JPH0647629A - 超硬質膜付部材及びその製造方法 - Google Patents
超硬質膜付部材及びその製造方法Info
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- JPH0647629A JPH0647629A JP20522192A JP20522192A JPH0647629A JP H0647629 A JPH0647629 A JP H0647629A JP 20522192 A JP20522192 A JP 20522192A JP 20522192 A JP20522192 A JP 20522192A JP H0647629 A JPH0647629 A JP H0647629A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】超硬質膜と支持層が強固に密着し、かつ仕上げ
面精度に優れた複雑形状の製品を製造することができる
超硬質膜付部材及びその製造方法を提供する。 【構成】気相合成法により作成されたタングステン,モ
リブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも
一種からなる支持層33,45,55の表面に、ダイヤ
モンド, 立方晶窒化硼素等からなる超硬質膜35,4
3,53を気相合成法により形成してなる。このような
超硬質膜付部材は、例えば、基体37,41,51の表
面に超硬質膜35,43,53を形成した後、この超硬
質膜35,43,53の表面にタングステン,モリブデ
ン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも一種か
らなる支持層33,45,55を気相合成法により形成
し、しかるのちに基体37,41,51を除去すること
により得られる。
面精度に優れた複雑形状の製品を製造することができる
超硬質膜付部材及びその製造方法を提供する。 【構成】気相合成法により作成されたタングステン,モ
リブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも
一種からなる支持層33,45,55の表面に、ダイヤ
モンド, 立方晶窒化硼素等からなる超硬質膜35,4
3,53を気相合成法により形成してなる。このような
超硬質膜付部材は、例えば、基体37,41,51の表
面に超硬質膜35,43,53を形成した後、この超硬
質膜35,43,53の表面にタングステン,モリブデ
ン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも一種か
らなる支持層33,45,55を気相合成法により形成
し、しかるのちに基体37,41,51を除去すること
により得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性に優れた超硬
質膜付部材に関する。
質膜付部材に関する。
【0002】
【従来技術】ダイヤモンド,立方晶窒化硼素等の超硬質
材料は、従来大規模な超高圧プレス装置により作成され
ていた。しかし、気相合成法によれば、これらの材料が
簡便な方法により得られることから、気相合成法による
ダイヤモンドや立方晶窒化硼素等の超硬質材料は、今
後、広範囲にわたる応用が期待されている(特開昭60
−54995号公報等参照)。
材料は、従来大規模な超高圧プレス装置により作成され
ていた。しかし、気相合成法によれば、これらの材料が
簡便な方法により得られることから、気相合成法による
ダイヤモンドや立方晶窒化硼素等の超硬質材料は、今
後、広範囲にわたる応用が期待されている(特開昭60
−54995号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】しかし、超硬質膜を
機械加工用工具類に用いようとすると3つの大きな問題
があった。一つは母材との密着性が不十分で剥がれが生
じやすいという問題である。これについては膜の材質を
改良するなど種々の改善策が模索されている。しかし、
実用上十分な密着強度のある超硬質膜のコーティング方
法は見出されていない。
機械加工用工具類に用いようとすると3つの大きな問題
があった。一つは母材との密着性が不十分で剥がれが生
じやすいという問題である。これについては膜の材質を
改良するなど種々の改善策が模索されている。しかし、
実用上十分な密着強度のある超硬質膜のコーティング方
法は見出されていない。
【0004】第2の問題は、被膜の表面粗さやうねり等
の仕上げ面精度が悪いという事である。一般に超硬質膜
は膜の結晶性を向上させ硬度などの特性を向上させれば
させるほど表面の面精度が低下する傾向に有る。この膜
の加工は膜が硬くまた薄いために通常の焼結体以上に難
しい。耐摩耗部品の多くが、非常に高精度の仕上げ面を
必要としているので、これは重要な問題である。しか
し、これは膜材質の本質的な性質であり解決は不可能で
ある。また、ダイヤモンド膜を工具として使用する場
合、特定の基板にコーティングを行う方法ではどうして
も刃先が丸くなってしまうという問題も発生している。
の仕上げ面精度が悪いという事である。一般に超硬質膜
は膜の結晶性を向上させ硬度などの特性を向上させれば
させるほど表面の面精度が低下する傾向に有る。この膜
の加工は膜が硬くまた薄いために通常の焼結体以上に難
しい。耐摩耗部品の多くが、非常に高精度の仕上げ面を
必要としているので、これは重要な問題である。しか
し、これは膜材質の本質的な性質であり解決は不可能で
ある。また、ダイヤモンド膜を工具として使用する場
合、特定の基板にコーティングを行う方法ではどうして
も刃先が丸くなってしまうという問題も発生している。
【0005】そこで他の方法としてシリコン基盤上にダ
イヤモンド膜を形成し、しかるのちにこのダイヤモンド
