子量の水溶性アルコールを添加して得ら
れる有機過酸化物の水エマルションは、有機過酸化物の
安定性を損なうことがない。前記水溶性アルコールの使
用量は、少なすぎると凝固点降下度が小さく、多すぎる
と有機過酸化物が不安定になるため、水1重量部に対し
て0.02から7重量部の範囲内である。この際、前記
水溶性アルコールは、その2種以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0015】本発明の懸濁重合に用いられる有機過酸化
物の水エマルションに用いられる非イオン系乳化剤は、
分子中に親水基としてのポリオキシエチレン基を含有し
ないことが必要である。具体的なものとしては、ラウリ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸の
ソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルおよび
ソルビタントリエステルならびにラウリン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸またはオレイン酸のサッカロースモ
ノエステル、サッカロースジエステルおよびサッカロー
ストリエステルがあげられる。前記のソルビタンモノ、
ジおよびトリエステルの市販品としては、例えば日本油
脂(株)製の商品名:ノニオンLP−20R、同PP−
40R、同SP−60R、同OP−80R、同OP−8
3RAT、同OP−85Rなどがある。また、前記のサ
ッカロースモノ、ジおよびトリエステルの市販品として
は、例えば菱糖(株)製のリョートーシユガーエステル
S−370、同S−770、同S−1170、同S−1
670、同P−1670、同LWA−1540、同OW
A−1570などがある。
【0016】乳化剤は、得られる混合乳化剤のHLB値
が4〜10となるように2種以上を組み合わせることも
できる。HLB値が4未満または10を越えた場合に
は、貯蔵安定性のよい有機過酸化物の水エマルションを
得ることが困難となる。前記非イオン系乳化剤の使用量
は、経済性および得られる重合体の品質への影響を考慮
すれば、安定な前記水エマルションを得るに必要な最少
量を用いることが好ましく、その使用量は、水1重量部
に対して0.005から0.1重量部の範囲内である。
【0017】HLB値は、日本油脂(株)の高橋、難
波、小池および小林の共編による「界面活性剤ハンドブ
ック」工学図書(株)版(1977)に記載されている
ような親水性−親油性バランスであると理解されるべき
である。そして、前述のHLB値は前記刊行物に記載さ
れているように、各種非イオン系乳化剤については簡単
な計算式によって求めることができ、また2種以上の乳
化剤を組み合わせて使用する場合には、各成分の重量比
から計算で求めることができる。
【0018】本発明に用いられる有機過酸化物の水エマ
ルションは、比較的低粘度を有しており、それ故取扱い
が容易で、かつ、ポンプ輸送が可能となる。粘度は20
℃において50ポイズを越えるべきでなく、一般には2
0ポイズ未満が好ましい。
【0019】そして、当該水エマルションは非常に安定
であり、比較的長い貯蔵期間後においても、重合に用い
られないような種類の相分離は起こさないが、万一相分
離が起こった場合にも水エマルション中の有機過酸化物
が連続相で均質に分配されなくなることを防ぐために、
水エマルション中に増粘剤および/または保護コロイド
として機能する物質を組み込むことが適当である。この
目的のための適当な物質の例は、部分的に加水分解され
ていてもよい合成および天然の重合物、例えばポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸
およびアクリル酸アミドまたはアクリル酸エステルとの
アクリル酸共重合物、水溶性セルロース誘導体、例えば
ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロー
ス、ゼラチン、でん粉などである。その使用量は、水1
重量部に対して0.001から0.5重量部の範囲内、
好ましくは0.005から0.1重量部の範囲内であ
る。これらのなかでは、ポリビニルアルコールまたは水
溶性セルロース誘導体が好ましく用いられる。
