JPH0648712A - 燐酸液の精製法 - Google Patents
燐酸液の精製法Info
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- JPH0648712A JPH0648712A JP20508792A JP20508792A JPH0648712A JP H0648712 A JPH0648712 A JP H0648712A JP 20508792 A JP20508792 A JP 20508792A JP 20508792 A JP20508792 A JP 20508792A JP H0648712 A JPH0648712 A JP H0648712A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 燐酸液中の砒素を硫化水素ガスと反応さ
せて、該燐酸液中の砒素を硫化物として除去する方法に
おいて、温度が30〜80℃の燐酸液中へ、燐酸液中の
砒素分に対して重量比にて30倍〜150倍の硫化水素
ガスを予め分散し、反応せしめた後、石炭系活性炭を充
填した活性炭塔にて、反応生成物である硫化物分を吸着
除去する。 【効果】 燐酸液中の砒素を0.01ppmまで除
去することができる。
せて、該燐酸液中の砒素を硫化物として除去する方法に
おいて、温度が30〜80℃の燐酸液中へ、燐酸液中の
砒素分に対して重量比にて30倍〜150倍の硫化水素
ガスを予め分散し、反応せしめた後、石炭系活性炭を充
填した活性炭塔にて、反応生成物である硫化物分を吸着
除去する。 【効果】 燐酸液中の砒素を0.01ppmまで除
去することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燐酸液の精製法に関する
ものであり、更に詳しくは燐酸液中に含まれる微量の砒
素分を除去する方法に関するものである。
ものであり、更に詳しくは燐酸液中に含まれる微量の砒
素分を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】燐酸
液には乾式燐酸液と湿式燐酸液とがあるが、いずれの場
合も表面処理剤として使用する際の公害問題、食品や医
薬用として使用する際の有害性、電子材料として用いる
際に高純度品が要求されることなどから、近年、砒素除
去の要求が益々高まっており最近では燐酸液中の砒素含
有量は0.05重量ppm(以後ppmは全て重量pp
mを表わす)以下、将来は更に低含有量のものを要求さ
れる情勢である。燐酸液中の砒素分の除去には通常、硫
化水素または硫化ソーダ、硫化カリ、硫化アンモニウ
ム、水硫化ソーダ、水硫化アンモニウムなどの、酸性条
件下で硫化水素ガスを発生する化合物(本発明において
はこれらを可溶性硫化物と呼ぶ)と反応させ砒素硫化物
として沈澱除去する方法が一般的に用いられている。然
しこの方法では生成する砒素硫化物の沈澱が膠質性にな
りやすく、粘度の高い高濃度燐酸液からの分離には困難
があり、上記砒素含有量の厳しい規格に対応し得る迄、
満足に除去しえない状況であった。
液には乾式燐酸液と湿式燐酸液とがあるが、いずれの場
合も表面処理剤として使用する際の公害問題、食品や医
薬用として使用する際の有害性、電子材料として用いる
際に高純度品が要求されることなどから、近年、砒素除
去の要求が益々高まっており最近では燐酸液中の砒素含
有量は0.05重量ppm(以後ppmは全て重量pp
mを表わす)以下、将来は更に低含有量のものを要求さ
れる情勢である。燐酸液中の砒素分の除去には通常、硫
化水素または硫化ソーダ、硫化カリ、硫化アンモニウ
ム、水硫化ソーダ、水硫化アンモニウムなどの、酸性条
件下で硫化水素ガスを発生する化合物(本発明において
はこれらを可溶性硫化物と呼ぶ)と反応させ砒素硫化物
として沈澱除去する方法が一般的に用いられている。然
しこの方法では生成する砒素硫化物の沈澱が膠質性にな
りやすく、粘度の高い高濃度燐酸液からの分離には困難
があり、上記砒素含有量の厳しい規格に対応し得る迄、
満足に除去しえない状況であった。
【0003】特にこの現象は燐酸液中の砒素含有量が低
くなるに従って著しく、砒素含有量が数ppm以下の燐
酸液を対象とした時顕著に現れ、砒素除去が極めて困難
であった。