膜を切り出して超硬工具の刃先に蝋付けする方法が特開
平1−212766号公報に開示されている。しかし、
この方法ではダイヤモンド膜の厚さを厚くする必要があ
る。何故ならば、薄い膜では膜に存在する残留応力のた
めに膜が変形したり、取り扱い時に膜が割れるという問
題があるからである。
イヤモンド膜を形成し、しかるのちにこのダイヤモンド
膜を切り出して超硬工具の刃先に蝋付けする方法が特開
平1−212766号公報に開示されている。しかし、
この方法ではダイヤモンド膜の厚さを厚くする必要があ
る。何故ならば、薄い膜では膜に存在する残留応力のた
めに膜が変形したり、取り扱い時に膜が割れるという問
題があるからである。
【0006】ところが超硬質膜は一般に析出速度が遅い
ためそのような厚い膜を作るためには長い時間が必要で
あった。また膜の厚さを大きくすると厚さのばらつきが
大きくなり表面の精度が低下するという問題があった。
これらの問題の解決法や適切な蝋材が見当たらず、この
方法は実用化できていない。
ためそのような厚い膜を作るためには長い時間が必要で
あった。また膜の厚さを大きくすると厚さのばらつきが
大きくなり表面の精度が低下するという問題があった。
これらの問題の解決法や適切な蝋材が見当たらず、この
方法は実用化できていない。
【0007】第3の問題点は機械加工が難しく複雑形状
品を作ることが難しいということである。これについて
は特開平3−277424号公報に成形したシリコン基
盤上にダイヤモンドをコーティングする方法が開示され
ている。しかし、この場合も上記と同様、膜の変形や取
り扱い時に膜が割れる問題を解決するためダイヤモンド
膜の厚さを大きくする必要がある。従って生産性が低い
ことが問題である。また、この方法では、凹凸のあるダ
イヤモンド膜を蝋付けするので、蝋付けが難しく、また
うまく出来た場合でもダイヤモンド膜がひび割れたり、
剥離し易い傾向がある。これはダイヤモンドと蝋材の硬
度などの特性差が非常に大きいためである。
品を作ることが難しいということである。これについて
は特開平3−277424号公報に成形したシリコン基
盤上にダイヤモンドをコーティングする方法が開示され
ている。しかし、この場合も上記と同様、膜の変形や取
り扱い時に膜が割れる問題を解決するためダイヤモンド
膜の厚さを大きくする必要がある。従って生産性が低い
ことが問題である。また、この方法では、凹凸のあるダ
イヤモンド膜を蝋付けするので、蝋付けが難しく、また
うまく出来た場合でもダイヤモンド膜がひび割れたり、
剥離し易い傾向がある。これはダイヤモンドと蝋材の硬
度などの特性差が非常に大きいためである。
【0008】そこで、これらの超硬質膜と母材とを強固
に密着させ、さらに仕上げ面精度を向上させることがで
きれば、ダイヤモンド,立方晶窒化硼素等の超硬質膜が
広い範囲で使用されるようになり、例えば、金属や複合
材料の加工用切削工具およびスリッターナイフ等の産業
用刃物あるいは各種の褶動部品やガイドブッシュ等の耐
摩耗部材などで大幅な性能改善が期待できる。しかし、
現状では、上記のように母材との密着性を向上すること
ができないために、これら超硬質膜が形成された工具は
未だ実用化されていなかった。
に密着させ、さらに仕上げ面精度を向上させることがで
きれば、ダイヤモンド,立方晶窒化硼素等の超硬質膜が
広い範囲で使用されるようになり、例えば、金属や複合
材料の加工用切削工具およびスリッターナイフ等の産業
用刃物あるいは各種の褶動部品やガイドブッシュ等の耐
摩耗部材などで大幅な性能改善が期待できる。しかし、
現状では、上記のように母材との密着性を向上すること
ができないために、これら超硬質膜が形成された工具は
未だ実用化されていなかった。
【0009】さらに、現在はまだ重要視されていない
が、将来重要になる問題として、膜の付回り性が悪いこ
とが挙げられる。これは成膜する基板が複雑な形状にな
ると基板の凹部の膜厚が薄くなるという問題である。こ
れは現在未だ実用化されていないため重要視されていな
いが、例えば線引ダイス等に超硬質膜の成膜を行う場合
に、もっとも重要な孔の内部に膜が出来なくなる等の問
題を生じることが予測される。
が、将来重要になる問題として、膜の付回り性が悪いこ
とが挙げられる。これは成膜する基板が複雑な形状にな
ると基板の凹部の膜厚が薄くなるという問題である。こ
れは現在未だ実用化されていないため重要視されていな
いが、例えば線引ダイス等に超硬質膜の成膜を行う場合
に、もっとも重要な孔の内部に膜が出来なくなる等の問
題を生じることが予測される。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者は上記の問題
点に対し検討を重ねた結果、シリコン等からなる基体を
あらかじめ所望の形状および仕上げ面精度に加工してお
き、しかるのちその表面にダイヤモンド, 立方晶窒化硼
素等の超硬質膜を形成した後、この超硬質膜の表面にタ
ングステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物の
うち少なくとも一種からなる支持層を気相合成法により
形成し、しかるのちに前記基体を除去することにより、
超硬質膜と支持層が強固に密着し、かつ仕上げ面精度に
すぐれた複雑形状の製品を製造することができることを
見出し、本発明をするに至った。
点に対し検討を重ねた結果、シリコン等からなる基体を
あらかじめ所望の形状および仕上げ面精度に加工してお
き、しかるのちその表面にダイヤモンド, 立方晶窒化硼
素等の超硬質膜を形成した後、この超硬質膜の表面にタ
ングステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物の
うち少なくとも一種からなる支持層を気相合成法により
形成し、しかるのちに前記基体を除去することにより、
超硬質膜と支持層が強固に密着し、かつ仕上げ面精度に
