JPH0649099A - 糖鎖関連抗原誘導体 - Google Patents

糖鎖関連抗原誘導体

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JPH0649099A
JPH0649099A JP3183770A JP18377091A JPH0649099A JP H0649099 A JPH0649099 A JP H0649099A JP 3183770 A JP3183770 A JP 3183770A JP 18377091 A JP18377091 A JP 18377091A JP H0649099 A JPH0649099 A JP H0649099A
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JP
Japan
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sugar chain
derivative
residue
glycoprotein
acid
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JP3183770A
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English (en)
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Takumi Tanaka
巧 田中
Hiroshi Nakamura
裕志 中村
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Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、糖タンパク質糖鎖又はその誘導体
と、リポペプチドとを結合させて成る糖鎖関連抗原誘導
体の発明である。 【効果】本発明は、癌細胞由来の糖タンパク質の糖鎖部
分を含有する糖鎖関連抗原誘導体の発明であり、これを
抗原として用いることにより、従来の方法では産生させ
ることが難しかった糖タンパク質の糖鎖部分に特異性を
有する抗体を容易に産生させることができる点に顕著な
効果を奏するものであり、また、このようにして得られ
た抗体は癌の診断や治療にその用途が大いに期待できる
ものであり、斯業に貢献するところ大なる発明である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の癌に対する診
断、検査にその用途が期待される抗癌マーカー抗体の産
生に利用し得る新規な糖鎖関連抗原誘導体に関する。
【0002】
【発明の背景】最近確立されたモノクロナール抗体作製
技術は免疫学、発生学、腫瘍学等の分野で盛んに利用さ
れるようになっている。この結果、癌マーカーに特異性
を示す抗体の抗原物質は、化学レベルで検索すると糖脂
質由来の糖鎖であることが多いことが判ってきた。例え
ば胃癌、結腸癌、肺癌等の癌細胞より特異的に産生され
る物質として、異常糖脂質が多数見いだされている。そ
のため最近抗原決定基を有する糖脂質の単離、同定等に
関する研究が活発に行われている。特に、ラクトシリー
ズ、ネオラクトシリーズの糖脂質を中心として、種々の
抗体を得る方法、例えば糖脂質を細菌(サルモネラ・ミ
ネソタ)の菌体に吸着させたものを免疫すれば、抗体が
比較的効率よく作製できることが判明しているし[J.Ex
p.Med.,vol.150, 1008〜1017(1979)]、この他、ガラス
ビーズを用いる方法や、リピッドAを含んだリポソーム
を用いる方法等が研究されている[J.Immunol.,vol.16,
951〜956(1986)]。尚、糖鎖抗原はマウスにおいては
T細胞非依存性抗原とされており、これに対する免疫応
答は同じくT細胞非依存性の抗原を多量に含む細菌に介
助効果(アジュバント効果)があるとされている。その
ため、分子中に疎水性の脂質(セラミド)部分がある糖
脂質については、このような菌体への吸着方法により目
的の糖鎖構造に特異性を有する抗体を得ることが可能で
あるが、オリゴ糖や糖タンパク質の糖鎖には疎水性の部
分がないためこの方法を応用するのは難しい。
【0003】糖タンパク質糖鎖に於いても、最近の進歩
した分析技術により癌細胞により産生される糖タンパク
質糖鎖の解析が行われてきた。その結果、セリン又はト
レオニン結合型糖鎖を産生する細胞が癌化すると糖鎖配
列が変化する(糖鎖不全、例えばT抗原、Tn抗原、シ
アリルTn抗原と呼ばれるものがそれに該当する。)こ
とや、アスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖を産生する
細胞の一群に於いて癌化した細胞により、基本母核糖鎖
構造上にフコース(Fuc)α1→6 N-アセチルグルコサ
ミン(GlcNAc)又は/及びGlcNAcβ1→4マンノース
(Man)構造の修飾が成された糖タンパク質が産生され
ることが判ってきた。従って、糖タンパク質に於ける癌
細胞由来糖鎖に特有の部分を特異的に認識する抗体が容
易に得られれば、癌診断上の定量性、特異性の向上が期
待される。しかしながら、糖タンパク質を抗原として用
いた場合、これを直接マウス等の動物に免疫して得られ
る抗体の多くは、糖タンパク質のタンパク質部分を認識
するものであり、糖鎖部分を認識する抗体はなかなか得
られず、このことが糖タンパク質を癌マーカー等として
利用する際の問題点となっている。
【0004】例えば、α-フェトプロテイン(AFP)は胎
児期の肝臓並びに卵黄嚢で産生される糖タンパク質であ
るが、正常の成人の肝臓では殆ど作られていない。とこ
ろが肝癌、卵黄嚢癌において顕著なAFPの産生が起こる
ことから、この糖タンパク質は代表的な癌細胞由来糖タ
ンパク質として注目されている。一方、肝硬変症に於い
てもAFPの産生が起こるが、肝硬変症由来のAFPと癌細胞
由来のそれとでは、その糖鎖構造に差があることが明ら
かとなってきた[Cancer Res.,vol.43, 4691-4695(198
3)、 Cancer Res.,vol.40, 4276-4281(1980)]。しかし
ながら、現在得られているAFPに対する抗体は、AFPのタ
ンパク質部分を認識する抗体であるため、それを利用し
た診断法ではこれらの分別診断は不可能であるところか
ら、現在の方法によりAFPの増減を測定するだけでは癌
の診断には利用することができない。
