JPH0646824Y2 - 注出具を具備する紙容器用のブランク板 - Google Patents

注出具を具備する紙容器用のブランク板

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JPH0646824Y2
JPH0646824Y2 JP1988107973U JP10797388U JPH0646824Y2 JP H0646824 Y2 JPH0646824 Y2 JP H0646824Y2 JP 1988107973 U JP1988107973 U JP 1988107973U JP 10797388 U JP10797388 U JP 10797388U JP H0646824 Y2 JPH0646824 Y2 JP H0646824Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内填物の有する品質を変質させることのな
い、すなわち、品質保持特性に優れた性質を有する紙容
器で、しかも、注出具を具備する紙容器に製函される紙
容器用のブランク板に関するものである。
〔従来の技術〕
紙容器に穿設されている開口部に、該紙容器の内側から
ポリオレフィン系樹脂製の注出具が差し通され、前記注
出具におけるフランジ部が前記紙容器の内周面側に固着
されている紙容器が、飲料等を充填させる液体用紙容器
として広く利用されている。
前記紙容器は、表,裏両面層がポリオレフィン系樹脂層
で構成されている紙容器用積層シートによって製函され
ており、紙容器の内周面層に、注出具のフランジ部が熱
接着された構成とされているものが一般的である。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところで、前記従来の紙容器は、該紙容器の成形用素材
である積層シートを得る際のポリオレフィン系樹脂層の
形成時や、積層シートによる紙容器の製函時等におい
て、ポリオレフィン系樹脂が熱分解を受けて脂肪族炭化
水素等の揮発性成分を生成することとなり、この揮発性
成分が紙容器内に収容かれている内填物内に移行するこ
ととなり、内填物に変味や異臭が発生する要因となって
いるばかりなく、前記紙容器の内周面層であるポリオレ
フィン系樹脂層が、内填物であるオレンジジュース等に
おけるフレーバ成分を吸着,透過させ易いということも
あって、内填物の風味を損ない易い等の欠点を有してい
る。
このため、フレーバー成分の保持性能に優れた性質を有
する紙容器として、紙容器内周面層が、ガラス転移温度
40℃以上の線状飽和ポリエステル樹脂層やエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体樹脂層で構成されている紙容
器が検討され始めている。
しかして、前記フレーバー成分の保持性能を有する紙容
器に対して、該紙容器の内周面層との間に熱接着適性を
有する線状飽和ポリエステル樹脂またはエチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体樹脂の一体成形体からなる注出
具の適用を試みたところ、前者の線状飽和ポリエステル
樹脂による注出具は、成形用原料である線状飽和ポリエ
ステル樹脂の剛性が高く、薄肉部に割れが発生したり、
更には、プルリングを有する注出具の場合には、プルリ
ングによる開口部の形成が不可能となる等の欠点を有
し、また、後者のケチレン−ビニルアルコール系共重合
体樹脂による注出具は、成形用原料であるエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体樹脂の結晶化速度が早く、前
記線状飽和ポリエステル樹脂による注出具の場合と同様
の弊害を伴なうものである。
これに対して、本第1〜2の各考案は、フレーバー特性
を有する紙容器で、しかも、注出具における薄肉部に割
れが発生したり、更には、プルリングを有する注出具の
場合にはプルリングによる開口部の形成が不可能となる
等のことのないポリオレフィン系樹脂製の注出具が、前
記紙容器の内周面層との間に、強固な熱溶着接着で固定
され得るブランク板を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本各考案の紙容器用のブランク板は、ポリオレフィン系
樹脂による表面層と、ガスバリヤー性層と紙層とを積層
構成中に含む中間層と、保香性能において優れた作用を
有する樹脂層からなる裏面層とを具備する紙容器用積層
シートを、注出具を差し通すための開口部を有する所定
の形状に打ち抜き加工した後、前記注出具を差し通すた
めの開口部を封緘する介装部材を、溶着法によって前記
裏面層に固定することによって得られるものであり、注
出具を具備する紙容器に製函されるものである。
本第1の考案の紙容器用のブランク板は、ポリオレフィ