すぐれた複雑形状の製品を製造することができることを
見出し、本発明をするに至った。
【0011】即ち、本発明の超硬質膜付部材は、気相合
成法により作成されたタングステン,モリブデン及びそ
れらと炭素との化合物のうち少なくとも一種からなる支
持層の表面に、超硬質膜を気相合成法により作成してな
るものである。
成法により作成されたタングステン,モリブデン及びそ
れらと炭素との化合物のうち少なくとも一種からなる支
持層の表面に、超硬質膜を気相合成法により作成してな
るものである。
【0012】このような超硬質薄膜付工具は、例えば、
シリコン等からなる基体をあらかじめ所望の形状および
仕上げ面精度に加工しておき、しかる後その表面に超硬
質膜を気相合成法により形成した後、この超硬質膜の表
面ににタングステン,モリブデン及びそれらと炭素との
化合物のうち少なくとも一種からなる支持層を気相合成
法により形成し、しかるのちに前記基体を除去すること
により作成される。
シリコン等からなる基体をあらかじめ所望の形状および
仕上げ面精度に加工しておき、しかる後その表面に超硬
質膜を気相合成法により形成した後、この超硬質膜の表
面ににタングステン,モリブデン及びそれらと炭素との
化合物のうち少なくとも一種からなる支持層を気相合成
法により形成し、しかるのちに前記基体を除去すること
により作成される。
【0013】
【作用】本発明の超硬質膜付部材では、上記の問題点を
全て解決することができる。まず、基板と膜との密着性
及び仕上げ面精度については次のように解決される。
全て解決することができる。まず、基板と膜との密着性
及び仕上げ面精度については次のように解決される。
【0014】本発明では、シリコン等の基体上に気相合
成法によりダイヤモンド, 立方晶窒化硼素等からなる超
硬質膜を作成する。この表面に超硬質膜を作成すると超
硬質膜の基体に接する面は基体の表面粗さと同等にな
る。一方膜の表面は超硬質物質の結晶があらわれた凹凸
のある表面になる。
成法によりダイヤモンド, 立方晶窒化硼素等からなる超
硬質膜を作成する。この表面に超硬質膜を作成すると超
硬質膜の基体に接する面は基体の表面粗さと同等にな
る。一方膜の表面は超硬質物質の結晶があらわれた凹凸
のある表面になる。
【0015】さらにその膜の上に気相合成法によりタン
グステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物のう
ち少なくとも一種からなる支持層を形成すると、超硬質
膜の凹凸にそれらが絡み合って、超硬質膜と支持層との
結合が強固になる。
グステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物のう
ち少なくとも一種からなる支持層を形成すると、超硬質
膜の凹凸にそれらが絡み合って、超硬質膜と支持層との
結合が強固になる。
【0016】しかも、ダイヤモンド, 立方晶窒化硼素と
タングステン、モリブデン及びそれらと炭素との化合物
とは熱膨張率が近似しているので膜剥離を抑制すること
ができ、また、タングステン,モリブデン及びそれらと
炭素との化合物の生成温度が低いためにダイヤモンド,
立方晶窒化硼素が分解することがない。
タングステン、モリブデン及びそれらと炭素との化合物
とは熱膨張率が近似しているので膜剥離を抑制すること
ができ、また、タングステン,モリブデン及びそれらと
炭素との化合物の生成温度が低いためにダイヤモンド,
立方晶窒化硼素が分解することがない。
【0017】また、気相合成法により作成された支持層
はその超硬質膜側に炭化タングステン膜や炭化モリブデ
ン膜を形成して構成すると、支持層と超硬質膜との密着
性がさらに向上する。タングステン等の気相合成は析出
速度も早いので支持層として必要な厚さにするのが容易
である。別の問題点である加工性については、本発明で
は以下のように解決できる。本発明によれば、あらかじ
めシリコン等を所望の基体形状に加工する。シリコン等
は加工が容易であるので形状は任意に作成でき、所望の
仕上げ面精度への加工は容易である。この表面に超硬質
膜を作成すると超硬質膜はシリコンの基体形状となるだ
けでなく、膜のシリコン基体に接する面はシリコン基体
の表面粗さと同等になり、仕上げ加工が不要になる。
はその超硬質膜側に炭化タングステン膜や炭化モリブデ
ン膜を形成して構成すると、支持層と超硬質膜との密着
性がさらに向上する。タングステン等の気相合成は析出
速度も早いので支持層として必要な厚さにするのが容易
である。別の問題点である加工性については、本発明で
は以下のように解決できる。本発明によれば、あらかじ
めシリコン等を所望の基体形状に加工する。シリコン等
は加工が容易であるので形状は任意に作成でき、所望の
仕上げ面精度への加工は容易である。この表面に超硬質
膜を作成すると超硬質膜はシリコンの基体形状となるだ
けでなく、膜のシリコン基体に接する面はシリコン基体
の表面粗さと同等になり、仕上げ加工が不要になる。
【0018】従来、複雑な形状をした膜を支持する部分
は、シリコン等の基板そのものであった。しかし、本発
明では支持基板であるタングステン等をこの超硬質膜上
に気相合成法によって形成する。タングステン等の気相
合成は超硬質膜の分解温度以下で行うことができ、また
析出速度も早いので支持層として必要な厚さにするのが
容易である。
は、シリコン等の基板そのものであった。しかし、本発
明では支持基板であるタングステン等をこの超硬質膜上
に気相合成法によって形成する。タングステン等の気相
合成は超硬質膜の分解温度以下で行うことができ、また
析出速度も早いので支持層として必要な厚さにするのが
容易である。
【0019】最後の問題点である、付回り性の悪さにつ
いては本発明では次のようにして解決できる。即ち、本
発明によればシリコン等の基体をあらかじめ成形加工し
ておき、後の工程で除去する。従って線引ダイス等を製