【0005】そのため、糖タンパク質の糖鎖部分を特異
的に認識する抗体を簡便に産生し得る方法の出現が渇望
されている現状にある。
【0006】
【発明の目的】本発明は上記した如き状況に鑑みなされ
たもので,癌細胞由来の特定糖鎖構造を含有する糖タン
パク質糖鎖又はその誘導体の免疫原性を向上させた新規
な糖鎖関連抗原誘導体を提供することをその目的とす
る。
【0007】
【発明の構成】本発明は、糖タンパク質糖鎖又はその誘
導体と、リポペプチドとを結合させて成る糖鎖関連抗原
誘導体の発明である。
【0008】即ち、本発明者らは、癌細胞由来の特定糖
鎖構造を含有する糖タンパク質糖鎖又はその誘導体の免
疫原性を向上させ、該糖鎖部分に特異性を有する抗体が
容易に得られる方法を見出すべく鋭意研究の途上、大腸
菌等グラム陰性菌のリポタンパク質がB細胞マイトジェ
ン活性を有するリポタンパク質であることに着目し[Ho
ppe-Seyler's Z.Physiol.Chem.,vol.354, 813〜825(197
3)]、癌細胞由来糖タンパク質の糖鎖部分若しくはそれ
を含有するオリゴ糖鎖に、B細胞マイトジェン活性を有
するリポペプチドを特定のアミノ酸残基、即ちアスパラ
ギン残基、セリン残基又はトレオニン残基等を介して結
合せしめた化合物を合成し、これを抗原として用いたと
ころ、該化合物の糖鎖部分の免疫原性が向上して該糖鎖
部分に特異性を有する抗体が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】本発明に係る糖タンパク質糖鎖又はその誘
導体としては、癌細胞由来の糖タンパク質から得られる
糖鎖、これと同じ構造を有するか或はこれと同じ構造部
分を有する合成糖鎖であれば特に限定されることなく挙
げられるが、例えばアスパラギン結合型糖鎖で糖鎖配列
中にFucα1→6GlcNAc結合又は/及びGlcNAcβ1→4M
an結合を含むもの、アスパラギン結合型糖鎖でManα1
→6(Manα1→3)Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc
という基本母核構造に持ち、且つ糖鎖配列中にFucα1
→6GlcNAc結合又は/及びGlcNAcβ1→4Man結合を含
むもの等が好ましく挙げられる。尚、本発明に係る糖タ
ンパク質糖鎖の糖鎖長は特に限定されない。
【0010】本発明の糖鎖関連抗原誘導体を合成するた
めに用いられる糖タンパク質糖鎖又はその誘導体は、例
えば以下の如くして容易に得ることができる。即ち、天
然の糖タンパク質から酵素法、ヒドラジン法、トリフル
オロアセトリシス法等の常法(続・生化学実験講座4,
複合糖質研究法I,糖タンパク質,1985年,東京化
学同人刊等)に準じてその糖鎖部分を単離し、得られた
該糖鎖を、例えばピリジン等の塩基存在下、アシル化剤
として例えば無水酢酸、塩化アセチル、塩化ベンゾイル
等を用いて常法に従ってアシル化することにより得るこ
とができるので、そのようにして得てもよいし、例えば
Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,vol.21, 155ー173(1982)、同
vol.26, 294ー308(1987)、同 vol.29, 823ー839(1990)等
に記載の方法に準じて逐次グリコシデーション反応を行
う有機化学的合成法によっても得ることができるので、
そのようにして得られたもの等何れにてもよい。尚、糖
タンパク質糖鎖又はその誘導体を純度良く且つ大量に得
たいのであれば、有機化学的合成法によることが好まし
いし、また、長い糖タンパク質糖鎖又はその誘導体を得
たいのであれば、天然の糖タンパク質から抽出する方法
が好ましいので、本発明に係る糖タンパク質糖鎖又はそ
の誘導体を得る方法はその目的に応じて上記した如き方
法の中から適宜選択すればよい。
【0011】本発明に係るリポペプチドとしては、B細
胞マイトジェン活性を有するリポペプチドであれば特に
限定されることなく挙げられるが、例えば下記一般式1
【化2】 [式中、R1及びR2は夫々独立して炭素数10〜31の飽和
又は不飽和のアシル基(直鎖状又は分岐状の何れにても
よい。)を表わし、R3は炭素数10〜31の飽和又は不飽
和のアシル基(直鎖状又は分岐状の何れにてもよい。)
又はアミノ基保護基を表わし、Xは酸素原子又は硫黄原
子を表わし、Aは水酸基、アミノ酸残基又はアミノ酸残
基2個から成るペプチド残基を表わす。]で示される化
合物が好ましく挙げられる。
【0012】一般式1に於いて、R1、R2又はR3の炭
素数10〜31の飽和又は不飽和のアシル基(直鎖状又は分
岐状の何れにてもよい。)としては特に限定されない
が、例えばカプリル基、ラウロイル基、ミリストイル
基、パルミトイル基、ステアロイル基、エイコサノイル
基、テトラコサノイル基、2-テトラデシルヘキサデカノ
イル基、リノレオイル基、オレオイル基、エライドイル
基等が好ましく挙げられ、R3のアミノ基保護基として
は通常ペプチド合成の際にアミノ基保護基として用いら
れるものであれば特に限定することなく挙げられるが、
具体的には例えばベンジルオキシカルボニル基、p-ニト
ロベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボ
ニル基(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
基、p-トルエンスルホニル基、トリチル基、2,2,2,-ト
リクロロエトキシカルボニル基等が好ましく挙げられ
る。Aのアミノ酸残基としては、天然のアミノ酸残基で
あれば特に限定されることなく挙げられるが、例えばセ
リン(Ser)残基が好ましく挙げられ、また、Aのアミ
ノ酸残基2個から成るペプチド残基としては、天然のア
ミノ酸残基2個から成るペプチド残基であれば特に限定
されることなく挙げられるが、例えばSer-Serで表わさ
れるペプチド残基が好ましく挙げられる。
【0013】一般式1で示される化合物は、例えばHopp
e-Seyler's Z.Physiol.Chem.vol.364, 593ー606(1983)等
に記載の方法に準じて容易に合成することができる。即
ち、常法、例えば酢酸tert-ブチルと60%過塩素酸とを
用いる方法により得られるシスチンのジ-tert-ブチルエ
ステル体と、該エステル体に対して1〜2倍当量の炭素
数10〜31の例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、