ン系樹脂による表面層と、ガスバリヤー性層と紙層とを
積層構成中に含む中間層と、ガラス転移温度が40℃以上
の線状飽和ポリエステル樹脂による裏面層とを具備する
紙容器用積層シートからなり、容器内周面層が前記積層
シートによる裏面層で構成されている紙容器を形成する
ための紙容器用のブランク板である。
前記ブランク板における所定の位置には、注出具を前記
ブランク板に差し通すための開口部が形成されており、
しかも、前記開口部には、線状飽和ポリエステル樹脂に
よる表面層と、ポリオレフィン系樹脂による裏面層とを
具備する積層シートからなり、前記ブランク板における
開口部の輪郭線に相応する位置に易破断線が形成されて
いる介装部材が、該介装部材における表面層と前記ブラ
ンク板における裏面層とが接するように、かつ、前記開
口部を閉塞するようにして接当されており、前記介装部
材と前記ブランク板とが、前記ブランク板における開口
部の周縁に沿った部分で、該ブランプ板における裏面層
と前記介装部材の表面層との間の溶着能によって接着,
固定されているものである。
また、本第2の考案の紙容器用のブランク板は、ポリオ
レフィン系樹脂による表面層と、ガスバリヤー性層と紙
層とを積層構成中に含む中間層と、エチレン−ビニルア
ルコール系共重合体樹脂による裏面層とを具備する紙容
器用積層シートからなり、容器内周面層が前記積層シー
トによる裏面層で構成されている紙容器を形成するため
の紙容器用のブランク板である。
前記ブランク板における所定の位置には、注出具を前記
ブランク板に差し通すための開口部が形成されており、
しかも、前記開口部には、エチレン−ビニルアルコール
系共重合体樹脂による表面層と、ポリオレフィン系樹脂
による裏面層とを具備する積層シートからなり、前記ブ
ランク板における開口部の輪郭線に相応する位置に易破
断線が形成されている介装部材が、該介装部材における
表面層と前記ブランク板における裏面層とが接するよう
に、かつ、前記開口部を閉塞するようにして接当されて
おり、前記介装部材と前記ブランク板とが、前記ブラン
ク板における開口部の周縁に沿った部分で、該ブランク
板における裏面層と前記介装部材の表面層との間の溶着
能によって、接着,固定されているものである。
前記本第1の考案の紙容器用のブランク板を構成してい
る紙容器用積層シートにおいて、該積層シートの裏面
層、すなわち、得られる紙容器における内周面層となる
線状飽和ポリエステル樹脂層は、ガラス転移温度未満の
温度下で優れた保香性能を奏するものであるために、紙
容器内の内填物が通常40℃未満の雰囲気中に置かれるの
が普通であることとの関係において、前記裏面層が優れ
た保香性能を具備するように、ガラス転移温度40℃以上
の線状飽和ポリエステル樹脂で構成されるものである。
また、前記線状飽和ポリエステル樹脂層が、例えば、結
晶化度10%以下というような低結晶性の樹脂で形成され
ている場合には、得られる紙容器内へのオレンジジュー
ス等の内填物の熱充填の際の加熱を受けても、前記線状
飽和ポリエステル樹脂層の熱接着特性が低下するような
ことがなく、熱充填による内填物の充填操作後に形成さ
れる封緘部の熱接着にも、優れた接着強度が得られるも
のである。
前記裏面層を構成するガラス転移温度が40℃以上の線状
飽和ポリエステル樹脂は、例えば、エチレングリコー
ル,プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,4−
シクロヘキサンジメタノール等のアルコール成分と、ア
ジピン酸,セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレ
フタル酸,イソフタル酸,ジフェニルジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸等によるジカルボン酸成分とによる
共縮合重合体、具体的には、エチレングリコールとテレ
フタル酸,エチレングリコールとイソフタル酸とテレフ
タル酸,1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレング
リコールとテレフタル酸,プロピレングリコールとイソ
フタル酸とテレフタル酸による組み合わせの共縮合重合
体等を利用して形成し得るものである。
なお、酸成分中の脂肪族ジカルボン酸成分が10重量%以
上になる共縮合重合体の場合には、該共縮合重合体によ
る飽和ポリエステル樹脂層は、その保香性能が低下する
傾向を有しているので好ましくない。
また、前記ガラス転移温度が40℃以上の線状飽和ポリエ
ステル樹脂層は、該層の厚さが3μ未満になるとその安
定性が悪くなり、また60μを越えるようになると該樹脂
層が硬くなるため積層シートの容器成形特性が悪くなる
ことから、前記樹脂層はその厚さが3〜60μの範囲内の
存することが好ましい。