造する場合、製品の凹部は最初に成膜するシリコン等の
基体では凸部となる。超硬質膜の気相合成では一般に凸
部の成膜速度が早いので、付回り性の悪さは解消され
る。
いては本発明では次のようにして解決できる。即ち、本
発明によればシリコン等の基体をあらかじめ成形加工し
ておき、後の工程で除去する。従って線引ダイス等を製
造する場合、製品の凹部は最初に成膜するシリコン等の
基体では凸部となる。超硬質膜の気相合成では一般に凸
部の成膜速度が早いので、付回り性の悪さは解消され
る。
【0020】本発明によって製作したダイヤモンドとタ
ングステンよりなる部材と、公知の方法(例えば、特開
昭63−99102号、特開平1−212766号公報
等参照)によってタングステンを基板として製作したダ
イヤモンドとタングステンよりなる部材を比較すると、
本発明によって製作した部材は、被膜の密着性,仕上げ
面精度およびコーティング時の成膜速度において勝るほ
か、耐摩耗性も向上する。この理由は、ダイヤモンドの
結晶の大きさに関係している。公知の方法によってタン
グステンを基板として製作した膜の場合、コーティング
初期には微細な結晶核が生成し、コーティングを続ける
に連れ結晶が次第に成長し大きくなっていく。一方、本
発明によって製作したダイヤモンドとタングステンより
なる部材は、シリコン等の基体に成膜するので、膜表面
が非常に微細なダイヤモンドの結晶よりなっている。し
かも、シリコンのばあいタングステンよりもダイヤモン
ドの結晶の核生成が良いので、微細なダイヤモンドの結
晶が密に生成した状態になっている。このような膜は膜
の強度も高く、耐摩耗性にも優れている。膜表面に於け
るダイヤモンドの結晶の大きさは2μm 以上であれば耐
摩耗性改善の効果がみとめられるが、1μm 以下であれ
ば特に優れている。
ングステンよりなる部材と、公知の方法(例えば、特開
昭63−99102号、特開平1−212766号公報
等参照)によってタングステンを基板として製作したダ
イヤモンドとタングステンよりなる部材を比較すると、
本発明によって製作した部材は、被膜の密着性,仕上げ
面精度およびコーティング時の成膜速度において勝るほ
か、耐摩耗性も向上する。この理由は、ダイヤモンドの
結晶の大きさに関係している。公知の方法によってタン
グステンを基板として製作した膜の場合、コーティング
初期には微細な結晶核が生成し、コーティングを続ける
に連れ結晶が次第に成長し大きくなっていく。一方、本
発明によって製作したダイヤモンドとタングステンより
なる部材は、シリコン等の基体に成膜するので、膜表面
が非常に微細なダイヤモンドの結晶よりなっている。し
かも、シリコンのばあいタングステンよりもダイヤモン
ドの結晶の核生成が良いので、微細なダイヤモンドの結
晶が密に生成した状態になっている。このような膜は膜
の強度も高く、耐摩耗性にも優れている。膜表面に於け
るダイヤモンドの結晶の大きさは2μm 以上であれば耐
摩耗性改善の効果がみとめられるが、1μm 以下であれ
ば特に優れている。
【0021】以上のように、本発明によれば従来の問題
点が一挙に解決され、ダイヤモンド,立方晶窒化硼素等
の超硬質膜が広い範囲で使用されるようになり、例え
ば、金属や複合材料の加工用切削工具およびスリッター
ナイフ等の産業用刃物あるいは各種の褶動部品やガイド
ブッシュ等の耐摩耗部材などで大幅な性能改善が期待で
きる。
点が一挙に解決され、ダイヤモンド,立方晶窒化硼素等
の超硬質膜が広い範囲で使用されるようになり、例え
ば、金属や複合材料の加工用切削工具およびスリッター
ナイフ等の産業用刃物あるいは各種の褶動部品やガイド
ブッシュ等の耐摩耗部材などで大幅な性能改善が期待で
きる。
【0022】
【実施例】本発明の超硬質膜付部材及びその製造方法を
図面を用いて詳細に説明する。
図面を用いて詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の超硬質膜付部材を示すも
ので、気相合成法により作成されたタングステン,モリ
ブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも一
種からなる支持層33の表面には、ダイヤモンド, 立方
晶窒化硼素等からなる超硬質膜35が形成されている。
ので、気相合成法により作成されたタングステン,モリ
ブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも一
種からなる支持層33の表面には、ダイヤモンド, 立方
晶窒化硼素等からなる超硬質膜35が形成されている。
【0024】このような超硬質膜付部材を作成するに
は、先ず、図2に示すように、基体37にダイヤモン
ド,立方晶窒化硼素(cBN)等の超硬質膜35を形成
する。ダイヤモンド膜はマイクロ波プラズマCVD,熱
フィラメント法など、立方晶窒化硼素膜はIon Beam Asi
sted Deposition 法などの周知の方法により作成するこ
とができる。特に立方晶窒化硼素膜を形成する際には、
事前に基体37上に立方晶窒化チタン膜を生成しておく
ことが好ましい。また、膜の厚さや結晶構造(純粋なダ
イヤモンドやcBNの割合)についても任意に選択でき
る。性能と生産性との兼ね合いから超硬質膜35の膜厚
は0.3〜100μmが適当である。
は、先ず、図2に示すように、基体37にダイヤモン
ド,立方晶窒化硼素(cBN)等の超硬質膜35を形成
する。ダイヤモンド膜はマイクロ波プラズマCVD,熱
フィラメント法など、立方晶窒化硼素膜はIon Beam Asi
sted Deposition 法などの周知の方法により作成するこ
とができる。特に立方晶窒化硼素膜を形成する際には、
事前に基体37上に立方晶窒化チタン膜を生成しておく
ことが好ましい。また、膜の厚さや結晶構造(純粋なダ