エイコサン酸、テトラコサン酸、メリシン酸、オレイン
酸、リノール酸等の飽和又は不飽和の脂肪酸(直鎖状又
は分岐状の何れにてもよい。)と、該エステル体に対し
て1〜2倍当量の例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジ
イミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジエチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(WSC)等の脱水縮合剤とを、例えばジ
クロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等の
溶媒中で、室温乃至若干加温下に、数時間乃至数日間反
応させた後、常法、例えばカラムクロマトグラフィ等に
より精製を行って、N,N'- ジアシルシスチン ジ-tert-
ブチルエステルを得る。これと、例えばジチオスレイト
ール等の還元剤とを、例えばジクロロメタン、1,2-ジク
ロロエタン、クロロホルム等の溶媒中で、室温下に、数
時間乃至数日間反応させた後、常法、例えばカラムクロ
マトグラフィ等により精製を行って、N-アシル化システ
インを得る。次いで、これと、これに対して5〜15倍当
量の3-ブロモ-1,2-プロパンジオールとを、例えばジメ
チルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で、80〜100℃で、数
時間反応させて、ジヒドロキシプロピル基を導入したN-
アシル化システインを得る。更に、これと、これに対し
て2〜4倍当量の炭素数10〜31の例えばカプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オクタデカン
酸(ステアリン酸)、エイコサン酸、テトラコサン酸、
メリシン酸、オレイン酸、リノール酸等の飽和又は不飽
和の脂肪酸(直鎖状又は分岐状の何れにてもよい。)
と、同2〜4倍当量の例えば1,3-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジエチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド(WSC)等の脱水縮合剤とを、例えば
ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等
の溶媒中で、室温乃至若干加温下に、数時間乃至数日間
反応させた後、常法、例えばカラムクロマトグラフィ等
により精製を行って、5-[2,3-ビス(アシロキシ)-(2RS)-
プロピル]-N-アシルシステイン tert-ブチルエステル
を得る。最後に、これと、例えばトリフルオロ酢酸等の
酸と反応させて、tert-ブチル基を外し、次いで常法、
例えばカラムクロマトグラフィ等により精製を行うこと
により、本発明に係る一般式1で示される化合物が得ら
れる。
【0014】本発明の糖鎖関連抗原誘導体は、例えば以
下の如くして容易に合成し得る。即ち、先に述べた如き
方法により得られた糖タンパク質糖鎖またはその誘導体
を、常法、例えば臭化水素−酢酸、塩化アセチル、四臭
化チタン、四塩化チタン等で処理してハロゲン化し、次
いでこれをアジ化銀、アジ化ナトリウム等と、例えばジ
クロロメタン、クロロホルム等の溶媒中、室温乃至加温
下に数時間反応させることにより、還元末端をアジド化
した糖タンパク質糖鎖又はその誘導体(以下、本糖鎖と
略記する。)を得る。この本糖鎖を、例えばメタノー
ル,エタノール等のアルコール類に溶解し、例えば10%P
d/C,5%Pd/C,酸化白金,ラネーNi等の触媒、好ましく
は酸化白金の存在下、水素ガスを用いて接触還元を行
う。反応温度は通常15℃〜60℃程度、好ましくは室温程
度であり、反応時間は通常1時間〜12時間程度、好まし
くは2時間程度である。反応後は触媒を瀘去し、瀘液を
濃縮して溶媒を留去する。次に、得られた残渣と、本糖
鎖に対して約1〜2倍当量の、例えばt-ブトキシカルボ
ニルアスパラギン酸 α-ベンジルエステル(BOC-Asp-O
Bzl)等の特定のアミノ酸誘導体とを、例えば混合酸無
水物法、酸アジド法、例えば1,3-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC),1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-
1,2-ジヒドロキシキノリン(EEDQ),ベンゾトリアゾリル
-N-ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキ
サフルオロリン化物塩(BOP)試薬等の縮合試薬を用いる
方法、或は、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(HOS
u),p-ニトロフェノール(HONp),1-ヒドロキシベンゾト
リアゾール(HOBt)等のカルボキシル基の活性化剤を用い
る活性エステル法、若しくはDCC又はBOP試薬と、HOBt又
はHOSuを併用する方法等により反応させると還元末端に
t-ブトキシカルボニル-アスパラギン-O-ベンジル(BOC-
Asn-OBzl)が結合した本糖鎖の誘導体が得られる。反応
は通常例えばジメチルホルムアミド(DMF),テトラヒド
ロフラン(THF),ジクロロメタン,クロロホルム,ジオ
キサン等の溶媒中で行われ、反応温度は通常−5℃〜40
℃程度、好ましくは室温付近で、反応時間は通常1〜5
日間程度、好ましくは3日間程度である。生成物は必要
に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィ等により精
製を行うこと常法通りである。
【0015】得られた本糖鎖の誘導体は、次いで、例え
ばトリフルオロ酢酸(TFA),塩化水素,2N-塩酸/酢酸等
の酸と、例えばジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エ
チル等の溶媒中で、−5〜30℃程度、好ましくは0℃前
後、0.2〜2時間程度、好ましくは0.5時間程度攪拌反応
させて脱BOC化を行なう。
【0016】次いで、得られた化合物を、これに対して
約1〜2倍当量の例えば一般式1で示される本発明に係
るリポペプチドと、上記本糖鎖の誘導体を合成する方法
に準じて、例えば混合酸無水物法、酸アジド法、例えば
DCC,EEDQ,BOP試薬等を用いる縮合試薬法、或は、例え