紙容器用積層シートの表面層を構成しているポリオレフ
ィン系樹脂層は、得られる紙容器の外周面層となるもの
であり、紙容器に対する外部からの耐水性能を付与する
ものであると共に、前述の飽和ポリエステル樹脂層との
間に、優れた熱溶着特性を発揮するものである。
このポリオレフィン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチ
レン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチ
レン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸共重
合体,エチレン−アクリル酸メチル共重合体,エチレン
−α・オレフィン共重合体,更には、ポリプロピレン等
によって、厚さ3〜150μ程度に形成されているもので
ある。
紙容器用積層シートにおける前記表面層と裏面層との間
に、例えば、アルミニウム箔,紙層,オレフィン系樹脂
層,ポリエステル延伸フィルム層等を積層してなる紙複
合基材層からなる中間層が利用され、特に、紙層と裏面
層たるガラス転移温度40℃以上の低結晶性線状飽和ポリ
エステル樹脂層との間に延伸樹脂フィルム層を介在させ
ることにより、折り曲げ加工に優れた特性を有する紙容
器となしうるものである。
紙容器の形態としてはゲーベルトップ型,ブリック型等
各種の形状のものにすることができる。
前記積層構成からなる紙容器用積層シートによるブラン
ク板の所定の位置に形成されている注出具取り付け用の
開口部を閉塞するようにして、通常は、容器頂部に構成
される部分に形成されている開口部を閉塞するようにし
て前記ブランク板の裏面層に溶着されている介装部材
は、前述の通り、線状飽和ポリエステル樹脂層からなる
表面層とポリオレフィン系樹脂層からなる裏面層とを具
備する積層シートからなるものであって、前記ブランク
板の裏面層と介装部材の表面層との間の溶着能によっ
て、前記開口部の周縁部分において接着されているもの
である。
なお、前記介装部材における表面層は、紙容器用積層シ
ートの裏面層と同一の飽和ポリエステル樹脂によって、
また、裏面層は、注出具の成形用原料と同一のポリオレ
フィン系樹脂によって、それぞれ構成されていることが
好ましいが、必ずしもそのように限定されるものではな
い。
なお、前記介装部材たる積層シートは、5〜150μ程度
に、該シートにおける表面層は、3〜60μ程度に、ま
た、裏面層は、2〜90μ程度に形成されているものであ
り、介装部材は、前記表面層と裏面層との2層構成であ
っても良く、また、表面層と裏面層との間に、例えば、
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム,2軸延伸
ナイロンフィルム,2軸延伸ポリプロピレンフィルム,ア
ルミニウム箔,これらの2種以上の組合せによる複合
層,更には、接着性ポリオレフィン系樹脂層等からなる
中芯層を有する3層構成以上の多層構成とされているも
のであっても良い。
ちなみに、接着性ポリオレフィン系樹脂層の形成には、
例えば、ポリエチレン,エチレン−α・オレフィン共重
合体,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリイソブチレン
のごときポリα−オレフィン、およびポリブタジエン,
ポイソプレンのごときポリジオレフィンあるいはこれら
の共重合体等からなるポリエチレン系重合体と、例え
ば、カルボン酸,カルボン酸塩,カルボン酸無水物,カ
ルボン酸エステル,カルボン酸アミドないしイミド,ア
ルデヒド,ケトン等に基づくカルボニル 基を単独で、あるいはシアノ(−C≡N)基:ヒドロキ
シ基:エーテル基:オキシラン 環等との組合せで有するエチレン系不飽和単量体の1種
または2種以上、具体的には、 A.エチレン系不飽和カルボン酸: アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ク
ロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネ
ン−2,3−ジカルボン酸等 B.エチレン系不飽和無水カルボン酸: 無水マレイン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル
酸等 C.エチレン系不飽和エステル: アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、マレイン酸モノまたはジエチル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタク
リル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β