イヤモンドやcBNの割合)についても任意に選択でき
る。性能と生産性との兼ね合いから超硬質膜35の膜厚
は0.3〜100μmが適当である。
【0025】これらの膜を成膜する基体37は、例え
ば、シリコン,カーボン,チタン等の金属から形成さ
れ、任意に選択できるが、成膜初期に於ける核生成の容
易さや後の工程における基体37の除去の容易さからシ
リコンからなる基体37が適している。この基体37に
おける超硬質膜35が形成される側の面の表面粗さは、
Rmax 0.2μm 以下、好ましくは0.1μm 以下が良
い。
ば、シリコン,カーボン,チタン等の金属から形成さ
れ、任意に選択できるが、成膜初期に於ける核生成の容
易さや後の工程における基体37の除去の容易さからシ
リコンからなる基体37が適している。この基体37に
おける超硬質膜35が形成される側の面の表面粗さは、
Rmax 0.2μm 以下、好ましくは0.1μm 以下が良
い。
【0026】次に、この基体37の上に成膜したダイヤ
モンドもしくはcBN等の超硬質膜35の上に、図3に
示すように、タングステン(W),モリブデン(Mo)
及びそれらと炭素(C)からなる化合物の少なくとも一
種を成膜する。成膜に際しては公知の方法が使用でき
る。例えば、Wを成膜する例について説明すると、超硬
質膜35の付着した基体37を化学的気相合成装置内に
収容し、この化学的気相合成装置内を温度450〜12
00℃に保持し、気相含浸装置内にH2 /WF6のモル
比が4以上となるように混合したWF6 +H2 ガスを導
入することにより、超硬質膜35の表面に、Wからなる
支持層33が形成される。WF6 +H2 ガスと同時にA
rガスやHeガス等の不活性ガスを導入しても良い。W
とCからなる支持層33を成膜する場合には、H2 ,W
F6 のガスと同時にメタン,アセチレン等の炭素源とな
るガスを反応炉に導入する。
モンドもしくはcBN等の超硬質膜35の上に、図3に
示すように、タングステン(W),モリブデン(Mo)
及びそれらと炭素(C)からなる化合物の少なくとも一
種を成膜する。成膜に際しては公知の方法が使用でき
る。例えば、Wを成膜する例について説明すると、超硬
質膜35の付着した基体37を化学的気相合成装置内に
収容し、この化学的気相合成装置内を温度450〜12
00℃に保持し、気相含浸装置内にH2 /WF6のモル
比が4以上となるように混合したWF6 +H2 ガスを導
入することにより、超硬質膜35の表面に、Wからなる
支持層33が形成される。WF6 +H2 ガスと同時にA
rガスやHeガス等の不活性ガスを導入しても良い。W
とCからなる支持層33を成膜する場合には、H2 ,W
F6 のガスと同時にメタン,アセチレン等の炭素源とな
るガスを反応炉に導入する。
【0027】支持層33の厚さは後の工程での取扱の容
易さや強度の関係から0.1〜5mm程度が好ましい。
次いで、支持層33の表面を研磨等の加工を行い、その
のち超硬質膜35や支持層33のマスキングを行い、シ
リコン等からなる基体37を酸等で溶解除去する。これ
により、図1に示したように、支持層33に超硬質膜3
5の付着した工具が得られる。次にこれをレーザーで所
定形状にカットし研磨などの加工を行い、本発明の超硬
質膜付部材を得る。
易さや強度の関係から0.1〜5mm程度が好ましい。
次いで、支持層33の表面を研磨等の加工を行い、その
のち超硬質膜35や支持層33のマスキングを行い、シ
リコン等からなる基体37を酸等で溶解除去する。これ
により、図1に示したように、支持層33に超硬質膜3
5の付着した工具が得られる。次にこれをレーザーで所
定形状にカットし研磨などの加工を行い、本発明の超硬
質膜付部材を得る。
【0028】尚、本発明によれば、支持層33を、その
超硬質膜35側に炭化タングステン膜や炭化モリブデン
膜を形成して構成しても良い。支持層33の超硬質膜3
5側に、例えば、炭化タングステン膜を形成するには、
例えば、超硬質膜35を形成した後、WF6 +H2 ガス
と同時にメタン,アセチレン等の炭素源となるガスを反
応炉に導入して炭化タングステン膜を形成し、その後、
WF6 +H2 ガスを反応炉内に導入することにより形成
される。このようにすれば、支持層33と超硬質膜35
からなる多層膜の強度が高くなり性能が向上するだけで
なく、ダイヤモンド等の超硬質膜35と支持層33との
密着性が向上する。
超硬質膜35側に炭化タングステン膜や炭化モリブデン
膜を形成して構成しても良い。支持層33の超硬質膜3
5側に、例えば、炭化タングステン膜を形成するには、
例えば、超硬質膜35を形成した後、WF6 +H2 ガス
と同時にメタン,アセチレン等の炭素源となるガスを反
応炉に導入して炭化タングステン膜を形成し、その後、
WF6 +H2 ガスを反応炉内に導入することにより形成
される。このようにすれば、支持層33と超硬質膜35
からなる多層膜の強度が高くなり性能が向上するだけで
なく、ダイヤモンド等の超硬質膜35と支持層33との
密着性が向上する。
【0029】尚、任意の基体37上にW,Mo及びM
o,WとCとの化合物の少なくとも一種を析出させて支
持層33を形成し、この支持層33の上にダイヤモンド
等の超硬質膜35を形成しても良い。しかし、この場
合、超硬質膜35も凹凸の多い表面となり用途が限られ
る。平滑なシリコンからなる基体37上に超硬質膜35
を析出させると、基体37を除去した後の超硬質膜35
の表面は平滑となるので、実用上有利である。また、支
持層33を形成する側の超硬質膜35の表面をできるだ
け凹凸が大きくなるように析出条件を調整すると、支持
層33のアンカー効果により、超硬質膜35と支持層3
3との結合がより強固になる。また、基体37に所定の
形状をつけると、それがそのまま超硬質膜35に写し取
られることから、所望形状の超硬質膜35を得ることが
できる。
o,WとCとの化合物の少なくとも一種を析出させて支