ばHOSu,HONp,HOBt等の活性化剤を用いる活性エステル
化法、若しくはDCC又はBOP試薬と、HOBt又はHOSuを併用
する方法により反応させる。生成物は必要に応じて例え
ばシリカゲルカラムクロマトグラフィ等の常法により精
製する。
【0017】得られた化合物を、例えばメタノール,エ
タノール等のアルコール系溶媒中で、例えばナトリウム
メチラート,ナトリウムエチラート,苛性ソーダ,苛性
カリ,炭酸カリウム,トリエチルアミン等の強塩基と、
−5〜60℃程度、好ましくは室温程度で、0.2〜12時間
程度撹拌反応させ、得られた生成物をゲル瀘過等の常法
により精製すれば本発明の糖鎖関連抗原誘導体が得られ
る。尚、本糖鎖の誘導体を脱BOC化反応に付す前に、前
記本糖鎖の還元方法に準じて5%Pd/C等を触媒に用いて接
触還元してベンジル基を外し、その後、上記本発明の誘
導体を合成する方法に準じて混合酸無水物法、酸アジド
法、縮合試薬法、活性エステル法、或は縮合試薬と活性
化剤を併用する方法等により、アミノ酸やペプチド或は
これらの誘導体(例えばチロシンアミド等)と反応させ
てアスパラギン残基のC末端カルボキシル基にアミノ酸
等を導入し、然る後、脱BOC化反応に付し、次いでリポ
ペプチドと反応させれば、当然のことながらアスパラギ
ン残基のC末端にアミノ酸等が導入された本発明の糖鎖
関連抗原誘導体が得られる。
【0018】本発明の糖鎖関連抗原誘導体は、通常糖タ
ンパク質糖鎖又はその誘導体がアスパラギン(Asn)残
基、Ser残基又はトレオニン(Thr)残基等の特定のアミ
ノ酸残基を介して、リポペプチドと結合して成るが、こ
れらのアミノ酸残基のC末端カルボキシル基は遊離型で
もよいし、適当なアミノ酸、ペプチド等が結合していて
もよいし、またエステル基、アミド基となっていてもよ
い。但し、これらのアミノ酸残基のC末端カルボキシル
基に結合しているアミノ酸数が増加すると、そのペプチ
ド部分の抗原性が増加するので、導入するペプチド鎖は
短い方が好ましい。尚、アミノ酸を導入する場合のアミ
ノ酸としては例えば沃素125等で標識し易いチロシン(T
yr)等が好ましく挙げられる。
【0019】本発明の糖鎖関連抗原誘導体は、糖鎖部分
の免疫原性が強い化合物であるので、常法、例えば「免
疫学実験入門、第2刷、松橋直ら、(株)学会出版セン
ター、1981」等に記載の方法に準じて、馬、牛、羊、
兎、山羊、ラット、マウス等の動物に該誘導体を免疫す
ることにより該誘導体の糖鎖部分に特異性を有するポリ
クローン性抗体を容易に得ることができるし、或はまた
常法、即ちケラーとミルスタイン[Nature,vol.256, 49
5(1975)]により確立された細胞融合法に従い、マウスの
腫瘍ラインからの細胞と、該誘導体で予め免疫されたマ
ウスの脾細胞とを融合させて得られるハイブリドーマか
ら該誘導体の糖鎖部分に特異性を有する単クローン性抗
体を容易に得ることができる。尚、このようにして得ら
れた抗体は、糖タンパク質の糖鎖部分に対して高い特異
性を有しているので、癌の診断や治療に応用することが
可能である。以下に本発明を参考例、実施例及び応用例
により詳述するが、本発明はこれら実施例等により何ら
限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
【0021】参考例1.キトビオースオクタアセテート
(フナコシ薬品(株)製)を、例えばアセチルクロライ
ド、塩酸ガス等でクロル化した後、アジ化銀でアジド化
して得られた、下記構造式で示されるキトビオースヘプ
タアセテートアジド(化合物(1))
【化3】 (式中、Acはアセチル基を表わす。以下同じ。)9.23g
をメタノール 200mlに溶解し、28%ナトリウムメチラー
ト0.95mlを加え、室温で3時間攪拌反応させた。次い
で、陽イオン交換樹脂アンバーリスト15(オルガノ社
製)4gを加え更に20分間攪拌反応させた。反応液を瀘
別し、瀘液を減圧下に濃縮して下記構造式で示される化
合物(2)
【化4】 の白色結晶6.3gを得た(定量的)。 融点:203℃。 元素分析:C1627510・2H2Oとして 計算値(%);C 39.58;H 6.44;N 14.43、 実測値(%);C 39.45;H 6.34;N 14.66。
【0022】参考例2.参考例1で得た化合物(2)4.66g
をDMF 120mlに溶解したものに、pートルエンスルホン酸8
6mgとp-メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール
5.63gとを加えた後、45〜55℃で終夜攪拌反応させた。
反応終了後、反応液を冷却し、次いでこれにエーテル30
0mlを加えた。生じた沈澱を瀘取しエーテルでよく洗浄
して下記構造式で示される新規化合物(3)
【化5】 6.0gを得た(定量的)。 融点:218ー220℃。 元素分析:C2433511 として 計算値(%);C 50.79;H 5.86;N 12.34、 実測値(%);C 50.68;H 5.96;N 12.25。1 H-NMR(270MHz,DMSOーd6)δppm:1.85(2s,6H,2NCH3)、
3.75(s,3H,OCH3)、4.46(d,1H,H-1,J=9.2Hz)、4.60(d,1
H,H-1′,J=8.1Hz)、5.53(s,1H,ヘ゛ンシ゛リテ゛ンH)、6.91, 7.3
6(2d,4H,Ph)、7.89(2d,2H,2NH)。
【0023】参考例3.参考例2で得た化合物(3)5.9g
をDMF 200mlに溶解したものに、イミダゾール7.08gと塩
化tertーブチルジフェニルシリル13.5mlとを加え室温で
4時間攪拌反応させた。反応液を酢酸エチルで抽出し、
得られた有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。溶媒を減圧濃縮し得られた残渣を酢酸エチル
−エーテルの混合溶媒で結晶化して、下記構造式で示さ
れる新規化合物(4)
【化6】 (式中、φはベンゼン環を表わす。以下同じ。) 5.89gを得た(収率70.3%)。 融点:149ー151℃。 元素分析:C4051511Siとして 計算値(%):C 59.61;H 6.38;N 8.69、 実測値(%):C 59.52;H 6.50;N 8.49。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:1.05(s,9H,Si(C
H3)3)、1.71,1.88(2S,6H,2NCH3)、3.77(s,3H,0CH3)、4.