【0020】本発明の懸濁重合に用いられる有機過酸化
物の水エマルションを製造するために使う装置は、周知
の装置を用いることができる。例えば、かい型、プロペ
ラ型、タービン型の機械回転式の攪拌器であり、またコ
ロイドミル、ホモジナイザー、高速せん断乳化装置、超
音波ホモジナイザーなども使用できる。
【0021】本発明の方法は、重合開始剤として前記の
有機過酸化物の水エマルションを用いるほかは、従来の
塩化ビニルを水媒体中で重合する方法に準じて行なえば
よく、例えば懸濁剤などは従来公知のものを適当量使用
することができ、格別制限はない。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法は、上述のように構成され
ているため、以下に示すようないくつかの利点を有して
いる。
【0023】第1は、電気的特性の優れたポリ塩化ビニ
ル系重合体が得られるために、同一バッチで得られた製
品を多様な用途に使用することができ、重合設備の大型
化による多品種大量生産が可能となる。
【0024】第2は、水エマルションの凝結を伴わない
で0℃以下に冷却貯蔵できるため、有機過酸化物の劣化
を防止でき、かつ、そのままの形態で重合設備への自動
仕込みが可能である。
【0025】第3は、当該水エマルションにおいては、
有機過酸化物と水とが好ましい状態で乳化されているた
め安全性に優れている。例えば、通常のラジカル重合開
始剤に見られるような激しい自己加速性の分解および着
火のときの激しい燃焼がなく、貯蔵、取扱いおよび輸送
をきわめて安全に行なうことができる。それ故、重合設
備に塩化ビニルを仕込んだ後に、次いで重合開始剤を仕
込む際にときどき起こる塩化ビニルの逆流による被害を
最小限に抑えることができる。
【0026】第4は、当該水エマルションが、低粘度な
液体でかつ水希釈が容易であるため、必要量の計量、ポ
ンプ輸送および/または加圧輸送に適している。そのう
え、容器内および配管内に付着または残留した場合に容
易に水で洗い流すことができる。
【0027】第5は、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオ
キシジカーボネートのようなペルオキシジカーボネート
の水エマルションを用いる場合に比べて、体積固有抵抗
および熱的安定性の点で優れたポリマーを提供すること
ができる。
【0028】
【参考例、実施例、比較例、比較重合例】次に参考例、
実施例、比較例、および比較重合例をあげて説明する
が、いずれも例示のためのものであって、本発明をそれ
らのみに限定するものではない。
【0029】参考例1 攪拌装置と温度計とを備えた500mlの三つ口フラス
コへ、凝固点が−30℃以下で10時間半減期を示す温
度が48℃であるt−ブチルペルオキシネオデカノエー
トの40重量部を入れ、浴温を20℃に上げた。そこへ
43重量部の水、6重量部のメチルアルコール、6重量
部のエチレングリコール、2重量部のポリビニルアルコ
ール、3重量部のソルビタンモノパルミテート(商品
名:ノニオンPP−40R、HLB6.7;日本油脂
(株)製)を攪拌しながら滴下した。滴下後、20分間
攪拌を続けたところ、粘度が20℃で1.8ポイズであ
る均一な乳白色の有機過酸化物の水エマルションを得
た。この試料を−15℃に保つた容器に入れて、1箇月
間の貯蔵安定性試験を行なったところ、試料中の有機過
酸化物の減少も形状の変化もなく、安定であることが判
明した。
【0030】ついで参考例1の有機過酸化物の水エマル
ションについて下記要領によって燃焼試験および急速加
熱試験を行ない、得られた結果を表1に示した。 燃焼試験 JIS−K2274−62に示されているクリーブラン
ド開放式引火点試験器を用いて燃焼試験を行ない、着火
および引火温度を求め燃焼状態を観察した。燃焼試験に
よる安全性の評価は次に示す記号で表わした。 ○印:着火および引火温度が70℃以上、燃焼状態は穏
やかである。 急速加熱試験 オー・ピー・ピー・エス・ディー(オルガニック パー
オキサイド プロデュサー セイフティ デイビジョン
の略称)の急速加熱試験法に従って熱安定性試験を行な
い、最高到達温度を求めた。急速加熱試験による安定性
の評価は次に示す記号で表わした。 ○印:最高到達温度が100℃以下