持層33を形成し、この支持層33の上にダイヤモンド
等の超硬質膜35を形成しても良い。しかし、この場
合、超硬質膜35も凹凸の多い表面となり用途が限られ
る。平滑なシリコンからなる基体37上に超硬質膜35
を析出させると、基体37を除去した後の超硬質膜35
の表面は平滑となるので、実用上有利である。また、支
持層33を形成する側の超硬質膜35の表面をできるだ
け凹凸が大きくなるように析出条件を調整すると、支持
層33のアンカー効果により、超硬質膜35と支持層3
3との結合がより強固になる。また、基体37に所定の
形状をつけると、それがそのまま超硬質膜35に写し取
られることから、所望形状の超硬質膜35を得ることが
できる。
【0030】また、上記実施例では、基板状の工具を作
成した例について説明したが、本発明は上記実施例に限
定されるものではなく、例えば、線引きダイスや糸道に
本発明を適用しても良いことは勿論である。線引きダイ
スや糸道の作成方法を説明する。
成した例について説明したが、本発明は上記実施例に限
定されるものではなく、例えば、線引きダイスや糸道に
本発明を適用しても良いことは勿論である。線引きダイ
スや糸道の作成方法を説明する。
【0031】線引きダイスは、先ず、図4に示すよう
に、鉄線等の線材の直径を規制するような縮径部を有す
るように、シリコンからなる基体41を所定形状に作成
する。
に、鉄線等の線材の直径を規制するような縮径部を有す
るように、シリコンからなる基体41を所定形状に作成
する。
【0032】そして、この基体41の表面に、図5に示
すように、ダイヤモンドからなる超硬質膜43を気相合
成法により作成する。この後、図6に示すように、超硬
質膜43の表面にWからなる支持層45を気相合成法に
より作成する。そして、図7に示すように、上下を除去
した後、シリコンからなる基体41を除去することによ
り得られる。そして、使用時は、図8に示すように、治
具47に支持層45を銀蝋、もしくはその他の蝋材で蝋
付け、接合して使用する。基体41の除去は支持層45
を治具47に蝋付けした後行っても良い。
すように、ダイヤモンドからなる超硬質膜43を気相合
成法により作成する。この後、図6に示すように、超硬
質膜43の表面にWからなる支持層45を気相合成法に
より作成する。そして、図7に示すように、上下を除去
した後、シリコンからなる基体41を除去することによ
り得られる。そして、使用時は、図8に示すように、治
具47に支持層45を銀蝋、もしくはその他の蝋材で蝋
付け、接合して使用する。基体41の除去は支持層45
を治具47に蝋付けした後行っても良い。
【0033】治具47は、例えば、WCとコバルト(C
o)と周期律表第4a,5a,6a族元素の炭化物,窒
化物または炭窒化物とからなる化合物や、TiCまたは
TiCNとニッケル(Ni)またはCoと周期律表第4
a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物または炭窒化物
とからなる化合物や、炭化ケイ素(SiC)とホウ素と
炭素とからなる化合物や、Si3 N4 またはSiCと希
土類元素酸化物とからなる化合物から構成されている。
o)と周期律表第4a,5a,6a族元素の炭化物,窒
化物または炭窒化物とからなる化合物や、TiCまたは
TiCNとニッケル(Ni)またはCoと周期律表第4
a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物または炭窒化物
とからなる化合物や、炭化ケイ素(SiC)とホウ素と
炭素とからなる化合物や、Si3 N4 またはSiCと希
土類元素酸化物とからなる化合物から構成されている。
【0034】また、糸道は、先ず、図9に示すように、
糸が通過する糸道部を有するように、シリコンからなる
基体51を所定形状に作成する。そして、この基体51
の表面に、図10に示すように、ダイヤモンドからなる
超硬質膜53を気相合成法により作成する。この後、図
11に示すように、超硬質膜53の表面にWからなる支
持層55を気相合成法により作成する。そして、図12
に示すように、上下を除去した後、シリコンからなる基
体51を除去し、糸道を作成する。
糸が通過する糸道部を有するように、シリコンからなる
基体51を所定形状に作成する。そして、この基体51
の表面に、図10に示すように、ダイヤモンドからなる
超硬質膜53を気相合成法により作成する。この後、図
11に示すように、超硬質膜53の表面にWからなる支
持層55を気相合成法により作成する。そして、図12
に示すように、上下を除去した後、シリコンからなる基
体51を除去し、糸道を作成する。
【0035】以上のような超硬質膜付部材では、シリコ
ン等の基体上に気相合成法によりダイヤモンド, 立方晶
窒化硼素等からなる超硬質膜を作成したので、超硬質膜
のシリコン等に接する面はシリコン等の仕上げ面精度と
同等になり、面精度を向上することができる。また、基
体と反対側の超硬質膜は凹凸が形成されており、この超
硬質膜に支持層を形成すると、超硬質物質の凹凸にそれ
らが絡み合って、超硬質膜と支持層との結合を強固にす
ることができる。
ン等の基体上に気相合成法によりダイヤモンド, 立方晶
窒化硼素等からなる超硬質膜を作成したので、超硬質膜
のシリコン等に接する面はシリコン等の仕上げ面精度と
同等になり、面精度を向上することができる。また、基
体と反対側の超硬質膜は凹凸が形成されており、この超
硬質膜に支持層を形成すると、超硬質物質の凹凸にそれ
らが絡み合って、超硬質膜と支持層との結合を強固にす
ることができる。
【0036】さらに、ダイヤモンド, 立方晶窒化硼素と
タングステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物
とは熱膨張率が近似しているので膜剥離を抑制すること