45(d,1H,H-1,J=9.2Hz)、4.80(d,1H,H-1′,J=8.2Hz)、5.
56(s,1H,ヘ゛ンシ゛リテ゛ンH)、6.94-7.73(m,14H,Ph)、7.83,7.8
9(2d,2H,2NH)。
【0024】参考例4.参考例3で得られた化合物(4)
5.0gを60%酢酸100mlに溶解し、室温で3時間攪拌反応さ
せた。反応終了後、反応液を減圧濃縮して得た残渣をエ
ーテルで結晶化して、下記構造式で示される新規化合物
(5)
【化7】 の白色結晶4.12gを得た(収率96.7%)。 融点:143ー146℃。 元素分析:C3245510Siとして 計算値(%):C 55.88;H 6.59;N 10.18、 実測値(%):C 55.92;H 6.64;N 10.09。
【0025】参考例5.参考例4で得られた化合物(5)
4.4gをピリジン15mlに溶解したものに無水酢酸7mlを加
えて室温で終夜攪拌反応させた。反応終了後、反応液を
減圧濃縮して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィ(溶出液;クロロホルム−メタノール混合溶媒)で
精製して、下記構造式で示される新規化合物(6)
【化8】 4.85gを得た(収率88.5%)。 融点:117ー119℃。 元素分析:C4053514Siとして 計算値(%):C 56.13;H 6.24;N 8.18、 実測値(%):C 56.09;H 6.27;N 8.12。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:1.05(s,9H,C(C
H3)3)、1.67,1.81(2s,6H,2NCH3)、1.93-2.00(4s,12H,4O
Ac)、4.69(d,1H,H-1,J=9.2Hz)、4.94(d,1H,H-1′,J=8.4
Hz)、4.82(dd,1H,H-4′)、5.01(dd,1H,H-3)、5.31(dd,
1H,H-3′)、7.47-7.77(m,10H,Ph)、7.99(2d,2H,2NH)。
【0026】参考例6.参考例5で得られた化合物(6)
4.4gをTHF 40mlに溶解したものに、1.0M弗化テトラブチ
ルアンモニウム溶液5.2mlを加え室温で2時間攪拌反応
させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮して得た残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;クロロホ
ルム−メタノール混合溶媒)で精製して、下記構造式で
示される新規化合物(7)
【化9】 2.9gを得た(収量91.5%)。 融点:204ー206℃。 元素分析:C2435514として 計算値(%):C 46.67;H 5.71;N 11.34、 実測値(%):C 46.51;H 5.72;N 11.20。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:1.86,1.87(2s,6H,2N
CH3)、1.99-2.09(4s,12H,4OCH3)、4.75(d,1H,H-1′,J=
8.4Hz)、4.80(d,1H,H-1,J=9.5Hz)、4.90(dd,1H,H-
4′)、5.04(dd,1H,H-3)、5.18(dd,1H,H-3′)、8.05(2d,
2H,2NH)。
【0027】参考例7.文献[Carbohydr.Res.,vol.20
9,c1(1991)]に記載の方法に準じて合成したトリ-O-ア
セチルフコース-β-チオメチル4.1gをメタノール60mlに
溶解し、これに28%ナトリウムメチラート0.5mlを加え室
温で30分間攪拌反応させた。反応液にアンバーリスト15
を加えて中和した後、アンバーリスト15を瀘去した。瀘
液を減圧濃縮して得た残渣をDMF 100mlに溶解し、60%水
素化ナトリウム4.1gを少量ずつ加え30分間攪拌反応させ
た。次いで、これに塩化p-メトキシベンジル15.7gを加
えて終夜攪拌反応させた。反応終了後、反応液を氷水中
に注ぎ、酢酸エチルで抽出して得られた有機層を水洗
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して
得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出
液;トルエン−酢酸エチルの混合溶媒)にて精製し、ヘ
キサンで結晶化して、下記構造式で示される新規化合物
(8)
【化10】 (式中、Mpmはp-メトキシフェニルメチル基を表わす。
以下同じ。) 4.1gを得た(収率57.7%)。 融点:73ー74℃。 元素分析:C31387Sとして 計算値(%):C 67.12;H 6.91、 実測値(%):C 67.28;H 7.04。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:1.09(d,3H,CH3,J=6.2
Hz)、2.08(s,3H,SCH3)、3.74(3s,9H,3OCH3)、4.28(d,1
H,H-1,J=9.2Hz)、6.53-6.58(m,12H,Ph)。
【0028】参考例8.参考例6で得られた化合物(7)
2.16gと、参考例7で得られた化合物(8)2.33gとを1,2-
ジクロロエタン−DMF(5:1v/v)混液80mlに溶解したも
のを、窒素気流下に臭化銅1.41g、臭化テトラブチルア
ンモニウム4.29g及びモレキュラーシーブ4A(和光純
薬工業(株)製)7gを含む1,2-ジクロロエタン−DMF混液7
0mlに加え、室温で2日間攪拌反応させた。反応終了
後、反応液を瀘過し、瀘液を減圧濃縮して得られた残渣
を酢酸エチルで抽出し、飽和重ソウ水、水で順次洗浄し
た。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減
圧留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィ(溶出液;クロロホルム−メタノールの混合溶媒)
にて精製し、エーテルで結晶化して、下記構造式で示さ
れる新規化合物(9)
【化11】 3.47gを得た(収率88.3%)。 融点:184ー186℃。 元素分析:C5469511として 計算値(%):C 57.69;H 6.19;N 6.23、 実測値(%):C 57.55;H 6.11;N 6.25。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:1.06(d,3H,CH3,J=6.5
Hz)、1.78,1.80(2s,6H,2NCH3)、1.90,1.91,1.95,1.96(4
s,12H,4COCH3)、4.63(d,1H,H-1,J=9.5Hz)、4.69(d,1H,H
-1′,J=8.5Hz)、4.98(d,1H,H-1″,J=3.5Hz)、6.87-7.31