−N−エチルアミノエチルアクリレート等 D.エチレン系不飽和アミドないしイミド: アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド等 E.エチレン系不飽和アルデヒドないしケトン: アクロレイン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、
ビニルブチルケトン等 のエチレン系不飽和単量体との共重合体であり、なかで
も、エチレン系不飽和カルボン酸あるいはエチレン系不
飽和無水カルボン酸との共重合体が特に好適に使用され
る。
前記本第2の考案の紙容器用のブランク板を構成してい
る紙容器用積層シートにおいて、該積層シートの裏面
層、すなわち、得られる紙容器における内周面層となる
エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂は、エチレ
ン含有量が40モル%未満のものはヒートシートに要する
温度が高くなるため実用的ではなく、またエチレン含有
量が60モル%を越えるものは、内填物における着香成分
の吸着傾向が高くなることから、エチレン含有量40〜60
モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂を
利用するのが好ましい。
また、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体によ
る樹脂層は、この層の厚さが5μ未満になると、該樹脂
層の安定性が低くなり、また、40μを越えると耐衝撃性
が低下することから、前記樹脂層は、厚さ5〜40μの範
囲内に存することが好ましい。
前記紙容器用積層シートにおける表面層と中間層とは、
先に説明した前記本第1の考案における紙容器用積層シ
ートの表面層や中間層と同様の構成が利用される。
本第2の考案において使用される介装部材は、前述の通
り、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂層から
なる表面層とポリオレフィン系樹脂層からなる裏面層と
を具備する積層シートからなるものであり、表面層は、
紙容器の内周面層と同一のエチレン−ビニルアルコール
系共重合体樹脂によって、また、裏面層は、注出具の成
形用原料と同一のポリオレフィン系樹脂によって、それ
ぞれ構成されていることが好ましいが、必ずしもそのよ
うに限定されるものではない。
なお、前記介装部材たる積層シートは、厚さ7〜150μ
程度に、また、該積層シートにおける表面層は、5〜60
μ程度に、裏面層は、2〜90μ程度に形成されているも
のであり、介装部材は、前記表面等と裏面層との2層構
成であっても良く、また、表面層と裏面層との間に、例
えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム,2
軸延伸ナイロンフィルム,2軸延伸ポリプロピレンフィル
ム,アルミニウム箔,これらの2種以上の組合せによる
複合層,更には、接着性ポリオレフィン系樹脂層等から
なる中芯層を有する3層以上の多層構成とされているも
のであっても良い。
なお、前記本第1〜2の各考案において、前記構成から
なる介装部材の輪郭形状は、紙容器用のブランク板い形
成されている開口部の輪郭形状と相似形をなすものが好
ましく、前記開口部の輪郭形状に対して、約3〜30mm程
度の延設部を有するような形状とされ、前記開口部の輪
郭線に相応する部分に易破断線が形成されているもので
あって、前記介装部材における延設部に別製の注出具の
フランジ部が溶着され、固定されるものである。
したがて、本第1〜2の各考案の紙容器用のブランク板
の開口部に取り付けられる注出具は、フランジ部を有す
るものであって、紙容器用のブランク板の裏面層側から
差し通され、前記介装部材の裏面層にフランジ部が溶着
されるものである。
なお、前記フランジ部を有する注出具は、ポリオレフィ
ン系樹脂による一体成形体からなるものであって、例え
ば、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度
ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレ
ン−アクリル酸共重合体,エチレン−アクリル酸メチル
共重合体,更には、ポリプロピレン等による樹脂成形体
が利用される。
〔実施例〕
以下、本考案の注出具を具備する紙容器用のブランク板
の具体的な構成を実施例に基づいて説明し、併せ、該ブ
ランク板に対する注出具の取り付けについて説明する。
実施例1 第1図にて、符号1で表示される本考案の1実施例品た
る紙容器用のブランク板は、坪量340g/m2の耐酸紙/厚
さ15μのアイオノマー樹脂「ハイミラン1652:三井デュ
ポンポリケミカル(株)製」層/厚さ9μのアルミニウ