くなるに従って著しく、砒素含有量が数ppm以下の燐
酸液を対象とした時顕著に現れ、砒素除去が極めて困難
であった。
【0004】砒素の除去率の向上及び生成する砒素硫化
物沈澱の濾過性改良を図るため、数多くの研究がなされ
ており、例えば活性炭の存在下に可溶性硫化物を添加す
る方法(特公昭49− 37030号公報)や、湿式燐酸にあっ
ては更にカリウム化合物をも加えて含有する燐酸根と砒
素を同時に除去する方法(特開昭49−129696号公報)な
どが開示されている。
物沈澱の濾過性改良を図るため、数多くの研究がなされ
ており、例えば活性炭の存在下に可溶性硫化物を添加す
る方法(特公昭49− 37030号公報)や、湿式燐酸にあっ
ては更にカリウム化合物をも加えて含有する燐酸根と砒
素を同時に除去する方法(特開昭49−129696号公報)な
どが開示されている。
【0005】従来、砒素除去の為に活性炭を存在させる
方法は、粒状炭ではさほど効果はないが粉状炭では特に
有機物を含む燐酸液、例えば湿式法による燐酸液におい
て相当効果はあるものの砒素含有量を、例えば0.1重
量ppm以下迄低下させるためには大量の活性炭を必要
であった。そして更に有機物を含有する燐酸液(例えば
湿式法による燐酸液)の場合には、有機物分の除去が律
則となり、砒素分の除去は困難であった。このため活性
炭をかなり多量に添加する必要があり、その結果、活性
炭中の不純物分の溶出や濾別分離を行った際の活性炭の
漏れなど操作上の種々の問題を伴っていた。
方法は、粒状炭ではさほど効果はないが粉状炭では特に
有機物を含む燐酸液、例えば湿式法による燐酸液におい
て相当効果はあるものの砒素含有量を、例えば0.1重
量ppm以下迄低下させるためには大量の活性炭を必要
であった。そして更に有機物を含有する燐酸液(例えば
湿式法による燐酸液)の場合には、有機物分の除去が律
則となり、砒素分の除去は困難であった。このため活性
炭をかなり多量に添加する必要があり、その結果、活性
炭中の不純物分の溶出や濾別分離を行った際の活性炭の
漏れなど操作上の種々の問題を伴っていた。
【0006】本出願人等は先に、湿式燐酸液、抽出燐酸
液(湿式燐酸液を有機溶媒で抽出精製して得た燐酸を言
う)、乾式燐酸液などの種々の燐酸液を対象としてその
中に含まれる砒素の除去について検討を重ねた結果、公
知の砒素除去の方法、即ち単に硫化水素または可溶性硫
化物を添加して除去する方法では、(1)燐酸液中の砒
素は0.05ppm以下迄除去することは非常に困難で
ある。(2)更には、脱砒素前の燐酸液中の砒素含有量
が低い場合、特に砒素含有量が、2.0ppm程度以下
ではこの傾向が顕著で、脱砒素後の燐酸液中の砒素を
0.1ppm以下迄除去することは極めてむつかしい。
又、砒素除去に際し硫化水素または可溶性砒素化合物と
共に活性炭を添加する方法では、(3)砒素除去、特に
有機物を含有する、例えば湿式燐酸液や抽出燐酸液の砒
素除去には、ある程度の効果はあるものの砒素除去率は
上記(1)項及び(2)項と同様な傾向を示す。
液(湿式燐酸液を有機溶媒で抽出精製して得た燐酸を言
う)、乾式燐酸液などの種々の燐酸液を対象としてその
中に含まれる砒素の除去について検討を重ねた結果、公
知の砒素除去の方法、即ち単に硫化水素または可溶性硫
化物を添加して除去する方法では、(1)燐酸液中の砒
素は0.05ppm以下迄除去することは非常に困難で
ある。(2)更には、脱砒素前の燐酸液中の砒素含有量
が低い場合、特に砒素含有量が、2.0ppm程度以下
ではこの傾向が顕著で、脱砒素後の燐酸液中の砒素を
0.1ppm以下迄除去することは極めてむつかしい。
又、砒素除去に際し硫化水素または可溶性砒素化合物と
共に活性炭を添加する方法では、(3)砒素除去、特に
有機物を含有する、例えば湿式燐酸液や抽出燐酸液の砒
素除去には、ある程度の効果はあるものの砒素除去率は
上記(1)項及び(2)項と同様な傾向を示す。
【0007】この砒素除去率の傾向は更に詳しくは、硫
化水素または可溶性硫化物を添加する従来の方法では、
通常得られる砒素含有量が10〜20ppmの燐酸液の
場合、湿式燐酸では0.05〜0.10ppm迄、乾式
又は抽出燐酸では0.02〜0.06ppm迄、即ち少
なくとも0.1ppm以下には低下出来るのに対し砒素
含有量が例えば1ppmの燐酸液の場合は乾式、湿式、