(6d,12H,Ph)、7.97,8.01(2d,2H,2NH,J=9.5Hz)。
【0029】参考例9.参考例8で得られた化合物(9)
3.4gをアセトニトリル−水(9:1v/v)混液40mlに溶解
し、0℃に冷却した後、これに硝酸セリウム(IV)ア
ンモニウム10gを加え、氷冷下で30分間攪拌反応させ
た。反応終了後、反応液に酢酸エチルと水を加えて抽出
し、水層部を合わせてn-ブチルアルコールで抽出した。
n-ブチルアルコールを減圧留去して得られた残渣をピリ
ジン40mlに溶解し、無水酢酸15mlを加えて室温で終夜攪
拌反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、得ら
れた残渣を酢酸エチルで抽出し、飽和重ソウ水、水で順
次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィ(溶出液;クロロホルム−メタノールの混合
溶媒)にて精製し、エーテルで結晶化して、下記構造式
で示される化合物(10)
【化12】 1.76gを得た(収率65.1%)。 融点:135ー136℃。 元素分析:C3651521・2H2Oとして 計算値(%):C 46.70;H 5.99;N 7.56、 実測値(%):C 46.83;H 5.97;N 7.46。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:1.06(d,3H,CH3,J=6.5
Hz)、1.73-2.14(9s,27H,2NCH3,7OCH3)、4.66(d,1H,H-1,
J=9.5Hz)、4.69(d,1H,H-1′,J=8.5Hz)、5.00(d,1H,H-
1″,J=3.5Hz)、7.97(d,1H,NH,J=9.5Hz)、8.05(d,1H,N
H′,J=9.0Hz)。
【0030】参考例10.参考例9で得られた化合物(1
0)1.74gをエタノール150mlに溶解し、これに酸化白金2
gを加えて水素ガス気流下、2時間接触還元を行った。
触媒を瀘去後、瀘液を減圧留去して得られた残渣とBoc-
Asp-OBzl 947mgとをDMF 30mlに溶解し、これにEEDQ 725
mgを加えて室温で3日間攪拌反応させた。反応終了後、
反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出
し、有機層を10%クエン酸溶液、飽和重ソウ水、水で順
次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留
去後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出
液;酢酸エチル−メタノールの混合溶媒)にて精製し、
酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒により結晶化して、下記
構造式で示される新規化合物(11)
【化13】 1.66gを得た(収率72.9%)。 融点:142ー144℃。 元素分析:C5272426・H2Oとして 計算値(%);C 52.61;H 6.28;N 4.72、 実測値(%);C 52.40;H 6.35;N 4.68。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:0.95(d,3H,CH3,J=6.5
Hz)、1.34(s,9H,C(CH3)3)、1.73,1.77(2s,6H,2NCH3)、
1.91,1.93,1.94,1.95,2.01,2.10,2.14(7s,21H,7OCH3)、
2.51(dd,1H, AsnβHa,J=8.5Hz)、2.58(dd,1H,AsnβHb,J
=16Hz,5.5Hz)、4.37(m,1H,AsnαH)、4.69(d,1H,H-1′,J
=8.5Hz)、4.94(d,1H,H-1″,J=3.5Hz)、5.00(dd,1H,H-
2″,J=10Hz,3.5Hz)、5.01(dd,1H,H-1,J1,2=9.5Hz)、5.0
8(d,2H,Ph-CH2-,J=3.0Hz)、7.04(d,1H,AsnαNH)、7.31-
7.37(m,5H,Ph)、7.84(d,1H,NH)、8.04(d,1H,N′H)、8.5
7(d,1H,AsnδNH)。
【0031】参考例11.参考例10で得られた化合物
(11)1.66gをメタノール100mlに溶解し、これに5%Pd/C 2
00mgを加え、水素ガス気流下に2時間攪拌反応させた。
Pd/Cを瀘去後、瀘液を減圧濃縮し得られた残渣とチロシ
ンアミド307mgをDMF 20mlに溶解し、これにトリエチル
アミン0.24mlを添加後、更にBOP試薬754mgを加え室温で
終夜攪拌反応させた。反応終了後、反応液を酢酸エチル
で希釈抽出し、抽出液を10%クエン酸溶液、飽和重ソウ
水、水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧下に留去して得られた残渣を酢酸エチル
−エーテル混合溶媒により結晶化して、下記構造式で示
される新規化合物(12)
【化14】 の白色結晶1.59gを得た(収率90.3%)。 融点:161ー163℃。 元素分析:C5476627として 計算値(%):C 52.25;H 6.17;N 6.77、 実測値(%):C 52.18;H 6.21;N 6.76。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:0.99(d,3H,CH3,J=6.5
Hz)、1.76,1.77(2s,6H,2NCH3)、1.35(s,9H,C(CH3)3)、
1.91,1.93,1.95,1.96,2.01,2.11,2.13(7s,21H,7OCH3)、
2.35(dd,1H,AsnβCHa,J=8.5Hz)、2.42(dd,1H,AsnβCHb,
J=16Hz,5.0Hz)、2.72(dd,1H,TyrβCHa,J=14Hz,8.0Hz)、
2.86(dd,1H,TyrβCHb,J=4.8Hz)、4.16(m,1H,AsnαCH)、
4.26(m,1H,TyrαCH)、4.48(m,1H,H-5″)、4.70(d,1H,H-
1′,J=8.5Hz)、4.82(dd,1H,H-4′)、4.90(dd,1H,H-3)、
4.94(d,1H,H-1″,J=3.5Hz)、5.02(dd,1H,H-1)、5.11(d
d,1H,H-3′)、5.24(dd,1H,H-3″)、5.26(dd,1H,H-
4″)、6.82(d,1H,AsnαNH,J=8.0Hz)、6.61,6.95(2d,4H,
Ph)、7.08,7.30(2s,2H,CONH2)、7.59(d,1H,TyrαNH,J=
8.0Hz)、7.84(d,1H,NH,J=9.5Hz)、8.04(d,1H,N′H,J=9.
