JP2961569B2 - 金型予熱方法 - Google Patents

金型予熱方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダボアに鋳鉄等
からなるシリンダスリーブを嵌め込んでなる軽合金製シ
リンダブロック製造用金型の金型予熱方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】シリンダブロックなどを鋳造する金型鋳
造においては、例えば休日などに金型鋳造設備が長時間
にわたって停止した後に再稼働させる場合には、金型の
昇温のために金型を予熱する必要がある。この金型の予
熱作業中は、製品の鋳込み生産を行うことができず、従
って、金型予熱時間の短縮と金型予熱のためのコスト低
減が要求されており、従来よりその改善案が種々提案さ
れている。例えば、特開平2−46963号公報には、
金型温度に応じて金型のキャビティに充填する溶湯の射
出スピードを制御し、金型昇温のための捨て吹き(テス
ト鋳込)終了時期を迅速かつ的確に判断して本鋳込を開
始できる方法が開示されている。この方法によれば金型
の昇温が速やかに行えることから広く用いられている。
ところが、アルミ等からなる軽合金製のシリンダブロッ
クを製造する際に、鋳鉄製のシリンダスリーブを同時に
鋳込む場合は、シリンダスリーブの寸法および位置決め
には極めて高い精度が要求される。そのため、スリーブ
支持ピンには、製品を金型から抜き出しやすくするため
の抜き勾配が設けられておらず、このまま捨て吹きを行
ったのでは鋳造品がシリンダ支持ピンから取り出せなく
なるばかりでなく、スリーブ支持ピンにアルミが付着し
てかじりが発生し、予熱後にシリンダスリーブの取り付
けができなくなるという問題がある。
【0003】このため、捨て吹き用のシリンダスリーブ
をスリーブ支持ピンに装着し、捨て吹きを行う方法が採
用されているが、捨て吹きに使用するシリンダスリーブ
によっても以下に示すような種々の問題が存在する。
本鋳込に使用するシリンダスリーブを使用した場合
は、シリンダスリーブが鋳鉄製であるため捨て吹きの際
に使用したアルミの再回収が困難で、捨て吹きの際に使
用したアルミとシリンダスリーブを廃棄しなければなら
ず、不経済である。 アルミ製のシリンダスリーブを
使用すれば、捨て吹きの際の製品の再溶解,再利用は可
能となるが捨て吹き用のアルミ製のシリンダスリーブを
別に製作しなければならず加工コストの上昇は免れな
い。また、前記以外にも、セラミックにて捨て吹き用の
シリンダスリーブを製作し金型の予熱を行う方法が提案
されているが、セラミック製のシリンダスリーブは極め
て高価なうえ衝撃にも弱く、寿命が短いという欠点を有
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の問題点
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、捨
て吹き用のシリンダスリーブを使用することなく捨て吹
きを行うことにより、捨て吹きの際のコストを削減する
ことができる金型の予熱方法を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の問題点を解決する
ために本発明の金型予熱方法は、シリンダスリーブに、
軽合金製のシリンダブロックを鋳込んで一体成形する
リンダブロック製造用金型の金型予熱方法であって、前
記シリンダスリーブを位置決め支持するスリーブ支持ピ
ンの外周に離型剤を塗布したのち、前記スリーブ支持ピ
ンに前記シリンダスリーブを取り付けない状態にて前記
シリンダブロック製造用金型の型締めを行い、このシリ
ンダブロック製造用金型のキャビティに溶湯を注入して
捨て吹きすることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明は前記したとおりに構成されているの
で、捨て吹きの際に捨て吹き用のシリンダスリーブをス
リーブ支持ピンに取り付けなくても、スリーブ支持ピン
の外周に塗布した離型剤により、スリーブ支持ピンに傷
をつけることなく簡単に鋳造品を取り外すことができ
る。そのため、捨て吹き用のシリンダスリーブが不要と
なるだけでなく、捨て吹きの鋳造品も再回収,再利用す
ることができるので、金型予熱の際のコストを極めて低
減することができる。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を詳細に説明する。図1はシ
リンダブロック製造用金型の断面側面図である。1は固
定型で、この固定型1にはウォータージャケット中子1
aと、シリンダスリーブ2(図中、仮想線で示す)を取
り付けるスリーブ支持ピン1bが突設されている。可動
型3は、鋳造されたシリンダブロックを取り出しやすく
するために複数個の分割型3a,3b,3cからなって
おり、この分割型3a,3b,3cにより所定形状のキ
ャビティ4が形成されている。そして、この可動型3を
固定型1に押し付け、キャビティ4に溶湯を充てん、加
圧することにより、所定形状の鋳造品を得ることができ
るものである。金型鋳造設備の再稼働の際には、作業者
は前記スリーブ支持ピン1bの外周の全面にハケまたは
スプレー等にて油性の離型剤を塗布する。この離型剤
は、鉱物油,植物油,アルミ粉,界面活性剤等を混合し
て灯油で希薄した一般市販のものである。そして、離型
剤の塗布後、可動型3を図中矢印の方向に移動させて型
締めを行い、溶湯をキャビティ4に注入して捨て吹きを
行う。この離型剤の塗布作業は、捨て吹き中に数回、好
ましくは一捨て吹き作業毎に繰り返すことが望ましく、
これにより、スリーブ支持ピン1bの外周の全面には離
型剤の油膜が形成され、捨て吹きによる鋳造品はスリー
ブ支持ピン1bに付着することなく、捨て吹き終了後に
も簡単に金型から取り外すことができる。前記手順にて
金型温度を適正温度まで昇温させた後は、前記スリーブ
支持ピン1bにシリンダスリーブ2を装着する。そし
て、シリンダスリーブ2を装着した状態で、本鋳込を行
い、シリンダスリーブ2と一体となったシリンダブロッ
クの成形を開始すればよい。なお、この実施例で離型剤
は、例えば鉱物油,植物油,アルミ粉,界面活性剤等を
混合して灯油で希薄した油性のものとして説明したが、
スリーブ支持ピンと鋳造品との離型性の良いものであれ
ばこれに限られるものでない。
【0008】
【発明の効果】本発明の金型予熱方法は、金型予熱のた
めの捨て吹きに際し、金型のスリーブ支持ピンに例えば
油性の離型剤を塗布するだけで、スリーブ支持ピンの溶
湯とのかじりを防止し、捨て吹き用のシリンダスリーブ
を使用せずにキャビティへ注湯することにより捨て吹き
を行うことができる。また、捨て吹きによる鋳込製品
は、材質の異なる捨て吹き用のシリンダスリーブを含ま
ないので、溶解して再利用することができる。従って、
本発明によれば、金型予熱のコストを、極めて簡単な方
法により大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダブロック用金型の断面側面図である。
【符号の説明】
1 固定型 1a ウォータージャケット中子 1b スリーブ支持ピン 2 シリンダスリーブ 3 可動型 4 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29C 45/73 B29C 45/73 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 17/00 B22D 17/20 B22D 17/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダスリーブに、軽合金製のシリンダ
    ブロックを鋳込んで一体成形するシリンダブロック製造
    用金型の金型予熱方法であって、 前記シリンダスリーブを位置決め支持するスリーブ支持
    ピンの外周に離型剤を塗布したのち、前記スリーブ支持
    ピンに前記シリンダスリーブを取り付けない状態にて前
    記シリンダブロック製造用金型の型締めを行い、このシ
    リンダブロック製造用金型のキャビティに溶湯を注入
    て捨て吹きすることを特徴とする金型予熱方法。
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