抽出の何れの燐酸においてもせいぜい0.7〜0.9p
pm程度迄しか低下出来ず脱砒素率が非常に悪い。砒素
除去率を上げる為に粉状活性炭を併用しても0.1pp
m程度までしか除去しえない。(しかもこの方法におい
ては活性炭をかなり多量に添加するので、これによって
活性炭中の不純物の溶出や濾過分離の際の活性炭の漏れ
など多くの操作上の問題が派生する。)即ち、公知の脱
砒素方法では何れの方法も燐酸液中の砒素含有量を0.
01ppm迄低下させることは不可能であり、特に砒素
含有量が数ppm以下の燐酸液においては、脱砒素率が
非常に悪いというのが技術の水準であった。
化水素または可溶性硫化物を添加する従来の方法では、
通常得られる砒素含有量が10〜20ppmの燐酸液の
場合、湿式燐酸では0.05〜0.10ppm迄、乾式
又は抽出燐酸では0.02〜0.06ppm迄、即ち少
なくとも0.1ppm以下には低下出来るのに対し砒素
含有量が例えば1ppmの燐酸液の場合は乾式、湿式、
抽出の何れの燐酸においてもせいぜい0.7〜0.9p
pm程度迄しか低下出来ず脱砒素率が非常に悪い。砒素
除去率を上げる為に粉状活性炭を併用しても0.1pp
m程度までしか除去しえない。(しかもこの方法におい
ては活性炭をかなり多量に添加するので、これによって
活性炭中の不純物の溶出や濾過分離の際の活性炭の漏れ
など多くの操作上の問題が派生する。)即ち、公知の脱
砒素方法では何れの方法も燐酸液中の砒素含有量を0.
01ppm迄低下させることは不可能であり、特に砒素
含有量が数ppm以下の燐酸液においては、脱砒素率が
非常に悪いというのが技術の水準であった。
【0008】本出願人等は、先にこの問題を解決する方
法を種々模索する中で、燐酸液の砒素含有量によって砒
素除去率が異なる点に着目し、燐酸液に、粉状の無機砒
素化合物を添加した後、砒素除去を行う方法を試みた
処、砒素含有量の低い場合は公知の方法では何れも脱砒
素後の砒素含有量を0.01ppm以下迄除去しえなか
ったにもかかわらず、無機砒素化合物を微量添加するこ
とにより何れの燐酸についても砒素含有量を0.01p
pm以下になしうると言う結果を得、提案した(特公昭
58−46445号公報)。
法を種々模索する中で、燐酸液の砒素含有量によって砒
素除去率が異なる点に着目し、燐酸液に、粉状の無機砒
素化合物を添加した後、砒素除去を行う方法を試みた
処、砒素含有量の低い場合は公知の方法では何れも脱砒
素後の砒素含有量を0.01ppm以下迄除去しえなか
ったにもかかわらず、無機砒素化合物を微量添加するこ
とにより何れの燐酸についても砒素含有量を0.01p
pm以下になしうると言う結果を得、提案した(特公昭
58−46445号公報)。
【0009】しかし、この方法は、砒素の除去について
は有用であるものの、新たに無機の砒素化合物を添加す
る必要があることや、処理せしめた砒素分を含む硫化物
の処理等、解決すべき問題点があり、更なる改善が望ま
れていた。
は有用であるものの、新たに無機の砒素化合物を添加す
る必要があることや、処理せしめた砒素分を含む硫化物
の処理等、解決すべき問題点があり、更なる改善が望ま
れていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、硫
化水素ガスと砒素との反応、及び活性炭による吸着除去
につき、再度、種々研究を重ねた結果、燐酸液に硫化水
素ガスを添加し、反応せしめた後、活性炭にて、反応生
成物を吸着除去する方法を見いだし、本発明の完成に至
ったものである。
化水素ガスと砒素との反応、及び活性炭による吸着除去
につき、再度、種々研究を重ねた結果、燐酸液に硫化水
素ガスを添加し、反応せしめた後、活性炭にて、反応生
成物を吸着除去する方法を見いだし、本発明の完成に至
ったものである。
【0011】即ち、本発明は燐酸液中の砒素を硫化水素
ガスと反応させて、該燐酸液中の砒素を硫化物として除
去する方法において、温度が30〜80゜Cの燐酸液中
へ、該燐酸液中の砒素分に対して重量比にて30倍〜1
50倍の硫化水素ガスを予め分散し、反応せしめた後、
石炭系活性炭を充填した活性炭塔にて、反応生成物であ
る硫化物分を吸着除去することを特徴とする燐酸液の精
製法である。更には、用いる活性炭が、粒状炭である、