ム箔/厚さ12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルム層からなる積層構成の紙複合基材による中間層
4に対して、前記紙複合基材4の耐酸紙面に、厚さ30μ
のポリオレフィン系樹脂「ミラソン16p:三井製油化学工
業(株)製」層からなる表面層2を形成し、また、前記
紙複合基材4の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム層面に、厚さ15μの線状飽和ポリエステル樹脂
「イーストマンコダック社製:PET G 6763」層/厚さ30
μの線状飽和ポリエステル樹脂「東洋紡績(株)製:バ
イロンGM−990」層/厚さ15μの線状飽和ポリエステル
樹脂「PET G 6763:ガラス転移温度81℃」層からなる三
層共押し出しフィルムを積層することによって得られた
積層シート5を、300mm×300mmの略矩形状に打ち抜いた
ものである。
前記ブランク板1によって容器頂部に形成される部分に
は、直径24mmの円形の開口部6が穿設されており、前記
ブランク板1における開口部6の輪郭線に相応する位置
に易破断線7を有する直径35mmの円板状の介装部材8
が、前記開口部6を閉塞するようにして接当されてお
り、かつ、前記ブランク板1における開口部6の周縁に
沿った部分で、該ブランク板1における裏面層3に溶着
され、固定されているものである。
なお、前記介装部材8は、厚さ10μの線状飽和ポリエス
テル樹脂「PET G 6763」層/厚さ20μ線状飽和ポリエス
テル樹脂「バイロンGM−990」層/厚さ10μの線状飽和
ポリエステル樹脂「PET G 6763」層の三層共押しフィル
ムからなる表面層aと、厚さ12μの2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムからなる中芯層cとを、ドラ
イラミネート法によって積層し、更に、前記2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムからなる中芯層c面
に、厚さ20μのポリオレフィン系樹脂「ミラソン16p:三
井石油化学工業(株)製」からなる裏面層bを押し出し
コーティングすることによって得られた積層シートに、
前述の易破断線7を形成すると共に、これを直径35mmの
円板状に打ち抜き加工したものであり、前記介装部材8
の表面層aと前述のブランク板1における裏面層3とを
接当し、220℃,2.0kg/cm2、1秒間の熱シール条件でブ
ランク板1に固着させたものである。
次いで、前記ブランク板1から介装部材8の中の易破断
線7で囲繞されている部分を取り除き、前記開口部6の
周縁部のみに介装部材8が貼着されているブランク板を
得た後、前記ブランク板1による胴貼り部を形成するこ
とによって角筒体を成形した。
更に続けて、前記角筒体の内周面側から注出具9を差し
通し、振幅1.5KW,圧力4.0kg/cm2,0.8秒の超音シール条
件によって、前記注出具9におけるフランジ部10を前記
介装部材8の裏面層bに固着させ、第2図に示されるよ
うな注出具9を有する角筒体20を得た。
なお、前記注出具9は、周壁部11と、底壁部12と、前記
底壁部12から外方へ延設されているフランジ部10とによ
って構成されている有底筒状体かなるポリオレフィン系
樹脂「スミカセン G 701:住友化学工業(株)」製の一
体成形体13と、前記有底筒状体13の開口先端部を閉塞す
る着脱自在のキャップ14とで構成されているものであ
る。
また、前記注出具9は、その底壁部12に、該底壁部12の
周縁に沿って易破断用の薄肉環条溝15が、また、前記底
壁部12における前記薄肉環条溝15に囲繞された部分内に
は、該底壁部12と一体になっているプルリング16がそれ
ぞれ形成されており、紙容器内の内填物の消費に際し
て、利用者が前記プルリング16を引っ張ることによっ
て、底壁部12が薄肉環状溝15に従って破断,除去され、
流出流路が形成されるものである。
比較例1 前記実施例1で使用した紙容器用積層シートと同一の積
層構成からなる紙容器用積層シートによるブランク板に
対して、介装部材を適用することなく、前記実施例1と
同様にして、前記実施例1で使用したものと同一の構成
からなる注出具を固着することによって、比較のための
注出具を具備する角筒体を得た。
実施例2 紙容器に製函される紙容器用積層シートおよび介装部材
たる積層シートが、それぞれ次の通りの構成からなり、
それ以外の部分の構成は、全て前記実施例1のブランク
板における相応部分の構成と同一構成からなる本第2の
考案の1実施例品たる介装部材を有する紙容器用ブラン
ク板を得た後、前記ブランク板に対して、更に、前記実
施例1で使用したものと同一構成の注出具を溶着,固定
することによって、注出具が取り付けられている角筒体
を得た。
尚、前記ブランク板の裏面層と介装部材の表面層との間