【表1】 この表1の結果から、本発明の方法に用いられる有機過
酸化物の水エマルションは、燃焼安全性および加熱安定
性において非常に優れていることがわかった。
【0031】 実施例1、比較例1〜3および比較重合例1〜3 塩化ビニルの重合 0.45重量部のポリビニルアルコール、300重量部
の水、100重量部の塩化ビニルおよび表2に示す量の
前記参考例1によって得られた有機過酸化物の水エマル
ションをオートクレーブに入れ、攪拌しながら58℃に
なるまで加熱し、重合反応が完結するまで8時間反応を
継続した。それから、得られた重合物をロ別乾燥したと
ころ、表2に示す収率で白色粉状のポリ塩化ビニルを得
た。
【0032】体積固有抵抗の測定 それぞれのポリ塩化ビニル100gに、ジオクチルフタ
レート50gおよび三塩基性硫酸鉛8gを加えて得られ
た混合物を10分間ローラーで練り、その後160℃に
おいてプレスして板にした。次いで、JIS−K691
1「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に基づいてそ
れぞれの体積固有抵抗を測定し、その結果を表2に示
す。
【0033】ポリマーの熱安定の測定 ポリマー100重量部にジオクチルフタレート50重量
部、ジブチル錫マレート系安定剤5重量部、ステアリン
酸ソーダ2重量部を添加し、160℃の熱ロールで5分
間混練りしてシートを作成し、得られたシートの透明
性、着色状態を観察した。その結果を表2に示す。
【0034】比較例1 攪拌装置と温度計を備えた500mlの三つ口フラスコ
へ凝固点が−50℃以下で10時間半減期を示す温度が
43.5℃であるジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシ
ジカーボネートの40重量部を入れ、浴温を20℃に上
げた。そこへ43重量部の水と、12重量部のメチルア
ルコール、2重量部のポリビニルアルコール、1.5重
量部のソルビタンモノラウレート(商品名:ノニオンL
P−20R、HLB8.6;日本油脂(株)製)および
1.5重量部のソルビタンモノオレエート(商品名:ノ
ニオンOP−80R、HLB4.3;日本油脂(株)
製)からなる混合乳化剤のHLB値が6.5の混合溶液
を攪拌しながら滴下した。滴下後、20分間継続して攪
拌を続けたところ、粘度が20℃で1.3ポイズである
均一で安定な乳白色の有機過酸化物の水エマルションを
得た。
【0035】比較例2 乳化剤としてソルビタンモノラウレートおよびソルビタ
ンモノオレエートを用いる代わりに、HLB値が14の
サッカロースモノステアレート(商品名:リョートーシ
ュガーエステルS−1670;菱糖(株)製)を3重量
部用いる以外は、参考例1に準じて有機過酸化物の水エ
マルションを製造したところ、粘度が20℃で1.0ポ
イズである均一な乳白色の有機過酸化物の水エマルショ
ンを得た。しかし、−15℃の貯蔵安定性試験を行なっ
たところ、一昼夜放置することによって分離した。この
ように、本発明によって限定される以外の乳化剤を用い
た場合には、十分安定な有機過酸化物の水エマルション
の得られないことがわかった。
【0036】比較のために、重合開始剤として、比較例
1で得られた有機過酸化物の水エマルションを0.07
5重量部、98%純度のt−ブチルペルオキシネオデカ
ノエート(比較例3)を0.031重量部、そして従来
品の1つの乳化剤として、HLBが9.5のポリオキシ
エチレンノニルフェノールエーテルを3重量部用いる以
外は、参考例1に準じて得られた有機過酸化物の水エマ
ルション(比較例4)を0.075重量部用いて実施例
1に準じて塩化ビニルの懸濁重合を行ない、収率、体積
固有抵抗および熱的安定性を求め、それぞれ比較重合例
1〜3として、その結果を表2に示す。
【表2】
【0037】表2における実施例1と比較重合例1とか
ら明らかなように、本発明の方法はジ(2−エチルヘキ
シル)ペルオキシジカーボネートの水エマルションを用
いる方法に比べて、体積固有抵抗および熱的安定性の点
で優れたポリ塩化ビニルを提供できることがわかる。更
に、実施例1と比較重合例2との比較から、本発明の方
法に使用されている乳化剤、凝結防止剤などの添加物
は、ポリ塩化ビニルの収率や体積固有抵抗には何ら影響
を及ぼさないことが認められた。また実施例1と比較重