また、処理しようとする燐酸液の濃度がP2O5濃度として
35〜56重量%(以下%は全て重量%を表す)である
前記燐酸液の精製法である。
ガスと反応させて、該燐酸液中の砒素を硫化物として除
去する方法において、温度が30〜80゜Cの燐酸液中
へ、該燐酸液中の砒素分に対して重量比にて30倍〜1
50倍の硫化水素ガスを予め分散し、反応せしめた後、
石炭系活性炭を充填した活性炭塔にて、反応生成物であ
る硫化物分を吸着除去することを特徴とする燐酸液の精
製法である。更には、用いる活性炭が、粒状炭である、
また、処理しようとする燐酸液の濃度がP2O5濃度として
35〜56重量%(以下%は全て重量%を表す)である
前記燐酸液の精製法である。
【0012】本発明を更に詳細に説明する。砒素の除去
を行う際、酸性条件下にて、硫化水素を生成する化合物
は前述の如く数多くの化合物があるが、処理しようとす
る燐酸液への影響を考慮した場合、カチオンの影響のな
い硫化水素ガスが好適である。
を行う際、酸性条件下にて、硫化水素を生成する化合物
は前述の如く数多くの化合物があるが、処理しようとす
る燐酸液への影響を考慮した場合、カチオンの影響のな
い硫化水素ガスが好適である。
【0013】該硫化水素ガスの添加量としては、燐酸中
の砒素分に対し重量比にて30倍〜150倍(As:H
2S=1:30〜150)、好ましくは、50倍〜12
0倍、更に好ましくは、60倍〜100倍である。硫化
水素ガスの添加量が30倍以下であれば、本発明者等の
研究によれば、脱砒素の低下を招き、処理後の燐酸液中
の砒素濃度が0.01ppm以下をクリアーすることが
出来ない。また150倍以上であれば脱砒素の効果は問
題のないものの、活性炭に硫化水素ガスが吸着されるた
め、活性炭の寿命の低下を招くと共に、硫化水素ガスに
よる用いる金属材料の腐食の問題もあり、好ましくな
い。
の砒素分に対し重量比にて30倍〜150倍(As:H
2S=1:30〜150)、好ましくは、50倍〜12
0倍、更に好ましくは、60倍〜100倍である。硫化
水素ガスの添加量が30倍以下であれば、本発明者等の
研究によれば、脱砒素の低下を招き、処理後の燐酸液中
の砒素濃度が0.01ppm以下をクリアーすることが
出来ない。また150倍以上であれば脱砒素の効果は問
題のないものの、活性炭に硫化水素ガスが吸着されるた
め、活性炭の寿命の低下を招くと共に、硫化水素ガスに
よる用いる金属材料の腐食の問題もあり、好ましくな
い。
【0014】この様に、燐酸中の砒素分の除去について
は、硫化物としての理論値に対して大過剰量の硫化水素
ガスを添加せしめることで、本発明の効果を達すること
が出来るものである。
は、硫化物としての理論値に対して大過剰量の硫化水素
ガスを添加せしめることで、本発明の効果を達すること
が出来るものである。
【0015】本発明の方法が有効な燐酸液は乾式、湿
式、抽出の何れの燐酸液でも良い。本発明での燐酸液の
濃度としては、P2O5濃度として35〜56%、好ま
しくは、40〜50%である。P2O5濃度35%以下
では、処理しようとする燐酸液の容量が多くなり、工業
的に好適でなく、また本発明者等の研究によれば、脱砒
素の効果も充分発揮出来ない。逆に、P2O5濃度56
%以上であれば、燐酸液の粘度の上昇があるため、活性
炭への吸着能の低下がみられ、好適でない。
式、抽出の何れの燐酸液でも良い。本発明での燐酸液の
濃度としては、P2O5濃度として35〜56%、好ま
しくは、40〜50%である。P2O5濃度35%以下
では、処理しようとする燐酸液の容量が多くなり、工業
的に好適でなく、また本発明者等の研究によれば、脱砒
素の効果も充分発揮出来ない。逆に、P2O5濃度56
%以上であれば、燐酸液の粘度の上昇があるため、活性
炭への吸着能の低下がみられ、好適でない。
【0016】処理しようとする燐酸液中の砒素の含有量
としては、数ppm程度が好適である。それ以上の場合
においても、本発明の効果は充分実証可能であるが、経
済的には、従来の方法にて、予め数ppm程度迄脱砒素
を行った後、本発明の方法を用いることが、有用で効率
的ある。
としては、数ppm程度が好適である。それ以上の場合
においても、本発明の効果は充分実証可能であるが、経
済的には、従来の方法にて、予め数ppm程度迄脱砒素
を行った後、本発明の方法を用いることが、有用で効率