5Hz)、8.52(d,1H,AsnδNH,J=9.5Hz)。
【0032】実施例1.参考例11で得られた化合物(1
2)1.5gを25%TFA−ジクロロメタン溶液40mlに氷冷下に溶
解し、同温度で30分間攪拌反応させた。反応終了後、反
応液を減圧濃縮して得られた残渣にエーテルを加え生じ
た沈澱を瀘取した。乾燥後これをDMF−ジクロロメタン
(1:1v/v)40mlに溶解し、これにトリエチルアミン0.42
mlを加えて暫時攪拌した後、更にS-[2,3-ビス(パルミト
イルオキシ)-(2RS)-プロピル]-N-パルミトイル-システ
イン1.4g、HOBt 230mg及びBOP試薬663mgを順次加え室温
で2日間攪拌反応させた。反応液を減圧濃縮し得られた
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;ク
ロロホルム−メタノール混合溶媒)にて精製し、下記構
造式で示される新規化合物(13)
【化15】 の白色結晶2.18gを得た(収率89.5%)。 融点:222ー224℃。 元素分析:C103169731Sとして 計算値(%):C 60.30;H 8.40;N 4.78、 実測値(%):C 60.36;H 8.53;N 4.69。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:0.84(t,9H,3CH3,J=7.
0Hz)、0.97(d,3H,CH3,J=6.5Hz)、4.18(m,1H,AsnαCH)、
4.24(m,1H,CysαCH)、4.27(m,1H,TyrαCH)、4.70(d,1H,
H-1′,J=8.5Hz)、4.82(dd,1H,H-4′)、4.90(dd,1H,H-
3)、4.93(d,1H,H-1″,J=3.5Hz)、4.90-5.03(m,2H,H-1,H
-2″)、6.61,6.95(2d,4H,Ph)。
【0033】実施例2.実施例1で得られた化合物(13)
500mgをメタノール−THF(1:1v/v)30mlに溶解し、これ
に25%ナトリウムメチラート0.2mlを加えて0〜4℃で終
夜攪拌反応させた。反応液を酢酸で中和後、減圧下に濃
縮し、得られた残渣をゲル瀘過[充填剤;LH-20(ファ
ルマシア社製)]により精製後、凍結乾燥して、下記構
造式で示される新規化合物(14)
【化16】 の白色結晶260mgを得た(収率96.7%)。 融点:216℃(分解)。 元素分析:C79155724S・2H2Oとして 計算値(%):C 57.32;H 9.68;N 5.92、 実測値(%):C 57.29;H 9.63;N 5.86。1 H-NMR(500MHz,DMSOーd6)δppm:0.85(t,9H,3CH3,J=
7.0Hz)、1.06(d,3H,CH3,J=6.5Hz)、4.48(d,1H,H-1′,J=
8.5Hz)、6.63,6.95(2d,4H,Ph)。
【0034】応用例1.実施例2で得られた化合物(14)
を、兎5羽に対して免疫し(200μg/2week×5)、糖
鎖に対する抗体の産生の有無を確認したところ、2羽に
ついて抗体の産生が確認された。これにより本発明の糖
鎖関連抗原誘導体を抗原として使用することにより糖鎖
に対する抗体が得られることが判った。尚、糖鎖に対す
る抗体産生の有無の確認は、参考例11で得られた化合
物(12)を常法により脱アシル化して得られる化合物(以
下、化合物(15)と略記する。)を常法により固定化した
マイクロプレートと、パーオキシダーゼ(POD)標識抗兎I
gG+IgM抗体(羊)と、過酸化水素とオルトフェニレン
ジアミンとを含む発色剤とを用いる常法により行った。
一方、化合物(15)を、上記と同様にして兎5羽に対して
免疫したが、何れの兎からも糖鎖に対する抗体の産生は
確認されなかった。
【0035】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、癌細胞由来
の糖タンパク質の糖鎖部分を含有する糖鎖関連抗原誘導
体の発明であり、これを抗原として用いることにより、
従来の方法では産生させることが難しかった糖タンパク
質の糖鎖部分に特異性を有する抗体を容易に産生させる
ことができる点に顕著な効果を奏するものであり、ま
た、このようにして得られた抗体は癌の診断や治療にそ
の用途が大いに期待できるものであり、斯業に貢献する
ところ大なる発明である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】一般式1で示される化合物は、例えばHopp
e-Seyler's Z.Physiol.Chem.vol.364, 593ー606(1983)等
に記載の方法に準じて容易に合成することができる。即
ち、常法、例えば酢酸tert-ブチルと60%過塩素酸とを
用いる方法により得られるシスチンのジ-tert-ブチルエ
ステル体と、該エステル体に対して1〜2倍当量の炭素
数10〜31の例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、
エイコサン酸、テトラコサン酸、メリシン酸、オレイン
酸、リノール酸等の飽和又は不飽和の脂肪酸(直鎖状又
は分岐状の何れにてもよい。)と、該エステル体に対し
て1〜2倍当量の例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジ
イミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(WSC)等の脱水縮合剤とを、例えばジ
クロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等の
溶媒中で、室温乃至若干加温下に、数時間乃至数日間反
応させた後、常法、例えばカラムクロマトグラフィ等に
より精製を行って、N,N'- ジアシルシスチン ジ-tert-
ブチルエステルを得る。これと、例えばジチオスレイト
ール等の還元剤とを、例えばジクロロメタン、1,2-ジク
ロロエタン、クロロホルム等の溶媒中で、室温下に、数