は、240℃,2.0kg/cm2,1秒間の熱シール条件で接着した
が、介装部材の裏面層と注出具のフランジ部とは、前記
実施例1における接着条件と同じ条件によって固着し
た。
紙容器用積層シート 前記実施例1における紙容器用積層シート5の表面層2
と中間層4とをそのまま利用し、中間層4の2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム層面に、インフレー
ション法にて得られたエチレン−ビニルアルコール系共
重合体[エチレン含有量47モル%,エバール G:(株)
クラレ]層(10μ)/接着性ポリオレフィン系樹脂[ノ
バテックAP 220 L:三菱化成(株)]層(10μ)/エチ
レン−α・オレフィン共重合体樹脂[ウルトゼックス20
20 L:三井石油化学工業(株)製]層(40μ)の3層共
押し出し積層樹脂フィルムを、該積層樹脂フィルムにお
けるエチレン−α・オレフィン共重合体樹脂層と前記中
間層4とが接するようにして積層させたシート。
介装部材 エチレン−ビニルアルコール系共重合体[エチレン含有
量47モル%,エバールG:(株)クラレ]層(10μ)/接
着性ポリオレフィン系樹脂[ノバテック AP 220 L:三菱
化成(株)]層(10μ)/エチレン−α・オレフィン共
重合体樹脂[ウルトゼックス 2020 L:三井石油化学工業
(株)製]層(40μ)の3層共押し出し積層樹脂フィル
ム。
尚、前記介装部材は、前記3層共押し出し積層樹脂フィ
ルムにおけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体層
面と、前記紙容器用積層シートの裏面層とが接するよう
にして、固着した。
比較例2 前記実施例2で使用した紙容器用積層シートと同一の積
層構成からなる紙容器用積層シートによるブランプ板に
対して、介装部材を適用することなく、前記実施例2と
同様にして、前記実施例2で使用したものと同一の構成
からなる注出具を固着することによって、比較のための
注出具を具備する角筒体を得た。
〔観察〕
前記各実施例及び比較例で得られた注出具を具備する角
筒体における注出具と紙容器用ブランク板との間の接着
部の状態を観察した結果、実施例1〜2の角筒体では、
紙容器に必要とされるに十分な接着力で以って、注出具
が紙容器用ブランク板に接着されていたが、比較例1〜
2では、注出具が紙容器用の角筒体の裏面層との間の接
着部が簡単に剥離した。
〔考案の作用,効果〕
本第1の考案の紙容器用のブランク板は、注出具を具備
する紙容器を成形するためのブランク板であって、ポリ
オレフィン系樹脂による表面層と、ガスバリヤー性層と
紙層とを積層構成中に含む中間層と、ガラス転移温度が
40℃以上の線状飽和ポリエステル樹脂による裏面層とを
具備する紙容器用積層シートからなり、容器内周面層が
前記積層シートによる裏面層で構成されている紙容器を
形成するための紙容器用のブランク板において、前記ブ
ランク板における所定の位置には、注出具を前記ブラン
ク板に差し通すための開口部が形成されており、しか
も、前記開口部には、線状飽和ポリエステル樹脂による
表面層と、ポリオレフィン系樹脂による裏面層とを具備
する積層シートからなり、前記ブランク板における開口
部の輪郭線に相応する位置に易破断線が形成されている
介装部材が、前記開口部を閉塞するようにして接当され
ており、かつ、前記介装部材が、前記ブランク板におけ
る開口部の周縁に沿った部分で、該ブランク板における
裏面層と前記介装部材の表面層との間の溶着能によっ
て、前記ブランク板の裏面層に接着,固定されているも
のである。
また、本第2の考案の紙容器用のブランク板は、注出具
を具備する紙容器を成形するためのブランク板であっ
て、ポリオレフィン系樹脂による表面層と、ガスバリヤ
ー性層と紙層とを積層構成中に含む中間層と、エチレン
−ビニルアルコール系共重合体樹脂による裏面層とを具
備する紙容器用積層シートからなり、容器内周面層が前
記積層シートによる裏面層で構成されている紙容器を形
成するための紙容器用のブランク板において、前記ブラ
ンク板における所定の位置には、注出具を前記ブランク
板に差し通すための開口部が形成されており、しかも、
前記開口部には、エチレン−ビニルアルコール系共重合
体樹脂による表面層と、ポリオレフィン系樹脂による裏
面層とを具備する積層シートからなり、前記ブランク板
における開口部の輪郭線に相応する位置に易破断線が形
成されている介装部材が、前記開口部を閉塞するように
して接当されており、かつ、前記介装部材が、前記ブラ
ンク板における開口部の周縁に沿った部分で、該ブラン
ク板における裏面層と前記介装部材の表面層との間の溶
着能によって、前記ブランク板の裏面層に接着,固定さ
れているものである。
而して、前記本各考案の紙容器用のブランク板において
