JPH0647160B2 - アルミニウムダイカスト品の製造方法 - Google Patents

アルミニウムダイカスト品の製造方法

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JPH0647160B2
JPH0647160B2 JP2108735A JP10873590A JPH0647160B2 JP H0647160 B2 JPH0647160 B2 JP H0647160B2 JP 2108735 A JP2108735 A JP 2108735A JP 10873590 A JP10873590 A JP 10873590A JP H0647160 B2 JPH0647160 B2 JP H0647160B2
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秀和 真田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はアルミニウムダイカスト品の製造方法に関し、
更に詳しくは、鉄系のライナーを鋳ぐるんだアルミダイ
カスト品の製造方法に関するものである。
[従来技術] アルミニウムダイカスト品の製造においては、高品質の
鋳造品を得るため金型の温度を一定の温度まで上昇させ
湯廻りを良好な状態にしてから鋳造に移る必要がある。
この金型の温度を一定温度まで上昇させる金型予熱工程
はアルミニウム溶湯を金型に充填することによって行な
う。この予熱工程で鋳造されたダイカスト品はリターン
材として再び溶融炉で溶融し再びダイカスト品の原料と
する。
ここで、鉄系のライナーを鋳ぐるんだアルミニウムダイ
カスト品用の金型の予熱工程においては、本来ライナー
が装着される金型のライナー保持部には何も装着せずに
金型にアルミニウム溶湯を流し込むという操作、もしく
は、最終製品において使用する鉄系のライナーそのもの
を金型に装着してアルミニウム溶湯を金型に流し込む操
作が行なわれていた。
又、特開昭60−10225号には本来鉄系のライナー
が装着される部分に厚紙等からなる非金属製ダミーライ
ナーを装着してアルミニウム溶湯を流し込むという予熱
工程を採用したダイカスト方法が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、本来ライナーが装着されるべき金型のライナー
保持部に何も装着せずにアルミニウム溶湯を流し込み金
型の予熱工程を行うとこのライナー保持部にアルミニウ
ムが付着して最終製品のダイカストを行う際、鉄系のラ
イナーを金型のライナー保持部に装着できなくなるとい
う問題点があった。
又、予熱工程中に鋳造したダイカスト品は上述のように
全て溶融処理しリターン材として再利用を図るため、該
予熱工程においてアルミニウムダイカスト品中に鉄系の
ライナーが鋳ぐるまれていると溶融処理するときに溶融
炉内のアルミニウム溶湯から鉄系ライナーを取り出す作
業が必要となる。この取り出し作業は高温の中で行わな
ければならず作業環境は極めて劣悪なものであった。
更に、厚紙等の非金属製ダミーライナーを装着して予熱
工程を行う上記特開昭60−102256号のダイカス
ト製造方法にあっては以下のような問題点があった。
第1には、アルミニウム溶湯が厚紙に接触すると厚紙等
が燃え、炎、煙等が発生し工場内の空気を汚染し作業環
境が悪化する。
第2には、厚紙等は変型し易いため、厚紙製のダミーラ
イナーを金型に装着するチャンキング時に、鉄系のライ
ナーを金型に装着する際使用する装着ロボットを使用す
ると厚紙製ライナーが容易に変形してしまう。このため
予熱工程中のライナー装着工程を自動化することが困難
となり作業能率が低下する。
第3には、アルミニウム溶湯に接触し燃焼した厚紙等の
燃えかすを、再処理に先立って、予熱工程で出来たダイ
カスト品から除去する工程が必要となり作業能率が低下
する。又、この燃えかすの除去が十分に行われないと、
燃えかすに含まれるカーボンがアルミニウム合金に混入
し、このカーボンによってアルミニウムダイカスト品の
靱性が低下し最終製品の品質が低下することとなる。さ
らには、この除去したカーボンが工場内に散乱し作業環
境の悪化が生じる。
[課題を解決する手段] 上述したような問題点に鑑み、本発明は作業能率及び最
終製品の品質を低下させず、また工場内の作業環境をも
悪化させることのないアルミニウムダイカスト品の製造
方法を提供するものであり、金型温度が所定の温度に達
するまでは、アルミニウム合金製のダミーライナーを金
型のライナー保持部に装着してダイカストする予熱工程
と、前記金型温度が前記所定の温度に達した後、前記金
型のライナー保持部に鉄系ライナーを装着してダイカス
トする工程を有する鉄系ライナーを鋳ぐるんだアルミニ
ウムダイカスト品の製造方法において、前記予熱工程を
低速、低圧でダイカストすることを特徴とするアルミニ