ができ、また、タングステン,モリブデン及びそれらと
炭素との化合物の生成温度が低いためにダイヤモンド,
立方晶窒化硼素が分解することがない。また、気相合成
法により作成された支持層はその超硬質膜側に炭化タン
グステン膜や炭化モリブデン膜を形成して構成すると、
接合膜と超硬質膜との密着性がさらに向上する。タング
ステン等の気相合成は析出速度も早いので支持層として
必要な厚さにするのが容易である。
タングステン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物
とは熱膨張率が近似しているので膜剥離を抑制すること
ができ、また、タングステン,モリブデン及びそれらと
炭素との化合物の生成温度が低いためにダイヤモンド,
立方晶窒化硼素が分解することがない。また、気相合成
法により作成された支持層はその超硬質膜側に炭化タン
グステン膜や炭化モリブデン膜を形成して構成すると、
接合膜と超硬質膜との密着性がさらに向上する。タング
ステン等の気相合成は析出速度も早いので支持層として
必要な厚さにするのが容易である。
【0037】また、シリコン等からなる基体は加工が容
易であるので形状は任意に作成でき、所望の仕上げ面精
度への加工は容易である。この表面に超硬質膜を作成す
ると超硬質膜はシリコンの形状となるだけでなく、膜の
シリコン等に接する面はシリコン等の仕上げ面精度と同
等になり、仕上げ加工が不要になる。そして、例えば、
線引ダイス等を製造する場合、製品の凹部は最初に成膜
するシリコン等の基体では凸部となる。超硬質膜の気相
合成では一般に凸部の成膜速度が早いので、付回り性を
大幅に向上することができる。
易であるので形状は任意に作成でき、所望の仕上げ面精
度への加工は容易である。この表面に超硬質膜を作成す
ると超硬質膜はシリコンの形状となるだけでなく、膜の
シリコン等に接する面はシリコン等の仕上げ面精度と同
等になり、仕上げ加工が不要になる。そして、例えば、
線引ダイス等を製造する場合、製品の凹部は最初に成膜
するシリコン等の基体では凸部となる。超硬質膜の気相
合成では一般に凸部の成膜速度が早いので、付回り性を
大幅に向上することができる。
【0038】次に、本発明者は、本発明の効果を確認す
べく、W,MoやMo,WとCの化合物からなる支持層
上に、超硬質膜を形成する実験を行った。即ち、ダイヤ
モンドは、CH4 /H2 が3/100の混合ガスを、マ
イクロ設定出力400W、圧力25torrの条件下で
析出させ、立方晶窒化硼素は、Bからなる蒸着源と、A
r+N2 (36vol%)からなるイオン源導入ガスを
用い、イオン加速電圧1keV、反応圧力1.5×10
-2Paの条件下で析出させた。また、タングステンは、化
学的気相合成装置内を温度800℃に保持し、気相含浸
装置内にH2 /WF6 のモル比が5となるように混合し
たWF6 +H2 ガスを導入して析出させた。モリブデン
もタングステンとほぼ同様にして析出させた。
べく、W,MoやMo,WとCの化合物からなる支持層
上に、超硬質膜を形成する実験を行った。即ち、ダイヤ
モンドは、CH4 /H2 が3/100の混合ガスを、マ
イクロ設定出力400W、圧力25torrの条件下で
析出させ、立方晶窒化硼素は、Bからなる蒸着源と、A
r+N2 (36vol%)からなるイオン源導入ガスを
用い、イオン加速電圧1keV、反応圧力1.5×10
-2Paの条件下で析出させた。また、タングステンは、化
学的気相合成装置内を温度800℃に保持し、気相含浸
装置内にH2 /WF6 のモル比が5となるように混合し
たWF6 +H2 ガスを導入して析出させた。モリブデン
もタングステンとほぼ同様にして析出させた。
【0039】そして、支持層からの超硬質膜の剥離を観
察するとともに、超硬質膜の表面粗さを表面粗さ計によ
り測定した。
察するとともに、超硬質膜の表面粗さを表面粗さ計によ
り測定した。
【0040】これらの結果を表1及び表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1及び表2により、本発明品は切削後に
おける超硬質膜の剥離や超硬質膜の面精度が良好であっ
た。また、基体への超硬質膜の付着を観察したところ、
ほぼ一定厚さの膜厚であり、付回り性が良好であった。
おける超硬質膜の剥離や超硬質膜の面精度が良好であっ
た。また、基体への超硬質膜の付着を観察したところ、
ほぼ一定厚さの膜厚であり、付回り性が良好であった。
【0044】超硬質膜の剥離の有無は、試料No.1〜1
3では、試料にダイヤモンド圧子を10kgで圧入し、
圧痕周辺の超硬質膜が剥離していないかを観察すること
により行った。また、試料No.14〜22では、アルミ
ニウム合金線を用い100時間使用し、使用後の超硬質
膜の剥離状態を外観からチェックすることにより行っ
た。
3では、試料にダイヤモンド圧子を10kgで圧入し、
圧痕周辺の超硬質膜が剥離していないかを観察すること
により行った。また、試料No.14〜22では、アルミ
ニウム合金線を用い100時間使用し、使用後の超硬質
膜の剥離状態を外観からチェックすることにより行っ
た。
【0045】尚、上記実験では、シリコン等の基体の表
面粗さRmax を0.05μm とした。
面粗さRmax を0.05μm とした。
【0046】また、試料No.1〜13では、サンプル形
状が10mm×10mm×1mmの板形状であり、試料
No.14〜22は、サンプル形状が孔径0.5mm、高
さ15mmの図7に示すようなダイスである。
状が10mm×10mm×1mmの板形状であり、試料
No.14〜22は、サンプル形状が孔径0.5mm、高
さ15mmの図7に示すようなダイスである。
【0047】No.4,5は、ダイヤモンド膜を蝋付けし
た例であり、No.4では基板を製作することができず、
No.5は、表面のうねりが大きかった。さらに、No.