的ある。
【0017】また、反応温度(燐酸液温度)としては、
30〜80゜C、好ましくは40〜60゜Cである。温
度30゜C以下では硫化水素ガスと砒素との反応が不十
分で、更に燐酸液の粘度が上昇するためか、活性炭への
吸着能の低下がみられる。80゜C以上の場合は、硫化
水素ガスによる装置への腐食の問題があり、用いる材質
をより高級なものにする必要があるとともに、温度を維
持するためエネルギーが必要となり、経済的でない。
30〜80゜C、好ましくは40〜60゜Cである。温
度30゜C以下では硫化水素ガスと砒素との反応が不十
分で、更に燐酸液の粘度が上昇するためか、活性炭への
吸着能の低下がみられる。80゜C以上の場合は、硫化
水素ガスによる装置への腐食の問題があり、用いる材質
をより高級なものにする必要があるとともに、温度を維
持するためエネルギーが必要となり、経済的でない。
【0018】活性炭としては、粒状、粉状活性炭いずれ
でも本発明の効果の面においては問題はないものの、再
生が容易に可能なこと、塔に充填し処理しようとする液
を通過せしめることで、その効果が得られることから、
粒状活性炭が好適である。活性炭の種類としては、その
原料ソースから、石炭系、椰子殻系、ピッチ系、木炭系
があるが、脱砒素の効果から判断すれば石炭系が好適で
ある。
でも本発明の効果の面においては問題はないものの、再
生が容易に可能なこと、塔に充填し処理しようとする液
を通過せしめることで、その効果が得られることから、
粒状活性炭が好適である。活性炭の種類としては、その
原料ソースから、石炭系、椰子殻系、ピッチ系、木炭系
があるが、脱砒素の効果から判断すれば石炭系が好適で
ある。
【0019】本発明の方法は回分方法及び連続法のいず
れの方式でも実施することができるが、連続法の方が通
常は操業が容易である。
れの方式でも実施することができるが、連続法の方が通
常は操業が容易である。
【0020】以下、本発明の好適な一実施例を、添付せ
る図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明
の実施の好適な一態様を示すフローシートである。
る図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明
の実施の好適な一態様を示すフローシートである。
【0021】燐酸液1は、ミキサー2にて所定量の硫化
水素ガス3を添加し、該燐酸液中に均一に硫化水素ガス
3を分散せしめる。ミキサー2は、硫化水素ガスを燐酸
液中に極短時間に、均一に分散せしめる形式のものが好
ましく、例えばラインミキサー等が好適である。
水素ガス3を添加し、該燐酸液中に均一に硫化水素ガス
3を分散せしめる。ミキサー2は、硫化水素ガスを燐酸
液中に極短時間に、均一に分散せしめる形式のものが好
ましく、例えばラインミキサー等が好適である。
【0022】硫化水素ガスと燐酸液の接触時間、即ち反
応時間は特に限定するものではなく充分均一に、気液が
接触する条件であれば、極めて短時間でよく、例えば秒
単位でも特に問題はない。
応時間は特に限定するものではなく充分均一に、気液が
接触する条件であれば、極めて短時間でよく、例えば秒
単位でも特に問題はない。
【0023】次に、硫化水素ガスを添加し処理せしめた
燐酸液4は、石炭系でかつ粒状活性炭を充填した活性炭
塔5に導き、硫化物を吸着除去せしめた脱砒素燐酸液6
を得る。
燐酸液4は、石炭系でかつ粒状活性炭を充填した活性炭
塔5に導き、硫化物を吸着除去せしめた脱砒素燐酸液6
を得る。
【0024】活性炭塔5における、粒状炭の粒径として
は、塔の圧力損失及び吸着効率を鑑みて、0.4〜2.
0mm程度(平均粒径0.9−1.1mm程度)のもの
が好適であり、燐酸液の通液速度としては、処理しよう
とする燐酸液の砒素を除く不純物分の含有量を考慮する
必要があるが、0.5〜2.0m/h程度にて通液する
と良い。尚、用いる活性炭の物性としては、一般に市販
されている液相用活性炭で充分であり、BET法による
比表面積900〜1300m2 /g、ヨウ素吸着量90
0〜1100mg/g、細孔容積0.9〜1.0cc/
g程度の物性のものであれば、特に限定はない。
は、塔の圧力損失及び吸着効率を鑑みて、0.4〜2.