ウムダイカスト品の製造方法を提供するものである。
[作用] 本発明によれば、予熱工程においてはダイカスト品本体
と同一の材質からなるアルミニウム製のダミーライナー
を装着して鋳造を行なうため上記問題点の発生を有効に
防止することができる。
[実施例] 以下、本発明の製造方法を自動車エンジン用直列4気筒
オープンデッキ型シリンダブロックを鋳造する方法に適
用した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
なお、第1図はアルミニウム合金製ダミーライナーを可
動ダイス5のライナー保持部8に挿入した後型締めした
状態を示す金型主要部の縦断面図である。
第1図に示す金型は可動ホルダー1、固定ホルダー2、
可動ダイス5、固定ダイス6からなる。可動ダイス5に
は、完成したアルミニウムダイカスト品を押し出す図示
せぬの押し出しピンが設けられている。また、中子3、
4が可動ホルダー1と固定ホルダー2の間に介在し、こ
れら中子3、4と可動ダイス5、固定ダイス6に挟まれ
た状態で金型内のキャビティ9が設けられている。
更にこのキャビティ9にシリンダ10Aが接続され、こ
のシリンダ10Aにはアルミニウム溶湯を型内に注ぎ込
むための注湯口10Bが設けられている。前記シリンダ
10Aにはアルミニウム溶湯を金型内キャビティ9に充
填するためのプランジャーチップ11が摺動自在に挿入
される。
金型を所定の温度まで加熱する金型予熱工程では以下の
作業が金型が所定温度に達するまで数回行なわれる。
まず、ダイカスト品の型離れを容易にするための離型剤
を金型内面にスプレーした後エアーブローする。次に金
型を型開きした状態で4個のアルミニウム合金(ADC
10)製ダミーライナー7(第2図)を、可動ダイス5
に設けられたライナー保持部8に装着する。このアルミ
ニウム合金製ダミーライナー7はADC10をダイカス
トし機械加工仕上げしたものである。このアルミニウム
合金製ダミーライナー7の挿入は鉄系ライナーを装着す
る装着ロボットを使用する。このときアルミニウム合金
製ダミーライナー7は室温であってもよいが、適当な温
度(例えば摂氏100〜300度程度)に加熱しても良
い。
アルミニウム合金製ダミーライナー7の挿入後可動ダイ
ス5を移動させ金型の型締めを行う。さらに、注湯口1
0Bからアルミニウム溶湯(ADC10)を給湯しプラ
ンジャーチップ11を低速例えば0.1〜0.5m/se
cの範囲、好ましくは0.3m/secでかつ、低圧例えば
200〜400kg/cmの範囲、好ましくは300kg/cm2
で前進させアルミニウム溶湯をキャビティ9に充填す
る。
ここでプランジャーチップを低速、低圧で前進させるの
は、キャビティー9内にアルミニウム溶湯が高速、高圧
で注入されるとアルミニウム溶湯の冷却、凝固が速く十
分に熱が金型に伝達する時間がないため金型温度が上昇
しにくく、ダミーライナー7とライナー保持部8の隙間
にアルミニウム溶湯が侵入してライナー保持部へアルミ
ニウムが付着してしまうため、これを防止するためであ
る。
アルミニウム溶湯注入の一定時間経過後アルミニウムの
凝固が完了すると、型開きし中子3、4を後退させた
後、可動ダイス5に設けた押し出しピン(図示せず)に
より一次製品を押し出して、第3図に示すような金型予
熱用シリンダーブロック12を得る。
金型予熱用シリンダーブロック12には4個のアルミニ
ウム製ダミーライナー7がシリンダバレル12bの内周
面に鋳ぐるまれており、シリンダバレル12bの周囲に
は冷却水を循環させるウオータジャケット12aが設け
られている。
以上が金型予熱工程の1サイクルである。このサイクル
を金型(固定、可動の両金型)が摂氏150〜300度
の範囲好ましくは、摂氏250度に達し湯回りが良好に
なり良品が鋳造可能な状態となるまで繰り返し行う。通
常5〜20回の繰り返しにより金型の温度が所定温度ま
で上昇する。ここで予熱工程を終了する。
次に最終製品である鉄系のライナーを埋金したアルミニ
ウムダイカストによるシリンダーブロックを鋳造する工
程について説明する。
この工程は使用するライナーが鉄系であり、その形状が
若干異なるが予熱工程を示す第1図を参照しつつその工
程を説明していく。
まず予熱工程と同様にダイカスト品の型離れを容易にす
るための離型剤を金型にスプレーした後エアーブローす
る。次に金型を型開きした状態で4個の鉄系のライナー
13を、可動ダイス5に設けられたライナー保持部8に
装着する。ここでこの鉄系のライナー13は鋳鉄、鋼が
使用され、シリンダブロック本体との密着性をよくする
ために、第4図に示すように、外周面に凹凸部14を設
けるとよい。この鉄系のライナー13の装着は装着ロボ
ットを使用する。鉄系ライナー13の装着後可動ダイス
5を移動させ金型の型締めを行う。さらに、注湯口10
Bからアルミニウム溶湯(ADC10)を給湯しプラン
ジャーチップ11を予熱工程時より高速(1.5〜2.