は、該ブランク板によって製函される紙容器は、その内
周面層が、ガラス転移温度が40℃以上の線状飽和ポリエ
ステル樹脂層あるいはエチレン−ビニルアルコール系共
重合体樹脂層で構成されるものであるから、容器内周面
層をなす樹脂層による紙容器内の内填物が具備するフレ
ーバー成分の透過,吸着がなく、また、容器内周面層を
なす樹脂層から内填物内への低分子量成分の溶出もない
ため、紙容器内の内填物が有する美味を損失させること
なく、すなわち、内填物の品質を低下させることなく、
長期に亙っての品質保持特性を有する紙容器を成形し得
るものである。
また、本各考案の紙容器用のブランク板は、注出具が取
り付けられる開口部の周縁に沿って、ブランク板とポリ
オレフィン系樹脂製の注出具との両者に対しての溶着適
性を有する介装部材が接着されているので、ポリオレフ
ィン系樹脂製の注出具の安定した接着,固定を行ない得
るものである。
さらに、本各考案の紙容器用のブランク板は、易破断線
が形成されている介装部材が接着されている、すなわ
ち、予め開口部に相応する部分が打ち抜かれていること
のない介装部材が接着されているものであるから、前記
介装部材の接着時に、該介装部材が歪むようなことがな
く、整然とした状態で介装部材が取り付けられている紙
容器用のブランク板となるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の紙容器用のブランク板の1実施例品の
要部模型断面図、第2図は、本考案の紙容器用のブラン
ク板に注出具が接着,固定されている状態を示す模型断
面図である・ 1:紙容器用のブランク板、2:紙容器用積層シートにおけ
る表面層、3:紙容器用積層シートにおける裏面層、4:紙
容器用積層シートにおける中間層、5:紙容器用積層シー
ト、6:注出具が差し通される開口部、7:介装部材に形成
されている易破断線、8:介装部材、a:介装部材における
表面層、b:介装部材における裏面層、9:注出具、10:注
出具9におけるフランジ部。

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂による表面層と、ガ
    スバリヤー性層と紙層とを積層構成中に含む中間層と、
    ガラス転移温度が40℃以上の線状飽和ポリエステル樹脂
    による裏面層とを具備する紙容器用積層シートからな
    り、容器内周面層が前記積層シートによる裏面層で構成
    されている紙容器を形成するための紙容器用のブランク
    板において、前記ブランク板における所定の位置には、
    注出具を前記ブランク板に差し通すための開口部が形成
    されており、しかも、前記開口部には、線状飽和ポリエ
    ステル樹脂による表面層と、ポリオレフィン系樹脂によ
    る裏面層とを具備する積層シートからなり、前記ブラン
    ク板における開口部の輪郭線に相応する位置に易破断線
    が形成されている介装部材が、前記開口部を閉塞するよ
    うにして接当されており、かつ、前記ブランク板におけ
    る開口部の周縁に沿った部分で、該ブランク板における
    裏面層と前記介装部材の表面層との間の溶着能によっ
    て、前記ブランク板の裏面層に接着,固定されているこ
    とを特徴とする注出具を具備する紙容器用のブランク
    板。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン系樹脂による表面層と、ガ
    スバリヤー性層と紙層とを積層構成中に含む中間層と、
    エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂による裏面
    層とを具備する紙容器用積層シートからなり、容器内周
    面層が前記積層シートによる裏面層で構成されている紙
    容器を形成するための紙容器用のブランク板において、
    前記ブランク板における所定の位置には、注出具を前記
    ブランク板に差し通すための開口部が形成されており、
    しかも、前記開口部には、エチレン−ビニルアルコール
    系共重合体樹脂による表面層と、ポリオレフィン系樹脂
    による裏面層とを具備する積層シートからなり、前記ブ
    ランク板における開口部の輪郭線に相応する位置に易破
    断線が形成されている介装部材が、前記開口部を閉塞す
    るようにして接当されており、かつ、前記ブランク板に
    おける開口部の周縁に沿った部分で、該ブランク板にお
    ける裏面層と前記介装部材の表面層との間の溶着能によ
    って、前記ブランク板の裏面層に接着,固定されている
    ことを特徴とする注出具を具備する紙容器用のブランク
    板。
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