9,10は、タングステン基板にダイヤモンドを析出さ
せた例であり、No.11は、モリブデン基板にダイヤモ
ンドを析出させた例であり、No.12は、シリコン基板
にダイヤモンドを析出させた例であり、No.13は、窒
化珪素基板にダイヤモンドを析出させた例である。
た例であり、No.4では基板を製作することができず、
No.5は、表面のうねりが大きかった。さらに、No.
9,10は、タングステン基板にダイヤモンドを析出さ
せた例であり、No.11は、モリブデン基板にダイヤモ
ンドを析出させた例であり、No.12は、シリコン基板
にダイヤモンドを析出させた例であり、No.13は、窒
化珪素基板にダイヤモンドを析出させた例である。
【0048】また、試料No.19〜22は、ダイス形状
に形成されたタングステン,モリブデン,シリコン,窒
化珪素からなる基体にダイヤモンドを析出させた例であ
り、穴の中央部にはダイヤモンド膜を形成することがで
きなかった。
に形成されたタングステン,モリブデン,シリコン,窒
化珪素からなる基体にダイヤモンドを析出させた例であ
り、穴の中央部にはダイヤモンド膜を形成することがで
きなかった。
【0049】尚、試料No,6は、支持層をW膜とWC膜
により構成した例であり、試料No,8は、支持層をMo
膜とMo2 C膜により構成した例である。
により構成した例であり、試料No,8は、支持層をMo
膜とMo2 C膜により構成した例である。
【0050】また、試料No.17〜18は、基体上に予
め5μmの窒化チタン膜を形成した後、cBN膜を形成
した例である。
め5μmの窒化チタン膜を形成した後、cBN膜を形成
した例である。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、ダ
イヤモンド,立方晶窒化硼素等の超硬質膜を、タングス
テンを主成分とする支持層に形成することにより、支持
層と超硬質膜とを強固に密着させることができ、超硬質
膜の面精度を向上することができ、さらに、付回り性を
大幅に向上することができる。
イヤモンド,立方晶窒化硼素等の超硬質膜を、タングス
テンを主成分とする支持層に形成することにより、支持
層と超硬質膜とを強固に密着させることができ、超硬質
膜の面精度を向上することができ、さらに、付回り性を
大幅に向上することができる。
【図1】本発明の超硬質膜付部材を示す縦断面図であ
る。
る。
【図2】基体上に超硬質膜を形成した状態を示す縦断面
図である。
図である。
【図3】超硬質膜上に支持層を形成した状態を示す縦断
面図である。
面図である。
【図4】所定形状のシリコンからなる基体を示す縦断面
図である。
図である。
【図5】基体上に超硬質膜を形成した状態を示す縦断面
図である。
図である。
【図6】超硬質膜上に支持層を形成した状態を示す縦断
面図である。
面図である。
【図7】図6の上下を所定量だけ除去し、内部の基体を
除去した状態を示す縦断面図である。
除去した状態を示す縦断面図である。
【図8】図7の支持層の内面に超硬質膜が形成されたダ
イスを工具本体に取り付けた状態を示す縦断面図であ
る。
イスを工具本体に取り付けた状態を示す縦断面図であ
る。
【図9】所定形状のシリコンからなる基体を示す縦断面
図である。
図である。
【図10】基体上に超硬質膜を形成した状態を示す縦断
面図である。
面図である。
【図11】超硬質膜上に支持層を形成した状態を示す縦
断面図である。
断面図である。
【図12】図11の上下を所定量だけ除去し、内部の基
体を除去して形成された糸道を示す縦断面図である。
体を除去して形成された糸道を示す縦断面図である。
33,45,55 支持層 35,43,53 超硬質膜 37,41,51 基体
Claims (2)
- 【請求項1】気相合成法により作成されたタングステ
ン,モリブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少な
くとも一種からなる支持層の表面に、超硬質膜を気相合
成法により形成してなることを特徴とする超硬質膜付部
材。 - 【請求項2】基体の表面に超硬質膜を気相合成法により
形成した後、この超硬質膜の表面にタングステン,モリ
ブデン及びそれらと炭素との化合物のうち少なくとも一
種からなる支持層を気相合成法により形成し、しかるの
ちに前記基体を除去することを特徴とする超硬質膜付部
材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20522192A JPH0647629A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 超硬質膜付部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20522192A JPH0647629A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 超硬質膜付部材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0647629A true JPH0647629A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16503421
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20522192A Pending JPH0647629A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 超硬質膜付部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0647629A (ja) |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP20522192A patent/JPH0647629A/ja active Pending
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