0mm程度(平均粒径0.9−1.1mm程度)のもの
が好適であり、燐酸液の通液速度としては、処理しよう
とする燐酸液の砒素を除く不純物分の含有量を考慮する
必要があるが、0.5〜2.0m/h程度にて通液する
と良い。尚、用いる活性炭の物性としては、一般に市販
されている液相用活性炭で充分であり、BET法による
比表面積900〜1300m2 /g、ヨウ素吸着量90
0〜1100mg/g、細孔容積0.9〜1.0cc/
g程度の物性のものであれば、特に限定はない。
【0025】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって、本発明の
効果を具体的に説明する。
効果を具体的に説明する。
【0026】実施例1 表1に示す組成の乾式燐酸液を用いて、図1のフローに
従って、連続的に試験を実施した。尚試験時間は150
時間行った。
従って、連続的に試験を実施した。尚試験時間は150
時間行った。
【0027】
【表1】
【0028】ラインミキサーを用いて、温度50〜53
℃の燐酸液3.5t/hに硫化水素ガスを440g/h
添加し、次いで石炭系の粒状活性炭(東洋カルゴン社
製、商品名F−400)15m3を充填した活性炭塔
(塔径2.0m)を通過せしめた後、燐酸液中の砒素を
10時間毎に分析したところ、砒素濃度は全て0.01
ppm以下であった。
℃の燐酸液3.5t/hに硫化水素ガスを440g/h
添加し、次いで石炭系の粒状活性炭(東洋カルゴン社
製、商品名F−400)15m3を充填した活性炭塔
(塔径2.0m)を通過せしめた後、燐酸液中の砒素を
10時間毎に分析したところ、砒素濃度は全て0.01
ppm以下であった。
【0029】比較例1 硫化水素ガスを添加しない以外は実施例1と全く同様の
操作を行った結果、燐酸液中の砒素濃度は10時間毎の
測定において、0.10〜0.15ppmであった。
操作を行った結果、燐酸液中の砒素濃度は10時間毎の
測定において、0.10〜0.15ppmであった。
【0030】比較例2 実施例1と同様な方法で硫化砒素ガスを40g/h添加
し、同様の試験を行った。燐酸液中の砒素濃度は10時
間毎の測定において0.10〜0.13ppmであっ
た。
し、同様の試験を行った。燐酸液中の砒素濃度は10時
間毎の測定において0.10〜0.13ppmであっ
た。
【0031】実施例2 表2に示す湿式法にて得られた燐酸液を、用いて実施例
1と同様連続試験を実施した。連続試験時間は120時
間実施した。
1と同様連続試験を実施した。連続試験時間は120時
間実施した。
【0032】
【表2】
【0033】ラインミキサーを用いて、温度40〜45
℃の燐酸液5.0t/hに硫化水素ガスを25g/h添
加し、次いで石炭系の粒状活性炭(東洋カルゴン社製、
商品名F−400)15m3を充填した、活性炭塔(塔
径2.0m)を通過せしめた後、燐酸液中の砒素を10
時間毎に分析したところ、砒素濃度は全て0.01pp
m以下であった。
℃の燐酸液5.0t/hに硫化水素ガスを25g/h添
加し、次いで石炭系の粒状活性炭(東洋カルゴン社製、
商品名F−400)15m3を充填した、活性炭塔(塔
径2.0m)を通過せしめた後、燐酸液中の砒素を10
時間毎に分析したところ、砒素濃度は全て0.01pp
m以下であった。
【0034】比較例3 燐酸液の温度を20〜25゜C、それ以外は実施例2と
全く同様の操作を行った結果、燐酸液中の砒素濃度は1
0時間毎の測定において、0.04〜0.07ppmで
あった。
全く同様の操作を行った結果、燐酸液中の砒素濃度は1
0時間毎の測定において、0.04〜0.07ppmで
あった。
【0035】比較例4 粒状活性炭を椰子殻炭(三協産業社製ダイヤソーブW)
に入れ替えた以外は全く実施例2と同様の実験を行った
ところ、燐酸液中の砒素濃度は10時間毎の測定におい
て、0.05〜0.08ppmであった。
に入れ替えた以外は全く実施例2と同様の実験を行った
ところ、燐酸液中の砒素濃度は10時間毎の測定におい
て、0.05〜0.08ppmであった。
【0036】
【発明の効果】本発明は、従来使用しなければならなか
った新たな無機砒素化合物を添加せずに、0.01pp
m以下まで砒素を除去することが可能であり、工業上極
めて有用なものである。
った新たな無機砒素化合物を添加せずに、0.01pp