合例3との比較から、本発明の方法は従来法に比較し
て、特に電気的特性に優れたポリ塩化ビニルを提供する
ことがわかる。また比較例2から明らかなように、本発
明の方法に使用される範囲外のHLBを有する乳化剤を
用いた場合は、塩化ビニルの重合開始剤としては好都合
である安定なエマルションとならないため、塩化ビニル
の重合は実施できなかった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル系重合体は、電線その他
の電気部品の絶縁材料として広く利用されている。電気
絶縁材料として利用されるには、電気絶縁材料としての
電気絶縁性や体積固有抵抗値をできるだけ高めることが
非常に重要である。すなわち、絶縁材料のごく微小部位
においてさえも、体積固有抵抗値の低い部分が存在すれ
ば、電圧変動により高電圧になったときショートが起こ
り、火災や感電のような大災害の原因となり、ときには
人命に係わる場合もある。そのため、電気材料メーカー
や電気機器メーカーは、絶縁材料の電気絶縁性に対して
はなみなみならぬ注意を払っている。またさらに、最近
では、ポリ塩化ビニル系重合体を製造するに当たって、
生産性向上をはかり、かつ、残留および廃棄塩化ビニル
系不飽和単量体の毒性による環境汚染を防止するため
に、重合設備を大型化し、かつ製造系統を自動連続化す
るとともに、重合反応系全体をクローズド化するシステ
ムによって行なわれている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】乳化剤は、得られる混合乳化剤のHLB値
が4〜10となるように2種以上を組み合わせることも
できる。HLB値が4未満または10を越えた場合に
は、貯蔵安定性のよい有機過酸化物の水エマルションを
得ることが困難となる。すなわち、液体の有機過酸化物
の場合には、反応性が高いため、乳化時における最適条
件だけでなく、水エマルションの製造中および貯蔵中な
らびに水エマルションを用いる重合中における乳化剤と
の反応をも考慮する必要があり、安定性および安全性が
高く、高品質な重合体を得るためには、前記HLB値の
範囲内の乳化剤を用いることが必要である。前記非イオ
ン系乳化剤の使用量は、経済性および得られる重合体の
品質への影響を考慮すれば、安定な前記水エマルション
を得るに必要な最少量を用いることが好ましく、その使
用量は、水1重量部に対して0.005から0.1重量
部の範囲内である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凝固点が0℃以下でかつ10時間半減期
    を示す温度が75℃以下であるペルオキシエステル10
    〜65重量%、残余が水、乳化剤および水溶性アルコー
    ルからなり、さらに増粘剤および/または保護コロイド
    を含むことができるもので、(a)乳化剤がラウリン
    酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸のソ
    ルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルおよびソ
    ルビタントリエステルならびにラウリン酸、パルミチン
    酸、ステアリン酸またはオレイン酸のサッカロースモノ
    エステル、サッカロースジエステルおよびサッカロース
    トリエステルからなる群から選ばれる1種または2種以
    上で、単一の乳化剤の場合にはそのものについて、また
    2種以上の場合には混合乳化剤についてのHLB値が4
    〜10であるポリオキシエチレン基を含まない非イオン
    系乳化剤であって、それを水1重量部に対して0.00
    5〜0.1重量部含有し、(b)水溶性アルコールが分
    子量100以下の水溶性アルコールであって、それを水
    1重量部に対して0.02〜7重量部含有し、(c)粘
    度が20℃において50ポイズを越えることがない、水
    エマルション化有機過酸化物を重合開始剤として用いる
    ことを特徴とする塩化ビニル系不飽和単量体の懸濁重合
    方法。
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