5m/sec)かつ高圧(400〜800kg/cm2)で前進
させアルミニウム溶湯をキャビティ9に充填する。
一定時間経過後アルミニウム溶湯の凝固が完了した後型
開きし中子3、4を後退させ、可動ダイス5に設けた押
し出しピン(図示せず)により製品を押し出して、最終
製品である鉄系ライナーを鋳ぐるんだアルミニウム合金
製シリンダーブロックを得る。
なお上記実施例において用いたアルミニウム合金製のラ
イナーはADC10を用いてダイカストしたものである
が、シリンダーブロック等のダイカスト品本体に使用す
るアルミニウム合金種類によっては、ADC12やその
他のダイカスト合金を使用してもよい。また、リターン
材の成分調整を煩雑にしない範囲においては、AC4
B、AC8C等の鋳物用アルミニウム合金や、市販のア
ルミニウムパイプを利用してもよい。
更に、上記実施例は直列4気筒のオープンデッキ型シリ
ンダブロックを鋳造する工程であるが本発明はこれに限
られるものではなく、オープンデッキ型のV6、V8型
シリンダブロックや、オープンデッキ型の直列2気筒他
すべてのオープンデッキ型シリンダブロックに適用が可
能である。加えて、シリンダブロック以外にもエグゾー
ストマニホールド、カークーラー用圧縮機のシリンダブ
ロック、冷凍機のシリンダブロック、空圧、油圧シリン
ダ本体等の製造にも適用可能なものである。
[効果] 上述した本発明によれば予熱工程においてもダミーライ
ナーが金型のライナー保持部に取り付けられているの
で、このライナー保持部にアルミニウム溶湯が接触しな
いため該保持部にアルミニウム合金が付着し後の製品鋳
造工程において鉄系ライナーの取付が困難となる問題が
生じない。
又、予熱工程時に使用されるライナーは製品本体とほぼ
同一の成分を有するものであるため、予熱工程で鋳造し
たダイカスト品をリターン材として溶解炉で再処理する
際も鉄系ライナーを使用した場合に必要となる、アルミ
ニウム溶湯の中から鉄系ライナーを取り出す過酷な作業
を省略することができ労力が軽減され作業能率が向上す
る。
又、本発明によれば厚紙等の非金属製のライナーを予熱
工程時に使用した場合に必要となる予熱工程で鋳造した
ダイカスト品をリターン材として溶解炉で再処理する前
の該ダイカスト品から厚紙等の燃えかすを除去する作業
が不要となり、さらにはこの燃えかすが工場内に飛散し
工場内の作業環境を悪化させることもない。加えて、厚
紙等の燃えかす(カーボン)が溶解炉で再処理するリタ
ーン材に混入しアルミニウム合金の靱性を悪化させると
いった問題点も生じない。
この他、アルミニウム製のラミーライナーは厚紙等のラ
イナーに比して変形しにくいため、最終製品を鋳造する
際に使用する鉄系のライナーを金型のライナー保持部に
装着する装着ロボットを使用して金型に挿入することが
できる。このためこの作業工程の自動化が可能となり作
業能率の向上が図れる。
また、予熱工程におけるダイカストを低速、低圧で行う
ので、アルミニウム溶湯の冷却、凝固が遅くなり熱が十
分金型に伝達され、金型温度が上昇し易くなり、また低
速、低圧のためダミーライナーとライナー保持部間にア
ルミニウム溶湯の侵入がなく、ライナー保持部にアルミ
ニウムが付着することは生じない。よってその後のダイ
カスト工程においてダミーライナーや鉄系ライナーが装
着できなくなるというトラブルは生じない。更に、予熱
工程では低速、低圧で鋳込むので、鋳造圧によるアルミ
ニウム合金製ダミーライナーの収縮変形が小さくなり、
ライナー保持部にダミーライナーが強固に密着せずダミ
ーライナーのかじりが生じない。
上記のように本発明のアルミニウムダイカスト品の製造
方法によればアルミニウムダイカスト品の鋳造作業の作
業環境の向上が図れ、更には、作業能率が向上するため
アルミニウムダイカスト品の生産性が向上し製品のコス
トダウンが図れ著しい経済的効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はアルミニウム合金製ダミーライナーを装着し型
締めした状態を示す金型主要部の縦断面図、 第2図は鋳ぐるまれるアルミニウム合金製ダミーライナ
ーの形状を示す該ライナーの縦断面図、 第3図はアルミニウム合金製ライナーを鋳ぐるんだ予熱
用のシリンダーブロックを示す横断面図、 第4図は鋳ぐるまれる鉄系ライナーの形状を示す該ライ
ナーの縦断面図である。 図中、1……可動ホルダー 2……固定ホルダー 5……可動ダイス 6……固定ダイス 7……アルミニウム合金製ダミーライナー 12……アルミニウム合金製ダミーライナーが鋳ぐるま
れた予熱用シリンダーブロック本体 13……鉄系ライナー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型温度が所定の温度に達するまでは、ア
    ルミニウム合金製のダミーライナーを金型のライナー保
    持部に装着してダイカストする予熱工程と、前記金型温
    度が前記所定の温度に達した後、前記金型のライナー保
    持部に鉄系ライナーを装着してダイカストする工程を有
    する鉄系ライナーを鋳ぐるんだアルミニウムダイカスト
    品の製造方法において、 前記予熱工程を低速、低圧でダイカストすることを特徴
    とするアルミニウムダイカスト品の製造方法。
JP2108735A 1990-04-26 1990-04-26 アルミニウムダイカスト品の製造方法 Expired - Lifetime JPH0647160B2 (ja)

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