m以下まで砒素を除去することが可能であり、工業上極
めて有用なものである。
【0037】本発明の燐酸液の精製方法は、前述の如く 1)予め処理しようとする燐酸液へ硫化水素ガスを添加
し、液中に分散せしめる気液接触工程、及び 2)活性炭を充填せしめた活性炭塔からなる吸着工程 で充分であり、極めて簡単な方法及び設備にて除去出来
ることも本発明の特徴である。またこの活性炭塔5は、
その他、例えば有機物の除去や製品の脱色あるいは、そ
の他重金属や金属分の除去等も、同時に実施することが
出来、既存の設備をもちいて、活性炭銘柄の変更あるい
は、混合使用等にて処理できることも、本発明の特徴の
一つである。また別途新たに本発明における装置を設置
する場合においても、簡単な装置を設けるだけで良く、
建設コストも極めて安価に対応出来るものである。
し、液中に分散せしめる気液接触工程、及び 2)活性炭を充填せしめた活性炭塔からなる吸着工程 で充分であり、極めて簡単な方法及び設備にて除去出来
ることも本発明の特徴である。またこの活性炭塔5は、
その他、例えば有機物の除去や製品の脱色あるいは、そ
の他重金属や金属分の除去等も、同時に実施することが
出来、既存の設備をもちいて、活性炭銘柄の変更あるい
は、混合使用等にて処理できることも、本発明の特徴の
一つである。また別途新たに本発明における装置を設置
する場合においても、簡単な装置を設けるだけで良く、
建設コストも極めて安価に対応出来るものである。
【0038】特に砒素含有量が数ppm以下の燐酸液か
らの更なる脱砒素においては、本発明の方法は従来公知
の方法に対して、極めて格段に優れた効果を示す点が注
目すべきである。
らの更なる脱砒素においては、本発明の方法は従来公知
の方法に対して、極めて格段に優れた効果を示す点が注
目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するために適した装置の一例を示
すフローシート図
すフローシート図
1 燐酸液 2 ミキサー 3 硫化水素ガス 4 硫化水素ガスにて処理した燐酸液 5 活性炭塔 6 脱砒素燐酸液
Claims (3)
- 【請求項1】 燐酸液中の砒素を硫化水素ガスと反応さ
せて、該燐酸液中の砒素を硫化物として除去する方法に
おいて、温度が30〜80゜Cの燐酸液中へ、該燐酸液
中の砒素分に対して重量比にて30倍〜150倍の硫化
水素ガスを予め分散し、反応せしめた後、石炭系活性炭
を充填した活性炭塔にて、反応生成物である硫化物分を
吸着除去することを特徴とする燐酸液の精製法。 - 【請求項2】 該活性炭が粒状炭である請求項1記載の
燐酸液の精製法。 - 【請求項3】 該燐酸液の濃度がP2O5濃度として35〜
56重量%である請求項1記載の燐酸液の精製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20508792A JPH0648712A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 燐酸液の精製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20508792A JPH0648712A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 燐酸液の精製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0648712A true JPH0648712A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16501214
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20508792A Pending JPH0648712A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 燐酸液の精製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0648712A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000040507A1 (fr) * | 1998-12-28 | 2000-07-13 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | Procede de purification de l'acide phosphorique et acide polyphosphorique de grande purete |