時間乃至数日間反応させた後、常法、例えばカラムクロ
マトグラフィ等により精製を行って、N-アシル化システ
インを得る。次いで、これと、これに対して5〜15倍当
量の3-ブロモ-1,2-プロパンジ オールとを、例えばジメ
チルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で、80〜100℃で、数
時間反応させて、ジヒドロキシプロピル基を導入したN-
アシル化システインを得る。更に、これと、これに対し
て2〜4倍当量の炭素数10〜31の例えばカプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オクタデカン
酸(ステアリン酸)、エイコサン酸、テトラコサン酸、
メリシン酸、オレイン酸、リノール酸等の飽和又は不飽
和の脂肪酸(直鎖状又は分岐状の何れにてもよい。)
と、同2〜4倍当量の例えば1,3-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド(WSC)等の脱水縮合剤とを、例えば
ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等
の溶媒中で、室温乃至若干加温下に、数時間乃至数日間
反応させた後、常法、例えばカラムクロマトグラフィ等
により精製を行って、5-[2,3-ビス(アシロキシ)-(2RS)-
プロピル]-N-アシルシステイン tert-ブチルエステル
を得る。最後に、これと、例えばトリフルオロ酢 酸等
の酸と反応させて、tert-ブチル基を外し、次いで常
法、例えばカラムクロ マトグラフィ等により精製を行
うことにより、本発明に係る一般式1で示される化合物
が得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】参考例10.参考例9で得られた化合物(1
0)1.74gをエタノール150mlに溶解し、これに酸化白金2
gを加えて水素ガス気流下、2時間接触還元を行った。
触媒を瀘去後、瀘液を減圧留去して得られた残渣とBoc-
Asp-OBzl 947mgとをDMF 30mlに溶解し、これにEEDQ 725
mgを加えて室温で3日間攪拌反応させた。反応終了後、
反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出
し、有機層を10%クエン酸溶液、飽 和重ソウ水、水で順
次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留
去後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出
液;酢酸エチル−メタノールの混合溶媒)にて精製し、
酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒により結晶化して、下記
構造式で示される新規化合物(11)
【化13】 1.66gを得た(収率72.9%)。 融点:142ー144℃。 元素分析:C5272426・H2Oとして 計算値(%):C 52.61;H 6.28;N 4.72、 実測値(%):C 52.40;H 6.35;N 4.68。1 H-NMR(500MHz,DMSO-d6)δppm:0.95(d,3H,CH3,J=6.5
Hz)、1.34(s,9H,C(CH3)3)、1.73,1.77(2s,6H,2NCH3)、
1.91,1.93,1.94,1.95,2.01,2.10,2.14(7s,21H,7OCH3)、
2.51(dd,1H, AsnβHa,J=8.5Hz)、2.58(dd,1H,AsnβHb,J
=16Hz,5.5Hz)、4.37(m,1H,AsnαH)、4.69(d,1H,H-1′,J
=8.5Hz)、4.94(d,1H,H-1″,J=3.5Hz)、5.00(dd,1H,H-
2″,J=10Hz,3.5Hz)、5.01(dd,1H,H-1,J1,2=9.5Hz)、5.0
8(d,2H,Ph-CH2-,J=3.0Hz)、7.04(d,1H,AsnαNH)、7.31-
7.37(m,5H,Ph)、7.84(d,1H,NH)、8.04(d,1H,N′H)、8.5
7(d,1H,AsnδNH)。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖タンパク質糖鎖又はその誘導体と、リポ
    ペプチドとを結合させて成る糖鎖関連抗原誘導体。
  2. 【請求項2】糖タンパク質糖鎖又はその誘導体が、フコ
    ースα1→6 N-アセチルグルコサミン結合又は/及びN
    -アセチルグルコサミンβ1→4マンノース結合を含む
    ものである請求項1に記載の糖鎖関連抗原誘導体。
  3. 【請求項3】リポペプチドが、一般式1 【化1】 [式中、R1及びR2は夫々独立して炭素数10〜31の飽和
    又は不飽和のアシル基(直鎖状又は分岐状の何れにても
    よい。)を表わし、R3は炭素数10〜31の飽和又は不飽
    和のアシル基(直鎖状又は分岐状の何れにてもよい。)
    又はアミノ基保護基を表わし、Xは酸素原子又は硫黄原
    子を表わし、Aは水酸基、アミノ酸残基又はアミノ酸残
    基2個から成るペプチド残基を表わす。]で示される化
    合物である請求項1記載の糖鎖関連抗原誘導体。
  4. 【請求項4】糖タンパク質糖鎖又はその誘導体と、リポ
    ペプチドとが、アスパラギン残基、セリン残基又はトレ
    オニン残基を介して結合している請求項1に記載の糖鎖
    関連抗原誘導体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6323246B1 (en) 1990-06-15 2001-11-27 Shiseido Company, Ltd. Complex and emulsified composition

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