EP1640340A1 (en) * | 2003-07-01 | 2006-03-29 | Nippon Chemical Industrial Company Limited | High purity phosphoric acid and method for production thereof |
JP2009114064A (ja) * | 2009-03-05 | 2009-05-28 | Nippon Chem Ind Co Ltd | 高純度リン酸及びその製造方法 |
CN102431982A (zh) * | 2011-09-26 | 2012-05-02 | 瓮福(集团)有限责任公司 | 一种磷酸脱砷方法 |
CN115072682A (zh) * | 2022-06-07 | 2022-09-20 | 瓮福(集团)有限责任公司 | 一种饲料级湿法磷酸脱砷方法 |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP20508792A patent/JPH0648712A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000040507A1 (fr) * | 1998-12-28 | 2000-07-13 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | Procede de purification de l'acide phosphorique et acide polyphosphorique de grande purete |
US6861039B1 (en) | 1998-12-28 | 2005-03-01 | Toyo Boeski Kabushiki Kaisha | Method for purification of phosphoric acid high purity polyphosphoric acid |
CN1321058C (zh) * | 1998-12-28 | 2007-06-13 | 东洋纺织株式会社 | 精制磷酸的方法及高纯度多磷酸 |
EP1640340A1 (en) * | 2003-07-01 | 2006-03-29 | Nippon Chemical Industrial Company Limited | High purity phosphoric acid and method for production thereof |
EP1640340A4 (en) * | 2003-07-01 | 2007-07-18 | Nippon Chemical Ind Company Lt | HIGH-PURE PHOSPHORIC ACID AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF |
US7470414B2 (en) | 2003-07-01 | 2008-12-30 | Nippon Chemical Industrial Co., Ltd. | High purity phosphoric acid and process of producing the same |
JP2009114064A (ja) * | 2009-03-05 | 2009-05-28 | Nippon Chem Ind Co Ltd | 高純度リン酸及びその製造方法 |
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CN115072682A (zh) * | 2022-06-07 | 2022-09-20 | 瓮福(集团)有限责任公司 | 一种饲料级湿法磷酸脱砷方法 |
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